東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

本園では、園の基本理念等については、月1回実施する職員会議や、法人内で行われている理念を理解するための研修を通して確認している。また、職員全員に、子どもの目指すべき姿と、それを実現するための職員の心得を、2枚のカードにわかりやすく記載して職員に内容を説明した上で配布している。カードは常に携帯するようにしているため、職員は内容をいつでも確認できるようになっている。また、自己目標シートを通じて理解を進めている。

保護者に対する園の理念等の説明については、入園時に重要事項説明書等に基づいて説明を行うとともに、年2回実施する運営委員会や保護者会、クラス懇談会等を活用してその都度説明を行っている。また、ホームページでも非常にわかりやすい言葉で理念等の説明を行っている。なお、保護者の方とは、電子媒体により、園からの伝達事項を保護者のスマホ等で確認できるツールを有しているため、保護者へのお知らせは電子媒体を通じて周知を行っており、重要な連絡事項の確認がまだの保護者には適宜声かけしている。

本法人での意思決定は、本部や施設長会議などで行うが、内容によっては本園の職員会議の検討事項をもとに施設長会議で話をすることもある。また、施設長会議で決定したことは、職員に対しては職員会議や昼礼にて確認ができるようになっている。また、引き継ぎについては、電子媒体によるアプリや申し送りノート等を活用している。

本園では、法人本部にて5カ年の中長期計画を策定しており、その計画に基づき、本園の個別計画を園長が策定している。計画の様式は法人にて定められており、前年度の計画と、実施状況の評価、社会情勢等を考慮しながら計画策定に努めている。なお、毎年の園の計画策定にあたっては、前年度の計画の評価・総括を行った上での評価となっているため、円滑にPDCAが行えるようになっている。園の予算は本部で作成しているが、1万円以下の金額は園の裁量で備品の購入ができるなど、園の裁量が大きいのが特徴である。

利用者意向の把握については、保護者との電子媒体に移行したことや、コロナ禍ということを受けて、電子媒体を活用して、利用者の方の意向を把握している。活用例としては、コロナ禍で、園内の行事に保護者が参加することが難しくなった状況があったため、保護者の意見も参考にしながら動画配信に切り替えて保護者に提供するなど、工夫を行っている。

地域の課題については、本園をとりまく関係機関や、区の認証保育所連絡会等と連携しながら、各種会合等に参加することで分析を行っている。また、福祉全体のニーズについては法人が多数加入している全国組織の会員となっており、その組織の会合や研修に、施設長を含め参加したり、そこから得られた情報を園で共有するようになっているが、本年はコロナ禍ということもあり、参加型の研修は中止となっている。また、その他必要と法人本部が判断した情報は園と共有している。

本園では、倫理、規範の確認を行うため、年４回自己評価シートの中にある「保育士チェックリスト」に基づき、保育士などの職員が、守るべき規範、法等の確認を行っている。その結果をもとに、年2回園長と面接を行い、問題等があれば修正を図る。また、保育所運営ハンドブックを年度初めに読み合わせを行っている。また、入社時には機密保持に関する誓約書にサインするようになっている。また、本年からコンプライアンス室を設置して、何かあれば外部委託された弁護士等とも連携しながら対応ができるようになった

園以外の相談先の周知度については、利用者調査結果をみると非常に周知が進んでいるのが特徴となっている。一方、法人としては園や区以外の第三者委員として、地域の民生委員にお願いする方針で進めているが、西葛西園の周辺はお願いできる民生委員が見つからない状況となっており、園単独ではどうにもならない問題ではあるものの、法人内の他の園とは異なる状況となっている。

本園は、地域向けに遊ぼう会や、離乳食の講習等を行っている。但し、本年は離乳食の講習会はコロナ禍の影響を受けて利用者がいないなど、特殊な状況となっている。地域向けのネットワークとしては、区において園長会や、近隣地域園長会があり、それに参加して課題等を検討している。

