東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

園の保育方針として「日本の心をとりもどす」を掲げ、子どもの主体性を育む見守る保育を日々の保育に取り入れています。その実践を具体性をもって取り組めるよう、職員への啓発を図っていくことを法人決定しています。その取り組みの一環として毎日の朝礼の中で、法人理念や園の運営方針を唱和し、子どもの成長について感じたことを一言コメントとして、事務職、調理員も含めて輪番制で発表しています。また、理念チェックシートを使用しての自己チェックや理念設計図の配布など、職員の再認識を促し理念浸透と価値観の統一を図っています。

組織図や職務分担表は玄関に掲示し、保護者や職員が適宜確認できるようにしているほか、事業計画書にも掲載し正職員全員に配布していることで周知徹底を図っています。園では、子どもの主体性を育み見守る保育を実施していますが、知識や技術を蓄積し質を高めるため、他園見学の実施と、法人内、園内、および外部研修への参加、および研修報告会による情報共有を図り、見守る保育の各職員の思いの統一に向けて知識や技術の蓄積を図っていますが、その取り組み成果を効果的に上げるためにも、職員の理解度を図る仕組みの構築が期待されます。

園長、主任と2名の副主任で構成している管理監督職会議があり、理念に基づいた保育を実践するための保育指導計画や行事計画の根幹である全体的な計画を作成しており、把握した現場の状況を鑑み管理監督職で検討・決定し次年度の事業計画に明示しています。また、保育のしおりにも掲載し、新年度早々に保護者に配布しています。なお、常勤、非常勤に係わらず朝礼や職員会議への参加を促し、職員全員で園のことを理解する場面を増やし、理念や園方針を深める取り組みを今後も継続するとしていますので、その取り組み成果が期待されます。

保護者の意向の把握の取り組みとして、登降園時の職員との会話や連絡ノート、意見箱の設置、随時の個別面談等のほか、運動会や作品展などの行事毎に保護者に向けてアンケートを取り、行事の内容や日程等への改善に役立てています。事業所運営に対する職員の意向は、法人が行う意向調査の集計結果を把握してから全職員と園長面接を通して把握しています。今回の職員調査の集計結果から、職員の意向を十分把握する仕組みを作り、園運営に反映させるよう取り組むことが期待されます。

園で策定している中・長期計画は、法人の経営方針や園の実情を踏まえて園長が作成し、単年度の事業計画も園長が作成しており、職員会議で意見を聴取して法人が作成した事業計画のフレームに当てはめて作成しています。今回実施した職員自己評価の集計結果から、それらの取り組みの職員理解について、リーダー職員は充足しているといえますが、一般職員の理解度の底上げに向けて、日々提供している保育業務の全てが、事業計画書に位置付けられている課題につながっていることを、理解できるまで繰り返し説明するなどの取り組みが期待されます。

保育指導計画については、保育指針に則り作成された全体的な計画を事業計画書に掲載しており、月案や週案・日案についての保育計画は、クラスごとに振り返り次の期案の保育内容に反映させる仕組みがあります。事業計画の達成度合いの確認や成果についての検討は、全職員が輪番制で担当する各担当、委員会が毎月行っている会議の中で確認し合っています。その取り組みが、事業計画に沿った実践と振り返り・検証し、次の計画に反映させている仕組みであることを職員に理解してもらい、能力向上と価値観の統一を図ることが期待されます。

園の

人権擁護の推進について事業計画書に位置付けており、人権擁護委員会を設置し職員アンケートによる、現状把握と検証、改善に努めています。全職員に対して、守るべき法・規範・倫理などが遵守されるための取り組みとして、朝礼時の理念の唱和や理念の園内掲示、人権擁護委員会による理念チェックシートを毎月末に実施しています。職員の一人ひとりが園が推進する個人の尊厳の尊重の理解を深め行動につながっているかどうか確認する仕組みを作り、職員理解の底上げを図り、保護者との信頼関係をなお一層高めることが期待されます。

