東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

保育理念を基に「自主性を育むモンテッソーリ教育を取り入れた保育を行う」ことを園の特色としています。入社時の研修では職員に理念などを周知しており、毎年９月頃に開催される全体研修では、法人代表者から法人の運営方針が直接伝えられます。さらに、園内でも職員会議や面談を通して、法人や園が目指している事を確認したり理解を深めるようにしています。利用者には入園時の重要事項説明書や園だより、ホームページに掲載して伝えています。保護者会や行事の際にも話の中で伝えて理解が深まるように取り組んでいます。

園長や主任など経営層の役割・責任について、組織図や全体的な計画書を用いて職員に説明しています。園長は自らの思いや考えを職員に伝えて園をリードすることも役割としています。保育実践では「出来ないという否定ではなく、どうすればよいかと前向きに考える」ことを園長は大切にしています。方針などの理解に職員間でばらつきがあるため、前向きな考えや姿勢がモンテッソーリの精神に通ずることを伝えて、モンテッソーリ・メソッドの周知と浸透に取り組み、職員が同じ方向性を持つように努めています。

重要な案件については、職員と園長、主任が検討し、法人とも連携しながら決定する手順になっています。園は職員と経営層の会議では自由に発言できる雰囲気作りと、吸い上げた意見を園運営に反映させるよう配慮しています。決定事項は職員会議や臨時職員会議と会議録で職員に周知され、利用者には、掲示や必要に応じて手紙を配布して周知します。また、利用者の代表（3名）、施設運営者代表（2名）などで構成される運営委員会でも説明しています。

行事後にアンケート調査を行い、利用者の意向の把握に努めています。また、定期的に第三者評価を受審しており、第三者評価を受審しない年には保護者アンケートを実施しています。第三者評価や保護者アンケートで収集した意見や要望に対して、園は１２月に集計して年度内にＩＣＴシステムを通して保護者に回答を伝えています。さらに、個人面談や運営委員会を通じて保護者の意見や要望を聞く機会があります。職員の意向の把握は職員アンケートや面談、日頃の相談によって行っています。

地域の福祉に関連した情報を自治体のホームページやメールから収集したり、幼・保・小連絡会議に参加して把握しています。認証保育所施設長研修会や市の情報などから、行政や業界の動向の把握にも努めています。利用者や自治体から把握したニーズや利用者からの問い合わせには内容を検討し、自園で対応できる場合には取り組みを実施しています。また、毎月の経理報告書などで自園の経営状況を確認しています。

２０１９年度から期間５年の長期計画と、期間3年の中期計画を策定しています。長期計画では、働きやすい職場環境の整備による人材の安定化と、海外研修等により視野の広い人材育成、防災などへの見直しを柱にしています。中期計画は職員の質の向上のための具体的行動の体系化など4項目を目標・課題としています。これらの中・長期計画を踏まえた単年度事業計画を策定し、保育理念に沿った職員育成などを事業目標として取り組んでいます。その他、予算計上の際、重点項目には手厚く予算を割り当てています。

法人が行う新人研修や全体研修・園内研修で倫理観や法令遵守、人権尊重などについて職員に周知しています。職員会議で問題提起をして社会的責任について話し合ったり、年度末の振り返りの中で理解を深めています。特に園児への言葉かけなど保育中の接遇や態度などの注意事項を文書にして、職員に順守するよう伝えています。職員のマナーや接遇、態度に対して、利用者の満足度は高く、利用者調査では９割強の利用者が満足と回答していました。

苦情解決制度を入園時に説明するとともに、重要事項説明書に園内の苦情窓口・担当者と外部の相談先（第三者委員）の氏名と電話番号を明記して利用者に周知しています。園は担当などに伝えられた利用者の意向を速やかに上司に報告するよう徹底し、対応については職員を集めて周知しています。チェックリストを用いて、職員は園児に対する言動や意識を自己評価し、面談で園長や主任の求めている観点との違いをすり合わせて虐待防止と早期発見につなげる取り組みをしています。虐待の疑いがある場合、市の虐待防止マニュアルに基づき対応しています。