法人ではＢＣＰ（事業継続計画）として、大地震、火災、その他台風、一般的な感染症などのカテゴリーで事業継続計画を策定している。なお、初動対応の部分は各園の業務マニュアルの１つとして記載されており、復旧に関する部分は、主に東日本大震災の教訓を参考にしながら、本部で作成している。ただし、感染症は現状では一般的な内容で、コロナ禍の教訓を踏まえたものではないため、今後さらなる充実が期待される。

個人情報及び肖像権の扱いについては、入園時に個人情報及び肖像権に関する依頼書により、保護者向け書類への名前の記載、ホームページの写真館への掲載などの項目で希望をとっている。なお、掲載内容は、園内での掲示から、法人の刊行物まで6段階に分けて、意向を確認しているため、保護者は一部のみ開示拒否の選択も可能となっている。ただ、本年からコロナ禍の影響で、法人内では園の活動を保護者のみ限定公開の動画で行うケースが多くなっているため、この形式での公開の可否についてよりわかりやすい形で示していくことが今後期待される。

災害時の対応については、入園のしおり（重要事項説明書）の中で、避難先だけでなく、災害時伝言ダイヤルや、災害用伝言板の使い方、警戒宣言発令時の対応などを想定して詳しく記載されている。また、事故関係の記録は、電子媒体の中に、ヒヤリハット、怪我報告書、事故報告書の3つに分かれており、些細なけがであっても怪我報告書に記載することで、だれでも経緯等を閲覧できるようになっている。あわせて、園のある場所の標高がほぼゼロという立地であるため、引き続き水害に対しての対策を進めていくことが期待される。

本法人で新人の研修にあたってはルーキーサポートプログラムを導入することで、新人が社会人としての規範等を身につけるだけでなく、保育者としての成長をバックアップできるようにしている。具体的には新卒向けの研修が多く行われるだけでなく、同期の職員との交流を深めることができる取組となっており、３カ月に１回程度の頻度で実施している。なお、主な活動内容は法人のホームページにて内容を公表している。研修の成果は、研修の次の日の昼礼で、概要を申し送りしている。

本園では、法人が示す方向性の周知や、園の理念の実現に向け、特に法人内研修を盛んに実施している。従来は、法人内の園の広いホールでの研修が多かったが、今年度はコロナ禍の影響を受け、Web形式での法人内研修を実施している。具体的な内容としては、保育指針の理解のため、汐見稔幸先生などの専門家の研修に加え、本年度は法人内のベテラン園長が講師となった研修を行うなど、新たな取り組みも実施している。研修の実施にあたっては、自己目標シートの内容に基づき自己研修計画を定め、社外の研修も正職員は勤務扱いとしている。

本法人では、新人採用や職員の待遇改善のため、本年度人材戦略室を設置した。その中でホームページの採用ページを一新し、主体性保育の説明だけでなく、コロナ禍という点を考慮してWeb形式での採用も行うなど、多様な形での採用活動を行っている。また、コンプライアンス規程を整備し、外部の弁護士への相談も可能なようにしたり、産業医の設置、あるいは待遇改善として給与水準の改定については、次年度からであるが退職金制度の創設などを行っている。あわせて、ストレスチェックについては、本年度から外部の専門家に委託している。

本年度は、園のホームページを大幅に更新し、提供する情報をよりわかりやすく整理を行った。その中で、本園（あるいは本法人）に預ける9つのメリットの記載などを加えたことで、園の特徴がより明確となっている。その他には、紙媒体の園のパンフレットも用意されている。パンフレットには1日の流れ等が記載されている。あわせて、区で作成している保育園ガイドにも掲載されている。

園見学については、通年は６月から行い、１月で２５組程度が見学を行うが、本年度はコロナ禍ということを受けて、申込者が少なくなっている。見学もコロナ禍の影響により短時間での実施となっているため、園内の地図をボードに貼り、質問を受ける形としている。見学者の申し込みがあると、見学予約ノートに記載し、当日は園長が園内を案内する。

