東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

年度当初の職員会議において運営方針(資料)を配布して、「運営の柱」「保育の中で大切にしてほしいこと」などを確認するとともに、園内研修を通じて理解を深めています。また、これを踏まえて全体的な計画、指導計画を作成し、年間を通じて保育実践に生かしています。さらに「園だより」では保育の中で大切にしていることを伝えるほか、事例紹介を通じて保護者、職員に日常の保育で大切にしたいことを伝えています。保護者には、4月の全体保護者会、5月のクラス懇談会で目標と実践の関係を分かり易く説明し、共有してもらうよう努めています。

区立保育園共通の「運営の手引き」には、園長の心得・職務内容など、園長が果たすべき役割が示され、園長の行動指針になっています。これを踏まえ、園長は職員会議で「職層別役割」を通じて自らの役割と責任を明らかにするとともに、職員に求める役割を確認し、共有しています。さらに「仕事をすすめる上での基本的事項」を通じて、服務やクラス運営、地域の子育て支援など、基本的事項を確認しています。園長は職員がモチベーション高く、保育に取り組めるよう、体制や環境づくりに努めるなど、リーダーシップを発揮して組織運営に努めています。

「運営会」は園長、副園長、リーダー、ブロックリーダー、主査等で構成しています。運営会では、案件に応じた解決方針、解決策を協議し、職員の意見を踏まえて決定し、実施しています。決定事項は、職員が納得して取り組めるよう、経緯を含めて共有するよう取り組んでいます。決定内容・経緯については、職員会議を通じて共有するとともに、会議録の確認によって周知しています。保護者には文書配布、掲示を通じて伝えています。決定事項のみを伝えるのではなく、その理由・経緯を併せて伝えることで、理解、協力が得られるよう配慮しています。

意見箱を設置して意見を募集するほか、連絡ノートでの日々の意見交換、行事後の感想などを集約するほか、保護者会、個人面談などを通じて、保護者の意向を把握し、運営に活かすよう努めています。職員の意向は、運営会、リーダー会を通じて集約すると共に、年3回の園長面談を通じて直接意向を確認しています。地域の福祉の現状については、子育て支援事業に参加した保護者のアンケートでニーズの状況を確認するほか、地区連絡会などに参加し、子どもや保護者を取り巻く様々な社会資源や活用の状況について情報収集に取り組んでいます。

保育団体広報誌、保育雑誌などの購読、園長会や外部研修、区からのメール情報を通じて、福祉事業全体の動向把握に努めています。特に今年度は区「子ども総合計画」「子ども・子育て支援事業計画」(子ども総合計画の一部)の最終年度であることから、ニーズ調査、審議会の動向、次期計画の素案などの情報を収集し、職員と共有するとともに、今後、園が取り組むべき課題の抽出に役だてています。また、園長会、保育課を通じて予算要求するほか、予算措置の内容を確認するなど、保育園経営に影響する区の保育予算の動向把握に努めています。

目黒区「子ども総合計画」「子ども・子育て支援事業計画」などの長期展望を踏まえ、園の経営に取り組んでいます。単年度計画は、園内研修計画のほか年間指導計画を作成し、保育実践の計画的な推進に努めています。また、職員全員が年度当初に「ステップアップシート」を作成し、年間3回の園長面談を通じて自己・他者評価に取り組むなど、個人別の目標管理に取り組んでいます。さらに、保育計画については、月案反省、期の反省に加え、前期・後期の反省など、目標とねらいを指標に達成状況を振り返り、必要に応じて見直しを行っています。

区では「職員倫理条例」を制定し、職員倫理の確保に関する制度を運用しています。これに基づく公務員倫理研修に職員全員が参加して倫理を学ぶほか、毎年、園内で倫理ミーティングを行い、公務員としての行動の振り返りを行っています。さらに「人権チェックリスト」を使用し、読み合わせを行って人権意識を高めています。また、ニュースで不適切事例を収集し、朝のミーティングで共有しています。苦情受付担当者、苦情解決責任者、保健福祉サービス苦情調整委員など苦情解決制度を整え、保護者会での説明、掲示を通じて周知を図っています。

