東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人が目指していることや大切にしていることは、冊子「ビーフェアの保育」やハンドブックに記載し、新入社員研修でも活用、必要に応じて読み合わせする他、年２回の自己評価で理念の理解度を確認している。また、今年４月開園時は、施設長から職員に対して、子どもや保護者、職員の笑顔が絶えない園を目指し、全員で作りあげていくことを伝え、日常的にも、分からないことがあれば、「ビーフェアの保育」を確認するように伝え、保育観の共通認識を図っている。保護者に対しては、ホームページや入園のしおりに記載し、入園前に個別に伝えている。

当法人では、ブロック長やグループ長が様々なプロジェクトに従事して法人全体を運営しながら担当園を巡回し、新任の施設長を補佐することで経営層としての役割と責任を果たしている。施設長も、新型コロナウイルス（以下、コロナ）の影響により保護者の働き方が変化する中で、状況に合わせた保育を再構築する必要があることを職員に伝えながら、日々の保育においても、保育日誌に付箋で「良いところに目を向けましたね」「必ず報告してください」等、職員を励ましたり、問いかけたり、注意を促すこともあり、経営層として園をリードしている。

重要案件は法人保育事業部の部経営会議や施設長会議等にて決定し、内容は毎月の職員会議や毎日の昼礼、共有ノート、ボード等にて周知している。今年度は特に、コロナの影響により、職員に対しては緊急事態宣言下における勤務体制や給与の取り扱い、陽性者等が出た場合の対応方法や出勤可否判断等についての様々な通達を周知している。保護者に対しては、コロナ対応や本社移転等についてホームページに掲載、園では４月に年間行事予定表を配布した他、保護者会はコロナの影響で中止とし、重要事項を園内掲示や文書配布、口頭にて伝えている。

園を取り巻く環境について、保護者の意向は法人が実施する年１回のＷＥＢアンケート調査や第三者評価の無記名アンケート調査で把握し、今後は保護者参加の行事後アンケートや保護者代表が参加する運営委員会も実施予定である。職員に対しては従業員満足度調査にて、法人の運営や社内制度等に対する意向を把握し、課題を抽出している。地域の現状は、私立園長会への参加や区の子ども家庭支援課等との連携を通して把握している他、法人として全国に多くの認可・認証及び小規模保育園を運営していることから様々な福祉業界の情報を把握している。

法人では中長期の課題を踏まえた３カ年の中期経営計画を作成し、その内容を年及び月単位に落とし込み、具体的施策を明示のうえ、毎月検証して重点項目シートとして活用している。また、法人全体の会議・研修の年間計画を作成している。園では指導・行事・保健・食育・防災計画の他、知育やイングリッシュタイムについても年間計画を作成、今年度は開園初年度であるため、年度末の総括後に来年度に向けて計画を修正し、園としての独自性を出していきたいと考えている。園の現状や課題を踏まえた独自の計画作成に期待したい。

計画の着実な実行のために、ブログ更新や備品管理等の役割分担を決定、行事は担当者と準備開始時期をあらかじめ決定している他、毎月の職員会議にて前月の反省と翌月に向けた打ち合わせを実施している。特に初年度であるため、９月からは職員を増員し、乳児・幼児クラスにフリーを配置する等、状況に合わせて体制を変更した他、コロナの影響を踏まえて保護者会は中止、行事はクラス毎に開催、個人面談は希望者のみで電話でも可能にする等、必要に応じて見直ししている。収支を含めた園全体の運営の進捗状況は施設長会議にて確認している。

社会人として守るべき法・規範・倫理については、「ビーフェアの保育」に保育士としての心構えや専門職としての姿勢等を記載のうえ、不適切保育の防止を目的に子どもに対する言動を職員一人ひとりが自己評価している。また、会議でも「大人主体になっていないか」「否定語ではなく肯定語で」等、日々の保育で大切なことを伝えている。さらに、今年度は緊急事態宣言下の自粛期間中に、保育所保育指針の改定ポイントや保育士の責務、保育の専門性の他、不適切な保育の具体的事例等についてレポート課題を出すことで理解を深めている。

