東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の保育理念は「子どもたちの笑顔のために」を掲げている。その理念の下に全園8園を統括し、近隣の待機児童の解消に向けて貢献している。保育目標は①丈夫な身体を作り、健康な子どもに育てる②友達と仲良く元気に遊べる子どもに育てる③物を大切にする心を育てる④食を営む力の基礎を培うを掲げ、保育室各部屋に掲示して意識を高めながら推進している。これらは折に触れ職員会議や研修会等で職員の意識高揚を図っており相互理解を深めている。また入園見学会を開催し、入園面談時に重要事項説明書に基づき説明をしており、理解を深めている。

経営層は毎月1回の施設長会議で話しをする機会を設け、自らの役割と責任を伝えている。経営層は特に実践的な教育を重要視しており現場経験から系列園の連携を図りながら、方針に沿った活動の具現化ができるようリーダーシップを発揮している。全園の連携を大切に運営しており現場経験から理念実現に向けて若い職員をリードしている。施設長会議や栄養士会議で職員が取り組むべき方向を示しており、職員の活動や連携がスムーズに進められるよう配慮している。また新たなパンフレットを作り保育理念・保育方針・活動内容を、関係者に伝えている。

重要な案件については決定ルートは明確になっている。クラス会議からリーダー会議そして職員会議、さらに経営層へと伝えられ検討・決議している。重要な意思決定についてはその内容を系列園全体の施設長会議にて話し合い、職員会議にて報告、意見を出してもらっている。系列園全体の施設長会議を月1回実施することで、コミュニケ―ションが一層充実してきている。重要な意思決定は現場の職員の意向を反映できるよう決定までの課程を大切にしている。重要案件の決定事項については必要に応じて保護者全体会や園だより、掲示板で伝えている。

園では入園前、子どもの生活調査票を記入してもらい参考にしている。また各行事ごとにアンケートを実施し状況を把握している。さらに玄関に設置している意見箱にて意向の把握をしている。職員アンケートは年1回実施しており、面談を実施し、意向を確認している。地域の福祉の現状や福祉事業全体の動向等については市の施設長会議に参加して情報を収集している。園の経営状況については、運営委員会のメンバーに当社の税理士も加わり経営状況を把握・検討している。これら把握した情報については施設長会議で検討し、対応すべき課題を抽出している。

保育理念・保育方針は重要事項説明書や新たなパンフレットで明示するとともに、保育課程を基に年度単位の計画を立てている。例年行事等は決まっているが、年度末には次年度会議を行い、保護者アンケートを基に見直し、話し合いで決めていく。入園案内と一緒に、年間行事予定表を保護者に配布している。保育課程は系列園でフォーマットを共通化している。短期目標については毎週の全体ミーティング等で計画を立てている。大きな行事に関しては園長、行事担当がスケジュールを組み、その後各職員が分担して計画的に進められるようにしている。

各行事を行う際には計画と共に保育目標を定め、職員個々に意識を高めている。毎月の園だよりに各クラスの保育目標を載せ保護者に明示している。計画の実行にあたっては各行事の反省をしたり、系列園での成功事例・失敗事例等の情報を取り入れながら、より高い成果が得られるように努めている。中間での達成度合いは保育目標を確認しながら職員個々の意識を高めるようにしている。計画の進捗度合については全体会議で話し合い見直しをして、変更をした場合は園だよりやお知らせボード等により早めに伝え混乱を招かないように配慮している様子が伺える。

社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理等は園規則・就業規則を通して、職員に理解され運用できるように努めている。保育所保育指針の読み合わせ勉強会を職員会議やクラス会議を通して開き、理解を深めている。また年1回自己評価制度における目標や意識調査の内容の確認と面談を行っており、職員の意識調査を徹底している。また法・規範・倫理のに関する外部の研修を受講した職員は職員会議で、その研修内容を発表し情報の共有化を図っている。さらに資料の回覧を行い研修で得た情報が隅々に行き渡るようにしている。

園として、日々の送迎時に保護者とのやりとりの中で、ご要望をお聴きするとともに、随時対応している。玄関には意見箱を置き入園の契約時には重要事項説明書に記載している相談先を説明している。また個別の相談が受けられる時間をとったり担任との個人面談を設けている。意見、要望受付書では保護者から見た、家庭での出来事や心配事を相談し、職員側からは園での生活面、身支度等をお伝えしており相互のやりとりを密にして日常の保護者とのふれあいを大切にしている。一方で毎月視診を行い家庭からの怪我・傷などの記録を行い虐待防止に努めている。

