東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

当園を含む系列７園を運営する法人蓮花苑では、苑運営の基本システムの統一化に向け積極的に取り組んでおり、特に法人の掲げる基本理念「報恩感謝」の全職員への理解と浸透を図るため、「理念コンセプトブック」を配布してその定着を促しています。園においては、日常的に理念や保育方針を説明して理念に沿った保育サービスの提供に努めています。また、年に一度の法人全体研修において、理事長からの訓話を得て職員全体で再認識をしています。（今年度は新型コロナウィルスの感染防止のため実施できませんでした）

新入園の保護者には、法人が新たに作成した「ポリシーブック」を配布し、入園時のオリエンテーションで園の理念や保育方針などを丁寧に説明しています。「ポリシーブック」は蓮花園グループの基本理念や保育方針などをカラフルな写真入りで解説したブックレットで、蓮花苑の保育に関する考え方と姿勢が分かり易く解説されています。
在園児の保護者にも保護者懇談会やクラス保護者会で丁寧に説明して理解を深めており、72.9%の保護者が理解していると答えています。

人事異動により新たに着任した園長は、統括責任者として「子ども達の安全・安心の確保、及び職員間のコミュニケーション」が重要という信念の下、園運営に務めています。しかし、職員アンケートでは、経営層と一般職員層の園運営についての評価はほぼ近似しているのですが、一部の中堅職員からの経営層への批判が見られ、職場内の人間関係についても全体に評価が上がらず、組織体制の理解にずれが生じているようですので、改めて活発なコミュニケーションを重ね、組織体制の強化と組織の一体感の醸成が望まれます。

保護者及び職員へのアンケート方式での意向把握は、行事にのみ実施されていますが、保護者のアンケート解答用紙は記述式と改めたことで、行事以外の意向や要望も寄せられています。保護者会や保護者面談の際には意向や要望を丁寧に聴取しています。また、第三者評価における利用者調査の結果を重視しています。職員については職員面談の際に本人の状態や希望などを聴取して必要な助言を行なっています。地域の情報やニーズは、園長会や子ども家庭支援センター、幼保小連絡会、児童館などの関係機関から様々な情報やニーズを把握しています。

現在まで法人としても、れんげ砂川保育園としても中長期計画は策定されていませんでした。例年の蓮花苑グループの全体研修における理事長の訓話（蓮花苑グループの将来目標と方向性について）を長期計画と位置づけていましたが、成文化されてはいませんでした。法人は改めて具体的な中長期計画の策定を進めるため、各園からの職員などの参加による委員会を設置して議論を重ね、来年度の施行に向かって取り組んでいます。来年度から蓮花苑グループの新たな前進の柱となる計画と推察し、グループ全７園の更なる発展を期待します。

様々な行事や保育運営に関わる計画について、職員会議や行事会議、リーダー会議などで進捗状況を確認し、状況に応じた計画の見直しを行なっています。行事については行事計画書・行事報告書を作成していますが、PDCAに沿った書式に改善を進めています。また、各種書類の記入時間目標（目安）を設定して仕事の効率化を図っています。

入職後の新人研修で、就業規則と服務規程を説明し職員の理解を図っており、園に配属後の研修において、園長、副園長、主任から保育士として遵守すべき法令や守秘義務、個人情報保護、子どもの権利擁護などを説明して理解を深めています。特に人権問題については全職員が「人権擁護のためのセルフチェックリスト」に毎月自己評価を行ない、経営層がチェックを行なって職員の更なる意識向上を図っています。年に３回行なう職員個人面談においても、人権擁護の重要性を説いて徹底を期しています。

園では、保護者から寄せられる苦情などを積極的に受け止める姿勢があり、苦情解決システムと第三者委員会について、入園説明会で丁寧に説明して理解を得ています。不満や要望への対応についても利用者アンケートにおいて保護者の87.0%が満足していると答えています。保護者との信頼関係作りを重視しており、園長が先頭に立って保護者対応に努めています、利用者からのクレイムは初期対応が重要として、問題が生じた場合は主任と園長が対応して保護者に向き合い、早期の解決に努めています。