苦情相談先は、重要事項説明書に第三者委員の氏名と連絡先を記載して入園時に説明している。保護者の意向を把握する機会としては、連絡帳や登降園時の会話、個人面談があり、今年度は第三者評価の無記名アンケート調査を実施、今後は保護者会や運営委員会、保護者参加行事終了後のアンケートも実施予定である。今回の無記名アンケート調査で寄せられた要望に対しては、職員会議で協議し、園だより等を通して保護者にフィードバックしていく予定である。保護者からは既に高い満足度を得ているが、さらなる信頼関係構築に向けた取り組みに期待したい。

園の透明性を高める取り組みとして、第三者委員や保護者代表を含めて運営委員会を設立している。実習生等はコロナの影響で受け入れ実績はないものの、施設長が担当者となって受け入れ体制を整えている。地域貢献については、開園初年度でコロナの影響もあるため、課題となっているが、子育て相談や提携している小規模保育園からの見学受け入れを実施しており、今後は商店街や他園、小学校との交流の他、絵本の読み聞かせ等を実施したいと考えている。ブログや地域の掲示板等を活用した積極的な情報発信を通して地域貢献に繋げていくことを期待したい。

事故防止への取り組みについて、散歩の際は区指定の記録簿にて出発時や帰園時の人数確認等を実施し、散歩マップを園内に掲示、行政から地域の危険場所等について情報収集している。また、学校110番を設置のうえ、区の防犯課担当者からアドバイスをもらい、不審者侵入対策訓練も実施予定である。災害対策としては、避難訓練計画に基づいて毎月訓練し、引取訓練や一斉メール配信テスト、応急給食も実施している。今後はより詳細な防災マップも準備予定であり、大規模災害を想定した事業継続計画の作成や地域と連携した防災訓練にも期待したい。

コロナ対策としては、法人本部で対策本部を立ち上げ、陽性者や濃厚接触者が出た場合の園及び本社の対応方法及び緊急事態宣言下の勤務体制等について協議し、職員に伝えている。また、職員は出勤前に各自検温のうえ出勤及び退社時に健康チェックリストに体温を記載、保護者にも検温実施と玄関での送迎に協力を依頼している。さらに、保健所等の関係機関とも連携、職員体制も随時見直し、マスクや消毒液等の必要備品については園独自で必要数を確保するだけでなく、法人としても備え、補充できるようにしており、必要なリスク対策を講じている。

情報管理について、書類は会議録、児童票等、種類別に適切にファイル管理している。また、就業規則や各種マニュアル、帳票類は法人内でネットワーク管理し、事故事例も集計して活用、連絡帳や出欠席管理もデジタル化し、本部がバックアップ及びセキュリティー対策を講じ、園でもアクセス権限を設定している。個人情報については、ホームページに個人情報保護方針を明示、保護者による園内撮影は不可とし、写真購入はインターネットを活用して外部へ委託、ブログ等への写真掲載については入園のしおりに記載のうえ入園時に説明、了解を得ている。

採用についてはホームページで求める人材像を示し、会社説明会情報も随時更新、直接エントリーも可能で、スタッフブログやＳＮＳも活用、面接は施設長やグループ長、ブロック長が実施して園が求める人材確保に取り組んでいる。人員配置については、持ち上がりにこだわらずに、職員の希望や適性・経験等を見極めて決定し、常駐するイングリッシュタイム担当のネイティブスタッフも保育に入っている。また、９月からは副主任、乳児・全体フリー、クラスリーダーを配置して再編成しており、開園後約半年経過し、体制を整えている。

キャリアパスについては都のキャリアアップ研修を活用しており、当園での今年度の受講実績はないが、今後受講を勧めていく予定である。職員育成については、コロナ禍で外部研修受講が難しい中、まず施設長会議にて施設長が研修を受講し、園内にて職員に内容をフィードバックして共有化したり、日常の保育の中での対応事例に基づいて会議で協議し、職員の質の向上に繋げている。また、ブロック長等が園を訪問して少人数制で内部研修を実施したり、職員一人ひとりが自己分析するアサーションチェックも実施してコミュニケーション向上に活かしている。

