東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

こばとグループの保育に関する基本的な姿勢を示した資料には、保育テーマ「愛情たっぷりの保育で安らぎと感動のもてる子ども達を育てる」が最初に示され、保育目標、保育の具体的内容が示され、職員との読み合わせの中で共通認識を図れるようにしています。月1回の保育士会議などでも、法人や園のビジョンについて経営層から伝えられることもあり、職員が同じ方向性で保育にあたれるよう働きかけています。若い職員集団であるからこそ、保育テーマや保育目標などについて目線合わせを行いながら、日々の保育に生かせるようにしています。

年度初めに保護者会にて、園の目指す保育や子どもの姿について説明するとともに、重要事項説明書を配布し、周知を図っています。重要事項説明書には、保育のテーマと保育の場での具体的実践として、「子ども第一主義」「異年齢保育の実施」「意味のある問いかけ」「言葉への豊かな感覚」の4つを位置づけています。利用者調査の日々の保育に関する設問においても、高い満足度が示されており、保護者にも園の取り組みが伝わっていることが推察されます。

行事ごとにアンケートを行い、保護者からの意見や要望を汲み取り、次年度に活用できるようにしています。また、職員からは3か月ごとにアンケート調査を実施し、改善が必要であれば、対応することとしています。しかし、こうした意見や要望、保育業界を取り巻く動向について十分に現状分析が行われておらず、事業計画書の内容が組織づくりや保育の質を高めていくための内容になっていません。今後、事業計画書を作成するうえで前年度の実施状況（事業報告書）を踏まえ、現状分析を行い、重点目標や行動計画の方向性・方針を定めることが期待されます。

単年度事業計画書には、保育目標「信頼関係を築き、達成感の喜びを与える保育」の実現に向けて、法人の理念の達成を目指し、感謝の心をもって活気ある健全な社会の創出と発展に貢献することが示されています。しかし、保育目標を実現するための重点目標や具体的な行動計画が示されていません。今後、園の目指す保育や人材育成などのありたい姿・目標を中長期的に設定するとともに、その実現に向けて何に取り組まなければならないかを行動計画として具体的に示し、職員間で共有、実践していくことが期待されます。

こばとグループの保育基本資料には、職員として、また保育士としての心得が示されており、「手間をかける」とは対子どもに関することを丁寧に行うこと、「愛情をこめて楽しい保育をしよう」とは子どもの主体性を尊重した保育を行うことが込められたキーワードです。また、否定的な表現を避けた言葉遣いの徹底やトイレトレーニングにおける子どもの羞恥心への配慮、子どもへの伝え方（叱るのではなく教える）といったことも盛り込まれており、具体的な事例を交えながら社会人、保育士としての心構えなどを伝えられるようにしています。

保育士のチェックリストを用いて、日々の保育を振り返っています。仕事上のマナー、保育の技術、子どもとの接し方、親との接し方、同僚・上司への接し方、仕事に対する姿勢、事故の能力向上、室内・外の環境、子どもへの対応の視点で85項目について、出来ているかどうかチェックしています。言葉遣いや立ち居振る舞いを振り返ることで、保護者との関係性の構築にもよい効果をあげており、利用者調査における言葉遣いや保護者との関係性についての設問では、8割を超える方が満足していると回答しており、取り組み成果があがっていると推察されます。

地域活動推進事業として、隣接する介護老人保健施設の利用者や勤労感謝の日など製作物を地域の方にプレゼントしたり、町内会の夏祭りに参加するなど、世代間のふれあい活動を行っています。また、卒園児や地域の子どもと交流したり、ボランティアや近隣中学校の職業体験、高校生のインターンシップを受け入れ、保育士の仕事に関心を持ってもらう機会づくりを行っています。近隣の小学校との交流機会を増やせるよう行事へ参加したい旨を学校側へ提案するなど、地域連携の拡充や地域子育て家庭へのさらなる支援の展開を検討しています。