子どもの心を傷つけない言動、対応のため、「人権チェックリスト」により、日頃の保育の振り返りを行っています。様子が気になる子は、児童虐待防止対応マニュアルに沿って異変を見逃さないよう情報収集に努めています。疑いのある場合、保育課、子ども家庭支援センターなど、関係機関と連携する仕組みが整っています。区報、ホームページ、第三者評価公表、子育て支援掲示板、子育て支援事業などによって園の活動内容を開示しています。ボランティア、体験学習は、手順に沿って受入れ、体験者と子ども双方に実りある機会となるよう努めています。

園内に「ぽっぽの会」という子育て支援組織をつくり、独自の活動を行っています。離乳食講座、手作りおもちゃ、感触遊びや、育児相談、体験保育、園庭開放、身体計測などのほか、地域の老人会の高齢者との多世代交流など、地域貢献に努めています。さらに地域の小規模園と、交流、支援を行うなど、地域の保育水準の向上に取り組んでいます。さらにサービス担当者会議に参加して個別事例の検討を行うほか、地区連絡協議会、要保護児童対策協議会に参加し、子どもを取り巻く地域の共通課題に協働して解決に取り組んでいます。

めぐろ保育安全マニュアルに沿って事故、災害、侵入、感染症など、様々なリスクに応じたマニュアルを作成、共有し、非常時に備えています。また、ヒヤリハット係を設置し、収集したデータを整理、分析しています。データは男女別、クラス別、時間帯別などに細かく整理し、日常保育での注意点を共有するよう取り組んでいます。さらに事故報告書をもとに要因分析を行い、再発の防止に取り組んでいます。また、区からの情報提供を受け、インフルエンザの罹患情報を掲示により伝え、予防のための注意喚起を行って感染の予防・拡大防止に努めています。

区では事業継続計画（地震編）を策定しています。保育課が属する子育て支援部では、保育園等の利用者の安全確保、保護者が迎えに来るまでの応急保育、福祉・補完避難所の開設、保育園の運営など、発災から時間ごとに業務開始目標時間を設定しています。震災時の適切な行動のため、園では計画に沿った安全マニュアルの共有・訓練に取り組んでいます。さらに避難訓練では、年間を通じて毎月、地震、火災、警戒宣言、不審者訓練などに取り組むほか、引き取り訓練では、保育園と保護者の役割分担を共有し、緊急の事態に備えています。

個人情報保護では、ボランティア・体験学習生にも書面と口頭で説明し、守秘義務の徹底を図っています。保育に必要な個人情報は、区の文書管理規定に従って管理を徹底しています。児童票などの紙資料、電子媒体などは鍵付き書庫に保管しています。外付けハードディスク、カメラの持ち出しは管理簿によって管理しています。電子情報は、区電子情報処理規則に沿って管理し、職員証、パスワードによる二重のアクセス制限を行っています。保護者には、個人情報保護条例による情報の利用目的、開示請求への対応などを説明し、書面で同意を得ています。

区ホームページには目黒区職員募集のサイトを設け、入職を希望する方への採用試験情報の提供を行っています。常勤職員の採用は人事課で行い、臨時職員の採用は園、保育課が協力して行っています。人事異動は、前年に行う意向調査結果などを踏まえながら、組織の活性化を図れるよう定期的に行われています。さらに園内での配置は、本人の希望を踏まえ、能力、相性、人材育成の観点から選任しています。新人職員の育成は、新人サポーター研修に参加した職員の指導のもと、年間を2期に分けてOJT育成計画書に沿って行われています。

