東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

平成29年４月開園から３年目、園の保育方針は「一人の人として尊重し、一人ひとりを大切にする」。保育目標は ・基本的な生活習慣の基礎をつくる ・自ら考え行動する ・より良い人間関係づくりをする ・豊かな感覚・感性を育てる、を入園のしおりに明記しています。法人の理念・方針を明示した「教育経営計画書」を全職員に手渡し、入社時の合宿研修、毎日の朝礼で読み合せています。保護者には入園のしおりに明記して入園式、年度初めの保護者会、年２回の運営委員会などで常に園の保育方針や目標、取り組みを伝えています。

法人は教育経営計画書に理念・方針を表明、毎月の園長会では法人代表が保育情勢の現状を踏まえて、子育てし易い社会の実現に向けて園はどのように取り組んでほしいのか、代表の思いを伝えています。園長は法人代表の講話や事業方針を具体的な事例を交えて職員に伝えるとともに、新任職員から３年目以上の経験を持つ職員それぞれに沿って園長自らの実体験を話し、保育士としての役割と責任を常に意識して保育にあたるなど、機会ある毎に職員に問いかけ話し合っています。また個人面談や食事会で園長は職員の思いを聴き価値観の共有に努めています。

園長は本部園長会で法人本部の方針表明と決定事項を基に園内で職員会議を開催、園長会の内容や決定経緯を伝え、その方向性をふまえて保育環境の問題や課題を話し合っています。職員会議は毎月初めの１8時30分からおよそ２時間開催、事前に議題のレジュメを配布し、司会は主任が努め、書記は職員が持ち回りで努め、全員が主体性を持って発言する機会を持ち、理解と納得による合議を大切にしています。朝礼も毎日行い、保護者からの申し送りや活動の狙いなどを確認しています。保護者に関わることは「園だより」や玄関掲示などで伝えています。

保護者の意向や要望には常に耳を傾け、登降園時の保護者との会話、保護者会、個人面談、行事アンケートから反省と改善を行い、保護者が意見や要望を法人本部に直接郵送する「ご意見はがき」も設置しています。職員には園長がスタッフシートを基に個人面談を行い、個人的な意向や目標などを聴くとともに、法人本部も職員に意向調査アンケートを行っています。地域の福祉ニーズや福祉事業全体の状況は区園長会や行政窓口、法人本部から把握しています。年度末の振り返りと総括は、次年度の課題としてまとめ、明文化していくことが期待されます。

園では法人作成の教育経営計画書を中・長期計画に位置付け、保育内容に関する全体的な計画に加えて各年間行事の着実な実施に取り組み、年度末の職員会議で振り返りを行い、事業報告書・事業計画書を作成しています。今後は報告書には各種実施行事の結果報告に加えて、園に対する保護者の期待や評価、地域ニーズなど年度末の振り返りによる園の課題を明記し、事業計画書には理念・方針の表明はじめ、これまでの基本的な計画の記述に加えて、前年度抽出した課題を改善プランとして表明するなど、質の向上を組織的に展開していくことが期待されます。

年度初めに年間行事予定を立て、園内の役割分担と係担当を職員会議で決定して一覧表を作成、担当職員は毎月の実行計画を基に主体的に推進しています。保育については全体的な計画に沿って年齢別年間カリキュラム、食育計画、保健計画をつくり取り組むとともに、夏祭りや運動会など年間の主要な行事は複数の担当職員が進捗状況を職員会議で報告しています。毎月の避難訓練も実施の後全員で反省と課題をまとめて次回の改善と対策を話し合っています。全体状況は職員会議で把握、制作物の準備や日程確認、計画の着実な推進に全員が協力しています。

職員の法令遵守、倫理・規範などの社会人教育は、法人本部が新任から管理者層まで毎年度行う合宿研修や階層別研修で実施しています。園内では職員会議や朝礼で教育経営計画書に明記されている職員に対する方針、良い先生像などを読み合せ理解を深めるとともに、新卒者には毎月１回園長主催の勉強会を行い、定期的に小テストも行って意識の維持と向上を図っています。また法人作成の「こどもの森のおやくそく」でも保護者とのコミュニケーションの大切さ、保育士の基本などを学び、職員は年間2回スタッフシートによる自己評価も行っています。

