東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

児童福祉法の理念（子どもの最善の利益）及び保育所保育方針を踏まえて園運営することや、学校教育法を理解し、教育・保育を一体的に行うことを運営方針としています。また、大切にしていることをスローガン「すべては子どもたちの一歩を踏み出す力のために」で示しており、園児にとって本当に良い環境とは何かを常に考え、成長し続けることができる園でありたいと考えています。このスローガンは、パンフレット、入園ガイドブックにも明示し、４月の園内研修などで、園全体で共有を図っています。保護者には年１０回、説明会を開催し伝えています。

「キャリアパスの構想」を作成し、その中で園長の役割と習熟に必要な研修、求められる能力を明示しています。園長は、経営幹部として、最終的な経営責任を負うことが役割とされており、その役割を果たすため、学園施設・保育内容・環境等を適宜モニタリングできることや、組織運営を調整し、自組織を改善・向上させることが求められています。その他、「キャリアパスの構想」は、ガイドラインにも掲載し、全職員で共有しています。園長は理念の実現に向けて、すべての園児のために、より良い環境を整えることを共通認識とし、園運営に努めています。

法人及び園の運営に関する重要事項は、理事長、園長で協議し、月１回の職員会議で職員に周知しています。その他カリキュラム会議では「保育に関する全体的な計画」やカリキュラム編成などを話し合っています。会議としては職員会議に加え、毎日の昼礼会議、主任会議、リーダー会議、非常勤保育士会議等が設置され、情報共有や課題について検討しています。保護者に伝える必要がある場合は、「れんらくアプリ」を活用して、情報を発信しています。閲覧状況を確認して、まだ見ていない保護者には声掛けをするなど、全保護者に周知するようにしています。

保護者や職員の意向及び地域のニーズ、行政の動向について、情報の把握に努めています。保護者には運動会・発表会に加え、年度末にアンケートを実施し、保育内容や職員に対する要望を収集しています。また、職員の意見は主任・リーダー会議で取り上げ、園の運営に反映するようにしています。さらに、小平市私保育園協会に園長が参画し、地域や行政の情報を収集しており、経営状況は毎月、収支の現状を確認し、安定経営に向けた課題を確認しています。

法人の中・長期的な課題として、併設する幼稚園との一体化をあげています。現在、外部コンサルタントのサポートを受けて、情報の収集と分析を行い、具体的な計画策定に取り組んでいます。今後は、法人の中・長期計画と連動して、園の事業計画に課題や目標を反映することが望まれます。園の年度事業計画では、冒頭に運営方針と事業計画の概念(事業目標）を示し、それを踏まえて、3つの保育目標、保育方針、０歳児から２歳児の保育の基本的考え方を明示しています。また、給食、健康管理等については方針とその実践のための課題が明確になっています。

計画を推進するための体制を組織図で示し、理事長、園長、主任の経営層をはじめ、各職員の園での位置付けが明示されています。加えて、職務分掌で役割と責任を明確にするなど、計画を進める体制が整備されています。計画に合わせて、園児の数や備品・消耗品の予算について、職員からの意見を踏まえて、全体の収支予算の中に組み込んでいます。また、主任・リーダー会議や職員会議で計画の進捗状況を毎月確認し、計画が着実に進められるようにしており、年度末には次年度の計画策定をふまえた振り返りを行い、その結果を事業報告書に記載しています。

運営方針に、「児童福祉法及び社会福祉法、その他認可保育所に関する諸通知」等を十分理解し、遵守することを明示しています。また、児童福祉法の理念及び保育所保育方針の内容、目的を踏まえた保育を掲げています。さらに、隣接する幼稚園や小学校就学を見据え、学校教育法の理解も併せて行い、教育と保育の連続性と発展性を創ることを謳っています。職員には、マナー研修への参加やマナーに関する書籍を配布し、共通認識を図っており、園内研修や職員会議、主任会議、リーダー会議、非常勤保育士会議でも学び合う機会を設けています。

