東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

　園の保育理念、保育方針、保育目標はパンフレットや「入園のしおり（重要事項説明書）」に掲載し、園の玄関にも文書掲示しています。新入職員には、「入園のしおり」を配付し園長や本部の運営責任者から説明しています。在職の職員は、年度初めの系列園全園の合同職員会議の際に、総園長の講話を受けて再確認します。保護者には、入園説明会の際に「入園のしおり（重要事項説明書）」で説明しています。入園後も保護者会で、園長の説明を受けて、保護者の理解を深めています。見学者には、園案内の際にパンフレットで説明しています。

　園の経営層は園長と本部の運営責任者です。それぞれの役割と責任は職務分担表に示されています。年度初めの職員会議で職務分担表を職員に配付し、経営層の責務について説明しています。園内の保育業務の管理と職員の指導監督は園長が担っています。系列園の施設長会議には園長が出席していますが、区の認証保育所事務連絡会には、園長の代行として本部の運営責任者が出席しています。園内の保育業務や園で購入したい教材については、園長が本部の運営責任者に報告し購入しています。

　高額な物品の購入や施設の修理修繕、園規則の改訂など、系列園全園の経営にかかわる案件は、法人の施設長会議で検討し、最終決定は総園長と本部の運営責任者が行っています。当園では子どもたちのタオルハンガーを購入しましたが、本部の運営責任者の承認を受けて購入しました。園の保育業務については、園会議で検討し、施設長の承認をもって決定します。決定事項と決定の経緯は会議録に記録し、後で職員全員に回覧しています。重要な案件については口頭で説明しています。保護者には園だよりや文書掲示で伝えています。

　親子遠足やどんぐり祭り、運動会など保護者参加の園行事や保護者会のときには、保護者にアンケートを行い、保護者の保育ニーズを聞いています。また職員には今年度から園運営に関する改善提案を聞いています。地域や国の保育業界の動向は、区の認証保育所事務連絡会や都の認証保育所協会のメールマガジンで把握しています。地域にはまだ待機児童が多数いること、そのため新規開設園があることなどの情報や、幼児教育・保育の無償化や職員の働き方改革、処遇改善策などの情報を得ています。

　2019年から2021年までの園の3か年中期計画は、本部と検討して策定しています。「保育内容」「職員の育成、待遇」「環境整備」「地域交流」など、今後3年間で取り組む計画を立てています。単年度の計画は中期計画を受けて、年間事業計画書として策定しています。「保育内容の充実と質の向上」「子どもや保護者への支援」「地域の子育て支援」「次世代を担うスタッフの育成」など、重点項目を挙げています。保育の計画としては年間指導計画、行事計画、研修計画、食育計画などを作成しています。予算編成は本部で行っています。

　園行事や避難訓練、生き物・植物の飼育と管理、ホームページの更新、お泊まり保育など、計画は活動によって職員の係分担を決めています。そして計画の推進にあたっては計画書でねらいや目標を定め、実行までの準備作業を時系列にして示しています。実行の後には評価と反省をして、次回につなげています。指導計画も同様に、0～2歳児については月案に沿って毎月見直しをしていますし、3～5歳児については年間指導計画を年4期に分け、期ごとに見直し、年度の終わりに自己評価を行い次年度につなげています。

　保育に従事する者としての心構えは「職員マニュアル」で示しています。マニュアルの中には「児童憲章」やプライバシーポリシーを入れて、子どもの人権尊重と個人情報保護を基本にして作成しています。そして特に子どもの心を傷つける言葉を使わないように注意を促しています。必要に応じて自己評価チェックリストで適正に業務を行っているか、自らを振り返っています。虐待の疑いのある子どもを発見した場合は、「虐待マニュアル」に従って、区の子ども家庭支援センターと連携する仕組みがあります。玄関にも虐待対応の文書を掲示しています。

　園の苦情解決制度は「入園のしおり」に明記し、入園時に保護者に説明しています。玄関には、苦情解決の窓口についての文書を掲示し、保護者が苦情や要望を投函する「ご意見BOX」を設置しています。直接、園に苦情を表明しにくい保護者には、区の担当部課を紹介しています。最近は「ご意見BOX」を通しての苦情はありませんが、連絡帳や直接口頭で、要望を表明される方が増えています。保育室の仕切りに使用している柵などについて意見や要望が出ており、園では検討中です。