保護者に向けた相談苦情の受付と解決は、園玄関に相談窓口の利用案内を掲示し、入園の時に園と法人の受付と解決の窓口利用を説明しています。また法人本部に直に郵送する「ご意見はがき」も玄関に置き、保護者の思いをいつでも投函できるようにしています。降園時には担任が子どもの１日の様子を保護者に報告、園長も保護者とのコミュニケーションを大切にしています。児童虐待の防止では、職員を複数配置して言葉遣い、態度などを相互に注意、朝の視診で痣、傷などは保護者に問いかけ、園長も確認、疑わしい時は本部と行政に連携しています。

園の活動の様子を区や法人作成のホームページ、保護者会では写真やビデオで公開しています。栄養士実習、保育実習は専門学校生や大学生を毎年受け入れています。入園希望の園見学を受け入れ、子育て相談には充分に時間をかけ、保育体験や行事参加も行いその後もフォローしています。夏まつりや運動会には地域の家庭保育の親子にも声をかけ参加しています。区園長会、要保護児童対策地域協議会と常に連携、今後に向けて園開放の機会をより多くつくるようにし、地域の一員として園を知ってもらい、関係機関との連携強化にも努めたいと考えています。

園では法人が策定した「災害時事業継続計画(BCP)」を備え、区作成のハザードマップを把握、防災避難訓練、保護者との専用連絡システムを整備しています。火災・地震・不審者対策も優先度は同一に位置付け、園内には緊急時の職員分担表を貼付、一時避難先、広域避難場所など非常事態発生時の対応を玄関に掲示、入園のしおりに災害発生時の重要事項を明記して保護者に伝えています。地震や火災、不審者侵入などに備えて毎月防災避難訓練を着実に行っており、職員の災害や危機に備える防災意識の強化と向上は今後の課題になっています。

子どもの安全・安心は最優先課題と位置づけて保育園緊急対応マニュアルを備え、事故・怪我が発生した場合は処置の後、事故記録簿に基づいて発生状況・原因を分析し再発防止策まで徹底しています。ヒヤリハット対策は重点課題に位置付け、未然の防止に取り組み、毎日のミーティングで内容や状況を報告・共有しており、今後も戸外活動や移動中の事故を予知・感知する目と意識の徹底が期待されます。感染症は区行政機関や地域の発生情報を把握して保護者と情報を共有し、子どもの健康状態に気をつけて園内の蔓延を防止しています。

職員の文書と情報の取り扱いに対する守秘義務は、入社時の研修で教育し誓約書も提出しています。実習生等は事前の活動案内で文書によって守秘義務の徹底をお願いしています。職員はSNSなどで安易に園内の情報を外部に流さないことを徹底、園内に保存する文書は書庫に保管、終業後は施錠し園長が管理、園外への持ち出しは禁止、PCとUSBはパスワード保護し、写真用SDカードは施錠保管しています。個人情報の利用目的と開示請求への対応は、法人の個人情報保護方針に規程、玄関にも掲示して入園時に保護者に説明し同意書を得ています。

職員の採用活動は法人本部と園が連携して行い、学校訪問や求人票の送付、合同説明会や園見学を行い、保育士や栄養士の実習生を積極的に受け入れ、未来の職員として親身な指導を行っています。応募者の面接は園で行い、採用試験は法人本部で実施して採用を決定、入社前には1泊2日の本部研修を経て園に配属しています。異動は本人の希望を踏まえ、園長と本部が判断し決定しています。人材育成は新任から上級職まで長期展望(キャリアパス)を持ち、専門分野別の研修や階層別研修など年間計画で育成しています。

法人は職員が将来経営者になるのか、保育のスペシャリストになるのか未来像を明示、保育士１UP研修、３年目以上の職員には海外研修など多彩に研修の場を提供しています。研修計画は個人別にスタッフシートを作成して園長と面談を行い、職位階層や実務経験に沿って希望する研修、園長が推薦する研修など、個人別に年間の育成計画を話し合っています。海外研修では、保育を通して外国の子育て意識や文化、実習体験が園内職員の新たな気づきや啓発の機会になっています。指導職には主任・リーダー研修で指導力アップを図っています。

