東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和元年度(2019年度)
サービス名称 認可保育所
法人名称 社会福祉法人聖光会
事業所名称 世田谷おとぎの森保育園
評価機関名称 ヒューマンウェア・コンサルティング 株式会社

コメント

事業者の組織価値観に基づいて組織変革を促進し、独自の強みを発揮できる特徴的な組織として認識されるために、第三者評価が有意義であればと考え実施しました。評価者は、それぞれの専門的観点を持って、事業者の事業特性と組織の状態から事業競争力を高めるための重要成功要因を導き、評価の視点を明らかにし、全てのカテゴリーで取り組まれていることを評価しました。重要成功要因は、事業者の競争力強化に向けた取組みに活かしていただくことを目的に、文書化と説明により事業者の理解を促しました。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)子ども、家庭、職員との絶え間ないコミュニケーションを大切にする。 2)笑顔のアタタカイヤリトリを通してすべての人の幸せを追求する。 3)心・体・感を根本に据え遊びの中から自立と自律の出来る子に育てる。 4)保育目標を達成するためのプロセスとして、豊かな感性、細やかな心、健康な体を育てる。

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

心身ともに明るく元気な笑顔を挨拶で社会人としての自覚と責任を持ち、子ども達と共に楽しみながら保育を行って欲しい。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

大切な命をお預かりしていることを忘れず、常に危機意識を持ち安全に子どもたちを保育すると共に、保護者の良き理解者となり、協働して子育てを行っていることを自覚して欲しい。また日々子ども達との生活を」楽しいんで欲しい。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 保育目標の考え方を保育者との共有を図り、子どもの主体性を大切にした保育の実践行動につなげています

保育目標「自立と自律ができる子どもに育てます」を掲げ、子ども自らが気づき、探求し、身につけていくことを大切にした保育を、経営層とリーダー層自らが学び共有して、会議や研修また実践の場において全職員への浸透を図っています。職員も法人内の成功事例やオンライン研修等で子ども自らが選んで活動する保育を学び、保育環境の工夫や食事・活動時間等を子どもたち主体に工夫するなど、保育目標の学びを実践につなげています。また登降園時や懇談会・行事等で保護者との価値観の共有を図ることで、保育目標を一緒に実現する関係性を深めています。
2 一人ひとりが主体的に集団活動に参加できるようにすることで、協調性や責任感などのさまざまな心の成長が促されています

子どもが自分の好きな遊びを選択し、集中して取り組むことのできるよう、環境構成を工夫しています。これらの個の主体性を尊重した実践は、集団活動である行事への取り組みにおいても同様に行われており、大人が全てを準備してしまうのではなく、子どもたちが主体的にそれぞれの意見を出し合える機会を設けています。各自の思いを伝え合い、時には衝突しながらも、互いの違いを受け入れ認めあって、一つのことを成し遂げる経験を重ねています。このような経験が、協調性や責任感の芽生えなど、さまざまな心の成長を子どもたちにもたらしています。
3 子どもたちの主体性を促す環境を整え、子どもだけでは開けない新しい関心の扉を、大人の提案によるさまざまな体験の機会が開いています

子どもの主体性や自発性を尊重した保育を目指し、子どもたちが集中し、興味を広げてゆくことのできる環境の見直しや実践が精力的に行われており、子どもたちの姿には変化が見られています。また子どもたちが興味を広げてゆくためには、新しい世界の扉を開く、大人のきっかけ作りが非常に重要になると考えており、さまざまな体験の機会を用意しています。世界の食事では外国文化に、季節の伝承行事への取り組みや、伝統文化親子教室では日本文化に触れ、その他にも、食育や戸外活動などでの経験が次なるさまざまな活動に展開しています。

さらなる改善が望まれる点
1 保育計画のねらいや実践内容・成果の振り返りの視点の明確化によって、さらに保育の質の向上が期待されます

保育計画として、全体的な計画をもとに長期の年間指導計画とさらに実践的な月間・週間の短期の計画が策定されており、それぞれにおいて振り返りが行われ、次期の計画につなげていく仕組みとなっています。また計画の策定や振り返りは、クラス会議等各種会議の場で、職員間の視点を合わせたり、それぞれが把握している子どもの姿を伝え合ったりしながら行われています。今後は活動の充実における記録の活用の重要性を踏まえ、ねらい・内容・配慮・子どもの姿など、さまざまな視点で行われている振り返りの意識的な明確化が期待されます。
2 環境改善の意図や実践によって育まれた子どもたちの発達状態や援助内容の変化を記録化することで、保育ノウハウの構築が期待されます

今年度取り組んでいる、子どもの主体性や自発性を尊重した保育活動の展開と、その実践を支える環境構成の見直しは、アドバイザーを招いて助言を受けるほか、効果をあげている保育所への見学などを通じて、実践につなげることを前提に行われており、子どもたちの遊びの様子に変化が見られるなど、一定の効果が現れています。今後は、園の保育の考え方の確立とノウハウの蓄積に向けて、実践の意図や援助のねらい、子どもたちの背景のほか、実践前後の環境の違いや、子どもの様子の変化などの実践の経過を、映像資料とともに記録化することが望まれます。
3 園の目指すチーム状態を実現するために必要とされる職員育成プログラムを、職員主体で検討し構築することが期待されます

職員個人の育成では、個人の行動特性や得意分野も踏まえたうえで、業務の専門性やヒューマンスキルの面からもきめ細やかな支援が行われており、レベル感の揃った職員体制を擁してします。今期環境改善をテーマにチームでの取り組みが活性化してきたことを背景に、今後は園の目指すチームの状態の実現に向けて、役割やチームでのポジションに応じた職員またはチーム育成のプログラムを職員主体で検討し構築するための活動が期待されます。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み