入園希望をしながら欠員がない場合は状況を説明し、区内に立地する同じ法人の系列園の紹介をしている。また、系列園で空きがない場合には、法人で実施しているベビーシッターの紹介や、区の保育施設の情報を提供するなど、他のサービスの情報も必要に応じて提供している。

入園の前の面談は園長があたり、丁寧にサービス内容を説明し、保護者の意向を聞き、入園面談表に記録している。入園のしおり（重要事項説明書）により個別に丁寧に説明し、わからない点を質問してもらっている。契約時の特徴としては両親がいる場合には同席を依頼している。両親の都合の良い時間に合わせ、内容を説明し、理解・同意を得た上で、両親の署名捺印をもらっている。

慣れ保育の実施にあたっては、最初に保護者の方に家庭での生活状況や成育歴を児童票に記載してもらい、入園前に職員が子どもの様子を把握できるように努めた上で、最初は朝の９時から１０時までの１時間から始め、その次は子どもの状況にもよるが２時間程度に増やし、後は子どもなどの状況により調整する。

子どもの状態や要望等については、入園面談表に記入し、児童票や各種関係書類と一緒に、１冊のファイルに綴じて保管している。そのため、ファイルを閲覧することで、担任などがその子どもの状況を理解できるようになっている。また、退園時には、園で相談を受けることができることをつたえ、思い出帳として、園内での制作物をとじたものを渡している。例年は、退園の次の年度の夏祭りにお誘いするが、本年度はコロナ禍で見合わせている。

子どもの心身の状態は、法人共通の様式により連絡帳・健康記録表・保育日誌・個人記録・児童票等に記録している。毎朝受け入れの際、連絡帳を確認し、検温・視診を行い所定の書式に記録している。朝の受け入れの際の健康状況、伝達事項は、電子システムのソフトを活用して、職員間で共有をしている。あわせて、職員間での連絡事項は、電子媒体の伝言機能を利用して情報共有をしており、確認した人はサインをするようになっている。

園の全体的な計画を踏まえて、1年を4期に分けた計画を立案している。保育計画は週・月・期・年毎に見直し、次の計画に活かしている。また、計画の内容は、毎週の主な内容をわかりやすくしたものを玄関に掲示して、保護者が確認できるよう工夫している。また、園児一人ひとりの目標も毎月定め、保護者に印鑑をいただいている。

各クラス担任が月案、週案を計画する際には、年度計画等を参考にした上で、一人ひとりの子どもについて検討を行い、計画策定を行っている。また、子どもの状況等に変化があった場合には、適宜計画の見直しを行うことで、子どもの状態に合わせた内容に変更している。変更した計画は職員間で共有している。

子ども一人一人の発達過程や生活環境は、入園時に健康状態、生活状況を保護者に記入してもらい、育ちの確認をし児童票に記録している。園での様子は各クラスの日誌に記録するほか、全園児個別の連絡ノートで家庭と園での情報を交換している。必要な情報が取り出しやすく個別に情報がファイリングしてある。個人月案や申し送りノートの確認、各クラスの打ち合わせ、職員会議でも職員間で情報を共有し把握している。毎月「個人目標」を設定し、個々の発達や環境に応じた姿を把握している。

その日の人数や活動に応じてクラス別の保育や異年齢保育を行うなど臨機応変に対応し、子ども一人一人に応じた細やかな保育に努めている。文化の違いは、室内に貼ってある世界地図で、外国に興味が持てるようにし、絵本などのお話の中で自然と子どもたちが習慣についても学んでいる。日々の保育の中で、年齢が違う子どもたちが遊びを通して、お互いを尊重したり、思いやりの気持ちが育まれたりしている。主体的に遊べるように興味を考慮してコーナー遊びや手作り玩具、季節の素材を使用した玩具など環境を工夫している。