園長は職員の良いところを誉めて勇気づけ、保育への意欲を高め一人一人の持ち味を活かし、やる気のある職員には年功序列を排してリーダー職を委譲、周囲の職員の働きがいに繋がっています。外部研修参加後は３日以内に報告書を提出、職員会議で研修内容を共有し、保育力向上や業務改善、残業解消などに反映しています。仲間の職員に感謝やお礼の言葉をカードに書き、そっと投函するハッピーボックスを職員更衣室に設置、価値観の共有や相互信頼づくりに反映しています。ペップトーク研修など自主研修にも職員は積極的に参加しています。

園の情報は、パンフレットやホームページ等で利用希望者に伝えています。園の三つ折りパンフレットには、園の方針・保育目標をわかりやすく記載しており、写真やイラスト等表記の工夫をしています。さらに、園での生活について利用者が求めていると思われる情報をまとめて記載しており、受け入れ定員・職員構成、開園時間・延長保育料、主な年間行事、食事等について分かりやすく伝えています。区のホームページや区発行の入所案内の紹介ページからも園の情報を提供しており、パンフレットは行政窓口にも設置しています。

法人本部でリニューアルしたホームページからは、法人の保育に対する熱い想いを明らかにするとともに、利用希望者が知りたい情報が内容満載で情報発信されています。同様に園独自のホームページも今年度新たに開設しており、「自分の子どもを入れたい園をつくる」ことを謳っています。保育・教育、安心・安全、給食・食育等についての考えを明らかにして、「一日の流れ」や「年間行事」の保育内容その他の取り組み等について、知りたい情報を子どもたちの活き活きとした日常の姿とともに、詳しく掲載してよく分かるように工夫しています。

利用希望者による問い合わせや見学は随時受け付けしており、見学については少人数での案内を行っています。見学では、子どもたちの生活等活動の様子が分かる時間帯で設定し、パンフレットの内容に沿って説明しています。また、見学の際には、子どもの午睡の時間も使って質問等、個別に子育てに関する相談に応じています。見学が集中する月は、比較的に対応時間に余裕が持てる日を提案するなど日時を柔軟に設定して、見学希望者全員を受け入れるように工夫をしています。

入園前の事前面接では、健康診断を同時に受けるように配慮し、個別に面接を行っています。面接の際には、食事・排泄・睡眠等の子どもの発育状況等を細かく聞き取りするとともに、既往症やアレルギーのある子どもの把握のため、看護師や栄養士と話す時間を設け、既往症等の健康面やアレルギー等、給食提供に関しても詳しく聞き取りを行っています。入園にあたって、児童票等に記載して頂き保護者の意向要望の確認をしており、把握した子どもの情報は職員会議等で、一人ひとりの子どもの様子を全職員が周知しています。

慣れ保育については、１週間を目途に設定し徐々に園生活に慣れるようにしていますが、保護者の事情等要望に応じて柔軟に対応しています。１日目は１時間、２日目は給食まで、３日目午睡までとし、子どもの様子を考慮しながら少しずつ時間を延ばし、無理のないように進めています。また、慣れ保育中は、保護者と密に連携して日中の子どもの様子がよく分かるように担任だけでなく、園長や他の職員からも伝えられるように配慮しています。さらに、お迎え時には、連絡帳や一日の様子等も口頭で丁寧に伝えられるよう配慮しています。

卒園や転居等で退園した後も、可能な限り夏祭りや運動会等の行事に参加の案内状を送付したり、保護者には必要に応じて相談やアドバイス等を行っています。隣接している小学校の２年生が３グループに分かれて、保育園見学を行い交流を図っています。年長児は、他の保育園の子ども達と合同で小学校を見学し、就学に興味が持てるように図っています。就学先の小学校には保育要録等を提出して情報交換を行い、子どもたちが環境の変化に対応できるようにしており、必要に応じて小学校の担任と手紙や電話でやり取り等も行っています。

