東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

職員は入社時の本社研修で法人の理念や運営方針、保育の考えについて学んでいます。園では「ライフサポート理念」（冊子）を配布したり、保育目標や方針を分かり易く説明した「ゆらりんコンセプトブック」をいつでも閲覧出来るようにして、職員が理解を深められる取り組みをしています。職員自己評価調査では、理念などの職員理解度は約85%と高い結果でした。保護者に対しては、「入園のしおり」に保育目標・方針などを掲載して配布し、説明をしています。

経営層の職務は法人の「組織及び職務分掌」に明記されています。園長は自らの役割と責任を職員会議で伝えています。子どもの育ちのために職員が力を発揮できる環境作りを自らの重要な役割として、園長は園運営に取り組んでいます。また、開園時は定員を満たしていない状態でしたが、定員数での運営に向けて副園長の新規配属や主任の増員など組織体制の強化に努めています。組織力の向上によって、職員からは「上司への報告・相談がしやすくなった」「物事がスムーズになった」などの好反応が見受けられました。

園運営などに関する案件は法人が決定し、決定事項は園長会議や文書を通して各職員に伝えられます。マニュアルの改訂や制服など系列園共通の職員に関する事項は園長会で検討・決定されます。決定内容は昼礼や職員会議で報告されます。保育現場に関わる事項など園内案件は職員会議で決定されます。園は、昼礼で伝えたり園日誌に記入して職員が出勤時に閲覧するようにして周知しています。利用者にはお知らせ文書を配布したり、掲示で周知しています。また、園と保護者代表が園運営について話し合う運営委員会でも伝えられます。

園は行事終了後に保護者に対してアンケート調査を実施する他、意見箱や連絡ノート、送迎時の会話などで利用者の意向の把握に努めています。昨年度は運動会後などで4回アンケート調査を実施し、集計結果を回覧や昼礼や会議で職員間で共有しています。利用者には掲示により報告しています。把握した利用者ニーズに対応した最近の事例では、新型コロナウイルス感染症により行事の中止が相次いだため、乳児クラスの保育参観の要望があり、園は要望に応えて、保護者会で動画視聴するなどサービス向上につなげました。

園は年2回職員面談して職員の意向を把握し、職員の満足度向上に努めています。最近の事例として、産休・育休により一部職員の負担が増えたため、職員の要望に対して主任がフォローし、仕事量のバランスを調整しました。そのほか、法人本部が中心となり福祉ニーズを収集しています。また、区の園長会は公私立と私立があり、双方から情報を収集しており、福祉ニーズの情報が入りやすいと園は感じています。さらに、日本保育保健協議会など保育ネットワークに参加したり、機関紙を購読して福祉事業全体の動向について情報収集しています。

園は法人のフォーマットを基にした期間3年の中期計画を策定しています。年間行事計画を含めた単年度の事業計画を年度末に策定し、職員会議で職員に伝えています。園長は本部と連携して予算編成をしており、職員会議で事業計画の進捗状況を確認・共有しています。計画内容を見直す場合には、園長や副園長など経営層で構成される役職会議が見直しを行っています。今年度の事業計画については、新型コロナウイルス感染症対策として行事などの変更・見直しを行いました。

法令遵守や職業倫理に関連する事項が就業規則や「ゆらりん保育園マニュアル」に記載されており、事務所の書庫に設置されているので職員がいつでも閲覧できるようになっています。また、「保育園スタッフマニュアル」を配布して職員の身だしなみや挨拶など社会人として身に付けるべきマナーを伝えています。法人は全職員対象にコンプライアンス研修を実施し、研修時には理解度を確認するテストを行っています。園長など管理職はハラスメント研修を受講しています。利用者調査では、約9割の利用者が職員の接遇・マナーを適切と回答していました。

