東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

職員採用時から保育理念、保育方針、保育目標を明確にして伝え、入社後もさまざまな機会を通じてそれらに触れることで理解を深めています。特に社内研修では毎回企業理念等を確認し、日頃の保育のあり方について振り返り、見直す機会を設けています。職員自己評価ではほぼ全員が理念等を理解できていると回答していることは、これらの取り組みによる成果の表れといえます。一方で保護者へ向けては入園のしおりに示しているほか、入園前の説明会や見学の際に伝えることで理解を促しています。

園長をはじめとした職員の職務は運営規程で明示しています。園長は昨年度途中に前園長に代わり就任しており、それまでの方法や考え方を見直して、職員同士は平等で、お互いに高めあっていくことで働く意欲を高めていこうと取り組んでいます。園長と共に運営面を支える役割を担うのが本部のエリアパートナーで、現在は毎週1回ミーティングを開いて円滑な運営ができるよう工夫されています。また、月1回の企業内の園長会議では必要な情報共有や話し合いを行い、その結果を職員に報告することで方向性を示しています。

運営会社全体の方針にかかわる事項は役員会及び経営会議にて決定し、その内容は事業部長から月1回の園長会議で園長に伝えられる流れとなっています。各園では定期的に職員会議が開かれていますが、そこでの解決が難しい場合には園長会で問題提起し、解決することとなっています。決定事項は書面や説明の機会を設けて職員、保護者へ伝えられています。そのほかに、企業内で良い保育の取り組みがあった場合にはエリアパートナーから園長に共有され、その内容は議事録に残して職員に共有する流れも確立されています。

保護者からの意見を聞く機会として、懇談会や運営委員会、行事後のアンケートなどが複数あります。また日頃から送迎時の会話や面談、連絡ノートを通して意向を把握するよう努めています。さらに年度末に保護者アンケートを実施してその結果をグラフにして分析するなど、多角的に状況を把握し、課題を抽出しています。職員からは年度末に会議を開いて次年度に向けての課題を検討しているほか、地域の現状を区内の園長会に参加したり、運営委員会に第三者委員を招いて情報収集するなど、課題の抽出に努めています。

園の1年間の活動方針を示した事業計画書を毎年作成しており、保育の計画から行事、給食、研修などの構成になっています。しかし、中長期を見据えた計画は現時点では作られていませんでした。開園して2年目とまだ若い園ですが、将来に向けてどのような方向へ向かうのかを示すために中長期計画を策定するとよいでしょう。なお、運営に関する予算は本部が管理しており、園では夏祭りや運動会などの大きな行事は2か月前から予算編成して、本部に稟議書をあげる流れとなっています。

毎週のリーダー会議（11月以降は月1回）と毎月の職員会議で活動状況を確認、検討しています。特にリーダー会議は園長が就任してから始めた取り組みで、毎週行うことで情報の共有と理解が進んでいます。子どもが少数であるため自分のクラス以外の子どもにも目を向けることができ、園全体で一人ひとりを保育していけるようにしています。行事については行事計画申請書を担当者が作成して計画的に準備等を進められるようにしており、担当者のみに負担がかかることがないよう役割分担して行えるようにしています。

保育運営マニュアルの中に「人権尊重と個人情報保護」や「心得（社会人としての基本行動指針など）」「虐待対応」などの項目があり、これらの内容について本社主催のオンライン研修で学んでいます。また、就業規則にも職員として守るべき事項が示されており、全職員が必ず読むことになっています。入社前研修でもこれらについて資料を読むこととなっており、継続的に職員が意識して遵守できるように取り組んでいます。

苦情解決制度のことは入園説明会にて説明しているほか、入園のしおりにも記載して保護者への周知を図っています。利用者調査では「該当するケースがなかったので相談したことがない」などの意見がみられた一方で、「知っている」と回答した保護者は半数以下となっているため、周知方法に工夫が望まれます。虐待防止に向けては昨年度に職員が研修を受講して、その内容を内部で共有する取り組みを確認できたほか、虐待防止マニュアルが備えられており、その内容に沿った対応を心がけています。

