東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

事業所が目指していること（理念・ビジョン、基本方針など）について、「自分を愛し、生きる喜びを共に感じる環境を創る」「子ども達の健全な心身の発達を図る」「子ども達の最善の利益を増進する」「生活環境の整備を行う。地域福祉の拠点づくりを目指す」としています。また、保育目標である「やってみよう！何でも好奇心！」を事業計画に記載しています。副主任会議・職員会議において話し合いを行っています。

経営層は、事業所が目指していること（理念・ビジョン、基本方針など）の実現に向けて、事業計画の中で自らの役割と責任を職員に伝えています。園長の業務内容として、園の経営管理、事務管理、人事管理、保育業務の管理など、園の業務を統括する責務が記載されています。園の運営について、副主任会議にて、園長としての方向性・職務内容の説明を行い、これを職員全体会議でも行うようにし、徐々に伝えていくよう努めています。

重要な案件の検討や決定については、保育実践・保育計画など、テーマごとに構成が変わりますが、全体で会議をし、決定をしています。また、法人の園長会にて報告・相談を行っています。園内で決定した事項については、利用者に対して掲示またはプリント配布でお知らせをしています。

９月の運動会後に、運動会に関するアンケートを取り、今後に活かすよう努めています。アンケートをまとめ、要望に対して園の姿勢や改善などを「アンケートへの返答」として紙にまとめ、保護者に配布しています。また、月１回の職員会議内・３か月に１度の副主任会議で、運営に対する職員の意向を把握・検討しています。地域の情報は、自治会総会に参加し、情報収集しています。

園では、本年度を起点とした３か年の中期計画を策定しています。中期計画では、運営目標、保育目標を明確にしたうえで、安定運営の計画を年度ごとに計画しています。法人本部が沖縄であり、本園ではある程度自由にできるため、組織体制や地域貢献など、具体的な計画が作成されています。単年度の事業計画は、園運営の概要から、保育内容、年間の行事計画、健康管理、職員体制など、年度の計画が記載されています。

園の運営について、係を決めて報告するようにしています。また、定期的に法人に対して状況を報告しており、その際、事業計画の進捗状況も確認しています。園では、今後教育の意味も含めて、副主任会議を意思決定の場にしていきたいと考えており、事業計画作成や進捗状況の管理についてもこの会議を重視していく予定ということです。

全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理（個人の尊厳を含む）などを周知し、理解が深まるように職員会議の際などに、規範・倫理に関する議題がある際に話をしています。また、職員自身の言葉使い・子どもの名前の呼び方を職員会議で議題として挙げ、今後の指針を示しています。虐待の定義、保育園の役割、対応などについて記載している虐待対応マニュアルを園に設置しています。

園では、苦情・要望対応マニュアルを設置しており、基本的な心構えや確認する事項、対応を記載しています。また、利用者に対して入園時に重要事項説明書に第三者委員会の相談先を連絡先、名前とともに明記してあることを説明しています。利用者の意見が言えるように、意見箱を設置しています。利用者調査において、「外部の苦情窓口にも相談できることを伝えられているか」の設問に対して、過半数の利用者が知っていると答えていました。

透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるようホームページを開設して情報公開しています。また、第三者評価を受審して園の情報を広く公開します。地区の自治会や区の園長会に加盟しており、地域の情報交換などを行っています。また、職員の子どもの友達がボランティアに来るなど、小さいながらもボランティアの受け入れにも注力しています。

園では、リスクに対して、危機管理マニュアルを作成しています。危機管理マニュアルには、基本的指揮権を理事長、園長から学年リーダーまでの順位を定め誰が対応するべきかを明記しています。地震、火災など状況を想定した対応がフローチャートにより、わかりやすく記載しています。また、ヒヤリハット・インシデント報告書を記載するようにしており、クラスごとに記録しています。記録はファイルに保管して誰でも見ることができるようにしています。　　

苦情・要望対応マニュアル、虐待対応マニュアル、危機管理対応マニュアル、衛生管理マニュアル、保健・感染症マニュアル、個人情報保護マニュアルが、法人統一のものをファイルしており、職員が見ることができるように書庫に管理されています。個人情報については、個人情報保護マニュアルを作成しており、理事長を中心とした管理体制を規定しています。また、個人情報取扱責任者をその施設の管理職と定め、責任と権限を定めています。また、個人情報の誓約書をボランティア、職員、実習生に取っています。