特別な配慮が必要な場合は、区や必要に応じて本部から臨床心理士が巡回できる体制があり、子どもの様子を見てもらい助言を受けるなど、情報を共有しながら援助している。保護者の意向や専門家の助言を取り入れて個別計画を作成し、同じ活動でもその子どもに沿ったものを準備し、無理のないように支援している。自分の思いを言葉で表すことが困難で生じたトラブルには、両者の気持ちに寄り添いお互いの気持ちを尊重し、代弁すると共に環境も見直している。年長児の就学に向けては、保育所保育児童要録を作成して小学校へ引き継いでいる。

朝の受け入れの際には、保護者から家庭での子どもの健康状態や様子を聞き、保護者からの伝言等を申し送りノートに記録すると共に、口頭でも職員間に伝達している。クラス担任が連絡ノートを受け取り目を通しながら、子どもの体調や昨夜から朝までの状態を把握している。職員は申し送りノートに書かれた内容を出勤時に確認することになっている。日中の子どもの様子は日誌や連絡帳、気になることは昼礼で共有し申し送り表に記載している。連絡帳には食事・睡眠・排せつ・機嫌や散歩希望など家庭や園での様子を記載している。

個々の生活習慣は職員会議で職員同士確認し、個別カリキュラムや週案にも取り入れ援助している。着替え・排せつ・食事マナー等も生活の中で習慣になるよう一人一人把握した上で、家庭と連携しながら支援している。着替えなど自分でできた事は、褒めすぎずできたことを褒め、年齢に応じて手洗い・歯磨き等の保健指導やスプーンや箸の持ち方などの食育指導を取り入れている。トイレットトレーニングについても、経過観察している子どもの様子などは家庭と連携を取り、担当の保育士だけでなく職員全体で同じ関わりができるように配慮されている。

降園時、園から伝える事があるときは、申し送りノートに記録し遅番保育士に漏れがないように伝えている。必ず伝えなくてはいけないことは、連絡ノートに付箋やメモを貼り付けるようにし保護者に伝え忘れがないようにしている。午睡時間は0歳児は落ち着いた睡眠が取れるように別室にし、午睡チェックは０歳児は５分、１、２歳児は１０分おきに体位や呼吸チェックをして、午睡チェック表に記載している。幼児も１０分おきに睡眠状態を確かめ安全を確認している。室内は子どもたちの顔色などが確認できるよう暗くしすぎない環境にしている。

子どもたちが主体的に遊びこめるように興味のあるもの、集中できるものを子どもたちの日々の様子を見て、ブームや担任の思いを取り入れバランス良い環境作りに取り組んでいる。活動は子どもたちがやりたい人気な遊びを取り入れるなど、子どもに合わせてコーナーも日によって組み換えができるようにしている。机上遊びではシール貼りやぬり絵、タッパーを使って作った光が出る「光の玩具」や新幹線のボタン貼りなど工夫されている。また、リズム遊びや体操、など静と動をバランス良く取り入れた活動が行われている。

子どもが様々な人と関われるように担当保育者だけでなく、他のクラスの保育者や異年齢で遊ぶ時間を大事にし、対人能力が高まるような配慮をしている。散歩の途中や公園で会う方々と挨拶をしたり、本年度はコロナ禍でできなかったが、近隣認可園と月1回の他園児交流、地域住民とハロウィン交流など社会性を学んでいる。職員は常に一人一人に声を掛け、日常の言葉のやりとりを綺麗な日本語を使うように心がけている。また、日々の絵本の読み聞かせを通して、言葉が養えるように工夫している。

様々な表現活動ができるように廃材や必要な素材を用意し、一人一人が自由に表現し発表できる機会にしている。手遊びや季節の歌を取り入れ歌ったり、鈴やカスタネット、マラカスを使ってリズム遊びをし、曲に合わせて体操をするなど身体全体で表現したりしている。また、寒天などの素材を使った感触遊びも年齢発達に合わせて行い、様々な表現活動が行えるようにしている。戸外活動では、紫陽花（あじさい）や紅葉など季節の移り変わりを感じることができる公園に出かけ、虫探しや草木に触れながら、季節の移り変わりを体感し豊かな感情を育んでいる。