地域の福祉ニーズに基づき、園の専門性を活かした取り組みで、園の透明性を図るため、リトミックを中心とした育児講座を毎月3組～4組、地域の親子を招いて行っている。この事により園の知名度向上と地域への貢献に繋がっている。またボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示し受入態勢を整えている。園が地域としての役割を果たすため、市の認証保育所会議に参加して福祉関連情報を把握している。また地域のネットワーク内での共通課題について課題があれば、園内でも積極的に取り組むよう提案しており、協同できる体制を整えている。

園児の安全確保のため、園外で何か事件等が起こった場合は、市からメールが届き、必要に応じて貼り紙等をして保護者にも伝えている。また月毎に地震・火災・不審者侵入など様々な想定をした上で避難訓練を計画し実施しており消防署にも報告している。ヒヤリハット、事故簿、避難訓練の記録簿をつけて再発防止・予防を行っている。感染症が発生した時には貼り紙をし毎日玩具消毒を行い病気について広まらないように情報を提示している。災害時には保育所連絡情報メールのシステムを活用し保護者に一斉メール配信したり、感染症の情報も周知している。

風水害などの天災等は所在地における地域特性をは把握し、行政の発行するハザードマップを参考にしている。月毎に災害を想定し避難訓練を実施している。事故・感染症・災害対策については、都度、保育状況把握と対応について確認を行い、即対応、改善を行い再発防止に努めている。保護者へは玄関に貼り紙で知らせている。また災害時マニュアルや不審者乱入・侵入時マニュアルを作成している。このように個々には災害リスクについての対応はできているが、今一度、事業継続計画（BCP計画）についての知識の深堀りと体系的な整備に期待したい。

情報の重要性や機密性を踏まえ、園では情報の管理を一元化している。情報は紙・データを併用しており、紙・USB共に圏外への持ち出しを禁止している。ホームページでは、園の特色を写真や図入りでわかりやすく表現している。また画像はプライバシーや均質性に配慮している。各書類は所定の場所で整理・保管し必要な職員が必要な時に活用できるようにしている。過去の書類は年度毎にファイル分けし、まとめて事務所の奥の保管場所に保管している。個人情報保護法を踏まえ、園では、その利用目的や開示請求への対応を規程し、実施している。

人事制度に関する方針は明確になっており、採用の都度説明をしている。また変更になった時は都度、全体職員会議で説明している。園が必要とする人材については、就職フェアーの出展を月2回重点的に実施し、その他、ハローワークでの募集、ホームページにより、適切な人材確保ができるよう工夫している。法人として将来の人材構成を見据え、新園の展開や、認証保育所から認可保育所への展開で職員の配置もバランスのとれた人材配置が必要であり、経験の偏りがないように配慮しながらローテーションを図り、適材適所の配置ができるよう取り組んでいる。

職員一人ひとりの能力は、採用時は履歴書を参考に、その後は毎月の面談で把握している。毎月の面談時、翌月の目標を揚げ、翌月はその反省をしている。代表・園長が話し合い、個々に合った研修に参加できるよう計画している。外部の研修には1人あたり年2回、内部の研修には最低でも1回は参加できるようにしている。1月から3月で園内研修を予定し、職員間の相互理解を深め、学び合うことを大切にしている。様々な外部研修への受講後は、各自研修報告書を提出するとともに、職員全体会議で発表する機会を設け、知識、知恵を共有している。

職員が努力している事、良いなと思う事等は全体で伝え誉めたり、認めていく事でやる気につながるようにしている。同じ職場だけでなく、系列園の職員から見ての感想をもらう事により、新たな気づきや発見もあり、やる気、向上心が、より高められるようになっている。毎月の面談では職員の要望や悩みを聞き一緒に改善し、気持ち良く働ける環境づくりを行っている。また行事の後には食事会を開き、楽しく意見交換ができる場を作っている。就業状況としては、シフト希望を募り、偏りがないようシフトを作成し有給休暇等も取りやすい環境を設定している。

園のホームページは常に最新の情報掲載に努め、分かりやすい内容で提供。園内の設備や環境がわかる写真、園の特徴である保育内容（英語・リトミック・造形製作・食育）と食事・安全・衛生、運営方針、保育目標、１日のスケジュール、年間スケジュール、個人情報保護、利用料金表等を案内。動画では登降園、活動、食事等の日々の様子、特徴的な取り組みでの子どもの活き活きとした姿を伝え、入園を検討する保護者が園生活を理解し易いよう工夫。説明会や申し込み日程を随時更新、問い合わせページにリンクして利用希望者への利便性に配慮している。