開園2年目の新しい園ですが、地域へのかかわりは積極的に取り組んでいます。子ども達が近隣の高齢者施設へ敬老の日に訪問してプレゼントをしたり、近隣の保育園の園庭を借りて園児同士の交流をしています。関係機関とのかかわりとしては、月1回の区内の私立保育園連合会会議に参加しているほか、その中で行われる研修や栄養士部会などにも参加して連携を図っています。また、公私立地域懇談会にも参加して、学区が同じ保育園が集まって意見交換をしています。区内にある系列園との交流も定期的に行われています。

リスクマネジメントに関する各種マニュアルが揃えらえており、様々なリスクに対して備えています。「安全管理マニュアル」では事故、健康管理について、「災害対策マニュアル」では火災、地震について、さらに「散歩マニュアル」では危険箇所の把握などについて、網羅的に対応方法が示されています。これらマニュアルの内容を確認する本部の研修が設けられており、また園内で定期的に確認もすることで事故防止等に努めています。今年度はコロナウィルス対策として杉並区、本部からの情報を随時確認し、対策に努めていました。

事故等が起きた際には、「ヒヤリハット」「軽傷報告書」「事故報告書」の3種類の報告書を内容によって使い分け、記録しています。その中でヒヤリハットは1人月2枚以上提出するよう促すことで、職員のリスクに対する意識を高めています。これらの記録は毎月の職員会議で確認し、検証と予防について話し合っています。災害時対応として、「循環備蓄食品運用マニュアル（ローリングストック法）」を策定して、非常食等の備えをしていますが、BCP（事業継続計画）については未策定となっているため、今後の課題といえます。

保育運営マニュアルの中に「情報管理」の項目があり、文章等を作成するにあたっての表現に関することや、記録する情報が最新かどうかをチェックするなどのポイントが示されています。保育書類に関しては一部を除いて実名での記載を避け、個人が特定できないよう配慮もされています。これらの書類の保管状況は毎月末に園長等がチェックしています。パソコン内のデータについてはアクセス権限が設定されており、パスワードも一定期間で変更することで情報漏洩等の防止に努めています。個人情報の取扱いは規程に基づいて行われています。

職員採用においてチェックシートを用意して、保育園が求めている人物像と合っているか、理念に共感しているかを見定めています。正規職員は本社で採用し、その後各園へ配属される流れとなっています。今後は現場のことをよく知ってもらうため、また現場側が欲しい人材かどうかを判断するために、園長が面接することも検討されています。非常勤職員の採用については園長の判断で行われています。企業内に複数の系列園があることから、職員意向調査アンケートを基にして育成や将来の人材構成を見据えた人事異動が定期的に行われています。

保育運営マニュアルの中に「階層別の職員の役割と研修課題」があり、初任者から園長までの5階層のキャリアパスが示されています。また、長期的な育成を目的としたキャリアアップを導入して、自己評価シートを基にした人材育成計画を策定していますが、キャリアパスとの連動という点では確認できませんでした。職員本人の希望とキャリアパスとの方向性を確認し、両者を一致させた計画と実践が望まれます。その他では、毎年年度初めに杉並区開催の研修一覧から参加希望を募って研修計画を作っています。

職員の就業状況は常時確認し、休暇希望をできる限り応じられるようにしたり、早番や遅番など公平にシフトを組むように配慮することで、働きやすい環境づくりに努めています。園長は職員一人ひとりの健康状態や精神状態を把握し、労いの言葉を多くかけるようにするなどの工夫もしています。また、園内のコミュニケーションを活発化するために大きな行事の後に食事会を設けて親睦を深めることもしています。これらの取り組みにより職員間の関係性が改善され、一体感のある保育が行われています。