事故やヒヤリハットについては所定の様式にて、記録化しています。ヒヤリハットは現場の状況を俯瞰図で表し、環境・保育方法の視点で発生原因・問題点を取りまとめ、改善策を見出し、再発防止に取り組んでいます。しかし、ヒヤリハットの内容にはケガをしてしまった事後内容も含まれており、事故を未然に防ぐための情報という点においては、混在してしまうと推察されます。今後、ヒヤリハットと軽度の事故（インシデント）に分けたり、改善策についての評価・検証（PDCA）を行うなど、リスクに対して予防する視点を強化することが期待されます。

毎月の避難訓練では、厨房からの出火（火災想定）、地震・大規模地震（広域避難場所へ避難）、地震からの津波（屋上へ避難）、不審者の侵入など、様々な想定により、避難場所も変えて行っています。事故や嘔吐処理などのシミュレーションを通して、経験値を高めています。災害時対応について防災計画を作成していますが、事業継続計画はありません。今後、災害発生時の職員の参集基準や具体的な初動対応、保護者の勤め先の対応を把握するなど、事業を継続するうえで必要な情報をまとめ、日々の訓練を通して内容をアップデートすることが期待されます。

保護者とは個人情報の同意書を取り交わし、個人情報の取り扱いマニュアルに基づいて、適切な個人情報の管理を行っています。パソコンにはパスワードとパスコードを設定し、アクセス制限を設け、機密情報の漏洩を防止しています。児童表などの書類は施錠できる棚に保管し、5年間の書類保管を行うなど、規定・ルールに基づいた管理を行っています。

法人では職員のキャリアアップ制度を導入しており、法人職員として求められる期待人材像を各項目と基準となる行動で示しています。しかし、法人として求める職責や職務内容に応じた長期的な展望（キャリアパス）の策定はありません。職員自身が今後のキャリア形成や必要な能力開発の見通しが持てるよう、職層（等級）ごとに求められる内容をキャリアパスとして取りまとめ、評価シートの各項目と基本となる行動に基づく組織的な人材育成に取り組むことが期待されます。

仕事を見直し、「仕事の割り振り方」「部下への声のかけ方」の重要性を改めて認識するとともに、職場のリーダーとしてのあり方を確認し、後進育成や課題解決の進め方を学ぶことで、組織における主力人材としての力を磨くため、施設長、主任を対象とした研修を行っています。研修では、業務成果面と自己成長面についての目標と行動計画を立て、4か月後の自己成長に向けた目標を設定し、人材育成に取り組んでいます。また、勤続年数に応じた研修を行っています。現在、より法人が求める人材像に近づけられるよう、内容を再検討しています。

研修受講後は研修レポートを作成し、他職員と共有することで、個人の学びを組織の学びに繋げています。研修レポートでは、学んだこと・理解したこと、気づきを得たことや興味関心がわいたこと、それをどう生かしたいかをまとめます。また、「虐待への気づきと機関の役割」「職員のメンタルの安定と仕事への向上心を育てるために」「防災講座」など、職員間で共有した方がよい研修については、資料に職員が目を通し、感想文をしたため、共通認識を図っています。また、研究発表大会にも参加し、新しい保育の考え方や気づきを得る機会となっています。

法人作成のホームページにて当園の情報を発信しています。法人全体の取り組みとともに法人経営の他園の情報も一緒に確認できる利点があります。「小鳩の保育」と題して保育方針が記載され、園の概要があり、園での過ごし方は年齢別に時系列で取り組み内容が記載されています。その他、給食の献立と食育に関する取り組むを知ることができます。パスワードが必要となりますが、保護者は園だより・クラスだよりを確認することができます。その一方で園の特徴や職員の取り組み内容などの情報は改善の余地があると推察されます。今後の工夫が期待されます。

江東区のホームページでも当園の情報を得ることができます。区で実施している子育て支援地域活動にも参画しており、実施園ということで区のホームページ上でも案内がなされています。法人や区のホームページ以外に当園を知っていただく機会としては、園外の掲示板なども活用していますが、パンフレットやリーフレットの作成は特に準備されていない現状にあります。園の特徴を写真やイラストなどを用いて紹介することも、情報収集したい方にとって視覚的情報の提供は有効と推察されます。今後の取り組みが期待されます。