利用者には入園説明会で「入園のしおり」や重要事項説明書を基に苦情解決制度を説明しています。利用者から苦情や要望があった場合、「ゆらりん保育園マニュアル」に明示された対応方法に沿って、組織的に対応しています。利用者の要望などに対する回答は掲示や個別説明で行っています。虐待の防止対策については、園内研修を行ったり会議の中で言葉遣いなどを話し合っています。虐待が疑われる場合には、本部や目黒区子育て支援センターなど関係機関と連携して対応する体制が整っています。

園では、区の公私立園長会や私立園長会に参加しているほか、生活発表会に地域住民の方を招いたり、町会の祭りに職員が参加するなど、連携を図っています。今後は、ボランティアや実習生の受け入れを積極的に行ったり、専門職による講習会や子育て親子への園開放の実施など、地域に開かれた施設を目指しています。

園は新型コロナウイルス感染症を最優先で取り組むべきリスクとしています。対策として、感染症対策マニュアルを作成したり、園内役職会議が主導して園内感染を防止する様々な対策を講じています。嘱託医や区から感染症情報を収集したものをファイルにまとめ、保護者に閲覧できるようにしています。保育中の事故と災害を優先順位の高いリスクとしています。マニュアルの整備やヒヤリハット報告を昼礼で共有、事故後の振り返りを行って再発防止に取り組んでいます。災害避難訓練では複数の避難経路から職員が自主的に選択する訓練に取り組んでいます。

不審者の侵入に備えて、玄関に守衛を配備したり防犯カメラの設置、避難訓練では警察と連携しています。安全な保育環境に向けて、園庭の遊具の安全点検など常日頃から環境整備に取り組んでいます。園内役職会議では法人が作成したマニュアルを園の実情に合わせて改訂し、改訂版を職員に配布しています。事業継続計画については、法人が大地震を想定した「保育活動の再開に向けての計画」を策定しています。計画では被災後20日程度での活動再開を目指しています。

法人は個人情報保護方針をホームページに明示するとともに規約で個人情報の取り扱いを明記しています。プライバシーマークを取得して個人情報の適切な保護措置を講じる体制整備をしています。事務所内の書類は管理台帳で管理し、個人情報が記載された書類は施錠付きの棚で保管しています。個人情報書類を郵送・持ち出す際は移送確認表を作成し、記録しています。パソコンのデータは本社サーバーに保存され、パスワードによるアクセス権限の設定をしています。利用者には「入園のしおり」などで個人情報の取り扱いを周知しています。

法人がホームページや就職サイト、就職フェア、社内紹介制度などで正規職員の募集を行い、本部人財開発課が一括採用しています。園は、見学希望の応募者を受け入れるなど、本部人財開発課と連携して人財確保を行っています。非正規職員は園が面談して採用しています。園は職員像として、健康と高い受容力を求めています。在園児数の増加と離職に伴い、新規採用と異動で人財確保に取り組んでいます。また若手職員の比率が高いため、園は今年度に副園長と主任を各1名園外から補充して組織体制の強化に取り組んでいます。

園は「等級要件シート」に等級別の業務内容などを記載してキャリアパスを示しています。職員には配布によりキャリアパスを周知しています。また、法人の年間研修計画を基に、自己申告書を用いた面談で把握した職員の希望などを考慮して、個人別の研修計画を前年度末に策定しています。新卒職員の教育では入社前研修の実施、先輩職員が仕事やメンタルをフォローするペア制度、OJT研修を導入しています。園は、現在中堅・リーダー層職員の育成と職員の能力底上げを課題として、人財育成に取り組んでいます。

園長と副園長が面談と「等級要件シート」を基に人事考課を行い、賃金に反映させています。有給休暇の取得率は75%程度と高く、出産や育児の正規職員には休業や短時間勤務が取得できるなど働きやすい職場環境に取り組んでいます。職員間の人間関係については、概ね良好のようです。職員自己評価調査では、約85%の職員が「良好な人間関係が構築されている」と評価しています。園長や副園長は職員面談を通して職員の相談に乗ったり、意見が言いやすい職場環境作りにしているほか、他園と交流保育を行い、気づきをサービス向上に役立てています。