保護者の意見や質問等への解決制度を設け、ガイドブックに記載しています。直接担当主任に伝えるか、「ご意見ポスト」を利用する方法が選択できるようにしており、第三者委員にも相談できることを伝えています。ご意見等は、園長が責任者として解決し、その内容を他の保護者に伝える方が良い場合は、「おたより」や掲示板で周知しています。また、児童虐待防止に向けて、主任・園長が職員の言動について必要に応じて注意を促しています。一方、保護者には、子育ての相談を受けたり、気になる園児への対応については声掛けをするなど配慮しています。

地域に開かれた園を目指し、情報発信やさまざまな地域貢献活動を進めています。ブログを毎日更新するとともに、園内での遊びや公園への外出など、各クラスの日々の活動を職員が手書した日誌を添えて、写真と共にホームページで紹介しています。また、地域の子育ての拠点となるよう積極的に取り組んでいます。園開放、妊娠中の夫婦や祖父母などを対象とした「プレママ・プレパパ・初孫講座」、看護師によるスキンケア教室、指導経験のある職員のヨガ教室を実施し、地域の人に園が持っている機能や専門性を還元しています。

事故、感染症、熱中症、不審者侵入を、園で発生する可能性の高いリスクと捉え、事故が発生したときは、状況を記録し、対策を検討しています。また、ヒヤリ・ハットを保育日誌に記載し共有したり、保育室・園舎・園庭の危険個所や危険物がないかを点検し、事故防止を図っています。感染症については、登園の目安を保護者に伝え、まん延を防止しています。不審者侵入対策では、避難訓練や侵入時に警察に非常通報できるシステムを導入しています。熱中症はＷＢＧＴ（暑さ指数）を基に対策をたてるなど、リスクマネジメントに努めています。

災害、火災に備えて、避難訓練年間計画を作成し、毎月１回訓練を実施しています。また、災害時には、電話が不通となることを想定して、安全確認後、災害伝言ダイヤルやホームページで状況を発信することを保護者に伝えています。一方、地震、台風、洪水などの自然災害が発生した際に、事業を継続するためのＢＣＰ(事業継続計画）を策定することが課題となっています。災害の規模や電気・水道・ガス・交通機関の状況を想定し、対策本部の設置、職員の参集、情報の入手方法、復旧に向けた対策などを明示した計画の策定が期待されます。

文書管理規程を整備し、園で取り扱う文書を適正に管理するようにしています。その中で、各文書について保存年限表で法定保存期間などを明示しています。また、パソコン上のデータはパスワードを設定し、共有するものとアクセスを制限する情報に分けて管理するなど、情報の適正管理に努めています。一方、個人情報については、規程を作成し職員に周知徹底しており、ブログには写真を使っているため、保護者の同意を得ています。今後、ホームページに「プライバシーポリシー」を掲載する等の検討が望まれます。

民間の求人サイトや、公的職業紹介機関を活用して人材を募集しています。また、就職フェアへの参加に加え、保育士養成学校に働きかけるなど、人材確保に努めています。これらの取り組みにより余裕のある職員数を採用しており、丁寧な保育ができる環境を作っています。園の求める人材の育成を目的として、「キャリアパスの構想」を作成しており、その中で各階層に求められる能力、習熟に必要な研修、役割が示されています。職員が将来を見通せるようにするとともに、求める能力を習得するためのキャリアアップ、スキルアップ研修も計画しています。

市内の私市立保育園協会主催の研修や、外部のキャリアアップ、スキルアップ研修に職員の参加を促し、学ぶ機会を提供しています。また、研修に参加しやすいよう、勤務調整や費用の園負担などの環境を整備しています。一方、職員一人ひとりに対応した個人別育成計画については、整備されていない状況です。「キャリアパスの構想」に沿って各職員が計画的に必要な研修を受講するための仕組み作りが望まれます。過去の受講歴を整理するとともに、今後、能力向上を図るうえで、必要な研修について職員の希望を踏まえた個人別育成計画の策定が期待されます。

