東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

企業として、保育園としての方針は入社前研修で職員へ説明しているほか、園内の廊下に掲示していつでも見ることができるようになっています。毎年度始めの園長ミーティングでは本部の役員から方針説明があり、その内容は園内で共有しています。今年度から始まった園長による採用面接の際に、理念等を伝えることで園のことを理解してもらうようにしています。保護者へ向けては4月の保護者会のほか、懇親会、合同運営委員会で伝え、新入園児対象の3月の入園説明会でも説明しています。

園長をはじめとした各職員の役割は、業務マニュアルに明示しています。大きくは園長、主任保育士、保育スタッフに分けられ、職務内容が示されています。園長は職員一人ひとりの意見を取り入れながらも、全体のバランスをみて判断していくことを大切にしてリーダーシップを発揮しています。そのために、個人面談の際に園で必要とされているそれぞれの役割や目標を確認、見直しで目標達成へ向かうようにしています。そして、子ども達と職員が楽しく過ごせる場にしていきたいと考えて、実践しています。

今年度から運営本部の体制が見直され、より現場が活動しやすい環境作りが進められています。近隣にある園が複数集まって、その中で情報共有を図ったり意見交換をするエリア会議が定期的に行われるようになりました。そこで話し合われた内容は園内の職員会議で共有しています。今年度は秋からの制度改定に伴い、給食内容の変更がありました。このことは保護者へ書面で通知するほか、臨時保護者説明会を開催して説明しました。なお、保護者への通知がデジタル連絡帳を使うことでより早くなり、保護者からも好評です。

園における様々な課題を抽出する取り組みを行っています。保護者からは行事後にはアンケートを実施して意見を募っているほか、合同運営委員会では事前に取り上げて欲しい事案を確認するなどの工夫もしました。職員からは本部からの決定事項等について意見交換する機会を設けています。そのほかには「杉並区認証保育連絡会」「杉並区保育所連絡会」に参加して地域の情報を収集し、本部からは定期的に保育業界に関する情報が送られてくるようになっています。経営状況に関しては、本部の担当者から定期的に収支状況が報告されています。

平成30年から3か年の中期計画と、5か年の長期計画を策定しています。それぞれ3項目をテーマに挙げていますが、つながりが曖昧に感じられ、また「いつまでに」「何を」するという具体性に欠けている部分があります。この2つの計画は園が中心となって作成していますが、単年度の事業計画は本部が作成することとなっているため、2つの計画に連動性が図れていない点は課題といえます。園と本部が連携し、それぞれの計画が連動して実践される仕組みづくりを期待します。予算については、児童の受け入れ状況から本部が中心となって作成しています。

年度毎に「係り分担表」を作成し、行事や園運営に必要な役割を職員間で分担して目標達成に向けて活動しています。全体で計画の進捗状況を確認する機会はありませんが、その代わりに職員との個人面談を定期的に行っています。自分の役割が何かを明確にし一人ひとりが目標をもって仕事に取り組めるように園長がフォローしています。また、毎月の事務処理等やらなくてはならない業務に関しては、本部の内部監査室から毎月チェックで来所する仕組みを設けることで、ミスを未然に防ぐようにしています。

職員の規範等は就業規則に定めているほか、マニュアルに「勤務の心得」として基本心得や身だしなみについて記載しています。日頃の職員の言動に関しては、若い職員が多いことから園長が定期的に保育に入りならがら確認し、気になることがあればその場で指導したり、一緒に考えることで解決しています。また、職員が自分の活動を振り返るために年2回セルフチェックをしています。今回の利用者調査では、職員の立ち居振る舞いについて9割以上の保護者が適切だと回答していることから、しっかりとできている様子がうかがえます。

苦情解決制度については、入園前の面談で園長から重要事項説明書を用いて保護者に説明しています。園内の廊下に苦情窓口の案内を掲示もして、周知を図っています。園に対して意見等がある場合には、意見箱へ入れてもらうように設置していますが、今年度はこれまでのところ投書はありませんでした。保護者等との意見交換をする場として年1回の合同運営委員会のほか、保護者懇談会、個人面談などを設けています。園に対する苦情等があった場合には、まず園長に報告し、その後本部とも連携して対応する体制となっています。