該当データがありませんでした

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:現在、保育園を利用している園児60名(54世帯)を調査対象として、アンケート調査を実施しました。また子どもが2人以上通園している世帯については、最年少児を対象に実施しました。

調査方法:アンケート方式  
調査票は保育園から保護者に第三者評価の趣旨説明を行った上で、アンケート用紙を配布し、保護者から評価機関に直接回答していただきました。

利用者総数 60人
利用者家族総数(世帯) 54世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 54人
有効回答者数 40人
回答者割合(%) 74.1%

総括
 園に対する総合満足度は、大変満足65%・満足32.5%を合わせると97.5%の方が満足と評価していている結果です。  各設問でも「食事メニューへの配慮」「食育の取り組み」「職員の礼儀正しく丁寧な対応」は「はい」の回答率が100%でした。そのほかの設問においても80%~90%代の満足率の結果です。  園を推薦する自由コメントでも、職員の丁寧・親切な応対や自然を活した活動、子どもと保護者の気持ちに配慮した対応などの評価と信頼を寄せる声が寄せられています。  一方で、「子ども同士のトラブルへの対応」と「要望や不満は言いやすいか」においては、70%代の満足率になっていて、自由コメントに改善を期待する声が寄せられています。また日々の活動の様子の伝達や情報共有を期待する声が寄せられています。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 40人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が100%の結果です
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 35人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
「はい」の回答が89.8%の結果です
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 40人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が100%の結果です
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 40人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が100%の結果です
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 37人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
「はい」の回答が92.5%の結果です
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 33人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が82.5%の結果です
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 36人  どちらともいえない 3人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答は90%です
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 34人  どちらともいえない 6人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が85%です
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 36人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答は90%です
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 40人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が100%の結果です
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 37人  どちらともいえない 3人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が92.5%の結果です
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 29人  どちらともいえない 8人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答は72.5%です
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 39人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が97.5%です
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 38人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が95%です
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 37人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が92.5%の結果です
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 33人  どちらともいえない 7人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が82.5%の結果です
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 21人  どちらともいえない 14人  いいえ 2人  無回答・非該当 3人 
「はい」の回答が56.7%の結果です

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
法人共通の保育理念の理解を深め、今期重要課題の取組みに役立てています

法人のもと4事業所の経営層で保育理念や保育方針の擦り合わせが行われており、各園でその考えかたが展開されています。保育理念にある「アタタカイヤリトリ」に基づいて、保育目標「自立と自律した子ども」を実現する保育のありかたを上位層が時間をかけて意味の擦り合わせを行いました。この話し合いのエッセンスが「わくわくする保育ってなんだろう」の冊子にまとめられており、自組織の保育目標に立ち返るときの根拠となっています。今期進められている保育環境の改善や食事時間の工夫の取組みも、共通の保育目標に照らしながら進められています。

保護者に対して園または法人の理念や保育方針を分かりやすく伝えることが期待されます

保護者向けに、入園時の説明、園だより・クラスだより、懇談会等を通じて園の方針・方向性を理解してもらう機会を設け、安心して利用してもらえるように働きかけています。たとえばクリスマスの降誕劇では、子どもたちの演技内容の質だけではなく、準備の過程で子どもたち自らが関心を持って試行錯誤しながら一緒に作り上げていく取り組み姿勢についても説明し、園の保育方針をご理解いただけることに繋がっています。保育の意図を発信し続けることで、保護者との信頼関係がさらに強固なものになっていくと思われます。

理念など重要な考えかたを深く浸透させるための共有の場の設計をすることが望まれます

保育業務を遂行しながら組織内で重要な案件について深い対話をする機会を確保するのは、業界に共通した課題でもあります。議論を深堀りするには、全体観のわかる情報を遅滞なく共有することとあわせ、ある程度議論に集中できる場の設定も必要です。会議や研修の持ちかたの見直しとともに、テーマ設定をしたり段階的に進めるなど、深い思索が求められる場の設計自体もしていくことが望まれます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
地域環境・地域事業環境ともに緻密なネットワークでつながっています

近隣の商店街や関連事業者とのお付き合いでの情報収集のほか、地区園長会会議やそのメーリングリストのようなバーチャルな場も活用して、保育に関する地域の動向や困りごとなど地域課題を把握しています。子育て世代が比較的多い地域で、行政も熱心な取り組みをしている地域でもあり、旧・新の保育事業者や一般の民間事業者、地域住民などとかなり広範に緻密なネットワークが構築されており、地域の意向を当事者からリアルタイムで把握できています。

他地域との比較のうえで、当該地域特性と地域リソースに即した計画を策定しています

法人園長会で、4事業所3行政地区それぞれの地域性の意見交換が行われており、対比することで自事業所の地域性が鮮明になったり、規模によって異なる保育アプローチのありかたを気づいたりすることで、自事業所での事業計画の重点領域が非常にメリハリの利いたものとなっています。法人として大規模園で蓄積した経験に拠りすぎることなく、小規模園だからこそ出来る子どもの育ちの支援を検討し、地域の関連事業者や住民ネットワークを活かすなど地域資源を活用したり協力したりといった工夫につながっています。

重点取り組み課題と活動との繋がりを明確にし、目標意識を高めることが期待されます

事業計画では法人共有の重点事業として、保育内容の質向上に始まる7つのテーマが掲げられており、また今年度は特に当園では環境改善が最重点課題とされています。各テーマでの活動はツールや成果物が明確になっているものの、テーマと各活動のつながりが個別的となっているように見受けられます。今後は、重点取り組み事業または課題テーマと活動がどのように繋がって体系化されているのかを明確にするとともに、進捗状況の全体観を把握することで、目標の実現に向けた参画意識に訴求することが出来ると思われます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
組織の倫理観が周知徹底され、常に体現されています