園長協議会はキャリアパスとして「保育園職員育成のめやす」を開発しました。保育士、栄養士、調理師、用務などの職種別、経験年数別など、各ステージの到達目標を示しています。キャリアパスは「公務員としてのねらいと具体的事項」も並列し、公務員、保育園職員のスキルのめやすの関係を明らかにしています。区は毎年、保育園職員研修計画を作成し、階層別研修や職種別研修、専門研修の機会を提供しています。園ではキャリアパスに応じて、職員を研修に派遣しています。受講者は報告書を作成して振り返り、発表を通じて成果を共有しています。

職員は毎年度、「ステップアップシート」を通じて目標管理を行っています。園長は4月の目標設定時、12月の中間評価、3月の最終評価による面接、助言によって職員の取り組みを支援しています。年1回ストレスチェックを行い、必要に応じて保健師、産業医の相談が受けられます。安全衛生委員による環境チェックによって働きやすい職場づくりに取り組んでいます。さらに園長は就業状況を把握し、必要に応じて指導・助言を行っています。職員一人ひとりの気づきを運営に反映するため、クラス会議、リーダー会議などで意見を収集しています。

保育園に関する基本情報は区が集約し、入園を希望される方に向けて「保育施設利用のご案内」「めぐろの保育園ガイド」を発行しています。また、区のホームページには、区内の保育施設のページが設定されており、各園の基本情報、子育て支援事業、保育園の行事予定などを紹介し、幅広く情報発信しています。利用に係る相談や申請の窓口は、区役所保育課が担っています。園では、保育園のしおりを用意し入園希望者などに配布しています。また、園生活や活動の様子は、各クラスや玄関に写真を掲示し視覚的にわかりやすく紹介しています。

子育てに関する情報は、区で集約し、就学前の乳幼児を対象に子育てに関する情報をまとめた子育て情報誌「めぐろ子育てホッ！とブック」や、インターネットを活用した「めぐろ子ども子育てネット、めぐろメールマガジン」など、多くの方に届くように幅広く発信されています。また、保育園が主体となって実施する子育て支援事業については、区の広報紙、子育てふれあいのひろば、子育て支援行事予定表などを発行し、保育課、住区センター、児童館、子育て広場、図書館等で配布しています。

園見学は、日程の都合を聞き、できるだけ希望に沿った個別対応を心がけ、子どもが活動している様子を見られる日中の時間帯（10：00～）をお勧めしています。見学の際には、園長や副園長、看護師などが丁寧な説明を行い、異年齢保育、毎日行っているリズム、バランスの良い職員体制など、園の特徴を紹介しています。また、実際の子どもたちが主体的に遊んでいる姿を見ていただき、保護者からの質問にも答えながら対応しています。子育ての不安を抱えている保護者に対してはアドバイスや、地域の子育て支援事業の紹介を行っています。

入園における面接において、保育時間の確認や持ち物のサンプル等みせて説明しています。また、新入児面接や入園説明会では、新入児面接の取り方を基に、めぐろの保育園ガイド、保育園のしおり等に沿って、保育目標、園目標、発達の姿、年間行事、安全管理、感染症、個人情報等の詳細なルールについて説明しています。個人情報の取り扱い等については利用の目的を記載し同意を得ています。また、年度当初の全体保護者会では、プレゼンテーションソフトを活用して、一年間の活動や生活、発達などの様子を視覚的にわかりやすく説明しています。

入園当初は、児童票や連絡カード等を通じて生活のリズムを把握し、職員間で周知を図り、子どもや保護者が出来るだけ安心して園生活に入れるように取り組んでいます。子どもの様子や保護者の就労状況に応じ、可能なかぎり子どもへの負担を軽減するために、３日間程度を目安に環境に慣れるよう支援しています。また、子どもが安心して園生活が送れるように同じ保育士が関わり、段階的に慣れるようにしています。他園からの転園の際には、保護者から前園の状況などを聞き取り、子どもの不安やストレスを軽減するよう取り組んでいます。