見学は火・木曜日の１１時・１６時で１日４組までを基本に希望者の意向と園の保育状況を加味して日程調整。申し込みはいつでも受け付け、園長・主任が案内。園のパンフレットに沿って園の概要をはじめ英語・リトミック・造形製作、手作り給食等特徴ある保育内容、年間行事、慣らし保育の必要性等を丁寧に説明、園庭が無い事の不安へは積極的に戸外に出かけ固定遊具を使わず全身を使った遊びを取り入れている事を伝え理解に繋げている。新年度入園希望は１０月１日から予約受付、年４回合同説明会を開催。日々の保育や誕生会等の見学にも対応している。

毎月空き状況を行政に提供、行政のホームページから閲覧できる「みたか子育てねっと」にも情報を掲載。園のパンフレットは行政の窓口に預けて利用相談の参考に活用を依頼、玄関先で希望者に手渡している。認証保育所協会に加盟し園長が施設長会に参加、保育ニーズ、保育課題等様々な情報を交換して園の運営に活用。空きがない場合には近隣の他園を紹介、行政窓口に繋ぐ案内をし、待機希望者は入園願い書を園に提出。在園の保護者を含め発達や食事等の相談に応じ、行政の子育てに関する情報を発信している。

入園願い書を提出した入園希望者に対し、認可保育園の合否が決定する２月初旬を目安に入園候補者を選定、面接で保育時間やアレルギー等を確認の上合否決定。契約時には、契約書と重要事項説明書を読み合わせ、同意の上署名・捺印を頂いている。入園に必要な家庭生活調査票・児童票・園生活の約束事と持ち物リスト・緊急連絡先等の書類を手渡し、３月に入園前健診を受診して書類提出。保護者の意向は家庭生活調査票や児童票に記載を依頼し把握。事前面談時に子どもと保護者の様子を観察、詳細な聞き取り実施、職員が共有し保育に反映させている。

子どもと保護者が安心して園生活を始められるよう慣らし保育を実施。保護者の就労の都合に配慮しつつ子どもの精神的な安定の為に必要性を説明、０歳児は２週間、１歳児以上は７～１０日間程度、飲める・食べられる、眠れる、遊べる等を目安に個別スケジュールで通常保育に繋げている。慣らしの期間に家庭での保育方法や子どもの性格・拘り・癖等を詳細に把握、生活リズムを作り社会復帰する保護者を応援。馴染みのタオル、スキンシップ等で子どもの安心に繋げている。子どもの姿は保護者に丁寧に伝え、安心して子どもを預けられるよう取り組んでいる。

退園児には子どもの写真と職員からのメッセージを纏めた手作りのアルバムと毎月の製作を纏めた作品集をプレゼントしてお別れの会を用意。卒園児には園長手書きの卒園証書とアルバム、作品集を贈呈。親しんだ歌を歌い、卒園児は「ありがとう」の気持ちを言葉に載せ、全職員、卒園する園児が参加し、子どもの成長を皆で喜び新生活にエールを送っている。卒園・退園後に園を訪れる保護者には子育ての相談にも応じる支援体制を整え、日常的に気軽に来園できる良好な関係性が継続されている。

子ども一人ひとりの状況は入園時に提出していただく家庭生活調査票・児童票の中で、出生から入園までの健康状態や予防接種、発達の状況、食事・排泄・睡眠・着脱・清潔・運動等の状況、食品調査やアレルギー、保護者の意向についても情報収集。更に入園前の面談や慣らし保育期間に、保育の中で知っておきたい詳細な子どもの拘りや癖、家庭の様子を把握して職員間で共有、日々の保育実践に活かしている。日々の子どもの様子は各クラス日誌に個別記載、毎月の保育経過記録に繋げている。内科健診や毎月の身体測定結果は健康票に纏め推移を把握している。

全体的な計画に基づき、各クラスが１年を４期に分けた年間指導計画を基に、季節や行事等を考慮し発達に応じた月案を作成。２歳児までは毎月個別指導計画を作成、月案会議では個別のねらい・食育が個別指導計画に反映し実践できたのかを評価・見直し週案に繋げ、ねらいに沿った保育を提供。月案は子どもの成長の様子や課題を整理し２６日までに、週案は毎週金曜日に振り返り翌週分を園長に提出。目標や計画は重要事項説明書で説明、毎月のクラス目標は園だよりに記載、個別指導計画は保護者との対話で伝え、共に豊かな育ちを支える連携を図っている。