虐待防止対策として行政と連携しています。区の担当課から専門家である臨床心理士が2～3か月に1回の頻度で来園し、子ども達の様子を確認しています。職員に対しても言葉遣いや衣服の着替え方などを指導してくれています。日常的には声掛けや気になる動作などがあった場合には職員同士で声を掛け合うなどして注意を払っています。地域貢献の取り組みとしては、読み聞かせや離乳食に関する相談会を月1回程度開催しています。また、中学生の職場体験を受け入れており、小規模保育園ではありますが地域の中で福祉施設としての役割を担っています。

リスクマネジメントとして「地震・防災マニュアル」「衛生マニュアル」を備え、子どもの命を守ることを第一に安心・安全を心掛けています。保育園にはAED（自動体外式除細動器）を備え置き、職員はCPR（心肺蘇生法）研修を毎月受講し、いざという時に使えるように訓練しています。また、外部からの侵入者に備えた不審者訓練は年3回実施しています。今回の利用者調査では、園での安全対策について約85％の保護者ができていると回答しており、保護者への周知も図られている様子がうかがえました。

事故防止活動の1つとしてヒヤリハットの活用に取り組んでいます。これまであまり多く活用されておらず、園長から提出するように指導しても改善が見られませんでした。そこで、毎週提出する「週案」と合わせて出すようにしたところ、徐々に数が増えてきました。これにより職員の安全に対する意識も高まっていくことを期待します。また、本部からはグループ内で起きた事故の事例を共有する「アクシデントレポート」と呼ぶメールが1日2回配信されてきており、安全に関する意識を組織的に高めています。

園内で扱う情報の管理についてはICT化が進められています。個人情報を扱うサイトでは役職によってアクセスできるページを区分できるように設定して管理しています。入園時には保護者に個人情報の取扱いについて説明し、写真の取扱いや肖像権についても触れ同意書を書いてもらっています。なお、保護者間のSNSによる連絡や投稿については園の管理外となっており、保護者の判断に委ねることを基本としています。その他の各書類の取扱いに関しては、保管期間をまとめた一覧表を作成し、適切に管理しています。

職員の採用は本社の採用課が窓口となって、企業説明会や採用面接を行っています。今年度からの新しい取り組みとして、希望勤務地に近い園の園長が面接を担当するようになりました。配属される可能性のある園を直接見れることは応募者にとってのメリットになり、また園側としてもどのような人材が入社してくるかを事前に把握することができることにつながっています。面接をする園長への負担を考慮しつつ、その成果が来年度に現れることを期待したいです。職員配置については、園の状況だけでなく、職員一人ひとりのライフプランも考慮しています。

職員の長期的育成方針を示す「保育士育成ビジョン」が策定されています。「安全」「保育力」「保護者対応」「社会性・協調性」の4項目について、入社年次ごとに目標、方法と内容が一覧表になって示されています。しかし、個人別年間研修計画はビジョンを意識して作られておらず、会社としての目指すべき人材像と一人ひとりの目標が連動していません。この点は会社全体の課題といえますので、運用方法に関して改善が望まれます。なお現在は個人別年間研修計画は個々が受けたい分野を選択して受講することになっていますが、計画通りにできていません。

職員の働く意欲を向上させる取り組みの1つとして、人事考課制度を導入しています。「査定シート」による自己評価と、その後園長が査定をして個人面談でその内容をフィードバックしています。働きやすい環境作りにも取り組み、シフト作成時には休みの希望を確認し、有給休暇の取得を促しています。組織的には年1回ストレスチェックを実施して、職員の状態を把握するようにしています。その他、日頃から個別の相談等があれば常に話せる環境を作り、職員一人ひとりとのコミュニケーションを大切にして、意欲と働き甲斐の向上に努めています。

園の情報は、法人ホームページや園のホームページ、パンフレットを用意しているほか、東京都福祉ナビゲーション、杉並区のホームページや区が作成する保育園案内などさまざまな媒体から情報を得ることができます。区からの紹介で、との問い合わせも増えています。園行事を行う際は、園がある建物の入り口に掲示したり近隣のお店にお知らせを貼らせてもらったりしています。園見学の問い合わせがあった時にもお知らせやお誘いをしています。

