東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

　保育理念、保育方針、保育目標は「入園のしおり」に記載され、年度初めの職員会議(園内研修)で確認するとともに、9月の自己評価において、保育目標に沿った保育実践を行っているか振り返りを行っています。さらに園内に掲示し、日常的に参照するよう努めています。保護者には、入園のしおりを使って保育理念、方針、目標がどのように保育実践に反映しているかを説明し、理解を深めてもらっています。さらに5月の保護者懇談会では、保育目標の実現に向けたクラス目標を示し、年齢・成長に応じた目標とねらいを共有できるよう努めています。

　年度初めに「職員役割、係分担表」が示され、園長をはじめ各職種、各階層に応じた役割が職員の間で共有されています。また、法人代表、経営職、園長により法人幹部会を構成し、毎月1回の会議によって法人と園の意思統一を図るよう組織管理に取り組んでいます。保育ニーズや保育政策を分析して法人の方針を示し、これを踏まえ、園では「事業計画」に運営方針を示し、4月の職員会議で共有しています。園長は、最終責任は自分が負うことを前提に、職員の自主性、自発性を大事にした園運営に努めるなど、リーダーシップを発揮しています。

　法人幹部会議、職員全体会議、リーダー会議などの会議があり、事業計画に頻度などを示し、職員マニュアルで運営方法、議事録の取り扱いなどを規定しています。法人全体で取り組む案件は法人幹部会議で検討、決定し、園で対応する案件はテーマに応じて職員全体会議、リーダー会議などで決定しています。決定経緯や内容は、議事録に記録し閲覧できるようにしています。保護者にかかわる案件は、掲示、園便り、お知らせなどで伝えています。園の開所時間の変更では、手紙、直接の説明を行い、同意書を全保護者から得るなど、適切に対応しています。

　保護者の意向は第三者評価の利用者調査、行事アンケート、運営委員会の意見などで把握し、運営に生かすよう努めています。職員の意向は自己評価や園長面談などの機会を通じて収集し、必要に応じて全体で共有し、改善に結びつけています。市内の保育施設長会、地区別懇談会、幼保小懇談会などに参加し、地域の現状把握に努めるほか、市の「子ども・子育て支援事業計画」のニーズ調査や審議の状況把握に努めています。福祉事業の全体動向は、事業者団体広報誌、保育雑誌、行政提供資料で把握し、園が取り組むべき課題の抽出に役立てています。

　3月に事業計画、予算を作成し、翌年5月に事業報告、決算を行っています。また毎月経営状況を検証し、必要に応じて補正予算を編成するなど、適切な運営に努めています。法人内のエンゼルケアルームでは病児・病後児保育を行うなど、働く保護者の切実なニーズへの対応に努めています。一方、人材確保が困難な中、保育ニーズの実態と職員の就労環境改善のバランスを勘案し、開所時間の変更を行うなど、実態に応じた運営に努めています。平成28年度を始期とする5年間の「中長期計画」を作成し、複数年にわたる事業の計画的な推進に努めています。

　中長期計画は、利用者ニーズの動向、保育政策の方向性、人材育成などの現状・課題を示し、その解決策としてテーマごとに「短期・中期」「長期」に整理しています。この計画を踏まえ、毎年、事業計画を作成するなど、将来の見通しをもって事業に取り組んでいます。また、全体的な計画に沿って保育の指導計画を作成して、期、月ごとに振り返りを行い、目標とねらいの達成度合いを評価し、次期計画に反映するよう取り組んでいます。行事計画は進行表によって進捗状況を確認し、実施後には振り返りを行い、ねらいが達成できたかを評価しています。

　就業規則の服務規定のほか、職員マニュアルに「職員としての心得」が示され、日常的に参照するよう努めています。また、新規入職者には、指導担当職員から指導が行われています。さらに自己評価の際、社会人・保育園の職員としてのマナー、基本姿勢などについて振り返りを行い、理解を深めています。入園説明会や運営委員会では、入園のしおりで苦情解決制度を説明するほか、掲示を通じて周知に努めています。意見箱については保護者代表が管理し、利用について園便り、保護者懇談会で説明し、保護者の意見表明の機会を確保しています。