保育サービスに従事する者が持つべき倫理観の根底にあるものは笑顔の挨拶とし、子どもや保護者、近隣やお客様、職員同士でも笑顔の挨拶を徹底しています。笑顔の挨拶のほか、「ながら挨拶」をしないことや、適切な言葉づかいなど、人として大切なことを端的で分かりやすいことを示して周知しており、常勤・非常勤の別なくどのような状況であれ実践されています。小規模園ならではの細やかさを持って、組織の倫理観の浸透が図られているといえます。

リソース提供・協力により地域の子育て支援環境を支えています

今年度より小学生の夏ボランティアを受け入れ、卒園児の積極的参加を得ることができました。また、小学生と在園児ともに行った伝統文化をテーマにした親子教室では日本の良き伝統の継承を体験し文化の意義を子どもたち自身が確認する場が実現しました。子育て支援事業の回数も増加させ、保護者の育児不安の解消に努めるとともに保護者同士の交流の場となっています。地域に開かれた保育園として、子どもたちが成長する環境を提供しています。

スタートカリキュラムを背景に保育と小学校とが連携した活動が推進されています

平成29年3月の学習指導要領改訂で幼児期の学びから小学校教育への円滑な接続を目的としたカリキュラム編成の工夫として,スタートカリキュラムが示され、区でも幼児教育・保育推進ビジョンに基づく取組みが推進されています。子どもの育ちや教育に力を入れている地域でもあり、スタートカリキュラムを背景に小学校での体験や見学を取り入れるなど、子どもの生きる力を育むための関係事業者を横断した活動に取り組んでいます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
内部環境外部環境のリスクをアセスメントし直し、より網羅的に対応しています

リスクマネジメントは、災害、感染症、事故やケガなど、事業に即したリスク領域について、リスク対応策を整備しており、マニュアル等による対応手順の標準化や教育訓練の活動が展開されています。特に地理的環境を踏まえ、昨今の自然災害の影響を再度アセスメントし直し、園庭の整備や屋上の使いかたなど抜本的な見直しが図られ、具体的な対策を進めつつあります。リスク対応の訓練はこれまで各月で実施から評価、反省までを行われていましたが、リスクの所在についてより網羅的に確認され対応策の充実が図られたと言えます。

ヒヤリ・ハットや事故対策を検証し、リスク管理の意図を共有することが望まれます

保育業務におけるリスク管理の精度を上げるべく、ヒヤリ・ハットの報告フォームを見直し、またリスクマネジメント委員会を立ち上げて事故報告とともに共有しています。また上がったヒヤリ・ハット案件を一覧にしたり、昼礼で気づいたことをフォームで共有するよう促すなど、職員の気づきが事故防止につながることを発信しています。現状ではヒヤリ・ハット案件の共有まで出来ていますが、今後は対応策とその効果を重要度や時系列などでトラッキングし、リスクマネジメントの意図を共有することが望まれます。

物理環境・ソフト環境ともにさまざまな事態を想定した情報管理が徹底されています

情報管理は、保管庫や施錠など物理的な環境だけでなく、アクセス権の設定などの運用面でのソフト的な環境の管理を徹底しており、あわせて情報の扱いかたやその注意について職員の啓発を図っています。個人情報の利用範囲については保護者の同意を書面で確認しています。ホームページやブログなど電子媒体上での情報、とりわけ画像なども敢えて解像度の低いものを使ったり、園外で名札を外したりなど、さまざまなケースを想定した細かな対策が講じられ実践されています。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
多方面にわたって保育士の保育能力と自己成長を促す活動が行われています

法人の保育観に基づく保育プログラムを推進するために、保育理念と年主題を軸にして、リーダー層と専門職員が定期的な振り返りや日常保育のなかで保育のありかたを話し合い改善計画を立てています。日常保育の実践状況の確認や必要に応じた指導を行うほか、区の保育ガイドラインを活用した教育や、法人内研修や法人内他園見学による学びの機会、外部研修の参加など、多方面にわたって保育士の保育能力と自己成長を促す活動が展開されています。

職員一人ひとりの自主性に根差し、小さな試行から組織的な展開へとつなげています

職員一人ひとりが自主的に考えて行動し、意見や力を発揮できる場をつくるという狙いに基づいて、保育環境や職場環境の改善が職員の自発的行動によって継続的に行われています。今期力をいれている環境改善をテーマにした活動では、都度評価と反省を実施し、小さな試行を繰り返しながら組織的に展開するというアプローチで、職員の前向きな行動を支えています。保育活動や環境改善活動では、成果だけでなく取組み過程を共有することで、職員が学びのしかたそのものを学ぶことに効果を上げています。

役割・等級とキャリアパスに応じた計画的な人材育成の体制を確立することが望まれます

職員個人に対しては、通常業務や会議、研修での支援のほか、年に3回職員個人面談を実施しており、メンタル面までも細かやなフォローがなされています。個人の行動特性や得意分野も踏まえたうえで、ヒューマンスキルやセルフコントロールスキル、業務遂行能力の枠組みで数項目ずつ、職員一人ひとりの成長の状態を把握し上長から適切なアドバイスがなされています。今後は、役割あるいは等級とキャリアパスに応じた個人の挑戦課題を設定するなどして、組織力の厚みをつけていくための人材育成計画を策定し共有することが望まれます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【課題・目標】保育の質の向上、法人理念に基づく保育の確立と実践