市や園のホームページで情報を地域社会に情報開示して透明性を高めています。また、第三者評価を積極的に活用して外部の目を通して情報公開しています。さらに、地域の方も参加する子育て講座の実施や高齢者施設との交流など地域交流に取り組んでおり、近隣の小学校とは体育館利用や学校参観などで連携しています。その他、子育て支援ネットワーク、幼・保・小連絡会議に参加して、情報交換と地域連携の体制を整えています。

災害マニュアルなど各種マニュアルを作成し、各クラスに置いています。また毎月、災害や不審者に対応した避難訓練を行うとともに、防災担当の職員が避難訓練計画を策定しています。訓練後は対応を振り返りながら改善策を検討しています。園は駅前ビル内にあるため、管理会社や各階のテナントと避難協力の体制を整備しています。さらに、東京エリアの系列園が合同でマニュアルの見直しを行い、対応の基準の修正や必要な項目を追加したり、エリア内で事業継続計画を策定して大災害に備えています。

ケガや事故には事故対応マニュアルで対応しています。軽微なケガは傷病記録、事故は事故報告書に記載して引き継ぎ時に情報共有しています。大きな事故につながらないようヒヤリハットがあった場合には、「ヒヤリハットメモ」に記録しています。ヒヤリハットメモは保育日誌に書く欄がありますので、引き継ぎ者が閲覧して共有しています。このように園は事故等の記録を活用して、再発防止に努めています。

入所時の面談で個人情報保護についての説明をして、職員から提出される同意書で遵守の確認をしています。ボランティアに対しても誓約書で、個人情報の扱いについて同意を得るようにしています。パソコンの情報管理については、職員にＩＤカードを配布して、ＩＤとパスワードで二重のアクセス権限を設定しており、個人情報が記載された文書は施錠付の書棚で管理されています。また、個人情報保護規程を制定して個人情報の利用目的などを明示しています。その他、園はＩＣＴ化を推進しており、保護者にはＩＣカードを登録して登降園の管理をしています。

園は養成校などへの求人票に、園の特色が分かる写真を挿入して、園のイメージをアピールしています。採用面接時にはチェックリストを活用しています。また、ホームページに正規職員と非正規職員の待遇など採用情報を掲載し、求職者に情報を提供しています。その他、クラス担当の配置は職員の希望を基に、経験や人柄、組み合わせなどを勘案して決められています。

法人は職員研修マニュアルにより研修計画を策定し、全職員を対象とした全体研修、経験年数別研修を実施しています。園は園内研修計画を策定して、行事後に園内研修を行うとともに、自治体主催の研修には積極的に参加しています。なお、職員は９月～１０月に「成長シート」に知識や技術を自己評価し、上司との年３回の面談で今年度の達成目標の振り返りと次年度の目標の確認を行って職員一人ひとりに応じた人材育成をしています。「成長シート」は人事評価にも活用されています。園は考課表や成長シート、面談などを基に人事評価しています。

週４０時間労働の遵守、有給休暇の計画的付与、休憩時間の確保など働きやすい職場環境作りに取り組んでいます。責任を持って取り組むよう行事や仕事を任せ、悩みなどがあれば相談、解決に向けて支援し、最後までやり遂げる経験を重ねることに取り組んでいます。園は経験を通じてやりがいと責任感が高まることを期待しています。職員からは「休みが取りやすくなった」「働き方改革に取り組んだことで一人ひとりのモチベーション向上につながった」など好意的な意見が多く見受けられました。就業状況改善の取り組みが職員の定着につながっています。