苦解解決制度については重要事項説明書に明記し、保護者説明会などを通して説明し、玄関付近に設置している通園記録を入力するタブレットの近辺にも掲示して、保護者への周知徹底に努めています。虐待防止対策として、市販されている新保育所保育指針に基づく自己チェック表の冊子を活用し、全職員がチェックし毎月人権擁護委員会に提出しており、内部研修も半期ごとに行っていますまた、育児放棄などの気になる子のケース会議は毎月行い、地域の関係機関が主催する地区懇談会には毎月出席して情報入手に努めているなどの取り組みが行われています。

ホームペ－ジやSNSの一つの媒体を活用し、インタ－ネット上で園の情報を公開していることで、園運営の透明性を高めるよう取り組んでいます。地域の活動拠点として活気のある場となるよう、大きな家構想のもとボランティアや実習生を積極的に受け入れており、昨年度は延べ約300名のボランティアを受け入れました。また、昨年度の地域への事業展開の実績として、対象が未就園児では13回、世代間交流は34回、子育て家庭には7回行事を行い、地域貢献活動の拠点としての活性を図るとともに、地域の子育て環境の充実に努めています。

子ども一人ひとりと集団全体の両側面から、健康と安全を確保できるように「保育所保育指針」や「保育所における感染症対策ガイドライン」に基づき事業計画書に落とし込まれており、健康・安全・保健衛生についての記述が６ページにおよび詳細に計画されていることから、園にとって非常に重要な課題として取り扱われています。また安全管理委員会を設置し、リスクマネジメント・防災・防犯・苦情を担当し、地域との合同防災訓練の実施や事業継続計画（ＢＣＰ）の検証と災害対策の見直し、内部研修の実施などを通して職員能力向上につなげています。

避難訓練や不審者対応訓練は、事業計画書に位置付けられ、避難訓練は想定と重点目標を、不審者対応訓練は想定と内容を設定し、どのような状況になっても対応できるように訓練を毎月重ねてます。また、保護者にはヒヤリハット通信、職員にはリスク通信を季刊ごとに発行し、園の姿勢を示すとともに啓発を促しています。災害や深刻な事故等に遭遇した場合の手引書となる事業継続計画（ＢＣＰ）は、園長と安全管理委員会が中心となって作成し見直しも毎年行われているので、保護者や一般職員により詳細に伝え園への理解の深耕を図ることが期待されます。

法人で策定されている「情報管理規定」に準拠して、書類の保管方法や廃棄基準が定められています。個人情報等の機密性が高い文書類は、鍵付きの書庫に保管され、データ管理については、役職者の専用端末や共用可能な端末のそれぞれでパスワード管理され、USBを含む園内の書類・データ類の持ち出しは原則禁止されています。保護者には、入園時に個人情報保護規定に基づき運用方法を説明し承諾書を締結し、新入職員には誓約書を取り、ボランティアや実習生にはオリエンテーションを行うなど、個人情報保護に関する注意喚起の徹底を図っています。

法人が定めるキャリアパスとして昇格要件規定と職能等級規定があり、職員一人ひとりが目標チャレンジシートを作成し上席との面接を行い、職員能力に適した目標設定のアドバイスや、1年間どのようにチャレンジしたかなど、目標と達成度合を明確にし、職員一人ひとりに適したキャリアパスの教材を用いての研修を実施しているなどで、職員の意思や能力を把握し能力向上を図図る仕組みがあります。しかしながら、その取り組みについての職員自己評価はあまり高くなく、職員が成果を実感でき納得できる内容であるかどうか点検することが期待されます。

園長と職員一人ひとりとの面接を通して、就業状況を把握して職場環境、働き方等の改善に取り組んでいますが、職員の多くは改善されたと実感できない状態のままのようです。今回実施した利用者調査の集計結果から、保護者の総合満足度は高いといえますが、不満に思っている方もみられ改善期待の声も多く寄せられました。業務量の負担感が大きければ業務の棚卸をして分析し、不要な業務と感じ削減したいのであればその理由を説明できるようにするなど、職場環境や業務内容の改善に向けて、職員自ら主体性をもって望むことが期待されます。　