クラス毎の保育日誌に活動内容や個別記録、特記事項等を記載して職員が共有。子どもの様子、個別の支援内容は連絡帳や登降園時の保護者との対話で伝達。児童票、保育計画書類、ヒヤリハット、個人面談記録、連絡帳複写等の記録類は事務所の専用棚に保管し勤務時間内は必要に応じて園内で閲覧、保育を担当する全職員が共有している。園長は毎朝２フロアをラウンドして各クラスの子どもや保護者の状況を把握、必要に応じて全職員に周知する役割を担っている。午前中のクラスの様子、保護者からの意見等の情報は午睡中の申し送りで集約、共有している。

新入園児は家庭生活調査票・児童票、個別面談で、進級児は面談や子どもに関する記録を基に、発達の過程や生活環境を十分把握して保育計画や子どもへの接し方に繋いでいる。保育日誌には個別記録を残し、毎日の子どもの生活や遊び、表情、言葉、保護者の意向等を把握、振り返りをして保育に活用。毎月発達チェックを実施、身体的・社会性・言語的発達、微細運動・知的発達の様々な項目を複数職員で確認、達成年月日を記入し保育経過記録を記述し児童票に纏めている。全職員が子どもの状況を申し送りや会議で把握し子どもの育ちを支援している。

目の前の子どもが何を感じてどうしたいのか等言葉で表現しきれない気持ちに心を寄せ、子どもが様々な事柄に関心を持てるよう関わっている。日々の散歩での人と出会い、季節・自然を感じ水たまりに目を輝かせ、栽培用の土を購入、クッキング、毎月の歌を口ずさみ、楽器でのリズム遊び、保育室を飾る毎月の作品作り、季節を意識した年間行事等様々な経験が積み重ねられている。自分で絵本や玩具を選ぶ、２歳児は自分で身支度ができるよう自分のマークを貼付する等置き場所を工夫、主体的な関わりを実現する取り組みが展開されている。

年齢や国籍・文化・習慣の違いについて認め合えるよう働きかけ、異年齢での活動も積極的に取り入れている。特別な配慮が必要な子どもに対しては一人ひとりの個性を大切に保護者と連携、行政の巡回指導を受けながら集団生活で過ごせるよう配慮。発達の過程で生じる心の行き違いによるけんかやかみつき・ひっかき、たたき等に関する園の方針について６月の保護者会で説明、人間関係の土台を作っている事に重点を置いてなるべく見守り、事故や怪我に繋がる前に夫々の子どもの気持ちを尊重しわかりやすい言葉で伝えて解決に導き、保護者に説明している。

子どもの生活の連続性を意識して保護者と連携、登園時には子どもの体調や機嫌、昨夜から今朝までの一寸した変化等時間の許す限り伺い、検温や視診で子どもの体調を見極めている。連絡帳は速やかに目を通し、食事・睡眠・排泄等確認して保育に反映、降園時間を確認、保護者からの伝達事項は壁かけボードに記載し職員間で共有。その日の体温を含め体調によってはお留守番保育を実施。保護者の表情や言動にも目を向け、小さな事でも重要と捉え、個別面談に繋いだり、職員の共有情報としている。職員間の伝達ミスを防ぐ為、記録を残す事を徹底している。

子どもの発達に応じた基本的生活習慣習得に取り組んでいる。食事はたくさん遊んで空腹感を感じ、美味しい匂い等で子どもの五感を刺激、食事前の手洗い、みんな揃って歌や挨拶等給食への意欲を向上。こぼれるのは当たり前の手つかみ食べの期間を十分にとり、スプーン・フォークを正しく持ち自在に扱い意欲を持って自分で食べる事を大切に箸の使用は行っていない。子どもが扱いやすく衣類を整理し着脱・畳み・収納等１歳半頃から自分でやってみたい気持ちを大切に、オムツ外しは家庭とも連携、急がず子どもの興味・関心を見極め個別に取り組んでいる。