　地域の在宅で子育て中の親子を対象に、子育て支援事業を行っています。主な活動は子育て相談や青空保育です。青空保育のときは、公園にいる親子に声をかけて絵本をいっしょに見たり、手遊びしたりしています。地域のネットワークについては、区の認証保育所地区支部会に参加し、認証保育所が抱える共通課題の解決に向けて連携しています。また小学校就学については区の幼保小連絡会に参画しています。5歳児が小学校に見学に行っています。ボランティアについては、今年度、中学生と高校生の職場体験を受け入れています。

　子どもの安全を脅かすリスクについては、子どものけがなど、日常保育の中で起きる事故を最優先に、感染症、災害（火災・震災・台風・水害）、不審者侵入とリスクの危険に順序をつけて対策を立てています。子どものけがなどの事故については、「ヒヤリハット」で身の回りの危険を発見し記録しています。台風による河川の氾濫には、隣接する中学校に避難する計画を立てています。毎月避難訓練を行い、消防署には避難訓練の様子を見てもらい指導を受けています。また、警察署による交通安全指導は他園で実施されているところに参加して受けています。

　深刻な災害が発生して一時的に事業を中止せざるを得ない状況でも、事業を継続するための計画（BCP）は、本部と相談して今年度作成しました。しかしまだ職員や保護者に説明していないので、できるだけ早いうちに説明する予定です。「入園のしおり」には、大災害発生時に子どもたちをどのようにして守るのか、その対応方法を掲載しています。入園説明会の際に保護者に説明しています。園では年1回、災害発生を想定して子どもの引き渡し訓練を行っています。法人は系列園を5園経営していますので、系列園の事故事例を参考にしています。

　園では個人情報保護方針を定め、個人情報の不適切な扱いをしないよう規定しています。職員には必要に応じて園内研修を行い周知を図っています。園には児童票やマニュアル、指導計画、おたより、各種報告書などありますが、必要な職員には必要に応じて活用できるようにしています。ただし園外への持ち出しは禁じています。園のパソコンにはパスワードを設定し部外者には使えないようにしています。子どもの名前や写真は園内掲示やお便り、ポスター、ホームページなどで使用していますが、入園時に保護者に説明し同意書を得ています。

　求人活動はハローワークに求人票を出すとともに、園のホームページにも職員の募集要項を詳しく掲載しています。また民間業者の就職フェアに参加し、本部がどんぐり保育園専用ブースを設け、就活でブースを訪れる方と面接して園の説明をします。応募者から園見学の希望があれば、園見学の際に業務内容を説明します。採用した職員には、ベテラン職員が付いてOJT（職場内教育）を行い、働きがいが感じられるよう配慮しながら指導をしています。当園でじっくり育てていく方針ですので、当面は系列園への異動は考えていません。

　人事は法人本部の専管事項です。園の職務分掌表は国が推進するキャリアパス制度に従って、本部が作成しています。それによりキャリアアップ研修を受講することで職員の処遇改善につなげています。職員にはキャリアパス表を配付し、キャリアアップ研修と関連させて人材育成に活用しています。また本部では「チャレンジキャリアアップ表」を作成し、職員個別の育成に生かしています。職員は園長と面談して、今年度の成長目標を設定します。それにより外部研修は自分に必要な研修を受講するよう指導しています。

　職員の人事考課は自己評価チェックリストを基に行っています。職員が自己評価を行った後に、園長が評価結果を査定します。評価結果は昇給、昇格などの処遇につなげています。勤務シフト表は園長が作成しています。事前に有給休暇の取得の希望を聞いています。職員の健康は自己管理が原則ですが、職員同士でチェックをするなど協力体制を取っています。仕事のうえでの迷いや悩みには園長が相談にのり、迷いや悩みを解消しています。10年勤続した職員には功績をたたえ、金一封と記念品を授与しています。

　園利用希望者には、ホームページ、パンフレットなどを通じて園の情報を提供しています。ホームページには理念である「骨までおひさま青空保育」を紹介しています。保育内容のページには園の保育理念、保育目標、どんぐり教室の曜日ごとの取り組み、子育て支援の「青空保育」などを紹介し、ほかにも園での保育の取り組みがわかるぺージを作成しています。入園後にどのような園生活を過ごすのかをイメージしやすい基本情報をわかりやすく説明しており、利用者が園を選択する手立ての一つとなっています。