子どもの心身状況や生活状況は、児童票や個別指導計画、連絡帳、健康カード、発達記録などから把握しています。子どもの成長の在り方を知るための根源となる『発達記録』は、0歳児クラスは毎月、1歳児クラス以上は4半期ごとに担任がチェックし、園長が確認しています。また『成長の記録』もあり、子どもの様子を記入しています。発達記録でチェックが付かなかった箇所の保育へのアセスメントは、乳児クラスは個別指導計画の保育上の留意点や評価・反省に記入しており、今後幼児クラスはアセスメント記載方法を明確化にする取り組みが望まれます。

全体的な計画は法人本部作成の原本を園長が園に沿ったものに手直しして各クラスに配布しています。クラスではそれに基づき年間指導計画、月間指導計画、個別指導計画、週案を作成しており、指導計画の一貫性を確保しています。年間、月間、週の指導計画や日誌、児童票はいつでも職員が閲覧できるようになっています。指導計画作成においては、個人面談や連絡帳、日頃の会話から保護者の保育に対するニーズを捉え指導計画に反映させると共に、クラスの話し合いから計画の在り方、子どもの姿を共通認識し、月間、個別指導計画に活かしています。

月間指導計画の見直しは月ごとに各クラスで行い前月の評価・反省が次月に繋がるように意識し、指導計画を作成しています。月1回の職員会議では、各クラスの子どもの様子をひろいあげて報告し他のクラスの職員とも共有しています。また、変化があった場合は朝礼で伝え、伝言板や職員連絡ノートに記載し、閲覧した職員は必ずサインをする仕組みをつくり、子どもに関する情報の共有化に努めています。園長は計画の振り返りの時間を今まで以上に持つことや、年度終わりにクラスの保育計画の在り方や、実践内容を総括する事が課題となっています。

子どもの発達過程や生活環境は、発達記録の記載内容や、身体測定、児童票、連絡帳から把握しています。これらを把握したうえで、日々の保育に携わる際に大切にしていることは、子どもに対する優しい声かけや子どもの行動を急かさずにゆっくり見守ることなどです。職員間では経験年数別に毎月勉強会を行い、その中で園長の思いを伝え、切磋琢磨しながら毎日の保育を行うよう努めています。しかし、職員は子どもへの関わり方、あるべき保育の姿をわかっているものの、余裕のなさがみられ、日々望ましい保育実践に向けて苦慮している面もあります。

幼児クラスでは、食事や昼寝などの日常生活を異年齢で過ごしています。食事は3歳児～5歳児クラスが入り混じり好きなテーブルに座り食事をしています。日中活動では、散歩や制作活動は異年齢で、制作はやりたい子どもから取り組んでいます。玄関には異年齢の子どもの発達に応じつくった作品を飾っています。異年齢保育の組み入れについては、隔月に開かれるクラス会議の中で検討し合い実践しています。異年齢保育のみの計画案は作成していません。子どもの様子としては、大きな子が小さな子に優しく接したり、小さな子は遊び方を学んだりしています。

子どものトラブル対応として、乳児の噛みつきは、発達過程において想定されるトラブルで、危険な時には、職員が事前に防ぐと共に、安心して遊べるような雰囲気づくりに努めています。噛みつき傾向の子どもは、その子どもの好きな玩具の提供や、気持ちを汲み取り言葉で伝えるよう促しています。幼児のトラブルや言葉のけんかは、場面に応じて注意をしたり、朝の会で話しています。また、個々の気持ちを汲み取りながら子どもが納得するよう、順序だてて話す等、子どもが問題を提起し、自ら考え、答えを出す機会を設けています。

登園時に視診、触診を行い、前日の家庭での様子を直接口頭で確認しています。視診で大切にしている点は、子どもの全体の姿を観察し、傷がある場合は保護者に家庭での傷があるかを聞いています。また、着替えの際は、体の状態を観察するなど丁寧な対応をしています。降園時は、連絡帳を渡すほか、その日の様子や園生活の場面での楽しいエピソードを話しており、経験年数の少ない職員も保護者対応ができています。子どもの体調や機嫌など、登園時の家庭からの連絡事項や降園時の一日の様子は伝言板に記入し、職員間で周知徹底を図っています。

