東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

当園の保育はイタリアのモンテッソーリ女史の精神を取り入れた教育を特色としています。年度始めの職員会議で保育理念や保育目標などについて話をして、職員の理解を深めるようにしています。また、利用者には、園長が新入園児説明会や保護者説明会で理念などを伝えており、モンテッソーリ教育が明記されている「園のしおり」を配布しています。その他、毎年、職員が園外研修でモンテッソーリ研修を受講し、モンテッソーリ教育についての知識と技術を習得して理解を深めています。

園の運営規程には経営層の職務内容が明記されており、園長は「経営及び運営全般を所掌し、業務を統括する」、副園長は「園長を補佐し、園内諸業務に従事する」と規定されています。園長は職員会議で自らの役割と責任を職員に伝え、率先して他の職員の範として行動し、モンテッソーリ教育を取り入れた自主性を尊重した保育の実践で園をリードしています。

園舎の増改築など多額な支出を伴う案件は園の経営に関わるので、理事会で決定します。保育業務に関わる案件はリーダー会議で検討し、職員会議で決定します。リーダー会議は月1回開催され、園長、副園長、主任など5人の合議機関として機能しています。会議での決定事項は議事録に記録して事務所に備え置き、職員会議の欠席者とパート職員は議事録に押印し、閲覧の確認をすることで周知されます。保護者には園だより、クラスだより、保護者あての書面で周知します。

園は大きな行事後に保護者にアンケートを実施して、利用者の意向の把握に努めています。また、運動会、親子遠足、クリスマス会、保育参観など年5回程度、感想文による意向調査も行っています。職員の意向は、面談や次年度の事業計画を策定する際に各クラスから出される要望で把握し、経営層は市内の園長会や主任会に参加して地域福祉の情報収集しています。さらに、都の社会福祉協議会が発行する情報誌を購読して、行政や業界の動向の把握に努めています。その他、情報誌は事務所に置き、職員がいつでも閲覧できるようにしています。

園長は、3年～5年先をめどに幼児クラスの環境を整える中・長期ビジョンを描いていますが、財源が課題となり園の中・長期計画として明文化されていません。単年度の事業計画は、毎年3月に次年度の事業計画に盛り込む項目を職員に考えてもらい、職員の意向を踏まえて策定しています。今年度の重点取り組みとして、「職員のキャリアアップを具体的に実現していく」、「保育所保育指針に基づいた丁寧な保育への取り組み」など6項目を明記しています。

大きな行事には係を設けて計画を推進しています。係は、職員から意見を収集し、職員会議で共有しながら進捗状況に応じて見直しを行っています。全体的な振り返りは１０月と３月に行っており、１０月の振り返りでは、各クラスが年度後半に向けて見直し・修正を行います。３月の振り返りでは１年間を振り返り、課題を抽出して次年度につなげます。

園は「職員倫理規定」を掲示し、保育に関わる職員としての自覚を促しています。新入研修では守るべきモラルやマナーについて周知し、主任が個別に順法などを説明しています。その他、園と運営法人の活動内容をホームページに公開して、地域社会に開かれた組織になるように取り組んでいます。ホームページの更新は副園長が担当し、園の子育て支援事業や決算内容などを情報開示しています。ただ、更新が数年間行われていない情報もあり、速やかな対応が期待されます。

「園のしおり」や園の掲示、入園説明会などで苦情解決制度を利用者に伝えています。また、外部の相談先として、第三者委員について年度始めの保護者説明会で周知しています。担当が利用者から苦情などを把握した場合には、担当が園長に報告したり記録して他の職員と共有します。さらに、年1回市主催の児童虐待防止の講演会に参加して、虐待防止の理解を深めており、参加者が報告書を作成し、職員と成果を共有しています。虐待が疑われる場合には、写真を撮ったり、保護者から話を聞くなど経過観察し、必要に応じて、関係機関と連携して対応します。

保育補助の夏季学生ボランティアや実習生、職場体験の中学生を受け入れています。主任を担当者とし、手引書を整備して受け入れ体制を整えています。また、長年地域の自治会に加入して地域行事などで交流を深めており、高齢者の団体には園行事の年間予定を知らせて園児との触れ合いの機会を設けています。さらに、近隣の商店が来園して、魚の解体ショーを園児に披露するなど地域資源を積極的に活用しています。その他、市の福祉施設が加入している協議会や市の園長会など地域のネットワークに参加しています。