年間行事は年齢によって楽しみ方を変え、子どもたちが主体的に取り組めるように、子どもたちの意見や興味を踏まえ内容を考えている。２歳児以上はみんなの前に出る機会も増えてくるので、行事を通し友だちと一緒に挑戦することを楽しみ、期待感を高めながら興味を持って自発的に取り組めるよう工夫している。行事を通して季節感を感じたり、自分をとりまく様々な物事に気づいたり、参加できることを楽しめるようにやり遂げた達成感や満足感を味わえる体験も大切にしている。

行事は、日頃の活動からの連続性に配慮した体験となるよう取り組んでいる。夏祭りは「ボーリング」や「的あて」など子どもたちが楽しめる内容にし、運動会は、０歳児は布団の山を登ったり、日頃踊っているダンスを披露したりするなど、普段の生活や遊びの中での体験を活かしている。クリスマス会は、赤と緑のドレスコードにし、雰囲気を盛り上げて子どもたちがより楽しめるように配慮している。今後は行事のあり方について、子どもたちがさらに自ら取り組めるようにしたいと考えている。

年度初めの保護者会で年間の行事について詳しく説明をしている。保護者参加の大きな行事は、土曜日に開催し保護者が参加しやすいようにしている。本年度は保護者参加の行事は感染症対策の関係で行ってはいないが、クリスマス会にはリースなどの親子制作を取り入れ園で飾るなど、当日の参加はできないが、作品で参加し保護者にも行事を楽しんでもらえるようにしている。行事後にアンケートをとり、気づいた点などの意見を集約している。本年度は動画を撮って、日々の様子や行事を配信する取り組みをしている。

保育時間の長い子どもたちが安心してくつろげるように、遊びのコーナーを見直し、子どもたちが落ちついた雰囲気で楽しく過ごせるような配慮をしている。一人で落ち着きたいときに、一人になれるような空間を作り、子どもたちには安心してくつろげる人気のスペースとなっている。お迎えが遅くなったり、他の子どもたちのお迎えの様子を見たりして不安な気持ちになった子には、１対１のスキンシップを取ったり、絵本を読んだり保育者との関わりを大事にした遊びで、気持ちに寄り沿いお迎えまでの時間を過ごす配慮をしている。

夕方の合同保育は同年齢の子同士だけでなく異年齢で関わり、年上の子の真似をしたり遊んでもらったり、年下の子にも興味を示しお世話をして関わる姿が見られる。子どもたちは、ブロックや絵本、おままごとなどの好きな玩具で、個々に遊びを楽しんでいる。疲れてきたときは別の部屋で身体を休めるような配慮をしている。遊具は子どもたちのリクエストを聴きながら変えてはいるが、今後は遊びの展開をさらに深めるために、玩具の種類を増やすなど日中とは違う遊具が増えることが期待される。

園は小規模で普段から担任以外の職員も関わることが多く、どの職員が遅番の担当になっても保護者の迎えの時間までは、子どもの心身の状況に十分配慮し、一日の疲れや保護者を待つ気持ちを受け止め、安心して楽しく遊べるようにしている。長時間保育で子どもの状況に変化があった際には、申し送りノートで把握したり、口頭で確認しあいどの職員もすべての子どもの状況を把握したうえで、子どもや保護者と関わっている。いつも急な連絡ですが優しく「おつかれさま」と言ってくれる。という利用者意見が寄せられていた。

食事の際は、年齢ごとに子どもに合った椅子やテーブルを選び、職員は食事の雰囲気を大切にし、自分のペースで食べられるように優しい言葉かけで意欲的に食べられるようにしている。また、２歳児以上のクラスでは、担任が指導食として一緒に食事をすることで、職員は子どもと美味しさを共有したり、子どもたちが食事の時間を楽しみにできるように環境を工夫している。日々の食育は食事と考え、食事に慣れる所から始め、薄味で素材の味が分かるように「出汁」を使うなど配慮している。