園のホームページやパンフレットなどで利用希望者等に園の情報を提供しています。ホームページには法人の概要、保育理念・保育方針やデイリープログラム、保育内容などをイラストと写真入りで分かり易く掲載しています。園のパンフレットには園での過ごし方がわかるように、施設内の写真と共に園の概要、行事予定、保育に対する姿勢や理念を具体的でわかりやすい言葉で掲載しています。

園の概要は区が発行する「保育園のご案内」に記載して広く伝えています。また、毎月実施する区の私立保育園園長会に園長が参加して、区からの情報を得ると共に必要に応じて園での状況等を伝えています。年４回実施している巡回相談では、区の保育支援係の職員と心理職が子ども達の様子を確認し、園の状況や対応についても情報提供しています。

入園希望者等からの問い合わせには園長または主任が対応しています。電話での問い合わせには、子どもや保護者の状況に応じた情報を伝えています。見学は予約制で開園日の平日１０：００に実施しており、保護者や園行事等の都合に応じて日程を調整しています。見学は１日２名までとし、日常の保育の様子や環境設備等をゆっくり見学してもらいながら、個別の質問にも丁寧に応じています。特に、少人数制の保育できめ細やかな温かい保育を実施ている点を詳しく説明し、園の保育を理解してもらえるように働きかけています。

入園が決まった保護者とは個別面談を行って、入園後の保育に備えています。面談では、家庭の状況や既往歴、授乳や食事、排泄や睡眠、アレルギーの有無、名前の呼び方、個別の配慮事項などを詳しく把握し、「入園時面談シート」に記録しています。また、面談の内容と、「入園時健康診断書」「児童票」を踏まえて「入園前発育状況確認票」を作成して、家庭での生活リズムとつながりのある保育ができるように備えています。併せて「入園登録書兼保育時間申請書」および「個人情報取得同意書」の説明をし、同意を得ています。

保護者との個別面談の後に入園説明会を開催しています。園長より「入園のしおり」（重要事項説明書）に基づいて保育理念・保育方針や園の概要、開園時間、一日の流れ、年間行事、その他の重要事項の説明を行い、園の提供するサービスに同意が得られるよう努めています。また、園で使用する持ち物や駐輪場・駐車場などの建物に関する注意事項、子どもの安全管理上必要なご協力のお願いなどをわかりやすく説明しています。

入園にあたり、食事の内容と量、睡眠時間や睡眠時の姿勢、家庭での呼び名、好きな遊びなどをきめ細やかに確認しています。家庭での生活から無理なく園での生活に馴染めるように配慮しています。環境の変化によるストレスを軽減するために、「慣れ保育」の実施を勧めています。保護者の就労状況や子どもの様子に応じて、家庭と連携しながらその期間や時間を調整しています。新規入園児の多いクラスでは特に家庭との連携も緊密に図りながら、職員配置を工夫して子どもがストレスなく新しい生活に移行できるように保育を進めています。

子どもの成長する姿や生活の様子は、「発達の記録」（項目別に発達を確認するチェックリスト）「子どもの成長と保育の経過の記録」（指導経過）「個別面談票」（保護者面談記録）「健康手帳」（既往・予防接種・身体測定の記録）などに記録しています。また、指導計画類や保護者との「連絡ノート」および「かけはしノート」（１～２歳児のみ。園と家庭で毎日の子どもの姿を記録したもの）、「週案・日案」「伝達ノート」（日々の保護者との連絡事項や健康状態の記録）などにも記録しています。

園では「年齢別指導計画」および「個人指導計画」（２歳未満児）を作成しています。「年齢別指導計画」や「個人指導計画」は、子どもの発達状況や園や家庭での様子、家庭環境等にも配慮して作成しています。また、特別な配慮が必要な子どもには、「個人別月間指導計画」を作成し、きめ細やかな保育や見守りをすることとしています。指導計画は、子どもの成長に応じた目標を定めて、保育をする上での配慮や家庭との連携、子どもの様子や反省等を記録して次期の計画作成や目標の見直しに反映させています。