【課題を抽出した理由】保育指針の改正により保育の質の向上が重要視されるようになり、法人理念を再確認しました。法人理念に基づく保育のを確立していく必要性があることが背景にあります。

【取り組み結果】保育質の向上のために環境を整えることが必須と考え、人的環境となる職員の意識の向上、離職率の低下に取り組みました。 法人の理念をはじめとする方向性を共通理解できるよう、さまざまな機会を設け、保育の質向上を目的とした職員の変革として試行すべき活動を掘り下げました。行事では、事前に計画を立てて準備から活動の過程に着目して評価を行っています。

【振り返りと今後の方向性】活動結果の良し悪しだけでなく評価根拠を明示し共有するというプロセスが定着し、職員自身の根拠ある達成感に繋がりました。結果として離職率も低下しました。法人の保育理念を表す冊子の作成に直接参画した園長を含む法人上位層が中心なって保育の考え方の方向付けがなされ、職員の意見交換の場が定着してきました。今後は、現場のリーダー層を中心にした保育の質の掘り下げに着手していくことが意思決定されました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
法人理念を基盤として、目指す保育の質の実現に必要な、職員自身の意識向上の取組みへと展開され実践されています。取組みの成果は、活動の様子を定性的ながらも把握されており、次年度には活動主体の階層を一段現場に近づけるなどの適切な考察がなされており、活動のPDCAサイクルが回っているといえます。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【課題・目標】年主題「一人ひとりの自立と自律」に向けた保育環境改善

【課題を抽出した理由】保育者起点での保育・教育から、子ども起点への保育・教育への転換を図ることが背景にあります。子ども一人ひとりの自立と自律を見通せる環境を作ること、子どもを取り巻く物的環境を見直すことで子どもたちの育ちがどう変わるかを検証することが目的です。

【取り組み結果】職員の意識改革とともに生活の流れや、生活する環境を考えることから着手しました。皆一斉に同じことを行うのではなく、子ども自身がやりたいことを探し取り組めることを意図し、かつ安全に配慮した環境改善の活動をチームで進めました。子どもたち自身のやりたいことや、気持ちなどを観察する機会が増加し、子どもに対する理解だけでなく、先を見通した保育の連携が実践されるようになりました。

【振り返りと今後の方向性】環境改善の取組みはいくつかのトライアルを成功させ、保育環境の理解の深堀りに繋がりました。物的環境に関して学ぶ機会を増やし、子どもたちが集中して遊び込める空間づくりを、次年度も継続的に行っていくとの考察が導かれています。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
法人の保育の基本的な考え方を冊子にまとめるという活動と並行しながら、法人理念を保育環境でどのように具現化させるかを検討し、環境改善活動を計画的に実施しています。環境改善を行った前後とその経過を共有し、環境改善によって新たな知見が得られるなど、共通テーマに沿った組織学習が促進されています。活動の振り返りと評価も適切になされ、次年度への継続が決定されており、活動の切り口の見直しを含めて活動のPDCAサイクルが回っているといえます。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページで園の特徴や保育活動等を分かりやすく、また最新の情報を発信しています

ホームページでは利用希望者に園の特徴や保育活動等を分かりやすく、また最新の情報を発信するようにしています。具体的には保育理念や保育目標の解説と園長のことば、園の1日の流れや行事内容のほか、連絡先・よくある質問・ブログが掲載されています。特にブログでは、子どもたちが日常の遊びや生活の中で多くのことを体験・学びを得ていることを伝えたり、保育士とともに楽しんでいる姿や生活の中でできるようになったこと、食育の様子などを写真と説明を添えて発信しています。定期的更新もされていて見学者の7割以上が見ている状況にあります。

見学者に園の保育の特徴を分かりやすく伝え、子どもの発達の順に園舎を案内しています

見学の対応では、パンフレットや園内の掲示物を見てもらいながら保育の考え方や一年の保育の流れと内容を説明した後に、園舎内を子どもの発達の順に保育室を案内しながら、環境の工夫や保育内容の説明をしています。0歳・1歳の利用希望者が多いことも踏まえて、離乳食に関する取り組みの説明も行うようにするほか、持ち物や慣らし保育に関する質問などにも丁寧に答えるようにしています。見学時間は子どもたちが遊びや活動をしている姿が見られる時間帯をおすすめしていますが、見学者の希望や事情によって、柔軟に対応することとしています。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
書面や面談を通じて子どもと家庭の状況を把握し職員間で共有して支援に活かしています

入園時に子どもと家庭の状況を把握するために、入園説明会の案内文と個人情報の取り扱い同意書と食事やアレルギーに関するアンケート、面接表を事前に送り、家族構成・緊急連絡先のほか、既往症・出生時の状況・発育歴・かかりつけ医などに関するを情報を把握しています。これらの情報のほか、個別面談でさらに詳細な情報を把握・記録を一覧化し、職員間で情報共有をして、子どもや保護者の個別の対応や必要な援助に活かすようにしています。特別に配慮が必要なアレルギーなどがある場合には、専門職が状況を聞き取り適切な援助につなげています。

新入園説明会では、園の保育理念や保育方針を理解しやすいように伝えています

新入園説明会では、園長が入園のしおりや説明会資料を用いて、法人の理念、保育理念・保育目標・保育方針など、園の概要や基本方針について説明し、入園後に必要な注意事項や約束事については、主任保育士が説明しています。保健面については看護師が、食事については栄養士が説明を行うこととしています。入園説明会・個人面談を行った後、重要事項説明による保育開始の同意を署名にて確認しています。また、入園のしおりや入園説明会資料は、保護者から質問が出た個所や園の方針等が見直された個所を適時修正し理解しやすいものに改善しています。

