東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和元年度(2019年度)
サービス名称 認可保育所
法人名称 社会福祉法人妙泉会
事業所名称 貫井保育園
評価機関名称 特定非営利活動法人 ほいくオーアールジー

コメント

契約前に弊社の評価に対する考えを伝えると共に、全ての帳票類を見本として提供。
職員の事前分析は評価項目単位だけでなく、全ての標準項目について判断ができるよう回答用紙を加工した。
利用者調査では標準調査項目に独自項目を追加したアンケートと案内文、共通評価項目のねらいを返信用封筒に同封し、園職員を通じて保護者へ配布。ポストへの直接投函と、園内に設置した箱で並行して回収を行い、弊社事業所にて集計を行った。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

理念:子供の人権尊重に豊かな人格形成の基になる「思いやる心」「感謝する心」「素直な心」を育む慈愛の保育を実践する。 目標 1.基本的人権の尊重 2.コンプライアンスの遵守 3.保育サービスや安全な環境提供の徹底 4.地域社会への貢献 5.職員満足度向上

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

1、健康で優しい人柄と柔軟性があり、子どもに感動できる心を持っている。 2、基礎能力や社会人としての常識を整え、意欲的で向上があり努力家である。 3、協調性があり、気づき気働きができ、園児第一の使命感を持っている。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

生まれてから入学までの6年間、この乳幼児期に最も大切な愛情を注いで育ちを援助し、自発性・主体性・創造性を育んで子ども達の可能性を最大限に伸ばして、豊かな人格形成に関わるという使命感を持って考えて行動する。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 一人ひとりの発達に合わせた丁寧な乳児保育を実践している

園では、増築した別棟を0歳児保育室とし、明るいテラスのある落ち着いた環境の中で保育を行っている。保育室の中は休息のコーナーや手先を使った遊具のコーナー、ままごとのコーナー、つかまり歩きできるコーナー等に分けられ、モンテッソーリの教具や発達に応じた遊具が配置されている。また、月齢や発達の状況に合わせ、0歳後期から1・2歳児を細かくグループに分けている。集団と個の遊び、成長に従ってグループを移動すること等、変わっていく遊びの展開等により、丁寧に子どもの成長を見る保育実践が行われている。
2 異年齢縦割り保育と年齢別保育の融合を計画的に進めることよって、子どもの自立心や向上心を育てる保育を行っている

幼児については3・4・5歳児を縦割りのグループにした保育と、年齢毎のクラス保育を融合させている。縦割り保育についても、全体的な計画に準じた保育計画を持っており、成長に応じて育てたい子どもの姿・ねらい、モンテッソーリ教育、ルール、遊びの展開等を計画的に実践している。5歳児の後期では、就学に向けた集団活動に移行している。自由遊びや給食の時間には、子どもたちは年齢の枠を超えて好きな友達と過ごしている。乳児・幼児の保育を通して発達に見合った環境を設定し、友達と関わりながら成長していく流れのある保育活動を行っている。
3 働きやすい職場作りに努め、チームワークの向上が実現されている

新園開設のために職員が加配され、比較的余裕のある保育が行われている。また、グループ保育によって、職員相互の連携と協力により、保育の展開や行事の企画・準備・実施等が自立的に実践されている。休暇も取りやすく、残業も少なくなっている。職員アンケートの自己評価においては、チームワークの向上や働きやすさ、人間関係等で高い自己評価となっている。新園開設のためのトレーニング期間を終え、本園と新園の職員間の連携が取りやすくなることが期待できる。

さらなる改善が望まれる点
1 新園開設に向け、組織体制のさらなる強化を図ることが肝要であると認識されている

現在は職員配置に余裕を持っており、中堅職員も新たに採用された職員も含めチームワークの良い組織運営が実現している。2020年度の新園の稼働に伴い、組織運営や組織間連携の基本となる「報告・連絡・相談」の原点に戻り、組織体制を盤石なものとすることが肝要であると園は認識している。
2 新園開設後も特色ある保育を保護者や地域に支持されるよう、さらなるイメージアップの試みも必要であると考えられる

園ではモンテッソーリ教育を取り入れ、子どもとの丁寧な関わり、自立心を育てる保育活動に取り組んできた。また、異年齢縦割り保育と年齢別保育を組み合わせ、子どもの持つ多様な可能性を伸ばすよう努力している。こうした取り組みに対して、保護者や地域の支持・理解度・認知度が新園開設後も維持されるよう、さらなるイメージアップの試みも必要であると考えられる。
3 将来展開を見越して、法人として次世代の中核となる職員の育成に着手している

法人としてキャリアパスの仕組みを構築しており、中堅職員の中から意欲ある職員を将来の幹部候補職員として育て上げようとしている。新園が開設され、さらに園運営を支える中核人材が重要な役割を担うことが想定される。そのため現在のキャリアパスの仕組みが機能し、職員のキャリアアップのロールモデルとなる実例を輩出することが期待される。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 子ども一人ひとりの発達に合わせた保育環境を作っている

園では、一人ひとりの発達に合わせたグループ分けを行っている。4月当初、発育に個人差が大きい乳児では、0歳児と1歳児の低月齢児のグループ、1歳児と2歳児の混合のグループ、2歳児のみのグループに分けて保育を行い、発達に応じて変動している。幼児クラスは異年齢で3つのグループに分けられた保育室に、子どもの発達に応じた教具や玩具が置かれている。四肢や指先の発達を促すもの、1人でじっくり取り組むもの、2人で行うもの、4人一緒に行うもの、集団で取り組むもの等に分けた保育環境を作り、常に子どもの発達に応じて見直している。
関連評価項目(子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている)
2 ★ 専門の講師による指導を通して、様々な表現活動を行っている

園では体育指導・音楽リズム・美術・英語・絵本・茶道・わらべうた等、様々な専門の講師を招いて、本物に触れる等の多様な体験を通して表現活動を楽しめるようにしている。音楽リズム指導では、園にある様々な種類の楽器を使用して、子どもたちがその使い方を覚えたり音に親しめるよう取り組み、11月の発表会でその成果を披露している。毎年4歳児が発表した鼓笛は、その後も継続して指導を受け、進級後の6月の運動会でさらにバージョンアップした鼓笛隊として披露されている。その姿は、子どもたちにとって憧れとなっている。
関連評価項目(日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している)
3 ★ 看護師による子どもへの保健教育を通して、自分を大切にできるよう取り組んでいる