基本としては毎月2回、見学会を設定し、見学希望者への対応を行っています。所要時間は30分くらいで、園の概要説明や園内を案内しています。見学者には、園の特徴として、ワンフロアの特徴として、園児同士の交流が頻繁であること、園庭はありませんが、近隣には多くの公園があり散歩に頻繁に出かけていること、また、園バスを利用して公共施設や大きな公園に行っていること、情操教育を取り入れており、様々な体験ができることを伝えています。今後は見学者が持ち帰りできるリーフレットやパンフレットがあるとより便利かと推察されます。

入園にあたり、保護者から利用状況届出書、成長の記録などの必要書類を渡し、園生活において必要となる情報収集・整理を行っています。入園にあたり園のルールを理解いただき、園生活を送っていただくために、「利用のしおり（兼　重要事項説明書）」を用いて保護者に説明しています。園の運営方針、保育計画、１日の保育スケジュール、昼食等について、保健に関することや園児の持ち物についてなどがまとめられています。更なる取り組みとしては保護者がより理解できるよう、園児の持ち物などは写真やイラストで示すなどの工夫も期待されます。

当園では、布オムツを使用しています。布オムツの使用は法人全体の方針であるため、保護者に対して、布オムツだとオムツ被れも少なく子どもたちが過ごせていることを説明しています。その上で、布オムツの使用についての意向を保護者から聞き取り、布オムツ使用を希望しない保護者については、紙オムツ対応としますが、自宅から持参していただくようにしています。園の方針であっても保護者に無理強いすることなく、柔軟に対応しています。

地域交流の一環として、近隣の幼稚園でのプール活動や、小学校で行う行事へ参加など、年長児は小学校就学に向けて、地域の中で顔なじみの関係を作る機会を持つことができています。小学校との交流は、小学校側にとっても、新一年生となる子どもの様子を知る良い機会につながっていると推察されます。また、卒園後も園の行事に参加する機会があるなど、子どもの成長を見ることができます。地域の中にある園として卒園児や保護者にとっても相談できる場所として、地域交流は今度も継続していきたいと園は考えています。

保育所保育指針の改定に対応し、「全体的な計画」を基に各クラスの年間指導計画、月案、週案を作成しています。年間指導計画は、子どもの姿、４期に分けたねらいと養護は生命の保持、情緒の安定、教育は5領域で、食育、環境構成、健康及び安全、保護者に対する支援、保育士の援助と配慮の項目で作成しています。4期ごとに「保育士の自己評価の視点」が記載され振り返りを行っていますが、全体を網羅した評価という点では改善の余地があります。子どもの発達状況に合わせたクラスの現状把握できる振り返りができるよう工夫することが期待されます。

乳児の個別目標はクラス全体の月案の中にまとめられ、職員がクラス・個別での目標や活動内容を把握できるようまとめています。保育日誌は、1歳児クラスでは、ねらい、活動、配慮、全体の記録、評価・反省を記載し、その下の欄に子どもの様子を個別に活動面と振り返りを記入するようにしています。その日のねらいに対して子ども一人ひとりの様子がどうであったか、また、振り返りを記載していることで注意が必要な点も迅速に把握できることが推察されます。乳児・幼児と書式を変えて必要な記録が残せるよう取り組んでいます。

職員間で申し送り事項の漏れなどが生じないよう、連絡ノートに記載し、確認後はサインをして周知できているかダブルチェックできるよう取り組んでいます。月案などの振り返りは各クラスで行われており、園全体での把握までには至っておらず、担当クラス以外の計画を知る機会を作ることは必要と職員は感じています。保護者に対しても、どのようなねらいを持ち保育をしているかを知らせるという点ではまだ十分ではない状況にあります。職員間でのねらいの共有、保護者への伝え方など検討することが期待されます。

子ども一人ひとりの姿やその時その時の気持ちや行動を受け止めて、子どもの興味・関心のあることを見つけ、保育を行うことを心がけています。年間指導計画や月案等にて子どもの成長段階を確認して、環境設定などにも取り組んでいます。当園の特徴でもある情操教育は、英語、絵画、体操教室などを実施しており、毎日の保育にメリハリをつけ、子どもが五感を使い多くの経験を積むことができるよう取り組んでいます。この情操教育についても年間指導計画や月案に組み込み、年齢別の取り組みを明確にすることも期待されます。