職員の意欲向上に向けて、地域・資格取得手当、産休・育休制度等の福利厚生制度がある他、自治体の家賃補助等も活用し、借上期間の延長も区に申請、懇親会費用の補助や社員旅行もある。また、毎年従業員満足度調査を実施して職場環境や社内制度等への職員の評価を確認、目標管理シートでもやりたい仕事や自分の３年後・５年後・10年後の希望を確認、優れた取り組みに対しては法人が年１回表彰式で発表している。コロナ禍で職員に様々な負担がかかる中で、休憩時間は確実に確保し、国・都・区のコロナ関連の助成金も活用している。

開園説明会で京進の長年の知見・経験・ノウハウを集約したオリジナルプログラムの「English　time」と「知育タイム」を紹介し空間認識、言語、数的思考の能力を取得する「臨界期」の考え方を、４歳・５歳児を対象としたプログラミング教育の考え方を説明）している。情報は、法人ホームページとリンクした園ホームページやブログ、入園のしおりを整備、園の概要、区が申込窓口であること、アクセスマップやブログで園の様子（ネイティブスタッフによるEnglish　time、知育タイム、自園調理、遊びや製作）を紹介している。

区の子育てサイトおよび区の保育園の利用調整に提供の他、小規模提携園（社外）からの利用希望の保護者には、４歳・５歳児の定員に対して少ない受入の実態に対して真摯に情報提供、他園との交流やお買い物体験、クッキング体験などを模索している。施設長は区の園長会や子育て支援アドバイザー研修に出席、区へは園長会としての依頼や受講の研修内容は職員に伝えている。多様な保育サービス面において育児困難家庭への支援、支援を必要とする子どものケース事例があり、区の巡回、子ども家庭センターなどと連携、受け皿としての役割強化をしている。

法人本部では、ホームページの内容や空き情報の更新を迅速に実施している。コロナ禍で見学可否の判断が都度都度となり、見学に代わる対応として動画作成、視聴を頂ける対応をしている。開園説明会の保護者アンケートでは「勉強勉強のイメージがあったが動画で子どもたちが楽しそうに参加している姿をみて、子どもにとって必要な活動だとわかった」等の声が寄せられている。新設保育園では、開設準備を担当するブロック長が保護者対応や職員対応にも施設長と協働しており、園運営が軌道にのるまでをフォロー巡回、質の向上を図っている。

内定の保護者と面談日程を個別に調整、重要事項説明書にそって時間をかけて丁寧に説明している。契約書類一式や入園のしおり、記録の必要な連絡票、家庭票、児童票、入園までの生活状況、個人情報に関する書類、緊急連絡カード、入所時健康診断書および同意書を読み合わせ後、持ち帰って頂いている。面接後の不明点、疑問点、食物アレルギーや医療ケアの必要な場合についても丁寧に対応尾している。保護者の意向、子育て観は所定の用紙に記録し担任と共有、児童票にファイルしている。忙しい保護者に配慮し年間行事計画をお渡ししている。

開園式の実施をし、慣れ保育は子どもの年齢や保護者の就業状況に配慮、４歳児は保護者の希望次第としている。原則として小規模提携園からの子どもであっても、園の環境や職員との関係ははじめてであり子どもの気持ちの部分を大切に、２～３日は様子を観察することとしている。受入日前に保育および給食の各職員全員で月案を周知、担当者の固定や泣きじゃくっておんぶや抱っこなどでもダメ、水分はとれても食事がとれないなどでは半日から一日お預かりからスタートや保護者と相談、自宅で親子でゆっくりした時間をとって頂くなど子どもを優先している。

５歳児の受け入れがなく来年度で区の幼保小連携への取り組みを予定している。法人は知育による成長の成果の可視化を手法として確立しており、１～２歳児には２月に成長を祝う会を、３歳以上の子どもには３月に成果発表会を予定している。施設長は、卒園の折には自己肯定感（精神的な成長、安心・安定感、できる、できないを含め）を到達点に卒園してほしいとしている。支援を必要としている子どもなど気がかりについては、区の巡回員への相談、関係機関との連携をし保護者の不安、心配の軽減、意向に合わせた取り組みをしている。

