東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

園の保育理念、保育方針、保育目標は、「入園のしおり（重要事項説明書）」やパンフレットに明記しています。園の玄関にも文書を掲示し確認できるようにしています。職員の入社時には、法人の理念や思いについて園長から説明をしています。さらに、職員会議や朝礼時には、事例等を課題に理念や方針に基づいているか確認し周知することを心がけています。保護者には入園説明会の際に、「入園のしおり」で説明をしています。入園後も懇談会等で説明し保護者の理解を深めています。

法人が基本的な園の理念や方針を決めるなど、園の保育の支えになっています。経営層の役割と責任は、園長マニュアルや主任マニュアルに職務分担と責務について記載されています。その中に、副主任の役割も明記されていますが、他の職員は現在作成中です。実際の保育業務の管理と職員の指導監督は園長が担っています。区や系列園の園長会議には園長または副園長が出席しています。区役所への対応は園長が行っています。園内の保育業務や園で購入したい教材については、現場から園長と法人会長へと報告し承認を受けています。

一般的な園の行事などは企画担当者が提案し、主任を通じて経営層に挙げられます。園内の最終決定権は園長に委ねられていますが、理事長に報告をし承認を得て実施しています。また、案件の内容によっては、必要に応じて理事会を開催し決定しています。法人と園で決定された案件は、園長が職員会議で職員に伝え周知を図っています。決定された案件の内容が、保護者に伝えたほうが良い場合は、園だよりやお知らせ、掲示物などから理解を図るようにしています。必要に応じて区役所にも報告をしています。、

保護者の要望や意見は、毎日の連絡帳や口頭、行事後のアンケートなどで確認しています。懇談会などでも把握し、出された意見や要望については職員会議で検討し、改善できるものは出来るだけ意向に沿うようにしています。また、職員たちの意見については、毎月の職員会議や園長との面接時において聞くようにしています。地域の福祉の現状については、園で行われる子育て事業参加者からの意見からも把握するように努めています。福祉全体の現状については、区の園長会や幼保小中連絡会、都の研修に出席して情報を収集しています。

園として、今一番重要に感じている事や、数年後にそれらをどのようにして行きたいという考えが経営層にあります。例えば、職員の行動指針の中にある職員の意思疎通に関する事は課題の一つとされています。しかし、目的に沿ったいくつかの柱を設け、計画として明記されたものはありません。短期計画では、直近の事象への対応になりがちですので、ある程度先の計画を持ち、準備と実施ができるように計画をされる事が望まれます。ヒアリング時に伺ったことを計画として明記することで、職員にも園の目指す方向性が伝わると考えます。

園内の主な活動に関して、担当者を決め計画を立案して実践しています。年度始めに、それぞれ目標を決め、達成へ向けて途中確認しています。振り返りを行いながら年度末にも確認し、その結果を踏まえて次年度の活動につなげています。職員一人ひとりの得意分野が活かされ、園の運営に職員一人ひとりが意識を持って取り組むことが保育の質の向上にもつながり、園独自のマニュアルになることもあります。今後も、さらに職員が意識を持って目標達成を深められることを期待します。

保育に関わる者としての心構えは、法人の保育基本理念があります。そこには基本方針に基づいた保育の姿勢と心得が記載されています。社会福祉事業に携わる職員として、子どもの人権尊重を基本に、子どもの心を傷つける差別用語は使わないなど、注意を促しています。子どもだけではなく。保護者にも信頼を持ってもらえるよう、笑顔で丁寧な言葉使いにも心がけています。子どもに対して、不適切な対応の事例など見られた場合は、職員会議などで意見交換をして今後の対応に活かすなど職員間で確認しています。

保護者からの意見や要望は、日常的な会話などから把握して対応をしています。園の苦情解決制度は、「入園のしおり」に掲載し入園時に保護者に説明しています。苦情受付担当者を主任、責任者を園長、第三者委員3名も記載されています。また、法人の相談室と直接園側に伝えずらい保護者に向けての、区の子育て支援課についても記載し保護者に周知し園内にも掲示しています。保護者からの苦情は必ず法人会長に報告し、職員に内容を周知しています。苦情内容はファイルされ、経過記録とともに今後の参考にしています。

