東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

理念や保育目標等は、園内への掲示、園のしおりや園だよりへの記載、ホームページへの掲載などにより職員や保護者等へ幅広く周知しています。職員には、全体会議で運営方針や園目標を示し、方向性の理解や周知を図っています。また、会議等での意思決定の際には、理念や基本方針に基づき話し合いを行い、保育実践と具体的に連動させることにより理解を深めています。保護者には、新入園児面接や懇談会での資料の配布や説明、園だよりなどで大切にしている事や活動内容をわかりやすく伝え保護者の理解につなげています。

経営層の位置づけは、「職員体制」が作成され、園長、保健師または看護師、保育士、栄養士または調理師など、それぞれの役割と内容が示され、行動指針となっています。また、運営業務計画を作成し、職員会議等の場や日常を通じて園運営の役割と責任を伝え、一年間の園の方向性を示しています。経営層は、信頼関係を大切にし、自らの考えを示しながら職員とのコミュニケーションを図ることを心がけ、職員の良いところを評価しながら関係づくりに取り組み、役割と責任に基づいてリーダーシップを発揮しています。

会議体系は、職員会議、ブロック会議、クラス会議等が設定されています。重要な案件等は、乳児・幼児・事務の各ブロック会議の検討を踏まえ、全体の職員会議で決定するものとなっています。決定内容や経緯等は、会議での報告を基本とし、会議不参加者には、出席者から欠席者への伝達、会議録の閲覧・確認などで周知しています。臨時・嘱託職員等には、保育前のミーティングや口頭による伝達、資料の配布などで、周知に努めています。保護者には、園だよりやおたよりの配布、園内掲示、クラス懇談会での説明等によりわかりやすく伝えています。

利用者の意向は、行事の感想や運動会アンケート、第三者評価受審時の利用者調査などにより、情報を収集しています。収集した意見や要望は集計し、とりまとめを行い内容の把握、検討をして利用者ニーズに対応しています。職員の意向は、会議や面談、日常の相談等を通じて把握しています。また、地域交流の参加者アンケートや見学者などを通じ福祉ニーズを把握しています。児童少年課からの情報や園長会、情報誌等を通じて、福祉事業全体の情報を把握しています。収集・把握した情報を園運営に活かしています。

平成28年度から35年度までの中長期計画「子ども総合計画」が策定されており、市の理念・ビジョンに向けた方向性が示されています。また、市の保育理念や中長期計画を基に、前年度の評価・反省と行事感想結果等を踏まえて、園における単年度の運営業務計画を作成し、園運営の計画的な推進に努めています。職員は、行動記録シートや自己評価シート等を作成し、年度目標の設定と達成に向けた取り組みがなされています。さらに、行事等の短期的な計画についても担当者が中心になり、計画案を作成し、職員会議で検討し進めています。

計画の推進に向けて、行事等の短期的な活動では、担当者を中心に進められ、職員会議等で全体の評価、反省が行われています。日常保育では、年間および月間指導計画に基づき、定期的に評価・反省・見直しが行われ、計画の推進に取り組んでいます。また、年間の運営業務計画では、期毎の評価・反省を行い、進捗状況の振り返りがなされ、計画の着実な実行に取り組んでいます。職員一人ひとりが作成する行動記録シートで園の運営業務に基づく評価、反省、振り返りが行われており、目標と連動した達成状況の把握がなされています。

保育に従事する職員として守るべき法、規範、倫理等は、市の職員倫理規程、保育園運営規程等で明示され周知されています。また、新人研修や経験年数別研修で法、倫理、規範等を学ぶ機会が設定されており、職員の理解を深めています。さらに、必要に応じた声掛けや職員間での相互確認、職員面談などを通じて、日頃の保育の振り返りを行っています。