入園時の負担軽減に努め、卒園の際には、相談ごとに適切に対応するようにしています

子どもと保護者とのアタタカナヤリトリに向けて、子どもや保護者の特性や状況を踏まえ、安心できるような関わりに努めており、可能な限り保護者の思いに応えるようにしています。子どものと保護者の負担と不安の軽減に向け、新入園児が入るクラスの職員体制を見直して、状況に応じて徐々に時間を延ばしながら経験を増やし、場所や人に無理なく慣れることができるように援助するようにしています。また卒園の際は、保護者に就学相談の窓口であることを伝え、希望に応じて相談援助を行うほか、連携する小学校に保育要録で申し送りを適切に行っています。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
子どもの発達等の状況や家庭の意向の把握に努め、記録を更新しています

入園時に把握した子どもの発達の状況は、定期的に更新することとなっており、体格的な成長に関しては、毎月の身体測定の実施によって把握し、心身の発達の状況は、2歳児クラスまでは毎月、3歳児以上については期ごとに、発達指標を用いて確認し、全体的な子どもの姿については、保育士が把握している様子を記述式で記録しています。個人面談を行うほか、日々の対話や連絡アプリを通じて保護者の価値観や要望の把握に努めています。また行事後にはアンケートを行って、保護者の感想や意向の把握に努めています。

全体的な計画をもとに保育計画を策定し実践につなげています

全体的な計画では、保育理念・保育目標・保育方針のほか、家庭支援・保育の特色など園の保育の基調を明らかにしており、年齢別の養護と教育のねらいと内容についても記載される、園の保育計画の最上位にあたるものとなっています。この計画をもとに、年齢別の年間指導計画に展開させることとなています。年間指導計画は、年間を4期に分け、養護と教育に関するねらい・内容・配慮事項のほか、食育や行事についても目標を掲げ、より実践的な月間・週間の下位計画が策定されています。これらの計画は振り返りを行って次の計画に繋げられています。 

保育環境や実践の意図を職員間で確かめあい、保護者に活動の様子を伝えています

新しい保育指針の内容や、保育の潮流を踏まえ、子ども主体性についての職員それぞれの考えを確かめ、園としての保育の考え方の再確認の作業が、環境構成のあり方を考えて改善する取り組みや、保育の一場面の写真から保育士と子どもの関わりで大切にしたいことを考えるワークなどを通じて進んでいます。そして保育計画についても基本になるものを確立し、子どもの様子や状況に応じて加筆修正を行えるようにしたいとの考えがあります。保護者への保育計画・実践の説明は、クラスだよりで行うほか、今後は連絡アプリの活用も視野に入れています。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
子どもの発達や興味関心を踏まえた環境構成の工夫に努めています

子どもの発達の状況の、定期的な把握に努めており、年齢別の主な発達の現れのリストを用いて、2歳児までは毎月、3歳児以降は期ごとに記録を行うほか、全体的な姿についても記述形式で記録しています。子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫しており、子どもたちが自分の好きなもの、興味あるものに自由に取り組めるよう、おもちゃや絵本の内容は、クラス会議などを通じて適宜見直しを図り入れ替えるほか、手に取りやすい高さへの配置や提示に努めています。

子どもの興味に気付けるよう心がけ、多様な文化に触れられるようにしています

子どもが人への関心を持ち、働きかけ、関わり方を身につけてゆけるよう、喃語や言葉にならない声のメッセージのほか、視線や指の先などにある子どもの伝えたいものにも気づけるように心がけています。異年齢の子どもたちの関わりは、日常的にもたれており、3?5歳児はワンフロアの中で生活と遊びを共にする機会がもたれています。また世界の食事が提供されるほか、国旗のデザインへの興味から、その国のことを調べて、想像したり、感じたことを伝えあったりするなど、文化の多様性に触れる経験が興味の広がりにつなげられています。

子ども特性への配慮に努め、「アタタカイヤリトリ」の心が育めるよう援助しています

特別な配慮が必要な子どもへの対応では、特性や生活のリズムへの配慮に努めています。個別対応に必要な援助や家庭との連携の内容等に関する職員間の情報は、職員会議などで共有することとなっています。また、子ども同士のトラブルでは、双方の気持ちに寄り添い子ども同士での解決を見守りつつ、解決が難しい場合には、一度落ち着ける環境を作り、気持ちの伝え合いを仲立ちすることで、言葉での伝え方やコミュニケーションの取り方を子どもたちが学び、子どもたちの「アタタカイヤリトリ」の心が育めるよう援助に努めています。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
登園時には保護者から子どもの様子を聞き取り、降園時にはその日の状況を伝えています

登園時には、保護者から朝までの子どもの健康と情緒の様子を聞き取り記録するほか、連絡帳の記述内容についても職員間での共有に努めてます。担任と当番職員との確実な情報共有に向けて、情報伝達用の記録簿を用いて伝えもれに努めるほか、昼礼でも配慮を要する子どもの健康や情緒の様子、保護者への伝達事項などについて伝えあう事としています。降園時には、その日の子どもの様子を、健康面やケガについてだけでなく、できる限り一人ひとりのエピソードを踏まえつつ伝えられるよう努めています。

「アタタカイヤリトリ」を大切にした身辺自立の援助が行われています

基本的生活習慣の習得に向けた援助でも、園の保育士方針である「アタタカイヤリトリ」を大切にしています。個別の発達の状況や家庭での取り組みの様子・要望を踏まえた上で援助しています。排泄の援助では、目を合わせ声をかけながら応答的に関わり、子どもが清潔にすることの心地よさを知ることができるよう努め、排尿の間隔や意欲の芽生えが感じられたタイミングで、トイレに誘うようにしています。衣類の着脱においても、子どもの行おうとする姿を認め、成功体験を重ねられるよう援助することで、自分のことを自分で行う心の基礎を培っています。