園の目指す理念や方針を実現するためには、職員が働き続けられる環境づくりが必要と考えています。そのため、職員がやりがいをもって働くことができるよう努めています。具体的には、人事考課制度を導入し、目標に対する評価結果を手当に反映するようにしています。また、職員の家庭の事情や体調面に配慮して働きやすいようにしたり、休憩室を充実させゆっくり休憩がとれるようにしています。さらに、職員が積極的に能力向上に取り組めるよう、研修参加費用の一部を園が補助するなどの自己啓発を後押しする制度も設け、職員の定着に努めています。

当保育園への入園または見学を希望する保護者は、市や園のホームページ、保育課の窓口に設置している冊子「小平市保育園のしおり」(問い合わせ先や市内公立園と私立園の所在地、定員、開園時間、保育標準時間など掲載)、市報などから園の情報を入手することができます。来園者にはＡ４版の冊子「ＮＡＭＩＫＩ」を配布しています。地域に向けては、園の門外に設置されている掲示板に園開放のお知らせや園で実施している看護師によるスキンケア教室などの案内を掲示しています。

市のホームページでは、所在地や施設概要、保育目標、年間行事予定、特徴などの情報が配信されています。園のホームページでは写真や動画を多用し、園での活動の様子や施設をわかりやすく伝えています。また、毎日ブログを更新し、保育士手書きの子ども達の活動を配信しています。配布される冊子は保育目標や保育方針、保育内容、園の概要のほか園としての４つの思い、園での生活(園での１日をタイムスケジュールで紹介)、園舎の紹介、１年間のスケジュールなどをイラストや写真を活用して作成されています。

見学を希望する保護者に対しては、見学会を８月～１１月までの土曜日に４回開催しています。都合のつかない保護者に対しては、平日にも保護者の希望で実施しています。主な対応は園長が行ない、配布した園の冊子をもとに園舎を案内しながら園の理念や環境設定を丁寧に説明し、園内の様子を確認してもらっています。園の特徴としては、木のぬくもりを大切にし、余計な装飾を施さず、家庭的な雰囲気の中で健やかな成長を育んでいることや、朝昼夕と日が射し込むつくりであること、大きな縁側と軒を活用した遊びの広がりなどについて説明しています。

入園が内定した保護者には、市より入園説明会や面談の日程の案内がされ、当園で２月下旬に実施しています。参加した保護者には入園ガイドブック「ＮＡＭＩＫＩ」を配布し、ガイドブックに沿って、園長、主任、看護師がそれぞれの立場から、園の概要や運営方針、園で大切にしていること、環境について、園での一日、園の基本的なルール、食育活動、保健などについて説明しています。個人面談は健康診断後に、担任が書類の確認と、既往症やアレルギーの有無など入園までの子どもの様子の聞き取りをしています。

入園直後の園児の不安やストレスが軽減されるように、２週間をめどに「慣れ保育」を実施しています。説明会で慣れ保育の実施について説明し、一人ひとりの子どもの状況や保護者の要望を考慮し、保育時間を調整することで無理なく園に慣れていけるように考慮しています。特に０歳児は親子で過ごす期間を設け、生活の流れや、離乳職の様子を見てもらっています。園での子どもの様子は、連絡帳やブログで伝えるとともに、少人数の特性を活かし一人ひとり丁寧に対応することで子どもの安定を図り、保護者が安心して預けられるように配慮しています。

当園は０～２歳児のまでの乳児園であることから、３歳児からは系列園の幼稚園(隣)または他園へ転園することとなります。途中転園や退園する園児については、クラスでお別れ会を催すなど、別れを惜しんでいます。２歳児は、３月最終日に２歳児だけが出席する卒園式を実施しており、卒園証書やアルバム、お花のプレゼントをして、成長のお祝いを保護者とともにしています。系列幼稚園へは園での成長の記録を引き継いでいます。系列幼稚園へは８割ほどが入園していますが、２割ほどは保育時間や開園曜日の関係で、他園へ転園しています。