苦情解決受付担当者、同責任者の設置、総合オンブズマン制度など苦情対応・解決に向けた体制を整えています。保護者には、新入児面接での説明、ポスターの掲示等を通じて周知しています。連絡ノート、口頭等で利用者の意向を把握した際には、話し合いや検討を行い組織として迅速な対応に努めています。子どもの気持ちを傷つけない取り組みとして、会議や職員間での確認や振り返りを行っています。また、虐待等の発見や情報を得た場合は、地域の関係機関と連携が図れる体制を整えています。

地域社会に対して、計画性をもって第三者評価の受審、結果公表を行い、定期的に外部評価の導入による透明性の確保に努めています。また、ホームページや子育て応援アプリを活用して保育園での活動や様子、子育て支援などを、情報発信しています。さらに、ボランティアや実習生、体験学習、子育て支援員研修等を受入れ、その際には、個人情報保護等の留意事項を伝えています。地域交流事業では、子育て相談、身体測定、離乳食講座、園庭開放、園行事への参加等、園の機能や専門性を地域に還元しています。

園運営におけるリスクに対して、園外保育中の事故防止・対応、感染症、緊急対応等の各種マニュアルの整備をしています。また、防災係を中心に、毎月の様々な想定を行いながら避難訓練を実施しています。避難訓練では、消防署との連携による消火訓練や警察による不審者対応訓練などを通じて必要な対策を学び、危機管理の向上に取り組んでいます。さらに、救命救急講習、夏季の熱中症予防、感染症時期の嘔吐処理講習などのリスクマネジメントにも取り組み、園内のリスク管理と職員意識の向上に努めています。

市では平成27年度に事業継続計画（地震編）を策定し、ホームページで情報提供を行い、園では公立保育園として計画に準拠しています。地震編では非常時優先業務、目標復旧時間、職員の参集を示すなど、災害後の復旧に向けた取り組みが想定されています。なお、今後はさらに、保育園としての位置づけや職員の行動指針等の明確化を図り、職員や保護者への周知や理解を深めていくことが期待されます。園内における事故、けが等の再発防止対策では、事故報告書やヒヤリハットを作成し、事例検討や要因分析・検証を行っています。

個人情報の保護については、市の個人情報保護制度に基づき、保育園運営規程が作成されています。児童票、保育資料などの重要文書は、施錠できる書庫で保管し外部への持ち出しを禁止し、文書管理の規定に基づき定期的な更新がなされています。電子情報は、パソコンへのID、パスワードによるアクセス制限を行っています。SDカードやカメラ等の記録媒体等は各クラスでそれぞれ管理されています。保護者には保育園運営規程に基づき、文書と秘密保持の説明を行っています。開示請求等は、規程・体制を整備し、ホームページで明示しています。

職員の採用は市の採用基準に基づき、必要とする人材の確保がなされています。嘱託員・臨時職員についても、市のホームページで広く募集を行い、必要に応じた採用に努めています。将来や育成を見据えた人材構成については、市の人事計画に基づき定期的な異動がなされています。また、園内の人員配置は、担任を決める会議を開催し、職員同士で話し合いながら、経験年数や園運営全体のバランス等を考え、適材適所の配置に努めています。

職員の将来的な目安の活用に向けて、市職員のキャリアパスとして「人材育成基本方針」が示され、必要に応じた「保育・幼稚園係主催研修」が開催されています。職員は、研修予定表に基づき計画的な研修受講がなされています。研修受講後は研修修了報告書を作成し、適切な報告と学び、成果の確認に取り組んでいます。新人職員に対しては、経験年数の豊富な職員によるOJTでの指導・育成がなされています。指導する職員については、中堅職員研修の中で、指導者としての学びの機会が設けられています。

職員は、自己評価シートと行動記録シートを作成し、目標や取り組み状況、成果を確認・評価し、スキルアップと目標管理に取り組んでいます。就業状況は、超過勤務簿や休暇予定表により管理・把握がなされ、働きやすい職場づくりに取り組んでいます。園内研修では、「遊び（活動や環境設定などを含む）」をテーマに設定し、活発な意見交換を行い、職員の学びと能力の向上を図っています。さらに、防災係、園庭、室内環境、行事などのPT（係）活動では、チームで目標達成や課題解決に取り組み、職員の学びと組織力の向上を図っています。

