東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の創始理念や保育方針等を纏めたコンセプトを常勤職員に配布し、年一度の法人全体会議や園の行事の後に読み合わせを行なうと共に、今年４月に理念や方針、保育の様々な活動、園運営の基本方針等を絵や写真等を交えてコンパクトにまとめて紹介したポリシーブックを発行し、全職員に配布して理念や方針の周知を図っています。
保護者には新入園児・在園児の入園時の説明会や保護者会等で重要事項説明書等で説明を行っており、ポリシーブックの配布や毎月の園だよりにも理念の内容を細かく説明して周知に努めています。

全クラスに配布されている事業計画、事業報告書には職位と氏名が掲載されている組織図が掲げられ、判断を示す順位が示され、職務分担も記載されていて、自らの位置と役割が明確に示されています。また、園長は出勤すると園全体を巡回し、園児と職員の様子を確認すると共に、保護者とも顔を合わせて話をするなど、全体の把握に努めていて、何かあれば対応を行なうようにしています。園の重要事項を検討、協議する月１回の職員会議には園長も出席し、主任が主導しています。クラス会や乳幼児会議もリーダー等の主導で運営をリードしています。

園内の組織的な運営の流れ及び重要な案件の決定については、クラス会議-フロア会議-リーダー会議-職員会議-法人というコースが定められています。その流れの中で発議、検討、決定、上程していくようにしていて、決定事項も同じ経路を辿って周知、共有を図るようにし、必要な事項は朝のミーティングでも周知するようにしています。保護者等に対しては、重要な事項については各年度の法人のれんげだよりや毎月の園だより、保護者会等を通じて知らせると共に、今次のコロナ禍等の重要事項は連絡用の通信機器や郵送にて周知を行っています。

保護者、職員共に第三者評価時の包括的なアンケート調査で意向等を把握するほか、保護者には行事終了後にアンケートを実施し、行事の担当が集計して反省会での検討を行ない、記録して次回の実施に活かすようにしています。また、保護者会や面談でも聞き取りを行なっています。
職員には毎月の自己評価表のチェックや職員面談、次年度の異動や部署変更の希望調査で意向の把握を行なっています。第三者評価等で示された意向等については園長、主任が結果や対応について検討し協議を行ない、リーダー等を通じて職員に伝えていくようにしています。

今年度はコロナ禍でほとんどその実施は自粛の状態ですが、園の地域子育て支援として園庭開放や保育体験、出前保育等の事業や各個の相談にも応じていて、その際に寄せられる希望(試食会の開催等）等に可能ならば取り組むことも考えています。市の園長会や法人の園長会でも地域における情報の交換を行ない、地域の情勢を把握するように努めています。園及び職員が保育の現場や運営上に収集した情報や職員の育成等に重要で必要と思われる案件に関してはプリントアウトして資料を配布する他、会議を通して周知を図るようにしています。

法人では法人全般の中・長期の事業計画を策定するための委員会を立ち上げ、次年度当初には明文化して発表する予定とのことです。その計画に沿って、各園共にその地域で培ってきた保育の事業をより良きものとして事業を発展させ、継続化できることを期待します。
法人の中・長期計画に基づいた計画は来年度からですが、従来でも会議や運営の流れに沿って事業計画や報告は振り返りや検討を行なって策定されており、備品や消耗品等も統計化して予算組みを行なう機運が出てきており、計画策定の時期や内容について明確にしていく必要も感じています。

職員が守るべき法、規範、倫理等を職員全般に周知させるために、服務規定を含む就業規則を入職時に説明すると共に遵守する旨の誓約書を徴しており、事務所に配置して随時閲覧が可能なようにしています。また、全職員に理念や方針と共に職務全般から禁止事項までを網羅して編集、掲載されている「職員の心得」を配布、説明して理解を深めるように努めています。さらに、「人権擁護のためのセルチェックリスト」も配布して読み合わせや考える時間、話し合う機会も作ってこれらの共有を図り、理解を得るようにしています。

苦情解決制度等については入園のしおりに記載すると共に入園の際や保護者会でも説明を行なっており、入り口にも掲示されています。苦情等を受けた場合には園日誌に記入し、主任、園長へ報告を行ない、事態の速やかな解決を図るようにしています。虐待防止についてはマニュアルを整備し、日常の保育でも注意を払うようにしており、セルフチェックリスト後に話し合いを持って理解や相互の言動の確認をしています。園内だけでなく虐待の様子が伺われる場合には子ども家庭支援センターとも連携を図って予防や防止を図るようにしています。