　子どもの心を傷つけない言葉かけや対応を徹底するため、自己評価チェックリストの活用のほか、勉強会で権利擁護や虐待防止について協議し実践の振り返りを行っています。また、虐待防止マニュアル、児童の権利擁護マニュアルを作成し、日常的に参照するよう努めています。子どもからのシグナルを見逃さないよう努め、虐待が疑われる場合、市の保育課や子ども家庭支援センターなど、関係機関と連携して対応する仕組みを整えています。ホームページでの情報公開、第三者評価受審、運営委員会の開催、保育参観など、園の活動を積極的に公開しています。

　ボランティア、中学生の職場体験などはマニュアルに沿って受け入れ、子どもと体験者双方にとって実りある機会となるよう取り組んでいます。実習生は積極的に受け入れ、将来の人材育成に資するとともに、職員の指導技術向上の機会としています。地域貢献では、子育て相談、行事への子育て家庭の招待、高齢者施設訪問による多世代交流などに取り組んでいます。小学校の評価・評議委員会の活動、施設長会議、幼保小懇談会、交通安全防犯連絡会など、地域のネットワークに参加し、子どもを取り巻くさまざまな課題解決に向けて協働して取り組んでいます。

　災害、事故、衛生、侵入など、リスクに応じたマニュアルを作成して共有するとともに、日常的に備えるべき点をチェック表にして確認を行っています。また、市の事業継続計画を踏まえ、園のBCPマニュアルを整備しています。発災直後から時間別対応表を示し、再開に向けて具体的な活動内容が整理され、職員の間で共有されています。さらにBCPは定期に見直しを行うほか、災害時備品を定期的にチェックしています。入園のしおりでの災害時の園との連携方法、災害カードの配付、子どもメールの活用など、保護者との共有を図り災害時に備えています。

　年間計画に沿って、避難・消火訓練、防犯訓練、交通安全教室を行うなど、さまざまなリスクへの対策をしています。さらに訓練は当番制で職員の体験の機会を確保し、全ての職員の意識が高まるよう配慮しています。また常に非常時を意識できるよう、各クラスに注意喚起のカードを貼付しています。園医から提供される感染症発生動向や園内での罹患情報を掲示し、予防や感染の拡大防止に向けて注意喚起を行っています。ヒヤリハット、事故報告書の集計、分析を行い、勉強会を通じて原因、解決策を話し合い、予防、再発防止に向けて取り組んでいます。

　運営規程に個人情報の取り扱い、管理、保存を明文化するほか、個人情報保護方針を職員、実習生、ボランティアに配付し、誓約書の提出を義務付けています。個人情報は鍵付き書庫に保管し、情報の機密性に応じて管理者のみが閲覧できるなど、階層別管理を行うとともに、必要時には職員が事務所のみで閲覧するよう徹底しています。さらに電子情報はパスワードでアクセス制限を設けて、漏洩防止を徹底しています。個人情報保護方針には、情報の利用目的を明示するほか、保護者からの開示請求に対応することを明らかにしています。

　職員採用については、ホームページで募集を行うほか、養成校や公私の職業紹介事業者に求人を出して募集を行っています。さらに職員の母校訪問や、就職説明会への参加、将来の採用も見込んだ養成校学生のアルバイト採用など、さまざまな方法で優秀な人材の確保に取り組んでいます。職員配置については、職員面接の結果(本人の希望)を踏まえ、法人内系列園との人事異動も含めて検討し取り組んでいます。特に保育の継続性や人材育成の面に配慮しながら、持ち上がりも含めた担任の選任を行ったり、行事・係の担当を決めたりしています。

　キャリアパスは職位別にスキル、役職、職務、任用要件・年数などに加え、給与水準を明示するなど、人事評価システムとの総合的な運用がなされています。人材育成の方針、具体策は中長期計画、事業計画に示し、キャリアパスも含め、これらに基づき年度別の「職員資質向上計画」を作成し、実施しています。さらに人事考課シートとの一体的な運用により、目標管理、評価、職業能力開発など、総合的な人材マネジメントに取り組んでいます。職員の研修機会を確保するため、園内研修や系列園との合同研修の開催、外部の集合研修への参加を行っています。