園では、地域への子育て支援活動に積極的に取り組んでいます。延長保育や障害児保育、産休明け保育など、また一時保育では周辺市からの登録者もいます。さらに地域子育て支援事業として、月に２回の「ぴよぴよルーム（0?2歳児を対象）」では、親子で楽しむ園庭遊びや制作活動などを実施しています。加えて、年に２回の５歳児と近隣の方達との地域交流食事会は、れんげ砂川保育園の恒例の行事として続いており、地域との絆も深まっています。毎年、多数の保育実習生や看護実習生の受け入れも行なっています。

園では、災害や事故の発生に備えた非常災害時対応マニュアルを始め、事故や感染症など保育園に想定し得る各リスクに対応したマニュアルを整えています。それらリスクについての優先順位としては大規模災害などではありますが、基本的な考え方として子どもの安全を冒すものは全てリスクとして扱うものと認識しており、園内外で発生する可能性の高い子どもの怪我など、目の前で発生したリスクに迅速且つ最善の対応が重要として職員への意識を高めています。

園では、自衛消防組織を編成し、定期的な避難訓練を行ない園児と職員共に防災意識を高めています。また、SIDS（乳幼児突然死症候群）の防止のため午睡チェックセンサーシステムを導入し、防止に万全の態勢を取っています。また、法人においてBCP（事業継続計画書）が作成されています。今年は特に、新型コロナウィルスの感染拡大防止には最大限の注意と配慮を行ない、登園時の検温や手洗いの徹底、食事の際の子どもの席の配置、職員の毎朝の検温や施設内のこまめな消毒など感染防止対応の徹底を図っています。

情報の保護と共有に関しては、法人の規程に則りファイリングシステムを導入し、文書類ロッカーの施錠などの対策が取られています。クラスの職員は子どもの日々の情報や日誌などをパソコンに入力しており、事務室のサーバーにデータが集積されます。サーバーへのアクセスにはパスワードが設定され、USBメモリなどでのデータの持ち出しを禁止しています。「登降園管理システム」もグレードアップされたアプリケーションソフトが稼働し、保護者との連絡や情報伝達が格段に進歩しました。なお、各クラスのパソコンは事務室が一括保管・管理しています。

法人本部は昨年度よりコンサルタントの指導を受け、「就職活動実行委員会」を立ち上げ就職活動用のツールとして、法人グループ各園の紹介や職員の声ななどをビジュアルに纏めたブックレット「れんげBOOK」を作成しました。
就職フェアや在園保育士の卒業校などに出向いて蓮花苑グループのアピールを行なって人材確保に取り組んでおり、実習生などとの関係作りを大切にして採用に繋げるよう努めています。

人材育成については、法人が中心となって蓮花苑グループ７園の人材育成とキャリアアップに関わる研修を進めており、特にキャリアアップに関しては外部コンサルタントの指導を得ながら取り組んでいます。様々な研修やキャリアアップ研修、外部コンサルタントによるマネジメント研修などで職員の専門性の向上に繋がっています。現在は、個人別育成計画など体系的な育成システムはありませんが、法人に於いて委員会を設置して次年度より施行を予定している「人材育成計画」の策定が進められています。

蓮花苑グループの今年度の職員アンケートを見ると、全園で勤務条件の改善が進み、有給休暇も取りやすくなったと各職員から評価されています。一方、本園でのアンケートでは職場内の人間関係の評価が上がらず、人事異動(昇格人事)による職場内の認識のばらつきが園の円滑な運営に影響を与えているようでもあります。人間関係の課題は子ども達に対する影響も強いと思われますので、職場内のコミュニケーションを1日も早く活性化し、健全で溌剌とした組織体制を構築強化されることが望まれます。　　

ホームページには、法人共通の保育理念や日々の保育活動のほか、地域の子育て支援活動の予定など、園に関わる情報を詳しく掲載しています。ホームページは定期的に更新し、日々の生活や行事などの様子を写真を交えてこまめにアップすることで園の雰囲気を伝えられるように配慮しています。また、今年度は園のリーフレットをリニューアルし、子ども達の写真をふんだんに取り入れることで園の様子をイメージしやすいように工夫しています。子ども家庭支援センターや市役所などに、法人の取り組みや職員の思いを掲載したれんげだよりを提供しています。