園では、地域に根差した子育て支援事業を大切にしています。一時保育の「こあら組」や「わらべみどり保育園子育て支援センターことり」があります。「子育て支援ことりぐみ」は、火曜日は0歳児の日、木曜日は1歳児以上の日として、10：30～11：15自由遊び、11；15～11：30は手遊びや紙芝居、体操などを行い園に地域の子どもの参加を募っています。子育て相談は月曜日～金曜日に本園と分園で行っています。また、年末保育を12/29～31に本園で定員を設けて行い地域に保育の福祉施設として貢献できるように努めています。

防災マニュアルや感染症マニュアルなどを整備しています。園では子どもの安全を第一に考えています。毎月避難訓練や起震車体験などを実施し、子ども自身も自分で身を守る意識を持てるように取り組んでいます。子どもの事故や感染症については職員会議で話し合い、首から上の怪我については病院に行くなど万全の対応をしています。今年度は交通安全不審者などのマニュアルの見直しと再作成をしています。職員の危機管理意識向上のためにも、ヒヤリハットなど日常的に意識を持つことが望まれます。

「入園のしおり」には、災害用伝言ダイヤル、すみだ安全・安心メールの災害時の使用の方法についてなどの記載があり保護者に周知しています。深刻な災害が発生した場合は、区と法人の指示に従い、休園などは園長が決定し、墨田区のメールと園のHPを使い保護者に連絡をする事になっています。現在はBCPについて具体的な形にはなっていませんが、近年、災害を身近に感じる事もあり、様々な事例を踏まえて計画を作成中です。

法人の個人情報保護・特定個人情報保護に対する基本方針と ソーシャルメディア（SNS）に関する規程があり、法人のホームページに明文化されています。個人情報の管理責任者を園長として、事務室の鍵付きロッカーに書類等を保管しています。また、職員のパソコンにもパスワードを設けています。実習生やボランティアマニュアルには、保育園で知り得た情報を外部に漏らさないという内容を、誓約書を書いて確認することを記載しています。個人情報保護については、職員個々に徹底するようにしています。

園では、保育理念に共感して「子どもたちが、自己肯定感のもてる保育をこころがける保育を実施する意識を持てる人」「心身ともに健康明朗な人」を求めています。職員の採用は法人のホームページにあり、各園に直接問い合わせたり、ハローワークに募集を出すなどして、人材確保を行っています。パート職員も同様に受付けて園長が面接をして採用を決定しています。職員の配置希望や人事異動は、職員がどのような保育を展開したいか、勤務希望など園長面接を通じて本人の意向を確認して園長、法人が決めています。

処遇改善に関わる分掌表があり、役職によって受講しなければいけない研修項目等が明記されています。職員それぞれが受講した研修分野と、受講予定の研修分野がわかりやすく記載され、職員の処遇改善に活かしています。管理者や新人、中堅、リーダー層の法人研修以外にも、区や外部研修を受講しています。研修報告は園内研修を通じて、職員同士の意見交換をして自己研鑽に励んでいます。また、園長は年2回の職員との面談で本人の育成状況を確認し目標と連動することで得意分野を伸ばし保育の質の向上に繋げています。

残業はなく、年間120日の休暇取得を保証しています。休暇も取りやすく、退職金制度や親睦会もあります。職員の一人ひとりが課題意識と解決意欲を持った保育士に成長できるよう、園長との面談では、自己申告と日々の保育での評価を処遇等に連動させています。また、職員同士のコミュニケーション環境にも配慮し、自分の意見だけではなく、相手の考えも取り入れ相互関係を育てる「アサーショントレーニング」を実施しています。個々が協力して、チームワークを自覚できるように工夫をし職員の働きやすい職場づくりを心掛けています。

わらべみどり保育園は本園と向島分園があります。園の情報は、ホームページ、パンフレットを用意しているほか、東京都福祉ナビゲーション、墨田区のホームページや区が作成する保育施設ガイドブックなどさまざまな媒体から情報を得ることができます。本園で丁寧に実施している子育て支援事業「わらべみどり保育園子育て支援センターことり」、一時保育、病児後保育室（令和元年度末で終了予定）については、園の掲示板のほか、区のホームページでも知ることができます。