本年度はアレルギー児はいないが、アレルギー児がいた際には、誤食がないように個別のトレーや食器など色を変えて、誰が見ても分かるように違いが分かるような工夫がされている。提供の際には、栄養士と担任が点検・確認をしながら別テーブルで子どもに食事を提供している。また、アレルギー指示書をもとに、除去食や代替食を提供している。体調不良の子どもは保護者と相談して、牛乳や柑橘系の果物の除去を行い、可能な範囲内で配慮している。栄養士は日々喫食状況を確認して献立を立てる際に役立てている。

行事食や郷土食は献立に取り入れ食事を楽しめるようにしている。毎月の誕生会では、栄養士の手作りケーキが子どもたちの人気になっている。食に関して子どもたちが関心を高めるために、パブリカや青梗菜（ちんげんさい）など食材に触れ、野菜スタンプで遊びながら色や形、感触、匂いなど五感で感じる機会を作っている。コロナ禍で中々実践はできないが、毎年１歳児クラスからクッキングを取り入れ、２歳児からは近隣のスーパーに買い物に出かける体験を実践している。今後はクッキング内容をさらに工夫しようと考えている。

日々の保育の中でお話や紙芝居を通して危険なことを伝えることで、健康や安全についての関心が高まり、少しずつ子ども自身がけがや病気から自分を守るように、遊びの中で学べるようにしている。また、散歩の道中で道の歩き方や横断歩道の渡り方を繰り返し伝えている。公園では遊ぶ前に約束事など伝え安全に遊べるように配慮している。園ではうがいや手洗いの大切さを伝え、外から帰った後やトイレの際、食事前など手洗いの仕方を丁寧に指導している。子どもの発達に合わせ、正しい生活リズムで無理なく過ごせるように健康指導を行っている。

重要事項説明書の中で、保健・衛生として、薬の取り扱い、アレルギー児の対応、予防接種、感染症を発症したらなど対応について詳細が明示されている。健康診断や毎月の身体計測が実施され健康カードに記載されている。与薬は原則として対応してないが、医師が必要と判断した時には医師の指示書に基づき、１日１回限りとしている。医療的なケアが必要な子どもに対しては嘱託医と連携し、嘱託医から専門医に連絡が取れるようになっており、いつでも専門的なフォローを受けられる。

乳幼児突然死症候群については入園時にしっかりと説明をし、うつぶせ寝をさせないで、仰向け寝で寝せることや慣れ保育の協力を得、家庭でも仰向け寝を習慣づけるように協力してもらっている。特に４月は入園等で環境の変化が大きいため、全園児午睡だけでな一人一人の１日の生活リズムに注意しながら無理のない生活ができるように配慮している。午睡時には睡眠チェックとセーフティチェックをし、睡眠記録表に記録している。感染症発症時には感染症の詳しいお知らせを掲示し、保護者に注意喚起を行っている。

入園時の個別面談では保護者の個々の事情や意向、要望には出来る限り添えるよう個別の家庭事情等や就労状況を確認し配慮している。登降園の際に、保護者とのコミュニケーションや連絡帳などを通し勤務時間の変更や、仕事の都合でお迎えが遅くなり延長保育などがあった時は、敏速に柔軟に対応して信頼関係が深まるように努めている。利用者調査結果報告書にもいつも急な連絡ですが優しく「おつかれ様でした」と言ってくれます。との意見が寄せられている。

職員は子どもの様子を日々の連絡帳や職員間の申し送りノートで漏れのないように把握し、子どもの一日の様子は連絡帳で詳しく保護者に伝えている。例年保護者会は年2～3回開催し、会の中でワークショップも行い保護者同士の交流を図っている。保育参加の後に個人面談を実施してきたが、お迎え時などでも相談を受ける事ができるように、職員と保護者の間で話しやすい関係を築いている。本年度は感染症対策のため保育参加や保護者会は現在行っていないが、保育園での子どもの様子を動画に撮り、アプリでリアルタイムで知らせる取り組みをしている。