地域と深い関係を培ってきた保育園として、今年度は自粛を余儀なくされていますが、保育体験、出前保育等の地域の子育て支援事業を盛んに行ってきて、地域に開かれた園として活動をしてきています。卒園生が毎日のように来て園児と遊んでくれたり、行事の手伝いもしてくれています。また、見学の際にも子供達には園庭で遊んでもらい、他の保育園とは異なり、当園児でない子供たちにも園庭を開放して遊んでもらうようにもしています。幼保小の連携を進め、双方の交流を図って進学する園児が早く学校に順応してもらえるようにも注意を払っています。

リスクに対する優先度は園児の事故や怪我を一番に考えており、侵入、感染症、災害等というようにしています。其々のリスクに対応するマニュアルは事故対応、感染症対応、非常災害時対応といった形で整えられていています。事故対応マニュアルの中にはフローチャートがありますが、現時点では園内での掲示はされていません。現在各々のマニュアルのフローチャート化を法人が担当を決めて作業を行なうとのことですので、その進展とそれらの掲示がなされ、職員が迅速な対応を行なうことが出来るように周知が図られることを期待します。

火災や地震に対応する避難や消火、水害での避難、災害時の園児引き取りについての保護者を交えた訓練や感染症対応、AEDの使用訓練等も実施され、ほとんどの職員が救命救急士の講習を受講しています。また、備蓄も必要な物資が準備されています。事故やヒヤリハット報告は主任が取りまとめて職員会議等で報告を行なうと共に、毎朝の朝礼で前日の事故の報告を必ず行なって、職員の注意や意識を喚起することに努めています。事業継続計画が策定されており、現在現状に合わせて見直しを行なっていますので、その周知や徹底にも期待します。

園児、保護者等の個人情報は保存期間を厳守し、その後は厳重な情報保護の確認の上で業者による廃棄を行なっています。また、職員、ボランティア、実習生、職場体験の子供たちにも個人情報の重要性を説明し、保護に関する誓約書を徴しています。職員や園児等の個人情報は事務所の鍵付きの書庫で保管し、持ち出し、返却は管理者の許可を得て確認を行っています。パソコンには其々の立場でのアクセス権限を設定してその保護に留意すると共に、保護者にも情報の保護について十分な説明を行ない、理解を得るように努めています。

法人として職員採用に力を入れており、就職活動実行委員会を立ち上げて法人全体と各園の職員による園の内容や活動を紹介するれんげBOOKUを編集、配布し、人材の募集を行なっています。当園では3年ほど前から採用した新人職員たちが同期生としてお互いに支え合う力で頑張って働いており、これらの職員の育成を大きな目標としています。組織図に職位を表して各職員の立場と方向性を示しており、当園では特に主任を補佐する副主任の役割を重視していて、この立場の職員並びにそれに続く若手職員の育成に力を入れて行こうとしています。

人材育成計画は策定中ということですが、職員各個には自己評価で自らの希望や展望を示してもらい、可能ならばそれに沿う又は希望する研修に参加させるように取り計らっています。研修後には報告書を提出してもらいますが、参加した研修の成果がどの程度実地の保育に活かされているかを半期の間で確認するようにもしています。主任やリーダー達には法人が契約している外部会社の指導によるリーダークラス研修を受講してもらい、その受講者が園内でのスキルアップ等の研修を行ない、職員の育成を図るようにしています。

法人では人事考課に取り掛かっている段階であり、職員に自己のチェックを出してもらい、管理者がチェックしていくようにしていて、今後キャリアアップに絡めていく方針とのことです。公休休日の増加や融通性のある時間勤務形態の採用、専門性を活かした職員の表彰等、働きやすい、働き甲斐のある職場形成に努めています。ただ職員の個別面談が不徹底のようですので、その実施に留意されるように願います。職員研修成果の共有は研修報告の随時閲覧や伝達研修の実施を行っていて、職員や保護者等からの改善要望にも対応を図っています。

法人共通の理念や保育方針、園生活の様子のほか、年間行事や地域支援活動、入園に関する情報など、園に関わる全ての情報はホームページに掲載しています。また、今年度は園の概要を掲載した三つ折りのリーフレットをリニューアルし、イラストや写真をふんだんに使用することで園の雰囲気を伝えられるように工夫しています。さらに、法人で毎年発行する「れんげだより」でも法人が大切に考えていることや、系列園の取り組み、職員の思いを紹介しており、市報や市のホームページからも園の基本情報を入手できるように対応しています。