災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画（ＢＣＰ）を策定しました。事業継続計画では、震度５以上の大規模地震を想定して、基本方針、被害想定、緊急時の体制など、担当を明確にした対策をとっています。園では、さらにリスクマネジメントの面を強化し、取り組みに関して明文化していきたいとしています。

採用については、常勤、非常勤ともに園で決定することができます。今年度はハローワークや人材紹介会社に求められる人材像を決めて求人を行い、就活フェアに参加するなど、積極的な採用活動を行っています。来年度は、全年齢クラスへの配置に向けて、沖縄の法人本部から異動での人材強化を図る計画もあります。

法人では、年に１回全職員が対象で、研修を行っています。また、月１回園長の研修をインターネット電話を活用して行っています。さらに、専門分野別研修（６分野）、マネジメント研修、保育実践研修で構成される東京都の行っているキャリアアップ研修に計画的に参加しています。また、外部の研修会に参加できるよう園内で周知し、送り出せる体制を作っています。

外部研修に職員が参加した場合には、資料をまとめ、研修報告書としてファイルにまとめて、職員全員が回覧するようにし、共有化しています。職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、月一回行う職員会議の中で全体で話し合いを行い、また日頃起きる事象について話をして業務改善に生かすようにしています。

ホームページには、「保育園概要、保育目標、年間行事、求人情報」を掲載しています。また、リーフレットにおいて、「保育の特徴、法人理念、園目標、クラススローガン、年間行事、食事、一日の流れ、アクセス、園概要」等の情報をピックアップして紹介しています。見学対応は平日昼に実施し、主に園長が案内を担当して「お散歩中心の保育」をアピールしています。なお、園名の「かふう」とは沖縄の方言で、「果報（運のよいことや幸せな様子など）」を意味しています。園に関係する全ての人たちの幸せな様子を見れたらと思い名付けたということです。

中央区のホームページ内に、詳細な紹介と園の平面（設計）図を掲載したＰＤＦデータ、および園の公式サイト（外部）へのリンクを含む園の紹介ページが設けられています。また、区と情報を共有して、毎月のタイムリーな「空き情報」を利用希望者に伝えています。

入園が内定した利用者には、「重要事項説明書」と「園のしおり」を配布しています。掲載内容はほぼ同じものですが、「しおり」においてはより具体的に持ち物や健康管理の方法を説明しています。入園時におけるこのような説明内容については、「重要事項説明書」に含まれる「確認内容」のページで署名による同意確認を得ています。また、家庭の状況や子どもの生活状況について書面や面談で把握し、児童票を作成しています。その過程において、保護者のニーズも把握しています。

入園当初の配慮として、１週間を目安に「ならし保育」を行っています。徐々に保育時間を伸ばしていくことで、子どもが園の生活に無理なく馴染めるようにしています。一方、開園３年目で中途退園者の実績が少なく、卒園児も今年初めて出す予定です。そのような中で、区が設置した保幼小の連携会議（年２回）に出席したり、区の教育カリキュラムを確認して歩調を合わせるように努めたりするなどし、退園または卒園後にも同じ考えに基づいた支援が継続して受けられるように配慮しています。

保護者や子どものニーズは入園前の個別面談や入園後の個人面談、保護者会、送迎時の会話等で把握し、重要と思われる内容は児童票および発達経過記録様式に記録しています。特に発達経過記録様式には、０・１歳児は隔月、２歳児以上は四半期毎に文書による記録（まとめ）を作成するとともに、あらかじめ設定された子どもの姿がみられた際はその日付や子どもの月齢を記録しています。また、入園後の子どもの心身や生活の状況について指導計画の反省欄に記録しています。併せて、２歳児クラスまで個別の連絡帳を家庭と毎日取り交わしています。

訪問調査日現在、全体的な計画は未作成であり、保育課程に基づいて年間指導計画以下子どもの年齢に応じて日・週・月・年の単位でカリキュラムを作成しています。保護者に対しては、クラス懇談会や個人面談等の機会を通じてその内容を説明しています。職員間においては、まず職員会議や保育会議において子どもの姿を報告しています。併せて、指導計画や児童票の記録を職員が閲覧出来るようにするとともに、日々の出来事については「生活表」や「クラスの申し送り表」に記録し、回覧と口頭説明とで共有しています。

園内の保育環境について、０歳と１歳は独立した保育室を有しています。２歳から５歳は１フロアーを仕切った作りとなっており、保育者が子どもの様子を見渡すことが出来ます。その中で絵本やままごとのコーナーを作るとともに、適宜目的に応じた環境を構成して子どもが主体的に遊べるようにしています。また、５歳児クラスが定員を満たさない現在、暫定的なことながら異年齢の子どもと一緒に過ごすことも多くあります。