当園への入園または見学を希望する保護者は、区や園のホームページの閲覧や区が発行している「保育施設利用のご案内」から園の情報を入手することができます。「保育施設利用のご案内」は区のホームページからダウンロードすることができ、保育施設の利用について、申込みから入所まで、認可保育園について、認定こども園について、その他の保育施設についてなどを掲載しています。また、園の事務所や玄関にパンフレットを用意しており、来園者が自由に手に取ることができます。

園のホームページでは園の概要や園からのメッセージのほか、年間行事や一日の流れ、ブログなどを掲載しています。また、主に法人の情報が記載された「ゆらりん」というパンフレットと、園の情報を中心としたパンフレットを作成しています。法人のパンフレットは三つ折りで、ゆらりん全体の保育目標・方針などのほか、遊びや食事・食育、マップ、園での様子や取り組みなどをイラストや写真を添付して作成されています。いずれのパンフレットも写真付きでカラー印刷されるなど分かりやすいよう工夫されています。

見学を希望する方については、随時受付け希望日時に合わせて園見学を実施しています。見学は見学枠を午前と午後の時間帯に分けることで、保育の流れや活動を見てもらい園のアピールにつなげています。主な対応は園長や副園長が行ない、園のパンフレットを配布し園舎を案内しながら園の特徴や取り組みについて説明しています。説明の際は、園の特徴として、「近隣に園庭のある園が少ないが、当園は中学校の跡地に建設されているため園庭や遊戯室がある」点などについて丁寧に説明しています。

入園が決まった利用者には、区より各家庭に入園決定通知がされています。その後、園から連絡の上、必要書類を郵送し3月上旬を目途に説明会を実施しています。説明会は日程を複数設定するなど、保護者が参加しやすいように配慮しています。また、入園前には個人面接を行ない、入園までの子どもの様子や既往症、アレルギーの有無などの聞き取りと、入園のしおりや重要事項説明書に沿って、園の概要や保育目標、方針、基本ルール、持ち物、給食、保健・衛生などについて丁寧に説明しています。説明後には同意書に署名をもらい双方で確認しています。

入園面接で聞き取った入園までの子どもの状況や、保護者の意向は児童票などに記録しています。把握した子どもや保護者の情報は全職員で共有するとともに、入園当初は子どもが無理なく園に慣れていけるように「慣れ保育」を実施しています。「慣れ保育」では、まずは場所に慣れてもらうことを優先し、1週間程度の期間を設定しています。なお、慣れ保育中の送迎時には、園児の睡眠のタイミングや、好きな場所や遊びについてなど園での生活の様子を細かく伝達するようにしています。

卒園や退園する園児には、年間の製作物をまとめたものにメッセージを添えて送り出しています。卒園する園児については、入学する小学校へ保育所児童保育要録や、必要に応じて就学支援シートを保護者の同意のもとで送付するなど連携を図っています。また、卒園後の継続支援にも配慮しており、いつでも遊びに来て良いことを伝え、実際に自宅が近い子どもたちが遊びに来ることもあります。今後は卒園児を園の行事に招待するなど、継続支援の仕組みづくりに取り組む予定です。

保育所保育指針改定に伴い作成した「全体的な計画」をもとに、年間指導計画と月間指導計画を園児の姿や発達状況に応じて、養護と教育に分けて作成しています。具体的な保育活動は週案の中で表現されています。日々の様子は日誌に記載し、発達状況や生活状況などは定期的に児童票に記録しています。保育目標は、「①毎日を楽しむ、健康な子ども、②豊かな感性を持ち、思いやりのある子ども、③さまざまなことに意欲をもって、あきらめない子ども」とし、食育や保健など含めて、年齢に合わせて計画し保育活動に取り入れています。

園児一人ひとりに関する情報は児童票や健康診断記録に記載しています。個別の計画は0～2歳児と、配慮を要する子どもを対象とし、人ひとりに合わせて作成しています。保育の狙いや目標については、保護者会などで保護者に伝えています。日々の活動については、園内に一週間の予定を掲示するとともに一日の様子をホワイトボードに掲載しています。