当園では月２回、登録制で親子制作や絵本の読み聞かせなどを実施する「ぴよぴよルーム」、園庭開放、一時保育を行なっており、活動の予定や詳細はホームページや「ぴよぴよ通信」を活用して広く発信しています。園庭開放は毎週水曜日、一時保育は短時間就労や育児疲れのリフレッシュなど、理由を問わずに利用可能です。このような取り組みを利用することで園の雰囲気を感じることができ、実際に入園にもつながっています。さらに、行事の際には、児童館や掲示板にポスターを掲示して地域の方の参加を呼び掛けています。

見学には随時対応しており、日程は見学者の希望に応じて調整していますが、子ども達の活動の様子を見ることができる平日の午前中を勧め、園の体制がとれている日であれば土曜日などでも対応しています。主に主任が、１日１組をめやすに案内しており、施設や保育の特色、子どもの様子などをわかりやすく説明すると共に、見学者の質問や子育ての相談などにも丁寧に対応しています。見学者には、園のリーフレットやれんげだより、子育て支援活動ぴよぴよルームの案内を配布して、園の雰囲気を体験できることを伝えています。

入園が決まった際の新入園児説明会では、園の概要と共に保育・看護・栄養の各分野からの説明が行なわれていますが、参加できない保護者がいた場合には、別日に面接を行なって伝えています。また、配布される重要事項説明書には、園の概要や保育内容、園のきまりや運営上の伝達事項など、園生活に関するすべての内容が網羅されています。終了後には、写真に伴う同意書や重要事項の説明に関する確認書などを通して、保護者の意向を把握しています。各種同意書の控えは重要事項説明書の最後にも綴られている為、後々確認することもできます。

個別的な支援が必要なケースや食物アレルギーのある子どもなどにはさらに詳しく話を聞き、把握した情報は看護師や栄養士も交えて全職員で共有しています。また、母子手帳を持参してもらい、出産時の状況や予防接種、定期健診の状況も確認しています。保育の開始にあたり、母乳で育っている子どもには事前にミルクへの移行をお願いし、登降園に時間差を設けたり職員の体制を調整して園生活を始める保護者とゆっくりと向き合えるように配慮しています。さらに離乳食の初日には、保護者と一緒に介助することによって子どもに安心感を与えています。

退園時には、制作物や思い出のアルバムを贈っています。また、就学を見据えた取り組みとして自分で考える経験を大切にしたり、困った時には自分から助けを求められるように取り組んでいます。ほかにも、ランドセルを常設して学校ごっこや読み書きの練習、５歳児に用意されている個人机も活用して興味や集中力を高めています。保護者に対しても就学に向けた面談を実施し、入学式には手作りの祝電カードが贈られています。さらに、卒園児を行事にも招いたり、学童保育所も隣接している為、卒園児とも日常的に接しながら個々の成長を見守っています。

入園時には、一人ひとりの家庭状況や子どもの様子、個別に必要な配慮事項を確認し、面接用紙に記入して職員間で共有しています。また、法人統一の健康ノートを活用して身体測定や視力検査、健康診断、歯科検診の結果を記録しています。乳児クラスでは、保護者と共に育児日記への記録を行ない、食事・睡眠・排せつなども含めた子どもの様子を時系列で把握しています。さらに、送迎時の視診やコミュニケーションを深めて個々の心情や生活状況なども把握しています。

法人の指導計画作成の手順に従って全体的な計画・年間・月間指導計画のほか、３歳未満の子どもや障がいのある子どもなど配慮を必要とするケースには個別の月間指導計画も策定しています。また、保育内容の統一を図っている為、給食・保健、各種専門指導に関しては共通の計画を使用しています。新たな目標や具体的な活動計画を作成する際には、発達チェックシートを参考にクラスで合議を行ない、評価・反省の基に行なっています。さらに、頑張ったことや毎月の目標を保護者に伝え、保護者からもコメントをもらって同じ視点で保育を進めています。

子ども一人ひとりの日々の様子や変化は保育日誌や園日誌、保健日誌に記録していますが、乳児クラスで活用している育児日記は複写式となっている為、家庭での様子も含めて細かな点まで記録として残すことができます。また、乳児は「生活経過表」、幼児は「11時間保育開所対象児記録」を活用して職員間で共有し、大事なことは文字の色を変えて差別化しています。さらに、乳児は毎月、幼児は４ヵ月ごとに、一人ひとりの発達を振り返る「児童票」に記録をまとめています。保育に携わる非常勤職員に関しても必要な情報は共有し、保育に反映しています。