法人内や外部の研修を受講したあと、研修報告書を提出し回覧簿として職員全員が目を通していることで情報共有が図られています。各種委員会や乳児会議、幼児会議で日頃の気付きや工夫について職員間で話し合う場が設けられています。また、職員を保育内容、環境、運動の３チームに分けて職員間で情報共有をし課題解消に取り組む仕組みが作られていますが、例えば、研修報告会を行い研修内容の理解度を確認し、保育実践の場でどの程度活用されたのかなど、取り組み成果を検証し職員が課題解決の達成感を味わえるよう考慮することが望まれます。

園紹介のツールとしては、園のパンフレットやホームページ、子育て支援についての通信「すくすく広場」等があります。パンフレットはA4版三つ折りで園の概要、特色としている保育や活動内容、主な行事等が掲載されています。ホームページには概要、利用案内、運営理念、保育方針、園の生活、ブログ、園が発行するお便り等が掲載され、非常に豊かな内容となっていて、ブログ等には各月の行事や活動が適宜更新されています。見学や訪問者にも、園児の服装や靴、髪飾り等について注意すべき点を載せた「ヒヤリハット通信」も手渡すことがあります。

未就園児がいる在宅支援の方に送付されている通信「すくすく広場」には園での在宅支援に関する活動とともに、感染症予防等の子育てに関する知識等も掲載され、外部広報用の掲示板にも掲示しています。在宅支援についての情報は市に送付して、市のブロック別地域子ども家庭支援センターでも紹介され、情報紙「地域子育て情報」に掲載されて関連する機関等に配布されています。また園の当日の午前中での活動や保育の様子を大型デジタル液晶ディスプレイで紹介して、保護者や見学者、訪問者に分かりやすく伝えています。

見学希望者は、ホームページの閲覧や市役所から聞いてという方が多いとのことです。見学の日程は月２日間位と決めていますが、見学希望者の事情に対応する場合もあります。見学は午前中の活動を見てもらうようにしており、保育主任が担当し、パンフレット、ヒヤリハット通信等を渡して園の概要や保育内容の説明を行い、見学をしてもらっています。その際には、保育方針や保育手法について説明を行い、運動会、夏祭り等の大きな行事には保護者の参加をお願いしている等を伝え、見学者の質問に丁寧に答えるようにしています。

市からの通知が来ると、園から入園内定者の保護者に入園前の入園説明会・面談、入園前健診の実施の通知と必要書類（児童票等）を送付します。入園説明会では、園長から園の理念や方針を、主任や看護師、栄養士から保育や健康管理、栄養に関しての概要の説明を行います。その後各クラスに分かれて、クラスのリーダーから「保育のしおり」を使って細かい説明を行い、説明に関しての同意書を受領します。事前に記入していただいた園児状況表等に基づいての面談を行い、園児が活動で怪我等した際の保険等の手続きも説明し同意を得ています。

通常の入園に際しては、基本として可能ならば２週間程度の慣らし保育を行うことにしており、入園時の面接で保護者から子どもの成長や発達の様子を聞き取り、家庭や保護者の情況を確認し、その要望を受けながら、保護者と一緒に入園直後の保育時間を決定し、同意書も受領します。保護者の就労状況等で短く設定していく場合、または長く設定していく場合もあります。面談等で聞き取った情報をクラス会や職員会議で伝え、子どもたちの情報の共有、周知を行います。そして入園直後には園児の癖や性格を把握し、園児の安心や信頼を得るように努めています。