国立市では、公立保育園共通の「保育園のしおり」を作成して、見学者に配布しています。「しおり」には、各園の所在地、定員等の概要、園目標、めざす子ども像、行事、一日の生活、散歩マップと全園共通のお願い事項、保健、給食に関わる事項が記載されています。同様の内容は市のホームページでも写真入りで紹介されています。また、入園希望者には、「保育施設等入所のしおり」を市役所窓口で配布しています。内容は市内各保育施設の所在地、定員、クラス編成、開所時間等の一覧と入所手続きの詳細な説明で、申請書類等も添付されています。

「保育園のしおり」は毎年見直しを行い、内容を改善しています。一方、様々な保育施設を比較検討したい希望者には、より簡便で手に取りやすく写真を多用した園独自のリーフレット等を作成して、児童館や子育て広場等の地域の様々な施設や機関に設置して利便性を図ることが有意義と思われます。また、ホームページ情報も、行事や一日の生活等の写真を多くして更新頻度を高める等の工夫で、より分かりやすくなります。利用希望者の目的に応じて多様な情報媒体を提供して、一層利便性を高め、理解促進を図るよう期待します。

見学希望者には希望に沿って柔軟な日程調整を行いますが、時間は子どもの様子を見てもらいやすい10時ころを薦めて理解を得ています。対応は主査、保健師、フリー保育士等が行い、掲示写真や子どもの様子を紹介しながら園内を案内します。その際、「保育園のしおり」を使い、園の保育理念や保育方針、年齢別保育の取り組みを詳しく伝えています。見学者に対しては、毎月実施する地域交流「あそぼう会」や身体測定「おおきくな～れ」への参加も呼び掛けています。

入園面接では担任予定の保育士、保健師、栄養士が対応して、児童票の項目に沿って家庭状況や成長の様子、食事内容等を丁寧に聞き取り記録します。その際「保育園のしおり」及び「国立市立なかよし保育園運営規定」に沿って、保育内容と共に、職員体制・文書・定員・開園休園日・開所時間・費用・秘密保持・虐待禁止などの重要事項を説明します。保護者からは説明内容への同意書のサインを得ています。

入園面接で取得した保護者と子どもの情報については、必要事項を職員会議で共有して入園後の保育体制を整えます。1日目には入園進級式を開催し、その後クラス毎に保護者懇談会を実施して担任と保護者の顔合わせを行います。子どもは初日と2日目の二日間を可能な限り保護者と一緒に過ごします。以降徐々に時間を延ばして、概ね乳児は8日間幼児は6日間の「慣れ保育」期間を予定して保護者の理解を求めていますが、子どもの様子や保護者の意向に応じて対応しています。送迎時には子どもの様子を丁寧に伝えて保護者の不安軽減に努めています。

途中退園する子どもにはカード等をプレゼントして励ましの気持ちを伝えます。公立保育園4園間で児童票を引継ぎ、転園後も保育の連続性を保つよう努めています。また、転園に当たり子どもの姿の認識を保護者と共有できるよう、相談に応じ個別面談を実施する事もあります。卒園児には次年度の年明けに「卒園児交流会」を開催して、元担任や友達と一緒に成長と再会を喜び合い、園内で遊んだり就学を控えた5歳児へのメッセージカードを作ったりする機会を作っています。この取り組みは、5歳児の就学への不安軽減や期待感醸成にも役立っています。

「児童票」には、入園時の子どもの生活状況等を面接で聞き取り記録し、その後の発達の様子は「保育経過記録」に記載します。乳児は毎月、幼児は期毎に、5領域に沿った「発達の主なあらわれ」の項目チェックと共に、特記事項に家庭状況、保護者の意向等を書き入れています。また、「健康個人票」では出生後からの既往症や予防接種等の記録と共に、入園後の各種健診や身体測定結果を記録します。「保育経過記録」の内容は、乳児は毎月、幼児は期ごとの「個人別指導計画」に反映され、職員間で共有しながら一貫した支援に繋げています。

