東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

園の保育目標が明文化され、園内に掲示されている。職員に対しては入社時に、運営法人（会社）の代表や園長から、園の基本方針や保育目標に関する説明がなされ、周知されている。また、保育園のしおりや重要事項説明書にも基本方針、保育目標が明記されており、入園時の説明会において、保護者に対する説明が行なわれている。

日常的な園運営に関する検討事項については、月に１回の職員会議で、検討が行なわれている。まず、各クラスの会議・打ち合わせを通じて、現場の意見を吸い上げた上で、職員会議で検討している。運営法人としての決定事項については、代表が会議等の場で職員に経緯や内容を説明したり、職員間の連絡ノートを活用して、周知を図っている。

利用者の利害に関わる重要案件が決定されたときは、園内での掲示を励行するとともに、必要に応じ個別の書面を保護者に配付することによって、保護者にもれなく周知するように取り組んでいる。また、緊急時の連絡に関しては、メール配信による連絡を行なうシステムも取り入れている。

行事の際の利用者アンケート、保護者との個人面談、登降園時の会話等を通じて、利用者（保護者）の意見・要望を吸い上げるように取り組んでいる。職員に対する関係では、職員会議等の会議、個人面談等の機会を通じて、代表が主に就業関係に関する職員の意向を把握するように努めている。

運営法人（会社）が外部のコンサルタントと連携して、法人としての経営計画を策定し、予算等の進捗の管理に取り組んでいる。園の運営に関しては、全体的な計画や月間の保育に関する計画を踏まえ、毎月の評価反省を行ない、その結果を次期の計画に反映させるべく取り組んでいる。

職員が福祉サービス従事者として遵守すべき法・規範・倫理については、雇用契約書や就業規則の服務の基本原則、ハラスメント防止に関する規定などに明文化し、職員への周知徹底を図っている。園長は、職員の行動が倫理的に問題があると感じた場合には、個別に注意を喚起するようにしている。

入園の際の苦情解決制度の説明、意見箱の設置などにより、利用者（保護者）の意向の把握に努めている。虐待の防止、早期発見、早期対応については、マニュアルが整備されている。職員は、登園時に子どもの状況を確認する一方、虐待の疑いがあるときは、児童相談所等の関係機関との連携による対応ができるようになっている。また、職員による不適切な言動や虐待を防止すべく、ＮＧワード集を配付し、職員会議や研修などを通じて、職員の意識を高めるように取り組んでいる。

事業所の活動内容については、ホームページのブログを活用して、地域社会に発信している。また、地域の子育て支援のネットワークに参画しており、他の保育所と連携がとれる体制ができている。

事故発生時の対応をフローチャート化したマニュアル等が整備され、リスクマネジメントの体制の整備に取り組んでいる。また、消防署と連携し、消防計画に基づいて月に１回の避難訓練を励行するなど、リスクの発生時に適切な対応ができるように努めている。また、警察への緊急通報システムや安心伝言板を導入するとともに、防犯カメラを設置している。また、警察と連携を取って不審者対応の訓練を実施するなど、防犯対策にも力を注いでいる。

地震等の災害に備えて、防災用品や非常持ち出し袋、救急用品等を準備している。災害を想定した避難訓練の実施の他、避難経路や避難場所の確認や緊急時の連絡先及び迎えに来る保護者等を事前に把握するなど、保護者との連携を図りその対応の共通理解を図っている。今後の課題としては、自然災害や感染症などによるライフラインの停止などを視野に入れた事業所としての事業継続計画（ＢＣＰ）の具体化に向けた取り組みに期待したい。

事業所で管理している情報媒体については、外部への持ち出しを禁止している。また、管理者のパソコンについてパスワードの設定を行なうなどして、情報漏洩の防止に努めている。利用者等の個人情報については、個人情報保護法を踏まえたマニュアルが策定されており、取扱いのルールが職員等の関係者に周知されている。

事業所の理念に賛同できる人材を確保、育成すべく、運営法人（会社）の代表と園長が連携して取り組んでいる。インターネットの求人サイトなどの媒体を積極的に活用して職員を募集し、必要十分な人員体制を構築するに至っている。また、同一の法人（会社）で３つの保育所を運営しているので、必要に応じ、保育所間の異動を行ない、適正な人材構成となるように取り組んでいる。