入園時のアセスメントには、入園時までに提出を頂いた入園までの生活状況、家庭票、児童票、健康カード、母子手帳コピーなどや個別面談などからアセスメントを実施、発達チェック表（子どもの発達と保育者の援助者の確認項目）に基づき課題を明らかにし月案および乳児には個別月案を作成している。子どもの発達の姿、過程を日々の保育で理解し確認しながら、どのような遊びや生活自立の促しが必要かなどを確認、次への方向性を見出す取り組みをしている。独自の知育指標（こくご、巧緻性、さんすう、せいかつ）で保育の見える化を図っている。

保育所保育指針にもとづき、グループ全体で方向を合わせ園で作成、全職員に周知している。全体的な計画、食育計画、保健計画、年間指導計画（クラス単位）、個別月案（クラス単位、１から2歳児は個別）に落とし込み、週案（クラス目標）を作成している。月案、週案は施設長からもさまざまなコメントが貼付されている。個別月案（特別な配慮を含む）は担当、副主任、施設長による協議をし子どもの状況に応じた見直しを行い担任以外の職員への共有も行っている。保護者にはおたよりや写真も付記できるアプリ連絡帳や送迎時に伝えている。

児童票、月案（個別月案）、連絡帳、会議録や各種日誌があり、園では、クラスは勿論であるが全職員で子どもたちをみていくという意識をもち保育にあたっている。昼礼の内容や申し送りノート、アプリ連絡帳からの連絡事項は職員が業務の出勤時と退勤時に確認、その日にあったことはその日のうちに情報共有している。保護者アンケートの保護者の意向には職員で確認し対応できるものは実施している。職員への接遇の他、新卒や経験の浅い職員が多く記録の仕方や子どもの表情、しぐさ、くせ、性格などの状況の確認のあり方の指導をしている。

入園前の子どもの状況は、保護者との面談や入園書類（入園までの生活状況・健康診断・予防接種・熱性けいれん・アレルギー疾患・保護者の就労・家族構成・保護者の意向）等の記載内容で把握し、入園後は日々の受け渡しや個別面談において家庭での様子を伺い、保育活動に反映している。園では、子どもは無限の可能性を持ち、環境と関わりにより伸びてゆくものだと捉え、一人ひとりの今とこれからを丁寧に見つめ、家庭との連携を深めながら、健全な心身の発達が行われるよう保育を展開している。

園では、子どもが自分で選択し、決定することが出来るよう、月齢・時間・遊びの内容を考慮している。プログラムも知育タイム・プログラミング・English　time・リトミックなど多彩で、子どもが自発的に取り組めるよう各指導計画と知育「やることシート」などによって、めやすと評価反省を明記し、体系立てて保育を展開している。また、子どもが自ら動き集中して遊び込めるコーナーを設けるなど、環境の工夫も図られている。その様子は、連絡帳・日々の受け渡し・玄関掲示のToday's report等にて、保護者に伝えられている。

園の目標に「やさしく思いやりのある子ども」が掲げられ、年齢や文化・習慣等の違いを認め、お互いを尊重する心が育つよう心掛け保育している。その為には、職員が子どもを正しく理解し、一人ひとりを尊重している姿勢を持ち、その姿を見せることが大切だと園では考えている。保護者からも、「子どもを尊重してくれるので、有難い」との声も聞かれている。また、発達の過程で生じるトラブルも、まずは事象に至る子どもの思いを大切にしながら、対応している。尚、４歳児が進級する来年度には、小学校との連携の機会を設けたいと考えている。

登園の際の受け入れは個別に行い、必ず保護者に声かけを行っている。家庭での子どもの様子を受け入れの際の保護者とのやり取りや連絡帳で確認し日中の保育活動に反映している。特記事項が有れば、申し送り・共有ノート・ボード・昼会議・クラスノートを用い、職員間で周知している。特別な配慮が必要な子どもや家庭については、子どものみならず保護者を含めた支援が必要と考え、丁寧で細やかな対応が出来るよう心掛けている。降園時は、担任がその日の子どもの状況を直接伝え、担任が会えない場合は、遅番職員が引継ぎを行い対応している。