ホームページは、本園、向島分園でそれぞれ情報提供をしてます。内容は、理念・方針・目標、園の概要、特別事業、1年と1日、園からのお知らせなど、利用希望者が知りたいと思える情報を詳しく載せています。子どもたちが活動している時の写真を載せているので、入園後のイメージも持ちやすくなっています。パンフレットは両面カラー写真やイラストを用い、ホームページ同様に保育内容、年間行事予定、特別事業についてなど丁寧に紹介しています。

見学会は、本園、分園それぞれ予約制で受付け、当日は園長が対応しています。見学者には施設案内や子どもの活動の様子を見てもらいながら、パンフレットを用いて説明をするとともに、保護者参加の行事、病気やケガの対応などについても口頭で説明をしています。見学者の質問については、別途時間を設けて対応しています。園見学の印象が入園につながる可能性が高いので、丁寧な対応を心がけています。見学会の日程が合わない場合は、個別で柔軟な対応をしています。

4月入園については、3月の入園説明会後に個別面談を行っています。その時に事前に記入をお願いしていた入園に必要な書類（児童票、入園までの生活状況、健康記録など）と面談シートで保護者の意向や子どもの状況を把握しています。また、入園のしおりと重要事項説明書を用いて、園の保育プログラムや個人情報の取り扱い、その他、園を利用するにあたっての基本的ルールなどを説明しています。説明時の質問には随時答えています。説明の同意を得た上で、同意書にサインをお願いしています。

入園にあたり、保護者には、児童票、保育時間希望アンケート、入園までの生活状況（0歳児用と1歳児以上用）、入園時調査、入園前健康診断、健康記録などの園が用意した書式にそれぞれ記載をお願いしています。提出書類により子どもの保育に必要な個別事情の把握、保護者の保育への要望などを把握しています。それら提出書類や入園前の個別面談、入園直後の子どもの様子、送迎時の親子の雰囲気などを観察し、園生活を無理なく始められるようにしています。

慣らし保育については、1週間を目安にしています。慣らし保育期間中の登園時間はクラス担任が確実に勤務に入っている8時30分以降の対応としています。保護者が焦ると子どもにも伝わり不安になることを知らせ、協力をお願いしています。しかし、子どもの様子、保護者の考えや状況を考慮し、個別に相談をしながら期間短縮、延長は柔軟に対応しています。さらに担任を持ち上がりにしたり、フリーの職員がフォローに入ったり、新入園児と在園児、どちらも安心して過ごせるようにしています。

昨年度、保育所保育指針の改定にあたっては園内研修を行い、「全体的な計画」が各年齢を通じて一貫性のあるものとなるよう話し合っています。それらを踏まえ、年間指導計画、月間指導計画、週案につなげています。子どもが遊びの中でどんなことに興味を持っているのか、どんな遊びを深めているかなど、職員間で情報共有を図りながら計画には柔軟性を持たせ、子どもが意欲的に活動できるようにしています。保護者には全体的な計画を配付し、計画に基づいた一年間の子どもの育ちや保育の進め方について、担任が説明をしています。

成長発達の個人差が大きい0～2歳児クラスのほか、特に個別の配慮が必要な障がいのある子どもの受け入れがある場合に個別指導計画を作成しています。作成の際は、発達の個人差を踏まえた上で、子ども一人ひとりの今の姿や育ちを話し合い、一人ひとりの発達状況に見合った保育につながるようにしています。さまざまな発達面での個別の課題がある場合は、個別指導計画のほか、個別日誌も用意し、記録をとっています。職員会議で共通事項として話し合い、保育に活かしています。

子どもに関する記録は0～2歳児クラスは保護者との個別の連絡帳を成長記録としています。3～5歳児は3ヶ月ごとに児童票に記録をしています。指導計画に沿った保育内容と子どもの様子や成長を見直し、3月に各クラスの総括の引継ぎ会議をし、次年度へ継続しています。その他、子どもの状況に関することは、毎月の職員会議、リーダー会議、毎日の終礼で共有しています。しかし、本園、分園が地域性の違う場所に離れていること、会議は基本本園、分園ごとに行っていることなど、お互いの園の様子を職員間で共有することが難しい現状があります。