リトミックやお話し会などを企画する乳児クラスの縦割り保育「にこにこ保育」には地域の子どもも参加することができ、コロナ禍においても保育体験や園庭開放は予約制で実施しています。また、出産を迎える保護者を対象とした企画や系列園の保育士と共に支援センターで行なう出前保育(親子体操や制作活動)なども実施しており、例年では運動会や作品展にも地域の子育て家庭を招いています。これらの地域支援情報は、ホームページに掲載するほか、子ども家庭支援センターでも入手できます。

見学は随時受付しており、保護者が聞きたいことや相談などをしやすい雰囲気で対応できるよう個別に日程を組んでいます。見学者には三つ折りのリーフレットを配布し、園長や主任、副主任が施設や保育園の生活、行事、保育内容などを詳しく説明しながら案内しています。子どもも共に見学する際には、慣れない場所に不安感を抱かずスムーズに入園を迎えられるように自然な対応を心がけ、保護者に対しても安心して入園を決められるように、他の様々な園も見学しておくことを勧めています。

入園前には新入園児保護者会を行なっており、園の概要や保育の特色、年齢別のデイリープログラムなどのほか、園のきまりや持ち物、給食、保健、緊急時の対応など、園生活に関するすべての内容が網羅された重要事項説明書に沿って映像も活用しながら詳しく説明しています。また、入園式の後にはクラスの保護者会を実施し、担任から各クラスの目標や保育室の利用方法などについての説明が行なわれます。重要事項説明書の内容や写真掲載に関する保護者の意向は、同意書の提出にて確認しており、保護者用の控えは重要事項説明書の最後にも綴られています。

入園前の個人面談で子ども一人ひとりの家庭状況や健康・栄養・子どもの特性などを把握し、子どもや保護者が安心して入園を迎えられるように配慮しています。また、食物アレルギーや離乳食に関しても家庭との連携の下で個々に対応しています。さらに、園児の状況や取り巻く環境などを考慮して保育時間を調整し、乳児には、可能な限り同じ職員が受け入れすることで情緒の安定を図っていけるように体制を整えたり、初めて集団生活を経験する子どもには家庭に近い状況に配慮しながら対応しています。

子ども達が安心して小学校生活を送れるように、徐々に午睡をなくして生活リズムを整え、時間を意識して見通しをもった行動や、困った時には自分の言葉で伝えられる経験を重ねています。保護者に対しても、法人で作成している冊子の配布や個人面談を実施して就学に向けて必要な事柄を共有し、備えておけるように配慮しています。放課後に園を訪れる多くの卒園児との関わりや小学校訪問などを通しても子ども達の期待は高められており、小学校に送られる保育所児童保育要録には、毎年各学年の担当職員が記録を残し、卒園までの経過を詳しく伝えています。

一人ひとりの子どもに関する心身状況や生活状況は、入園時に提出書類や面談でも確認し、入園後も法人で作成した健康ノートを活用して成長記録や健康診断の結果を把握しています。また、日々の健康面や精神面については登園時に毎日保護者に確認し、伝言ノートなどを活用して職員間に周知しています。さらに、個人面談などで把握した保護者の意向やニーズも保育に反映させ、０～２歳児クラスで連絡帳として活用している育児日記からは、家庭での食事や睡眠、排せつなどの細かい情報も把握できます。

当法人では保育内容や書式の統一を進めている為、指導計画作成の手順に従って全体的な計画・年間・月間指導計画を策定し、給食や保健、各種専門指導に関しては共通の計画を使用しています。また、３歳未満の子どもや障がいのある子どもなど個別に配慮を必要とする子どもには個別の月間指導計画も策定しています。各種指導計画は定期的に個々の姿を振り返り、保護者の意向もふまえながら新たな目標や具体的な支援方法を検討して作成しています。毎月の個人目標は、乳児クラスは育児日記、幼児クラスはお便り帳に記入して保護者と共有しています。