生活習慣の確立は指導計画に入れ込み、発達に応じた習慣づけを目指しています。歯磨きは、3、4、5歳児クラスで実施しており、安全な環境を確保し、歯磨きの習慣が身についています。身だしなみを整える大切さを集会時に伝え、日々の生活でも洋服の前後や肌着の後ろもしっかり入っているか、口の周りはきれいであるかなど鏡を見て確認させています。手洗いの習慣づけにも取り組み、水道の側に手洗い歌できれいに洗うミニポスターを貼っています。しかし、生活習慣の一端であるトイレ後の手洗いをしていない子どもも見られ一層の徹底が求められます。

昼寝は休息の場としており、部屋の明るさや、湿度・室温にも配慮しています。家庭の状況や子どもの体力、保育時間の長さなど、個別の子どもの状態に配慮すると共に、家庭からの要望を聞き対応しています。昼寝は安全で快適な空間のなかで眠れるよう環境を整えるほか、SIDS予防に向け、睡眠時の呼吸確認をし、午睡チェック表に記入し、うつぶせ寝にさせないよう配慮もしています。年長児は徐々に昼寝を無くし、就学に向けて一定時間は数字を書く、ひらがなを書く等、学習時間としており、子どもは自覚をもって静かに学習に集中しています。

子どもが自ら遊びを選ぶことができるように、いろいろな教材や玩具を置いたコーナー設定をしています。コーナー設定に関しては、園長と主任が学びを得て職員にレクチャーしています。新しい玩具導入の際は担当職員が一緒に遊びの仕方を伝えています。また、玩具を入れ替える時は写真に撮り、保護者にもクラスだよりで紹介しています。0歳児、1歳児、2歳児クラスの子どもは各クラスで年齢に沿った玩具類を自ら選んで遊び、3歳児～5歳児クラスも設定してある教材や玩具から好きな遊びを選び、集中して「遊び」を充実させています。

集団活動として、天気の良い日には公園に出かけ鬼ごっこやルールのあるゲームを行い、集団で遊ぶ楽しさを伝えています。子どもは、「色鬼ごっこをして楽しかった」と感想を述べています。敬老の日には祖父母を招く会を催し、その中で昔ながらのあやとりを祖父母と一緒にしたことに触発され、あやとりに夢中になっている年長児の姿も見られました。制作活動はいつでもできるよう、棚に糊やハサミ、色鉛筆、クレヨン、絵筆が用意してあり、月のテーマに合わせて、幼児クラスはやりたい子どもから制作活動に取り組み、作品を完成させています。

毎日戸外遊びを設定しており、大型の多機能な固定遊具がある園庭で、遊びや目的に応じた散歩をしています。散歩先では体を十分動かす遊びや鉄棒にぶら下がる体験のほか、四季折々の草花を見たり虫を観察したりするなど、自然体験の機会を設けています。散歩に行く前には交通ルールの確認をし、子ども自ら「線のなかを歩くんだよ」の言葉がでるなど、危険回避能力が身についてきています。また、園バスを利用してでかけることで、園内ではできない経験をする機会があり、社会とのつながりの場となっています。

行事の取り組みとしては日頃の保育の延長線上にあるものとし、早い段階から無理なく興味を持てるよう工夫しています。運動会は『オリンピック』をテーマに3歳児クラスはダンスを4歳児クラスは椅子体操を、5歳児クラスは縄跳びや組体操を、4歳児、5歳児クラス合同でエイサーの踊りをしています。プレイデーでは普段のごっこ遊びから絵本を題材に劇遊びに発展させ、劇や合奏・合唱などの演目を披露しています。また、季節行事は由来を伝え、制作物をつくったり集会を行ったりと、子どもが楽しみにしながら参加できるよう、趣向を凝らしています。