本園の運営法人は、従前から職員のワーク・ライフ・バランスを重視した就業管理を重視しており、残業を極力減らし、有給休暇がきちんと取得できるように取り組んでいる。ただ、今回の職員による事業評価の結果をみると、法人としての取り組みが、必ずしも多くの職員に理解されているとは言い難いので、この意識のギャップを少なくしていくことが今後の課題といえる。

職員の研修受講を奨励しており、多くの職員が研修の受講による能力向上に取り組んでいる。また、研修を受講した職員は、研修レポートを作成し、職員会議で発表することにより、その成果が事業所で共有できるように努めている。今後は、能力開発に関する個々の職員の意向をより反映させることにより、職員のモチベーション向上を図っていくことが望まれる。

園の情報は、ホームページや保育園のしおりに、園の概要、保育目標、基本方針、保育内容、1日の生活、年間行事、園の特色等、様々な情報が項目ごとに掲載され、利用者が知りたい情報をわかりやすく発信している。ホームページでは、ブログを随時更新し、園の様子をタイムリーに発信している。

区役所等の行政機関に園の情報を提供することにより、区のホームページや都の福祉関係の総合サイトからも、入園希望者が知りたい園に関する情報を入手することができるように取り組んでいる。

利用希望者の見学は随時受け入れており、園長などが丁寧な説明を行なうように取り組んでいる。保護者の見学したい場面（たとえば、食事をしているところ、遊んでいるところ、英語教育を受けているところ）に合わせた時間設定を行なうことにより、利用者のニーズに対応できるようにしている。園のサービス利用が困難な場合など状況に応じて、保育施設の空き状況や関係事業所などの情報提供も行なっている。

入園決定者に対しては、事前に入園説明会を開催しており、そこで重要事項説明書等を活用して、保育園利用の基本的な決まりごとなどの重要事項を具体的に説明している。そして、保護者から承諾書に確認のサインをもらうことにより、サービス内容についての同意を得るようにしている。

入園に際しては、保護者に所定の様式（健康の記録、入園前の生活状況家庭状況書、保育時間確認書、食品チェック表など）に必要事項を記入してもらい、職員は面談の記録を作成している。書類については、個人別に整理して保管することにより、職員が必要に応じて確認できるようになっている。

入園直後の子どもの不安やストレス軽減に配慮し、保護者と話し合いながら、個別の保育時間の設定を行なうように取り組んでいる。また、入園当初は、極力担任保育士が園での子どもの様子を口頭で保護者に伝えたり、連絡帳への記載をきめ細かく行なうなど、保護者の不安、要望等に応えるべく取り組んでいる。

子どもの心身状況や生活状況等については、園で定めた統一様式（健康診断記録、身体測定表、連絡帳など）によって記録し、把握するようにしている。また、保護者参加の園行事の際には、保護者に感想用紙を配布し、感想や意見・要望を書いてもらうことにより、職員間で今後の課題についての認識を共有することができるように取り組んでいる。

全体的な計画を基礎として、子どもの年齢ごとに年間指導計画、月案、週案を作成し、評価・反省を定期的に行ない、次期の保育に活かすように取り組んでいる。０～２歳児までの保育所であるため、全園児について、各自の発達状況を踏まえ、個人別の指導計画を作成している。計画策定に当たっては、年齢発達に応じて子どもたちが日々を楽しく過ごせるように配慮している。

日々の子どもの様子や変化、さらに保護者の状況については、職員間の連絡ノートの活用、会議での周知などを励行することにより、全職員が共有できるように取り組んでいる。また、子どもの家庭での様子については、日々の連絡帳の交換や登降園時の会話を通じ、職員が状況の把握を行なうように努めている。

子どもの姿については、個別指導計画、保育日誌、連絡帳、健康の記録、登降園時の保護者とのコミュニケーション等を通じて、子ども一人ひとりの発達の過程や生活習慣等を把握し、それを考慮した保育が展開できるように取り組んでいる。