年間保健計画の目標に、「自分を大切にするとともに他者への思いやりの気持ちを育てる」を掲げ、5歳児の保健指導を毎月実施している。手洗いや歯磨き指導の他、「息を吸うってどんなこと」というテーマでは呼吸器について説明している。口や鼻等の人体図を見せ、空気が身体の中の気管を通り肺に届くまでや、呼吸をしないと生きていけないこと等を説明している。その他にも、体を支えている仕組みや成長について、臓器の名前や役割、働きをわかりやすく且つ専門的に話しており、子どもたちが真剣に聞いている様子が写真等で保護者へも知らされている。
関連評価項目(子どもが心身の健康を維持できるよう援助している)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:在園児150名(117世帯)の保護者(お子さんが複数通園されている場合は年齢の低いほうのお子さんについて回答を得る)。

調査方法:アンケート方式  
アンケート方式を採用。標準調査項目に独自項目を追加したアンケートと案内文、共通評価項目のねらいを返信用封筒に同封し、園職員を通じて保護者へ配布。ポストへの直接投函と、園内に設置した箱で並行して回収を行い、弊社事業所にて集計を行った。

利用者総数 150人
利用者家族総数(世帯) 117世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 117人
有効回答者数 83人
回答者割合(%) 70.9%

総括
アンケート全体の回答結果として、平均約63%の支持を集めている。中でも「心身の発達に役立つ活動」の項目では、9割台の非常に高い支持が得られた他、「興味や関心が持てる活動」、「食事への配慮」の項目では8割台の高い支持を集めている。一方、「外部の苦情窓口の周知」の項目では2割、「保育時間への対応」、「要望や不満への対応」の項目では、3割前後の値にとどまる結果となった。自由記述では戸外活動のさらなる充実を求める意見や、時間変更時の対応、保護者対応面等に意見や要望が多数寄せられている。気に入っている点では、就学に向けた取り組みや教育面等の保育内容、職員の人柄や対応、施設環境等に好意的なコメントが多く見られた。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 76人  どちらともいえない 5人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が91.6%で全体の「はい」の割合の中で最も高く、「どちらともいえない」が6%、「いいえ」が2.4%となった。9割台の非常に高い支持が得られた他、追加項目「子どもの発達に合わせた豊かな感性を育む活動・遊び等が行われているか」では8割台の高い支持を集めている。また、自由記述では、就学に向けた取り組みを含め、教育面等の保育内容が気に入っている点として多くのコメントを集めている。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 70人  どちらともいえない 12人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が84.3%、「どちらともいえない」が14.5%、「いいえ」が1.2%となった。8割台の高い支持が集まり、前項と併せて活動に対する理解は広く得られている。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 69人  どちらともいえない 14人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が83.1%、「どちらともいえない」が16.9%、「いいえ」が0%となった。8割台の高い支持が得られた他、食事提供に対する好意的なコメントも見られた。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 55人  どちらともいえない 16人  いいえ 11人  無回答・非該当 1人 
「はい」の回答が66.3%、「どちらともいえない」が19.3%、「いいえ」が13.3%となった。自由記述では、さらなる戸外活動の充実を求める意見が多数寄せられている。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 24人  どちらともいえない 20人  いいえ 28人  無回答・非該当 11人 
「はい」の回答が28.9%、「どちらともいえない」が24.1%、「いいえ」が33.7%となった。「無回答・非該当」の回答もあるが、さらなる柔軟な対応を求める意見が多数寄せられている。
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 61人  どちらともいえない 17人  いいえ 5人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が73.5%、「どちらともいえない」が20.5%、「いいえ」が6%となった。いくつか意見も見られたが、安全面に対する理解は一定の支持を集めている。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 54人  どちらともいえない 18人  いいえ 10人  無回答・非該当 1人 
「はい」の回答が65.1%、「どちらともいえない」が21.7%、「いいえ」が12%となった。自由記述では、様々な意見が寄せられている。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 47人  どちらともいえない 22人  いいえ 14人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が56.6%、「どちらともいえない」が26.5%、「いいえ」が16.9%となった。自由記述では、様々な意見が寄せられている。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 63人  どちらともいえない 16人  いいえ 4人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が75.9%、「どちらともいえない」が19.3%、「いいえ」が4.8%となった。一部意見も見られたが、7割を超える支持が得られた他、追加項目「子どもが生活するところは落ち着いて過ごせる雰囲気か」でも同様の支持を集めている。
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 53人  どちらともいえない 22人  いいえ 8人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が63.9%、「どちらともいえない」が26.5%、「いいえ」が9.6%となった。自由記述では、「職員による」等の意見が多く見られた。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 60人  どちらともいえない 13人  いいえ 10人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が72.3%、「どちらともいえない」が15.7%、「いいえ」が12%となった。自由記述では保護者への連絡面に意見も見られたが、一定の評価が得られている。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 40人  どちらともいえない 26人  いいえ 8人  無回答・非該当 9人 
「はい」の回答が48.2%、「どちらともいえない」が31.3%で全体の「どちらともいえない」の割合の中で最も高く、「いいえ」が9.6%となった。「無回答・非該当」を除くと5割台の値となったが、自由記述ではいくつか意見も見られている。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 61人  どちらともいえない 17人  いいえ 5人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が73.5%、「どちらともいえない」が20.5%、「いいえ」が6%となった。一部意見も見られたが7割台の支持が得られた他、追加項目「担当保育士は子どもの良いところや個性を認めているか」では約8割の高い支持を集めている。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 55人  どちらともいえない 15人  いいえ 5人  無回答・非該当 8人 
「はい」の回答が66.3%、「どちらともいえない」が18.1%、「いいえ」が6%となった。「無回答・非該当」を除くと一定の支持が示されており、情報の取り扱い等に対する信頼は概ね得られている。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 47人  どちらともいえない 21人  いいえ 15人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が56.6%、「どちらともいえない」が25.3%、「いいえ」が18.1%となった。自由記述では、様々な意見が寄せられている。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 32人  どちらともいえない 25人  いいえ 22人  無回答・非該当 4人 
「はい」の回答が38.6%、「どちらともいえない」が30.1%、「いいえ」が26.5%となった。自由記述では、様々な意見が寄せられている。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 18人  どちらともいえない 23人  いいえ 28人  無回答・非該当 14人 
「はい」の回答が21.7%、「どちらともいえない」が27.7%、「いいえ」が33.7%となった。外部の苦情窓口の存在は、まだまだ知られていないようだ。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
保育理念や保育方針は、職員・保護者にわかりやすく周知している