危機管理マニュアルを事務所に置いて、職員がいつでも閲覧出来るようにしています。また、避難訓練の計画を各クラスが担当して策定し、職員の防災意識の向上につなげています。避難訓練の実施時間についても、時間を予め決めず、朝夕の職員配置が手薄な時間などに抜き打ちで行うことで対応力を磨いています。さらに、今年度は消防署と連携して総合訓練を行って避難の様子を見てもらい、助言を基に今後の訓練に活かしていけるように取り組んでいます。

大災害に備えて、園は事業継続計画（ＢＣＰ）を策定しています。ＢＣＰには全体のイメージがフローチャートで分かりやすく示されていています。不審者対策では、オートロック扉や防犯カメラ、学校１１０番、刺股訓練などの対策を行って不審者の侵入を防止しています。軽微な怪我を含めて事故などが発生した時には、園は職員に朝礼で伝えています。さらに、インシデント報告書に記録して要因分析し再発防止に努めています。感染症が発生した場合の対策では、看護師が感染状況を掲示して周知しています。

個人情報の守秘義務について、職員やボランティア、実習生に誓約書の提出を求めて周知しています。また、経営層と専門職など各クラスにパソコンを配置しているため、アクセス権限を設定したり、セキュリティ対策ソフトを組み込んで情報漏洩を防止しています。また、個人情報が記載された書類は施錠付の書棚で管理しています。園はＩＴ化を進めており、昨年７月にはメーリングシステムを導入して、保護者や職員に様々な連絡を周知することに役立てています。

人材の確保は、職員に欠員が出た際に養成校やハローワークで募集して行います。職員体制はパート職員の割合が高く、今年度の新規採用は無しとなっています。人事に関する職員の意向は「希望調査表」で把握し、次年度の勤務継続の意思やどのクラス担当を希望するかを確認しています。園は本人の意向を考慮しながら、全体のバランスを考えてクラス担当を配置しています。配慮が必要な子どもも多いので、正規職員を基準以上に配置し、さらにパート職員も充分な配置をしています。

園は「キャリアパスシート」を作成して、階層別の役割や求められる能力、経験年数などを明示しています。ただ、キャリアパスの職員理解は４割程度と低い結果となっています。人材育成には、年間研修計画を策定し計画的に研修を実施しています。また、職員を経験年数に応じて３階層に分けて、階層に対応した園外研修を実施しています。園外研修では保育の実践力を高める研修の他に、木育インストラクターの養成に力を入れています。園は自然との触れ合いを密にすることを狙いとして、職員が樹の種類を子どもに説明できることを期待しています。

園長と職員は年２回面談を行いますが、評価と処遇が連動した人事評価制度を導入しておらず、報酬は年功序列に対応しています。チームワーク促進に向けた園の取組みとして、勤務シフトを柔軟に調整し有給休暇が取り易い環境整備を行っており、職員からは休暇取得について好意的な意見が多く見受けられました。また、「チームチャレンジ」と命名された勉強会を年６回実施して、職員の希望や提案を基にテーマを決めて、グループで話し合った結果をまとめて発表することでチームワークの促進に取り組んでいます

当保育園への入園または見学を希望する保護者は、市や園のホームページの閲覧や昭島市で発行している情報冊子「昭島乳幼児支援制度案内」から園の情報を入手することが出来ます。「昭島乳幼児支援制度案内」は市のホームページからダウンロードすることができ、所在地や電話のほか、園で実施している行事や地域子育て支援の案内を掲載しています。また、市のホームページでは所在地、電話番号、定員、開所時間、マップなどの配信と外部リンク出来るようになっており、広く情報を発信しています。来園者(見学者)にはパンフレットを配布しています。