園では基本活動を月案で、メリハリは週案で計画、活動の切り替えは絵本等静の時間を提供、家庭での睡眠を加味して園で調整、必要に応じて午前寝等配慮。降園時には子どもの体調や怪我、友だちとの心の行き違い等の心情をはじめ、今日頑張った事、出来た事、嬉しかった事等エピソードを伝え、子どもの初めては保護者に気づきをプレゼント、保護者の楽しい家庭保育に繋げている。保護者からの相談事には担任だけでなく園長や栄養士も対応。保護者の表情、言動から親子関係に注視、積極的に声を掛け子育て等保護者の安心に繋げている。

子どもの日頃の声を大切に、指導案に出来る限り反映、子どもの自主・自発的で積極的な遊びに繋げている。園内では、ブロックやままごと、絵本、人形など子ども自身が手に取れる環境を設定、適宜入れ替え、自由保育に繋げている。子どもの「やりたい」を受け留め、コーナーで遊びを設定、環境を分け、間仕切りなどで空間を区切るなど、一人ひとりの空間を保障し、寛ぎ、集中、遊び込める時間を提供している。散歩先は、日々の会話や発言、季節によってどんぐりなど木の実、バッタ、だんご虫、遊具など興味を示す姿を受け、公園を決定している。

毎日の散歩では、行き交う方々と自然に挨拶、笑顔を贈り、何時も通る住民、駐車場のおじさん、近隣商店等と交流、学校帰りの卒園児など人間関係を楽しんでいる。言葉は大人が見本と捉え意識している。絵本は子どもの手の届く環境で、毎日数冊の読み聞かせ、場面切り替え等に活用、季節歌や行事歌、月の歌、わらべうた、手遊び、紙芝居に加え、散歩中に一緒に歌うなど言葉による保育を提供。毎月の制作は行事や季節をテーマに、シールや葉っぱなどの素材を活用、音楽に合わせたリズム遊びや合奏、リトミックなど、創造や感性等豊かな育みに繋げている。

子どもの豊かな発達には戸外、園外活動が必要と考え、風、太陽、陰、空気、土、砂、水、木、葉、花など様々な自然や季節に触れる散歩を中心に、泥んこ遊びや夏のプール、親子遠足、図書館など多彩に提供している。散歩先では虫たちと戯れ命の大切さを学び、子ども同士の関係性を大切に、自己主張が発揮される１歳児頃からは、椅子とりゲーム等ルールのある遊びを提供、「待とうね」「順番ね」「次貸してね」「玩具は大切にね」等、子どもの気持ちを受け留め、遊びの順番、玩具の譲り合いなどを伝え、自身の心の調整に繋げている。

子どもが興味や関心を示し、積極参加の年間行事に取り組んでいる。年間行事計画により各行事担当が決められている。行事前、絵本や行事歌、紙芝居、ペープサート、制作など子どものワクワク感や期待を膨らませ、謂れや由来も伝え当日を迎えている。こいのぼり制作、手作りおやつを頬張り、子どもの日集会。笹飾りを皆で楽しみ、親子で短冊制作「兄弟がほしい」の願いを込める七夕会、夏祭りごっこはお面やかき氷、魚釣りなど屋台気分を味わい、提燈制作を飾り付け、お御輿、すみれ音頭の盆踊りなど良い想い出に繋がる良質な行事実践を高く評価したい。

子ども同士が協力、創り上げ、達成を実感する行事に取り組んでいる。ペープサートで歯の大切さを伝える虫歯予防集会、七夕は皆で制作、飾り付け、おやつは七夕素麺、親子遠足で一生懸命歩く姿を披露、一緒にお弁当、リスやモルモット等小動物と触れ合い、お友だちや親子でレクリエーションを楽しんだ。クリスマス会はクラス発表、日頃練習したリズムダンスやお遊戯を皆で協力、保護者に成長を披露、大人はド－ナッツ、子どもはゼリーのおやつティーパーティー。鰯ご飯の節分豆まき、雛祭り、お弁当持ち遠足は自然散策など全園児が協力創り上げている。

保護者に園の行事の取り組みを理解頂き、職員や子どもと交流、豊かな育ちを喜び合っている。新しいお友達にドキドキの入園式、保育参観や懇談会、給食試食会、災害想定の引取り訓練、親子遠足は保護者の手作り弁当、ゲームなど触れ合った。クリスマス会は、歌やダンスで成長を共に喜び合い、保護者有志の手品を披露頂いた。敬老の日には祖父母への葉書の準備やハロウィンの仮装準備、夏祭りの準備も協力頂いた。子どもだけの行事は、園便りなどで参加する様子や姿を伝え、年間通しての保護者参加行事に理解を頂き、協力頂いている。