ホームページは、園目標、開園時間、利用料金の目安、入園案内、法人内の認証保育所空き情報など、利用希望者が知りたいと思える情報を詳しく載せています。子ども達が活動している時の写真を園日誌として載せているので、入園後のイメージも持ちやすくなっています。その他、子育てについての悩みや心配事の相談には平日の10時から16時で対応していることも知らせています。パンフレットには法人として特徴のある保育内容、主な年間行事、給食・おやつについて紹介しています。

内覧会は、予約制で1回3、4組としています。内覧会参加者については内覧予約表記載や見学後のアンケートをお願いし、記録に残しています。見学者にはパンフレットを用いたり、園内掲示（運営理念、散歩マップ、安全マップなど）の説明のほか、これまでに多く出されている質問と回答をまとめた書式を配付しています。内覧会の際には、離乳食相談（法人が食品会社と開発し、給食で提供しているヨーグルトの試食もあり）や育児相談にも園長が丁寧に答えています。内覧会の日程が合わない場合は、土曜日でも柔軟な対応をしています。

4月入園の保護者には3月に1日3、4組ずつ入園説明会を開き、入園のしおりを使って園の保育プログラムや個人情報の取り扱い、その他、園を利用するにあたっての基本的ルールなど、園長が説明しています。説明時の質問には都度答えています。説明書に同意を得た上で、同意書にサインをお願いしています。個別の面接では、仮入園申込書と年齢別の入園前面談シートで保護者の意向や子どもの状況を把握しています。職員は、仮入園申込書と面談をした園長からの話で新入園児の情報を共有しています。

入園直後の子どもの様子、送迎時の親子の雰囲気などを職員は観察しています。面談や提出書類（お子様の状況、健康調査票など）で得た子どもの成育歴や性格など参考に、園生活を無理なく始められるようにしています。慣らし保育については10日を目安にしていますが、子どもの様子、保護者の考えや状況を考慮し、柔軟に対応しています。入園前の一時保育利用にも対応をしています。子どもの不安やストレスを考慮し、個別に子どもが安心できる職員と少しずつ関係性を築いています。

5歳児は就学に向け午睡を減らし、生活リズムを整えていきます。入学準備として、交流会で小学校生活と園生活の違いを体験しています。卒園後は、夏祭り、運動会などの行事に招待し、旧交を温めています。園長以下職員は、普段から保護者とのコミュニケーションを大切に考えており、卒園後にも保護者が近況報告や子育て相談など立ち寄ってくれています。運営法人内の系列園に転園する際は、保護者の承諾を得てから、書類の引き継ぎを行っています。

全体的な計画に基づき、年齢ごとに前年度の反省をふまえた年間指導計画を作成し、それを基に月間指導計画、週案につなげています。子どもが遊びの中でどんなことに興味を持っているのか、どんな遊びを深めているかなど、職員間で情報共有を図りながら子どもが意欲的に活動できるようにしています。保護者には年度始めの懇談会で、指導計画に基づいた子どもの育ちや保育の流れを説明しているほか、全体的な計画、週案を掲示し、日々の保育を知ってもらうようにしています。

0～2歳児クラス、障がいのある子どもの個別指導計画を作成しています。作成の際は発達の違いを踏まえた上で、子ども一人ひとりの今の姿や育ちを話し合い、発達状況に見合った保育につながるようにしています。毎月、発達の状況を把握し、見直しをしています。問題や疑問があるときは、話し合っています。個別の課題がある場合は、職員会議で共通事項として話し合い、ほかの職員からの意見も参考にして保育や援助の柔軟な変更、見直しを行っています。

計画作成時にねらいを記入し、子どもの育ちを捉える視点から実践がその狙いに沿っているか、など振り返りができるようになっています。保育時の職員の配慮及び子どもの姿、職員の気づきなど日誌に丁寧に記録をしていくことを大切にし、自らの実践を振り返り、積み重ねています。保育を振り返る際は、結果だけにとらわれず、子どもの思いを汲み取り、主体的な活動になるように環境を整えていくその過程を大切にしています。その積み重ねに基づき、子どもたちの成長に合わせて次の指導計画を立てています。