本保育所は、保育室がワンフロアの構造になっている。そのため、子ども達は、異年齢の子どもと一緒に遊ぶことが多く、互いに尊重する心が育まれるよう、職員が支援している。

発達の段階で生じる子ども同士のトラブル（けんか、かみつきなど）に対して、職員は、片方の子どもに偏ることがないよう配慮し、双方の子どもの気持ちに寄り添いながら、丁寧に対応するよう取り組んでいる。

職員は、登園時の保護者との会話、連絡帳などを通じて家庭での子どもの様子を確認している。また、健康状態の観察と検温などを漏れなく行なうことにより、子どもの健康状態を把握し、配慮すべき点があれば職員間の連絡ノートに記録し、全職員による情報共有に向けて取り組んでいる。

指導計画を踏まえ、子どもの発達の状態に応じ、食事の摂取量や方法についての配慮を行なったり、排せつや睡眠等、基本的な生活習慣が身につくように、支援を行なっている。日々の午睡については、子どもの状況に応じ、長さや時間帯について個別的な配慮をしている。

職員は、降園時の保護者との会話や連絡帳への記載により、その日の遊びの様子や散歩先での出来事などを具体的に伝えるように取り組んでいる。また、伝言漏れがあった場合には、その日のうちに電話連絡を入れるようにしている。

保育室内の環境を整え、子どもが自分で遊具を選べるように工夫している。また、２歳児クラスについては、絵本のコーナー、ままごとのコーナーなどを作って、自分で自由に遊べるように環境を整えている。

生活に必要な簡単な言葉や挨拶について、年齢に応じた方法で指導している。また、絵本の読み聞かせについては、子どもの年齢を考慮した上で題材を選び、言葉の持つ楽しさや想像力を育むべく取り組んでいる。英語の歌もプログラムに取り入れており、子どもたちは歌ったり踊ったりして楽しんでいる。

保育園の周辺には公園が多く、季節を感じられる環境が整っており、散歩に出かけることが多い。公園では、ボール遊びなどで身体を動かすとともに、四季折々の草花や昆虫を見たり、触れたりして、季節を十分に感じられるように、職員が支援している。

毎月の行事等については、職員間で意見やアイデアを話し合いながら、子どもが興味を持って取り組めるように工夫している。大きな行事については、職員のリーダーシップを発揮できるように役割分担を決め、職員の能力開発、意識の共有化にもつなげるべく取り組んでいる。

それぞれ「ねらい」をもって、四季折々の行事等（七夕会、夕涼み会、運動会、お楽しみ会など）に計画的に取り組んでいる。行事の準備に際しては、各クラスの発達状況に応じた制作活動等を取り入れ、子ども達が達成感を感じることができるような取組みをしている。

行事については、年度当初に年間の予定表を配布することにより、内容を詳しく伝え、保護者の理解と協力を得た上で取り組んでいる。また、保護者参加の行事に際しては、感想を書いてもらう用紙を保護者に配布し、保護者の感想・意見を吸い上げ、翌年の企画に反映させるべく取り組んでいる。

保育時間が長い子どもが安全で安心して過ごせるように、保護者が迎えにくるまで、好きな玩具で遊び、自由に過ごすことができるよう、配慮している。保育士の配置が手薄にならないように留意し、好きなコーナーで年齢枠にとらわれず、子ども同士が関わり合って過ごすことができるような環境作りに取り組んでいる。

朝・夕の時間帯については、子どもの人数によって、部屋のスペースを移動し、子ども達が年齢にとらわれず関わり合って自由に遊べるように支援している。また、連絡ノートの活用などにより、職員間の申し送りを励行し、円滑に保育ができるように取り組んでいる。

子どもの年齢に応じて時間差を設けて食事の時間を設定し、子どもの情緒の安定を図り、落ち着いて食事ができるように取り組んでいる。清潔な室内環境の下、保育士が子ども一人ひとりの状況に応じた対応に取り組んでいる。

食物アレルギーのある子どもについては、入園時に確認を行ない、アレルギーに応じた除去食の提供を行なっている。誤食によるトラブルを防止するため、マニュアルを作成し、手順を統一している。