職員の情報共有の手段として、職員会議や昼礼などの定期的な会議のほか、伝達表、職員回覧簿などを活用しています。毎日の昼礼では、園長から必要事項の共有や、補食の情報、アレルギーの献立、各クラスの体調不良時などの報告、行事情報の確認などを行っており、内容によって開催時間を調整しています。そのほか、全クラスに内線を使用し、頻回にコミュニケーションをとりながら保育を行っています。

当園は保育のコンセプトを「様々なことに興味を持ちのびのびと過ごす」と設定しており、子どもたちが興味を持てるような環境設定に取り組んでいます。玩具は子どもの目線に合わせ、取り出しやすい高さに設置するとともに、おままごとコーナーや静かに絵本を読める環境を設定しています。なお、一人ひとりの園児の発達の過程や生活環境は、入園時の面接や提出してもらった調査票、送迎時の会話、連絡帳などで全体的な姿を把握し、状況に合わせた保育を心掛けています。

朝夕は異年齢で過ごしており、園児自身が互いを大切にし合える環境を整え、大きい子への憧れや小さい子への思いやりの気持ちを育んでいます。また、日常の戸外活動（散歩）のほか、交流を促すプログラムとしてお店屋さんごっこなどの実施も検討しています。また、お別れ会食会を4・5歳児クラスで行うなどの交流も行っています。異文化へ触れる機会としては、2歳児クラス以上は毎月2回、外国人講師を招いた英語カリキュラムを実施しています。英語の歌を歌ったり、絵カードや挨拶を交わすなど異文化に触れられるきっかけ作りとなっています。

発達の過程で生じる園児同士のトラブルに対しては、互いの気持ちを尊重し、見守りや必要に応じた仲裁をし、自分達で解決できるよう導いています。配慮が必要な子どもについては、子ども家庭支援センターなどの専門機関のほか、法人で契約している臨床心理士と連携しながら対応しています。就学への取り組みとしては、地域の小学校1年生担任教師との情報共有や、目黒区教育支援課が主催する小学校就学前ガイダンスとの連携するなど保護者と子どもの不安軽減に努めています。

登園時には保護者から直接連絡帳（3歳児からはノートブック）を受け取り、内容を確認するとともに、家庭での様子や体調の聞き取りと、視診を行ない健康状態を確認しています。職員は、保護者が言いたいことが言えるよう寄り添って対応しており、保護者からの情報は、伝達表や園日誌に記載し職員間で共有しています。また、降園時には連絡帳を活用するとともに、口頭で1日の様子・体調・怪我等の報告を行っています。そのほか、各クラスのホワイトボードも活用し一日の様子を伝えています。

基本的な生活習慣については、全体的な計画・年間指導計画・月案・個別カリキュラム・保育日誌・ゆらりん保育園マニュアルなどに記載されており、それらに沿って指導しています。保護者には、日々の会話や保護者会、給食だより、保健だよりを通して伝え、園と連携して身に付くように援助しています。具体的な取り組みとして、食事指導では、プランターでの栽培やままごとなどの遊びを通して学んだり、トイレトレーニングは絵本や紙芝居による読み聞かせ後に始めるなど工夫しながら指導しています。

午睡は身体を休める時間と捉え、基本的な時間帯や長さを決めていますが、年齢や健康状態、家庭での生活リズムなど一人ひとりの状況に合わせた入眠時間や長さ、時間帯の配慮をしています。寝具は、0歳児は敷き布団で、1歳児以上はコットベッドを使用しています。眠れない子どもがいた場合は、ウッドデッキなどのフリースペースで気分転換したり、ベットの上で絵本を読んだりして過ごしています。なお、5歳児は小学校就学に向けて、1月後半ごろから午睡をなくしていきます。

当園には園庭があり、園児たちが体を十分に動かせたり自然と関われることができる環境があります。また、子ども同士が意見交換できる機会として、幼児クラスでは、朝の会、帰りの会、当番活動の中でやり取りの場を設けています。その日楽しかったことの発表をしたり、他の子どもへの質問コーナーを設けるなど、子どもが自分の考えを言葉で伝え、言葉の感覚を養える機会となっています。そのほか、運動会などの行事は、子どもたちにプログラムの映像を見せて様子を伝え、意向を踏まえて決定しています。