　外部研修に参加した職員は研修報告の作成を通じて振り返り、勉強会などでの報告を通じて成果を共有しています。働き方改革法の成立に伴い、休暇の指定取得を進めるほか、自己評価、人事考課の面談の際、職員の仕事への意識や悩みを把握し、必要に応じて助言するなど、労務管理に努めています。さらに園長、主任、副主任は、職員のストレスマネジメントへの取り組みを行っています。また、アレルギー対応チームを設置し、課題解決に向けてチームが効果的に活動に取り組めるようリーダー層は側面支援に努めています。

　利用者に園についての情報を伝える手立てとしてホームページとパンフレットを作成しています。ホームページでは、園の理念、基本方針、園の概要や年間行事のほか、関連施設にクリニックと病児病後児保育室があることなどについて伝えています。園のパンフレットには、保育方針、園の見取り図、施設概要、年間行事や地図などを掲載し、法人のパンフレットでは、年間行事を写真を使ってわかりやすく紹介しています。子育て支援に参加した保護者や園の見学者に配付しています。

　園では調布市に園の情報を提供しています。園の活動内容を伝えるため、市のホームページには、当園の概要や定員、受け入れ開始年齢、開所時間、延長保育、保育方針、保育目標、主な年間行事などのほか、保育園体験情報が掲載、紹介されています。また、市の広報紙にも月1回、園の子育て支援事業の情報を掲載しています。そのほか、市の園長会で情報交換をしたり、市主催の主任会などで研修をしたり、互いの園の見学会などを企画し、園の情報を伝え合っています。

　園の見学は、主任と副主任が対応しており、いつでも見学できる体制ができています。電話での問い合わせに応じ、入園申込みの時期の土曜日に時間を設けて1日2回見学会を行っています。そのほか、見学希望者の都合に合わせて予約を受け付けています。1時間程度を目安に、室内の環境、設備や子どもの活動の様子を見てもらい、異年齢のかかわり、系列園との交流、就学に向けての取り組みなどについて、ていねいに説明し、園での生活について理解を得るようにしています。

　入園が決定した保護者には、入園のしおりや児童票などを受け取りに来ていただき、あらかじめ必要事項を記載してもらい、それを基に個人面談を実施しています。個人面談では、家庭の状況や子どもの食事、排泄、睡眠、遊びの状況、希望や要望などについて情報収集しています。離乳食やアレルギーについては栄養士が、アレルギーや医療的な配慮が必要な場合には看護師も面談を行っています。健康診断や個人面談で得た情報は、ファイルにとじ全職員が共有できるようにしています。

　入園説明会では、保育理念、保育内容、日課、行事、災害時の対応、保健や薬の取り扱いなどについて保護者に説明するほか、意見や要望を園の職員や園外の第三者に相談できることを説明しています。また、アレルギー対応食を提供する場合には、医師の生活管理指導票が必要であることを説明しています。あらかじめ入園のしおりを配付し、質問を受け、理解を深めてもらうようにしています。「個人情報」の取り扱いや「写真サービス」については、説明したうえで文書で保護者の同意を得ています。

　サービス利用開始直後には、慣れ保育（短縮保育）を実施しています。10日間をベースに、初めの3日間は2時間の保育を行い、その後、徐々に時間を延ばし、子どもが無理なく園に慣れるように配慮していますが、保護者の就労状況や子どもの様子に合わせて調整しています。転園の際には、子どもたちからの絵のプレゼントや職員からのメッセージを送っています。転園後も行事などのお誘いをしたり、いつでも相談に応じることができることを保護者に伝えています。