児童票には入園時の状況報告、保護者との面接シート、個々の成長の様子などが綴じられています。入園からの成長の様子は「全体的な計画」に沿った内容で記録され、児童票を見ることで子どもの情報を把握することができます。保護者との送迎時の会話、子どもたちの園での生活の様子などからも子どもの全体的な姿を捉えています。年度末には、小学校教育への円滑な接続に向け、年長児の就学する小学校に対し、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」を踏まえた保育所児童保育要録を作成しています。

0歳児クラスはスキンシップを十分にとりながら、子どもの欲求を感じ取るようにしています。1歳児クラスは安心できる職員との関係の下で自分でしようとする意欲が芽生えていきます。2～5歳児クラスはオープンフロアで日々異年齢で活動をしています。年齢差に配慮をし、室内遊びは2歳児と幼児でスペースを分け、おもちゃも別に用意をしています。日々の子ども同士のかかわり合いを見守りながら互いを認め合い、育ち合えるようにしています。

子どものけんかは、関わりを持つまでに成長したからこそぶつかり合うと考えています。幼児のけんかの場合は、自分たちで解決ができるよう職員は見守りながらも、必要に応じて双方の思いを代弁したり、状況を知らせ相手の思いに気づけるようにしたりしています。他の子どもたちがさり気なく仲介してくれる場面もあります。0～2歳児に見られるかみつきやひっかきなどに気を付けながら、言葉でうまく表現できないところや気持ちを代弁しています。

登園時に口頭で保護者に体調など確認をしています。0～2歳児は個別の連絡帳を通して体温、食欲、排せつなどを確認しています。幼児はシール帳があり、必要があるときに伝達ツールとしています。職員は保護者との会話と子どもを観察することで一人ひとりの状況を把握しています。お迎え時には基本、担任が一日の様子や体調など伝えています。園長も積極的に保護者に話しかけています。また、スマートフォンのアプリを導入し、クラスの様子を写真付きで保護者に配信することで子どもの園での表情や様子を分かりやすく伝えるようにしています。

食事の時間には挨拶、姿勢など子どもの成長発達段階に合わせて伝えています。手づかみ食べからスプーン、フォーク、箸へと段階を追って食具の使い方の援助をしています。排泄面では活動の区切りにトイレへの声かけや促しを行っていますが、一人ひとりの排尿の感覚や間隔に合わせて対応しています。トイレットトレーニングは個々に合ったタイミングや体調を考慮し、臨機応変に対応しています。排尿、排便時の子どもの様子や子どもからのサインを見逃さず、うまくできた時はたくさん誉めて排泄の感覚を意識づけられるよう援助しています。

午睡時はカーテンを引き、電気を消して静かな環境を作っています。静かな音色のCDをかけるクラスもあります。職員は子どもの体をなでたり、おなかや背中を優しくトントンしたりして心地よく眠りつけるようにしています。眠くない子どもには横になって休むことも大切であることを伝えています。5歳児クラスは就学に向け、午睡をする日を減らしていきます。静かな遊びをしたりワークをしたりと、生活リズムを整えて行きます。子どもの体調によっては休ませるなど柔軟に対応しています。

各クラスには低い棚に絵本やおもちゃ、教材が置かれ、子どもたちが自ら手を伸ばして取り出しやすく、片付けやすいようにしています。おもちゃや絵本は子どもの発達や興味・関心、季節などに合わせて入れ替えています。敷物、机などを利用してコーナーをつくり、ままごと、ブロック、絵本を見るなどしています。コーナーは作らないこともあり、静と動の動きに合わせた環境を作っています。一斉活動の時間、設定保育でない時、朝夕の合同保育、土曜保育時は子どもは自分の好きな遊びを見つけて楽しんでいます。