　総園長、副園長が区内の認証保育所連絡会に出席して園の情報を交換し合っています。また、園の空き情報は区に報告しています。園の情報は区のホームページからも見られるように当園のホームページにリンクしています。特に園の活動状況は、ホームページの「どんぐりっこ」の項目から見ることができます。当園の保育の様子は写真にコメントを添えて紹介しています。できるだけ詳しく伝えるように折に触れて情報を更新しています。

　園見学は、毎月主に水曜日に決めて行っています。園見学希望者には、子どもの活動（リズム遊び、外遊びなど）の様子を見てもらえるように、10時～11時をお勧めしていますが、見学希望者の希望の日時に合わせて個別の対応もしています。見学時には園のパンフレットに沿って、園の理念、目標、園で行っている年間行事や、園独自の保育活動を説明しています。見学者からの質問には、そのつど説明して、入園後も保護者が安心して子どもを預けられるように対応しています。

　利用者との契約の際には、「入園のしおり」（重要事項説明書）の内容を説明し、保護者に了承してもらったうえで契約を交わすことにしています。年度初めの入園では、3月土曜日に合同で入園説明会を行い、「入園のしおり」を使い、園の保育内容や取り組みを説明します。入園時は重要事項説明書の内容の同意とともに、子どもの写真や名前などの個人情報の使用についても同意書をとっています。重要事項の説明については確認書でチェックして伝達漏れがないように努め、入園後に保護者が混乱しないように配慮しています。

　園では、子どもが保護者と離れ、新しい環境で過ごすことで感じるストレスを軽減するように、約2週間をめどに慣れ保育を行っています。初めは短時間の保育から始め、徐々に保育時間を延ばしていきます。子どもの年齢や集団生活の経験、保護者の就労状況を考慮して、期間などは個別に配慮しています。例えば、4月初めから保護者が就労する場合は、3月に事前に慣れ保育として受け入れるなど、個別の対応も実施しています。入園後も保護者と連絡を取り合い、子どもも保護者も無理なく園生活に慣れるように心がけています。

　子どもが転園する場合は、転園先から子どもの情報提供を求められた場合は、あらかじめ保護者の承諾を得て情報提供しています。転園する子どもにはお別れ会を開いて、メッセージと写真を渡しています。卒園児については、運動会のときに卒園児だけの競技プログラムを設けています。また、幼稚園に転園した子どもが夏休みなど長期期間の休みの時には、園の定員に余裕がある場合は一時保育として受け入れることを伝えるなど支援の継続に努めています。

　児童票や入園時健康診断票、入園までの生活状況などの情報は、個別にファイルにまとめられています。入園してからの子どもの発達の記録も、個別ファイルに入れています。0～2歳児は毎月の発達経過記録と、個人発達の記録、3～5歳児については期ごとの保育経過記録、個人別発達記録があります。そしてその記録から次年度への参考となる事項、特記事項などを確認して、職員間で情報共有し、保育に取り組んでいます。さらに、身長体重測定や健康診断の記録から職員は子どもたちの成長や健康状態も確認しています。

　保育理念に沿った全体的な計画のもと、年間指導計画を各年齢ごとに作成しています。月案は0～2歳児については個別に、3～5歳児については年間4期に分けて作成しています。配慮の必要な子どもには個別の月案を作成しています。園だよりには年齢ごとの園目標月や活動予定を保護者に知らせています。計画作成時は担任職員が個々の成長を見ながら作成し、園長と主任が確認し園会議で説明して共有しています。日案の変更は日誌で実際の活動を書いて補完しています。

　子どもの園での生活、特徴、健康、発達状況などは、児童票や個人別発達記録、健康の記録、個人面談などの記録をしています。園は縦割り保育で一つのフロアで子どもたちが活動しているので、子どもの情報は全職員間で共有しています。また、日々の子どもの様子は、連絡ノートや登降園時の保護者との会話から把握しています。さらに、保護者からの連絡事項は、園日誌と連動した職員連絡簿に記載しています。子ども個別の連絡事項（園での貸し出し物など）は、園児連絡簿に記載し保護者に確実に伝えられるように努めています。