当園では園外保育を積極的に取り入れています。近隣のスーパーに出かけて行き、買い物体験をしたり、郵便局に行き、ハガキを購入して園に戻り、自分たちで手紙や年賀状を書いて投函しています。また、ハロウィンの仮装をして近所を回るなど行事の一つとしても取り入れています。夏季中は近隣の幼稚園のプールを利用させていただくなど、園外を活用して子どもが様々な経験を積むことはできるよう取り組んでいます。

夕方17時以降は、合同保育に切り替えていきます。大きな子どもから小さな子どもが同じ保育室内で過ごすため、異年齢との交流を自然と楽しむことができています。大きな子どもは小さな子どもと一緒に遊んだり、乳児の泣いている様子を職員に伝えたりして、面倒をみてあげる姿は見られます。また、小さな子どもは大きな子どもを見て真似てみるなど、お互いの成長につながる環境が作られています。

朝の登園時と夕方の降園時は玄関に立つ保育士を配置しているため、保護者への声掛けやクラスへの伝言、またはクラスから保護者への伝言を伝えることができています。朝の受け入れの際は、保護者から子どもの様子を聞くとともに、傷などはないか視診で確認するようにしています。家庭から園への連絡事項がある時は、早番の職員からクラス担任に伝えつとともに職員の連絡ノートに記載し共有しています。

子どもが毎日の生活の中から生活習慣を身につけていけるよう、子ども一人ひとりの発達状態に合わせて進めています。トイレトレーニングについても、当園は布オムツを使用しているので、子どもの排泄状態を把握し、トイレに座ることも声掛けをしながら行われています。また、午睡の時間は、家庭での生活状況に合わせて柔軟に対応しており、乳児は様子を見て午前睡も導入しています。午睡時間は決まっていますが、眠れない時は、傍で寝ている子どももいるため、決まった時間までは横になり静かに過ごすことを約束しています。

幼児クラスは子どもが自由に玩具を出して遊ぶことができるよう、玩具は写真付きで片付ける場所を決めて出し入れしやすい環境にしています。子どもが好きなように制作できるよう保護者にも協力いただき、空き箱やトイレットペーパーの芯などを準備しています。その際、はさみやテープ、折り紙などは使い方や量について約束をした上で自由に使うことができるようにしています。制作物は作って終わりではなく、繰り返し使用して遊びを発展させていったり、一週間ごとに持ち帰り自宅でも遊べるよう，遊びの連続性を大切にした環境設定がなされています。

法人全体の取り組みである、保育の特徴として、「情操教育」を取り入れています。当園では、英語、体育教室、絵画、造形、リトミックを月の予定に盛り込み行われています。また、毎日の朝の会では、知育活動が組み込まれ、月の歌を歌ったり、フラッシュカード等を行い、子どもは普段の遊びの他に教育面につながる内容にも取り組んでいます。毎日の保育にメリハリをつけ、子どもが五感を使い多くの経験を積むことができるよう取り組んでいます。この情操教育についても年間指導計画や月案に組み込み、年齢別の取り組みを明確にすることも期待されます

こどもの日、七夕、運動会、クリスマス会、ひな祭ｎりなど季節感のある行事の他、親子遠足、保育参加など保護者も参加できる行事が行われています。行事を実施するにあたり、子どもが楽しむことができ、子どもの意見を取り入れて実施するよう考えています。行事で使用するものをクラスで制作することもあり、クラスで取り組むことで、子どもが達成感を得ることができるよう働きかけています。その一方で、行事のための練習になっていないか、職員にやりたいことになっていないか、職員は検証する必要性も感じています。