開設から、65年以上の歴史ある園である。「人間性の基礎となる『素直な心』『思いやる心』『感謝する心』を持った子どもを育成する」という理念を掲げている。理念は沿革や保育目標、保育方針と合わせて園のしおりに掲載し、保護者に周知している。職員には園是として行動指針となるよう、事業計画書や研修資料として会議や研修の場で理解を深めるようにしている。園のWEBサイトや市の保育所案内等においても、理念・方針を知ることができるようになっている。

重要事項についての意思決定プロセスが定められている

園における重要事項や主要な課題については、園長・園長補佐・主任・事務の6名による主任会議で方向性が定められ、園長決裁を経て理事長承認で最終決定される。園を取り巻く具体的な課題についての協議事項は、主任が集約した後に園長・主任会議・リーダー会議・職員会議の中で検討される。保育内容に関する案件は、カリキュラム会議やクラス会議で検討される。縦割りと年齢毎の指導案、子どものクラス移行、気になる子どもに対しての関わり方等、子どもの成長に合わせたきめ細やかな保育指導について検討されることとなっている。

園長のリーダーシップのもと、リーダー層の職員がそれぞれ指導力を発揮している

園長は創立以来の経営姿勢である地域貢献の意志を引き継ぎ、保育に関する高い見識とリーダーシップで園運営を牽引している。園長補佐は運営責任者として、また、新園立ち上げのリーダーとしての役割を担っている。保育現場では、保育経験の長い主任や各リーダー層が指導力を発揮し、職員をまとめ上げている。異年齢縦割りのグループ保育、クラス毎の保育、子ども一人ひとり異なる発達に合わせたグループ編成や移行、各カリキュラムの作成等、園が特徴的な保育として大切にしてきた保育実践は、ベテラン職員の力に支えられている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
保育の課題や待機児の状態等は、行政や保育団体のネットワークにより把握している

小金井市において長く園を運営してきた実績から、市や社会福祉協議会、私立園長会や他分野の福祉施設等とのネットワークを持っている。近隣エリアの待機児の状況や、公立保育園の計画等、経営に関わる問題は幅広く情報を収集し、園の中長期計画の参考としている。また、地域の保育施設が数を増やしていく中で近隣小学校との交流が長く続いており、年長児が学校訪問を機に就学に向けて意欲を高めることとなっている。町会とのつながりや高齢者施設のお年寄りと園児の交流等、地域ネットワークの中に根を張る園として地域での認知度が定着している。

法人として中長期的な展望を持ち、園の保育方針につなげている

園を取り巻く様々な課題や状況の変化に伴い、中期・長期計画を毎年見直しながら単年度事業計画を作成している。これまでも児童数や保育需要数の変化に応じて計画を見直し、縦割り保育の導入や園舎改修・乳児室の増設等、保育方針の転換をしてきた。現在は地域のニーズを踏まえた新園開設のため、経営環境の整備や人材募集、保護者や地域等への説明に取り組んでいる状況である。今後も引き続き園庭・遊具の修繕、ランチルーム等の環境整備を行う必要があると考えており、職員・保護者・地域への適切な情報提供を進めたいとしている。

全体的な計画に即した異年齢縦割り保育計画を作成している

園では全体的な計画をベースに、3歳以上の異年齢縦割り保育についての年間計画を作っている。全体的な計画では年齢毎に6段階に分け、養護と教育、重点的取り組み等を明確にしている。異年齢縦割り保育計画では、3・4・5歳児のグループを年齢毎、四半期毎に緩やかに分けた上で、育てたい子どもの姿を目標として記載している。さらに全体的な計画の重点的取り組みを具体化し、ルールや室内遊び、戸外遊び、モンテッソーリ等に分けて教材や素材等を示している。2つの計画を組み合わせることで、一人ひとりの成長に応じた柔軟な計画が作られている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
福祉事業に携わる職員として、高い倫理意識を身に付けるよう指導している

園では入園前の研修時に保育理念、計画、職場における心構え、勤務の基準、個人情報保護規程、保育業務アセスメント、虐待の防止、安全衛生等、福祉事業に関わる者としての基本を身に付けるよう指導している。入園前の徹底した指導の後は職層に応じた外部研修への派遣等、社会人としての姿を振り返る機会を設けている。各種規程やマニュアルは、保育現場で確認するための根拠として使用されている。第三者評価の職員自己評価において、法規範意識はほぼ全員が理解しているとされており、高い倫理観が保たれている結果となっている。

児童虐待の防止に向け、職員・保護者が理解を深めるような働きかけを行っている

児童虐待の防止に向け、虐待防止マニュアルに基づいた職員指導を行っている。マニュアルに即し、子どもの心を傷つけないための対応の心得、虐待の定義、不適切な用語、専門機関及び通告の流れ、虐待につながる行動と職員として取るべき行動基準等を学ぶ他、不適切な言動をしていないか年1回セルフチェックを行っている。保護者に対しては、園のしおりの中に虐待についてのページを作り、「虐待とは何か・子どもの心に与える深刻な影響・しつけとの違い・マニュアルに基づいた保育・通告の義務」等を記載し、理解を求めている。

地域の子育て家庭を支援する事業を通して、地域貢献の取り組みを行っている

園では創立当初から、地域貢献を前提とした経営姿勢を持っている。地域で未就園児を育てている保護者を対象に、多様な子育て支援事業を継続的に実施している。育児講座やわらべうた講座、保育所体験、園庭開放等は定期的に実施し、市のWEBサイトでも紹介されている。地域で孤立化しがちとなる居住年数の少ない保護者も多く、在園児の保護者にも共通する傾向がある。親同士も本音では語ることができず、保育士や園長だけが相談相手という保護者もいる。地域福祉の長い経験を活かして、子育て家庭を支える拠点となるよう努めている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
日常的なリスクに備え、職員の委員会組織がマニュアルや手順書を見直している

感染症や乳幼児の散歩中の事故、不審者対策等に向け、毎月1回看護師・栄養士を交え安全衛生委員会を開催し、マニュアルや手順書の改定の見直し等、様々な取り組みを行っている。プール監視の仕組みや散歩マップの見直しに際しては、プール遊び・水遊びマニュアルを作成している。散歩マップはコース、年齢毎、絵図、チェックポイントの記載を付けている。また、インシデント・アクシデントは月毎に集計・分析し、実際に起きた事故の内容、時間帯、曜日、再発防止策等を検討し、職員会議等を通して実務に活かしている。