保護者参加の行事後にはアンケートをとり、保護者から寄せられた意見・要望と共に職員ミーティングでも共有し、行事の反省を行っている。保育参観では、保育園での子どもの遊びや食事状態を知ってもらい、子どもの育ちに関する共通認識を得られるように取り組んでいる。園だよりやクラスだより、給食だより等を発行し、保育の取組や子どもの活動の様子を保護者に伝えている。アンケートをアプリに変えたことにより、回収率が上がり集計がしやすくなり、職員も保護者の意見を楽しみにし、今後の行事により活かしやすくなった。

日々の散歩で子どもたちが近隣の人々と笑顔で挨拶や言葉を交わすほか、本年度は感染予防のため交流を控えてはいるが、公園で他園の園児や親子連れの方に声をかけて一緒に遊んだり、ハロウィンパレードでは、交番や美容室などを巡り「トリックオアトリート」のふれあいを楽しんだりして交流を図っている。近隣の認可園の５歳児と園の5歳児が交流保育を行い、公園で集団遊びや関わりの経験ができるようにしているが、本年度は5歳児がいないため行ってはいない。今後、年長児がいない時にも近隣園との連携を図る取り組みをしたいと考えている。

毎年11月に中学生の職場体験を受け入れ、保育園で開催する「あそぼう会」は、園での遊びや乳児向けの手作り玩具の紹介などを行っているが、さらに本年度は「離乳食」についても企画したが、感染予防のため出来なかった。今後は、中学生だけでなく学生ボランティアにも参加してもらえる様な取り組みをしたいと考えている。夏祭りや運動会など行事の際には、卒園生も会いに来て在園児とふれあう機会を設けている。保育園見学では、離乳食試食会や手作り玩具など園の様子を伝えてはいるが、今後さらに園の様子を知ってもらう取り組みを検討している。

個人情報や写真撮影の取扱いについては入園時の説明会で重要事項説明書に基づき、いくつかの段階に分けて、保護者の方はどこまで公開して良いかを選べるような書式にて同意書にサインをいただいている。トイレ、シャワー室、おむつ交換台は、プライバシーが十分確保された空間に配置されており、利用にあたってはドアを閉めるなど配慮している。衣服の着脱の際には全裸にならないように着替えるように指導している。

虐待防止や育児困難な家庭への支援には、研修や勉強会に参加し理解を深めている。研修は常勤、非常勤を問わず、全職種の職員を対象とし、研修後は資料を回覧し、知り得た情報を職員会議等で全職員に周知し、共有している。法人の保育マニュアルの中に虐待防止マニュアルが整備されており、期毎に確認をしている。虐待を疑われる場合には、「虐待早期発見チェックリスト」に記入し、防止する体制ができている。また、個々の職員については、「保育士チェックリスト」に基づき、年4回確認を行い、園長と年2回の面談を行うなどしている。

法人の本部が定める各種のマニュアルが事務室に整備されている。保育マニュアルには健康管理及び衛生管理、安全管理、虐待防止、苦情処理マニュアルを含み、ボランティア受け入れマニュアルも整えられている。各種マニュアルはわからないことがあった時、直ぐに活用できるよう1つのファイルにまとめられている。

毎月の職員会議は施設長会議の後に開催し、会議での決定事項や経過をしっかり伝え、全職員が共通の理解をし、マニュアル等も周知、徹底し保育に反映している。マニュアル等は期毎に職員と見直し検討後、施設長会議で検討し、決定している。保護者等からの提案等は運営委員会や保護者アンケート、個人面談等、電子媒体による意見提出等により意見・要望を聞き、職員は日々の生活で気づいた時に、進言したり、職員会議で意見を挙げている。

マニュアルのうち、嘔吐処理マニュアルのように、実践での体験もしないとむずかしい事項については、コロナ禍の前までは実践的なシミュレーションを行ってきたが、今年はコロナ禍ということで、法人内の認可園の看護師が動画を作成し、法人本部を経由して、各園にその動画を配信し、それを職員が閲覧するという形に変更するなど、コロナ禍の影響を受けて手法の改善を行っている。