園のホームページでは園の概要や保育理念、保育目標、取り組んでいる保育事業(モンテッソーリ教育、食育、専門講師による造形やリズム、体操などの指導、地域子育て支援「わくわく教室」)などを紹介しています。また、園での年齢別のタイムスケジュール、行事のほか、園児達の活動の様子を月ごとに写真を活用して配信しています。来園者(見学者)向けのパンフレットでは保育理念、目標のほか園で取り組んでいるたてわり保育を中心に、日常や行事の様子を写真とともに紹介しています。さらに、園庭開放や地域支援の日程を掲載しています。

見学は日頃の保育活動が見られる平日を勧めながらも、年間を通していつでも受け入れています。見学の対応は主に主任が行ない、パンフレットをもとに施設を案内しながら園としての保育姿勢や特徴的な取り組み、保育理念、目標、について説明しています。特徴的な取り組みとしては、1，2歳児と3～5歳児がたてわりで過ごしていること、全クラスモンテッソーリ教育(個々の成長に合わせた教材を用いて、「自主性」を育てるなど)を取り入れており、実際に園児の様子を見てもらいながら取り組みへの理解がえられるように丁寧に説明しています。

入園が決まった保護者には、入園前健康診断や個人面談の日程を知らせ、3月上旬に実施しています。全体での入園説明は入園前健康診断の日に合わせて行ない、園のしおりに沿って園長や主任、看護師が、施設概要や保育理念、目標、保育の特色、行事その他取り組みなどを説明しています。個人面談は健康診断の前後の日程で実施しています。個人面談では児童票や家庭状況表など書類を配布し、内容について説明するとともに、入園までに記入を依頼しています。説明後には同意した旨の署名を『松原保育園のしおり』受領書にもらっています。

入園前の面談ではこれまでの家庭での状況(アレルギーの有無や既往症も含む)や保護者の意向を聞き取り、全職員で共有しています。保護者へは入園当初に慣れ保育を実施することを見学時にも伝え、理解を得られるようにしています。個人面談時に子どもや保護者の状況や希望を確認し、徐々に園生活に慣れることができるように、慣れ保育のスケジュールを決めており、期間や長さを調整しています。連絡帳や口頭、園のホームページで園児の様子を配信するなど、園での子どもの様子を伝え、安心できるようにしています。

転園や退園をする園児については、個人面談を実施し、保護者の不安や悩みの聞き取りのほか、希望があれば次園への申し送りをしています。クラスではお別れ会やそれまでの作品集などのプレゼントをしています。卒園する園児に対しては保育所児童保育要録や就学支援シート(保護者の希望又は同意のもと)を就学先の小学校に送付しています。また、夏休みに「あつまれ1年生」として卒園生を招待し、食事を楽しみながら子ども達の現状を聞く機会を設けています。

保育所保育指針の改定に伴い園内で勉強会を実施し、乳児教育の大切さについて理解を深め、それまでの保育課程も視野に「全体的な計画」を作成しました。この「全体的な計画」をもとに、各年齢ごとに養護と教育の各領域を考慮した年間指導計画を作成しています。年齢別の月間指導計画では園で取り組んでいるたて割保育やモンテッソーリ教育も含めて作成され、園児の年齢や発達によって必要な教材が準備されています。具体的な保育活動は週案の中で表現し、0～2歳児は毎日、3～5歳児は毎週日誌に記録しています。

園児に関する情報や発達は日々の日誌に記録しているほか、０～２歳児は毎月、3～5歳児は年4回発達チェックを行っています。個別の計画は0～2歳児と支援を要する子どもについて作成しています。一人ひとりの保育の目安については、個人面談のほか連絡帳(0～2歳児と支援を要する子)や登降園時の会話を通して、家での様子を確認しながら園での取り組みを説明しています。その他、連絡帳や日々の会話を大切にしながら、園児の発達や成長を共に確認し子育ての視点を共有しています。

月間や個別計画、日誌(個別日誌も含む)についてはクラス内で支援を担当する職員が共有しています。支援を要する子どもや気になるケースについては、職員会議で話し合い共有しています。全クラスの計画はパソコンの中に保管されており、パスワードを持った職員はいつでも閲覧できるようになっています。登園時の園児の様子や保護者からの連絡、日々の園児の様子については、毎朝朝礼を実施しておりその場での報告で共有しています。朝礼の内容は「朝礼ノート」に記録され、出勤したら必ず閲覧することとしており、全職員が共有しています。