大災害や広域的な感染症等に対応する防災マニュアル及びBCPを作成している

広域的な災害については、小金井市や消防署等からの情報を取得し、防災マニュアルを作成している。防災マニュアルに加え、水害・火災等インフラに被害が出ることを想定したBCP(事業継続計画)を作成している。BCP作成の目的、BCP発動のステップ、行動チャート、職員属性毎の行動基準、避難所、関係機関リスト、備蓄品確認リスト等が記載されている。これらは、定期的に運用の見直しを行うようにしている。職員には、災害時の体制や役割を周知している。また、地元町会と防災協定を締結するよう現在調整を行っている。

個人情報保護規程を作成し、情報管理を徹底している

法人として個人情報保護規程及び個人情報保護方針を作成し、情報管理の徹底に努めている。個人情報保護規程では個人情報の管理、保護及び適正な取り扱いについての基本を定め、これに則り職員は業務上知り得た個人情報その他の情報漏洩に関する誓約書を提出している。保護者に向けては個人情報保護方針を定め、園のしおりに掲載している。個人情報の第三者への提供制限の条項を根拠に、子どもの写真や動画の撮影、掲載等、外部提供には保護者の同意をもらっている。なお、電子情報についてはPCの集中管理等により厳格に規制している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
職員が意欲を持って働くことができるよう、目標に沿った取り組みを促している

職員は毎年、「チャレンジ計画表」に沿って業務についての目標を立て、年2回振り返りを行っている。職員は保育理念「思いやる心・感謝する心・素直な心を育む保育」を念頭に、クラスや縦割りグループの目標及び個人の目標を立てている。グループの目標達成に向けて、チームワークが求められている。個人の目標については知識や能力を客観的に評価し、目標を再設定して研修や職務への希望を記載することもできるようになっている。主任や園長補佐が面接して努力と成果について話し合い、職員の意欲とさらなるチャレンジを後押しするものとなっている。

法人としてキャリアパスの仕組みが構築されている

法人として、職務分担表や人事考課制度、職員によるチャレンジ計画表等を組み合わせたキャリアパスの仕組みが構築されている。職責に対応した職務内容は、職責分担表に記載されている。チャレンジ計画表による自己評価や職務遂行能力、情意適性、意欲、経験等、キャリアパスの要件を満たした職員は、相当する研修への参加や人事異動等の経験を重ねながらキャリアアップをしていく仕組みとなっている。

特色ある保育活動の実現と人材育成のため、様々な研修機会を設けている

園では毎年職員研修計画を策定し、外部研修、内部研修、OJT研修等、必要な研修機会を提供している。新人職員には先輩保育士がOJT指導者となり、指導計画書に沿って主任や研修担当職員と連携した指導体制を作っている。内部研修では午睡中等を利用し、全職員が受講できるように工夫しており、安全衛生や様々な保育技術研修を実施している。異年齢保育やモンテッソーリ教育等の園の特徴的な取り組みを進めるためには、職員の保育技術の水準向上とチームワークが不可欠で、研修効果に期待したいと園は認識している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 職員の保育技術を高めると共に、働きやすい職場作りを目指して、「研修の充実とゆとりある職務体制作り」を重要課題として設定した。
保育業界全体の人材難が続く中、法人では新園開設計画や特色ある保育の質を維持するため、中堅職員の能力の活用が必要となった。中長期的な視点に立った人材の確保を見据えつつ、中堅職員の定着率の向上と働きやすい職場作りを進めることが急務であると考えた。 
研修内容の充実として保育観察等の手法を取り入れ、専門家から保育内容についてのアドバイスをもらいながら、職員が保育を振り返る機会を作った。キャリアアップ研修への積極的参加を促し、専門性や組織力を高めるよう努めた。
乳児クラスを月齢に応じたグループにして指導方針を持ったため、また、幼児の異年齢グループ化により保育士の数を増やしたことで、グループ内で調整して休暇が取りやすくなった。併せて、行事準備や事務で残業をすることがないよう時間を確保する工夫を行った。
園では、働く環境や保育技術の向上により職員の自己評価は高まっているが、スキルアップが働き甲斐につながっているかどうか課題として残っているとしている。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
園の特色は、発達に応じたきめ細やかなクラスとグループ保育である。職員の目が行き届いている環境の中で、モンテッソーリ教育の実践等、保育の質の向上に努めてきた。外部講師による保育実践へのアドバイス、内部・外部研修の充実は、職員が自信を持って保育に向かうモチベーションの向上につながると思われる。第三者評価における職員自己評価結果においても、研修機会や人間関係の項目は高いポイントとなっており、自由意見においても有休の取りやすさや良好な人間関係、子育て中の職員への配慮、残業が少ないこと等の意見が出されている。
また、異年齢縦割り保育によって、グループで相談しながら保育の質の向上を目指すことができるようになった。行事準備等はグループ内で話し合い、早めの着手も可能となっており、権限移譲につながって職員の意欲も上がっている。
2019年度は引き続き研修の充実とゆとりある職務体制を確保すると共に、新人職員へのOJT研修や研修結果の公開、報告会等を定期的に実施しており、安定的な園運営ができている。新園開設を控えた人事異動等、環境変化に耐えうる強靭な組織基盤作りに期待がかかっている。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 新園開設に向けて、園全体の魅力や可能性を把握しながら、適切な人材確保を行うことを目標として設定した。2020年度には隣地に新たに認可園を開設する計画がまとまり、2018・2019年度は開設準備の時期にあたるため、既存園と新規園の連携を意識して、加配しながらの人材確保が必要となった。
新規園の運営にあたる職員増に加え、入職2~3年目の職員の退職もあり、長期に及ぶ採用活動が見込まれた。幹部職員が採用活動を行うにあたって、園の強みや改善点を改めて確認し、法人が大事にしてきた保育理念や特色ある保育実践を明確に捉え直すことを行った。職員が日常取り組んでいる縦割り保育やモンテッソーリ教育、環境設定の工夫等、改めて園の強みとして見直し、これを踏まえて園が求める人物像を定めている。
また、経営層は土曜・日曜も含めた採用活動、専門学校等への訪問、就職フェア、広報媒体の活用、地域からの紹介等、できる限りの採用活動を行った。
2018年度は退職者の多い年度でもあったものの、予定通り人材を確保することができ、加配された職員に対してのトレーニング期間とすることができた。2019年度も引き続き採用活動を行い、人材育成にも取り組んでいる。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
待機児対策として急激に保育園が増設され、保育人材の流動化も激しく、採用後2~3年を待たずに退職していく保育士も多く、新規採用者も経験者が多くを占めている状態である。園では長年の歴史があり、明確な保育観を持って特色ある取り組みを行ってきた。保育の水準やチームワークを維持するためにも、園にふさわしい人材を確保したいと考えこの課題に取り組んできた。経営層のみならず、見学者対応の体制作り等では、職員もこの取り組みに一定の役割を果たしている。会議の場等でも意見を出すようになり、チームワークも向上したと経営層は改めて職員の能力の高さを感じることとなった。
法人として課題と成果を検証する中で、現在の職員の中でも旧来の保育観を捨てきれない者もあり、様々な経験や保育観を持っていることにも気づいた。また、利用者の視点からの人材育成も課題であると認識している。
採用・定着・人材育成・中堅職員のマネジメント育成と、前項の課題と併せ、PDCAサイクルによった組織的な対応が期待される。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
WEBサイトや市役所の保育所案内、市報で園の情報を広く提供している