小学校との交流を行っており、年長の子ども達は小学校の見学に行ったり、小学校から迎えに来てもらって学校の行事に参加したりして交流の機会を持っています。卒園に際しては、卒園を記念しての卒業記念製作やバスでのお別れ遠足、卒業アルバムの写真撮影、保護者とともに卒業式を行っています。卒園後の子ども達にも行事の案内を送り、同窓会も開催しており、卒園後の運動会でも卒園児が参加できるゲームも用意されています。卒園ではなく事情によって途中退園していく子どもには、園のコメントを記したその子の作品と写真とを送っています。

保育に関する全体的な計画は園長が策定を行い、その方針に沿っての月案、週案、日案は各リーダーが策定を行います。今までは全体的な計画については法人からある程度の方針が示され、各園の園長がそれに沿って策定を行っていましたが、来年度からは各園独自のものを策定する予定です。個々の子どもの発達状況を領域別に計画、記録化していくソフトに、それぞれの子どもの各月の課題とそれに対する配慮を複数の職員が子ども別に設定し、乳児は毎月、幼児は四半期毎に評価を行い、副主任がそれについてチェックを行います。

支援を必要とする子ども、気になる子どもについては、月１回各クラスから１名は参加する事例検討会議で話し合うようにしています。保護者との面談は、保護者からの要望や園が必要とすれば随時実施していますが、年度１回は必ず実施するようにしており、その際には個々の子どもの発達状況を領域別に計画、記録化していくソフトから、子どもの最新状況を保育カルテとしてプリントアウトして、子どもの発達状況について詳しく説明を行っています。月の目標は園だよりに掲載され、保護者との連絡帳等に挟んで配布を行っています。

子どもの状況や必要な情報については、個々の子どもの発達状況を記録しているソフトの特記事項等及び日々の記録を入力しているソフトを見て把握するようにしており、パソコンは各クラスに配置され、他のクラスの内容も見ることができます。また各クラスに申し送りノートがあり、それによって子ども達の細かな点についての情報を共有するようにしています。なお、朝１５分程度の全体的な朝礼があり、出勤して出席できる職員は参加し、本日の予定や昨日のリスク等および全般的な連絡事項を共有し、各クラスに戻って伝えるようにしています。

個々の子どもの発達状況を領域別に計画化、記録化していくソフトに基づく保育の指導を行っており、保育の月案、週案、日案等は子どもの情況を確認しながら各クラスで立案、実施、振り返りを行って、個々の成長を記録しています。それと同時に、保護者との面談を実施して、子どもの家庭での様子や園での活動を共に共有しながら情況の把握に努めています。複写式連絡ノート・健康チェック表などから前日の様子などを毎日把握し、子どもの状態によっては普段の保育園の一日の流れと違っても、可能な限り子どもが快適に過ごせるような配慮をしています。

各クラスに設置してあるコーナーにはレゴブロック、塗り絵等の遊具を設置してあり、子ども達は自分で好きな種類を使って自由に遊び込むことができるようになっています。でも、その中でレゴ等を使って驚くような形を作った子どもの作品に「凄いね！見て」というように他の子どもの関心を引くとか、一人で遊んでいる子に「誰誰さん、あんなことやっているよ、やってみない！」と係わりを持たせるように促しています。幼児クラスからは異年齢の集団の中で様々な人間関係を体験して、子ども同士の繋がりが深くなるようにする異年齢保育を行っています。

発達の過程で生じる子ども同士のトラブルには、仲介はしますが暴力は良くないことは諭しており、年齢によっては本人たちに任せ、解決までを見守ることもあることを保護者にも伝へ、保護者が介入しすぎないようにお願いをしています。そのことで子ども同士で話し合う様子なども見られるようになってきています。親とのクレームに発展させないために日頃の流れを把握する必要もあり、噛みつき等もヒヤリハット報告書を提出させています。年長児の小学校教育への円滑な移行に向けて、園の生活と連続性が保たれるように近隣の学校との交流を深めています