子どもの安心な長時間保育に心がけ、保護者のお迎えを待てる環境を提供。クラス別月案、個人別月案、週案を作成、個別性に配慮した保育がある。登、降園は家庭環境により様々、年月齢、人数に考慮し、絵本やブロックなどのコーナー保育や子ども同士の自由な気持ちを尊重した豊かな時間を提供する合同保育を実施、毎週テーマを設定、絵画や粘土などを取り入れ、メリハリある保育を提供している。必要に応じ補食、夕食の用意もある。スキンシップを多めに提供、マットなどを活用し空間を設定、気分転換で園前でしゃぼん玉等安心な環境を提供している。

園での連携記録は園務日誌で連絡帳や各指導案、成長の記録はあゆみで共有。発達に関する確認は、児童票による発達チェックと経過記録により行われ、園長が定期確認、気になる場合は、担任などと話し合っている。月案会議記録や定期職員会議、法人主導の施設長会議など様々な情報共有で子どもの姿を把握している。年間を通しての制作は、手形蝶々、こいのぼり、ぶどう、おばけ、だるま、敬老の日の葉書制作、サンクスデーは親に感謝の制作等記録に残し、次に繋げている。制作記録における子どもの取り組む姿や振り返りなどにも注目したい。

全体的な計画に基づき、各種指導案を作成実践している。０、１、２歳児の年齢別クラス編成で設定保育を基軸に、季節行事や地域交流などは一斉保育、誕生日会は主役紹介、インタビュー、職員の出し物は毎回パネルシアター等工夫を凝らし、ケーキを楽しみ、カードを贈り、皆で歌を歌って祝福している。散歩などは全園児での縦割り保育を設定、朝、夕は、異年齢による合同、コーナー保育、自由保育を提供。挨拶やお手伝いなどを学び、生活自立を意識しトイレ、食事具、手洗いなども学んでいる。園長は、観察、寄り添った保育を目指している。評価したい。

給食、離乳食献立表は、好き嫌いを意識し２サイクルで栄養士が作成、季節や行事等に配慮、空間全体を楽しめる環境を提供、給食日誌で振り返っている。調理も栄養士が担当、旬や産地にこだわり、味付けは、薄味を基本に食材本来の味を大切に、彩り、香り、食感など五感刺激も忘れず、口腔発達、咀嚼力も意識し、メリハリ良く、優しい給食を提供。年４～５回系列８園の栄養士が集まり、おやつのサンプルを持ち寄り意見交換等会議が行われている。主食は米飯を中心に、麺やパンなどで、切干大根など和食を基本に洋食、中華など多彩に提供している。

子どもの健康的な食に取り組んでいる。食物アレルギー対応は、入園時、保護者との面談で聴き取り、医師の診断書、指示書やガイドラインを確認、対応計画を作成、全職員に周知、徹底している。園の基本的な給食提供は、卵、乳を使用せず、アレルギー対応児には、テーブル、食器を分け、職員を配置し、着替えなどにも注意を払っている。家庭の価値観や拘り、文化、宗教などにも対応する用意がある。栄養士が喫食ラウンドし、職員と情報共有、好き嫌いや食べず嫌い、食への無関心、遊び食べ等保護者と連携、子ども一人一人の食の改善にも取り組んでいる。

子どもが様々な経験を通して食の大切さを学んでいる。年間食育計画を作成「食を営む力の基礎を培う」を目標に取り組んでいる。行事計画表・食育を作成、プランターで茄子やとまと、オクラを栽培、皆で水遣りなど成長を楽しみ、栽培記録を付け、収穫している。ハムのサンドウィッチや玉葱の皮剥き、豆の鞘剥きなどクッキング保育を楽しんでいる。クリスマスには米粉でツリークッキー、靴下クッキー等楽しんでいる。節分には鰯ご飯や七夕の素麺など行事食も楽しんでいる。絵本や絵カードを活用して、食材の名前を学ぶなど食育に取り組んでいる。

園環境は、フローリングの床に一部にジョイント式のクッションマットを使用、指はさみ防止の工夫をした扉や角にはクッション材などを使い、温度・湿度・換気にも配慮して清掃や玩具の消毒を定期的に行い、安全で清潔な環境整備を行っている。保育室内は「危険防止チェック表」で毎日点検を行い、環境だけでなく様々な視点で確認して子どもの安全管理について職員間で常に意識できるようにしている。子ども一人ひとりの身体発達状況や性格などを踏まえ、どのような事故が起こりうるかを予測して環境を整えて安全に活動できるように留意している。