園のWEBサイトには、保育目標・保育内容・園の一日・年間行事・子育て支援・苦情解決等、様々な多くの情報を掲載している。園の紹介には保育目標や方針が掲載され、保育内容には栄養バランスの取れた手作りの給食や看護師による健康管理、専門講師による教育活動が掲載されている。月のアルバムで、園児の様子を見ることもできる。その他に、園の情報は市役所の保育所案内にも掲載されている。市報のみんなであそぼう保育園には、毎月園庭で遊べる日やわらべうた・つどいの広場・リズム遊び等が掲載され、地域に広く情報を提供している。

地域子育て支援を通して、園の様子を知らせている

園では地域の子育て家庭を対象に、様々な育児講座や親子保育所体験、お庭で遊ぼうの他、一時預かりも行っている。テラスに面して、ひなたぼっこの部屋と名付けられた専用の保育室で講座を受けながら、テラスで遊んだり食事を取っている子どもや職員の様子を感じられるようにしている。育児講座の参加者には次年度の入園を考えている方も多く、受付や終了の際に見学を希望する方には案内をし、パンフレットを配布している。電話で見学希望を受ける際には、希望日に近い日の育児講座をお勧めしており、園の雰囲気を感じてもらうようにもしている。

年間を通して見学者を受け入れている

園見学は電話で受け付けており、希望の日程と園の行事等が重ならない以外は、できるだけ要望に応じている。但し、時間帯は子どもたちの様子が見られるよう午前中の時間をお勧めしている。見学者の対応は、園長補佐か主任、事務職員が行い、パンフレットを配布して広い園舎の概要や園の理念・方針、特徴として異年齢保育を行っていること等を丁寧に説明している。終了後は見学者から食物アレルギーに対応しているのか、外遊びはどのくらいしているのか等の質問が出されており、丁寧に答えている。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
重要事項説明書を詳細に説明後、書面にて保護者の同意を確認している

園では市から保護者へ利用承諾書が郵送された後、説明会を行い、重要事項説明書と園のしおりを配布して丁寧に説明を行っている。重要事項説明書には、給食で提供される栄養目標量や、全体的な計画・基本時間と時間外保育・延長保育について詳細に記載されている。ご意見・ご要望の解決のための仕組みについても、第三者委員の氏名・電話番号を明記している。個人情報保護方針も全文掲載されており、説明終了後には重要事項の説明に関する同意書に署名捺印をいただくことで同意を確認している。

子どもの不安やストレスの軽減のために、慣れ保育を行っている

園では入園時面接時に、入園による子どもの生活環境が大きく変化することによる子どもの不安やストレスの軽減のため、慣れ保育を行っていることを知らせ、保護者と相談の上で慣れ保育プログラムを作成している。入園式の翌日から開始され一週間程度の期間で行っており、食事や睡眠等、中々慣れにくい子にはその都度保護者と相談しながら進めている。保護者の状況によっては、事前に子育て支援事業の一環として、一時預かりで入園前の保育園体験ができることも知らせている。

卒園児を運動会や作品展に招待している

卒園や退園する際には、園が継続して支援していくことや、園の作品展や運動会の際には来園するよう伝えている。行事が近くなると、近隣の小学校へ招待状を届けたり、卒園児のきょうだい関係の保護者経由で、園が招待していることを発信してもらっている。学童保育も同じ施設内で実施していることから、学童保育の子どもたちへも行事を知らせる等、関係性を大切にしている。就学の際には入学予定の小学校へ児童要録を届け、情報交換等を行い継続した見守りや支援を心がけている。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
統一した書類を定め、子ども一人ひとりの生活状況を把握している

園では保育に必要な情報を記載する様式を全て定め、子ども一人ひとりの状況を把握している。書類は入園内定後に保護者へ送付され、児童票の用紙に家庭構成や就労状況を記載してもらう他、年齢毎の成育歴には、月齢や年齢に区分された子どもの発育状況の該当項目に丸を付けてもらうようにしている。児童調査票は家庭での生活リズムや母乳・ミルク・混合のいずれか、排泄の状況、睡眠の時間等を記入してもらっている。さらに保健調査書では、妊娠中や出産時の状況、健診を受けているか、予防接種と既往歴等の確認を行い把握している。

全体的な計画を踏まえて、異年齢保育を意識した計画を立てて保育を行っている

園では昨年度作成した全体的な計画を、よりわかりやすく内容を整理して作成し直している。その内容を踏まえて、職員は2月頃より新年度の年間指導計画に取りかかっている。3月下旬には全クラスの年間指導計画を職員全員で確認し合い、4月からの保育の準備を行っている。園の年間指導計画は、1歳児では4期に分けた内容の他、13ヶ月から2歳11ヶ月までの年齢を4つに分けたねらいも作成している。2歳児の計画には2歳1ヶ月から3歳11ヶ月までのねらいも記載し、異年齢の保育を意識した年齢が重複した計画となっている。

年間指導計画を詳細に作成し、3期に分けて評価反省を行っている

園の幼児クラスの年間指導計画には、5領域に沿った内容毎に3・4・5歳児に分けた計画が詳細に作成されている。さらに、食育・生活習慣・異年齢保育の他、遊びの種類別の計画も作成されている。年間指導計画は4月から7月、8月から12月、1月から3月の3期に分けて、学年毎、グループ毎に分けて、計画に対する取り組みや保育内容等について評価・反省が行われている。他に、乳児の進級会議と呼ばれる子どもの発達に応じたグループ移動に関する会議が毎月行われ、一人ひとりに合った環境を保証している。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
一人ひとりの発達に合わせて、無理のない集団で生活している