入園時の面談や送迎時の会話、連絡帳などで一人ひとりの園児の発達の過程や生活環境を確認し、全体的な姿を把握しています。1、2歳児はワンフロアを2クラスに分けて縦割りで過ごしており、それぞれの担任はきめ細かく一人ひとりの状況を把握しながら援助しています。室内の環境としては、全クラスモンテッソーリ教育を取り入れていることから、園児の発達や状況に合わせて教材を準備しており、玩具棚に整理し設置されています。このように園児たちが好きな教材を自発的に選んで学べる環境を整えています。

園では1、2歳児(2クラス)と3～5歳児(3クラス)はたてわりでクラスを構成しています。日常的な異年齢での関わりの中で互いを認め合い、年上の子への憧れや年下の子への思いやりの気持ちを育んでいます。また、年下の子は年上の子を手本とし、様々な活動が出来るようになっています。小学校への円滑な就学に向けては、保育所児童保育要録や就学支援シートの送付のほか、毎年5歳児が小学校を訪問し、校内や授業の見学、1年生と交流する機会を設けています。さらに、小学校の先生による保育園見学や学童保育所にも遊びに行っています。

配慮が必要な子どもの受け入れ、他の子どもたちと一緒に過ごす中で園児同士刺激し合いながら共に成長していけるように支援しています。市からの年3回とNPO法人の臨床心理士による年5回の巡回指導で園児の様子を見てもらい、支援方法などの助言を受け保育に反映しています。発達の過程で生じる子ども同士のトラブルへの対応については、園児の気持ちに寄り添い、互いの気持ちを受け止め納得できるように代弁や仲立ちをしながら解決に導いています。その他、噛みつきなどを未然に防ぐために、園児の様子を観察し適切な職員配置をしています。

登園時には挨拶とともに、連絡帳や保護者との会話から家庭での様子（前日の保育園での様子により）や体調などについて聞き取りや観察をしています。朝保育の時間帯は担当保育士が確認し、連絡事項などは申し送り表に記入しています。降園時には連絡帳やホワイトボードのほか、口頭で1日の様子を伝えています。園児の様子は申し送り表を活用して共有し、担当職員も含めて誰でも保護者に園での様子を伝えられるようにしています。また、園のホームページで写真を活用して毎月1クラス園児が活き活きと活動している様子とコメントを添えて伝えています。

基本的な生活習慣の大切さについては、会話や連絡帳などで保護者へ伝え、園児の発達に応じた対応や支援ができるようにしています。排泄については家庭での様子を踏まえ、園では個々の間隔を把握してトイレに促しています。1、2歳児はトイレを部屋の中に設置することで怖がらずに行けるようにし、年上の子の様子を見て手本になり、自然に身に付いています。着脱や箸についてはモンテッソーリの教材の中で、身に付くようにしています。歯ブラシは園では使用していませんが、歯科検診の機会に正しい磨き方を看護師から聞く機会を設けています。

午睡は年齢ごとのデイリープログラムの中で基本的な長さや時間帯は決めていますが、健康状態、家庭での生活リズムを考慮し、一人ひとりの状況に合わせた入眠時間や休息時間を調整しています。また、必要に応じて午前寝など休息が出来るように環境を整えたり、早く目覚めた子どもは玄関ホールで静かに過ごせる環境を整えています。5歳児については就学へ向けて午睡をなくしています。午睡をしない時間は園庭でボール遊びや散歩のほか、クリスマス会前には出し物の練習などをして過ごしています。体調によっては短時間の睡眠が出来るようにしています。

当園は全クラスモンテッソーリ教育を取り入れ、室内には年齢や発達に合わせた教材を準備しています。園児達は自由に教材を選び集中して遊べるように、1日の中で一定時間を確保しています。教材は指導計画に沿って見直し、入れ替えを行なっており、積み木やブロックなどの作品は期間を決めて保管するなど遊びの継続性にも配慮しています。モンテッソーリでの個別活動や少人数での関りを大切にしながらも、徐々に集団での活動も経験する機会を設けており、縦割りでの異年齢や同年齢での関わりの中で、楽しく活動できるように導く工夫をしています。