　全体的な計画は、年2回の勉強会で全職員で今年度の振り返りを行い、園長、主任が中心となって作成しています。年間指導計画は年度末に、月間指導計画は月末に振り返りを行ったうえで次の計画を作成しています。年間指導計画と月間指導計画は、養護、教育、食育などの項目について記載しています。週案日案は、子どもの興味・関心を基に子どもの思いが実現できるよう配慮して作成しています。0～2歳児クラス及び配慮の必要な子どもには、月間指導計画のほかに、個別指導計画を立てています。

　子どもの生活状況の記録としては、児童票や健康調査表、入園までの生活状況表のほか、個人面談や個別計画の記録も記しています。保育は計画に沿って行い、日々の子どもたちの様子や記録は週案日案に保育日誌を記入しています。0～2歳児クラス及び配慮の必要な子どもには、毎日個別記録を記入し、職員は日々の変化を確認しています。全クラスで3か月に1回、発達経過記録を記入し、園生活を通して子どもの成長がわかるようにしています。

　保護者の要望や意向は、連絡帳及び個別の面談や日ごろの会話から聞き取り、保育計画に生かしています。職員間では、指導計画を会議などで共有するとともに、毎日の子どもに関する伝達事項（保護者からの連絡事項や子どもの様子など）は伝達メモで伝え、全職員が全園児の情報を共有しながら保育を行っています。年間指導計画は年度初めの保護者会で具体的に説明し、毎月のクラス目標は園便りで保護者に伝え、子どもとのかかわり方の共有に努めています。

　子ども一人ひとりの発達の過程や生活環境などの情報は、入園時に提出してもらう家庭状況調査票や健康調査票、期ごとに記す発達記録などで把握しています。日々の家庭での子どもの様子は、登園時の保護者との会話や連絡帳、面談から把握しています。子どものけんかに対しては、0～2歳児クラスでは、職員が、かみつきを防ぎながら子どもの互いの思いを伝えています。3～5歳児クラスでは、できるだけ子どもが自分たちで解決するよう見守り、必要に応じて職員が互いの意見を聞いて解決に導くようにしています。

　子どもたちが主体的に物事にかかわることができるように、遊ぶ時には、子どもが絵本やおもちゃを選んで遊ぶことができるようコーナー保育を取り入れています。3～5歳児クラスでは、おままごとやブロックのほか、カード遊びや製作のコーナーも設定しています。製作については、手本を必ず見せるようなことはせず、廃材などを利用して子どもたちの発想で自由に作ることができるような環境作りをしています。また、製作したものを置いておけるスペースを設けて、いつでも続きができるようにしています。

　4、5歳児クラスは、年齢ごとの活動も行いますが、同じ保育室で過ごしています。異年齢で活動することで互いを思いやる気持ちがはぐくまれています。文化が違う国があることを子どもたちに伝える取り組みとして、地球儀や絵本を見たり、運動会のための国旗の製作をしています。配慮を必要とする子どもの保育にあたっては、ほかの子どもとのかかわりを大切にし、発達支援センターの職員から指導を受けながら保育を行っています。就学準備として、5歳児が小学校を訪問する機会を設けています。

　毎日、登園時の保護者との会話や連絡帳を通して子どもの家庭での様子を把握しています。保護者から得た子どもの情報は、職員間の伝達メモに記入して担当する職員間で共有しています。園内での子どもの様子や保護者に伝えたいことは、伝達メモに記載して遅番の職員に伝達し、お迎えの時に保護者に伝えています。園長や看護師が全クラスを回って、子ども一人ひとりの様子や体調を確認し、全員で共有すべき子どもの情報を全職員に周知しています。

　子どもの基本的生活習慣の自立に向けて、保護者との連携を図り、子どもの状況を見ながら指導しています。着脱は、日々の生活の中で繰り返し行い、できた時にはほめて子どもができることを増やしていくようにしています。トイレトレーニングは、保護者と相談しながら時期を見て、無理なく進められるようにしています。排泄については、活動の節目に子どもに声をかけ、行うようにしています。食事指導は、0歳児から始め、フォークやスプーンの持ち方や箸の使い方など、遊びの要素を取り入れながら段階を経て進めています。