転園や退園する子どもには、手作りのメッセージカードを贈るなどしています。また、転園先が同じ区立保育園の場合は、児童票の引継ぎや必要な情報提供を行い、子どもへの支援が円滑に継続されるよう配慮しています。卒園・退園後も、保護者の育児に関する不安や心配事をいつでも相談できること、子育て支援事業の運動会などの行事に招待するなど、引き続き身近で安心できる存在であることを伝えています。卒園時には保育要録を作成して就学先の小学校へ提出し、子どもの状況を伝えています。

入園決定後及び入園以降に把握した子どもの発達や心身・健康の状況、家庭の状況などは児童票に記載しています。日々の子どもの生活状況は、園児個別に連絡ノートを使用し、保護者や子どもの姿に変化を感じた時などは、複写し保管を行うなど、保護者や子どもの状況を年間を通じて振り返れるようにしています。保育経過等の参考となる事柄や、個人面談等で得られた家庭状況や保護者の意向については児童票に記載しています。児童票の内容は、乳児は毎月、幼児は期毎に、子ども一人ひとりの発達を捉え、職員間で共有し、更新がなされています。

指導計画は、全体的な計画を踏まえて各領域について考慮し、年間指導計画、月案等を作成しています。年間指導計画は、前後期、月案は毎月クラスで振り返りを行い、週案は毎週の後半に各ブロックの３クラスで振り返りを行い、それぞれ次の計画に活かしています。全体保護者会やクラス懇談会では、保育目標やクラス目標、保育の内容を写真などを使って、子どもの姿をわかりやすく伝えながら詳しく説明し、保護者の理解を深めています。また、日常においては、本日の主な活動や今週の予定、各クラスの週案などを掲示し、保護者に伝えています。

子ども一人ひとりに関する情報は保育日誌に記録しています。職員間での子どもの情報共有は、職員会議、乳児・幼児ブロック会議、クラス会議等で行っています。会議後は会議録を作成し参加できなかった職員を含め閲覧、確認により周知しています。また、毎日朝礼を行い、連絡事項、子どもの変化や気になる点などについて速やかに情報を伝達しています。さらに、朝の連絡用紙や朝、夕連絡ノートなどの閲覧および口頭による伝達などで、子どもや保護者の様子などを園全体で共有しています。非常勤職員等には、口頭やホワイトボードで伝達しています。

乳児クラスは巧技台やマットなどを組み合わせた動的活動スペースと玩具遊びスペースに分けて、発達に合わせた活動を自由に楽しめるよう整えられています。コーナーには、ままごと、構成玩具、手先の遊び、パズル等の多様な玩具や工夫された手作り玩具が設置されています。幼児クラスではままごとや絵本、積み木、ブロック、制作教材等を提供し、手作りパーテーションを活用して遊びに集中できる配慮もなされています。園庭には、タイヤ・風呂マット・椅子、L字パーツなどの可動遊具が置かれ子どもは友達と関わりながら遊びを工夫して楽しんでいます。

幼児では異年齢児3人グループで行動を共にする機会を作り関係を深めています。日常的な散歩やリズム活動等に加えて運動会やお店屋さんごっこ等の行事でもグループ活動を取り入れています。また、園庭遊びや朝夕の遊びの中で、乳児幼児を問わず日常的に異年齢児が交流し、自然な関りの中で互いを思いやったり刺激し合ったりする関係が生まれています。また、5歳児クラスには世界地図が貼られ、外国からの転入児やスポーツイベント等を機会に芽生えた異文化への興味関心を広げています。

目黒区では、公私立園長会が中心となり、区内を5地区に分けて保小連携事業を実施し、「保小連携ニュース」を通して保護者への周知も図っています。当園の所属する中央地区では、園児が小学校を訪問して、展覧会や学芸会等の行事に参加したり、学校見学、体験授業、給食体験をしたりして、学校生活への期待感と安心感に繋げています。また、ドッジボール大会や行事を通した地区内の園児同士の交流や、職員の施設見学等も実施しています。更に、教育委員会による保育士と教員の合同研修が実施され、接続期の教育を一緒に考える機会としています。