食育計画を策定し、食についての関心が高まるように取り組んでいる。２歳児については、おやつ作りを行なったり、プランターでのミニトマトの栽培などを通じ、食への関心が高まるよう、取り組んでいる。

毎月の身体測定や健康診断、歯科検診を通じて、子ども達が自らの健康や成長に対して関心を持つように支援している。感染症の予防対策としては、手洗い、うがいの指導・支援を励行している。また、散歩先の公園などの危険な場所や固定遊具などについて、正しい使用方法や約束事を確認し、安全面への関心を高めていくように指導している。

近隣の嘱託医と連携して、全ての子どもの健康管理を行なっている。特に園内での医療的ケアが必要な子どもはいないが、定期的に通院し経過観察中の子どもについては、受診後に状況を聞き取っている。

職員は、登園時に子どもの健康状態を確認するとともに、発熱等の変化があった場合は、保護者に連絡している、午睡時には午睡チェック表を活用して、０歳児は５分間隔、１．２歳児は１０分間隔で、睡眠時の姿勢や顔色、呼吸の状態などを細かく観察するブレスチェックを励行し、乳幼児突然死症候群の予防に取り組んでいる。また、保健だよりを定期的に発行し、時季に応じた保健面での留意事項を保護者に周知している。ただ、保健だよりについては、文字が小さくて読みづらいので、この点の改善が望まれる。

交通事情や急な残業など、保護者の突発的な事情に応じて保育時間を延長するなど、柔軟な対応を行なうことにより、保護者の支援に取り組んでいる。また、保育参観・参加を交えた保護者会の機会を利用して、保護者同士の交流が図れるように支援している。

登降園時の保護者と職員との会話には、許す限り十分な時間を割き、子どもの家庭での様子や保育園での様子について情報交換を行なうよう努めている。また、連絡帳の記載内容を職員と保護者が共有することにより、相互の信頼関係を構築できるように取り組んでいる。

個人面談や連絡帳、登降園時の会話などを通じて、職員が保護者の悩みや疑問の相談を受けた場合には、真摯に対応するように取り組んでいる。ただ、経験の浅い職員が少なくないため、自信を持って相談に応じられるよう、園内研修等により、職員の対応能力向上に取り組んでいくことが望まれる。

地域の消防署を見学したり、児童館に立ち寄って地域の人と一緒に遊ぶなど、地域の人々と触れ合う取り組みを行なっている。また、日々の散歩に際しても、地域の人と挨拶を交わしたり、会話をするなど、楽しく触れ合っている。

夕涼み会、運動会、お楽しみ会などの主要な園行事については、保護者以外の地域の方の参加も可能となっており、子ども達に職員以外の人と交流できる機会が確保されている。今後は、より積極的に、園の方から地域の行事などに参加していくという方策につき検討していくことが望まれる。

利用者の個人情報が記載されている書類等に関しては、園外への持ち出しを禁止し、鍵付きのキャビネット等で保管している。また、子どもに関する個人情報の取扱いに（写真の公表の可否など）関しては、重要事項説明書を用いて入園時に保護者に説明を行なったうえで、同意書を取っている。

虐待防止や育児困難家庭への支援に向け、職員は研修や講演会に参加しており、その成果を会議・打ち合わせやレポートを通じて、職員間で共有できるように取り組んでいる。また、保育室にはビデオカメラが設置されており、職員による不適切な子どもへの対応を把握できる環境になっている。

本保育所は、開所から１５年経過しており、これまでの経験を踏まえ、安全衛生管理、防災、虐待防止、食物アレルギー対応など、各種の領域に関わるマニュアル類が整備されている。ただ、それらの中には、一部実態に合わなくなり、見直しが必要なものもあるので、年度末での見直しが予定されている。

行事の際の保護者アンケートや職員のクラスでの打ち合わせ・全体会議などを通じて、利用者や職員の意向を吸い上げた上で、代表と園長が話し合って、業務水準の見直しに取り組んでいる。重要な見直しに関しては、原則として、年度末に決定するようにしている。