子どもの年齢発達に応じ、子どもの発する言葉のほか、気持ちを汲み取った対応をしています。0歳児の発する喃語に対し、職員は笑顔で喃語を繰り返す場面があり、子どもが満たされるようにしています。1、2歳児には自分でしようとする意欲に合わせて、できた時は「頑張ったね」と職員はたくさん褒めています。幼児も集団生活をする中で、自己主張したい気持ち、譲れない気持ちなどさまざまな葛藤を持ちながらも、みんなの気持ちや意見に耳を傾け、自分なりに解決していけるよう、職員は声掛けや援助をしています。

子どもの感性を育むことを大切に考え、描画、製作、音楽、身体表現（手遊び、ダンスなど）等、さまざまな表現活動を保育活動に取り入れています。法人のオリジナルプログラムの体操、リトミック、英語は子どもたちの興味や関心の芽を育てることを目的として、法人グループ内の専門講師が指導しています。また、散歩の時は公園の樹木や草花、昆虫、周辺の景色などに親しみ、木々の葉の色の移ろいや日差しの強さ、風の冷たさなど季節によって自然が変化することに気づけるようにしています。

節分やクリスマス会といった日本の文化や季節感を大切にした年中行事の時には、年齢に合わせて絵本などを通して行事の由来を伝え、友だちと共有できる体験をして、自分を取り巻く様々な物事に気づくことができるようにしています。演目までは職員が決めていますが、発表会の役決め、お泊り保育の内容などは子ども達と一緒に考えて進めています。

運動会、生活発表会など行事はあくまでも日常の保育の延長と捉えており、完成度の高さを求めてはいません。保護者には子どものありのままの姿をみてもらうようにしています。3～5歳児はチームワークが重要な縄跳び（運動会）、宮沢賢治の雨ニモマケズの朗読（発表会）をしており、練習の時から皆で心を合わせ、協力しながら取り組んでいます。当日には緊張感の中でも全員でやり遂げた達成感や満足感を味わえるようにしています。

年間行事予定であらかじめ日時を知らせ、保護者が参加のための休暇等の予定を立てやすくしています。運動会や発表会の練習の様子など、家庭で子どもと話をして、褒めたり、やる気を引きだすようにしてもらっています。運動会や生活発表会では、子ども一人ひとりが真剣な表情で頑張る姿、楽しそうに参加する姿、年下の子どもの協議を応援する姿など、成長も感じてもらっています。行事後にはアンケートを実施しています。寄せられた感想や意見など、次回に反映するようにしています。

月～土曜日は7時30分～22時（現在の利用は18時30分）の長時間にわたる保育のために、一人になれる空間をつくったり、カーペットの上でくつろいだりと、必要に応じた対応しながら子どもにとって心地よい環境を作っています。少人数だから楽しい遊びも考えて行い、またこの時間は職員に甘え、ゆったりと過ごせる環境にもなっています。夕食の提供もしています。申し送り表を活用し、お迎えの保護者に連絡漏れのないようにしています。

子どもが快適に過ごせる環境整備として、衛生マニュアル、チェック表、消毒液の作り方などの活用のほか、非常勤職員を中心として毎日清掃をし、清潔な状態を保っています。各保育室にエアコン、壁掛け扇風機を設置しています。温・湿度計を備え、子どもの様子を見ながら調整し、日誌に午前・午後2回記録をしています。保育室の床は安全性にも配慮をしたクッションフロアです。0歳児保育室の壁の一部はニオイや湿気を防ぐエコタイルを使用しています。保育室の窓は大きく、陽光を取り入れることができます。

職員は子どもに食べることを強制せず、配膳された盛り付け量を減らすなど個々に対応し、完食の喜びを感じられるようにしています。苦手なものを一口食べられた時はほめています。旬の野菜や果物を使い、素材の味が生きるような薄味を心がけています。献立は和食が多く、子どもはもちろん保護者にも好評です。盛り付けや彩りも子どもの食欲が湧くようにしています。献立は法人本部が各園から出された意見を参考に作成をしています。2週間ごとのサイクルメニューなので、食材の切り方、味付けなど1回目の反省を次回に生かすことができます。