職員は必ず子どもの登園時には保護者から家庭での子どもの睡眠や食事の情況等を伝えてもらうとともに、降園時には保護者に声を掛けて園での様子を伝えるようにしています。また子ども達に異常や変化が見られないかを観察するようにしています。そして、伝えられたまたは伝えた内容、伝えなければならないこと等は各クラスの申し送りノートに記録して担任以外でも対応できるようにクラス内での共有を図っています。２歳児クラスまでは個別の複写式連絡手帳があり、家庭の様子や園での様子等を記入して、相互に子どもの様子を伝え合うようにしています。

園での子ども達の成長の様子を見ながら、家庭においても子ども達が園で学び経験した成長の過程を継続できるように、子どもの排泄の時間を測って保護者に「そろそろオムツからパンツに変えてみませんか」と伝えたり、食事の形態や食器の大きさ、スプーンから箸への交替等も家庭での生活の様子を聞き取って相談を受けたり、日常生活と摺り合わせを行いながら「保育園ではこうして始めますので、家庭でもどうですか」といったアドバイスを行ったりして、子ども達が園でも家庭でも健やかに成長していくことができるように計らっています。

登園時に保護者から聞いた前日の睡眠時間や様子、当日での視診等から子どもの体調の変化に早く気がつくようにしており、変化があった場合には一日の保育の流れには捉われず、午睡時間など応用の利くものには、早めに寝かせたり長く休ませたりし、時には早めに起こすなど、必要に応じて個別の対応を行っています。０歳児、１歳児の午睡には乳幼児突然死症候群予防としてセンサーを利用していますが、必ず職員が定期的に目視を行い、チェックしながら安全を確認するようにしています。

子ども達が自分の好きな遊びがじっくりできるようコーナーを作り、ブロック、ままごと遊び、人形、絵本等を置いています。日常保育の中でも、子ども達に「好きなお話を発表するとしたらどれにしたい」といった形で皆で持ち上げていくようにし、竹馬や竹ぼっくりのほか、月2回外部講師による園内や園庭で行う体操教室でできるようになった逆上がりなど、運動系の遊びを運動会に繋げていくといったように、集団活動に関われるよう、皆で力を合わせることの大切さを伝えながら、子ども自身の得意分野を活かせるように工夫しながら保育を進めています。

子ども達が言葉を意識して習得していくことができるように、乳児が鉛筆を指さしたのならば「これは鉛筆ね」と子どもが興味を示したものの名前を伝えたり、悲しそうにしていたなら「悲しいのね！」と子どもが感じている気分や感情を代弁したりして、子どもが言葉で物や感情を表現ができるようにしています。絵本等は０歳児クラスから置いてあり、読んで聞かせて単語の理解が深まるようにしたり、場面に応じて行動を言葉にして伝えたりし、幼児には子ども同士のやり取りを優先し、場合によって言葉の不足分を補ったり手伝ったりもしています。

幼児には身近にある空き箱や廃材を使って好きなものを作ってもらう自由製作を行っています。また、色えんぴつ、絵の具などを使うことで色に触れる機会にしたり、乳児も手遊び歌を毎日歌ったり、タンバリン、小木琴、ピアニカ等の楽器に合わせて体を動かすなど様々な表現ができるように工夫をしています。また、幼児たちはドッジボールのチームを作って、近くの保育園と試合を行ったりもしています。戸外では散歩、園庭での活動があり、遊歩道を歩いて季節の木の実を拾う、枯葉を集めるなど、自然に触れて季節感を感じられるようにしています。

園では、行事は日常の園の生活や活動の中から自然に行事に繋がるように、例えば、日頃から体操教室やリトミックなどそれぞれの活動で取り組んでいることを発表する場として、運動会や遊戯会、作品展等を実施しています。またそれらの行事を通して達成感や協力することの大切さなどを伝えられるようにしています。それは、普段の生活や園の中での環境、その活動等によって子ども達が様々なものに興味や関心が持てるようになり、実践できるようになったことを表していく場であって、保護者に見せるための行事ではないことを基本にしています。