子どもが協調を発揮し、達成感を得る行事として運動会やお泊り保育があります。運動会は無理なく練習を積み重ね上達していき、発表の場で力を発揮しています。組体操や縄跳び、踊りを披露した後、周囲の人々から拍手や歓声が起こり、子どもは達成感や自信につながっています。年長児クラスのお泊り保育もいつものように午前中の活動を終えた後、商店街に夕食づくりの買い物に出かけ、カレーづくりをしています。夜はスイカ割りをするなど、非日常の生活を過ごしています。子どもは保護者から離れて一泊する体験をし、一回り大きく成長しています。

行事に対して保護者理解を得るために、年度当初に年間行事予定を配布すると共に、園だよりやクラスだよりでねらいや内容、日程、時間帯を再度伝えています。行事の取り組み過程や見所は、園だよりやクラスだより、お知らせなどでわかりやすく知らせています。行事実施後には項目を決めたアンケートを取り、その集計結果として良い点、改善が必要な点を詳しく園だよりに載せ、次年度に反映させるよう努めています。また、保護者と一緒の親子遠足での交流や、運動会の後片付けに保護者からの申し出もあり、保護者と共に行事づくりをする等もしています。

長時間保育に関する配慮は各クラスの月間指導計画のなかで立案し、計画に沿って長時間保育を実施するようにしています。延長保育時間は18時から20時までとしていますが、現況では18時までのお迎えが多く、18時30分は15人位の子どもになります。延長保育の子どもは正規職員2名で対応をしています。部屋は1歳児クラスで行い、家庭的な飾りつけや観葉植物を置き、ゆったりと落ち着いて過ごせるような環境設定にしています。玩具類は1歳児クラスの物を使用したり幼児クラスから好きな玩具を持参したりと配慮し、遊びを充実させています。

延長保育時間は職員が寄り添いマンツーマンで過ごす時間をもつことや、子ども同士も異年齢での関わりを深めています。大きな子は小さな子に絵本を読んであげたり、玩具で一緒に遊んだりして触れ合っています。一方、小さな子は大きな子の真似をしたり、大きな子に可愛がられ満足感を得たりしており、異年齢での交流が自然と養われています。また、子どもは担任以外の当番職員とも馴染んでおり、当番職員は担任が退勤した後も引継ぎの伝言板を活用し、お迎えの保護者に漏れのないよう留意しながら伝達事項を伝えています。

給食時間は、子ども同士が会話を楽しみながら食事ができるよう環境づくりに配慮しています。園では、法人本部が作成した献立で食事提供をしており、旬の材料を中心としたメニュー構成にし、行事食や郷土料理等季節や行事に合わせた献立を考え、子どもたちが楽しめるメニューにしています。乳児クラスは全員に食事エプロン、口拭きタオルを用意して、衣服の汚れを気にせず食事を取れるようにしています。５歳児のクラスは就学に向けての準備として、前もって食事の終了時間を決め、自分で意識して時間内に終わるようペースを考えて食事をしています。

食物アレルギーや文化の違い等、特別な配慮を必要とする子どもに対しては入園時に保護者から確認を取り、児童票へ記入しています。食物アレルギーに対しては、医師からの証明書を提示して頂き除去食の対応を行っています。食物アレルギーの対応については、専用の食器とトレーを準備し、トレーにはアレルギー品目を記載したシールと名前を貼り、間違いがないように配慮しています。月に1度保護者にアレルギー除去の献立表を確認して頂くなど、保護者と密に連絡して進めています。除去解除に際しても医師の指導の下に解除届を提出して頂いています。

食育の推進として栄養バランスを考えた給食の提供、幼児期のランチバイキングの実施、行事食の提供、芋掘り等畑で収穫活動の実施、給食試食会の実施、幼児期のクッキングの実施等、多彩な食育活動を行い食の大切さを子ども達に伝えています。歳児別に食育年間指導計画を作成しており、期毎にねらい、内容を明記して評価・反省を行っています。5歳児では自分の体に必要な食材の種類や働きを学び、栄養バランスを考慮して食事を取る事、挨拶や姿勢等気持ちよく食事をするためのマナーを身につけるように取り組んでいます。