受け入れ時に子どもの健康状態を観察し、保護者から口頭や連絡帳で得た情報を「特例名簿」に記載して担任に引き継ぐと共に、朝礼で共有しています。乳児クラスは連絡帳で睡眠や食事内容、体温、排泄などを知らせ、幼児クラスは連絡帳や今日の主な活動で子どもの様子を知らせ家庭との連携に努めています。健康面については、看護師が確認して対応することもあります。夕方保育では、日中の子どもの様子を引継ぎ、当番保育士が体調面等の情報を直接保護者に伝えています。延長保育中での連絡事項は「特例名簿」を活用して翌朝の保育に引き継いでいます。

基本的な生活習慣が身につくように各年齢別の指導計画に沿った取り組みを行っています。排泄の自立は一人ひとりの子どもに応じて無理なく進め、2歳児後半から3歳児でほぼ完了します。箸は4歳クラスで個々の状態を見極めながら取り入れています。生活習慣については、日常生活の中で着脱の仕方を繰り返し伝たり整理整頓の気持ちよさを感じられるようにして、子どもの自主性を引き出し励ましながら、乳児期より少しずつ身に着けていきます。保護者会やクラスだより等で園での取り組みを詳しく保護者に伝え、家庭と連携して進めています。

連絡帳や口頭連絡で家庭での睡眠や体調を把握して、園での休息や睡眠時間を配慮しています。午睡室では保育者は採光や室温、換気に配慮し環境を整えます。0歳児は5分、1.2歳児は10分、幼児も30分毎に子どもの様子を確認記録して、事故防止に取り組んでいます。就学に向けて5歳児は年明けから午睡を徐々に短くして2月後半には廃止しています。取り組みに当たり12月の保護者会で説明を行い、家庭との連携を密にしています。静と動のメリハリある園生活に努めながら、子どもが必要な休息が取れるよう配慮しています。

園では園庭遊具や室内玩具、コーナー設定の充実を図ると共に、日誌記録や映像検討を通して子どもの行為の意味を掘り下げ、援助が及ぼす遊びや活動の推移について振り返り、共通認識を高め合っています。室内に設定したハンモックを発端に様々な運動遊びが生まれたり、布の提供方法を段階的に変化させたことでイメージが広がりごっこ遊びが発展したり、屋上で絵の具遊びを行い、子どもの様子に応じて提供素材に工夫を加えたことで伸びやかな表現が生まれたり等、様々な事例検討を通して保育者は援助方法の工夫と改善を行っています。

乳児は保育者との信頼関係の下で、表情や指さしなどを言語化してもらい、幼児は朝の会や話し合いで言葉を使って考え合う経験をしています。各保育室には発達に合った絵本が揃っており、保育者の膝で読んでもらったり友達と一緒に楽しんだりして、ごっこ遊びや劇ごっこに発展させることもあります。年齢に合わせて、わらべ歌遊びやしりとり等の言葉遊びも楽しみます。また、幼児クラスでは午睡後にリズム遊びと歌を毎日の日課として取り入れています。5歳児室には楽器や制作教材や空き箱等が提供され、子どもが自由に使える環境となっています。

園庭には桜の木やびわ、夏みかん等実のなる木があり、収穫したみかんでジャムを作り食べる体験もしています。花壇には季節の花が育ちビオトープも設置され、プランターでは子ども達が野菜栽培や米作りに取り組んでいます。園内では、玄関や5歳児室でメダカ・カブトムシの飼育を行い、命の大切さや不思議さを学ぶことができます。また、天候が良ければ乳児・幼児とも散歩に出かけたり、外気浴をしたり、自然に触れ戸外遊びを楽しんだりします。各散歩先の特徴を「しおり」の散歩マップに掲載して、保護者に紹介しています。