法人として取り組む「子どもの想像的思考力を育てるSIあそび」では、成果よりも子どもが自分で考えて取り組もうとする意欲や集中、発想力、そのプロセスを大切に考え、そして何より、進みの早い子どもには次の課題を用意し、じっくり取り組む子どもには時間を与えるという個々のペースを尊重する対応で、子どもの自己肯定感を育んでいます。日常の保育においてもこの考え方が基本となっており、子どもから何かやりたいという申し出があった時には、それを叶えられる時間帯を伝えたり、環境を整えて実現できるように配慮しています。

当園では毎朝全園児で体操をしています。乳児はテラス、幼児は園庭で参加していますが、この時間の共有や園庭遊びなどを通して子ども達同士の自然な関わりが育まれており、クラスを問わず良好な関係が築かれています。また、年長児は入学前に地域の小学校を訪問し、小学生との交流を図っています。さらに、外国籍の子どもには、絵カードを用いたりしながら言語面や生活面などで必要な援助を行ない、子ども同士の気持ちを代弁しながら関係をとりもったりすることで徐々に関係を深めていけるように配慮しています。

子ども同士のトラブルに関しては、子どもの行動の裏にある心理を考えてその子どもの気持ちに共感したり、双方の思いを代弁することで情緒の安定を図っていけるように対応しています。また、そのような状況を作らないように職員間での共通認識も深めながら環境を整えています。障がいなど、個別の配慮が必要な子どもに関しては個別の月間指導計画を策定しており、集団に参加できる内容を考慮したり、その子どもの発達特性やペースに配慮しながら必要な支援を行なっています。

コロナ禍においては、健康観察カードを導入し、保護者にもテラスでの受け渡し対応で協力してもらい、感染拡大防止に努めています。家庭での様子や健康面、精神面などに関する伝言や変化があった場合には、朝のミーティングや各クラスの申し送り表を活用して職員間で共有しています。また、乳児クラスは食事や排せつの様子も細かく記入できる育児日記を活用し、園と家庭の様子を経過的に把握して保育に反映しています。特別な活動があった日には写真でも伝えることで園での生活をイメージしやすいように工夫しています。

職員は、食事や着脱、衛生面など、日々の生活における望ましい保育対応を解説した法人の「発達の手引き書」や「指導計画書」を基に保育計画を立案し、看護師や栄養士による保健指導、食育指導などと併せて基本的生活習慣の習得を目指しています。また、子どもの発達や動線を考慮して取り組みやすいように環境を整え、２歳児の部屋にトイレを併設できるよう、大々的な改修工事にも踏み切りました。さらに、年齢も考慮して４・５歳児にはお道具箱を用意し、日々の生活の中で持ち物の自己管理につながるように配慮しています。

睡眠環境や午睡に関する配慮事項などに関しても発達の手引きに法人としての対応が明確にされており、共通認識の下で対応しています。環境的には、年齢や個々の生活環境、健康状況を把握して休息時間の調整を行ない、遊びとの空間を分けて布団を敷いています。５歳児に関しては就学を視野に入れて秋頃から午睡をなくしていますが、30、40分程机に伏せて休息をとるようにしたり、保護者と相談のうえで必要な場合は個別に午睡をとれるように配慮しています。子どもたちの中には、就学への期待から起きていられることを喜ぶ姿もみられています。

職員は、SIあそびを通して子どもの自主性や主体性を育み、子どもからの遊びの提案を実現できる環境を用意しています。また、子ども達が安心して安全に遊べるように玩具の整理をしたり、園庭においても、他クラスとの連携を図りながら互いに楽しめる遊び方を工夫しています。壁がない空間には必要に応じてロールカーテンも活用しています。５歳児には自分達で考え、解決に導いていく機会を意識的に取り入れており、遊びやルールも考えられるようになっていますが、自己中心的なルールとならないよう話し合いの場を設けて確認しあっています。

様々な経験を通して子どもの可能性を引き出し、興味のあるものを伸ばしていけるように、絵画や体育指導、リトミック、英会話などの専門講師を招いたり、系列園とのサッカー大会・サッカー交流会など、多彩な活動を組み込んでいます。日々の生活においてもボランティアによるお話会や物語を創造するシルエット遊び、落ち葉を活用した絵画制作などで子どもの想像を膨らませ、単語に着色して読みやすくしたりイラストを加えた歌詞で文字への興味を誘っています。５歳児には、困った時には自分から発信して助けを求められるようにも伝えています。