入園または見学を希望する保護者は、市や園のホームページまたは、市が作成している「八王子市子育てガイドブック」、来園時に配布されるパンフレットから園の情報を入手することが出来ます。「八王子市子育てガイドブック」は母子手帳配布時や市民課、保健福祉センター、子育てひろば、子ども家庭支援センター、児童館などでも入手でき、住所や電話番号、定員、施設の紹介などが記載されています。来園者にはパンフレットのほか園だより、献立表、年間行事計画、モンテッソーリとわらべうたの説明文なども配布しています。

市のホームページでは所在地、電話、保育時間などを掲載しています。園のホームページでは園の特色、理念、園の概要、一日の流れ、年間行事などが写真も活用して掲載されています。見学者に配布するパンフレット(Ａ３二つ折り)は法人概要、企業理念、保育理念、沿革などとともに、園の所在地、料金表、概要、提供する保育サービスなどが記載された物や、モンテッソーリ教育とは何かと、わらべ歌を取り入れる意味を説明した書面が一式にまとめられています。一昨年パンフレットの内容について見直し、表現を柔らかくして読みやすくしました。

見学は随時受付け、希望に合わせて日時を決め実施しています。対応は主にフロアリーダーが行ない、施設を案内しながら園の理念や目標、特徴などについて説明しています。園の特徴としてはホームページにも掲載していますが、繰り返し活動することで自分の思いどおりに動かすことのできる手と、自己コンロールできる強い心を身につけるためにモンテッソーリ教育を取り入れていること、園庭が無い分１日に２回散歩に行っていることなどを説明しています。また定員に達している時には、系列園などの紹介や今後の流れなどについて説明しています。

入園を希望する保護者には、契約書や重要事項説明書、児童票、個人健康調査票、アレルギーチェックリストなどを渡し記入を依頼しています。入園説明は２月末に個別に対応し、書面の内容を確認するとともに質問を受け付けています。重要事項説明書をもとに施設の概要や園の基本的なルール、保育計画、一日の流れ、食事、個人情報の保護などについて説明し、重要事項説明書の同意欄と、契約書をもって説明に対する同意としています。時間を設けた個人面談は実施しておらず、契約時に書類の確認と、意向や希望の聞き取りをしています。

基本的な保育時間(受け入れ時間)は入園時の聞き取りで決めていますが、入園直後は無理なく徐々に園に慣れていけるように、慣れ保育を実施しています。２週間(少しずつ時間を長くしていき２週目からは希望時間に近づけ最終的に基本保育時間にしています)を目途に実施していますが、園児の様子や保護者の就労状況に合わせて個々に進めています。園児の状況や保護者の希望によっては、慣れ保育期間を短縮又は延長するなどの配慮をしてます。途中入園の０歳児は特に慣らし期間の必要性を感じており、保護者の理解を得られるようにしています。

当園の特性(０～２歳児は４０名定員、３～５歳児は２０名定員)から、３歳児以降は転園する家庭が多く、転園、退園、卒園後の相談や援助をしています。また、市の相談窓口を紹介しています。就学に向けては小学校との連携を進めているところです。資料や情報を入手して保護者へも伝えています。

保育所保育指針改定にあたって、職員研修を実施し理解を深め、「全体的な計画」を作成しています。この「全体的な計画」に沿って養護（生命の保持・情緒の安定）と教育（健康・人間関係・環境・言葉・表現）に分けて作成した「年間指導計画」をもとに、月案を作成しています。保育理念や保育目標を反映し、一人ひとりの成長に合わせた活動を計画しています。具体的な保育活動については週案の中で表現され、日々の園児の様子は日誌に記録しています。

園児一人ひとりに関する情報は、日誌や定期的に「児童票」に記録することで把握しています。個別計画は全園児に対して把握した成長の様子をもとに、一人ひとりに合わせた内容で作成しています。年齢ごとの発達の目安や取り組みの予定、様子は毎月の園だよりやクラスだより、保護者会や行事などで保護者に伝えています。一人ひとりの成長の様子や目安については連絡帳や個人面談でわかりやすく伝え、園児の発達や成長を共に確認しながら、共通理解のもとで子育ての視点を共有しています。