各保育室は、低い棚におもちゃや玩具、絵本を置き、子どもが自分で興味のあるものを取り出しやすく、片付けやすいようにしています。クラスによっては、子どもが好む見立て遊び（ままごと、人形）や構成遊び（積み木、ブロックなど）ができるようコーナーを設けています。子ども達は保育室の自分の好きな場所で、好きな遊びを展開しています。子どもに本物の音を感じて欲しいので、2歳児以上の保育室にアップライトピアノを設置しています。園では、子どもが興味関心を持ち、且つ、安全・安心なものを提供するよう職員間で話し合うようにしています。

配慮がその子どもにとって最善のことであり、どの子どもにも違いはあっても平等に関わっていることを感じられる保育を心がけ、特別な配慮が必要であるなしにかかわらず、一人ひとりの居心地の良い環境作りに努めています。子ども同士のかかわり合いを見守りながら互いを認め合い、育ちあえるようにしています。子ども同士のトラブルについては、職員はそばで見守り、できるだけ自分たちで解決できるようにしたり、言葉でうまく表現できない子どもの気持ちを代弁し、相手の思いに気づけるようにしたりしています。

全体的な計画に盛り込んでいる保育所保育指針の、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」について話し合っています。それらを念頭に保育の連続性を考えながら指導計画を作成しています。年度末には、年長児の就学する小学校に保育所児童保育要録を基本的に園長が持参しています。その際は、子どものことを口頭でも伝えています。さらに個別に伝えておきたい事柄を記載する墨田区の就学支援シートがあり、保護者の同意を得て使用することもあります。

登園時に連絡帳（全園児）や口頭で保護者に子どもの体調など確認をしています。1歳児クラスまでは受け入れ時に体温を計っています。職員は保護者との会話と子どもを観察することで、一人ひとりの機嫌や顔色等の状況を把握しています。確認した内容は看護師の視診と合わせ、食事や生活面、戸外遊びなど集団活動が可能かも判断をしています。保護者のお迎えの時には保護者と会話をして、子どもの様子を伝えているほか、担任以外が対応する時は、終礼ノートで伝達漏れのないようにしています。

挨拶は、職員が手本を示しています。食事では、離乳食は個々の発育状況に合わせて進めています。食具の使い方（手づかみ食べからスプーン・フォーク、箸へと段階を追って）、姿勢など子どもの成長に合わせて伝えたり、援助しています。排泄面では活動の区切りにトイレへの声かけや促しを行ったり、一人ひとりの排尿の感覚や間隔に合わせたり個別に対応しています。着替えは、低年齢児は「自分で」という本人の意欲を引き出しながら行っています。園での歯みがきは1歳児から行い、4歳児まで職員が仕上げ磨きをしています。

午睡時はカーテンを引き、電気を消して静かな環境を作っています。職員は子どもの体をなでたり、おなかや背中を優しくトントンしたりして心地よい眠りつけるようにしています。眠くない子どもには横になって休むことも大切であることを伝えています。5歳児クラスは就学に向け、午睡をする日を減らしていきます。保育室で静かな遊びをしたり、図書館や児童館に行き過ごしたりしています。子どもの体調によっては休ませるなど柔軟に対応しています。

朝と夕方の自由遊びの時間は、自主的に遊びを展開できるようにしています。子どもの気づきや発想からも遊びを発展させています。職員が子どもと一緒に遊び、子どもの好きな遊び、興味関心を把握して、遊びが深まるような言葉かけをしたり、環境を整えています。製作途中のブロックなどは、中断してもまた取り組めるように保管場所を作っています。遊びが見つからない子どもには、遊び方を見せるなどして、誘いの言葉をかけますが、一人の時間が好き、探索が好きなど、子どもの性格を把握してそっと見守ることもあります。

子どもの年齢発達に応じ、子どもの発する言葉のほか、気持ちをくみ取った対応をしています。0歳児の発する喃語に対し、職員は笑顔で喃語を繰り返す場面があり、子どもが満たされるようにしています。1～2歳児の職員は、自分でしようとする意欲に合わせて、できた時は「頑張ったね」と十分に褒めています。幼児も集団生活をする中で、自己主張したい気持ち、譲れない気持ちなどさまざまな葛藤を持ちながらも、みんなの気持ちや意見に耳を傾け、自分なりに解決していかれるよう、職員は声掛けや援助をしています。