基本的な生活習慣の獲得は、個別月案を作成し、家庭と連携を図りながら、子どもの発達状況に応じて対応している。園では、生活習慣は日々の繰り返しで身につくものであり、子どもの変わらない生活を保障出来るよう丁寧な関わりが大切と考え、その対応を保護者にも伝えながら、家庭とともに子どもの育ちを支えている。中でも、排泄の自立は個人差が大きい為、家庭との連携を密にし、自立の喜びを保護者・子どもとともに共有している。また、子どもが意欲的に取り組めるよう持ち物の場所に果物や動物のマークを付ける等の工夫もなされている。

午睡を含む休養の長さや時間帯は、家庭での子どもの生活状況や体調、年齢、保護者の要望を確認の上、調整している。午睡環境は、落ち着けるよう手作りのパーテーションで活動箇所と分け、コット（昼寝用ベッド）を用い、掛け物やタオルは週1回業者に洗濯・消毒を依頼し、清潔を保持している。睡眠中は、常に職員が寄り添い、安全面での配慮を怠らず、早く目が覚めた子どもはコットで待つことはなく、着替えて絵本を読むなどの個々の配慮もある。園では、午睡は心身の発達に重要なものと捉え、子ども一人ひとりの状況に応じて対応している。

園では、まず子どもを100％受け入れることで愛着行動が生まれ、子どもとの信頼関係が確立でき、そのことを基盤に子どもは集団活動の中で主体的に自己を表現できると考え、受容することを大切に保育実践している。子どもは、安心感とともに、主体的に行動できるようになり、職員は個別月案を作成し、個々の興味や関心を把握し、職員が広げたいこと等を考慮した玩具の提供を行っている。環境の工夫として、コーナー遊び（ままごと・制作・ブロック・パズル・積み木等）を用意し、子どもが好きなものを選び、遊び込める空間の配慮がある。

子どもの言葉に対する感覚を養う為には、職員が正しく美しい言葉を使い、丁寧に話しかける事やリズム感・音量にも配慮するよう心掛けている。保育マニュアルには、NGワード、廊下には「正しい言葉使いキャンペーン」のポスターが掲示され、言葉を大切にしている事が伺われる。また、絵本や物語に親しむ機会も多く、園長の絵本の読み聞かせを子どもたちは楽しみにしており、興味を持った絵本は貸し出しもしている。その他、知育タイム・プログラミング・English Time等、様々な機会を設け、表現の幅が広がるよう工夫されている。

天候や気温に配慮しながら、散歩などの戸外活動を出来るだけ取り入れ、自然との触れ合いを大切にしている。意欲的に自然と親しめるよう知育タイムに歳時記カードを使って季節の花・魚・果物を紹介し、散歩に行った際に子どもたちは「あ、彼岸花が咲いている」「これは、おみなえしかな？」と職員と会話し、楽しく秋探しをする風景も見られた。また、雨の日は、２階の広い教室で、電車ごっこ・リズムあそび・体操あそび（跳び箱・平均台等）を行い、思いっきり体を動かす事を楽しみ、遊びの中で決まりやルールも学んでいる。

園では、行事の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち自ら進んで取り組めるよう、職員が行事の意味や内容について正しく理解し、子どもに伝えたい事を明確にしてから準備に入っている。和の季節の行事については、絵本や語り掛けで意味や目的（例：神社や七五三等）を伝えている。準備は各年齢で子どもと共に行い、行事製作の場面では、職員主体ではなく、子ども主体の目線で考えるよう心掛けている。年間行事は、端午の節句・時の記念日・七夕・夏祭り・お月見・ハローウイン・クリスマス会・節分・ひな祭り・成長を祝う会・成果発表会がある。