「児童票」などの基本情報は、個人別ファイルにまとめて職員がいつでも閲覧できるように備えています。保護者との会話から得た情報や保育に必要な申し送り事項は各クラスの「伝達ノート」を使って、職員間での情報共有を図っています。「伝達ノート」は園長と主任も全て確認し、申し送り事項を把握しています。また、職員間の業務連絡は「職員共有日誌」を使って、伝えるべき情報を整理しながら日々の保育にあたっています。職員は必ず「伝達ノート」と「職員共有日誌」を確認してから保育に入ることとしており、情報共有の徹底を図っています。

「児童票」や「入園前発育状況確認票」「健康手帳」では、子どもの健康状態、生活の様子、家庭の状況などの基本情報を把握しています。家庭や園での日々の子どもの姿は、保護者との会話や個人面談、「連絡ノート」および「かけはしノート」を通して共有しています。子どもの成長する姿は、指導計画類や「週案・日案」「伝達ノート」「保育日誌」などのほか、「発達の記録」「子どもの成長と保育の経過の記録」「個別面談票」などに記録しています。子どもの全体的な姿を把握して、保育に反映させています。

「子ども主体の保育」を目指して、子ども一人ひとりの好奇心を引き出し、好きな遊びにじっくり取り組める保育を目指しています。玩具は、肌触りの良い玩具や指先を使う玩具、おままごとの布団など子どもの発達や興味に応じて手作りのものをふんだんに取り入れています。コーナー保育は、すぐに遊びの世界に入れるように、静と動の遊びや五感で楽しめる遊びなどをバランスよく準備して子どもの意欲や好奇心に働きかけています。折り紙や工作の素材となるものを用意して、子どもの想像の世界が広がるように働きかけています。

「かみつき」など小さな子ども同士のトラブルには、職員配置や食席などの環境構成を工夫したり、子どもが落ち着くように職員が個別でスキンシップを図るなどの対応をしています。少人数制のメリットを活かし、子どもの成長を見守っています。年長児のトラブルでは、職員が仲立ちをしながら子ども同士でトラブルを解決することができるように支援しています。年長児は、朝の会で自分の気持ちとその理由を言葉にして発表する機会を持っています。感情を言語化したり、思いやりの心を育んでおり、子ども同士でトラブルを解決する能力につなげています。

登園時には子どもの体調や前日からの変化を視診し、保護者から保育に関する要望を聞き取るとともに、「かけはしノート」や「連絡ノート」を確認しなが子どもの様子を把握しています。子どもの体調や特記事項は「伝達ノート」に記載して、職員間で共有しています。本年度からは、感染症対策として園長または主任が玄関での子どもの受け渡しをしており、降園時には重要な事柄は口頭でも伝えています。子ども達の園での姿を出来るだけわかりやすくお伝えするために、行事だけでなく毎日の活動の様子も玄関前に写真入りで掲示しています。

食事は入園時に食材や食形態の進捗状況を確認し、給食の調整をしています。トイレトレーニングは、排泄の間隔を確認しながら家庭とも足並みをそろえて実施しています。衣服の着脱は、職員が一人ひとりに寄り添い、手を取りながら教えています。箸は、トングで物をつまむ遊びから始め、フォークなども一緒に用意して、楽しく箸を使った食事に慣れていきます。園では「愛情をいっぱい受けている」と感じられる関わりを大切にしており、無理せず子どもの気持ちを尊重しながら取り組んでいます。

園では午睡時間を設けて生活リズムを整えていますが、体調不良の際には適宜休息の時間を設けています。家庭の要望で午睡の時間を調整することもあります。保育室は照度を落とし、オルゴールの曲を聴きながらリラックスできる環境づくりに努めています。なかなか眠りにつけない子どもには、背中をトントンするなど一人ひとりに合ったスキンシップで休息を促しています。年長児は１月より午睡をなくし、就学に備えた生活リズムを身に付けられるように支援する予定です。