子どもの健康教育では、看護師による歯磨き指導を行っています。紙粘土で歯の模型をつくり磨き方や虫歯についても話しています。胃腸炎発生の際は、個々の子どもに手の洗い方を指導しています。今後も手洗いやうがいの指導の徹底をしたいと看護師は考えており、子どもへの健康管理、衛生管理の指導の幅を広げていくことが期待されます。安全面の指導は、公園の遊びや園庭での固定遊具の使用時に、職員は正しい使い方や順番を守ること等、その都度子どもに伝えています。また、安全面に対して子ども自ら危険回避能力を身につけるよう意識付けています。

既往歴のある子どもで熱性けいれんのある子が複数名おり対応をしています。非常事態に備え、医療機関からの投薬指示書により薬を預かり、冷蔵庫に保管しています。熱性けいれんマニュアルもあり、発症時には活用するような手順となっていますが、看護師によるデモンストレーションを行うと良いでしょう。体調面の管理として、発熱や嘔吐など症状が出た際は、事務所で様子を見る体制を整えています。0歳児クラスでは、誤飲を防ぐための玩具の確認を徹底し、安全面の確保をしています。嘱託医との連携もよく、病気情報の入手もできています。

感染症は、一人でも発生した時点で感染症情報としてお知らせを掲示し、注意喚起をしています。「ほけんだより」にもインフルエンザと風邪の違い、胃腸炎の時の水分摂取のタイミング、水分量ほかの記事を載せ、保護者に対応の仕方を伝えています。また、感染症が発生しないための予防に力を注いでおり、消毒液を使っての清掃や手洗い、うがいの励行など職員を始めとして、子どもへのしつけにも配慮するよう努めています。トイレ後など実際の場面での子どもの手洗いのさらなる指導徹底が望まれます。

保護者の仕事の都合や急な就労の変更に対して、予定時間に迎えに来られない場合は園に連絡を入れる様にしており、その際には子どもが元気に遊んでいる様子を伝え、安心して頂けるよう配慮しています。当日の急な延長には柔軟に対応し、遅くなる事で子どもに不安が生じないよう、職員が寄り添い保護者が迎えに来るまで安心して過ごせる様に配慮しています。土曜日保育は基本的には就労支援が目的ですが、家庭の事情や状況により可能な限り受け入れしています。さらに登園時間の早め、遅らせ、保育時間内の予防接種受診等にも配慮しています。

保護者が親子遠足や夏祭り、運動会などの行事を通して一緒にゲームをしたり、食事を一緒に食べたり保護者同士がコミュニケーションできるように取り組んでいます。運動会には保護者や祖父母参加の競技を取り入れ、保護者会には同じ年齢の子どもを持つ親同士が、子どもの発達の悩み等話し合える機会を設け、子育てに共通の認識が持てるようにしています。さらに、日々の保護者とのやり取りの中で、少しでも子育てに悩んでいるようであれば声かけし、園長・リーダー・担任等と相談して早期解決に努めています。

登降園時に子どもの様子を報告する中で、育児についての相談を受けた場合には速やかに対応することを心がけています。また、保護者参加の行事ごとにアンケートを取り、検討・改善しています。年に一回行う法人本部の利用者アンケートからも、保護者の素直な考えや意見・要望を出来る限り保育に反映するように努めています。日々の就労で忙しい保護者と子どもたちが、安心して過ごせる家庭的な雰囲気づくりに努め、各クラスの子どもの一日の様子が良くわかるよう連絡帳に記載し、玄関には今週の子どもの様子や年間行事予定等を掲示しています。

地域資源を活用して子どもたちが多様な体験ができるように取り組んでいます。戸外で遊ぶことが大好きな子ども達は自然にふれ季節の変化が感じられるよう、近くに点在する公園に散歩に出かけています。バッタの滑り台がある公園、芝生広場があり乳児でも楽しめる遊具がある公園、スプリング遊具等があり春には桜が満開の花見もお勧めの公園、公園内に豚のかたちをした腰掛があり、通称ブタ公園と呼んでいる公園等、其々の目的に応じて、子ども達は元気に楽しく遊んでいます。お散歩マップも掲示して保護者にも地域資源の利用等知らせています。