手作りの行事は、子どもたちが皆で協力し作り上げ、完成した喜びを共に味わい、共に楽しめるものとなっている。夏祭りは保護者参加の行事となる予定だったが、感染症予防対策の為、保護者参加が望めず、各クラス出し物を考え、保育の一環として、子どもたちの製作した手作りの作品で行事を楽しめるよう工夫を凝らして実施された。1歳児は「魚釣り」半紙に色付け綺麗な鱗を作り上げ、２歳児は「スクラッチアウト」子どもたちの手形が付いた看板を掛け、３・４歳児は「ボーリング」ピンを手作り、皆で作り・共に楽しむ笑顔の行事が展開されている。

現在、感染症予防の為、保護者参加の行事は開催されていないが、子どもたちの生活に変化と潤いを持たせる行事への取り組みを丁寧に伝え、家庭から側面的に支援していただいている。園では、年度初めに、年間行事計画を保護者に配布し、降園時の日々の受け渡しの際や連絡帳、おたより、ブログ等を通して、子どもたちの取り組みの様子を伝え、理解を得るよう努めている。保護者アンケートからは、「制作や行事担当の先生の工夫や配慮を感じ、大変ありがたいです」との意見も聞かれ、行事の取り組みが充実したものとなっている事が伺われる。

園では、保育時間の長い子どもは保護者との時間が少ない子どもでもあり、家庭的な雰囲気で安心して過ごせるよう配慮している。長時間にわたる保育の計画を立て、昼会議で日中の子どもの様子を報告し、保育士が変わっても変わらない対応が出来るよう不安の軽減に努めている。日中の疲れが出たら、くつろげるよう空間も用意し、保護者を待つ間、淋しくならないよう子どもの気持ちを受け止め、スキンシップを取りながら、保育している。現在は、利用が無いが、19時から希望により夕食の提供の仕組みもある。

保育時間が長くなり、昼中とは保育形態も変化する中で、子どもが飽きずに保護者を待つ時間も、楽しく過ごせるよう遊びや環境の工夫を図っている。普段は、手にする事のできにくい土曜日保育用の玩具や、手作りおもちゃ、わらべうた、職員とのマンツーマンのふれあい遊び等、それぞれの子どもの発達過程や興味・関心に応じ、対応している。その様子は、降園時に保護者に伝えられ、子どもが充実して保育園生活を送る事が出来るのは、保護者の支えともなり、園への信頼感にも繋がっている。

食事環境については、清潔な部屋で高さが調節できるテーブルと温かみのある陶器の食器を使用し、感染予防のため対面を避け座っている。1歳児は、一緒にスプーンを持つ練習をしたり、食べる楽しみや喜びを感じる事が出来るよう職員が声掛けをしている。２歳児は、自分でやりたいという気持ちを受け止めながら、食事のマナーやルールを少しづつ身につけている。３・４歳児は、テーブルの上のセッティング等の準備から始めている。園では、「食事を楽しく笑顔で食べる」を目標に子どもの主体的な気持ちを大切にしながら食事を提供している。

献立の工夫は、和食を中心に旬の野菜を取り入れ、食材本来の味を大切にしながら薄味で調理している。２週間を１サイクルとして２か月繰り返すことで、子どもたちがその食材や献立に慣れ親しみ、楽しく食べる事をねらいとしている。また、苦手なものがある子には、無理なく食べられるように声を掛け、食べることが出来たら、沢山褒めて自信につながるよう支援している。尚、宗教により、食べられない食材がある子どもにも、園では対応した食事の提供が行われている。保護者アンケートからは、「食事がとても美味しい」との意見が寄せらている。

園では、「三色ボード」（黄：エネルギーのもとになる食品、赤：体を作るもとなる食品、緑：体の調子を整える食品）を玄関と各教室に掲示し、食への関心が深まるよう工夫している。食育については計画を立て、夏野菜（ピーマン・トマト）の栽培・収穫を行い、子どもたちは収穫した野菜を手に触れ匂いを嗅ぎ、野菜への興味を広げている。ピーマンの苦手な子が、保護者の迎え時、収穫した野菜を手に取り「三食ボード」を指差し、「緑の食べ物だよ」と会話し、少しずつピーマンが食べられるようになったとのエピソードもある。園の取り組みを評価したい。