運動会、お遊戯会，作品展など大きな行事については、その行事のねらいが設けられており、例えば、今年の作品展では新保育方針で示された「子どもと自然の係わりの大切さ」から、子ども達が経験した体験から親しんできた季節の色を使って表現した絵巻物を製作し、子ども達が成長していく様子を年齢別の発達の特長と展示内容で示していくということがねらいとして示されています。また、法人の保育方針にある「和のプログラム」で座禅、煎茶道等も実施され、「自然」「心」「礼節」「伝統」を大切にする目的での行事も行われています。

保護者には年間の行事予定表や毎月発行するクラスだより、各クラス毎に行事に向けての子ども達の活動の様子を写真や文章、大型デジタル液晶ディスプレイでの紹介や、保護者懇談会、個別の面談でも行事の予定をお知らせしています。また、食育の活動を行う際にはエプロンや三角巾の準備をお願いし、餅つきなどでの手伝いに協力していただいています。改善すべき課題として、突然の降雨等で園庭での運動会の延期や、園内で開催するお遊戯会等での場所取りのトラブル、クレームが発生するリスクについては検討していく必要があると考えています。

通常の保育標準時間は７時３０分から１８時３０分、短時間保育が８時３０分から１６時３０分なっており、標準の場合の延長保育は１８時３０分から１９時、短時間保育の場合は７時３０分～８時３０分及び１６時３０分から１８時３０分となっていて、最長の場合には１１時間３０分の保育時間となります。延長保育の子ども達は１８時３０分までは其々のクラスで過ごして、１８時３０分以降は幼児組の部屋に集まり補食を食べ、その後はその子どもの好きなおもちゃを準備したり、子どもが自発的に遊具を持ってきて遊んだりしています。

延長保育の登録を行っている利用者もいますが、スポット利用も可能で職員２名が見守りや子ども達の対応を行っています。また、保護者に引き継ぐ際も一日の様子を細かく伝えることができるように、申し送りノート等での引継ぎが行われています。疲れを訴える子どもにはソファーや簡易ベッド等を設けて休めるようにしています。今回の第三者評価受審に伴って実施した保護者への利用者調査の集計結果では、利用時間の急な変更への対応について回答者の改善期待度は高く、職員の姿勢についての意見も寄せられたことから、改善への取り組みに期待します。

自分のリズムに合わせての生活を行っていくように、食事時間は設定されていますが、食事は職員がある程度よそったものを子どもが選んで取っていくセミバイキング形式を採用しています。乳児は集まって食事をしていますが、幼児はテーブルに集まれば食事を始めるようにしていて、年長児の食事時間は２０分以内を目安にしています。好き嫌いについても、残してしまうことは許容していますが「少しでも食べようね！」「嫌いではなく苦手と言おうね！」と声掛けをしているなど、子どもの自主性を尊重しつつ教育的配慮を行っている様子がうかがえます。

園の食事は和風で薄味を基本とし、今年は魚を多く取り入れた献立を園の職員によって調理しており、特別食には子どもの好みのメニューで彩りを工夫し、年長児には食べたい食事のアンケートを行って３月に提供する予定にしています。１ヶ月の間に同じサイクルのメニューが前半、後半として２回提供されるようになっており、サイクルの間に給食会議を開催して、前半のサイクルで残菜が多かったのはどうしてか、後半のサイクルではこの食材は減らしていこうかなど検討を重ね、子ども達の食事に関して細かな点にまで注意を払うようにしています。

食物アレルギーのある子どもについては、保護者から医師による指示書を提出してもらい、アレルギーがある献立については代替のメニューを提示し、給食時には違うトレーで提供して調理や保育の方でも確認を行っています。食育については、庭でピーマンやミニトマトを栽培しており、バケツを使った稲作も行っています。収穫した野菜は皆でカレーを作った際にサラダに添えたり、お米は日頃の感謝を保護者に表す「ありがとうの日」に炊いて一緒に食べたりしています。また精進料理等を作って食べるお楽しみクッキングも実施しています。