近隣には、クワガタやカブトムシも生息する自然豊かな公園があります。コロナ禍の影響で散歩を控える中、子ども達の体力の低下を感じた職員は体幹を鍛える運動遊びやマラソンを取り入れており、体育大学卒業の職員も自らの専門知識を提案したり、登り棒や鉄棒などの手本を見せて子ども達の意欲を誘っています。また、老朽化により園庭の大型遊具を改装していますが、最後の日には子どもたちとペイントして感謝の気持ちを伝えています。新しい大型遊具にはネットで遊べる部分もある為、幼児用として新たな遊びを展開しています。

行事を企画する際には、子ども達が興味を持って楽しめる内容を考えると同時に園長や主任も交えて子ども達の発達に見合っているかどうかについても確認しています。お遊戯会の演目も、子ども達の大好きな絵本の内容を演じやすくまとめた劇遊びとして導入したため、セリフや展開も子ども達の中に浸透しており、楽しんで演じています。また、行事に向けた制作では、飾る場所や用途などを伝え、目的を持つことで意欲的に取り組めるように工夫しています。保護者に見てもらえることも子ども達の大きな喜びとなっており、その気持ちを大切にしています。

職員は、行事という一つの目標に向かって楽しみながら成長し、達成した時の喜びが味わえるように工夫しています。また、人前で何かをすることの経験としても大切な機会と捉えており、全員の前で一人ひとりを褒めることで個々の自信や意欲につなげています。幼児クラスでは、楽しみながらもしっかり取り組む場面ではそのメリハリもつけられるように配慮しています。希望の役になれなかった子どもの悔しさにも共感し、決まった役の重要性などを伝えることによって気持ちを満たし、すべての子どもが楽しく演じられるように配慮しています。

年度初めには年間行事予定を配布し、詳細な内容に関しては、各クラスの保護者会や園だより、クラスだよりなどで伝えています。今年度はコロナ禍の影響で通常どうりの開催は難しく、後期の見通しとして新たな予定表も配布しています。運動会も、クラスごとの入れ替え制という形式で対応し、座席もくじ引きで決めていました。保護者からは「開催出来てよかった」と感謝の声も寄せられています。さらに、地域の小学校と連携して行事の日程を調整し、保護者参加の行事後には、アンケートを実施して次年度の参考にしています。

職員は、各クラスの伝達ツールを活用して日々の情報を共有し、個々に必要な保育環境を整えたり、多彩な活動や子どもの主体性を尊重した保育で気持ちを満たしていけるように配慮しています。また、視線が低い０歳児クラスには窓付きの柵や壁にも鏡などを取り入れて開放的な空間を整えたり、テラスには屋根がついている為、日光浴や気分転換に活用するほか、雨天でも遊ぶことができます。さらに、職員・来客用の玄関には、動物をモチーフにした「やさしくなれる椅子」が設置されており、子どもたちが気持ちを落ち着ける場所としても活用しています。

早朝や夕方は合同保育になりますが、毎朝の体操や日々の保育で関わりを深めている為、乳児・幼児間の自然な交流がみられています。特に幼児クラスの子どもは自分達がお兄さんやお姉さんの立場になれることを喜び、優しく話しかけたりする微笑ましい光景もみられています。保育士はその気持ちを大切に育んでいけるように乳児の気持ちを代弁したり、玩具の選定に配慮しながら遊びを見守っています。また、その日の子どもの年齢や人数、子どもの希望を考慮して玩具を選定したり、落ち着いて過ごせるようにマットを敷いたりして環境を整えています。

列園の栄養士達は、家庭の食事調査や毎日の喫食状況、子ども達の嗜好などを把握して全園統一の献立を作成しており、各園の人気メニューや卒園する５歳児のリクエストメニューによるバイキングも取り入れています。また、子ども達の年齢や使いやすさを考慮した法人オリジナルの食器を使用しています。誕生児には、ホールケーキを切り分けて「特別な日」を提供しています。さらに、乳児クラスはテラスや近くの公園に給食を詰めた弁当を持参する遠足ごっこを楽しんだり、幼児クラスはサッカー交流やサッカー大会などの際に弁当給食を楽しんでいます。