子どもの感性を育むことを大切に考え、描画、製作、音楽（歌、楽器）、身体表現（手遊び、リズム、ダンスなど）等、さまざまな表現活動を保育活動に取り入れています。個別に楽しめる遊具や材料を用意し、自由に表現できるようにしています。また、子どもたちは、植栽が豊富な公園遊びで樹木や草花、昆虫などに親しみ、木々の葉の色の移ろい日差しの強さ、風の冷たさなど季節によって自然が変化することに気づけるようにしています。製作も季節を感じるものを作り、展示しています。

ひなまつりやクリスマス会といった日本の文化や季節感を大切にした年中行事の時には年齢に合わせ、絵本などを通して行事の由来を伝えています。行事を通し、友だちと共有できる体験をし、自分をとりまく様々な物事に気づくことができるようにしています。発表会の演目は、子どもが興味を持つ題材を考えています。5歳児クラスは「ピノキオ」にしましたが、ストーリーのどの場面を劇にして演ずるか、配役をどうするかなど、子どもたちが話合って決めています。

運動会、生活発表会などの行事はあくまでも日常の保育の延長と捉えており、子どもたちに完成度の高さを求めてはいません。子どもたちは集団だからこそ学べる楽しさや一つの目標に向かっていく頑張りととともに練習に取り組んでいきます。職員も衣装や小道具を工夫し、子どもたちの頑張りたい気持ちを後押しするようにしています。結果として当日は緊張感の中にも全員でやり遂げた達成感や満足感を味わえるようにしています。

年間行事予定を年度始めに配付し、保護者が予定を立てやすく、行事に参加しやすいよう配慮しています。行事が近くなると園だよりや行事用の案内で再度お知らせをしています。また、行事の練習の様子の写真掲示をしたり、練習がある時は外遊びが少なくなることの理解もお願いしています。当日は、一人ひとりが真剣な表情で頑張る姿、楽しそうに参加する姿など保護者に子どもの成長の喜びを感じてもらっています。行事後にはアンケートを実施しています。寄せられた感想や意見など、次回に反映するようにしています。

7時15分～20時15分の長時間にわたる保育のために、遊びのコーナーを作ったり、一人になれる空間をつくったり、カーペットの上でくつろいだりと、必要に応じた対応をしながら子どもにとって心地よい環境を作っています。合同保育時間専用のおもちゃも用意しています。夕方からの時間は、少人数でゆったりと過ごし、職員に甘えられる時間にもなっています。夕食の提供のほか、補食に関しては夕食に響かない程度のものにしています。担任から遅番職員に口頭での引き継ぎのほかノートを活用しているクラスもあります。

子どもが快適に過ごせる環境整備として、園舎内の毎日の清掃は、当番表に基づいて行い、清潔な状態を保つよう努めています。掃除手順は毎年年度末会議で確認しています。各保育室にエアコン、除菌効果のある加湿器を設置しています。0歳児クラスは床暖房になっています。各保育室に陽光を取り入れることができます。温湿度計を備えてほか、温湿度は午睡チェック表に記録してるほか、窓を開け適宜換気をしています。職員の声も環境と考え、気づいた時には園長が注意喚起を促しています。

食事が楽しい時間になるよう、年中行事食の提供、子どものリクエスト献立、クリスマス会食の時はランチョンマットを敷いて特別感を味わうなど配慮をしています。献立は、旬の野菜や果物を使い、素材の味が生きるような薄味を心がけています。盛り付けや彩りも子どもの食欲がわくようにしています。本園の献立は2週間ごとのサイクルメニューなので、食材の切り方、味付けなど1回目の反省を次回に生かすことができます。献立は子どもの様子や献立会議を経て本園、分園それぞれで作成をしています。

代替食、宗教への配慮など子どもの状況に応じた食事の対応をしています。食物アレルギーのある子どもについては、医師の「生活管理指導表」に基づいて対応しています。除去がある食事は、マニュアルに従い専用のトレイ、青色のラップを使用しています。おかわりの用意もあります。提供する時は調理室と職員、職員間のダブルチェックをそれぞれ行い、配膳は正規職員が行います。除去食がある子どもは決まった席にし、職員が傍らにつき、誤食のないようにしています。