日々の姿は、園日誌や保健日誌、クラス日誌に記録していますが、乳児クラスに用意されている育児日記は複写式となっていて、食事や睡眠の状況など、家庭での状況も含めて細かな記録を残すことができます。また、乳児は毎月、幼児は４ヵ月ごとに成長を振り返る「児童票」には、クラスで合議を行ない、職員個人の評価ではなくクラスとしての評価として具体的な支援や内容を記録しています。また、保育に必要な情報は非常勤職員にも伝えて共有し、早番や遅番との引継ぎ体制も整えています。

職員は、子ども一人ひとりの発達過程や生活状況を把握する為に、日々の連絡や園での様子を共有するほか、定期的にミーティングを開いたり、児童票に個々の発達を記録する際も合議を経て複数の目で確認しています。また、法人として取り組む「子どもの想像的思考力を育てるSIあそび」では、成果よりも個々の気づきやペースを尊重することで子どもの自己肯定感を育み、子どもが自分で考える力や集中力、意欲を大切にしています。さらに、この対応は職員の中に浸透しており、日々の保育そのものが子どもの主体性を育む保育につながっています。

残念ながら今年度はコロナ禍の影響で実施が難しい状況となっていますが、昨年、縦割り保育の本来の目的を職員間で再認識し、共通理解を深めたうえで今年度新たなスタートをきる予定でした。小学校との連携においても、例年では小学校に訪問して在校生との交流や授業の様子を見学させてもらったり、小学校教諭との連携を深めて子ども達が安心して学校生活を送れるように配慮しています。さらに、外国籍の子どもに対しても、言葉や習慣の違いに戸惑わないように個別の配慮を行なっています。

子ども同士のトラブルは発達の過程で生じるものであることを前提に考えて、室内に遊びのコーナーを設定しておくことで走りたくなるようなスペースをなくし、好きな遊びを選んで気持ちを満たすことでもトラブルを軽減できるように工夫しています。また、障がいなど、配慮の必要な子どもに関しては、巡回指導や研修のアドバイスを参考に保育にあたっており、活動の流れをイラストで伝えることで先の見通しをもてるように工夫したり、子どもへの対応を職員間で周知してどの職員でも同じ対応ができるように配慮しています。

体調不良・怪我などの対応記録や保護者への伝達事項を早番・遅番職員にも周知している為、経過を追って保護者に確認することができ、継続的な支援につなげています。また、子どもに変化がある場合には、伝言ノートや朝のミーティング、職員会議などで共有し、担任以外でも対応できるように配慮しています。コロナ禍においてはテラスでの受け入れに協力してもらい、体調管理や手洗い、消毒の徹底に努めています。日々の保育活動は掲示後もしばらくファイリングして送迎に来られなかった日の分も閲覧できるように工夫しています。

基本的な生活習慣に関しては、食事や着脱、衛生面など、日々の生活における様々な場合を想定して、法人としての望ましい保育対応をまとめた「発達の手引き書」を対応の基本としており、振り返りシートなども活用して保育するうえでの指導方法を再確認しています。また、トイレへの抵抗感をなくすことから始めたり、散歩から帰ってまず着替えに気持ちが向くように準備しておくなど、個々の心情や発達、興味に沿った対応を心がけています。パンツへの移行に関しても、子ども自身が日々の生活を楽しみながら、意欲的に取り組めるように配慮しています。

職員が保育の基本とする「発達の手引き書」には、安心して眠れる環境づくりや質の良い睡眠を提供する為の配慮点なども記載されており、休息スペースの確保や月齢に応じた睡眠環境を整え、子どもの異変に気付ける明るさに配慮して見守っています。さらに、年齢や個々の生活習慣、健康状態を加味しながら休息や睡眠の時間を調整し、コロナ禍においては布団の間隔をあけるようにも配慮しています。５歳児は就学に向けて徐々に午睡をなくしていますが、長時間保育の子どもなどは保護者とも相談し、必要な場合には個別に休息をとれるように対応しています。

「子どもの想像的思考力を育てるＳＩあそび」には各年齢の発達段階を考慮した教材が用意されていますが、成果よりもそれぞれの発見や方法に共感し、個々のペースを尊重することで集中力を高めています。また、日々の保育においても各年齢や発達を考慮した環境を設定するなかで５歳児には昨年から個人机も用意されており、自由遊びと集団活動のバランスにも配慮しています。さらに、遊びや朝夕の会などを通して集団活動での経験を重ね、異年齢交流なども通して相手を思いやる気持ちや、周囲の迷惑になるような行動も学んでいます。