廊下や玄関ホールに絵本を設置し、いつでも絵本に親しめるようにしています。午後のおやつ後には、絵本や紙芝居を読む機会を設けてており、乳児期から月齢に合わせた保育士からの言葉がけや遊びの中で発語を促し、言葉のやり取りを楽しめるように援助しています。しりとりや連想ゲームなどの言葉遊びも楽しんでいます。3～5歳児クラスでは様々な素材や道具を準備し、自由に作品を作れるようにしています。時には園児達同士が話し合って絵本作りもする様子が見られます。5歳児は毎年クリスマス会で劇遊びを他年齢に発表する機会としています。

天候不良や特別な活動の予定がある時以外は必ず散歩へ出かけ、季節ごとに咲く花や木々の色づき、生物の観察、外気温の変化で季節の移り変わりを体感しています。公園ではドングリや落ち葉拾いを楽しみ、収集物を活用しての造形活動や園内にも自然物を展示するなどの配慮をしています。散歩に行く際には散歩マニュアルをもとに、目的地までの危険個所や公園のようすを確認するとともに、計画的な交通安全指導を通して園児たちに正しい歩き方を伝え、年齢ごとの基本的なルールや約束事を守りながら、楽しく出かけられるようにしています。

こどもの日、七夕、敬老の日、七五三、豆まき、ひな祭りなど日本の伝統的の行事のほか、3～5歳児の「体操の日」(運動会)では園児の成長した姿が見られる行事なども実施してます。体操の日は、外部講師による体操指導をもとに少し手を加えて構成し、無理なく楽しめるように実施しています。クリスマス会では生演奏(専門家)や5歳児による表現活動を楽しんでいます。5歳児の表現活動は、年下の子ども達にとって年長になったら自分たちも出来ると憧れになっています。その他、リズム遊びも敬老会やふれあいの日に発表する機会を設けています。

行事は日々の活動の中で取り組んでいる活動の延長として、特別な事と捉えず行なえるように配慮しています。七夕の集いや親子遠足、ふれあいの日では親子で楽しめる内容を考慮しています。5歳児は7月下旬園に1泊の「お泊り保育」を実施しています。友だち同士協力しながらの夕食作りや親元から離れてのお泊り体験を通して、成長する姿が見られています。園児達も年長としての自覚と自信が生まれ、その後の園での生活にも変化が現れています。保護者も初めての体験に不安や心配を感じていましたが、園児達の成長を実感しています。

年度当初に行事予定表を配布し、保護者が参加する行事について日程を調整しやすいよう配慮しています。保護者が参加する行事(七夕の集い、体操の日、ふれあいの日など)については、土曜日に設定するなど参加しやすい配慮も行い、具体的な内容については園だよりで伝えています。子どもの活動の様子はクラスだよりや連絡帳、ホワイトボードを活用して伝えているほか、ホームページでも伝えています。行事後には感想や意見を寄せてもらい、次年度の参考にしています。

法人理念の一つに「温かい家庭的な雰囲気の中で、乳幼児の個性や寒暖差に十分心を配り、心身共に調和の取れた人間性豊かな芽を育む」とあることから、少人数で遊べる環境としてコーナーを設置しています。また、室内は季節に合わせた装飾やカーペットを敷くなど、落ち着いた雰囲気作りをしています。１、2歳児から日常的にたてわりで過ごしており、朝夕の合同保育時も自然な関わりが見られています。その他、クラスから離れて一人になりたい子どもや、気持ちが不安定な子どもは事務所で受け入れ、気分転換できるように配慮しています。

夕保育の時間は１６時より３、４歳児がホールで過ごし、１７時に５歳児が合流しています。０～２歳児は人数を考慮して、出来る限りクラス単位で過ごせるようにしています。人数が減ってきたら２クラスで過ごし、降園まで乳児と幼児は分かれて過ごしています。日頃から異年齢保育やモンテッソーリ教育を取り入れていることから、違和感なく過ごせています。特に人数が少ないときに使える玩具の用意をしたり、夕保育時の短時間保育士はいつも同じ人が関わるなど、同じ部屋で子ども達が安心して過ごせるように配慮しています。