作成した計画や園児の様子については、リーダー会議やクラス会議を月１回程度実施し、園児の活動状況と喫食状況、病気、ケガ、保護者の状況などを伝え合うとともに、その様子に合わせて計画の見直しを行なっています。園児の状況や保護者からの連絡事項は、職員伝達ノートに記載し、出勤時に確認できるよう開いた状態で置いています。このように、必要に応じて園内全体で情報を共有し、一貫した援助ができるようにしており、計画も含めて非常勤職員についても共有できる環境が作られています。

入園時の面談や送迎時の会話、連絡帳などを活用し、一人ひとりの園児の発達や生活状況などについて把握し、日誌や児童票に記録しています。また、全職員が園児の状況を把握し、それぞれの状況に応じた丁寧な関わりが出来るように努めています。室内の環境としては、全クラスでモンテッソーリ教育を取り入れていることから、園児の発達や状況に合わせて教材を準備しており、教具棚に整理し設置されています。このような環境で、園児たちは好きな教材を自発的に選んで学んでいます。

３～５歳児は日常的に一緒に過ごしており、夕方保育の時間には１歳児の部屋に合流しています。食育活動の一つとして、３～５歳児が作ったクッキーを乳児クラスに回って配るなどしているほか、芋ほりに行った際には収穫した芋を届けたり、行事などで異年齢で交流する機会を設け、思いやりや労りの気持ちを育んでいます。異文化に触れる機会としては、３～５歳児クラスには地球儀や図鑑、国旗のパズルなどが設置されています。ワールドカップやオリンピックなどの機会に職員が話をしたり、園児から話題が出た際に、地球儀を持ってきて話をしています。

特別な配慮が必要な園児については、他児と共に成長していけるように支援する体制を整えています。必要に応じて支援センターなど関連機関に直接相談し、協力や連携を得られるようにしています。発達の過程で生じる園児同士のトラブルに対しては、園児の気持ちを汲み取り、適切に対応することを職員間で確認しています。噛みつきなどを未然に防ぐために、会議などで園児の状況を共有し、個々に寄り沿うなど配慮しています。その他、就学への支援として保幼小の会議に参加し、年度末に小学1年生との交流で学校訪問も行っています。

登園時には視診とともに連絡帳の確認と、保護者との会話で前日からの家庭での様子や体調などについて聞き取りをしています。登園時からの園児の様子は「保育日誌」に記録し、「睡眠・排泄・体温・お迎え時間」などの情報は、業務支援アプリで共有しています。降園時にも、園児一人ひとりの園での様子を業務支援アプリで共有しているほか、クラスの様子は掲示して伝えています。夕保育担当職員には「保育日誌」を活用して引継ぎ、申し送りを徹底して担任以外の職員でも確実に保護者に1日の様子を伝えられるようにしています。

基本的な生活習慣については、送迎時の会話や個人面談などを通してその大切さを保護者へ伝え、家庭と連携して身に付くように一人ひとりに合わせて援助しています。排泄については、個々の間隔を把握しトイレに促し、成功したら褒め次への意欲に?げています。着脱については午睡時の着替えを通して、ボタンかけやたたみ方が身に付くようにしているほか、モンテッソーリ教育の教材でも準備しています。箸についても教材として準備し、個々の様子に合わせて順次移行しています。歯ブラシは1歳児から使用し、習慣づけています。

午睡は年齢ごとに一日の生活の中で基本的な入眠時間や長さは決まっていますが、連絡帳や保護者との会話で把握した園児の健康状態、家庭での生活リズムを考慮し、一人ひとりの園児の状況に合わせて入眠時間や長さを調整しています。月齢などによっては午前睡眠出来るような配慮もしています。また、小学校教育への円滑な接続に向け、５歳児は年末から午睡時間を短縮し、スペースを確保して、机上遊びなど静かに過ごせるようにしています。その他、卒園制作などの活動もしています。