保育の特徴として、沖縄に因んだものとして、琉球太鼓の演奏を鑑賞する機会や沖縄料理が給食の献立に取り入れられていたり、玄関にシーサーが置かれていたりしており、文化の多様性を感じることが出来る環境となっています。４・５歳児クラスでは子どもたち自ら琉球太鼓に親しんでおり、クリスマス会で演奏を披露しています。

就学支援については、今年度初めて５歳児の保育を実践しているところです。職員は区が設置した保幼小の連携会議（年２回）に出席したり、区の教育カリキュラムを確認して歩調を合わせるように努めています。また、特に配慮や支援が必要な子どもを受け入れる場合、専門機関と連携しながら個別の配慮を尽くしています。

登園時に視診・触診・検温とともに保護者に家庭での様子を確認しています。降園時には、園での様子を保護者に伝え、子どもに関する話を広げるようにしています。また、２歳児クラスまでは毎日連絡帳を取り交わし、子どもの様子を２４時間連続してモニタリング出来るようにしています。その結果、子どもの成長や健康状態、その時々の気分に寄り添って保育できるように努めています。各クラスの活動の様子は園内掲示で伝えるとともに、保育の風景を収録したCDを貸し出しています。

法人の理念・運営方針を「自分を愛し生きる喜びを共に感じる環境を創る」、園目標を「やってみよう！何でも好奇心！」と掲げています。また、園のしおりや重要事項説明書において、保育目標を「心も身体も元気な子ども／思いやりのある子ども／のびのびと表現できる子ども／意欲的に遊べる子ども」と記載しています。さらに、リーフレットにおいてクラススローガンを設け、０歳児は「安全」、１歳児は「安心」、２歳児は「安定」、３歳児は「意欲」、４・５歳児は「意欲・自信」などのテーマを段階的に示しています。

デイリープログラムは、「７時３０分からの登園後は自由に遊び、９時３０分より朝の会または午前のおやつ（乳児のみ）、１０時より主活動（室内遊び／外遊び）、１１時～１１時３０分頃に食事開始、１２時頃より午睡、１５時に起床～おやつ、１６時より順次降園開始」となっています。１８時３０分より延長保育時間帯となり、補食を提供するとともに、個々のペースで静かに遊びながら過ごしています。午睡環境はカーテンを閉めて部屋を暗くし、大判のタオルを敷いた簡易ベッドを寝具として使用しています。

保育の特徴を、「喜怒哀楽、自分の気持ちを思う存分出し、保育士に受け止めてもらう事で、安心して過ごせる場所だなと感じてもらえるよう心掛けています。子ども達を見守り、寄り添い、気持ちを知っていこう。たくさん受け止めてもらえた子ども達は、友達や他の人の気持ちも受け止めることが出来ると信じています。（中略）様々な経験を積み、子ども達の世界をどんどん広げていかれるよう、私たちは日々保育にあたっていきたいと思います。」と説明しています。

園周辺の地域を把握し、散歩コースを定めて近隣の公園に遊びに出かけています。主な散歩コースについて、リーフレットで４つの具体的な公園を主な行先として紹介しています。日頃から１日２回散歩に出かけることもあるなど、積極的に取り組んでいます。夏場も、水遊びができる公園等に出かけています。その際、交番の警察官や公共交通機関の運転手の方々とあいさつを交わし、地域の人ともふれあっています。

年間行事として、「こどもの日、遠足（４・５歳児）、七夕会、水遊び、運動会、ハロウィン、クリスマス会、豆まき、ひな祭り会、にじいろ会～おおきくなったね会～（卒園式）」の実施を計画しています。運動会やクリスマス会のプログラムは子どもたちと話し合って決めています。また、お誕生日会を毎月行っています。このうち、「運動会、クリスマス会、にじいろ会～おおきくなったね会～（卒園式）」は保護者が参加する機会としています。保護者が参加する行事では、実施後にアンケート調査を行い、意見を受け止めて次の開催に反映させています。

信頼できる職員といっしょに、自分のペースで過ごせる環境を整えています。遊びを子どもが安心して保育士に甘えられるよう、保育を担当する職員が固定化されるように配慮しています。また、子どもが思い思いの遊びを展開出来るようコーナー遊びを充実させています。なお、当園では１８時３０分以降が延長保育時間帯となっており、異年齢の子どもたちがいっしょに生活しています。合同保育時は１歳児室で過ごしており、絨毯で寝そべることが出来る環境となっています。