アレルギー疾患に関する法人研修があり、職員は食物アレルギーについての知識を得ています。食物アレルギーのある子どもについては、医師の「食物アレルギー除去指示書」に基づいて対応しています。マニュアルに従い、除去のある子どもの食事は、専用の名前入りのトレイ、ネームプレートを使用しています。盛り付けられた食器には名前を書いたラップをかけ、おかわりも一緒に提供しています。調理室と職員、職員間のダブルチェックをそれぞれ行い、除去食がある子どもは個別の机を使用し、誤食を防止しています。

食について関心を高めるため、3歳児から当番活動をしています。プランターで夏野菜を栽培、生長を観察し、収穫しています。0～2歳児も成長を観察し楽しみました。収穫したナスとピーマンでピザを焼き、子ども達は味わいました。ピーマンは製作（スタンプ）でも使用しました。クッキングは幼児クラスがひっつみ汁、ポンデケージョ、甘みそなど作っています。栄養士が食について話す機会も持っています。さまざまな食育活動を通し、子どもたちは楽しみながら食への興味関心を育んでいます。

散歩や公園遊びの際の交通ルール、ルールのある遊び、その他活動前の道具や遊具の使い方や楽しく遊ぶための約束事、危険性についてなど、子ども達に話しています。必要に応じて子どもと一緒に考えることで、身の回りの危険に気づき、気をつける判断力を養っています。健康に関しては、年間を通して手洗い・うがいの大切さを教えています。災害や緊急時に備えての毎月の訓練は全職員が連携して安全対策をし、子どもも参加することで意識を高めています。

アレルギーに関しては医療機関と連携を図っています。保護者とは半年ごとに栄養士を交えて面談をしています。医療的な配慮が必要な子どもの受け入れがある場合は、保護者と対応方法を話し合い連携して取り組むこととしています。必要時には嘱託医や法人内の担当看護師に相談することができます。新入園児を迎える年度始めの在園児の不安やストレスへの具体的な配慮として、フォローに入る職員を厚くしています。その際の職員はいつも同じ職員が関わるようにしています。また、慣らし保育中の子どもの帰宅後は担任に十分に甘えて過ごしています。

乳幼児突然死症候群（SIDS）の対策として、0歳児は5分、1、2歳児は10分ごとに呼吸や体の向きを生活睡眠記録簿に記録をしています。0歳児は予防シートを併用しています。3歳児以上は様子を確認しています。保護者には乳幼児突然死症候群の危険性について入園説明会で話しています。感染症が流行している時には、園の状況は園内掲示で知らせ、注意喚起を促しています。園で行っている年2回の内科健診・歯科検診、毎月の身長・体重の測定結果を保護者に確認してもらっています。

入園前面談や提出書類、その後毎年の個別面談などで保護者の状況や事情を把握し、保護者の立場に立った対応を心がけています。例えば、保護者が急な残業でお迎えが遅くなり、夕食の提供を希望する場合には、柔軟な対応をしています。保護者の負担感が大きい使用済みの紙おむつの持ち帰りは園で処分をしています。子どもの日々の園生活の様子、園からのお知らせなどは、書面でなくアプリ配信にしており、スマートフォンやパソコンからいつでも必要な時に確認することができます。

年2回のクラス懇談会では、職員から指導計画に基づいた子どもの育ちやクラス全体の様子などを話し、共通認識を持てるようにしています。また、個別には連絡ノートで家庭での様子、園からのコメントなど記載し、子どもの様子をきめ細かく情報交換しています。年2回の個別面談では子どもの育ちについての情報共有のほか、家庭での悩みに丁寧に寄り添っています。日々のお迎えの際には、子どものトピックなど言葉を交わし、コミュニケーションを密に図るよう努めています。

保育参観（3～5歳児は参加も可能）、試食会など園での保育を知ってもらうようにしています。毎月の誕生会も希望制で参観が可能です。懇談会はクラスに拘らない席の配置をしています。高尾山登山では保護者の協力があり、ハロウィン行事で永福町駅上庭園を利用する時は保護者のお出迎えもあります。こうした保護者との関わりを意識した取り組みから、職員との信頼関係に加え、保護者同士の交流を深めることにもつながっています。