全ての保育室で異年齢保育を行っており、年齢毎のクラス名と、異年齢のグループ名が付けられている。4月当初は0歳児と1歳児の月齢の低い子が同じ保育室で生活し、他の1歳児は2歳児の発達がゆっくりな子どもと混合となる。2歳児は年明けの1月から幼児の異年齢保育への練習を開始し、少人数毎に進級している。毎月の進級会議では子どもの発達や成長を確認し合い、保護者に了解を得てから変更している。例えば0歳にいる1歳児が歩行が完成し、離乳食も終了したら進級する等、客観的に確認できるよう成長の記録用紙を活用している。

異文化に興味関心を持てるような環境を作っている

園では英語の外部講師による指導も行い、英語に自然に親しめるよう、そして異文化に興味や関心を持てるように取り組んでいる。幼児の保育室には国旗ゲームや国旗の塗り絵等が置かれ、見本として数種類の国旗の写真も掲示されている。オリンピックへ向けたテレビ番組の影響から、子どもたちは国旗カルタやゲームにも違和感なく取り組んでおり、訪問時も国旗のカルタや塗り絵を見せてくれ国名を問いかけてきたり、様々な国の名前を教えてくれていた。保護者の中に外国の方がいる際には、大切な書類は英訳して確認する等配慮している。

就学に向けたカリキュラムを作成し、小学校と連携している

園では保育を3期に分けてカリキュラムを組んでおり、5歳児の第3期は、小学校への接続に向けて、アプローチカリキュラムを作成して取り組んでいる。さらに、子どもが就学予定者の多い小学校2校と連携し、小学校見学も行っている。小学校では、副校長先生や1年生の担任からお話を聞いたり、1年生に学校を案内してもらい授業を見学している。休み時間には校庭に出て、小学生と一緒に鬼ごっこやサッカーを楽しみながら学校の雰囲気を味わい、就学への期待感へつなげている。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
マニュアルを作成して、子どもの受け入れを丁寧に行っている

園では、全園児が連絡帳を使用している。乳児クラスは複写式の子どもの生活が主体となった様式となっており、登園時の受け入れの際にはその内容を確認しながら、子どもの表情や顔色、声の大きさや元気、動作をしっかりと把握し、気になる様子がある時には子どもや保護者に確認している。グループ毎の送迎チェック表も使用して、連絡事項がある時には必ず記載し、担任へ引き継いでいる。受け入れの手順はマニュアル化され、全て職員ガイドに記載されて全員に配布されている。

子どもの成長や保護者の要望に応じて、お昼寝を選択できるようにしている

園では幼児クラスになると生活リズムが安定することや、家庭でのリズムも考慮し、保護者からの要望をもとに園生活の様子を踏まえて相談し合い、大丈夫な子はお昼寝をしないで過ごしている。遊び・食事・お昼寝の場所がしっかりと分かれていることで、寝ない子たちは保育室でゆっくりと遊んで過ごし、お昼寝の部屋は離れた場所に確保している。逆に疲れた時や本人が眠い時には早く入眠できるように早めに寝具を用意しており、子どもたちが自己申告して布団に入ることができる等、一人ひとりに合った休息が取れるようにしている。

ドキュメンテーションを通して、保育の様子を知らせている

園では、子ども一人ひとりの様子を連絡帳を通して保護者へ伝え、その日の園やクラスの保育内容はドキュメンテーションとして、写真を中心にわかりやすく掲示している。特に幼児クラスになると、ドキュメンテーションを掲示していることで、親子の会話につながるようにしている。園児の人数が多く、なかなか我が子の写真がないこともあるため、保育の様子が伝わりやすい写真を掲示するように配慮している。保護者アンケートの「心身の発達に役立つ活動」の項目では、高い評価が示されている。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
子どもたちが主体的に生活や遊びに取り組めるような環境作りを行っている

園では子どもたちが主体的に遊びや生活に取り組めるよう、保育室の環境にモンテッソーリの教具を揃えている。職員が研修を受け、それを園内研修で全職員が学び合い、年齢毎の子どもの興味関心に応じて発達を促せる教具を揃えている。遊びのコーナーも1人用、2人用、4人用、集団に分けて設定し、やりたい時には待つことも経験できるようにしている。さらに、幼児は遊び・食事・睡眠の場所を分けたことで、子どもたちは一人ひとりが自分で考え、お腹が空いたらランチルームに降りて食事ができるようにしている。

美術指導で学んだことを活かして、子どもたちが様々な物を作っている

園では美術の専門講師による幼児向けの指導を行っている。想像画や、虫の目から見た人の絵、ケーキの帽子作り、造形粘土等、子どもの想像力を引き出し楽しく取り組めるようにしている。職員も美術指導研修を受けて子どもたちへの指導方法を学び、年間指導計画には絵画造形の毎月の計画を立案して実施している。園内には、やりたい子たちが作った白いお花紙の雪だるまや、自分たちで考えたカルタの絵札と読み札、どんぶりの形の中に毛糸の麺とナルト、箸が置かれたラーメン等、色々な物が飾られているのが訪問時に確認できた。

わらべうたや絵本の読み聞かせを通して、言葉に対する感覚を養っている

園ではわらべうたや絵本も大切に、年間指導計画にわらべうたと絵本の項目を設定し取り組んでいる。講師が来園して園児に指導する他、子育て支援講座として毎月取り組んでいる。昔ながらのやさしいメロディや歌詞は子どもたちに心地良い響きとなり、嬉しそうに身体を揺らしている様子がドキュメンテーションを通して保護者にも知らされている。絵本は、園の職員が読み聞かせている。幼児向けの読み聞かせでは、子どもたちが想像力を膨らませてお話の世界を疑似体験したり、後半にはなぞなぞや楽しいやり取りがあることで、毎月の楽しみとなっている。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
季節や生活の節目となるような行事を取り入れ、皆で楽しんでいる

園では日本古来の文化的な行事や、園としての行事、さらに季節毎の行事等を通して、生活の節目や成長を感じられるようにしている。四季折々の日本の行事として、子どもの日や七夕、お正月、節分、ひな祭り等を取り入れ、集会で由来を学んだり、製作物を作ったりしながら楽しんでいる。訪問時には節分の集会が開催されており、節分の由来を聞いてから、子どもたちが自分が作った鬼のお面をかぶり、豆の投げ合いを楽しんでいた。2歳児の進級の練習をしていた子どもたちも参加し、楽しんでいる様子が確認できた。