　職員は入園時に提出されるの生活状況表から、食事、発育の経過、清潔、排泄、睡眠、好きな遊び、着脱の状況など入園前の家庭での状況や子どもの心身の発達を把握しています。そして、入園後は朝、夕の保護者とのコミュニケーションや連絡帳、個人面談などで、家庭や子どもの状況、子どもの心身の発達の様子を共有しています。園では個々の子どもの様子を個別記録や発達の推移を発達記録などに記録し、個別の指導計画を作成しています。これらの情報をもとに、子どもが楽しく園生活を過ごせるように家庭と連携した支援に努めています。

　縦割り保育を導入し、1～5歳児は遊び、食事などともに過ごす時間が多く設けられています。そして、0歳児もその活動の様子を見たり、音楽や歌を体感しています。このようなかかわりの中で、年上の子どもの行っていることをやってみたいとまねをしたり、年下の子どもを可愛がったりするなど、互いに相手を認めて優しい気持ちや思いやりの心がはぐくまれています。英語教室では、英語を話したり、歌に親しんだり、ハロウィンやクリスマスの行事では異文化に触れるなどして、さまざまな違いを自然に受け止めています。

　0～2歳児のかみつき、ひっかきなどのトラブルは成長発達のうえで起こりうることを保護者に説明しています。職員は子どもの様子から察して、かみつき、ひっかきを未然に防ぐために、言葉をかけたり、おもちゃを見せたりするなどして、気分を変えるように配慮しています。また、自分の気持ちをある程度伝えられる年齢の子どもたちには、できるだけ当人同士で解決できるように危険がない限り見守っています。職員は必要に応じて、「～ちゃんは、○○だと思ったんだって」など言葉の橋渡しをして、お互いの気持ちを理解できるように支援しています。

　登園時は保護者を気持ち良く受け入れ、子どもの視診を行い家庭での様子や健康状態を聴き取ります。前日具合が悪かった子どもや休んでいた子ども、けがをした子どもの様子は特にていねいに聞いています。さらに子どもだけでなく保護者の様子にも気を配って声をかけています。保護者からの伝言は職員連絡簿に記入し、けがの報告や、職員全体への連絡事項なども記載しています。遅番や翌日の早番はこれらを確認して子どもの情報を園全体で共有し、保護者への伝達漏れのないようにするなど信頼関係を築けるように努めています。

　「食事、排せつは楽しく」を指針に、トイレットトレーニングや離乳食の進め方は、保護者の意向や子どもの状態を見ながら行っています。連絡帳や朝夕の会話で保護者と確認しながら進めています。トイレ内にトレーニングの個別の進行状況が掲示され、職員にも周知されています。食事のマナーは、職員が子どもといっしょに食事をとりながら、食具の持ち方や姿勢などを子どもに伝えています。手洗いは、職員が声をかけ自然に子どもに身に付くよう工夫しています。基本的生活習慣の獲得は家庭と連携を取りながら進め、お便りなどを通じて伝えています。

　休息や午睡は子どもの様子やその日の生活リズムに合わせて行っています。0歳児は午前寝が必要な子どもには必要に応じて午睡を実施しています。日中は戸外に出たり十分に体を動かし、食事をした後は絵本や紙芝居を見て落ち着いてから入眠できるようにしています。そして、室内の換気や室温・湿度などを配慮して快適な睡眠がとれるように心がけています。SIDS(乳幼児突然死症候群）の予防対策として午睡中の寝相、呼吸のチェックを行っています。5歳児は徐々に午睡の日数や時間を減らし就学に向けてリズムを作れるようにしています。

　園では年齢に見合った手指の感覚機能をはぐくむおもちゃやルールのあるゲーム、全身を使う遊具、ごっこ遊びが楽しめる遊具など、さまざまなおもちゃや遊具を用意しています。保育室にはおもちゃを数多く出しておくスペースがないため、透明のボックスなどにおもちゃを入れて子どもたちに見えるようにして、「あれは何だろう、触ってみたい、遊んでみたい」と子ども自ら興味を持って選択したものを職員が取り出して提供しています。子どもの「～がしたい」「～で遊びたい」という自主性や好奇心をはぐくんでいます。