園の目標は、「心も体も健康な子ども」であり、職員は、子どもの個々の育ちを見守りながら、保健計画及びマニュアルをもとに、常に子ども一人ひとりの健康状態を把握し、心身共に健康な状態で生活できるよう健康管理を行っている。年２回の嘱託医による定期健診、毎月の身体測定、感染症の予防及び拡大防止を含めた衛生管理を実施し、保護者には、園便りや掲示にて、子どもの健康に関する情報を伝えている。職員は、家庭での子どもの状況も把握し、保護者と連携を図りながら、子どもの健康維持に取り組んでいる。

子どもへの安全教育は、具体的に繰り返し伝え、感染症予防の基本の手洗いは、正しい洗い方を洗面所に表示しペーパータオルを使用し、毎月の避難訓練では、子ども自らが身を守る方法を、散歩の際には、交通ルールを学んでいる。園では、子ども自身が、病気やけがを予防・防止できるよう子どもに働きかけている。子どもが関心を持てるよう虫歯予防デーや身体検査などの機会をとらえて、絵本などを用い子どもたちに分かりやすく健康について伝え、歯科検診の前には、子どもが不安にならないようバイキンマンの製作をする等の工夫も図られている。

与薬は、原則として行わないが、必要な場合は投薬依頼書の提出とともに、薬を職員に直接手渡しし実施される。現在は在席が無いが、食物アレルギーを持つ子どもについては、保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表を医師に記入してもらい、保護者と面談の上、対応する仕組みがある。また、万一保育中にケガをした場合等は、保護者に連絡の上、受診同行も行っている。また、午睡中における乳幼児突然死症候群の予防は、１・２歳は５分毎、３歳以上は10分毎に、呼吸・顔色・体位等を午睡チェック表に記録署名し、安全を確保している。

園の多様な保育サービスは、延長保育・障害児保育事業・育児困難家庭への支援・外国人児童受け入れ・住宅子育て支援（育児相談）があり、保護者の子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている。尚、特別に配慮が必要な子どもや家庭の場合は、保護者に対してその意向を受け止め、子どもと保護者の安定した関係への配慮とともに、丁寧で細やかな支援を心掛けている。また、保護者の急な残業が発生した場合等は、電話にて受け対応し、慣れ保育については、保護者と相談の上、子どもの状況を踏まえ、期間を調整している。

新型コロナ感染症予防対策の為、今年は保護者参加の行事が開催されず、職員と保護者との交流が限られている。そのため、園では日々の交流を大切にし、会話を通して子どもの様子を伝え、また保護者のそれぞれの思いを受け止められるよう心掛けている。特に、降園時には、担任が出来る限り対応する時間を設け、信頼関係の構築に努めている。また、何か相談や希望が有れば、すぐに対応できるようにしている。尚、園や保育に対しての意見や要望については、年に一度webでの保護者アンケートも実施されている。

保護者アンケートより、「先生方が皆さん優しく子どもも大好きなようです」「子どもたちのことを一番に考え、対応して頂き有難うございます」等の意見があがっており、保護者の園の保育に対する信頼が伺えるが、園では、保護者が子どもを安心して預けることが出来るよう、子どもの発達の様子を日々のやり取りや連絡帳にて細やかに伝えている。また、個別面談にて、発達に関わる相談や助言も行われている。尚、保護者と共に子どもの成長を喜ぶ機会として、３月に３・４・５歳児の成果発表会、２月には1・2歳児の成長を祝う会が、予定されている。

新型コロナ感染症流行の為、地域の様々な社会資源を利用する機会が制限されている。その中でも、園では密にならない公園を利用し、子どもの生活の幅が少しでも広がるよう工夫している。公園では、思いっきり体を動かし、自然と触れ合い、散歩の途中の町の風景、出会う地域の人々等、限られた機会を活用している。また、園の廊下には、「あいさつできますか？」のポスターが掲示され、公園の行き返りで出会う地域の人との挨拶を大切にしている。今後は、商店街の協力を得て買い物体験・入学前の児童の小学校との連携の機会等を設けたいと考えている。