園では、七夕やお月見、年末の鏡餅つくり、節分、ひな祭りなどの伝承行事を大切に考えて、子どもに行事の由来などを伝えながら保育士が様々な企画を工夫しています。七夕では地域のお年寄りと一緒に笹飾りを作り交流を楽しみ、お月見では5歳児が団子を作り飾りました。鏡餅つくりでは餅つきも体験します。「幼児お楽しみ会」では保育者が劇を演じて子ども達を楽しませ、「大きくなったね会」の劇遊びへと繋げていきます。お店屋さんごっこには幼児クラスが縦割りグループで取り組み、異年齢児が関わりながら品物作りや売り買いを楽しみます。

行事を通して、子どもは目標をもち、友達と工夫し協力してやり遂げる喜びを味わっています。運動会で、5歳児は自分で編んだ縄を使った縄跳びで得意な跳び方を披露しました。リレーで何回も作戦会議を開いて順番を考えたり、組体操のウェーブで隣の子どもの動きに合わせて自分の動きを調整することを学んだりしています。「大きくなったね会」の劇遊びでは、日ごろから親しんだ絵本を題材に、イメージを友達と共有して演技を考えたり道具を工夫して作ったりします。保育者は日常の遊びを活動に取り入れて子どもが意欲的に関われるよう配慮しています。

保護者参加行事については年度初めに年間行事予定を配布して日程調整を依頼し、保護者総会で園長が説明しています。運動会や「大きくなったね会」では、毎日クラス前に掲示される「今日の活動」紹介と共に、「みどころ」を発行して取り組みのねらいや様子を伝えて、保護者の理解を得られるよう努めています。保護者が参加しない行事については、写真入りの掲示を通して子どもの様子を伝えています。保護者からは連絡帳を通して感想等得ていますが、今後より意見箱等を活用し積極的な意見収集を行い、一層の理解を得る工夫が望まれます。

朝の保育は乳児と幼児とが分かれ、夕方は0歳児は自室、1.2歳児は1歳児室の2部屋に分かれて過ごし、幼児は3.4歳児室の好きな場所で過ごします。延長保育は3歳児室で異年齢児が交流しながら、家庭的雰囲気で実施しています。各保育室にはコーナーや手作りの衝立等で仕切った遊びスペースが整えられ、子どもは自分の好きな遊びを少人数で落ち着いて楽しみ、乳児室にはマットを敷いたくつろぎスペースもあります。非常勤職員は担当クラスを固定し、当番シフトを工夫して慣れた保育士が担当する等、子どもが安心して過ごせる配慮をしています。

幼児は17時近くまで園庭遊びを楽しんだり、ホールで身体を動かして遊んだりします。2歳児も屋上で三輪車や車遊び、追いかけっこなど体を使った遊びを楽しみ、その後は室内で落ち着いて過ごしています。このように夕方保育では静と動のメリハリをつけて、子どもが楽しく過ごせる工夫をしています。室内はままごとや積み木、ブロックやパズル、ゲーム、描画等年齢に合った玩具や教材が充実していて、子どもは日中の遊びの続きに取り組んだり、思い思いの遊びを自由に選んで楽しく過ごしています。

乳児は個々の体に合うよう調整された椅子に座り、担当職員が食事介助を行います。幼児も座る席を決めて、落ち着いて食事ができるように配慮しています。また、温かい食事を美味しく食べられるように、主食と汁は保育室で配膳提供しています。献立は2週サイクルで提供し、区内3園の栄養士が持ち回りで立てています。栄養士は毎日子どもたちの様子を巡回して回り、1週目の喫食状況に応じて2週目の提供方法を変更するなどきめ細やかに対応しています。行事にちなんだ献立や盛り付けの工夫を行い、子ども達の楽しみとなっています。

離乳食献立は自園の栄養士が作成し、子ども一人ひとりの状況に合わせて4段階で対応し、家庭との連携を密に無理なく進めています。希望により冷凍母乳対応も実施しています。アレルギーについてはマニュアルに則り、医師の指示書に沿って除去食を提供します。園長・看護師・栄養士・調理師・担任で毎月献立の確認を行い、提供に当たってはチェック体制を整えています。更に子どもの状態に応じて形状を工夫したり、体調不良児への配慮を行ったり等、家庭と連携した細やかな対応をしています。毎日の食事は食材産地一覧と共に玄関に展示されています。