　0歳児の喃語やまだ言葉で表現できないことを子どもの表情や指さしなどから、「～なのね」などと言葉にして返しています。園では職員が子どもの手本となるように感情表現をすることを大切にしています。そして子どもの気持ちを代弁し、子どもが自分の気持ちを言葉で表現できるように支援をしています。5歳児からはお当番活動で人前で挨拶をする機会があります。また、お誕生日会では子ども同士のインタビューがあり、好きなことを聞いたり、答えたりして、日常とは違うコミュニケーションの取り方を体験する機会を作っています。

　天気が良ければ散歩や目的を持って公園に出かけています。公園では固定遊具で遊んだり、走ったり、鬼ごっこをしたり、自然物を拾ってきて作品にしたりしています。職員は散歩をしながら、自然の変化や草花に目を向けるように子どもたちに声をかけています。また散歩に出かける時には約束事を確認したり、交通マナーを守ったり、順番を守ったりすることで、ルールの大切さを伝えています。園庭には、ぶどう、みかん、柿などの木があり、給食で食べることで季節を感じるようにしています。このように「骨までおひさま保育」を実践しています。

　子どもが日常の活動の中で楽しいと感じたり、興味を持って取り組んでいることを職員は見逃さないようにしています。例えばクリスマス会では、日ごろ歌っている歌やごっこ遊びなどを取り入れています。また子どもたちの好きな絵本から劇遊びに発展させて、配役などは子どもの意見を取り入れています。子どもたちが興味・関心を持って物事に取り組み、「おもしろそう」「不思議だな」などと、心を動かして、「○○してみたい」「○○できるようになりたい」と、子どもたちの意欲がさらに高められるように職員は声がけをしています。

　子どもたちが興味を持って取り組む行事に、お店屋さんごっこや夏まつり、お泊まり保育などがあります。お店屋さんごっこでは、2歳児からお店を出し、0歳児も買い物に参加して、売り買いのやり取りをして楽しんでいます。近くの商店に出かけて商品の売り方などの見学をして、商品や買い物に必要なお金を協力して作ることを経験しました。食育のクッキングでは、年齢ごとにできることを協力して行い、お菓子をいっしょに作る楽しみも経験しています。友だちと力を合わせることで、お互いを思いやる気持ちや努力する力をはぐくんでいます。

　園のしおりには、主な行事の予定表があります。園児参加と保護者参加の行事を分けて記載し、年度初めの懇談会で内容について説明をしています。園だよりには、その月の行事予定を掲載し、保護者の期待感を高められるよう工夫しています。運動会では、親子競技や保護者の競技、卒園児の競技も行っています。行事後には保護者アンケートを行い、保護者の意見は次回に生かすようにしています。保護者が参加しない行事は子どもたちの写真を掲示をするなどして保護者に伝えています。

　保育時間の長い子どもが楽しく過ごせるように、日中は戸外で十分に身体を動かし、室内でもたくさん遊んでいます。そしてお腹を空かせて食事をとった後はゆっくり休むなど、メリハリをつけたバランスの良い活動を心がけています。自分の好きな遊びに集中できるように小さなコーナーを作ったり、手遊びや歌をうたい気分転換を図ったりして、子どもが一日を楽しく過ごせるように工夫しています。また、子どもが親と離れているストレスをできるだけ軽減するために、職員が子どものそばで横になったり甘えられるようにスキンシップを取ったりしています。

　長時間の保育のときは、遊具の工夫や職員とのかかわり方に配慮しています。子どもたちは友だちと見立て遊びをしたり、ゲームをしたりして過ごしています。いつもは譲り合うおもちゃも一人で使うことができ、自分だけの遊びに集中することもできます。その中で年上の子どもが年下の子どもに合わせて遊んだり、お世話をしたりする交流もあります。時には年齢の大きい子どもが職員の膝に座って甘えることもありますが、職員は子どもの気持ちを汲んで満足するまで膝の上に座らせて話をするなど、子どもの気持ちに寄り添っています。

　食事は体の発達だけでなく、情緒の発達にも影響を与えますので、「質、量、栄養」を考えて食事を提供しています。食事の場では、マナーの習得や楽しく食事ができるようにしています。食事は手作りで、薄味、旬の素材、安全な食材、彩りや味付けに工夫を加えて提供しています。園ではおかわりを推奨しています。盛り付けを少なめにすることで食の細い子どもも全部食べられたという達成感が得られ、さらに、おかわりも食べられたという満足感を得られるようにしています。こどもの日やひな祭りなどの行事食は見た目も楽しい盛り付けをしています。