園の入口の門扉には、「子ども110番」のステッカーが貼られ、地域の子どもが困った時にいつでも駆け込める場所になっている。また、園長は子育てアドバイザーの研修も受講しており、地域の子育て支援として、電話での育児相談を開始している。今後は、地域との連携を深め、防犯課の警察官の来訪、見守りや恊力体制、消防署の来訪依頼、防災マップの見直し等を検討している。さらに、災害時の地域連携も視野に入れている。開設1年目で、日も浅いが、園が地域に根づいて、地域の一員としてさらに活躍する事を期待したい。

定められた個人情報保護方針を全職員に徹底し確実な実行に努めている。保護者からは重要事項説明書に記載の同意書を頂いている。園内撮影禁止の依頼や入園のしおりの「写真展示販売サービスのご案内」で園での写真の取り扱いについての誓約書の提出の依頼、「ホームページ等への写真・動画掲載に関するお願い」においても同意の確認をしている。日々の保育の子どものプライバシー保護、羞恥心への配慮にも努め、ビーフェアの基本マニュアルにそって上衣、下衣を別々に、昼寝後のおむつ替えや幼児の扉付きトイレなど設備面でも対応をしている。

保護者の保育観による子どもの価値観・生活習慣に配慮した対応に取り組み、園における基本的な生活習慣（食事、排せつ、睡眠、衣服の着脱、清潔、お手伝い）の確立などのしつけの内容や状況を保護者と連携を密にしている。現状では、こだわりや外国籍の子どもについて、必要に応じて食材や味付けの配慮の他、食事量、好き嫌い、体調などでも無理強いをしないようにしている。一人ひとりに丁寧に関わり見守りが必要な子どもなどに対して、言葉の先取りや受容しすぎ等がなく、気持ちを汲み取った保育ができるよう対応している。

園では、支援を必要とする子ども、保育を必要とする保護者の受け皿として役割強化をしてきている。対象ケースをもち、区の巡回、子ども家庭センター、保健所、児童相談所と連携を図って、保護者に寄り添って手を差し伸べる対応を心掛けている。施設長は、区の子育て支援アドバイザー研修（課題：虐待）を受講、職員会議で伝えている。また、独自にアサーションチェック（自己分析）なども実施している。開設準備を担当するブロック長とともに開設時には、区で求められる保育園の在り方、法人の理念実現に職員個々の保育観の聞き取りを行っている。

ノウハウをまとめた保育基本マニュアルが整備され、抱っこや着替えなどには写真による手順、ダメな例・良い例を載せている。法人は保育グループとしての標準化にむけて、さらに、グループ長やブロック長で構成する知育や研修、マニュアル管理などのプロジェクトを立ち上げている。グループとして取り組む安全については、水遊びプールマニュアルの整備、従来の危機管理マニュアルに加えてコロナ対策本部からの通達の徹底、クレーム対応、虐待防止、グループ全体のヒヤリハットや事故記録の取り纏めなどで、自園以外に視野を広げてみることができる。

プロジェクト要員であるグループ長、ブロック長は、自園の運営の他、統括する園への巡回やマニュアルの活用を含め相談、報告、連絡を受けている。プロジェクト会議では、共通・優先する課題に対して各プロジェクトとのすり合わせをし研修との連動、施設長会議とも連動する仕組みがあり水準の維持をしている。施設長は社内研修に参加し職員への伝達や月１回のクラス毎に絵本読みでクラスの状況を把握している。また、区の保育ハンドブックや区からの情報の整備、お散歩記録簿・チェック表」など区の書式や危険個所、不審者対応もファイルしている。

保護者からは送迎時や連絡帳、アンケートや個人面談で、日々子どもや保護者に接している職員の意見は、職員会議、アンケ―トや個別面談などの機会がある。今回、職員から「シフトがよくわからない」の声が届きシフト内業務マニュアルの確認にとりかかっている。また、役割分担の決定や行事での園としての統一テーマの決定とクラス別開催、９月に２名の新人職員の配置により、乳児および幼児クラスにおいてフリー職員をだすことができた。合同保育時間や延長保育時間での見守りや連絡帳記載内容や言葉の統一を志向している。