　午睡については、0～2歳児クラスでは、子どもの起床時間や生活時間に合わせて時間の調整をし、0歳児の午前寝や体調不良時の対応も個別に行っています。また、乳幼児突然死症候群（SIDS）防止のため、0歳児は5分おき、1、2歳児は10分おきに体勢や呼吸のチェックをしています。5歳児クラスでは、就学に向けて、1月ごろより午睡の時間を減らしていき、卒園制作や子どもの興味に合わせて文字の練習などの時間を設けています。

　遊ぶ時には、ままごと、製作、カード遊び、変身遊びなど、子どもの希望を聞きながらさまざまなコーナーを常設し、子どもが遊びを選んで活動できるようにしています。子どもが主体的に集団にかかわることができるよう、朝の会で一日の流れを伝え、子どもが見通しを持って生活できるよう配慮しています。また、年齢に応じてルールのある集団遊びを取り入れています。3～5歳児クラスでは当番活動を行い、食事前の挨拶、食事の配膳や盛り付けの手伝いをしています。

　子どもたちがさまざまな表現を楽しむことができるよう、製作の時には空き箱など各種の素材を用意しています。また、季節、暦や行事に合わせてクラスごとにさまざまな製作を楽しんでいます。楽器の演奏も取り入れています。また、季節の歌をうたったり、絵本の読み聞かせを通して言葉に対する感覚を養えるように配慮しています。お誕生会やクリスマス発表会でみんなの前で話をする機会を設けたり、5歳児は月1回、近隣の図書館のお話会に参加したりしています。

　近隣には自然豊かな公園が多くあり、落ち葉を拾って作品作りをしたり、芋のつるでリースを作ったりするなど、季節ごとに自然を楽しんでいます。園庭のプランターでは、きゅうり、トマト、なすなどの野菜を育て、子どもたちは収穫する楽しみを体験しています。じゃが芋掘り、さつま芋掘り、大根掘りも体験しています。散歩に出かける時には、交通ルールや公園での遊び方について子どもたちと約束をしています。また、順番待ちやルールのある遊びを通して、きまりを守る大切さを伝えています。

　子どもたちが楽しく過ごすことができるよう、七夕、ハロウィン、クリスマス、お正月、節分、ひな祭りなど、年間を通してさまざまな行事を行っています。七夕、節分、ひな祭りなどの伝統行事では、子どもといっしょに装飾を作り、由来を伝え、行事を楽しんでいます。ハロウィンでは、自作のハロウィンバッグの発表を行ったり、仮装して近隣の公園でゲームを楽しんだりしました。伝承遊びを取り入れていて、5歳児は系列園と合同でこま回し大会を行っています。

　子どもたちが協力してやり遂げる行事として運動会があり、親子競技やダンス、4、5歳児はパラバルーンやリレーを行いました。夏祭りでは、縁日を楽しんだ後、みんなで盆踊りをしました。クリスマス発表会では、2歳児から劇遊びを行い、4、5歳児クラスでは、子どもたちが演目を決め、配役や大道具も子どもたちと相談して作り上げました。お誕生会は、お誕生日の子どもの紹介のほか、職員からの出し物のプレゼントを行い、子どもの成長をみんなでお祝いしています。

　年度初めに年間行事予定を保護者に配付しています。また、毎月発行される園便りに月の予定を掲載するなど、保護者が行事に参加しやすいように配慮しています。夏祭りや運動会、クリスマス発表会など、主な行事の時には、毎日の活動記録で行事に至るプロセスを保護者に伝えたり、クラス便りで子どもたちの様子を伝えたりして、保護者の理解が深まるように努めています。

　延長保育の時間帯など、長時間保育の子どもたちには、何をして遊びたいかをたずね、好きな遊びをして過ごすことができるよう対応しています。子どもが大勢いる時には独占できないブロックなどを独占してじっくり遊んだり、ままごとの道具をたくさん使うなど、日中とは違う遊び方が楽しめるよう配慮しています。また、きょうだいや異年齢の友だちと過すため、小さい子どもが大きい子どもに甘えたり、大きい子どもが小さい子どものお世話をしている姿など、ほほえましい姿が見られます。