　入園時の面談の際は、食物アレルギーや離乳食について確認しています。アレルギー食は医師の指示に従って食事を提供しています。食事提供の際には、職員がアレルギー食材がないか確認して受け取り、子どもの席はほかの子どもと少し離して誤配食が起きないように配慮しています。食物アレルギー対応の献立は、代替食を保護者に示し内容を確認してもらっています。行事食はみんなが同じものを食べられるように献立に配慮しています。食材が制限されている子どもについては、食べられない食材を除去し提供するなど個別の対応をしています。

　季節ごとの野菜を栽培し、水やりなどの世話をして野菜の生長を観察しています。収穫した野菜は給食などで提供し、ふだんは野菜嫌いの子どもでも自分が栽培したものだと食べています。食育計画は、こうした野菜の栽培、食事への関心やクッキングへの興味、健康と食事の関連などについて栄養士が職員と連携して計画を作成しています。そして、毎月17日の「いいなの日」には、栄養士の話、クイズ、クッキングなどをして食への関心を高めています。0歳児もすいか割り（作り物）体験した後、実物を見て皮の中は赤い色になっていることを学びました。

　年間保健計画が立てられ、月ごとに目標と行事、園児、保護者や職員への活動など、指導内容の具体的な取り組みが記載されています。さらに、避難訓練を毎月行い、地震や火事から身を守れるようにしています。子どもたちは戸外遊びで心身を丈夫にするだけでなく、けがをせずに安全に遊ぶため、公園の大型遊具で遊ぶときは、必要な約束ごとや注意などを職員が伝えています。また、外から帰ってきた時のうがいや手洗いの大切さについても職員が伝え、子どもも進んで実施する習慣になっています。

　毎月、子どもたちの身長・体重測定を行い、職員は子どもの健康状態や成長の様子を把握しています。内科健診は年2回、歯科健診は年1回行い、歯科衛生士による歯磨き指導も行っています。健康診断の結果は書面や口頭説明で保護者に伝えています。疾病が見つかった場合の対応は、子どもがかかわっている医療機関のアドバイスと指示に従って保育を実施します。子どもの既往症やアレルギーの特性、かかりつけ医の情報などは個別のファイルにまとめています。職員は子どもの様子から気になることがある場合は、保護者にも確認しています。

　重要事項説明書の健康の項目に、健康な生活をするために心がけてほしい早寝、早起き、食生活、歯の衛生についての記載があります。感染症の情報は園内での感染症発生については、園内に文書掲示し保護者の注意喚起を促しています。重要事項説明書に感染症、子どものかかりやすい病気一覧、登園基準を掲載して、保護者にも周知しています。SIDS（乳幼児突然死症候群）を未然に防ぐために、園では0歳児は5分ごとに、1、2歳児は10分ごとに、そのほかの子どもは30分ごとにブレスチェックと寝相などの確認を行っています。

　保護者の子育てや就労など個々の事情に配慮して接するために、入園時に保護者の就労状況を聞き取るとともに、日常の会話や連絡帳などから、保護者の事情について把握しています。急な残業など保育時間の変更にもできる限り柔軟に対応しています。保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みとして、日ごろから挨拶や会話をすることで保護者への伝達の徹底に心がけています。職員間で保護者の要望などを把握した場合は、園全体で対応できるように努めています。

　親子遠足や保護者会など保護者同士の交流が深まる場を設けています。保護者会では保護者同士が意見交換する時間を設け、子育てについて話し合い、悩みを共感できるようにしています。保護者同士の交流が増えたことで、保護者からの要望、意見なども吸い上げやすくなりました。園と保護者との信頼関係もより深まるように、職員も話しやすい雰囲気を作るよう心がけています。また、園の年間行事や保育内容に対する保護者の理解を深めることで、園との信頼関係を構築しています。

　保育参観には随時対応しています。保護者には園庭から子どもの室内での活動や外遊びの様子をさりげなく見てもらっています。保育参加は保護者だけでなく、祖父母や親戚の方々にも子どもの様子を間近で見てもらいながら、園での活動の様子を体感し理解を深めてもらっています。保護者が子どもの様子を見て気になることについての相談にも応じています。夏まつりでは給食の試食会を開催し、園の給食の味付けや食への配慮、こだわりを知ってもらう機会にしています。また行事などの様子はビデオに撮って保護者に見せています。