全体的な計画は、基本理念、保育目標、保育方針、養護と教育の各領域に沿った保育内容と、安全対策・事故防止、健康支援、環境・衛生管理、保護者支援、地域支援、研修計画、特色ある保育等の項目を網羅して作成され、全職員で確認しています。その計画を踏まえて、年齢別クラス毎の年間指導計画が立てられ、月間指導計画へと連動しています。個別の指導計画は、「保育経過記録」に則り満2歳児までと要配慮児については毎月、満3歳児以降は期ごとに作成します。懇談会で年間の取り組みについて資料をもとに説明し、保護者の理解を得ています。

月間指導計画は、前月の子どもの様子及び保育の評価反省を踏まえて担任が作成し、クラス及び乳・幼児会議で検討の上職員会議で確認しています。年1度年間カリキュラム反省も実施します。日々の保育活動は乳児は日案、幼児は週案及び日案が組み込まれた日誌に記録されています。日々の保護者からの連絡事項や園からの伝達事項は、「特例名簿」の活用や口頭での伝達など、職員間で共有しています。緊急課題は不定期で朝礼・夕礼を開催して報告検討しています。昨年度、嘱託・臨時職員用連絡ノートを作成し、全職員間で情報共有の徹底が図られました。

子どもの姿や家庭の状況は入園時の各種書類や面談などで把握し、入園後は日々の保護者とのやり取り・連絡帳・個人面談などで子どもの状況を捉え、個別記録・日誌、発達の推移を保育経過記録に記録しています。各保育室には年齢や発達に合わせた玩具や絵本などを備え、食事や午睡・遊びのエリアを分け落ち着いて生活し、絵本・ままごと・構成遊びコーナーなどを備え集中して遊べるようにしています。玩具棚は子どもが取り出しやすい高さにして、遊びたい玩具で遊び込み、使用後の片付けは絵や写真の場所に戻すなど主体的に活動出来るようにしています。

配慮の必要な子どもには担当職員を配置したり、個別に計画を立て援助し、クラスの子どもたちとともに育ち合えるように配慮し、専門機関と連携し助言を参考にしたり、研修を受けて共通理解のもと支援を行っています。トラブルが起きた時は個々の発達や年齢・性格などを考慮して、子どもの気持ちや思いを聞いて受け止め、両者の代弁をしたり、幼児は見守る中で自分たちで考えて解決出来るようにしています。保護者には状況を丁寧に伝えたり、懇談会では年齢における子どもの発達の特徴の話をして理解を求め、園では内容により改善策を検討しています。

今年度は、異年齢の交流は５歳児が３・４歳児の子どもを誘い３人組になりグループをつくり、食事をしたり、夏は一緒に過したり、運動会ではグループごとにダンスを踊っています。乳児とは園庭で一緒に遊んだり、部屋に入る時に足を洗うのを手伝ったり、年長児は運動会で踊ったダンスを見せに行ったりしています。そのような関わりの中で、互いに相手を思いやり、優しい心が育まれています。就学に向けて、小学校に見学に行ったり、４園の保育園の年長児と玉入れやドッジボールなどの交流をしたり、同じ小学校に行く友だちと顔を合わせたりしています。

登園時には保護者を気持ちよく迎え入れ、連絡ノートを受け取り、視診をして子どもの健康状態や家庭での様子を聞いています。職員は話し合うことがあれば時間を設け話し合うようにしています。０・１歳児は連絡ノートが月齢により異なり食事・睡眠・排せつや家庭や園での様子が記載されており、２～５歳児は必要な時に記述式ノートでやり取りをして、クラスの活動は全クラス玄関に課業掲示をしています。また、行事などは写真入りの掲示をして園の様子がよくわかるようにし、個々の様子は口頭で伝えています。