近隣の公園、神社、永福町駅上庭園、図書館などその日の活動や目的に応じて散歩コースを選んでいます。戸外活動では近隣の方に積極的に挨拶することを心がけています。また、法人内の近隣にある保育園を訪問しての定期的な交流の機会も持てています。その際は子ども達は電車で出かけています。3～5歳児は毎年高尾山登山が恒例となっています。定員が36名の小規模園ですが、地域資源を活用し、子ども達がさまざまな体験や交流ができるよう取り組んでいます。

中学生の体験学習を2校受け入れています。小学校行事にも参加をしています。園行事を行う際は、園がある建物の入り口に掲示したり、近隣のお店にお知らせを貼らせてもらったりして告知し、お誘いすることで子ども達との交流につなげています。また、以前は地域のデイサービス事業所を訪問して、定期的な交流が持てていました。今後もそのような活動ができるよう、検討することとしています。

個人情報の取り扱いについて入園時に保護者に説明しています。ホームページに子どもの写真をアップすることに関しても確認し、署名・捺印を得ています。集団生活を送る子どもが、職員や友だちの視線を気にせず、一人で居たい時には職員の見守りの中、廊下や手洗い場のあたりでクールダウンをしています。幼児トイレにはドアがついています。おむつ替えや着替えの時はパーテーションで仕切り、外部から見えないよう配慮しています。幼児がおもらしをした時には、子どもの自尊心を傷つけないようさり気なく着替えるなど、そっと対応しています。

各年齢や個性に応じて、その子どもに分かりやすい説明（伝え方）をし、子どもが理解して納得することを大切にしています。子どもが言葉で表現できない意思を、職員が汲み取って言葉にしています。遊び込んでいる様子や表情など子どもの姿を観察し、行動には意味のあることを職員は理解し、ゆっくり向き合い受け止めています。遊びの中でどんなことに興味を持っているのか、どんな遊びを深めているかなど、職員間で情報共有を図りながら、子どもが意欲的に活動できるようにしています。

価値観や生活習慣にこだわりのある家庭がいた場合には、事情を確認して配慮するようにしていますが、現在そのような家庭はいません。日常、職員は穏やかで優しい言葉かけをしています。職員の気持ちに余裕がないと、子どもへ命令口調になってしまったり、注意言葉になってしまったりすることに、園長は十分に注意するよう促しています。また、送迎時のやりとりなど、保護者の心身状況をさり気なく観察しながらも、自然な関わりや会話を持ち、保護者の本音を探りながら相談につなげるようにしています。

法人本部の保育園業務マニュアルのほか、衛生管理、感染症対応、安全管理、個人情報取り扱いガイドラインといった保育業務に必要な各種マニュアルを整備しています。改定をした場合には、年月日を追記しています。その際は読み合せをしたり、確認をしてもらうよう促しています。日常的な業務は園長が確認をしています。小規模園のため、丁寧なOJTができる体制があり、一定の水準を確保していますが、園独自で行っている業務に関し、マニュアルや手順書をさらに整備することで業務の標準化を図っていくことも望まれます。

マニュアルに基づいた適切な対応ができるように職員に周知しています。夏の水遊びの前の事故防止の再確認、嘔吐処理などのほか、心肺蘇生法・AEDの使い方も行っています。年間計画を立て、地震・火災に備えての避難訓練、通報訓練、消火訓練のほか、不審者侵入など、毎月想定を変え実施しています。緊急時に備えて医療機関一覧や、職員の連絡網が作成され、消防署や警察署への通報体制も整えています。

職員は、子どもたちの自由な発想や意見を聞きながら日々の保育や行事への取り組みを進めています。保護者には、個別指導計画の作成や見直しにおいて、離乳食の進め方、トイレットトレーニング、伸ばしていきたい長所など園での工夫点を交えながら子どもの状況に合わせて説明し、同意を得ています。また、意見箱、懇談会、個別面談、アンケートなどから寄せられた意向や意見を計画に反映するようにしています。アンケート結果は玄関掲示やアプリ配信でフィードバックをしています。