食物アレルギーのある子どもには、医師の指示書を基に原因となる食材を完全に除去した代替食を提供しています。また、誤食のないように調理の過程から細心の注意が払われており、二重チェックや見た目にもわかる工夫を施したり、担任が側について提供しています。バイキングの際には、除去品目や対象児童の人数などを考慮してメニューを決め、子どもの心情にも配慮しながら対応しています。乳児クラスにおいても、調乳には天然水のサーバーを活用し、哺乳瓶の消毒用に殺菌庫も用意するなど、きめ細やかな配慮が行なわれています。

食育指導が一過性のものとならないように、法人で作成している年間計画や毎月のテーマに沿った手書きのポスターをクラスに掲示して、日頃から意識できるように配慮しています。５歳児の後半には包丁やホットプレートなどを使用する機会もありますが、実践を重ねることによって子ども達の中にも使用上の注意点や安全への意識が高まっています。また、野菜の栽培や食材の観察画、食品の３郡分けなど、多彩な食育活動を展開しており、法人で作成して保護者に配布した給食のレシピ本には、食に対する思いや調理の基本なども掲載されています。

看護師との連携の下で計画的な保健指導が行なわれていますが、手洗い指導に関しても、しっかりと泡立てて念入りに洗うことや、拭き残しなく手を拭くことが習慣となるように詳しく指導しています。また、園庭遊具の約束事は、使い始めや進級時に再確認をしていることで子ども達の中にも浸透しています。さらに、幼児クラスの廊下に設置されているウォーターサーバーで水分補給への意識を高め、警察による交通安全教室では、園の前にある横断歩道を活用した実践指導で安全への意識を高めています。

各クラスの職員も交えた保健会議を通して情報共有を図り、看護師が不在の時には園長や主任がその業務を代行しています。また、常勤職員は毎年救急蘇生法やAED使用法、応急処置の訓練を受けており、新人職員には、救命救急や子どもが罹りやすい疾患、食物アレルギー、SIDSに関する保健指導、非常勤職員に対する嘔吐処理の実演指導を行なっています。乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する情報は、重要事項説明書や保健だより、０歳児の保護者会などで説明し、園ではセンサーも導入して目視とのダブルチェックで子どもを見守っています。

今年度は感染拡大防止対策の強化が余儀なくされました。当園でも、大人からの感染を招かないように、顔認証型の体温計を設置、保護者にも検温の協力を依頼し、職員も健康状況を記録しています。また、子どもが使用する玩具や保育室の消毒には細心の注意を払い、次亜塩素酸水を活用して消毒作業を徹底するほか、ペーパータオルの使用やコップの管理など、あらゆる面での対策を強化しています。さらに、手洗い・うがい・咳エチケットの重要性は園児にも紙芝居で伝えられ、うがいの後の飛沫を考慮して幼児クラスの歯磨きは中止しています。

今年度からアプリを活用して登降園の打刻や欠席連絡、園だよりなどの配信ができるようになり、長期にわたる登園自粛期間中には、親子のふれあい遊びや簡単クッキングなど、バラエティーに富んだ「遊び」の配信も行なわれていました。また、外国籍の保護者には子どもの様子を翻訳して手紙で渡したり、妹や弟が入園する際には一緒に降園できるよう慣らし時間を調整するなど、保護者の心情にも寄り添いながらきめ細やかな対応が行なわれています。さらに、行事の日程を決める際には、近隣の小学校の予定と重ならないように配慮しています。

毎年、親睦を深める「親子ふれあいデー」や「夏まつり」などのほか、保護者会も定期的に企画していましたが、今年度は保育参観もできず、登降園もテラスでの受け入れとしていることから「保育の様子がわからない」という声に応えて、特別な活動だけでなく日常生活の様子も写真に収めて伝えられるように工夫しています。今年度は園長の交代や行事の見直しなどもありましたが、従来から育まれている信頼関係もあり、アンケートには好意的な意見が多数寄せられています。定期的に行われる砂場のメンテナンスの様子も写真で保護者に報告しています。