生活習慣の習得に向け年間計画や月案で具体化し、指導しています。懇談会やクラス便りなどで保護者にも生活習慣や生活リズムの大切さについて伝えています。園では手洗いは歩けるようになったら始め、ブクブクうがいは１歳後半・ガラガラうがいは２歳後半から行っています。着脱は０歳児クラスからズボンの着脱を大人と一緒に行い、排せつは１歳児クラスから始め、箸の使用は３歳後半より様子を見ながら行っています。歯磨き指導は歯科衛生士が行い３歳後半より歯磨きを始め、幼児は衛生面・片づけ・身辺整理など日々の生活の中で身に付けています。

午睡や休息は年齢や個々の子どもの生活リズムを配慮し、０歳児は、午前寝も保障しています。０歳児は食事の済んだ子どもから順次入眠したり、本を読んだりその日の子どもやクラスの状況により援助します。午睡室は温度・湿度・換気・採光に配慮して快適な睡眠がとれるようにし、０・１歳児は睡眠チェックを行いSIDSの確実な対応に努め、乳児は保育士がそばについて安心して眠れるようにし、幼児で早く目覚めたり眠れない子どもには身体を休めるように伝えています。年長児は就学に向けて徐々に午睡時間を短くし３月中旬頃よりなくしています。

各クラス子どもが好きな遊びを自分で選ぶことが出来るように、玩具・絵本などを備えています。乳児クラスは手作り玩具や手先を使う物・ごっこ遊びの出来る物・音の出る物を用意しコーナーの前にはマットを敷き落ち着いて遊べるようにしています。幼児は積み木や各種ブロック・素材を使った制作・カード遊びなど机上で遊べる物を備え、自分で考え行動できるような言葉がけや働きかけを保育士は心がけ、主体的に遊べるようにしています。また、友達を意識できるように働きかけ、みんなで行うことの楽しさを実感できるように援助しています。

乳児は保育士との信頼関係の中で言葉を発しようとしたり、友だちとの遊びの中で保育士が仲立ちをして言葉のやりとりを楽しむようにして、４・５歳児は話し合いの機会を設け人の話を聞いたり、自分の思いを言葉にしています。また、ごっこ遊びや劇遊び・当番活動を通して友達と関わり言葉のやり取りを楽しみ、しりとりや伝言ゲーム・「あ」のつくことばなどの言葉遊びや絵本や紙芝居を読んでいます。乳児はわらべ歌や手遊び・触れ合い遊び・絵画、幼児は歌やリズム遊び・体操・造形遊び・絵画・劇遊びなどさまざまな表現活動を行っています。

戸外活動ではねらいに合わせて、散歩や公園に出かけ自然の変化に目が行くように声をかけています。毎週月曜日の朝には全園児が園庭に集まり、顔を合わせ体操をしています。園庭では野菜の栽培をして苗や種を植え生長を観察・収穫してお芋を掘って芋煮を作るなど季節ならではの経験をして、春や秋には遠足に行き季節の変化や自然に触れる機会を設けています。集団遊びや生活の中ではルールがあることが分かり自分たちで約束事を作ったり、ルールを守ることで友だちと楽しく遊び安全に過せることを理解し、譲ったり待つなどの心の調整が図られています。

さまざまな行事を保育計画にとり入れ、子どもから出た発想を大切にし、行事に向けて興味や関心を持てるようにして、子ども主体の活動を行うようにしています。お店屋さんごっこでは年長児が中心になり、どんなお店を作ろうか考え、年下のクラスに買いに来てもらい楽しんでいます。運動会は子どもたちとどんなことをやりたいか話し合い競技を考え、年齢や発達に合った内容に取り組んでいます。また、お泊り保育では友だちと協力してかまどを用意し夕食を作ったり家庭から離れて過ごしたことで自信や達成感を味わっています。