園では、外部講師による体操カリキュラムや英語カリキュラムを実施しています。体操カリキュラムでは、器械運動や縄跳びの指導を月2回行い、2歳児クラスからはHIPHOPカリキュラムでダンスを指導しています。そのほか、製作活動として毎月、季節の製作を行っています。また、幼児クラスでは、運動会の思い出や栽培している野菜の生長の記録を絵で描くなど、園児が様々な表現を身に着け、活動を振り返ることができる取り組みを行っています。

近隣には公園や児童遊園などがあり、散歩を通して四季の移り変わりを体感しています。天気がいい日はできるだけ園庭や散歩に出かけ、探索や集団遊びを行う中で、やまぼうし、イチョウ、パンジーなどの植物に触れ合っています。また、園内には、オクラ、イチゴ、トマト、キュウリを栽培しているほか、カブトムシを飼育しています。そのほか、子どもが自分の気持ちを調整する力を育む援助として、発達に合わせて玩具の貸し借りや、気持ちを伝える方法などを園生活の中で伝えています。

園では、誕生会、発表会、運動会、卒園式など子どもの成長を感じられるものや、こどもの日の会、七夕、ゆらりんまつり、芋ほり遠足、お月見の会、クリスマス会、お正月の会、節分などの季節を感じられるものなど、様々な行事を実施しています。行事実施の際にはねらいを十分に検討し、園児自身が楽しめるように発達に応じた内容にするとともに、絵本の読み聞かせなどを行い園児の気持ちを盛り上げています。当園は子どもの人数が多い大規模園なので合同行事は迫力あるものになっています。

保護者が参加できる園行事は、入園式、ゆらりんまつり、運動会、発表会、保育参加、卒園式などがあり、年度初めに「年間行事予定」を配布し、保護者参加の行事に日程調整など見通しを持って参加できるよう配慮しています。また、保護者が参加する行事の前には、えんだよりや案内を配布したり、送迎時の会話で直接伝える時間を作るとともに、保育参加などは複数日程を用意し、参加しやすいよう配慮しています。保護者が参加しない行事については、園だより、クラスだより、クラスボードなどの掲示で行事の様子を伝えるようにしています。

誕生会は、例年0・1歳児と、2～5歳児クラスで集まって行い、保護者の参加も可としていましたが、今年度はコロナ禍のためクラス毎の開催とし、保護者の参加は見送りました。会では、誕生児の紹介から始まり、パネルシアターやマジックなど職員からの出し物のほか、誕生児の写真や保護者からのメッセージをプレゼントとして贈っています。また、食事はワンプレートで盛り付けを工夫し、おやつはケーキを提供しています。今年度は誕生日の子どもにはシールを貼り、全員でお祝いする取り組みを実施し大変好評だったため継続して実施する予定です。

室内ではゴザやマットを設置しており、横になるなど自由に休息を取ることができます。また、散歩の後など落ち着かない時間帯には、パーテーションを設置し落ち着ける環境を設定するなど配慮しています。さらに、長い園での活動の中で、集団から離れて一人になりたい園児については、2階のデッキテラスで気分転換したり、複数担任による対応ができる体制を整えています。そのほか、憩いの場「つぼみ」という専用スペースが園内にあり、親子がほっと一息つける空間をつくっています。

朝夕の合同保育の時間は1歳児クラスで過ごし、夕方は補食として手作りのホットケーキやおにぎりを提供しています。延長保育は、職員2名体制でゆったりと関われるようにしており、玩具も延長用に別途用意するなど園児が飽きないような工夫を凝らしています。また、帰宅に向け、戦いごっこなどの激しい遊びは控え、マグネットの玩具やピースの多いパズルなど、じっくり遊べる玩具を子どもの気分に合わせて選択するなど、落ち着いて過ごせる遊びを勧めています。