保育所保育指針改定に伴い、保育課程を「全体的な計画」に改定し全職員に周知しています。来年度は乳児としては難しい部分をさらに見直す予定にしています。日常の保育の内容を保育目標に反映して構成するために、年間指導計画や月間指導計画は「全体的な計画」に沿って、クラスごとに養護と教育の領域に分けて作成しています。その他、食育活動、戸外活動なども含めて計画し活動しています。具体的な活動については、週案の中で表現しており、発達状況や心身、生活状況などは定期的に児童票や日誌などに記録しています。

「全体的な計画」については入園時に配布し、園としての保育内容の方針を示しています。個別の計画については、把握した一人ひとりの園児の状況をもとに全園児(ただし３歳の誕生月まで)に対して作成しています。一人ひとりの発達の目安については、連絡帳や個人面談で保護者へも説明しています。また送迎時の、会話も大切にしており、子どもの育ちのねらいと子どもの発達や成長を共に確認しながら子育ての視点を共有しています。園での活動の様子は玄関の掲示板の紙面やブログでも紹介しており、園での子どもの様子をわかりやすく伝えてます。

指導計計画はクラスや一人ひとりの園児の状況をもとに担当職員が作成しています。計画はカリキュラム会議で全職員が共有しており、支援に対する振り返りは毎日の保育日誌や、毎月のクラス月間指導計画の中で行なっています。非常勤職員へは毎月各クラスの指導計画を配布し、統一した支援ができるようにしています。園児や保護者の状況や情報については、毎日昼礼を実施し昼礼簿に記録しています。内容についてはクラスごとの報告や、出勤してきた職員は非常勤職員も含めて必ず閲覧して確認することとしています。

園児一人ひとりの発達の過程や生活環境は、入園時に確認した家庭での様子と、日々の保護者との会話や連絡帳、保育日誌、個人面談などから全体的な姿を把握しています。また、園での園児の状況や発達状況は日誌や定期的に児童票に記録しています。当園は乳児園であり、少人数での活動を基本に、複数担任の中で散歩や園庭遊びなど園児の状況に合わせて活動を決めています。室内においてもコーナーを設置し、園児が遊びたいところで遊び、職員配置も考慮してトラブルなく遊べる環境づくりをしています。

０～２歳児の乳児園であることから、積極的な異年齢交流はしていませんが、一人ひとりを大切にきめ細かい援助を基本としている中、行事やヨガ教室(１、２歳児)なども含めて、園庭遊びや朝夕の合同保育のなど自然に異年齢での交流がみられています。成長に伴い、園児自身の友だちと関りたい気持ちの芽生えに合わせて、ままごとなどのコーナーを設置したり、玩具を用意して、少しずつ友達と遊ぶ楽しさを味わえるように環境を整えています。

特別な配慮の必要な子どもについては、特性を見極めながら他の園児たちの中で共に成長できるように支援しています。園長や副主任、０歳児リーダー職員は、発達サポーター認定書を持っているほか、他職員も外部や園内研修への参加、対応マニュアルの活用で、配慮の必要な子どもものびのび生活しています。年齢や発達の過程で生じるトラブルについては、ガイドブックに子ども同士のトラブルに対する対応策、園の考えを示しており、大きなトラブルを防ぎ、仲立ちとなり互いの気持ちを代弁しながら育ちにつなげています。

登園時には連絡帳や保護者との会話などで、園児の機嫌や食欲など、家庭での様子を一人ひとり確認しています。確認した保護者からの連絡は、「伝達票」に記入し担任に引き継いでいます。降園時には、口頭や連絡帳で具体的な園児の様子などを伝えるとともに、クラスの全体的な活動の様子は、玄関に各クラス紙面で伝えているほか、ホームページで紙面をブログとしてほぼ毎日配信しており、迎えに来なかった保護者にも園での様子が伝わるようにしています。また、保護者対応は必ず正規職員が行なう体制を整えています。