基本的生活習慣が身につくように、声かけや促しのほか環境構成の工夫に努めています

基本的生活習慣の定着に向けた援助では、子どもの発達の状況を把握するだけでなく、子どもが自分のことを自分で行う意欲を高められるような環境の整備や集団としての育ちの把握にも努めています。片付けやすくするための視覚的な工夫を施したり、外から戻った時、活動の後、食事の前における手洗いや排泄への誘いなどの流れを整えたりするほか、気づきを促す声かけを行うなど、子どもが気付いて自ら行えるように援助しています。子どもの様子で休息が取れるよう、横になれる環境を整えています。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
子どもたちが自発的・自主的に遊び込める環境を整えています

子どもたちが自発的・自主的に遊び込める環境づくりを目指して、今年度保育室の環境を大幅に見直す改善に着手しています。子どもたちが集中して遊べるようになったことや生活の流れが分かりやすくなったことで、子どもたちが自ら考え、活動する姿が以前より見られるようになるなど、改善の成果が得られています。また法人全体で、子どもの育ちに関する学びも進めており、子どもの遊びや関わりの様子を収めた写真に説明を加えた小冊子を作成し、法人が考える子どもが育ちゆく経過や育ちに必要な関わりや環境のあり方を明らかにしています。

子どもたちの興味や発達の状況を踏まえて集団活動に取り組んでいます

行事など集団活動の取組では、子どもたちの理解度のほか、一人ひとりの個性や集団としての興味の方向などの把握に努めながら、活動の内容を決め、配慮しなければならないことを想定することで、子どもたちが自ら考えたり、やってみようとする気持ちが芽生えるように取り組んでいます。集団活動に参加したくない子どもへの対応では、必ず働きかけるようにしており、長い目で寄り添うことを大切にし、子どもが他の子どもたちの姿を見ながら感じることで芽生える育ちを信じるとともに、参加しない事によって経験が失われないよう配慮しています。

さまざまな経験を通じて、子どもたちの情操を豊に育んでいます

子どもが季節を知る機会として、季節の事象をモチーフにした制作や季節の歌に取り組むほか、旬の食材を使った食事や栽培活動などの食育、四季折々に表情を変える草木などの自然物に触れる散歩や園庭遊び等の戸外活動など、さまざまな活動に取り組んでおり、これらの活動を通じて子どもたちの情操が豊かに育まれています。また伝統文化に触れる取り組みや、音楽やリズムなどの表現活動、廃材を活用した自由な造形活動、絵本などを通じた言葉や物語などへの関心を促す取り組みなど、多種多彩な経験の機会が発達を踏まえつつ設けられています。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
行事への取り組みは、子どもたちの意向や興味を踏まえた上で進めています

行事への取り組みでは、子どもたちが興味を持ち、行事の意味を理解できるよう、日頃の活動や環境の中に、行事につながる要素のあるものを組み入れるようにしています。園が伝統として取り組んでいるクリスマス祝会への取り組みでは、言葉の理解を踏まえつつ、文化的な意味や背景などを、紙芝居や絵本などを用いて伝えたり、園外保育の行先は、子どもたちの興味や関心の方向性を保育士が見極めた上で決めるなど、子どもが意欲を持って自発的に取り組めるよう、内容を考慮して取り組むことを心がけています。

行事は、子どもたちが協力することや違いの乗り越えることを学ぶ機会になっています

運動会では、3・4・5歳児がともに競技やパラバルーンに取り組んだり、5歳児はリレーに挑戦している。年長児のリレーでは、勝ち負けや走る順番などで、言い争いになる場面があったが、子どもたちが自分たちで話し合い、走る順番を決めて練習するなど、一つのことに協力して取り組むことや、話し合いを通じて違いを乗り越えることを学ぶ機会になっており、法人の保育理念である、「アタタカイヤリトリ」が、子どもたちの試行錯誤の経験の中で育まれています。また競技や遊技の曲や振付は、子どもたちもアイディアを出しています。

クリスマス祝会は、感謝の気持ちを伝えることの大切さを学ぶ機会となっています

クリスマス祝会では、遊戯や合唱を保護者の前で披露しており、成長を伝える機会になっています。5歳児は歌や合奏・ハンドベルに加えて降誕劇(一部4歳児の希望者も含む)に取り組んでいます。降誕劇は園の伝統の一つとなっており、子どもたちは前年度から、憧れを持ち取り組んでいます。子どもたち同士でイメージを共有しながら一つのものを作り上げる経験となっているほか、式典を通じて、人前での振る舞い方や日々の感謝の気持ちを伝えることの大切さを学んでいます。行事への取り組みの様子は、日々写真とともに保護者に伝えています。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
保育時間が長い子どもたちがゆったり過ごせるように環境を整えています

保育時間が長い子どもたちがゆったりと過ごせるように、保育室内には体を横にできるスペースや絵本コーナーを用意しているほか、補食は落ち着いて食べられるようにパーテーションなどを使うようにしています。子どもたちのその日の健康面や情緒面への個別の配慮ができるように、職員間の情報伝達ではつ伝え漏れのないよう心がけており、一人ひとりの情報が書き込める「申し送り表」を用いています。また保護者の迎えを待つ間に、寂しくなってしまう子どもへの対応では、スキンシップを図り、安心できるよう心がけています。