　保育時間の長い子どもたちが寂しさを感じることがないよう、職員と1対1で絵本を読んだり、職員もゲームや遊びをいっしょに行ったりするなど、ゆったりくつろいで過ごすことができる環境設定にしています。遅番には専属の職員を配置し、子どもが安心して過すことができるよう配慮しています。19時まで保育を行っているため、保育時間の長い子どもには、18時過ぎに夕補食を提供しています。子どもが楽しく食べることができるよう、夕補食も手作りで提供しています。

　1～5歳児クラスでは、少人数でテーブルを囲み、職員もいっしょに食べることで、食事のマナーや会話を楽しむことができるように配慮しています。献立は園の栄養士が2週間サイクルで作成し、毎月、給食会議を開き、献立や調理方法を検討しています。子どもたちが楽しく食事ができるよう、5月にはおにぎりをかぶとの形にして出したり、ハロウィンにはカボチャ型のご飯を載せたカレーを出すなど行事食を工夫しています。また、多国籍料理や郷土料理も取り入れています。

　「食べることは楽しいこと」をテーマに、0歳児から年間食育計画を立てています。栄養士が食育指導を行っており、食事のマナー、食具の持ち方や三色食品群について伝えています。年齢に合わせて、お月見団子を作ったり、さつま芋を使ってスイートポテト作りやケーキ作りを行ったり、クリスマスにはホットケーキをデコレーションしてクリスマスケーキを作ったりしました。また、夏にはきゅうりやトマトの栽培をして、調理してもらって食べたり、じゃが芋、さつま芋や大根の収穫をしたりして楽しんでいます。

　食物アレルギーのある子どもには、医師の生活管理指導表に基づき除去食を提供し、毎月保護者にも献立を確認してもらっています。配膳時には専用のトレーを使用し、アレルギー除去を記したネームプレートを使用してラップで覆い、配膳時に調理担当職員と保育士が確認しています。食事をとる時には、誤食しないよう、子どものそばに必ず職員がついています。文化の違いや宗教上の考え方などで食べられない食材がある場合は、入園時に確認し、個別に対応しています。

　年間保健計画に基づき、看護師が子どもたちに歯磨き指導、手洗い・うがい・咳エチケットなど感染症予防の話をしています。感染症を予防するため、園では鼻水が出たら鼻をかむ、外から帰ってきたら手洗い・うがいをすることを励行しています。散歩に出かける前には、保育士が子どもたちに、交通ルール、階段や道の歩き方などについて話をしています。また、防犯訓練や、年2回交通安全教室を実施しています。職員は、子どもが健康や安全に関心が持てるよう配慮しています。

　嘱託医と連携し、0歳児は毎月、1～5歳児は年2回健康診断を行い、また、全園児が年2回歯科健診を受けています。身体測定は毎月行っています。健診や身体測定の結果は保護者に伝えるとともに健康の記録に記載し、園生活を通して子どもの成長や発達について把握できるようにしています。急な発熱やけがをした場合に備えて、近隣の病院の連絡先を一覧表にしています。子どもが保育中に体調不良になった場合には、保護者の依頼により、病児病後児保育室に移送しています。救急救命については、研修を受け、全職員が会得しています。

　乳幼児突然死症候群（SIDS）の情報は、入園説明会で保護者に説明しています。毎月、保健便りを保護者に配付し、感染症への注意、熱中症予防の情報など、その時々に応じて必要な情報を伝えています。感染症にかかった場合の登園停止基準については、入園のしおりに明記し保護者に伝えています。子どもが感染症にかかった場合には、その感染症に関する情報を掲示し、保護者に注意を呼びかけています。子どもの疾患に関する薬は医師の指示書と与薬依頼書とともに預かっています。

　延長保育は、定期的な利用とスポット的な利用ができるシステムとしており、当日の受付や急な残業による依頼など、保護者の事情に合わせて申し込みを受け付けています。保護者同士が交流できる機会として、0～2歳児クラスでは、ふれあい懇談会を行い、子どもと保護者がゲームなどをいっしょに楽しみながら交流しています。3～5歳児クラスでは、保護者懇談会を行い、子どもの成長について話し合う機会としています。そのほか、運動会では保護者参加の競技を実施し、保護者の交流の場となっています。