園の見学者等に対しては、園の案内としてパンフレットを渡し、園の行事への参加等を働きかけると共に、夏祭りや運動会にはポスターを園外に掲示し、地域の人に参加を呼びかけています。一方で、在宅子育て家庭への支援においては、保育園選びをしている保護者を対象に保育体験を実施していますが、参加者が少ない現状です。地域の在宅子育て家庭の支援に向けた働きかけがまだ弱いと園長は認識しており、地域における子育ての拠点としての機能を果たす取り組み等、さらに積極的に行なっていくことが望まれます。

法人の個人情報保護方針に基づいて目的や意義を伝え、具体的に例をあげながら説明して保護者に同意を得ています。子どもの羞恥心に配慮して、幼児トイレには扉を設けて、トイレの排泄の際には中に入っている子どもが出てくるまで、外で順番を待つよう指導しています。排泄で失敗した場合には、優しく受け留めて速やかに着替え、さりげなく対応して他の園児に気づかれないよう配慮しています。オムツ交換は決められた場所で行い、子どもの着替えの際には下着や裸で歩き回らないように指導し、その際には外から見えないようカーテン等配慮しています。

教育経営計画書の子どもに対する方針に基づき、一人ひとりを大切に大人の都合だけで子どもを動かさないよう心がけ、スキンシップを大切にしています。職員は子どもたちを尊重して保育にあたり、名前も君・さんを必ず付けて呼び捨てにしない事や、保育中の子どもを傷つける受け応えや態度をとらないようにしています。さらに教育経営計画書に基づき、「保護者の思想・宗教・ひいきに触れない」という法人全体の共通方針に沿って、職員は家庭の価値観、生活習慣、食習慣等の違いにも配慮し、子どもと保護者に合った支援が行えるよう努めています。

児童虐待防止マニュアルを事務所に常備していつでも職員が読めるようにしています。虐待の疑いがある子どもがいた場合には、その状況等を速やかに園長に報告し、必要があれば法人本部の担当者や区の子ども家庭支援センター等に通告する体制を整えています。また、虐待の早期発見や防止に向けて園では朝の受け入れ時の視診等子どもの様子を観察し、子どもの見だしなみや傷の有無等確認して異常を感じた時は直ちに園長に報告し、職員間で情報共有するようにしています。今後はどのような事が虐待のサインなのか、周知して防止に役立てたいとしています。

系列園統一の基本保育マニュアル「子どもの森のおやくそく」を職員に配布して、職員は系列園共通の取り組みや考え方などいつでも確認できるようにしています。また、この統一マニュアルは職員の業務評価システムにも連動していて、スタッフシートとしてそれぞれの内容項目ごとに自己評価して、園長との個人面談でアドバイスを受け、その後の保育実践に活かしています。統一マニュアルには、一日の流れから保護者とのコミュニケーション、保育士の基本、年間の流れ、安全管理など多岐に渡って詳細に明記して標準化を図っています。

登降園時の保護者からの気づきや意見・要望等があった場合には、直ぐに検討し、改善できることは速やかに保育に反映させています。保護者が直接伝えにくい苦情や要望については、玄関にご意見ハガキを置き、保護者がいつでも法人本部に郵送できるようにしています。年２回の運営委員会において、保護者代表から意見要望等があった場合には、有識者等からのアドバイスも受け、その後園で検討し保育計画に反映させています。また、職員からの意見や提案等がある場合には、その都度職員会議で話し合い検討して保育に反映させています。

年間指導計画は期ごとに園長と主任を含め担任職員が見直し、その後の計画につなげています。年度末には、各クラスが反省をして次年度の計画に反映させています。月案・週案及び日誌については、前回の評価・反省による改善内容を園長に確認をとった上で、次回の計画に反映し実行しています。年間指導計画は期ごとに園長が確認し、内容についてアドバイスしています。法人本部主催の研修が定期的にあり、様々な内容の研修を通して職員のレベルアップ、スキルアップが図られるとともに、系列他園の職員との情報交換も活発に行われています。