ＳＩあそびの指導では、子どもからの発信を待つ姿勢で言葉をひきだすことも大切にしており、日々の保育でも同様に接しています。遊びの中で数を数えたり、トラブルになった際に自ら謝ること、就学を迎える５歳児では、困った時に自分から助けを求めることなど、年齢や状況に応じたやりとりでつながる大切さを経験しています。また、様々な経験を通して子どもの興味や可能性を引き出し、伸ばしていけるように、絵画や体育指導、リトミック、英会話などの専門講師を招いたり、系列園とのサッカー大会・サッカー交流など、多彩な活動を取り入れています。

今年度はコロナ対策の観点から園外への散歩は見合わせています。散歩に出かけられなくなったことを考慮してマットを購入し、園の屋上や園庭、ホールをフルに活用して体力づくりに励み、園外で意識できていた交通ルールや乳児などは手をつないで歩くという経験も補えるように配慮しています。さらに、階段の踊り場にも季節感のある装飾を施し、本来ならば食育の観点から野菜を栽培していますが、今年度は自然を感じられるように菜園を作り、ひまわりなども育てています。秋には近隣の畑の協力を得てさつまいもを収穫することができました。

今年度は、感染拡大防止の観点から例年どうりに行事を開催することが難しい状況となっていますが、子ども達が楽しみにしている気持ちや頑張っている姿を保護者にも伝えたいという思いから、内容や開催方法を再検討して実施につなげています。幼児クラスの運動会はクラスごとの入れ替え制として保護者にも披露し、夏祭りは平日の保育時間中に行なう園内開催となりましたが、手作りのチケットを持ってゲームや綿あめ、ポップコーンなどを楽しむ姿は写真を活用して保護者にも伝えられています。

行事の企画は、年度初めに話し合う園のテーマに沿って検討しており、昨年からは、いつでも笑顔で頑張ろうという思いを込めて「スマイル」をテーマに掲げています。運動会の際には子どもの笑顔を装飾にも活用し、目標に向かって皆で楽しみながら取り組むことを大切にして達成感を広げています。また、作業負担の軽減や、より一層充実した取り組み方ができるように、系列園との話し合いで行事を見直しています。４歳児のサッカー交流を経て５歳児のサッカー大会につなげる法人の取り組みは、恒例行事となっており、子ども達の期待を高めています。

年度初めには年間行事予定を配布していますが、今年度はコロナ禍の影響で通常どうりの開催が難しくなった為、後期の見通しとして新たな予定表を配布しています。また、行事のお知らせに関しては、今年度導入したアプリでも配信できるようになり、保護者が閲覧しやすいように配慮されており、仕事で行事の当日に見に来れない保護者には予行練習の見学を案内して子ども達の喜びにつなげています。さらに、保護者が参加する行事に関してはアンケートを実施し、次年度の参考にしていますが、より多くの意見を募れるように自由記述式に変えています。

職員は、自由遊びと集団活動のバランスを考慮したり、好きな遊びを見つけて存分に楽しめる環境を整えて子どもの気持ちを満たしていけるように配慮しています。また、絵本や玩具も取りそろえた共有スペース(サンルーム)や、玄関スペースからはバスや車も眺めることができ、気分転換にも活用しています。伝言ノートの活用や、クラスミーティングの充実、個々の発達段階も複数の職員の共通認識の下で把握していることで、一人ひとりの子どもの個性や近況に配慮した対応の統一が図れるようになり、子ども達が安心して過ごせる環境を整えています。

早朝や夕方には合同保育を実施していますが、登園人数の状況や感染症などが流行っている場合には臨機応変に対応しており、コロナ禍においても、長時間保育における合同体制の見直しを図っています。また、合同時間には年齢が違っても遊べる玩具を用意したり職員が仲をとりもつこともありますが、当園では縦割り活動を積極的に取り入れている為、年齢の低い子どもをいたわりながら楽しむ自然な関わりが多くみられています。さらに、朝夕は固定の非常勤職員も配置して連日の様子を把握している為、子どもや保護者の安心にもつながっています。

当法人の栄養士達は、料理教室にも通って日々研究を重ね、子どもが食べやすく、美味しく、食事の時間が楽しいと思える給食を模索し、全園統一の献立を作成しています。提供後には、子どもの喫食状況なども含めて献立に関する検討や反省を欠かさず、即時反映しています。また、絵本を読んだりしながら活動後に高揚する気分の安定を図ったり、誕生会の際にはランチョンマットを使用して特別な雰囲気を作るなど、細やかな配慮が行なわれています。さらに、年齢に応じた食器や滑り止め機能のあるお盆などを導入して、食べやすい環境を整えています。