子ども達は、調理師と連携して野菜洗いや皮むき等の手伝いを日常的に行っています。幼児クラスでは芋汁・おにぎり・クッキー・カレー作りなどの調理活動も行ないます。年間の栽培計画に沿って、プランターでブロッコリー・とまと・なす・いんげん等の野菜作りを行い、収穫物を目の前で調理してもらい味わいます。5歳児は米を育て稲刈りや脱穀等の体験もします。保育室には箸の持ち方や食器の置き方等の分かりやすい図を掲示して、マナーも知らせています。今後は栄養士の専門性をより発揮した栄養教育等を一層充実させることが期待されます。

年度初めに遊具や玩具の使い方を子どもと確認し、折に触れて子ども自身が気づけるよう働きかけをしています。毎月の避難訓練では、子どもに緊急時の対応の仕方を伝え繰り返すことで身に着くようにしています。また、看護師がうがい手洗いの大切さと方法を知らせ、感染予防への意識付けを行ったり、歯磨き指導を実施して正しい歯磨き方法を意識させたりしています。園では4歳児クラス後半から歯磨きを取り入れ習慣づけをしています。幼児クラスは年1回交通安全教室に参加して交通ルールを学ぶと共に、散歩でも意識できるよう働きかけています。

園医による健康診断は0歳児は月4回、1歳児以上は年2回実施し、体調不良児や緊急時対応を園医に相談することもあります。耳鼻科・眼科検診は年1回、歯科検診は年2回実施しています。看護師は毎日朝夕2回園内を巡回して子どもの健康管理を行い、月1回の身体測定を実施します。感染症や伝染病の発生時には必要に応じて主管課や保健所と連携した対応を行います。慢性疾患のため与薬が必要な場合は、区のマニュアルに則り医師の指示書に沿って対応します。職員は心肺蘇生やAED使用法、吐物の扱い方等を研修や訓練を通して身に着けています。

園内の感染症発生時には速やかに玄関掲示板「保育園から」に病名と発生クラス名を掲示して、保護者への周知徹底と注意喚起を図っています。また、予防接種や害虫情報等の健康衛生情報も随時掲示して、保護者が保健情報を一括して入手できるよう配慮しています。乳児突然死症候群については、午睡時の園の取り組みを伝えると共に、家庭でも仰向けで睡眠させる習慣づけを奨励しています。身体測定や健康診断結果、予防接種、既往症等の子どもの健康情報は「健康カード」により園と家庭とで共有して健康管理を行っています。

入園時の面接や入園後の個人面談、送迎時の会話や連絡ノート等で各家庭の就業状況などを把握・考慮し、保護者が安心して子どもを預け、仕事が出来るように支援しています。把握した情報は、「児童票」に記載し、職員会議、乳児・幼児ブロック会議等で共有するとともに、個々の支援の変更に繋げています。また、年度初めに保護者参加行事が明示されている年間行事計画を配付し、少しでも多くの保護者が参加できるように配慮しています。早朝・夕方・延長・土曜保育、急な残業にも、できる限り柔軟に対応しています。

保護者同士が交流する機会として、クラス懇談会等の機会を設け、クラス毎に内容の工夫をしています。懇談会では、より活発に自分の思いや意見、日頃の悩みなどを言いやすい雰囲気づくりを行い、保護者同士で育児の参考にできる情報交換を行うとともに、保育園を離れたところでの親同士のコミュニケーションのきっかけにもなっています。保育園での子どもの日常の姿や行事の様子は、各クラスで文章や写真、今月のねらい等を掲示し、わかりやすく伝えています。子どもの姿や成長、保育のねらい等の可視化に取り組み、保護者との信頼関係を深めています。