日常の保育の積み重ねとして、子どもたちのやりたい行事内容にしている

園では、日常の積み重ねがそのまま行事につながるよう取り組んでいる。講師による様々な指導を行事内容に活かすことも多く、例えば体操指導では様々な運動遊びを通して体幹を鍛え、運動会ではかけっこや組体操等に活かしている。発表会の鼓笛は、毎年4歳児で演奏したものを5歳まで練習を重ね、バージョンアップした演奏を行っている。今年の5歳児も熱心に取り組み、講師と子どもたちと相談して長い曲に変更して練習し、発表につなげている。「とても素晴らしかった・長い演奏をやり切った子どもたちを見て感動した」等の感想が多く寄せられている。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
合同保育の指導計画を作成し、子どもたちが遊べる合同保育を行っている

園では、保育短時間認定の子どもたちが降園する16時半を目途に、全員がテラスでの合同保育を行っている。広いテラスのテーブルには机上遊びを設定し、床にはマットの上にブロック遊びや電車等、色々な遊びを設定する等、全園児がゆったりと過ごせるようにしている。そのまま18時過ぎからは同じ場所で延長保育を行っており、子どもたちの移動を極力少なくし、遊びが継続されるよう配慮している。朝・夕の合同保育の指導計画は3ヶ月毎に環境や対応を見直し、全年齢が無理なく遊べるように配慮されている。

子どもの人数や降園時間に応じた職員体制や安全チェックを行い、安全に留意している

園では時間毎の子どもの人数に応じて、職員配置やシフトを作成している。シフトは1週間制にすることで、早い時間や遅い時間帯の子どもたちの様子を連続して見ることで把握しやすく、様子に応じて遊びの内容を変更する等配慮している。早番・遅番・土曜日勤務の手順はまとめて、職員全員へ配布している。職員の人数が少ない時間帯の準備や片付け等の雑務、戸締り等の安全確認も、詳細に記載している。非常勤職員の雨天時や季節に応じた対応も記載し、延長保育時間の安全に留意している。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
全クラスで食育活動を行っている

園では給食事業計画を作成して、全クラスの食育に取り組んでいる。各年齢別での年間目標も設定している。0歳児の大きい子から食材に触れたり野菜のスタンプ遊びをし、5歳児になると調理室の毎日のお手伝いに参加するようにしている。バナナのカットや玉ねぎの皮むき、トウモロコシの皮むきや枝豆洗いは、5歳児の通年のお手伝いに位置付けられており、メニューを見て子どもたちが自分で調理室に出かけ、栄養士や調理師とおしゃべりしながら行っている。食育活動として、幼児クラス向けに挨拶や食器の置き方等のマナーの指導も行われている。

4・5歳児は、サンマが一匹食べれるように取り組んでいる

園では様々な食育に取り組んでいるが、中でも秋に行われるサンマの食育は毎年実施されており、5歳児になると箸で上手に食べれるようになっている。3・4・5歳児を対象にサンマについて学び、本物のサンマに触れ、命をいただく感謝の気持ちを持つことや、正しい食べ方や箸の持ち方を学んでいる。4・5歳児がフェルト製のサンマを使用して、骨取りは真ん中に箸を刺して線を引くように開く等の方法を練習した後、昼食で本物を食べている。箸で魚を一匹食べる体験と共に、命をいただく貴重な体験となっている。

5歳児が栽培やクッキング等を通して、食に親しんでいる

5歳児は夏野菜を土作りから体験し、野菜の種や苗を植え、雑草を取ったり水やり等の世話を行っている。今年度、トマトやピーマン、ナス等の夏野菜を育て収穫している。毎日収穫する度に給食室へ届け、昼食に添えて出してもらい食したり、他のクラスの子どもたちにも味わってもらっている。秋にはおにぎり作りやスイートポテト作り等を行う他、冬の活動として4歳児に向けて5歳児が配膳を教える機会を設け、5歳児は就学に向けて自らのマナーを確認する機会にもなっている。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
毎月の幼児集会で、子ども向けに保健教育指導を行っている

幼児の毎月の集会の中で、看護師から保健について季節に応じた様々な子ども向けの指導を行っている。春には、色々な健診に向けてその受け方を知らせたり、歯科検診後には虫歯予防について話している。プールの前にはプール前のお約束についてや熱中症についての他、子ども自身での休憩や水分補充の大切さを知らせ、具合が悪い時にはすぐに大人に話すよう伝えている。春や秋の感染症の流行の前には手洗い指導を行い、3歳児にも理解しやすいよう、バイキンが付いた手を見せて歌に合わせた手洗い方法を指導している。

職員向けに様々な研修を行い、衛生管理や予防に努めている

園では、職員全員が消防署による上級救命救急講習を受けて資格を有しており、定期的に更新講習も受講している。さらに園として感染症予防に向けて、嘔吐物処理や消毒等がスムーズに行えるよう数回に分けた詳細な研修を実施している。プール前には職員向けに着脱時の配慮や、プールの衛生管理、熱中症対策等について安全保健指導を行っている。その他にも室内の温度や湿度・換気・衛生・清潔等、日々の巡回時に必要に応じて確認を行い予防に努めている。

保健だよりを通して、保護者に必要な情報を提供している

園では毎月の園だよりの中に保健よりのコーナーを設け、月の保健行事の日程や前月の感染症の罹患状況、季節に合わせた病気やケガの予防について等を掲載している。6月号には梅雨の時期の注意として、食中毒・事故・風邪の注意事項を、7月号には安全にプール遊びができるよう、登園前の保護者の確認事項を掲載して協力を呼びかけている。10月号には足に合った靴選びの大切さ、11月には冬の生活と注意したい感染症予防や、子どもの肌荒れについてを詳細に掲載しており、家庭でもケガや病気予防の参考になる情報を提供している。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
保育参加を通して、子どもの様子を確認し合っている

園では、子どもたちが日常過ごしている園生活を保護者に体験してもらって子どもたちと触れ合い、給食の試食もしてもらう保育参加を行っており、今年度は9月から12月の期間で参加を呼びかけている。幼児クラスは一日2組までとし、他のクラスは一日1組、各参加者は1名としている。参加当日は9時から10分程度、事務室でオリエンテーションを行ってから開始し、終了後には個人面談を行いアンケートを受け取っている。「園での様子を見て安心した・子どもの友達関係がわかった」等の意見が多く、子どもの様子を確認できる良い機会となっている。