食物アレルギーのある子どもには、医師の指示書を基に原因となる食材を完全に除去した代替食を提供していますが、昨年度からは安全面を重視してつなぎにも使用しない方向で対応しています。また、誤食防止に備えてお盆の色を変えたり、名札の用意など見た目でも判断できる対策をとり、座席も専用のテーブルを用意しています。離乳食の提供を開始する際にはまず保護者に食べさせてもらう機会を設け、刻みの状態や形態などを見てもらったり、家庭での様子を見学して保育に反映しています。

給食・食育年間計画に基づいて食事のマナー指導や季節の食材紹介などのほか、５歳児にはクッキングも取り入れています。栄養士は、クッキングをより一層楽しんでほしいという思いから毎回大型絵本を作成し、料理の由来や使用する食材クイズ、その食材からできる料理の紹介など、活動に広がりをもたせて興味を広げています。さらに、法人の栄養士が編集した給食のレシピ本には、食に対する思いや調理の基本なども掲載されており、全保護者にその思いを伝えています。この本を見て家庭で再現したという話もあり、食のつながりを深めています。

当園の子ども達は、小さいうちから園舎の３階まで登っていたり、幼児クラスになると遠距離散歩にも出かけている為、脚力や握力が育まれていて、口もとをぶつける怪我が少ないそうです。散歩の際には、横断歩道の渡り方などを伝えていますが、並んで進んでしまう為、「一度止まって自分の目で左右を確認してから渡る」という習慣がつくように指導しています。また、身体測定の際には、看護師から時期的に関連する保健指導も行なっています。幼児クラスでは、熱中症対策として５月から水筒を持参してもらい、水分補給の大切さについても伝えています。

看護師は、入園時の個人面談への立ち会いや担任との連携も深めて子ども一人ひとりの健康状態を把握しており、必要に応じて随時保護者とも面談して専門的な観点からアドバイスしています。眼鏡の使用や食物アレルギーなどに関しては医師の指示に基づき、職員間の共通理解を深めたうえで個別に対応しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)に関しても、重要事項説明書や保健だよりなどでの情報提供や保護者会で注意喚起し、園にはセンサーも導入して目視とのダブルチェックで子どもを見守っています。

今年度はコロナ禍の影響で感染症対策の強化が余儀なくされました。子どもを守る為に職員も健康観察を記録し、検温・消毒の徹底、特に、子どもが共有する玩具の消毒には細心の注意を払い、こまめに実施して保育室の衛生管理に努めています。また、分散して遊べるように環境を工夫し、手洗いが必要なタイミングをイラストで表現して子どもに伝えています。さらに、待機位置に上履き型のシールを貼ったり、ラインを引いて間隔を保てるようにも工夫しています。保護者に対しても大きな掲示でお願い事項などを伝え、感染対策への協力を依頼しています。

今年度から、登降園の打刻や欠席連絡、園だよりなどの配信がアプリを活用してできるようになり、長期に渡る登園自粛期間中には、「遊び」の配信も行なわれていました。その内容は、親子のふれあい遊びや家庭にあるものを使った制作、簡単クッキングなどバラエティーに富んだもので、手描きのイラストや写真も活用してカラフルに紹介されています。また、相談にも随時応じる姿勢で、子どもにも保護者にも遠慮なく声をかけてもらえるように心がけて接しており、園で可能なことに関しては改善できるように前向きな姿勢で検討しています。

毎年、親子や職員との交流を深める「親子ふれあいデー」や「夏まつり」などのほか、定期的な保護者会には園長や看護師、栄養士などの専門職職員も参加して保護者との面識を深めていますが、今年度は行事の縮小や保護者会の見合わせが余儀なくされた為、個人面談を実施して保護者の思いに寄り添えるように配慮しています。また、保護者に配布された「ポリシーブック」には園が目指している保育の方向性や取り組みが具体的に紹介されており、系列園の栄養士で編集した給食のレシピ本には調理の基本や食を大切に考える園の思いも記載されています。