園児の発達段階を的確に把握し、園児の状況に合わせた環境設定をしています。興味や関心に合わせた無理のない遊びや活動を提供し、園児自ら遊びたい遊びや教具を選んで遊べるように環境を整えています。また、モンテッソーリ教育を基本とした教材を準備し、定期的見直しを行ないながら、発達段階に沿った活動が出来るように配慮しています。強制的な活動にならない様に、園児にとって魅力的な教具教材の準備を心掛けるとともに、個々の活動を大切にしながらも、異年齢や職員との関わりの中で、園児同士の学びや成長を援助しています。

発語を促す特別な活動はしていませんが、日常の保育の中で月齢に合わせた保育者からの言葉がけや手遊び、絵本などの読み聞かせの中で発語を促し、言葉のやり取りを楽しめるように援助しています。物の名称、動作の名称などを教える際は、正しい日本語で伝えています。その他、３～５歳児は「お集まり」などで、自身の体験などを発表する機会を設けているほか、言葉遊び(しりとりなど)を楽しんでいます。また、モンテッソーリの教材の中に、紙やハサミがあり、年齢によっては自由に制作を楽しめる環境があります。

当園はビルの中」にあり、園庭が無いことから天気の良いときには基本的に戸外に出かけています。１日２回散歩に行き、公園での外遊びや外気浴をしています。近隣には数か所に公園があり、年齢や目的に合わせて出かけています。各公園については危険箇所などを記録した公園リストが作成されており、職員は必要に応じて確認しています。よく行く公園には大きなタコ形の滑り台や砂場、ブランコなどが設置してあるほか、秋にイチョウの葉が色付き、季節ごとに咲く花や木々の色づき、生物の観察、外気温の変化で季節の移り変わりを体感しています。

行事のための保育ではなく、日常生活の発表の場とし、園児たちの興味を活かした行事計画の策定をしています。サマーフェスティバル(お店屋さんごっこ)や運動会、クリスマス会、成長を祝う会(生活発表会)など、成長が感じられるものや季節を感じられるものなどの行事を実施しています。５歳児はサマーキャンプや近隣の子ども科学館（見る、触る、創るの3つの体験を通して、子どもたちの科学に対する心を育てています。子どもたちが実際にもの作りを体験できる工作教室や実験ショーも行われています)にでかけています。

園で行なう行事は日頃の保育活動から行事の内容を考慮し、当日までの過程も大切に実施しています。クラスで同じ目標に向かって協力し合うことで、達成感や満足感を味わえるようにしています。サマーフェスティバルでは、「しおり」やストローで作った「ブレスレット」を幼児クラスが店番、乳児クラスが客になって楽しんでいます。運動会では体操教室で取り組んだパラバルーンを披露しました。成長を祝う会では劇や合奏、園生活の様子をスライドショーで保護者に見てもらい、成長を共に感じられる機会としています。

年度当初に行事予定表を配布し、保護者が参加する活動に関しては年度当初に伝え、見通しを持って予定を立てられるようにしています。運動会や成長を祝う会などの保護者が参加する行事の前には、業務支援アプリを活用して「園だより」として配信し、実施日時とともに練習の様子や準備してほしいものを伝えています。行事後には保護者アンケートで感想や意見を寄せてもらい、改善点については職員間で検討し、次回に活かしています。

入園時に把握した園児の状況や登園時の視診、保護者からの聞き取りによって得た園児のその日の様子を踏まえて、無理のない生活の流れの中で過ごせるように配慮しています。室内は家庭的な雰囲気の中で安心できる環境作りを行っており、モンテッソーリ教育を基本にそれぞれの遊びに集中できるように配慮しています。クラスの集団から離れて一人になりたい園児については、特別な空間はありませんが、廊下や事務所で受け入れ、気分転換してクラスに戻れるように配慮しています。