基本的な生活習慣については、家庭と連携した支援ができるようにしています。園児の状況に合わせて園児自身のやりたい気持ちを大切に支援をしています。排泄については、個々の間隔を把握し、無理なくトイレに促すなど、幼稚園入園に向け計画的に進めています。着脱については指先を使う玩具を準備し、ボタンかけへとつなげたり、毎日の給食の中でスプーンやフォークが正しく持てるように援助しています。午睡は園児の年齢や体調、保護者の要望、朝の受入れ時に聞き取った前日からの睡眠状態などから入眠時間や長さを調整するなどの配慮をしています。

園児の発達や状況、季節に合わせて玩具の入れ替えや、ままごと、絵本、構成遊びなどのコーナーを設置し、園児が好きな遊びを選んで自由に遊べる空間を確保しています。多少の人数調整はしますが、基本的に園児の行きたいところややりたいことを優先しています。集団活動に対しては、無理のない範囲で自然に関われる環境が作られ、友達と遊ぶ楽しさを伝えています。生活や遊びを通して、大人からの押しつけではなく、関わりの中で園児自身が決まりの大切さや、自分の気持ちを調整する力が身につくように丁寧に援助しています。

発達に合わせた保育士からの言葉がけや、わらべうた、手遊びを通して発語を促し、言葉のやり取りを楽しめるように援助しています。また、日ごろから絵本に親しめるように保育室には絵本を設置したり、日常の保育の中で一人ひとりの思いを受け止め、対応できるような職員配置を行い、園児の思いや表現を大切にした保育を実践しています。ヨガやリズム活動のほか、担任が研修に参加したのを機に、２歳児はリトミックを取り入れています。その他、アレルギー対策として片栗粉の粘土制作や絵の具を使ったお絵かきを取り入れた表現活動も楽しんでいます。

園庭は素足でも安全な土を使用し、起伏を持たせた里山のような作りになっています。手作りの遊具も設置しており、丸太の使用や武蔵野の面影を残した樹木も植えられているほか、玄関わきの畑には季節の野菜を植えています。近隣への散歩も積極的に行なっており、紫陽花の咲く公園や、遊具や水遊びを楽しめる公園など、年齢や目的に合わせて出かけています。また、神社には初詣に行ったり、園庭や公園で四季折々の花や緑、生息する生き物に触れ季節の移り変わりを体感しています。木の実や落ち葉などは、収集を楽しみ制作にも活用しています。

行事は日本の伝統的な七夕や節分、ひなまつりなどの行事と、運動会や発表会など成長を感じられる行事を実施しています。実施については、園児の興味や関心のあるものを見極め、園児の思いを大切にしながら主体的に活動できるよう計画しています。０～２歳児対象なので、発達に合わせて行事の内容を選び、無理なく進めています。運動会は幼稚園の園庭を借りて行なっており、園児たちが普段遊んでいることを中心に、保護者と一緒に楽しめるような競技を考慮しています。わらべ歌なども取り入れ、できる限り準備に時間をかけないようにしています。

保護者参加の行事は、日常の保育の積み重ねや楽しく取り組んできたことを披露する機会としています。運動会のほか発表会では、園児たちが好きな絵本や遊びを組み合わせて披露しています。０歳児は特に普段の生活の様子を再現するような内容で負担のないようにしています。２歳児の劇ごっこは、担任も一緒に舞台に上がることで園児たちも自然に取り組めるように配慮しています。その他、年度当初には行事予定表を配布して保護者参加の行事に予定を立てやすいようにしているほか、特集号を配布して日程や内容を再度案内し、保護者の理解を得ています。

園舎は温かみのある無垢材を使用し、朝昼夕の自然採光にもこだわった作りで、大きなお家のように安心して過ごせる環境になっています。日中の保育活動は園児が自由に選択して遊べる環境を作り、手作り玩具も準備して常に変化を持たせた遊びの提供をしています。雨の日には縁側(季節による)や地域のコミュニティで使用している和室、門から玄関までの屋根のある空間を活用して遊んでいます。１歳児は高月齢と低月齢に分け、発達に合わせたコーナーを設置し、少人数で落ちついて遊べるようにしています。