自由保育を基本に、子どもが積み木やブロック遊び、おままごとやお絵描き、粘土や制作などの多彩な遊びを通して、思い思いの遊びの世界を広げられるように十分な遊びの時間を設けています。また、空いた時間に遊びや制作の続きに取り組めるように準備などの配慮をしています。玩具や絵本は、発達や一人ひとりの遊びの世界に応じてきめ細やかに入れ替えたり、折り紙やお絵描き、廃材を使った工作など、子どもの遊びの広がりに応じて様々な文房具なども用意しています。じっくりと遊びに集中できる環境は、子どもの創造性を引き出しています。

季節の移り変わりを楽しみ、行事への関心を引き出すために、戸外活動で見た風景や動植物の姿を制作に反映させたり、給食の献立や絵本、紙芝居、歌などにも季節感を取り入れています。生活の様々な場面で五感を使いながら四季の移り変わりを体感し、自然の恵みに目が向けられるように働きかけています。季節の制作は、子どもの発達に応じて取り組めるものを職員が見本を見せながら子どもが制作し、作品は保育室に飾ってみんなで季節感を味わっています。これらの作品は年度末に作品集として持ち帰り、親子で１年間の成長を喜ぶ記念としています。

地域には遊具の充実した公園、四季折々の樹木や虫に出会える公園、小さな子どもが安全に遊べる公園などが複数あり、目的に応じて訪れています。職員が手作りした四季ごとの図鑑（地域で出会える動植物の名前と写真が載ったもの）を持参して、子どもとの会話を弾ませています。雨天時や猛暑日には、屋内のボルダリングやすべり台、マット遊び、トランポリン、鉄棒などで体を思いきり動かして遊ぶことができます。テラスではプール遊びやナスやキュウリの栽培、ひまわりや朝顔の水やり、飼育している亀の日光浴など様々な自然に触れる体験をしています。

例年、七夕や運動会、夏祭り、生活発表会など、様々な楽しい季節の行事を行っています。本年度は、感染症対策のため、多くの行事予定を変更せざるを得ませんでした。しかし、子ども達にとって楽しい取り組みとなるように、活動の中で屋台ごっこや盆踊りごっこなどの機会を設けて夏祭りの気分を味わいました。また、運動会ごっこは、日にちや参加クラスを分散することで、かけっこや玉入れ、綱引きなどをじっくり楽しむことができました。生活の中で行事の雰囲気を体験し、日頃の生活に彩りを添えています。

保護者には年度初めに年間行事予定表を配布しています。例年は、保護者参加型行事を土曜日に設定して参加しやすいように配慮しています。クリスマス会ではサンタに扮してもらえる保護者を募集して協力してもらっています。本年度は保護者参加行事が中止となり、保護者が子どもの活躍を直接見る機会が減ってしまいました。そのため、運動会ごっこや生活発表会（予定）は保護者のみが閲覧できる形で動画配信サービスも実施しています。園では今後も、保護者の理解と協力を得ながら成長する子どもの姿を共有したいと考えています。

夕方は１７：３０から合同保育となっており、異年齢で楽しく遊んでいます。それぞれの子どもが好きな遊びに取り組むことができますが、乳児も一緒のため安全に十分配慮するように心がけています。子ども達は、小さなブロックなど乳児に危険のある玩具は使用しない、部屋の中で走り回らないなどのルールを守って遊んでいます。また、乳児の側には必ず職員がついて安全を確認しながら、楽しく触れ合える環境を設けています。

１８：３０から１９：３０までは延長保育の時間になっており、補食を提供して安心してお迎えを待つことができるようにしています。今のところ、延長保育の定期利用をしている子どもは少なく、職員ともスキンシップをとりやすい環境となっています。お迎えを待つ間、楽しいという思いや特別感のある時間が過ごせるように、他のクラスの玩具を提供して飽きずに過ごせるように配慮しています。

給食は栄養士の作成した献立を基に園内で調理しています。味付けは旬の食材を中心に薄味で調理しています。お雛様の季節にはちらし寿司、誕生会にはケーキやお子様ランチを提供するなど、行事や季節感を大切にしたメニューも取り入れて、食べる喜びが感じられるものとなっています。毎月の職員会議では、各クラスより食事の形態や子どもの嗜好など給食のメニューについて意見を出し合い、メニューの改善に反映させています。本年度は、パスタの長さを調整して食べやすさを改善しています。