食事は完食よりも楽しんで食べることを優先しており、職員から食材の話をするなど楽しみながら食事ができるように配慮しています。椅子やテーブルは年齢や発達に合わせて使用し、正しい姿勢で食べられるようにしています。また、ほぼ毎日栄養士が喫食状況を確認し、給食会議などでメニューの見直しを図っています。そのほか、給食室には子どもの目線の高さの窓が設置してあり、調理の様子を見ることが出来るようになっています。

食事は、子どもたちが元気に成長できる質の高い給食を目指し、栄養がバランスよく採れるように配慮した献立を管理栄養士が作成しています。行事食はワンプレートで提供しており、七夕はオクラを入れた七夕素麺や、節分は鬼饅頭を提供するなど彩りや盛り付けに工夫をしています。食物アレルギーのある子どもについては、医師の診断書に基づき、保護者と園とで献立を確認し除去食を提供しています。アレルギー食の配膳の際は、個別テーブルで色つきの食器やトレーを使用するとともに、栄養士、介助者、園長のトリプルチェックにより誤食を防いでいます。

年間食育計画に沿って食育活動を実施し、園児の食に関する関心を高めています。調理体験は3歳児から行い、年齢に応じた調理体験ができる計画を立てています。具体的には、カレーライスやクッキー、おにぎり、月見団子などを作るほか、4歳児と卒園児のお別れ会食なども実施しています。体験では、固いお米が焚き上げる経過を観察したり、実際に昆布だしを取って味見したりと食材に触れられる機会となっています。また、園内では、オクラ、トマト、いちご、きゅうり、たまねぎ、そら豆などを栽培しており、調理に活用しています。（今年度は栽培のみ）

年間保健指導計画をもとに年齢に合わせて、病気や自身の健康について関心が持てるように取り組んでいます。毎月の避難訓練や年2回の防犯訓練を実施し、怪我や事故の防止に繋げています。また、警察を招いて交通安全教室を実施し、安全に関する講話や横断歩道の渡り方の説明などをしてもらっています。日常の健康指導としては、看護師による正しいうがいや手洗い、歯磨き指導を行っています。そのほか、散歩時に歩き方や遊具の使い方について保育士がその都度伝えています。

嘱託医による年2回の健康診断(0歳児は月2回、1・2歳児は毎月)と年2回の歯科検診、看護師による健康指導の実施など、専門機関や専門職との連携を図りながら子どもの健康維持に取り組んでいます。なお、当園は大規模園のため、3名（内科医1名、歯科医2名）の嘱託医と契約を取り交わし、連携できる体制を整備しています。与薬が必要な子は「予約依頼書」を提出してもらい、看護師または園長が与薬をしています。アナフィラキシー緊急補助治療に使用する緊急用キットの使い方については、看護師が使い方指導をしています。

園児の健康管理については、入園のしおりに「保健・衛生」として、嘔吐処理や応急処置、感染症などが明記されており、入園時に説明しています。また、毎月保健だよりを配布（ホームページでも配信）し、季節で流行する病気や生活リズムの大切さなどについて伝えるとともに、園内で感染症が発症した場合は速やかに情報を掲示し注意喚起しています。さらに、SIDSに関しての取り組みとして、午睡時には睡眠チェックを実施し、5～10分間隔で呼吸や体位の確認をしています。なお、0歳児は午睡チェックセンサーを使用しています。

入園時に保護者の就労状況などについて把握し、基本的な保育時間を決めていますが、急な残業など保育時間の変更についてはできる限り柔軟に対応しています。また、日頃から園児の様子を丁寧に伝えるなど、積極的にコミュニケーションを取るように心がけています。また、個人面談は、0・1歳児は5月、2・4歳児は6月、3・5歳児は11月に実施していますが、要望に応じて適宜受け付けています。そのほか、保護者参加の行事後にはアンケートを実施し、保護者の意見を運営に反映させています。