クラスの活動から離れたい園児については、縁側や部屋の中に一人になれる空間を作って気分転換ができるように配慮しています。基本的に８時から１８時まではクラスで過ごし、１８時から全クラスが一緒に過ごしており、園児の生活リズムをできる限り保障した環境を整えています。日ごろから園庭遊びや縁側で異年齢で関わる機会を持っていることから、合同保育時間も自然に関わる姿が見られています。７時から１９時まで必ず正規職員が関わるシフトを組んでいるほか、担当非常勤職員も固定し、園児や保護者が安心できるように配慮しています。

年齢ごとに食事と活動に場を分けて、落ちついて食事ができるようにしています。机やいす、食具は年齢に合わせて使用しており、時には縁側での食事や、行事に合わせた装飾やランチョンマットを使用するなど、雰囲気を変えての食事も楽しんでいます。献立(委託業者の栄養士が作成)は日替わりで旬の食材(国産)を取り入れ、自園調理でだしの味を利かせた薄味で、和食中心に提供しています。また、栄養士はクラスを回り、喫食状況の確認しています。行事などの際には、野菜の飾り切りなど盛り付けを工夫して目でも楽しめるような食事を提供しています。

食物アレルギーのある園児については、保護者に献立の確認を依頼しています。栄養士や調理士、担任が確認の上、専用トレイを使用し、テーブルも分け、正規職員が誤食の無いように提供しています。また、０、１歳と2歳児に分けた食育計画の期ごとのねらいに沿って、食習慣やマナーを身に付け、野菜の皮むきなどの給食食材の下処理の手伝い(栄養士と)や野菜の栽培などを行ない、食への関心を深めています。野菜は園内の畑のほか、法人の畑で大根やキュウリ、人参、ジャガイモなどを栽培しており、活動の様子は紙面やブログで保護者にも伝えています。

園児の危険防止や健康については、日々の保育の中で必要な事柄を計画的、または日常的に伝えています。危険については、毎月の避難訓練や散歩に出かけた際に、安全な泥の歩き方や遊具の使い方を伝えています。健康については、看護師または担任がうがいや手の洗い方を伝えています。また、戸外遊びや散歩も含め、ヨガや体操は協調性や自主性を育むことに重きを置いて実施していますが、苦手なことを克服したり、体幹が鍛えられ丈夫な体づくりにも繋がっています。

嘱託医による年２回の内科健診(０歳児毎月)や毎月の身体測定、衛生検査(爪や髪)などを実施し、専門機関や看護師、保育士が連携して、園児の健康管理に努めています。予約は基本的に実施していませんが、慢性疾患や気管支拡張シール、外用薬については、医師の指示書の提出や、看護師に相談の上預かっています。自動体外除細動器（ＡＥＤ）の使い方については、製造元の講師に来園してもらい、使い方の講習を受けてます。アナフィラキシー緊急補助治療に使用する緊急用キットの使い方については、看護師に使い方指導を受け、緊急時に備えています。

園児の健康に対しては、入園時に配布する保育園のしおりに「保健について」として、感染症の取り扱いや薬、安全管理、登園の目安などが記載されており、入園時に説明してます。保健だよりでは季節で流行する病気への注意喚起や皮膚のケアなどについて知らせています。感染症が発生した時は罹患状況をまとめ玄関の掲示板に掲示し、注意喚起しています。乳幼児突然死症候群については、園では午睡時にベビーセンサーの使用(０歳児)や睡眠チェック(０歳児５分、１、２歳児１０分おき)を実施し防止に努めています。見守り職員も必ず2人ついています。

保護者の子育てや就労など、個々の事情に配慮して接するための取り組みとして、入園時の保護者の就労状況の聞き取りや日常の会話、連絡帳などから、保護者の事情について把握し、急な残業など保育時間の変更にもできる限り柔軟に対応しています。また、日々の園児の様子は連絡帳に記入するとともに、会話を通して様子を伝えるなど、保護者との日々のコミュニケーションを大切にし、事務所職員(園長、主任、看護師)も積極的に声掛けしています。丁寧な言葉使いで聞く姿勢と話しやすい雰囲気作りを心がけ、信頼関係が深まるように心掛けています。