年間食育計画表があり、それに基づいた活動をしています。当番活動は3歳児から配膳の手伝いなどしています。プランターで米や夏野菜（トマト、ナス、キュウリなど）、サツマイモを栽培、生長を観察し、収穫しています。クッキングでは、包丁を実際に使うこともしています。クッキー、おにぎり、カレーなど作っています。栄養士がパネルシアターなど食について話す機会も持っています。さまざまな食育活動を通し、子どもたちは楽しみながら食への興味関心を育んでいます。

活動前の道具や遊具の使いかたや楽しく遊ぶための約束事、危険性についてなど、子ども達に話しています。警察の協力を得た交通安全教室を含め、必要に応じて子どもと一緒に考えることで、身の回りの危険に気づき、気をつける判断力を養っています。健康に関しては、年間を通して手洗い・うがいの大切さを教えています。災害や緊急時に備えての毎月の訓練は、全職員が連携をして、安全対策をしています。園舎内の安全マークのついている場所や机の下でダンゴムシのポーズをとるなど、子どもも参加することで意識を高めています。

主治医の指示による、投薬やアレルギー対応の際は、依頼に対し、保護者との面談確認をしています。保護者の協力を得て、主治医と連携を図りながら取り組むこととしています。看護師による必要時の対応も可能です。職員は、健康面で配慮が必要な子どもの保育について、職員会議など各会議で周知をしています。他園で起こった事故事例など参考に発生防止に努めています。発熱・体調不良等で保護者の迎えをお願いした時は、状況に応じて事務室の簡易ベッドで子どもを休ませています。

乳幼児突然死症候群（SIDS）の対策として、0歳児は5分、1、2歳児は10分ごとに呼吸や体の向きをチェック表に記録をしています。0歳児は午睡センサーを併用しています。3歳児以上も30分ごとにチェック表に記録をしています。保護者には乳幼児突然死症候群の危険性について入園説明会で話しています。感染症が流行している時には、園の状況は園内掲示で知らせ、注意喚起を促しています。園で行っている年2回の定期的な内科健診・歯科検診、毎月の身長・体重の測定結果を保護者に確認してもらっています。

入園前面談や提出書類、その後毎年の個別面談などで保護者の状況や事情を把握しています。園のきまりを原則にしつつ、保護者の立場に立った対応を心がけています。例えば、保護者が急な残業でお迎えが遅くなり、夕食の提供を希望する場合には、柔軟な対応をしています。保護者の負担軽減のため、布団、カバー、シーツの貸し出しをしています。外国籍の保護者への配慮として、園だよりなど配付物にはふりがなを振っています。家庭での子育ての悩みに共感しながら、園で頑張っている子どもの様子も伝えています。

園だより、、給食だより、ほけんだよりなど毎月のおたよりなどのほか、全体的な計画を配付しています。懇談会では、職員から指導計画に基づいた子どもの育ちやクラス全体の様子などを話し、共通認識を持てるようにしています。また、個別には連絡ノートで家庭での様子、園からのコメントなど記載し、子どもの様子をきめ細かく情報交換しています。個別面談では子どもの育ちについての情報共有のほか、家庭での悩みに丁寧に寄り添っています。日々のお迎えの際には、子どものトピックなど言葉を交わし、コミュニケーションを密に図るよう努めています。

期間を設定した保育参加（8割ほどの参加率）、作って遊ぼう会（親子で参加）など園の保育を知ってもらうようにしています。クラス懇談会では、一つの話題で保護者同士話が弾むように配慮しています。また、父母会の組織があり、自主的な活動をしています。園行事の運動会、夏まつり、作って遊ぼう会の時には父母会が防犯パトロール協力をしています。夏まつりでは、父母会の模擬店ブース（ジュース売り）があります。その他、年1回は全体の懇親会、クラス懇談会はクラスによって随時行い、保護者同士の交流を深めています。