栄養士や看護師も各クラスの保護者会に参加していることから保護者との面識があり、送迎時に相談をしやすい関係が育まれています。また、例年では、保育参加や給食の試食会を実施して子どもの成長を共有しています。今年度は、法人が目指している保育の方向性や取り組みを具体的に紹介する「ポリシーブック」のほか、調理の基本や食を大切に考える法人の思いをまとめた給食のレシピ本も完成し、保護者に配布しています。家庭での食事状況を調査するアンケートには「第２弾も欲しい」という意見や、家庭でも試してみたという声も寄せられています。

園の近隣には、かぶとむしやクワガタも生息する豊かな自然や用水路があり、一年を通じて四季を感じられる恵まれた環境に立地しています。また、小学校の運動会に参加したり中学生の職場体験・高校生ボランティア・実習生の受け入れのほか、交通安全教室や消防訓練など、地域との連携も深めています。さらに、近隣の畑の協力を得てじゃがいもを掘り、毎月来園しているボランティアによるお話し会では、素話などで子どもの想像力や集中力を高め、最後にはろうそくの灯りを吹き消す仕草で願い事をする特有の雰囲気で子ども達の豊かな感性を育んでいます。

幼児クラスは３か所の高齢者施設を訪問するほか、年に２回地域の方との食事会も企画しており、自治会の集会所に季節のメッセージカードを添えた給食を届けて５歳児との交流を深めています。また、例年では運動会や夏祭り、作品展には園の掲示板や地域の自治会、児童館などにポスターを掲示して一般の方を招待しています。さらに、法人で取り組んでいるサッカー大会やサッカー交流を通じて系列園の子どもとの交流もあり、小学校の入学式や卒業式の際には卒園児が保護者と一緒に園を訪れる光景もみられています。

今年度作成して保護者にも配布されたポリシーブックには、守秘義務の徹底に関する園の方針が明確に記載されており、実習生や職場体験の学生とも個人情報保護誓約書を結んでいます。また、保護者には園の様子をSNSに上げないことをお願いしたり、子育て支援に参加する地域の保護者にもホームページに関する同意書を記入してもらうなど、細心の注意を払って対応しています。さらに、子ども達にも全裸にならないような着替え方を指導したり、順次行なわれている個人面談には多目的ルームを活用できるようになった為、プライバシーが守られています。

職員は、法人で取り入れているSIあそびの対応を基に、日々の保育においても子どもの意見を否定せず、尊重する関わりや言葉がけを行なっており、乳児クラスには十分なスキンシップを心がけて対応しています。また、保護者の思いや多忙さも考慮しつつ、子どもの心情が不安定な時には架け橋となれるように配慮しています。さらに、面談を充実させて各家庭の状況を把握したうえで、宗教食への対応、外国籍の保護者には言葉を変換して伝えたり、個別にノートを作って伝達するなど、個々に応じた支援を行なえるように努めています。

職員は、法人の全体研修や外部の研修にも参加して人権や虐待に関する知識を学び、シートを活用した振り返りも行なっています。また、職員間の連携や保護者との連携を深めて子どもの近況や各家庭の状況を把握し、子どもや保護者の思いを共有していけるように努め、子ども家庭支援センターとの連携も深めて体制を整えています。さらに、今年度作成したポリシーブックには人権尊重の指針も明確に記載されており、保護者とも共有していけるように配布しています。

業務の一定水準を確保するため、安全・安心の面での訓練活動や「安全チェックリスト」を活用した日常的な整備点検、玩具類や遊具の点検などが行なわれています。日常的にクラス内での話し合いや職員自身の自己点検、乳幼児リーダーからのアドバイスなども都度に行なわれています。園長は日常的に園内を巡視して、時にはクラスに入って指導したり職員自己評価の全てに目を通し、適切な助言コメントを加え、職員の成長を支援しています。蓮花苑グループの各園では、毎年詳細な「事業報告書」が作成され、各分野での総括・反省が明らかにされています。

サービスの基本事項や手順については、指導計画や保育計画は主任会を中心に毎年、職員の負担増とならなよう配慮しながら見直しが行なわれており、特に、保育所保育指針の改訂に伴い、大きく書式の変更が行なわれています。
保育計画は、主任会や運営会議で毎年、評価・反省を行ない、見直されており、児童票や個別計画に関しては、法人の発達チェック表を参考に、合議を行ないながら計画が立てられています。