給食はクラスごとに落ち着いて食事をとれるように環境を整えています。椅子やテーブル、食具は年齢や発達に合わせて使用し、正しい姿勢や持ち方で食べられるようにしています。0～2歳児は担当制で同じ職員が関われるようにし、少人数で食事をしています。3～5歳児はバイキング形式で、園児達が自分の食べられる量を決めて盛り付けや配膳を行うことで、自らの適量を知り完食が出来るようにしています。また、音楽をかけたり花を飾るなど雰囲気を変えての食事もしています。行事によっては自由に食べる部屋を選んで食事出来る機会も設けています。

献立は当園の栄養士が作成し、2週間サイクルで季節の食材をとり入れ、栄養に配慮した給食を提供しています。給食時間には調理職員が保育室を巡回し喫食状況を把握しており、1週目の状況を食育会議で確認し次週に反映しています。また、行事の際には飾り切りなど盛り付けを工夫し、見た目も楽しく提供しています。食物アレルギーのある園児については、医師の指示書に基づき、除去又は代替え食を提供しています。専用のトレイで配膳し、テーブルを別にするなど誤食の無いよう細心の注意を払って提供しています。その他、宗教上の配慮もしています。

食育計画をもとに年齢に合わせて食のマナーを身に付けることや、野菜の栽培、クッキングなどに取り組んでいます。1、2歳児は玉ねぎの皮むき、3～5歳児は野菜切りなど給食食材の下処理のお手伝いもしています。ベランダのプランターでは季節の野菜を育て、収穫後にはクラスで調理して食する機会も設けています。クッキングは年3回実施し、当日は1部屋をクッキング部屋にして自由に参加できるようにしています。さらに、新米の時期には玄米との違いを感じたり、魚屋さんによる魚の解体を見る機会もあり、食への関心が深まる体験をしています。

園児のケガを防止するために、身のまわりの危険について知らせる機会として、毎月の避難訓練や計画に基づいた交通安全指導を保育の中に取り入れています。散歩の際には道路の正しい歩き方を伝えたり、警察官による安全指導の機会も設けています。さらに、園児が自身の健康について関心が持てるように、看護師による季節で流行する病気の話や手洗い、うがいの指導の機会と歯磨き指導も実施しています。その他、外部講師による体育指導への取り組みでも、多様な動きを体験し、基礎筋力や柔軟性などを養っています。

嘱託医による年2回の内科検診(0歳児は毎月)や年2回の歯科検診を実施するなど、専門機関と連携し園児の健康管理に努めています。緊急時に受診できる病院の連絡先を事務所に掲示し、迅速な対応が出来るように準備しています。与薬は基本的に行なっていませんが、医師の指示書に従い慢性疾患などについては行なっています。アナフィラキシー緊急補助治療に使用する緊急用キットの使い方については、研修に参加した職員が園内研修で全職員に周知しており、自動体外除細動器（AED）の使い方については3年ごとに講習を受け緊急時に備えています。

子どもの病気や感染症については入園時に配布する園のしおりに明記し説明会で説明しています。また毎月配布する園だよりやほけんだよりでも、季節に応じた病気や健康管理(あせもや虫刺され、インフルエンザなど)の方法などを保護者に伝えており、園内で感染症が発症した時には、速やかに発生状況をクラスや保健コーナーに掲示して注意喚起しています。乳幼児突然死症候群（SIDS)については、入園時に説明しているほか、予防のために午睡チェック(0歳児は5分おき、1～２歳児は10分おき、3～5歳児は15分おき)を全園児実施しています。

保護者の就労などの個々の事情については、入園時の面談の聞き取りで把握し、基本的な保育時間は決めていますが、急な時間変更などにもできる限り柔軟に対応しています。また、園での園児の様子は連絡帳や登降園時の会話で伝え、保育参観はいつでも受け入れています。保護者に対しては、常に明るく接するように心がけており、園長は毎朝玄関に立ち保護者に声かけしています。さらに、保護者参加の行事後には意見や要望を聞き取り次回に反映し、園児の成長を共有することで信頼関係構築に努めています。