近隣の公園、図書館、児童館などその日の活動や目的に応じて散歩コースを選んでいます。小学校とは交流体験の機会を持っています。戸外活動では近隣の方に積極的に挨拶することを心がけています。下町の雰囲気が残る地域柄、地域の方は園を温かく見守ってくれています。また、墨田生涯学習センタ―へ星空上映会を観に行く時に子どもたちは電車に乗って出かけています。これら墨田区の地域資源を活用し、子どもたちがさまざまな体験ができるよう取り組んでいます。

園の活動に、幼児教室、英会話教室、造形教室（分園のみ）があり、子どもたちは外部の講師から指導を受けています。保育所の理解促進や子どもたちの生活の充実に向け、中学校の体験学習、実習生の受け入れを積極的に行っています。5歳児は地域の保育園と交流の機会を持っています。高齢者のデイサービス事業所とは、基本毎月、お互いに行ったり来たりの交流を持っています。分園は、地域のお祭り参加のお誘いがあります。子どもたちは同年代から高齢者までの世代間交流を通しても、地域との関係を深めています。

個人情報の取り扱いについて入園時に保護者に説明し、同意書に署名を得ています。職員のプライバシー保護の意識のさらなる注意喚起を促すために「ソーシャルメディアに関する規定」を新たに策定しています。子どもの羞恥心に配慮した保育については、着替えの時は裸にならないようにしたり、屋上でプールをする時は目隠しをしています。幼児のおねしょの布団は人目につかない場所にそっと干しています。また、おむつ替えは保育室でなく、0歳児は沐浴室のオムツ交換台、1歳児はトイレで行っています。

各年齢や個性に応じて、その子どもに分かりやすい説明（伝え方）をし、子どもが理解して納得することを大切にしています。子どもが言葉で表現できない意思を、職員が汲みとって言葉にしています。子どもの遊びこんでいる様子や表情など子どもの姿を観察し、子どもの行動には意味のあることを職員は理解し、ゆっくり向き合い、受け止めることを大切にしています。子どもが遊びの中でどんなことに興味を持っているのか、どんな遊びを深めているかなど、職員間で情報共有を図りながら子どもが意欲的に活動できるようにしています。

虐待対応マニュアルがあり、職員は虐待の定義を周知しているほか、研修で意識を高めています。職員は、朝の子どもの表情や着替え時に良く見ることを確認しています。その際の言葉かけ、体への触れ方にも注意を払っています。必要に応じて全職員で見守る体制があります。さまざまな困難を抱えている保護者への援助が必要な場合は、送迎のやりとりの時など、保護者の心身状況をさり気なく観察しながらも、自然な関わりや会話を持ち、保護者の本音を探りながら相談につなげるようにしています。

保育業務に必要な各種マニュアルは「保育部門マニュアル」として法人が作成しています。定期的な点検・見直しに関しては、年2回のマニュアル会議で検討し、必要が生じた場合は、3月の理事会で承認後、追加、訂正などを行っています。散歩時の職員それぞれの役割の明確化、遊具の不具合確認、周囲の環境整備といったこれまでは当たり前のこととして行っていた業務に関し、マニュアルとして改めて文章化をしました。マニュアルを確認や業務点検の手段とし、さらに安全に配慮した保育につなげようとしています。

マニュアルに基づいた適切な対応ができるよう、園内研修や訓練を行っています。夏の水遊びの前の事故防止の再確認のほか、感染症、嘔吐処理などは実演形式で看護師が説明をしています。心肺蘇生法、AEDの使い方の講習は毎年実施しています。また、年間計画を立て、地震や火災に備えての避難訓練、通報訓練、消火訓練など、毎月想定を変え実施しています。緊急時に備えて医療機関一覧や、職員の連絡網が作成され、消防署や警察署への通報体制も整えています。

職員は、子どもたちの自由な発想や意見を聞きながら日々の保育や行事への取り組みを進めています。保護者には、個別指導計画の作成や見直しにおいて、離乳食の進め方、トイレットトレーニング、伸ばしていきたい長所など、園での工夫点を交えながら子どもの状況に合わせて説明し同意を得ています。また、懇談会や個別面談、園のアンケート、第三者評価の保護者アンケート（3年ごと）などから、寄せられた意向や意見を計画に反映するようにしています。園で行ったアンケート結果は配付の方法で保護者にフィードバックしています。