看護師が毎朝各クラスをラウンドして子ども達の健康状態のチェックを行うようにしています。看護師が保険計画に則て、感染予防での手洗いやうがい、歯磨きについて指導を行い、現場でも見守り、注意を行っています。特に今年は手洗いについて注意を払っており、子どもにも興味を持ってもらうように、手洗いを十分にしないと消えないスタンプを使ったり、洗い残しが分かるブラックライトを使って指導しています。年２回内科、年１回歯科の健診を行っていて、毎月身長と体重の測定を行い、その結果は健康カードに記入し保護者に伝えるようにしています。

保護者に渡す健康カードには、身体測定の結果の裏に予防接種や罹患情況の確認表があり、毎月最新状況を双方で記入し、相互での確認や保護者への促しを行っています。医療的なケアや発達上支援が必要な子どもについては、嘱託医、医療機関、臨床心理士（月1回訪問）等との連携や必要な対応を行っています。臨床心理士から、セカンドステップについて２年間テーマを決めて子ども達にお話をしてもらっています。アレルギー症状や熱性痙攣の子どもの薬を医師の指示で預かり、薬の変更や指示書についても年度ごとの確認や更新を行っています。

ケガや感染症、保健衛生については保護者に配布されている「保育園のしおり」に非常に細かく丁寧に記載されており（総頁の４０%近く）、これに基づいての説明や指導を入園説明会等で行っています。法人の看護師会が協働して毎月発行している保健だよりでも予防や諸注意について記載されています。感染症の予防については、職員へ吐瀉物の処理を含めた標準予防策の徹底を図っており、保健所と連携しての報告や発生状況を掲示して保護者に伝えています。看護師不在の場合の救急対応についてもチャートで示されています。

延長保育に対しては柔軟な対応を行うとともに、年末年始保育も実施しています。年２回の保護者懇談会で意見をうかがったり、保護者同士の話し合いの場を持つ機会とし、担任と懇談する機会としてお茶会の場を設けています。個別面談の機会を年１回は持つようにしており、保護者の都合に合わせる形で行われ、家での様子をうかがったり、園での子どもの姿や様子を伝えています。今回の利用者調査の集計結果から、保育に関する園と保護者との信頼関係について、保護者がどの程度園に信頼を寄せているのか点検し、課題を洗い出すことが期待されます。

運動会では保護者が参加する競技があり、保護者会では夏祭りへの協力や洋服を集め交換するバザー等を開催し、また保護者会を通じて意見や情報の交換ができるようにもしています。運動会や遊戯会、作品展などでは、それぞれの子どもの発達への理解が深まるように、プログラムとともに年齢別の特徴がわかるような冊子も配布し、理解を深めてもらうようにしています。しかしながら、懇談会や茶話会などへの参加率がなかなか上がらない現状であり、その向上については課題があると考えており、改善への取組みや工夫に期待します。

保護者には、子ども達の遊びの様子や保育士がどのようなことをしているかを知ってもらうため、年１回程度の保育参加とアンケートをお願いしています。随時受け付けている個人面談では、パソコンソフトによる最新の子どもの発達状況を示して、子どもの発達や家庭での育児の悩みについての相談を受けています。園の保護者や未就園児の保護者向けに、保育、保健、給食の各項目で育児をテーマにした子育てフェスタを開催して、園の給食のレシピを紹介したり、看護師が足育について講座を開いたりして、家庭での養育力の強化を支援しています。

園では、近隣で職員がパネルシアターやリズム遊び等を行う出前保育や、ふれあい動物園、夏祭り、クリスマス会等の園の行事に招待して園児との交流を図る保育所体験、栄養士や看護師、臨床心理士等が専門とする職域についての講座を持つ育児講座等のプログラムを実施して地域の子育て家庭の支援を行っています。これらの活動についてのお知らせは、地域に向けた情報発信である「すくすく広場」やホームページに掲載され、地域の子育て家庭の方々に広く呼び掛けています。