クリスマス会は、各クラスからの出し物、サンタクロースからのプレゼントなど、子どもが楽しみにしている行事の一つです。クラスの出し物は、情操教育で取り組んできたことを見て頂く内容となりました。各クラスで披露するダンス、幼児クラスは英語も披露します。また、年長児は合奏と合唱もクラスで力を合わせて披露しています。毎日の積み重ねが大きな晴れ舞台での雄姿につながりました。行事実施後は職員は振り返りを、保護者にはアンケートを実施し次年度に活かすようにしています。

合同保育は17:00から異年齢保育で行われています。1歳児から5歳児までが一緒の保育室となるため、特に安全面に気を配り、事故が起きないよう注力しています。低月齢の子どもはいつもの雰囲気と違いを嫌がることもあるため、職員がそばにいて過ごすこともあります。玩具も飽きないように違うものを出すなど工夫しています。合同保育の時間は，1歳児から5歳児まで異年齢での交流時間を持つことができています。大きな子どもと小さな子どもがお互いの成長に良い影響を与える機会となっています。

栄養士は年間食育計画を年齢ごとに作成し、子どもが「食」への関心と食事マナーを身につけていけるよう取り組んでいます。食育計画は、年間目標、アレルギー対応と、4期に分けてねらいと内容、援助と環境構成について、子どもの成長段階を踏まえて作成しています。しかしながら、食育活動の中で行事の時の献立や保育の中の活動と結び付けての調理活動、栽培活動などは明確に作成されていない状況にあります。保育活動と食育活動を一体的に計画的に行うことができるよう仕組みを構築することが期待されます。

アレルギー児への対応は、毎月1回、保護者にヒヤリングを行い、家庭での食事の様子をなどを聞いて記録しています。年度初めに保護者、園長、担任、調理師で会議を行い、園での食事提供についてや、病院の診察結果、注意すべき点、緊急時の対応を共有しています。給食は除去食で対応して代替え食品を提供しています。毎月の献立表はアレルギー食材を色付きで表示し、代替え表も作成して保護者に渡しチェックしていただき双方で確認した上で、安全な給食提供となるよう取り組んでいます。

「食育」に対する取り組みは、年長児をメインとして野菜を栽培して収穫する、また、スーパーに出かけて行き、色々な食材を見たり時には購入したりすることもあります。食育においては、食事を楽しむことも一つで、子ども同士での会話を楽しみながら食事をするのはいいのですが、おしゃべりに夢中になり、偏食の多い子どもは食事を残してしまうこともあり、延々と続けても食は進まないため、ある程度の時間で切り上げてしまいますが、楽しさを優先するのか、完食を目指すべきか、職員は迷うこともあります。

乳児、幼児の年間保健計画を作成しており、子ども・職員についての年間保健目標も定めています。4期に分けて、保健行事、保健活動、健康教育、年齢別の留意点、保護者への働きかけ、ほけんだより、職員に対して実施することが細かく整理され、各期での評価・反省も記入しています。年間を通して何を誰に対して行うのか、ほけんだよりではどのような項目、情報を発信するのかをあらかじめ決めていることで、各クラスの職員への周知という点でも有効と推察されます。

医師の指示により保育上のやむを得ない場合に限り、これまで服用したことのある薬に限り、「与薬依頼書」と処方薬の説明書を提出していただき、対応することとしています。この「与薬依頼書」も慢性疾患での頓服用と熱性けいれん用と分けているため管理しやすく工夫しています。預かった薬や使用方法や使用するタイミングは、依頼書を基に看護師だけではなく他の職員も共有しています。事務所冷蔵庫に保管し、保管する際も園児名・薬名を貼り、分かりやすくしています。

子どもの午睡時は乳幼児突然死症候群（SIDS）予防への対策として、あおむけで寝かせることを徹底しています。睡眠チェック表で子どもの寝ている向き、呼吸の有無、熱、咳、鼻詰まりの有無などを記入しています。チェックは、0歳児が5分おき、1歳児は10分、2歳児以上は15分おきに行い、睡眠チェック表で管理しています。保護者にはSIDSと窒息の違いを説明していますが、SIDSの予防等は家庭でも取り組みことは有効と推察されます。ポスターの掲示や利用のしおりなどにも掲示するなど園での取り組みを周知する工夫も期待されます。