食事は「楽しく食べる」を基本に考えています。献立は旬の食材を活かしたメニューで、自園で調理しています。沖縄に法人本部がある保育園らしく、月１・２回は沖縄料理を取り入れています。アレルギーがある子どもには、誤食防止に努めるとともに、個別の状況に合わせた調理を行い、安全な環境で食事を提供しています。なお、子どもが落ち着いて食事することができるよう、食事が終わった子は別の部屋で静かに過ごすようにしています。

「マナー、環境・食器・食具、食べ方、食育活動」等の視点で項目を立てた「年齢別食育計画」を立てています。食育活動として、「そら豆のさや取り」や「タケノコの皮めくり」を通じて１歳児のころから食材に触れる機会を設けるとともに、成長に合わせて「米とぎ、おにぎりづくり、みそづくり」等を体験することを計画しています。３歳児クラスからは「お手伝い活動」も設けています。保護者にはおすすめのレシピを配布しています。

健康診断は、内科検診を年２回（０歳児のみ毎月）、歯科検診を年２回、身体測定を毎月、そして視力検査は３歳児以上を対象に年２回実施しています。測定結果は健康カードにて保護者に知らせています。また、日々の健康管理として、登園時に視診・触診・検温とともに保護者に家庭での様子を確認しています。子どもの体調に変化が見られたり怪我をした際は、同じビル内に園医の開設する診療所があり、迅速な支援を受けられるよう連携しています。その他、全園で避難訓練を毎月行うとともに、幼児クラスでは交通安全教室を年２回実施しています。

保護者とコミュニケーションを図る機会として、日々の登降園時の会話を大切にするとともに、２歳児以下のクラスでは連絡帳の取り交わしをしてきめ細かな情報共有に努めています。また、クラス懇談会と個別面談を各年２回行い、子どもの様子と支援の内容を伝えています。加えて、「運動会、クリスマス会、にじいろ会～おおきくなったね会～（卒園式）」を保護者参加の機会とし、子どもの成長をともに喜んでいます。実施後にはアンケート調査を行って感想や要望を把握しています。

普段の子どもの園生活の様子を保護者が直接見る機会を設けています。各クラスの活動の様子を園内掲示で伝えるとともに、保育の風景を収録したCDを貸し出しています。また、保育参観を行い、３歳児以上のクラスでは保護者が散歩についていって一緒に遊ぶ機会も設けています。

園周辺の地域を把握し、散歩コースを定めて近隣の公園に遊びに出かけています。特に夏場は、水遊びができる公園があり、積極的に出かけています。その際、交番の警察官や公共交通機関の運転手の方々とあいさつを交わしています。また、プロ野球チームのチアリーディングチームが訪問してくれて一緒に踊ったり、琉球太鼓の演奏を鑑賞したりする機会を設けています。その他、近隣園の子どもと交流する機会を設けたり、警察の交通安全指導を受けたり、職員の子どもがボランティアとして運営を補助してくれたりもしています。

法人の個人情報保護規程に基づき、個人情報を適切に管理しています。利用者に対しては、重要事項説明書の中で個人情報の取り扱いについて明示しており、入園時に説明して同意書に署名押印を得ています。その上で、個別のケースに応じて外部に個人情報を提供する必要が生じた際は、その都度保護者に同意確認を得ています。子どもの羞恥心への配慮として、着替えの際に全裸にならないよう指導するとともに、排せつは年齢が上がるにつれ個室トイレを使っています。また、外部からの目線を遮る必要がある際はカーテンを閉めています。

社会的責任として人権を尊重する姿勢を確認するとともに、運営方針において、「個が大切にされる場」を築き「それぞれの個性を見つめ（る）」と子どもの権利を保障する姿勢を示しています。また、利用者の意向を受け止める仕組みとして、苦情解決の仕組みを設け、園内の担当者と外部の相談窓口となる第三者委員を配置しています。虐待や育児困難の事案が生じた場合は、区の子ども家庭支援センターを中心とするネットワークの一員として、関係機関が連携して支援にあたることとしています。

危機管理の視点に即した運営マニュアルに則り、基本事項・手順を決めています。併せて、国・都・区等が作成したガイドラインや就学前の教育カリキュラム、防災や虐待防止などのマニュアルも活用しています。保護者からの意見や要望があった場合、内容に応じて職員会議などで基本事項や手順の見直しについて話し合うこととしています。