連絡ノートは全園児について毎日、家庭と園とをつなぐツールとして活用されています。保護者から寄せられた悩みや意見等に対しては、保護者の思いに寄り添って、状況によっては直接会って話し、解決したり安心感に繋げたりしています。また、子どもの園での生活を理解し安心してもらえるように、保育参観や面談を開催し日頃の子どもの姿を見て安心したり、一緒に遊んだりすることができます。面談では個別の悩みに寄り添い、困っている保護者には子育てのヒントやアドバイスで気づきにつなげ、保護者の安心と満足が得られるよう取り組んでいます。

職員全員が関わり地域の子育て支援事業として、園庭開放、離乳食講座、リズムあそび、運動会、体験保育などが開催されています。園の子どもたちにも多様な体験や交流ができる機会となっています。高校生のボランティア活動や実習生、職場体験などを受け入れており、様々な人との関わり合いによる楽しい機会となっています。また、清掃局から職員を招いた環境学習会を実施して、人形や紙芝居、ごみの分別体験やスケルトン清掃車の積み込み体験、見学等を行っています。地域資源を活用し、子どもたちの多様な体験と交流を行っています。

地域の子育て家庭に子育て支援事業を知ってもらえるように、ホームページ、関係機関への予定表配布等で周知を図っています。子育て支援事業では、地域の子育て家庭が保育園で多様な体験ができるようプログラムを作成しています。また、高齢者サロンの方が七夕集会にきて笹飾りを作ったり、新年子ども会で一緒に昔遊びをしたりするなど、世代間交流が図られています。さらに、地域の方を園の行事に招待したり、散歩のときに挨拶をしたりするなど、子どもたちが地域の方々と触れ合うきっかけになっています。

区立保育園では、個人情報保護条例に基づき適切な取り扱いを心がけ、保育の記録や秘密保持等を含む契約書に明記しています。入園前の面接時や入園説明会等で個人情報の取扱いについての説明を行い、管理や取り扱い項目、利用目的等を記載した同意書により保護者の理解と確認を得ています。子どもの羞恥心への配慮として、プールやシャワーでは、外部から直接見えないように目隠しネットを張っています。また、着替えの時には、窓から離れた場所やすぐに衣服を着ること、上下を分けて着替えるなど、子どもたちに伝えています。

子どもの権利については、職員会議や研修などを通じて学ぶ機会があり、職員の行動規範として、子ども一人ひとりの思いに寄り添い、主体的な遊びや生活が進められるよう日々の保育に活かしています。入園以降の保護者との日々の会話や定期的な面談などで各家庭の生活習慣や価値観、保護者の意向、文化の違いなどを把握し、配慮に努めています。虐待防止に向けて、「児童虐待防止マニュアル」に則って対応しています。また、虐待防止の研修に参加し、報告を行い職員間で共有化を図り、職員の理解を深めています。

保育園で活用するマニュアル類は、「保育園運営の手引き」「看護師・栄養士業務の手引き」「危機管理マニュアル」などが区として統一的に整備されています。また、園の事業計画書には、危機管理の対応手順や常勤職員の業務分担、非常勤職員の業務内容などが明記され、円滑な園運営に役立てています。園独自には、面接の取り方の手引きや朝番・遅番・土曜保育の流れなどが作成されています。さらに、業務の基本事項や手順等について、嘔吐処理方法のロールプレイングや心肺蘇生、施設・安全点検チェックなど、見直しと確認がなされています。

マニュアル等の作成・見直しには、区立保育園共通のものは主管課を通じ、園長会・副園長会・看護師協議会・栄養士協議会で検討しています。園内で活用している保育内容については、職員が実際に行動し、点検・見直し、気になった変更点があれば、事務所やブロックリーダーに伝え、必要に応じて検討・確認を行い、業務改善に活かしています。行事や保育内容等について、行事アンケートや連絡ノート、保護者とのコミュニケーション等で把握した意向や感想等は、会議で話し合い、見直しや検討を行い、次回の行事やサービスの向上などに活かしています。