保護者会を年2回開催し、園全体やクラスの取り組み、子どもの様子について説明しています。保護者会を行うにあたり、事前に園生活についての感想や要望などアンケートで意見をいただいてから保護者会を行うクラスもあります。保護者会後はクラス懇談会を行い、保護者同士の交流の場となるよう設定しています。保護者から意見をいただく機会としては、毎日の送迎時や行事実施後にアンケートを実施して次年度の参考にしています。

毎月発行している「小鳩便り」で園全体の取り組みや予定を、クラスだよりでクラスの様子や予定を保護者に伝えています。これらは、ホームページでパスワード設定しているページからダウンロードできます。また、親子遠足などの行事で保護者が子どもと職員の関わりを直接見る機会もありますが、各クラスがどのようなねらいを持ち保育を展開しているかということを保護者に発信する機会が少ないと見受けられます。クラスだよりにその月のねらいを記載したり、保育参加などで普段の様子を知る機会を作るなど、理解が深まるような取り組みが期待されます。

毎日の戸外活動は、子どもたちが地域を知る良い機会になっています。歩きながら交通ルールを、公園などで遊びながら遊具の安全な使い方などを職員は伝えています。当園では月に数回、図書館など地域の公共施設を利用しています。幼児クラスでは気候の良い時期に月2回くらい、乳児クラスは感染症のない時期にスポーツセンターのキッズコーナーを利用することがあります。公共施設を利用することで、いつもの戸外活動とは違う特別感を持つことで、園に通うことの楽しみの一つになればとの意図があります。

地域で行われるイベントは土日開催が多いため、園単位での参加は難しい状況にあります。夏季のプール活動では近隣の幼稚園のプールを借りたり、年長児は小学校との交流の機会を持つことができています。消防士を招いての避難訓練などもありましたが、地域の方々との交流という点では、検討の必要性を職員は感じています。地域の子育て家庭との関わりや高齢者施設との世代間交流なども視野に入れ、可能な範囲で子どもたちとの交流を広げていくことが期待されます。

入園時に園内での個人情報の取り扱いについて「個人情報の取り扱い及び利用に関する同意書」にて保護者に説明し同意を得ています。重要事項説明書内にも個人情報保護に関する内容は明記されており、こちらについても入園時の説明を受けています。個人情報の取り扱いについては、利用目的を明示し同意を得ることが必要です。個人情報保護法の改定後に義務付けされている内容と合致しているかを確認することが期待されます。また、SNSの取扱いについても保護者が統一した見解で適切に取り扱うよう周知すること期待されます。

夏季プールの実施時期は、着替え前の洗浄などは園内の沐浴スペースを使います。健康診断の時は実施場所を事務所とし、衝立を使用して外部から直接見えないよう配慮しています。排泄時は高月齢児は個室スペースでの排泄を促す、失敗してしまった時は他の子どもの視線をさえぎるべく、トイレに誘導し着替えをします。これら、子どもの羞恥心に配慮して環境を整えています。更なる取り組みとしては、子ども自身が羞恥心を身につけるよう、体の大切な場所や着替えの順番などについて、伝える機会も作ることも期待されます。

法人で作成している「保育基本資料」があります。法人の掲げる保育テーマ、保育目標、保育の具体的内容、職員の心得、保育士としての心得、子どもの気になる行動、戸外活動について、保育士としてのチェックリスト、キャリアパスについてなど、法人職員として、保育士として、法人が求める人材像や行動指針につながる内容が示されています。この保育基本資料の活用という点では、定期的な見直しなどには至っていない状況にあります。職員全体に浸透すべく、定期的に確認し合う機会を作ることが期待されます。

虐待防止や感染症に関するマニュアルや各種規程により、園内でのルールや必要な取り組みを示しています。しかしながら、園内の業務内容に関する手順書等の作成、理解、周知について、職員は必要性を感じています。職員一人ひとりの主観ではなく、園としての方向性や捉え方を共通認識を持ち取り組むための指標を作成することは必要です。園内にマニュアル、手順書などを今一度確認し、内容の更新や見直し時期の設定など、園内の標準化を進めるための取り組みが期待されます。