園の様子をドキュメンテーションを通して保護者へ知らせている

日々の様子を保護者にわかりやすく知ってもらうため、ドキュメンテーションの手法を用いている。各クラス・グループの日々の取り組みの様子を写真を通して保護者に発信し、子どもが活動を振り返り新たな気づきにつながったり、保育者自身も客観的に見返す機会としている。子どもが集中して製作に取り組んでいる姿や、本を読んだり園庭で遊ぶ等、さりげない日常の一コマの他、行事に向けての取り組みの様子等を、様々な写真を通して保護者に伝えており、親子の会話のきっかけとなったり、保護者の期待や応援の声が子どもたちのやる気につながっている。

園だよりを通して、家庭での育児の参考になる情報を提供している

園だよりは毎月発行されており、各グループの先月の様子や取り組みを掲載している。裏面には保健よりのコーナーで、子どもの保健行事を毎月お知らせしている。さらに先月の感染症情報も掲載し、保護者に予防や注意を呼びかけている。季節毎に流行しやすい感染症情報を伝える他、9月には救急の日にちなみ家庭での安全確認の呼びかけと、チェックポイント等も載せている。献立表と共に配布しているぱくぱくだよりには、旬の食材を使用したレシピや食材の栄養素等が毎月掲載される等、家庭で参考になる情報を提供している。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
地域の高齢者施設と定期的に交流を行っている

園では地域にある高齢者施設へ子どもたちが出向いたり、園で開催しているおしゃべりサロンに参加する経験を通して、思いやりの気持ちを育んだり、高齢者の方々と一緒に楽しめるようにしている。5歳児が中心となって地域の施設には月に1回訪問し、一緒に相撲の折り紙をしたり、とんとん相撲をして一緒に遊んでいる。当初は恥ずかしがり、中々打ち解けなかった子も一緒に活動しているうちに楽しく遊べるようになったことが、報告書に記載されている。おしゃべりサロンでは、前に出て歌や手遊びを披露して喜ばれている。

地域子育て支援の様々な取り組みに、色々な方が参加している

園の門の外側には地域向けの掲示板があり、リズムで遊ぼう・わらべうた遊び等の情報がたくさん掲示され、毎回多くの方が参加している。保育園に関心を持つ保護者にとっては魅力的な情報となり、参加をきっかけに保育所体験に発展する人も多いとのことである。WEBサイトにも、同様の情報を掲載している。プレママ体験へ参加した方が初めての出産のために何もわからずに悩んでおり、保育士と話すうちに病院では沐浴指導がなく不安という話から、急遽沐浴の練習を行って安心感につながった等のエピソードも記録している。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
個人情報保護規定を定め、保護者の意向を書面で確認している

園では重要事項説明書の別紙資料の中に、法人で定めている個人情報保護方針を全文掲載して、入園時の説明会で丁寧に説明している。その上で、写真撮影・掲載等承諾のお願いの用紙で、子どもの写真を園のWEBサイト上に広報活動の一環として掲載することや、園内に掲示することについて保護者の意向を確認している。「承諾する・承諾しない」のどちらかに丸を付けて署名捺印をいただき、承諾しない場合には園は子どもの写真撮影をしないことも明記している。

子どもの人権に配慮した環境や職員の言葉がけに気を付けている

園のどの保育室にもトイレが隣接されており、子どもも職員も利用しやすい環境となっている。オムツ交換は全てトイレの中で行われており、園庭に面している0歳児が着脱する場所の窓ガラスには、見えないような工夫がされている。子どもの着脱時には、上着を脱いだら上着を着てからズボンを脱ぐことを徹底し、全裸にならない配慮や指導を行っている。園内の児童権利擁護研修では、大人が使わない方が良い言葉の事例や、保育者の行動基準として子どもへの暴力や怒鳴る等の禁止、身だしなみ、保護者対応についても確認し合っている。

児童権利擁護マニュアルを整備し、早期発見・早期対応につなげている

園では児童の権利擁護のマニュアルを整備し、園内児童権利擁護研修を行い、マニュアルや対応の再確認をしている。マニュアルには、保護者の虐待等の禁止や職員の子どもへの対応における禁止項目、相談通告への流れの他、早い気づきにつながるよう保護者編・子ども編に分けたチェックリストも掲載されている。保護者編には、「子育ての負担感が強い、表情が暗い・硬い」等、子ども編には「過度に緊張している、視線を合わせない、常にお腹が空いている、眠そうにしている」等、具体的な項目に照らし合わせることで通告や支援につなげるようにしている。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
各種マニュアルを作成して内容に応じて設置し、常に確認できるようにしている

園では、様々なマニュアルを作成している。その内容は毎年園内研修を通して、職員が再確認できるようにしている。職員ガイドの早番・遅番・土曜勤務手順は職員一人ひとりに配布され、常時確認できるようにしている。さらに園舎が3つに分かれていることで、職員用の主要なマニュアルをまとめ各棟毎に設置している。全てのマニュアルや手引書、資料等は事務室の所定の場所に保管されており、事務室の職員に声をかけることでいつでも職員が見れるようにしている。

散歩の見直しを行い、安全な散歩につなげている

他園の散歩中の事故を受けて、市役所と警察から園に対して散歩時の危険箇所について調査が行われている。園では、散歩先やルートの見直し、リスト化を以前から進めており、職員が散歩時に子どもや車の状況を確認し記録化していたことから、すぐに調査に協力している。横断歩道が薄れて見にくい場所はすぐに修理してもらい、危険な箇所については散歩マップに写真を貼り、事前に職員が確認できるようにしている。さらに豊富な散歩先毎に往復のルートを決定することで、途中で何かあっても迎えに行けるようにする等、安全な散歩ができるようにしている。

行事の保護者アンケートの内容は、次年度の参考にしている

園では保護者参加の行事については、終了の際にアンケートをお願いしている。運動会のアンケートを集計する際、保護者の意見を良かった点や改善点に分類している。良かった点には乳児は授乳室があったことや、観覧席やビデオ席の競技によっての入れ替えが、職員の声掛けがありスムーズだったことが記載されている。改善点には、司会者の話がわかりづらかったことや、子どもが見えづらかったこと等が記されている。発表会でも同様にアンケートを依頼し、その内容は次年度の行事に具体的に反映させている。