夕方保育の時間帯では、乳児クラスは１７時から合流しており、それぞれのクラスの人数が少なくなる１８時には全クラス合流し、降園まで一緒に過ごしています。夕方保育では、担任から担当保育士へ確実に申し送りを行ない、在園時間の異なる園児一人ひとりに配慮し、ゆったりと過ごせるような環境を整えています。専用のおもちゃセット(主にかるたや塗り絵、ブロックなど)も準備しています。その他、朝夕は出来る限り担当職員を固定し、園児が安心できるような人的環境を整えています。

給食はクラスごとに落ち着いて食事をとれるように環境を整えています。椅子やテーブル、食具は年齢や発達に合わせて使用し、正しい姿勢や持ち方で食べられるようにしており、３～５歳児はグループで会話を楽しみながら食事をしています。また、毎月「食育の日」を設け、カレーのトッピングをしたり、３～５歳児クラスではバイキングスタイル(セルフで盛り付け)で提供する機会も設けています。自らの適量を知り完食が出来るようにするとともに、いつもとは雰囲気を変えることで、より食事を楽しめるようにしています。

献立は法人系列園共通で2週間サイクルで季節の食材をとり入れ、素材の味を大切に栄養に配慮した給食を提供しています。園児の喫食状況などをもとに、献立作成者等が給食会議を実施し、献立など給食全般の見直しと改善をしています。行事食の際には飾り切りなど盛り付けを工夫し、見た目も楽しく提供しています。食物アレルギーのある園児については、医師の診断書と生活管理指導表をもとに、毎月保護者と給食担任が確認し代替え食を用意しており、専用の色付き食器とトレイで配膳し、誤食の無いように細心の注意をはらって提供しています。

園としての食育計画と年齢ごとの食育年間計画をもとに、正しい食具の使い方や食のマナーなどについて学んだり、調理体験をしています。３～５歳児が系列園の畑に芋ほりに行っており、持ち帰った芋を１歳児が洗って食育活動を行いました。サマーキャンプの時には買い物体験をしています。３～５歳児クラスではカレーライスづくり(２歳児が玉ねぎの皮むき、５歳児が包丁で野菜を切っています。)やクッキーづくりをしています。食べている食品のもとの姿を伝えながら、命の大切さ、尊さと、三大栄養素について話す機会も設けています。

年齢ごとの保健年間計画をもとに、園児が自身の安全や健康について関心が持てるようにしています。園には園庭が無いこともあり積極的に散歩(１日２回)に出かけており、散歩に出かけた際には道路の歩き方や、遊具の使い方などその都度園児に伝え、身のまわりの危険について知らせています。遊具の正しい使い方は職員が手本になり、園児が理解できるよう配慮しています。また、目的に合わせて場所を選んで出かけ、体力をつけ丈夫な体づくりを目指しています。その他、正しいうがいや手洗いの習慣がつくように、日々の保育の中で声かけしています。

嘱託医による年２回(６月、１２月)の定期健康診断を実施し、園児の健康管理に努めています。定期健診のほか、保護者からの相談に応じて保健相談も実施するなど、専門機関と連携した支援をしています。また、近隣の病院一覧を危機管理マニュアル内に綴じ込み、緊急時に迅速に対応出来るようにしています。与薬は基本的に行なっていませんが、医師の指示書に従い慢性疾患などについては行なっています。今後は救急救命講習などを受けた職員が、ＡＥＤの使い方を他の職員に研修を行い、緊急時に備えています。

園児の病気や感染症については入園時に説明しています。園だよりやほけんだよりでも、季節に応じた病気や健康管理の方法などを保護者に伝えています。園内で感染症が発症した時には、速やかに発生状況をクラスや玄関に掲示して注意喚起しています。乳幼児突然死症候群（ＳＩＤＳ)については、入園時に説明しているほか、園では予防のために、午睡チェック(０歳児は５分おき、１～２歳児は１０分、３～５歳児は２０分おき)を全園児実施し、呼吸や体位を業務支援アプリも活用して確認しています。