クラス懇談会や行事（運動会、発表会）など、保護者同士が交流する機会を持っています。ほかに保育参加も実施しており、給食の試食など、子どもの園での様子をより身近に感じられ、成長を共感できる機会となっています。また、毎月保護者交流会を実施しており、子育てについて共感や、先輩保護者からのアドバイスを受ける機会も設けています。「ＤＩＹ倶楽部」では主にお父さんの協力を得て、園の大型遊具を作製する機会を持っています。さらに、卒園児や在園親子にも参加を呼びかけ、親子ヨガ教室を通して親睦を深めています。

当園は、築山や武蔵野の面影を残した樹木を植えた園庭や畑を所有していますが、近隣への散歩も積極的に出かけています。紫陽花のたくさん咲く公園や色とりどりの草花、さくら、紅葉、昆虫など季節ごとの環境や空気の移り変わりを体感しています。散歩先では交番や消防署で働く職員に挨拶しています。０歳児～２歳児までの乳児園であることから、他施設との積極的な交流はしていませんが、地域のイベントには参加しています。また、子育て支援事業で来援した親子と交流をしているほか、今後は隣の幼稚園との交流も計画しています。

個人情報保護規定については、入園時に保護者へ説明し写真の掲載も含めて同意を得ています。園児の羞恥心に配慮した支援としては、トイレはドアの設置はありませんが、一人ひとり仕切りをつけています。また、園舎は縁側と軒が大きく作られており、どの部屋も外部から見えにくい構造になっています。プール遊びについては０歳児は中庭で行ない、一人ひとりタライを使用しています。１、２歳児は１歳児室の前の縁側でシャワーも含めて実施していますが、園舎の周りの木々や大きな軒のおかげで、周りから見えない配慮と日陰の確保がされています。

０～２歳児の乳児園である当園は、日ごろから一人ひとりを大切にした保育を実践し、基本的な生活の基盤と人格の形成を援助しています。０歳児は定員６名に対して職員３名と非常勤職員１名を配し、手厚い支援をしています。当園の保育方針「～一人ひとりの子どもの良さと可能性を伸ばしていくことで、生きうる力の基礎を培う」保育内容でも「～人ひとりの生活リズムに配慮し、～中略～安定した生活ができるようにする。」としています。保護者の価値観についても、園の基本的なルールに則り、生活に支障のない範囲で配慮しています。

職員の言動を振り返る機会としては、毎月の月間指導計画の中で行ない、次月に反映しています。虐待防止や育児困難家庭への支援に向けては、市の研修や勉強会に参加し、理解を深めています。園児や保護者の変化については、日々職員同士で情報交換し、虐待を受けている疑いや、受けている情報を把握した時には、市で作成した「子ども虐待防止対応マニュアル」をもとに、園長に報告相談後保育課に連絡し、必要に応じて子ども家庭支援センターや児童相談所など各関係機関と連携をとる体制が整備されています。

緊急連絡や防災計画などとともに、危機管理をはじめとする各種マニュアルを一冊にまとめ、事務所に保管しています。職員へは看護師が作成した、「園の保健について(当園にできる目安・感染症の取り扱い、身体測定と健康診断、お薬について、虫刺され、食物アレルギー対応)」などをまとめたものや、危機管理「散歩や園外保育時の注意事項」などを個人配布しています。職員はわからないことや手順に疑問が生じたときに、これらのマニュアルを活用して確認し、業務の標準化を図っています。

サービスの基本事項や手順については、カリキュラム会議や職員会議などで年度末に見直し、必要に応じて変更改変しています。また、行事後や年度末には、第三者評価などの機会にアンケートを行ない、保護者からの意見や要望を寄せてもらっています。職員からの提案は日常的に吸い上げ、昼礼などで挙げられた意見を園の実情と照らし合わせて、実現しています。その他、園のＤＩＹ倶楽部の活動とは別に職員手作り玩具も多数あり、職員のアイディアと工夫が保育に生かされています。