保護者同士が交流する機会としては、保護者参加の行事(親子遠足、七夕の集い、ふれあいの日など)のほか、クラス懇談会があります。行事では園児の成長を共有するとともに、親子で楽しみながら園に親しみ親睦を深めています。また、クラス懇談会では園からの話を中心にするのではなく、クラス内で年齢ごとにグループになり、保護者同士が話し合える時間を確保しています。子育ての悩みなどを出し合い、意見交換の中でアドバイスし合えるようにしてます。

園児の成長発達については連絡帳や会話、個人面談、保育参観などを通して日々保護者へ伝えています。保護者への声かけは特別なことがあった時だけではなく、会話すること自体を大切にしています。また、保護者向けの講演会を開催し、外部講師を招いて「子育てについて」グループ討議をしています。保護者からの意見や質問を出し合い、講師やアドバイザーから子育てのヒントをもらい、助言を受けています。職員も一緒に参加し、保護者の考えを知るとともに自身の勉強にもなる良い機会となっています。

近隣の公園への散歩や世代間交流として高齢者との活動、警察官による交通安全指導、消防官による避難訓練指導や消防車見学、小学校で校内見学や授業見学、他保育園のほか、お寺の職員に水についての話を聞くなどなど地域の資源を活用して、多様な体験や様々な人と交流する機会を設けています。自治会のお祭りには土曜日開催ということもリ、当日当園した園児が参加しています。高齢者クラブとは定期的交流の機会を持ち、園芸作業や芋の苗植え、生育観察など食育に繋がる活動や、七夕や敬老の日、クリスマス会、もちつきなどの園行事へ招待しています。

個人情報の取り扱いと利用目的については、入園時に紙面を配布して説明し同意(署名捺印)を得ています。記載されたこと以外に必要が生じた際には、その都度保護者に同意の確認をする事としています。園児の羞恥心への配慮としては、トイレは年齢に合わせてドアやシェードを設置しています。また、おむつ交換は衝立てを活用して他児から見えない様に行なっており、3～5歳児のプール遊びは屋上で実施していますが、外部から見えない様に周りを囲っています。シャワーの際も見えない様に行ない、着替えは部屋でカーテンを引いて行なっています。

モンテッソーリ教育に取り組む中で、一人ひとりの成長発達や気持ちを十分に理解し、園児たちの気持ちに寄り添い尊重した援助をしています。人権についての研修には毎年3人ずつ参加し職員間で理解を深めています。園児の名前を呼び捨てにしないことや肯定的な言葉がけ(「走らない」ではなく「歩きましょう」など)を職員間で確認しており、半年ごとに「自己評価表」で自らを振り返る機会を設け、適切な対応が出来るように心がけています。また、連絡帳や登降園時の会話を通して保護者の思いを確認し、受容、共感できるように配慮しています。

虐待防止や育児困難家庭については、外部研修への参加と、全体職員会議や園内研修の際に全職員で理解を深めています。園で作成した虐待対応マニュアルには、チェックリストが加えられており、園児の身体的特徴や周囲の環境、保護者の態度からも虐待を発見できるようにしています。また、職員による不適切な対応にも意識を向けられるように、互いに声を掛け合える環境作りをしています。虐待の疑いが見られた時には、マニュアルに従い、子育て支援センターなど関係機関と連携する体制が整えられています。

園のマニュアルとして、危機管理、食中毒対策、衛生、新入児面接、早番・遅番、虐待対応などを整備しています。各種マニュアルは事務所に保管し、職員は分からないことが起きた場合や、手順に疑問が生じたときなどに活用し、基本事項を確認しています。危機管理マニュアルは個人配布し、迅速に対応できるようにしています。

マニュアルは必要に応じてその都度見直し、改善しています。保護者の要望や意見は保護者会や連絡帳、行事などのアンケートで把握しており、職員間で検討後、十分に説明して理解(保育体制など)を得ながら保育に反映しています。また、職員からの意見も積極的に吸い上げ園の運営に反映しています。職員から出された意見はリーダー会で話し合い、その後職員会議で全職員に図っています。時には2か月ごとに実施される「園内研修」の議題として、意見を募り話し合う機会を設けています。