　保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みとして、「皆で子どもを育てる」「共に子どもの成長を見守っていくこと」を常に保護者に伝えています。保護者懇談会の前には保護者に、聞きたいことなどについてアンケートを取り、保護者懇談会では質問に答えながら、園の保育方針について、ていねいに説明しています。個人面談の前にも、聞きたいことなどについて保護者にアンケートを取り、担任が保護者に伝えたいことをあらかじめ職員間で話し合ったうえで実施しています。

　子どもの発達や育児などについて、保護者と共通の認識を得る取り組みとして、保護者懇談会では子どもの年齢に応じた成長の特徴などについて伝え、子どもの育ちについて保護者の理解が深まるようにしています。また、保護者に園の活動について知ってもらうため、保育参観を行っています。保育参観は約2週間の期間を設けて行い、給食までの時間を子どもたちといっしょに過ごし、子どもたちの活動の様子を知ってもらう機会としています。

　子どもたちは、園周辺にあるさまざまな公園に出かけ、季節を感じ、思い切り体を動かして遊んでいます。5歳児は月1回、近隣の図書館に行き、読み聞かせ会に参加したり、本を借りたりしています。4歳児も年度末から参加しています。3～5歳児クラスでは、近隣の商店街に行き、にんじんや大根、たまねぎなどを買う体験をしています。4、5歳児は、年4回、地域の高齢者施設を訪ね、手作りのしおりやお花などのプレゼントを贈ったり、歌のプレゼントをしたりして交流しています。

　毎月のお誕生会や七夕祭り、運動会、じゃが芋掘り、さつま芋掘り、大根掘りの時には、近隣の子育て中の方に参加を呼びかけ、親子で参加してもらっています。5歳児は、近隣の小学校との交流で、学校探検をさせてもらったりするなど、就学に向けて、さまざまな体験をしています。近隣の神社で開催される豆まきや七夕会にも参加しています。

　外部の専門機関などと子どもの発達に関する情報をやり取りする場合には、保護者の了承を得て行っています。個人情報の取り扱いに関しての承諾は、入園時に個人情報保護に関する同意書を保護者から得ています。子どもの羞恥心への配慮として、着替えは上下どちらかを着ている状態で行うことなどの指導をし、おもらしをした時にはほかの子どもに気づかれないよう着替えをするなどの配慮をしています。子どもや保護者の価値観に関しては、面談などで把握し、一人ひとりに合わせて対応しています。

　子ども一人ひとりを尊重する取り組みとして、子どもにとって利益のある保育をすること、子どもの意見を尊重することを職員間で共有しています。法人が作成した「保育の心得」を基に入職時に研修を行い、その後は勉強会において、人権擁護などについて研修を行っています。また、虐待防止マニュアルを用意し、日常的に子どもの健康状態の確認や保護者の心のケアを心がけています。虐待防止に関する外部研修にも参加し、園内では研修で学んだ内容を報告し合う伝達研修を行っています。

　入職時に全職員に、職員マニュアルを配付しています。マニュアルには、法人の理念、法人の保育方針、職員としての心得などを中心に、事故対応や災害時の対応などのリスクマネジメント、保育業務の流れ、保育書類の扱い方、健康管理、などについて掲載しています。そのほかBCP（災害時事業継続計画）、清掃、消毒などの衛生管理、感染症やアレルギー対応については、別途マニュアルを作成して職員間で共有しています。

　マニュアルについては、入職時及び園内研修や職員会議で学ぶほか、事務所に設置し、わからないことが起きた時には職員がいつでも振り返ることができるようにしています。マニュアルの内容は、年度替わりに見直しを行っています。そのほか、研修や他園の見学、看護師会、栄養士会などで新しい情報が得られた時、防災訓練やヒヤリハットなどから改善の必要が見られた時には、随時見直しをしています。