子どもが身の回りの安全や清潔の習慣が身につくよう保育の中で働きかけており、戸外保育の際には目的の公園まで交通ルールを学び、足元や様々な危険に気づき、公園では砂場や滑り台、ブランコなど安全に遊ぶルールを学ぶ機会としている。戸外から帰ると手洗い、洗面所には子どもにもわかりやすい手洗いマニュアルがイラストで掲示され、清潔習慣が身につくよう支援、６月には虫歯予防集会で歯磨きの大切さをペープサートで伝えている。毎月の身体測定で子どもの成長を確認、年２回の健康診断で健康状態や発達をチェックして保護者と共有している。

アレルギーの子どもには医師の診断書の基に保護者と栄養士が連携して給食提供を行っており、薬の預かりは行っておらず家庭で服用できるよう協力をお願いしている。子どもの健康管理や季節の感染症などは保健だよりで発信、SIDS予防のポスター掲示や保護者会での周知を行い環境変化によるストレスとの関連性を伝え、入園時には十分な関わりができる様にしている。午睡時には０歳５分、１歳以上では１０分毎に睡眠チェックを行っている。日々の子どもの健康状態は、朝の体温や連絡事項をクラスのボードに掲示、保育中の体調変化に気を配っている。

保護者の勤務形態や家庭の事情が変化した場合には連絡をいただき、保護者のニーズに合わせた保育サービスを提供している。保育時間は月極めでの契約で変更がある時には変更届に記入していただいているが、急な残業などの場合にはできる限り支援している。園の保育時間は２０：３０迄としているが、現在の利用が１８：３０の為２日前での連絡で、職員体制を整えて対応している。保育時間が長い子どもには、個別に好きな遊びができるよう環境を整えて補食を１８時には提供して子どもが落ち着いて保護者のお迎えが待てるよう支援している。

保護者同士の交流の機会は、６月には１・２歳クラス、１０月は０歳児クラスの保育参観と保護者会を実施、保育参観は子どもの普段の活動を見ていただく為にマジックミラーを活用している。保護者懇談の時間には年月齢での発達を伝え、おやつの試食を行い自己紹介で子どものチャームポイントや最近のブームなど話題を広げ楽しい雰囲気の中で情報交換しなが親睦を深めている。１・２歳の親子遠足ではお弁当を持って公園で小動物に触れたりゲームで楽しみ、クリスマス会では子どもたちが歌や劇を披露し共に成長を喜ぶなど、質の高い取り組みがある。

毎日の連絡帳や登降園時のコミュニケーションで個別の発達や保護者のちょっとした悩みなどにも寄り添い共に考え信頼関係を大切にしている。離乳食開始時期には栄養士が個別相談を行い家庭との連携を図っている。希望者には担任が個別面談を実施しており、子どもの発達や育児について保護者と共通認識を持ち安心な子育てができるよう支援している。毎月の園だよりには、クラスの様子や保育目標を掲載、食育だよりでも子どもの栄養や食事の大切さを伝え、２カ月ごとの保健だよりでは、子どもの健康管理や季節に多い感染症などを伝えている。

日々の戸外保育では、近隣の公園に出かけており地域の方との自然な交流があり職員が率先して挨拶を交わす姿を見て子どもたちも声を掛けられたら挨拶ができる様になってきている。広場や遊具のある公園など目的に合わせて季節の変化なども感じながら、公園では一般の親子や他園の子どもたちとも挨拶を交わし仲良く遊ぶなど人間関係性を身に着けている。２歳児では図書館でカードを作り、一人１冊づつお気に入りの絵本を借り図書館利用のルールやお約束などを学び、たくさんの絵本の中から自分が興味が持てる絵本を選ぶ事を楽しんでいる。

お散歩コースの中には消防署があり、消防署祭りに参加して消火訓練を見学、子ども用の消防服を着て消防士気分を味わい消防車と綱引き、おみやげに折り紙やミニカーをいただくなど楽しい体験と交流がある。周辺の商店街に２歳児がお買い物、ハロウィンの時には子どもたちは仮装をして地域の商店街を練り歩き、近隣の老人ホームにも訪問して高齢者の笑顔を誘っており、次年度はクリスマスの時期にも訪問を計画、期待したい。勤労感謝の日には、パン屋、八百屋、魚屋など日頃園に食材を届けてくれている業者にカードを贈り感謝の気持ちを伝えている。