保育時間の長い子どもが飽きずに過ごせるように活動内容の配慮に努めています

保育時間の長い子どもたちが、飽きることのないように、1日の中での活動のメリハリにも配慮しています。制作等の机上の活動や行事の練習、雨天などで、午前中の活動の強度が低い場合などは、おやつを食べた後の時間帯にも、園庭に出て体を動かしたりして、気分転換を図っています。疲れが見られている場合などには、机上の遊びや絵本、手遊びなどのほか、保育士の手伝いなど、ゆっくり落ち着いて取り組める遊びを楽しみながら、保護者の帰りを待てるようにしています。延長保育時用のおもちゃも用意しています。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
落ち着いて食べられる環境を整え、食事への意欲を持てるよう、食育に取り組んでいます

保育室の環境の見直しによって、遊びが充実しただけでなく、落ち着いて食事を取れるようにもなっており、着替えの場所と食事の場所を仕切りを設けたことによって落ち着いて過ごせる空間が確保されています。子どもたちが意欲を高めて食事に向かえるように、さまざまな食育に努めています。食事に使われている野菜に触ってみたり、三色食品群の知識を楽しみながら覚えられるように調理室前の掲示に工夫を凝らしたり、旬の野菜を掲示して紹介する取り組みも始まっているなど、日々の取り組みを大切にした食育活動が展開されています。

食具の使い方への援助に努め、アレルギー対策を講じて誤食の防止に努めています

食事中のマナーを伝えるように取り組んでいます。食事中の姿勢や食具の使い方は、発達や理解に応じた伝え方に配慮しており、まずは体格にあった机や椅子を準備し、しっかりとした姿勢で食べられるようにするほか、食具の使い方に関しては、手首や指の発達を促す活動を保育の中に取り入れ、箸を使ってスポンジを掴む練習をするなど、楽しみながら進めるほか、家庭とも連携を図っています。食物アレルギーへの対策として、調理・配膳・調理の各場面での複数名での確認を行って、誤配・誤食の防止に取り組んでいます。

発達に応じた調理保育ん取り組み、さまざまな食の体験ができる献立を作成しています

発達に合わせた調理保育に取り組んでいます。生地を丸めたりする簡単な作業から始め、5歳児では、包丁の使い方を学び、加熱調理を経験しています。また味噌づくりにも挑戦しており、大豆の形や色の変化を観察しながら、出来上がりを楽しみにしています。メニューは旬の食材を用いたさまざまな食の体験ができるように献立し、喫食状況も保育士と調理担当が共有しています。世界の出来事に関心を持つという法人理念の実践として、世界の料理に取り組み、園全体で国について調べたり、国旗や民族衣装の制作をしたりしながら、楽しんでいます。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
保健指導では、子どもたちが理解しやすいような視覚的な工夫に努めています

子どもの保健意識の向上への取り組みは、看護師による保健指導に加えて、日々の生活や遊びの各場面における保育士の関わりや声かけ、促しのほか、基本的生活習慣を身につけるために行う援助や指導とともに行われています。子どもたちに視覚的に情報を伝えることで、わかりやすく、関心や意欲を高められるように工夫しており、紙芝居を使って、手洗いの重要性を伝えたり、手洗いモニターを用いて実際の洗いのこしを確認できるように取り組んでいるほか、くしゃみや咳のエチケットについても、ポスターを子どもの目に届くように掲示してしています。

手洗い習慣の定着に向けた声かけを行い、熱中症やケガの危険についても伝えています

上記に加えて、手洗いは、歩行が安定しとた頃から声をかけつつ一緒に行うことで、清潔になる心地よさを知り、清潔への意識の基礎を育めるように援助するほか、手洗い習慣の定着に向けて、活動が切り替わる時などに、声かけ促しを行うようにしています。また夏季には、暑さ指数をチェックし、子どもにも水分補給の大切さや熱中症の危険を伝えるようにしています。ケガの防止に向けて、危ない事例などを紙芝居や本で伝えるほか、公園などで遊び始める前にも約束事を確認したり危険箇所の確認や注意を促したりしています。

子どもの視診の健康を守れるように医師と連携し、保護者に情報提供を行っています

子どもの健康管理についての取り組みでは、嘱託医・嘱託歯科医による定期的な検診を行っており、その際には、アドバイスや情報提供を受けるなどの連携体制も整っています。子どもの体調面に関する情報は、毎朝の情報伝達のほか、昼礼での情報交換などを通じて、職員間で共有することになっており、夕刻以降の保育においても、子どもの健康面に配慮した援助が行えるようにしています。また保護者への情報提供として、感染症の発症時には注意喚起を連絡アプリで行うほか、保健だよりでは健康や感染症に関するコラムを掲載しています。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
保育園利用や行事参加の利便向上に取り組み、保護者の満足を得ています

保護者の残業や公共交通機関の乱れなどによる、保育時間の急な変更には柔軟に対応することとしています。保護者行事の実施にあたっては、土曜日の開催を基本とするほか、年度当初には、年間行事予定を伝えるなど、保護者の参加利便の向上に努めています。今回の利用者調査の結果においても、急な保育時間の変更への対応に関する質問では、回答者の92.5%が、行事参加に関する質問では90%が満足と答えており、多数の保護者が対応に満足していると思われます。

保護者の意向を把握し、保護者同士が交流できる機会を設けています

入園時に行う面談では、子どもの発達の状況だけではなく、保護者が考えている、子どもの伸ばしたいところ、家庭で気をつけているところなどについても聞き取っているなど、保護者のニーズの把握と保護者との「アタタカイヤリトリ」ある対応に努めています。保護者同士が交流し親交を深めることができる機会をさまざまに設けています。親子でクッキングしながら楽しむバーベキューを採り入れた5月の交流会、11月の懇談会のほか、運動会では、親子競技や保護者競技が用意されているなど、楽しみながら親睦を深められる時間を作っています。