園では、世代間交流として、年長児童の誕生月のお祝いに祖父母をお招きして誕生会に参加し、一緒に給食を楽しんでもらう集いを毎月開催しています。また、近隣の団地の高齢者サークルがコーラスやハンドベルの披露で来園していただくなど、地域とのつながりを楽しんでおり、地域から見守られる存在となっています。園は「地域の大きな家」というコンセプトで園の行事や毎月1回子どもとともに食事をする「食事会」に地域の方を招いて園児との交流を楽しんでもらったり、同一法人傘下の特別養護老人ホームへ歌の慰問に伺ったりもしています。

法人には個人情報保護規程があり、プライバシーポリシーも制定され、ホームページにも掲載されています。子どもに関する情報を外部とやりとりする必要が生じた場合に備えて、契約時に「個人情報保護について」の文書で、個人情報の取り扱いに関する取得・利用目的、第三者への提供、個人情報の管理、写真や動画の掲示・掲載など、それぞれについて説明し、特に写真や動画の掲示・掲載等については、法人や園の広報活動の目的での使用について可・不可を選択してもらうようにして、その同意を得るようにしています。

子どもの羞恥心への配慮については、着替えやシャワーを使う際にはカーテンで仕切って見えないようにし、男女別に行うようにしています。内科健診の際は個室で子ども一人ひとりに別々に健診し、年長の女の子は上に1枚着て健診を受けるようにしています。また、特に恥ずかしがる子どもには職員が個別に対応するようにしています。年長組には看護師が「いのちの健康講座」として、子ども一人ひとりのいのちの大切さを知り、それに対しての注意や守っていくべき事柄についての指導を行っています。

「人権・人格を尊重し、慈しみと思いやりの心で、一人ひとりを大切にした支援を行う」という運営方針を基本にして、法人が示す「人権擁護に関する目標設定の考え方」に即して、職員は、日々の保育の中で様々な角度から促しや声掛け等の個別対応する機会を意識しての保育を心掛けています。毎月人権擁護委員会を行っており、委員会で理念に対するチェックシートを職員全員に実施し、その結果に基づき虐待について、子どもを引っ張っていないか、名前を呼び捨てにしていないか等、日常の保育者の保育について振り返り、検討することにしています。

マニュアルとしては、法人が定めた各年齢別の保育等のマニュアル、散歩、排泄、プール遊び等の保育共通のもの、災害・危機管理、安全点検、実習等受入れ、来客等対応、その他に保護者対応、虐待対応、苦情解決のマニュアル等が整備されています。それらは事務所や各保育室に配置しており、職員は随時閲覧することができるようになっています。法人では、各園の主任が協働してマニュアルに準拠して新人研修用に実践向けの資料を作成し研修を実施しており、保育マニュアルも月1回開催される法人の保育主任会で見直しがなされています。

マニュアルについては、法人全体の保育主任や看護師、栄養士といった専門職でも検討を行っており、各園での気づきが法人全体のマニュアルに反映されるようになっています。最近ではプールのマニュアルの改善点が出され、更新されて各園での周知や指導が行われています。新人や中途入職者、年齢別、職能別等の研修は法人や法人内の専門職である看護師や栄養士、主任等がOJTやチェック表を使って研修を行っています。園内でも人権擁護や安全(リスク・防災・苦情解決）、保健、給食等の各委員会で研修を実施して、資質向上に努めています。

提供している保育の基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案をどう反映させているかについては、保護者からの行事のアンケートを参照にして次年度の行事に活かすようにしており、保護者懇談会、面談等で聞き取った意見や口頭、手紙等での要望は苦情・要望受付簿に記録して、園での対応を図っています。職員からの業務や保育に関する改善の要望等、例えば延長保育の補食は普通食の子どもだけだったが0歳児にも提供できたらといった意見等が職員会議でも提出され、検討を行ったりしています。