入園の際には、離乳食を完了してもらっていますが、家庭で食べたことのない食材は園で提供しないように家庭とやり取りして、安全を確認しています。アレルギー対応が必要な場合は専用献立を用意して、毎月園と保護者間で除去食、代替食を確認した上で提供しています。アレルギー対応食の提供は、調理と職員で３回確認した後、一番先に配膳しています。テーブルを分けて、専用トレー、専用食器を用意しています。本年度は、感染症予防対策として子ども達のテーブルに衝立を設置して、飛沫飛散防止に努めています。

園のテラスでは、ナスやキュウリなどの夏野菜を栽培し、その成長を見守りながら野菜に親しむ機会を設けています。またピーマンや玉ねぎなどで野菜スタンプの制作も実施しています。クッキングでは、一人ひとりのお皿でラップを使ったおにぎり作りやスイカ割りなど、感染症対策を図りながら楽しい調理活動をしています。

日々の保育では、生活習慣の定着として手洗いやうがい、ソーシャルディスタンスなどの感染症対策を働きかけて、健康への関心を高めています。４、５歳児クラスでは、歯科衛生士が絵本や紙芝居を使って虫歯予防の指導をしたり、歯の染色によるブラッシング指導などを行っています。戸外活動では出発の前に職員と共に交通ルールや危険個所を確認し、公園ではマナーや約束事を確認してから遊びを始めています。毎月の避難訓練では、「おかしも」の防災合言葉を確認しながら災害への関心を持たせています。

子どもの健康状態や既往歴、発達の様子は「児童票」等で詳しく把握して、子どもの健康維持に努めています。発達の気になる子どもについては３カ月に１回、区の巡回相談の際に、保育支援係の職員や心理職の職員に子どもの姿や成長の様子を確認してもらい、保育へのアドバイスを得ています。また、必要に応じて保護者を通して医療機関や療育センター等の関係機関とも連携を図り、緊急時の対応やその子に合った接し方などを保護者と共有しています。園での投薬がある場合には「投薬に関する同意書兼指示書」を提出してもらい、対応しています。

乳幼児突然死症候群など、子どもの病気やけがに関する情報は「入園のしおり」や園内の掲示物等で、家庭での注意を呼び掛けて啓発に努めています。３カ月に１回発行する「ほけんだより」では、季節に応じた健康情報で熱中症対策や感染症予防など、保護者の意識向上を図っています。年２回の嘱託医による健康診断では、保護者から事前に質問事項を預かり、医師の回答を保護者に伝えることができます。新たな感染症対策や園内で感染症が発生した場合などは、速やかに詳細を伝えて保護者が迅速に対応できるように働きかけています。

保護者が働きながら安心して子育てをすることができるように、急な延長保育の希望や事前に申請のうえ土曜日の利用についても対応することができます。保護者の就労状況のほか、通院や個別の事情による延長保育にも対応し、保護者の子育て支援に努めています。子育てや生活習慣の定着に関する不安や疑問については、子ども一人ひとりの様子に応じて個別に情報を提供したり、具体的なアドバイスをしています。保護者と共に子育てに向き合い、子どもの成長が喜びあえるように信頼関係の構築に努めています。

園の廊下にはお勧め絵本が飾られたソファー空間があり、保護者や子どもが、お迎えの際に会話を弾ませて交流を図る環境を設けています。また行事では、親子競技などを通して体を動かしながら、保護者同士で子どもの成長を喜びあう機会としています。クラス懇談会では自然な親同士の交流を図ったり、保育参加を通して園の保育に参加する機会を設けています。しかし、本年度は感染症対策としてこれらの仕組みを活用することができませんでした。園では今後の動向に応じて、柔軟に対応を検討することにしています。