運動会で年長児は自分達で考えた内容に取り組み、初めや終わりの言葉や年下のクラスの競技の手伝いをして満足感や達成感を味わっています。なかよし祭りは保護者と共催で取り組み、卒園児や近隣の方もたくさん参加し、年長児は装飾したおみこしを担ぎ練り歩き、ゲームや盆踊りを行い楽しいひと時を過しています。また、七夕や笹燃やしでは由来を話したり、餅つきは５歳児と職員でついたおもちを全園児で味わうなど日本の伝統的行事を大切にして、お楽しみ会は職員が人形劇などで園児を楽しませています。

年度の始めに保護者に年間行事予定を配付し、保護者に参加行事が分かるようにし、懇談会でも行事の内容を説明して参加の協力をお願いしています。行事が始まる前には連絡ノートや課業掲示・園便りで子どもの取り組みの様子を知らせ、見所は行事のお便りに掲載し、子どもの取り組みの様子や経過をクラス便りで知らせ、行事後の様子も伝えています。保護者が参加しない行事は写真入りの掲示や各種おたよりで知らせ園の様子がよく分かるようにしています。また地域の方が参加する行事は行事前にポスターを掲示したりプリントを配付し知らせています。

保育時間の長い子どもが楽しく安心して一日を過ごせるよう午前中は思いきり身体を使ったり、集中して課題に取り組み、食事をした後はゆっくり休み、午睡後は好きな遊びをしたり、園庭に出て遊ぶなどメリハリのあるバランスの良い一日を過ごすようにしています。乳児室はコーナーの前にカーペットやマットを敷き横になったりくつろげるようになっており天蓋を付けたりしています。幼児は午睡後好きな遊びをしたり、自分のやりたいことを行いゆったりと過ごし、各自が自由に遊べるようにしています。人数が多い時間は乳幼児を分けるなど配慮しています。

早・遅番、延長番など保育形態が変わり異年齢で過す時間は落ち着いて過すようにして、異年齢での自然な関わりも楽しめるようにしています。延長保育はホールで行い、好きな玩具で遊び、時には遊びたい玩具を持ってきたり、乳児は安全に安心して過ごせるようにしています。保護者がお迎えの時は、担当者は当番表を確認し伝言を伝え、子どもの様子は口頭で話をしています。保護者からの伝達事項は当番表に記載して、早番の担当者に引き継いでいます。また、友だちとトラブルがあったりけがをしたときは担任が保護者に直接伝えたりしています。

献立は旬の食材をとり入れ和食を中心に出汁の味や素材を活かし、かむかむデーなどをとり入れ栄養バランスの良い給食を提供しています。テーブルやイスは子どもの身体に合ったものを使用し、乳児は背もたれや足台を置くなど個々に合わせて調節しています。行事食は保育行事・伝統行事・誕生会にちなんだ献立を工夫し、保護者にもカラー写真にコメントを付けて掲示しています。お楽しみ会ではランチョマットを使用し、全クラスで会食するなど楽しい時間になっています。栄養士は各クラスを回り喫食状況を見たり、年齢に応じた働きかけをしています。

アレルギーを持つ子どもには医師の指示書をもとに除去食・代替食で対応しています。また、行事食は皆と一緒に食べられる内容にするなど配慮をしています。毎月アレルギー献立表を保護者に渡し確認してもらい、提供するときは名前が書かれたトレイに配膳し、給食室とクラスの担当者は献立表を照らし合わせ確認し、クラス内では職員同士で確認、席を別にするなど誤食防止に努めています。離乳食は連絡ノート裏面に家庭で食べた食材の日にちを記載してもらい家庭で食べてから園で提供しています。体調の悪い子どもには量を加減したりしています。

畑あプランターに野菜の種や苗を植えナスやトマト・ピーマン・ズッキーニなどの生長を観察し、収穫した時は触ったり、匂いをかぎ調理してもらい味わっています。給食の手伝いではトウモロコシの皮むきやレタスちぎり、調理保育ではおにぎり作り・芋煮を行い、コンニャクやコマツナをちぎったりしています。５歳児はお泊り保育でカレー作りを行い、収穫したジャガイモを包丁で切り、園庭にかまどを用意して大きな鍋で野菜を煮て、シートを敷いてテーブルを囲んで食べるなど子どもたちが食に関心を持てる楽しい行事となっています。