　散歩は時期や年齢、目的に合わせて出かけています。出かけた先の公園でお弁当を食べたり、草木、虫など自然や生き物に触れることで季節を感じています。また、児童館に出かけて工作遊びをしたり、図書館で自分の好きな本を探して読んだりするなどして、園と違う環境でも主体的な活動に取り組んでいます。敬老の日には近隣の高齢者施設を訪問し、歌のプレゼントするなどして触れ合う機会を設けています。5歳児は小学校を訪問して、給食体験や音楽発表会に参加しています。その時に小学生と交流して、自分も小学生になる夢で胸をふくらませています。

　青空保育で地域の方の参加を呼びかけています。ハロウィンの行事では、0歳児はベビーカーに乗り、楽しい衣装を身につけて公園をパレードし、地元のお店からお菓子をもらい交流しています。勤労感謝の日には消防署の職員に子どもが作った作品をプレゼントしたり、敬老の日には近くの高齢者施設を訪問し歌のプレゼントをしています。クリスマスには子どもたちはサンタクロースの衣装を着てパレードに参加するなどして、近隣の方との交流を深めています。職員には動物や鳥のニックネームがあり、子どもたちや保護者からも親しまれています。

　園では、子どもの名前や写真などの個人情報の利用については、入園時に重要事項説明書で保護者に説明し同意書を得ています。外部に子どもの個人情報を提供するときは、保護者の承諾を得ています。子どもの羞恥心への配慮としては、おむつ替えのときは、パーテーションやカーテンで仕切り、周りの子どもから見えないようにしています。またトイレの利用についても、子どもの希望によっては扉のついているおとな用の個室のトイレ使うなどして配慮しています。5歳児は着替えの際にはラップタオルを使っています。

　保育目標に「子ども一人ひとりを大切にし、様々な活動を通して豊かな（心情）（意欲）（態度）を育てます」とあります。職員は子どもの個性や家庭環境をふまえて一人ひとりに適した、子どもの気持ちに寄り添った言葉がけに努めています。そして、叱る時は小さく、褒めるときは大きくを基本にした言葉がけと感情表現を大切にしています。おとなの価値観を押し付けるのではなく、子どもが何を求めて行動したのかを理解して保育にあたっています。子どもへの励ましの言葉が適切であったかなど会議で確認しています。

　職員は虐待に関する研修に参加したり、法人全体で事例を報告し合ったりして、虐待についての認識を深めています。また、園内研修で保育中の言葉づかいなどが虐待になっていないかを振り返りました。朝の子どもの受け入れ時や保育中の様子、保護者の話し方などから虐待が疑われる場合は、速やかに園長に報告し、園長から区に連絡し、区から関係機関に連絡する体制があります。また、必要に応じて子ども家庭支援センターと連携を取っています。

　職員の規範や業務全般が記載された運営マニュアルや管理マニュアル、保育マニュアルがあります。そのほかに感染症、災害、水害、事故防止、食物アレルギーマニュアルなどは、必要に応じて保育室に備えています。職員は入職時にマニュアルで園の保育理念や保育方針を理解し、保育業務につなげています。「職務にあたっての心得」は11項目にわたって示され、心得に沿った業務に取り組めるようにしています。保育のプロとしての意識づけに利用しています。

　各種マニュアルの見直しは、年度末の職員会議で行っています。職員から疑問などがあった時や、緊急にマニュアルの改定が必要な場合は、本部で随時見直しをしています。改訂したマニュアルは、その後、9月ごろにこのまま持続するか、変更するかなどを検討しています。また月1回の法人全体の職員会議で、系列園の取り組み方を確認して、各園が福祉施設としての役割を適正に果たしているか確認をしています。

　保育業務計画の見直しは年度末・行事ごとに行っており、必要に応じてそのつど見直しをしています。保育にかかわる内容は、現場の職員の気づきや意見を園会議、職員会議で報告して、職員間で共有しています。園全体にかかわる業務の見直しにあたっては園長との個人面談などで要望、意見を聞いています。そして、次年度の保育運営に生かすことで、より良い保育の質の向上を目ざしています。保護者からは行事後のアンケートを実施して、行事の内容などは次の実施の参考にして、できるだけ保護者の要望に沿えるようにしています。