保護者の就労など、個々の事情については入園時に聞き取り、基本的な保育時間は決めていますが、急な残業などによる時間変更には柔軟に対応するなど、保護者の立場に立った支援ができるように配慮しています。降園時には連絡帳の活用のほか、保護者一人ひとりと必ず言葉を交わし、常にコミュニケーションをとることで園での園児の様子を詳細に伝え、安心して預けてもらえるように配慮しています。園の保育方針をしっかりと説明するとともに、個人面談や毎月保育写真の公開などで保護者と職員が園児の成長を共有し、信頼関係構築に努めています。

運動会や成長を祝う会などの行事の機会に、保護者同士の交流が図れるプログラムを計画しています。懇談会では自己紹介や育児の悩みなど意見交換ができる時間を設け、互いに共感できるようにしています。また、育児講座や栄養士による離乳食講座やモンテッソーリの体験会なども開催し、育児のアドバイスなどを受ける機会を設け、子育ての参考にしてもらえるようにしています。さらに、保護者アンケートや運営委員会でのヒヤリングを通して、懇談会や離乳食、育児講座の内容に反映させることで、保護者や職員が共通認識を得られる取り組みをしています。

近隣公園への積極的な散歩の実施や、消防署員の指導で消火器訓練、小学校との交流などのほか、３～５歳児が高齢者施設と交流する機会を設けています。散歩先では出会った人と職員が率先して挨拶を交わし、交流を図っています。高齢者施設ではお手玉をしたり、踊りや歌を披露しています。また、育児講座には地域の人にも参加を呼びかけています。このように、様々な地域資源の活用や地域の人との交流の機会を確保し、園児が職員以外の人と触れあう機会を設けています。

個人情報の取り扱い(使用目的)については重要事項説明書に明記されており、入園時に保護者へ説明しています。外部とやり取りする必要がある時については、明確な決まりはありませんが、その都度保護者の同意を得る事としています。園児の羞恥心への配慮としては、おむつ交換は決まった場所で行い、他児への配慮もしています。プール遊びは、０～２歳児についてはテラスにたらいを置き実施していますが、３～５歳児についてはシャワーで汗を流しています。着替えの際は上下別々に行なうように伝え、カーテンを引いて外部から見えない様にしています。

法人として全園で取り組んでいる「モンテッソーリ教育」の考え方として、園児のやりたい気持ちを大切にし、見守り援助をしています。一人ひとりの気持ちへの寄り添い、自主性の尊重を大切にすることを職員会議で確認しています。人権については、法人でも人権研修を実施しています。自らを振り返る「チェックシート」などは特に準備していませんが、職員トイレの扉に職員としての心構えを貼付し、常に確認出来るようにしています。

園児と保護者の価値観や生活習慣については、入園時の面談で把握するとともに、日々保護者とコミュニケーションをとることを心掛け、それぞれの価値観を把握し尊重した関わりをしています。虐待防止や育児困難家庭については、外部研修に参加し、職員会議で報告や資料を配布することで全職員で共有し理解を深めています。園では、今年末に「改正児童虐待防止法」について研修する予定にしています。虐待が疑われる場合や気になるケースを発見した時は、「八王子市児童虐待防止マニュアル」に沿い、速やかに市や関係機関と連携する体制を整えています。

法人全園統一の業務マニュアル「チャイルドタイムの一員として仕事をする心構え、調理衛生、食中毒対応、感染症対応、嘔吐下痢症、ＢＣＰ、防災」を事務所や各クラスに整備し、職員は分からないことが起きた場合や手順に疑問が生じたときなどにマニュアルや職員規定を活用し、基本事項を確認しています。入社時にはオリエンテーションを実施し、一通りの基本事項を理解した上で、仕事に臨めるようにしています。業務マニュアルは、エリア会議で随時見直しをしています。