日々の保育の中で子どもが危険から身を守れるようにしたり、健康に関心を持てるように援助しています。年度の始めには園庭や遊具の使い方について確認し、毎月避難訓練を行い、地震や火事から身を守るようにしたり、交通安全指導は担任が散歩時に行い、プール開始前にはイラストなどで危険なことを知らせています。保健師は年間保健計画に沿って、手洗いやうがいがなぜ必要か話したり、４・５歳児には目の働きや咳エチケット・プライベートゾーンなどの話をしています。また日頃から具合が悪い時はすぐに伝えるように話をしています。

子どもの健康状態は家庭からの情報や視診により把握し、健康診断は、０歳児は月に１回、１～５歳児は年に２回、歯科検診・眼科検診・耳鼻科検診・視力測定（４・５歳児）・口腔衛生指導（３・４・５歳児）などが年に１・２回あり、身体測定は毎月行い、健診の結果とともに保護者に伝えています。医療的ケア児を受け入れ、かかりつけ医に指示書をもらいケアを実施しています。保健師は一日に数回クラスを回り子どもの健康観察を行い健康状態を把握しています。ほかに、職員には嘔吐処理や傷の手当・血液の取り扱いなどについて指導を行っています。

園内で感染症が発生した時は速やかにどのクラスか、何日に発生したか、症状などの情報を掲示し蔓延防止に努め、保護者に登園時には親子での手洗いやうがい、お迎え時には保護者の手洗いやうがいなどの感染予防の呼びかけをしています。感染症がはやった時には園内や玩具などの消毒を丁寧に行い、合同保育などは控えてます。保健便りは毎月発行し、感染症や健康に関する情報を伝え、地域ではやっている感染症などの情報などを掲示しています。園ではSIDSの睡眠チェックを０歳児は５分、１歳児は10分毎に行い発生予防に努めています。

入園時や面談等で保護者の状況等を随時把握して、保護者に寄り添った支援と配慮をしています。延長保育は定期利用者に限らず、随時のスポット利用も電話やノートでの申し込みを受け付けています。運動会と卒園式は土曜日に開催し、多くの保護者の就労に配慮しています。クラス懇談会は年4回実施し、土曜日と平日夕方開催の両パターンで対応しています。個人面談もできる限り保護者の希望に沿って実施しています。保護者からの相談には、連絡ノートの活用や面談を随時行い、保護者の思いに寄り添いながら丁寧に対応しています。

当園には保護者の自主的な集まりの「保護者会」があり、園と協力して夏祭り等の行事を行ったり、様々な課題を共に考えたりしています。また、クラス懇談会とは別に「保護者会」との共催の全体懇談会を年１回実施して、クラスの枠を超えた保護者と職員の交流や意見交換の場となっています。更に一昨年から園主催で「なかよしカフェ」を開催し、年ごとに回数を増やし今年度12月より毎月実施を予定しています。「カフェ」では夕方保護者にほっと一息入れてもらいながら、職員や保護者同士の交流を深める企画となっており保護者の好評を得ています。

年４回開催しているクラス懇談会は、子どもの発達や年間の計画等を伝え理解を得ると共に、様々なテーマでの意見交換を通して、保護者同士が励まし合い養育力向上を図る場となっています。また、保護者参加型の取り組みとして「保育参観月間」を年２回設定し、日々の生活や遊びの様子を一緒に体験して理解を深めてもらう機会としています。更に、避難訓練の一環で消火訓練を行い、保護者にも消火器の体験をしてもらう機会も持ちました。こうした取り組みにより保護者の理解と信頼感は深まり、今回の利用者調査での高い満足度となって表れています。