保護者の希望に応じて、オンラインでの個人面談を予定しています。また、保護者参加の行事に代わり、行事の動画配信で子どもの成長と保育の姿を伝えています。クラス懇談会は、対面でのコミュニケーションはできませんがオンライン上での開催を予定しています。コミュニケーションの方法を工夫して園での活動や保育の姿をお伝えし、保育への共通理解を得られるように努めています。行事や保育に関するアンケートや運営委員会などを通して、保護者の意見や要望を積極的に聞き取り、その結果や園の回答を保護者に伝えています。

昨年度は、敬老の日に地域の高齢者施設を訪問して交流を図りました。また、近隣の園庭のある保育園に招待されて一緒に遊ぶ機会がありました。本年度は感染症対策として、敬老の日に子ども達の制作物を高齢者施設に間接的にお届けするにとどまっています。本来ならば今後、同世代の子どもと触れ合う機会や、小学校との連携や進学を見据えた交流事業を設ける機会の確保を進めたいところですが、園では今後の動向を見ながら、子どもの安全を第一に柔軟に検討していきたいと考えています。

創立から日も浅いため、園外の様々な人との交流を持つ機会は開拓中です。また、園では地域の方々との温かい交流が生まれることを望んでいますが、感染症予防の観点や小さな子どもを預かるという園の特性を考慮して、安全で安心な範囲で子どもの経験の幅が広がる地域交流の機会があればその検討をしたいと考えています。

法人では個人情報保護に関する「個人情報取扱規程」を定め、職員には入社前研修で周知徹底を図っています。また適宜、園長より職員会議や申し送りの中で、個人情報の取り扱いやプライバシーに関するニュースや事例を紹介して、職員の意識向上を図っています。入園の際に保護者には、園での個人情報の取り扱いについて丁寧に説明し、「個人情報取得同意書」に署名捺印をもらっています。同意書には、子どもの写真撮影や関係機関との連携に必要な情報提供など、個人情報の取り扱い場面を具体的に明示しています。

おむつ替えはトイレ内で全裸にならないよう配慮して実施しています。着替えも、上下順番に着脱をして全裸にならないように支援し、外部から見えないようにカーテンを使用しています。また、法人では男性保育士向け研修を実施して、社会の誤解や偏見を受けないように、羞恥心に配慮した対応を学ぶ機会を設けており、女児のおむつ替えは女性保育士のみで実施することとしています。排泄の失敗などについては、子どもや保護者にも否定的な言葉かけはせずにそっと声を掛けて、子どもの自尊心を大切にした関わりに努めています。

園では不審なあざや傷など、子どもの様子に虐待の兆候があった場合には、「虐待対応マニュアル」に沿って対応することとしています。また、職員は子どもの様子や保護者の様子にわずかでも異変を感じた場合には、主任や園長にその旨を伝えて、子どもや保護者の様子を園全体で見守りながら、虐待の予防や早期発見に努めています。子どもの様子について注意を払い、必要に応じて連携を図ります。

法人では「保育運営マニュアル」「安全管理マニュアル」「災害対策マニュアル」「虐待対応マニュアル」「循環備蓄食品運用マニュアル」などのマニュアル類を整えて、各園に配備しています。また、当園の運営に即したものとして「安全点検チェックリスト」や「早番・遅番チェックシート」を備えています。園の玄関には「散歩マップ」と「公園紹介」を保護者も目にする場所に掲示しており、写真やイラスト入りで公園とその経路ごとに、具体的な危険個所を示した実践的なものとなっています。

法人の園長会では、毎月各園の職員や保護者から挙げられる要望を検討して、マニュアルの見直しと改訂に反映させています。また、感染症対応などは各行政機関からの通知に即して、速やかに園での体制や対応を変更しています。園内では本年度、職員の意見を反映して書類の管理方法や書式について改善しています。保護者からの意見や要望については、園からの回答や改善策等と併せて保護者に伝えています。本年度は、保護者からの意見を反映して、駐車場の使用方法や安全管理について明確にし、より良いサービスの提供につなげています。