保護者同士が交流する機会として、保護者会や保護者参加の行事(ゆらりんまつり、運動会）などの機会を設けています。保護者会では、自己紹介から始まり、終わった後には保護者同士で話をする時間を設けています。保護者からは、保護者同士や職員と交流を深めたいという要望が出ているため、職員や保護者の意見を取り入れながら交流の機会を模索していく予定です。具体的には、土曜日や地域開放時に交流する時間や場所を設けることを検討しています。

子どもの成長の目安や現状の園児の様子、園での取り組みについては、保護者会や個人面談、保育参加を通じて説明しています。説明の際は、専門用語ではなく分かりやすい言葉で伝えるよう配慮しています。また、子育てなどに対する悩みや疑問に応える場として、園から保護者に声をかけるとともに、必要に応じて個別面談等を実施するなど寄り添った対応に努めています。

町会による園周辺の見守りを定期的に行われており、園児が安全に散歩する上で大きな手助けとなっています。また、お散歩中に、町会の方と挨拶を交わすことで挨拶のマナーを知る良い機会となっています。また、系列園や連携園との交流として、公園で一緒に遊んだり、芋掘り遠足に行ったりするなど交流を積極的に行っています。そのほか、職員が近隣神社のお祭りのお手伝いに参加するなど地域活動への参加にも取り組んでいます。園は今後地域に向けての園開放などに取り組み、地域交流をより充実させていきたいと考えています。

個人情報の管理については、年1～2回の本社による研修やコンプライアンス委員会の実施により、職員一人ひとりの意識が高めるとともに、管理方法を再確認しています。保護者には個人情報（写真を含む）の取り扱いについて、入園時に説明し同意の署名を受けており、外部への情報公開が必要な際には、同意を得る仕組みを整えています。なお、法人ではPマークを取得し個人情報について、適切な保護措置を講ずる体制を整備しています。園児の羞恥心への配慮としては、男女を分けての着替えやパーテーションによる場所の確保に取り組んでいます。

園の3つの保育方針にある「一人ひとりのお子様をサポートいたします。」に沿って、心身の健やかな成長を援助しています。集団活動の中でも園児の気付きや思いに寄り添い、一人ひとりを尊重しています。子どもの権利を尊重する関わりについては、「ゆらりん保育園マニュアル」に記載されており、園では、子どもの気持ちに寄り添い、家庭状況や生活習慣を漏洩することなく、保育展開に活かせるよう配慮しています。

虐待や育児困難家庭については、「ゆらりん保育園マニュアル」に「児童虐待について」の記載があり、早期発見、見守り方、保護者との連携の取り方を実践できるよう職員間で周知・徹底を図っています。また、職員全体会議や昼礼の中で「ゆらりん保育園マニュアル」を活用した読み合わせを適宜行い、職員の理解を深めています。虐待を受けている疑いや、受けている情報を把握した際には、マニュアルに従い適切な対応ができる仕組みを整えており、子ども家庭支援センターなどの関係機関と連携を取る体制が整備されています。

「ゆらりん保育園マニュアル」として、基本方針やゆらりんの保育、記録について、給食について、子どもの健康管理、行事、教育カリキュラムについて、安全管理と危機対策、児童虐待についてまとめ、「保育園スタッフ研修マニュアル」として保育士としての身だしなみ、あいさつ、保護者への対応、安全管理と責任、クラス便り、園便りの作り方、個人情報の取り扱いについて、緊急時の対応についてなどをまとめ、事務所に保管しています。職員は分からないことや手順に疑問が生じたときなどはすぐに確認できるようにし、業務の標準化を図っています。

提供しているサービスの基本事項や手順等の改変の時期や見直しは、法人の給食会議・看護師会議・マニュアルプロジェクトが中心となり、必要に応じてその都度確認し、追加や変更があれば差し替えています。「ゆらりん保育園マニュアル」については、現在法人で組織的にプロジェクトを構成し、改訂を進めており、アンケートなどで保護者から寄せられた意見や提案は都度検討し、反映しています。なお、清掃の手順など具体的な業務については園でフローを作成しています。