園では幼児クラスが近隣図書館を訪問して絵本を借りたり、図書館職員が来園して、素話や絵本などの読み聞かせをクラス毎に行ってくれたりしています。「保護者会」でも図書館から借りた絵本の貸し出しコーナーを玄関に設置して、家庭で絵本と親しむ機会を提供しています。また、近隣農家の畑で５歳児が芋ほり体験をさせてもらったり、食育の一環で近隣の魚屋さんに来園してもらい、子どもの前で魚をさばいてもらう企画も行いました。こうした取り組みにより子どもの園生活や遊びが豊かに広げられています。

「保護者会」と共催で実施する夏祭りは、保育園の歴史と共に地域の中に定着し、沢山の住民に楽しまれています。５歳児が作成したポスターを園周辺に貼り、日程は市報にも掲載されます。当日は５歳児の手作りお神輿が園庭内を練り歩き、「保護者会」の保護者が中心になってお面やヨーヨー等のお店を出し、太鼓や盆踊り等を親子や住民皆で楽しみます。最後は父親中心に花火も打ち上げられます。また、地域交流「あそぼう会」は、園庭遊びや園行事に親子で参加してもらう地域の子育て支援事業で、行事を通した子ども同士の触れ合いの場となっています。

個人情報の扱いについては、「保育園運営規定」の＜文書＞と＜秘密保持＞の項目で記述され、その他の項目と一括して保護者の確認を得ています。今後は、更に具体的な文書名や利用目的、子どもの記名物や映像の扱い等具体的に分かりやすく示し、保護者の同意を得る取り組みを期待します。また、子どもの羞恥心への配慮では、プールの際の着替え手順の見直しや、外部から見えないような工夫等を実施しています。一方、幼児トイレには間仕切りがなく他児から丸見えの状況であり、子どものプライバシー保護の観点から早期の改善への取り組みが望まれます。

日常保育の様々な対応において、保育士の思いを一方的に押し付けず、子ども自身が納得できるまで待つ事や、失敗体験等多様な体験を通して理解していく過程を見守る事の大切さを職員間で確認しています。活動においては、子どもが意見を出し合い工夫したり試行錯誤したりする過程に寄り添い、こどもの考えを反映できるよう努めています。また、職員会議で互いの対応についての気づきを話し合う機会もあります。今後はさらに、子どもの権利尊重についての具体的指標やチェック項目等を確認し、職員の定期的な振り返りを促す取り組みも期待されます。

虐待防止や育児困難家庭への対応については、関連機関の研修に参加して知識を深め、職員間で資料を回覧しています。また、対応が必要と考えられる場合は、園全体で情報共有して子どもの異変に注意を払い、迅速で的確な対応ができるよう努めています。また、子ども家庭センターや保健センター、児童相談所等の関連機関と連携して連絡会議を開き、情報共有と分析を行なっています。今後は更に職員の理解が深まるよう、研修内容の共有や園内の勉強会等の充実が期待されます。

園では「なかよし保育園運営規定」に沿って、目的・理念・方針を確認し、職員のあるべき態度等を明確にしています。更に、国立市立保育園共通で「アレルギー対応」「防災・防犯」マニュアル、園独自では「園外保育中の事故防止・対応」「アレルギー対応について」「緊急対応」等のマニュアルを整え、職員の対応の基本としています。また、市立保育園共通の「公立保育園における保育実践の考え方」を基に、2018年度に「公立保育園における実践集」をまとめています。今後はこの実践集を活用して更に保育の質の向上が図られるよう期待します。

市立保育園共通でマニュアルや「保育園のしおり」を年度末に見直し改善しています。園独自のマニュアルや運営規定も年度末の見直し確認と共に、必要に応じて職員会議で話し合い改善しています。保護者からの要望は、年4回の懇談会や個別面談等で受け止め、園の考え方とのすり合わせを行いながら対応しています。尚、今回の事業評価では、社会環境の変化に応じた運営やマニュアルの活用について多様な職員意見が散見されており、今後の検討が課題となっています。