園の玄関先には、親子で楽しむ育児講座のチラシを掲示して、０～２歳児の地域の未就園児親子対象に参加を呼び掛けている。育児講座は月曜日はリトミック、火曜日は体操教室、園の活動に合わせて２０分程の時間で地域の親子が参加できるようにしており、毎月３世帯ほどの親子の参加をいただいている。育児講座に参加した保護者に、園での活動などを子どもと一緒に体験していただきながら、子育ての相談などにも応じている。現在はボランティアや体験学習など受け入れの実績は無いが、意向があれば受け入れる体制があり、今後の取り組みを見守りたい。

入園前の契約時には、重要事項説明書の中で個人情報保護についての誓約を行い、ホームページやパンフレットなど、写真や映像による掲載の意向を書面で伺い配慮している。行事の際には写真撮影を職員が行い、年に３回程業者に委託して保護者に販売を行っており、保護者参加行事の際には写真や映像の撮影やSNSなどへの配信をしないよう協力をお願いしている。保育実践の中では、子どもの羞恥心に配慮しおむつ交換はコーナーを決め、着替えの際には上下別々にできるよう働きかけ、夏の水遊びは外部の視線を遮るような環境を作って楽しんでいる。

園の玄関には、児童憲章を掲示しすべての子どもが社会の中で大切にされ良い環境の中で育てられることを保護者と共に意識できるようにしている。子どもの呼び名は、呼び捨てや愛称ではなく、基本名前に「くん」「ちゃん」を付けて呼んでいる。子どもの主体性を大切に否定や大きな声でなく子どもの心に届く声掛けができるよう園長が保育の実践に入り周りの職員が気が付いてもらえるように手本となる様な声掛けをしている。子どもへの言葉がけマニュアルを職員会議の中でも話題にして、子どもへの対応や言葉がけなどについて個別に検討を重ねている。

入園時には保護者から家庭生活調査票を記入いただき子どもの家族構成や生活の様子、保護者の子育てに寄せる想いなども記入いただき、入園後には連絡帳や日々のコミュニケーションの中で保護者の気持ちを理解し、食事や生活に関する疑問や悩みなどに寄り添い子どもの健やかな育ちを支援、保護者が子育てを楽しめるような声掛けを行っている。園では育児困難や虐待防止に関する研修を行い職員は理解を深め、園内には虐待防止のポスターなどを掲示、保育や保護者との関わりで虐待を疑う場合には、児童虐待防止法に則った対応ができる体制を整えている。

業務の標準化を目指して園では様々なマニュアルを整備しており、運営規定、お散歩、子どもへの声掛け、調乳、アレルギーなど健康に関する事、個人情報保護、虐待防止、新人育成などがあり職員がいつでも確認できるようにしている。保育室には感染症、痙攣・ひきつけ時の対応、SIDS予防のチェックポイントなどが掲示され、常に確認できるようにしている。保育目標やデイリープログラム表も掲示、常に意識できるようにしている。マニュアル内容は職員会議で話し合い必要な項目は印刷して職員に配布、現状に合った内容となるよう見直しをしている。

新人職員は法人研修の後に園長が一日研修を行い、その後経験があるリーダーと共にOJTで業務や保育に関する内容を学び、解らない事は常に相談できるようにしている。園長はリーダーと新人職員の状況に気を配り、声掛けを多くしてアドバイスを行い、職員会議などで皆でマニュアルの内容を共有する機会を持つことで、常に基本を確認している。職員は年度末には自己チェックリストで保育内容、子育て支援、職員間コミュニケーション、指導力など１００項目の評価を行い、自分の課題と次年度の目標を立て園長面談で育成、取り組みを高く評価したい。

月１回の職員会議では業務内容や行事などの打ち合わせ、事故やヒヤリハット報告などが行われ、栄養会議でもアレルギーや給食に関する内容が検討され、午睡時間にはタイムリーなクラス会議が行われている。園長、栄養士は定期的に行われている系列園全体の会議にも参加し法人全体での共有がされている。保護者からの意見は連絡帳や日々のコミュニケーションの中で把握、行事の後のアンケートで意見や要望を伺い、次年度の内容に反映させており、クリスマス会の登園時間をクラス毎に調整、席の配置や入れ替え制など様々な工夫に繋げている。