保護者には、進級前の保護者会で年間行事の説明や行事予定の配布を行ない、毎月の園だよりでも行事に取り組む子どもの様子や行事紹介を行なって参加を呼び掛けています。また例年では、保育参観は随時受付け、０・１歳児クラスに関しては子どもに気づかれないような細工をすることで普段の様子を見てもらえるように工夫し、幼児クラスの専門講師による指導にも自由参観日を設けています。さらに、給食の試食会も今年度はコロナ禍の影響で実現が難しくなっていますが、毎月園のおすすめレシピを印刷し、保護者が自由に持ち帰れるように設置しています。

当園は地域との交流をとても大切に考えており、毎年自治会のお祭りでは年長児が和太鼓を披露し、デイケア訪問やグループホームの高齢者には来園してもらい昨年は６回、高齢者との世代間交流を実施しています。ほかにも、在園児の祖父母や施設の高齢者を招く敬老会では、けん玉やめんこ、独楽回しなどの昔遊びなどを教わっています。また、図書館で催されるお話し会への参加、プラネタリウム訪問、警察官による交通安全指導なども実施しています。勤労感謝の日には近隣の商業施設や交番などに感謝の気持ちを込めて手作りのカレンダーを持参しています。

乳児クラスの縦割り活動「にこにこ保育」や夏まつり・運動会には地域の子育て家庭にも参加を呼びかけています。また、当園の伝統にもなっている縦割り保育のつながりから、行事のない平日にも多くの卒園児が遊びに来ており、小学校を２校訪問して授業風景の見学や体験、１年生との交流を行なっていた際にも卒園児が縄跳びを披露してくれることもありました。さらに、法人内７施設の恒例イベントとなっている４歳児のサッカー交流・５歳児のサッカー大会では、サッカー後にも遊びや食事を共にしながら同年代の園児との交流を楽しんでいます。

今年度作成して保護者にも配布されたポリシーブックには、守秘義務の徹底に関する園の方針が明確に記載されており、実習生や職場体験の学生とも個人情報保護誓約書を結んでいます。また、「業務マニュアル」や「職員の心得」などを通して子どもへの接し方を学び、子どもの自尊心や羞恥心に配慮した対応をとれるように努めています。日々の生活においても、着替えの際には全裸にならない着替え方を指導したり年中児以上のトイレや年少児後半からの午睡、身体測定は男女別に行なうようにして子ども達の意識を高めています。

職員は、子どもの想像的思考力を高めるＳＩあそびの指導における「プロセスを大切にする・子ども同士を比較しない・個々のペースを大切にする」という原則を日々の保育にも反映して子どもの自己肯定感を育んでいます。また、外国籍の保護者に対してもインターネットを活用して言葉を変換したり、外国語が話せる職員との連携を図って丁寧に対応しています。職員手描きのイラストで作成している「おたより帳」や、子ども達の食を豊かにして笑顔を増やしたい一心で作られている給食のレシピ本からも、子どもを大切に思う園の姿勢が伺えます。

法人全体で人権や虐待に関する研修を行ない、人権擁護のセルフチェックリストの活用しての振り返りや園内研修としても学びを深めています。また、職員間の連携や保護者との連携を深めて子どもの近況や各家庭の状況を把握し、保護者が困っていることや悩み・辛さに共感できるよう話しやすい雰囲気づくりを心がけることで子どもや保護者にとって安心できる風土づくりを目指しています。このような職員の思いは今年度配布されたポリシーブックにも明確に記載されており、保護者と共有しています。

法人で統一され、保育園の各業務や業務の各項目に沿って編集されている各マニュアル類は整備されていて、それらは事務所に配置していて、職員は常時閲覧することが可能となっています。また園によって事情や環境が異なる部分については園で主任を中心にして編集を行なって実情に適合するようにしています。その他、事故防止等で必須の業務、遊具点検、個人情報チェック、衛生管理点検、調乳者衛生チェック、乳幼児突然死症候群のためのチェックリストを備えて、担当がチェックを行ない、危険性の排除や発生の予防に努めています。

園児に対する指導計画については、毎年度法人傘下の各園の主任が集まる主任会を中心にして評価や反省、見直しを行なっていて、国による保育指針の見直しの際にも書式等も大きく変更を行なっています。指導計画の立案等に際しての職員の業務負担を減らすために、パソコン及びソフトの導入を行なうと共に、計画策定に慣れていない新人職員には各々の指導計画案の文案や例文等を準備するなど、業務の省力化を図るように努めています。