保護者への情提供をさまざまに行うなど、信頼関係を深められるよう取り組んでいます

保護者と保育士が信頼関係を育むための取り組みがさまざまに行われています。個人面談は年2回行っており、必要な援助、家庭での様子を伝え合っています。また日々の遊びや活動の様子はブログで写真とともに紹介するほか、掲示板でも、保育活動の意図のほか子どもの姿や成長を写真に説明を付して報告しており、好評を得ています。また今年度導入した連絡アプリによって、保護者への情報発信の即時性や保護者の利便性が向上しており、保護者との情報共有による「アタタカイヤリトリ」を通じた信頼関係の深化に可能性が感じられます。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
地域の方との交流が持たれており、子どもはさまざまな経験を重ねています

地域の方との交流がさまざまに持たれています。近隣の地主さんとの交流では、芋掘りの畑を借りたり、隣の民家園の見学や七夕の笹をもらったりするほか、お餅つきでは、民家園から臼杵を借り、つき終えた餅は、近隣の方たちに子どもたちが届けています。そのほか、クッキングなどの買い物に出かけた際には、商店街の方との交流が持たれているほか、ハロウィンの際には協力を得て楽しんでいるなど、地域に育つ子どもたちが地域の一員として関わり、さらに園内だけでは経験できない多種多様な経験をすることで、子どもたちの感性が刺激されています。

園外の方たとの交流が、子どもたちの貴重な経験の機会となっています

夏休み期間には、小学生ボランティアを、保育士のお手伝いとして受け入れているほか、学生のボランティアも行事の手伝いなどで受け入れています。また移動動物園を招いて、動物の触れ方などを学ぶほか、今年度は、「伝統文化親子教室カリキュラム」を採り入れており、外部講師を招き、日本文化が大事にしてきたことを年長児が学んでおり、最終回には保護者を招き、浴衣の着方、風呂敷の使い方、御茶菓子のおもてなしなど、活動の成果を披露するなど、園外の方たとの交流が、子どもたちの貴重な経験の機会となっています。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
個人情報やプライバシーの保護に努め、羞恥心に配慮しています

入園時には個人情報やプライバシーの利用と保護に関する保護者の同意を確認するほか、その後に外部との情報のやりとりが必要になる場合などに関しては、再度保護者の確認をとり同意を得るようにしています。羞恥心への配慮として、プールや水遊びの際には目隠しを施すほか、身体測定など裸になる時にも、カーテンを引くなどして視線を遮るようにしています。排せつの失敗などには、子どもの気持ちに寄り添いながら、他児に気づかれることがないように着替えの援助を行うようにしています。

子ども一人ひとりの主体性の尊重について職員間の認識共有がすすんでいます

集団保育の中において、子ども一人ひとりの主体性や自発性を尊重することとは、どんなことなのかを職員全員で再確認する取り組みが進んでおり、子どもの主体性を尊重することと、園が大切にしている「アタタカイヤリトリ」との整合についての納得性や、実際の活動内容や環境構成といった具体的な手段のあり方についても、研修や話し合いを通じて職員間の認識共有が図られています。また法人の合同研修会において、理事長より法人が大切にしていることが伝えられているほか、園長からも「アタタカイヤリトリ」への思いが職員に伝えられています。

虐待防止や早期発見・通報の仕組みが整えられています

虐待防止に関するマニュアルが整えられており、虐待を受けている子どもの特徴や虐待が起こっている時の家族の特徴や虐待を見逃さないためのポイントのほか、行政機関への報告や連携体制に関する流れなど、虐待防止に向けた基本的な知識や連携に向けた流れが明らかにされている。職員の不適切な言動や関わりの防止に向けて、子どもへの権利侵害や家庭支援関する学びを、職員全員で受講するオンライン研修で得ています。また現場における好ましくない言動や所作については、時を開けずにリーダー層が指導し注意を促すこととしています。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
園の業務の標準が各種マニュアルによって明らかにされています

保育計画を策定する際のガイドとなる「年間計画マニュアル」や、離乳期のねらいや調理職員と保育士との連携、食具の見通しなどが記載されている「食育マニュアル」、歳児ごとのデイリープログラムやその留意点のほか、朝夕の保育のポイントなど保育の基本が記載されている「日常保育マニュアル」のほか、「安全対策マニュアル」や「散歩マニュアル」・「感染症マニュアル」・「災害対策マニュアル」など、園業務の遂行に必要なマニュアルが整えられています。嘔吐処理や適切な清掃方法については、看護師の指導が行われています。

マニュアルは必要に応じて更新が図られています

上記の園の業務の基本を明らかにしているマニュアルは、法令やガイドライン等、行政から発出される各種の通知によって、適宜改定することとなっているほか、業務遂行に際して、不都合や改善を要するものについても適宜最適化を図ることとしており、チーフ会議の中で見直したり、必要に応じて新たに手順や基準を定めたりしています。新人職員に対してはオリエンテーションが行われ、法人が大切にしている考え方が伝えられるほか、園独自のルールについては基本の手順を指導するだけでなく、園内研修でも必要なことが伝えられています。

現在進んでいる保育実践の充実に向けた取り組みの記録化に期待が寄せられます

昨年度より、園が大切にしていることと、子どもの主体性の尊重との整合や実践に関する学び合いがすすめられており、他施設への訪問や園内研修を踏まえて、環境構成や関わり方が見直されています。ただこれらの見直しによって再確認されたことや新たな気づきとして得られたことなどの、学びや実践の記録についてはさらなる充実の余地があるとも考えられます。子どもの発達の状況と環境や関わりの変化によって変わった子どもの姿を、意図や工夫などとともに継続して記録することが、園独自の保育メソッドの構築につながる可能性があると考えられます。