東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人主催の理念研修に加え、園でも職員を対象に保育方針などの研修を実施しています。理念である「HOME」について、統括園長が中心になって冊子を作成し、理念の具体的な意味合い、あるべき姿などを伝えています。また、年間カリキュラムを作成する際に、理念に合っているかなどを確認するようにしています。

経営層の役割や責務について、組織図や役割分担表及び重要事項説明書などに明記しています。重要事項説明書では、職員の職務内容として、「園長は、園の運営管理全般と職員の指揮監督、並びに職員間の業務調査、保育の質の向上のための指導～」と明記しています。当園では、保育は主任に権限移譲し、園長の役割を「園の重要テーマを設定し、そのマネジメントを行う」としています。このマネジメントスタイルは浸透しているようで、職員の自己評価においても「経営層のリーダーシップの発揮」について8割以上の職員ができていると答えています。

園内での様々な案件はその重要度や緊急度に応じ、検討方法や決定手順が決まっています。案件ごとに幼児・乳児会議やリーダー会議で検討され、全職員参加の職員会議で重要案件の最終的な決定と確認が行われています。法人の施設長会議には園長が出席し、法人での重要事項の決定内容が通知されると共に当園の月次報告も行われています。決定事項の職員への周知は、職員会議での報告と文書での回覧の方法が取られています。保護者に対しては、主に園内の掲示や園だよりなどの配布によってその周知が行われています。

利用者意向の把握のために、運動会、夏祭り、生活発表会などの行事の後にアンケートを取っています。クラス懇談会や個人面談など、直接意見を聴く機会も活かしており、アンケートなどで把握した利用者の意向、要望に対しては園で検討して改善に努めています。生活発表会の場所を変更したり、外遊びを増やすなど利用者の意見を取り入れた改善事例は多々あります。また、年３回以上の職員に対する個人面談や月2回以上の職員会議、リーダー会議、乳児・幼児ミーティングなどを通して、職員の意見を聴き、園の運営や事業計画などに活かしています。

園では法人の中長期計画をもとに、園で努力すべき目標、園独自の環境をもとに設定した目標、園長の方針をもとにした目標を、園の中長期計画として設定しています。また、これをもとに単年度の計画として、職員会議で検討する課題、研修計画などを作成しています。事業計画は、主に園長が作成しますが、その過程で主任、リーダーと「園を良くするにはどうすればいいのか」というテーマで、ブレインストーミングを行い、様々な視点や考え方を参考にして作成しています。

事業計画作成の際には、マイルストーンを設定しており、計画推進にあたり、四半期ごとに職員会議で進捗状況を確認し、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいます。園では運営に関して園長から職員に権限移譲を行っており、計画の遂行においても職員の意識は高くなっています。職員の自己評価において「計画推進の進捗状況の確認、見直し」については9割近くの職員ができていると答えています。

地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワークである区の私立・公立園長会に参画しています。私立・公立園長会では、地域の情報交換や講師を呼んでの研修会の実施などを行っています。また、地域の商店街からの依頼で地域の小学生を職場体験で受け入れるなど、地域との関わりに努めています。さらに、今年度は小中学生のボランティア18名の受け入れや、保育実習生の受け入れも行っています。

入園説明会の場で、入園のしおりや重要事項説明書などで、苦情申出窓口の設置と苦情解決の方法について説明しています。また、口頭や連絡帳を通しての意見や要望にも丁寧に対応するとともに、「意見箱」を設置し、保護者の意見をいつでも受ける体制をとっており、保護者から意見が寄せられた場合には、その回答を掲示により周知しています。虐待については関係するマニュアルの定期的講習や自分にその兆しがないかのセルフチェックを実施しています。虐待を発見した場合の対応についても当園と区のマニュアルに沿って関係機関との連携を図っています。

園の事業計画でも「年10回のみんなの広場を開催し、地域の子育て世帯の方々にも保育園を理解していただく」と記載してあるとおり、地域活動について力を入れています。園で取り入れているリトミックを地域の方にも開放し、在園児と一緒に楽しめる様にしたり、産前産後体験では、栄養士による離乳食体験通して、不安に思うことの相談などをする機会をつくり育児を楽しんでもらう機会をつくっています。みんなの広場では今後もフルート演奏やマジックショーなど親子で楽しめる企画を計画しています。

法人で『保育安全衛生マニュアル』を制定し、リスクマネジメントに取り組んでいます。また、プール開始時などにはマニュアルに対応した研修も実施しています。園では、より安全な園にするために、ヒヤリハットに力を入れており、集められたヒヤリハットはクラスごとに看護師が集計して、月初の職員会議で発表して注意喚起に努めています。

地震や火災、水害などを想定した防災、避難訓練を毎月１回行っています。年に１回実施している総合防災訓練では、保護者にも参加してもらい、園児の引き渡しの訓練も行っています。大規模災害の際のＢＣＰ（事業継続計画）も策定されており、「人命の安全確保」と「保育の継続・早期再開」という目的に対する行動計画が立てられています。BCPは既存の「緊急対応マニュアル」と連動した形を取っており、より具体的なものとなっています。

園の運営に必要な情報は、情報を管理・共用するためのサーバーを設置し、その中で情報を４段階に分け、アクセス権限を設定して運用しています。文書情報については鍵のかかる書庫に項目毎にファイル管理がされ、必要な時にすぐに取り出せるよう適切に管理されており、職員や委託会社職員との間には守秘義務契約を交わし、情報の重要性、機密性を理解し遵守するようにしています。また、個人情報の取り扱いについては個人情報保護マニュアルを作成し、職員にその重要性を周知徹底しています。

職員の採用、確保及び異動は法人の人事担当と園長が連携して行っています。当園の採用についても説明会等は法人人事担当がすすめ、面接は法人と園長が共同で行っています。人事考課は保育の分野別の各評価項目に自己評価（５段階の中で評価を選択する）を行い、その結果について園長が面談し最終的にポイントを算定し７段階での総合評価を行っています。その他、昇格及び昇格と連動した基本給や役職手当の報酬制度は整備されています。

人材育成にあたり、職員のキャリアに合わせた内容の研修に参加してもらい、知識や役割を学んでもらうよう努めています。研修内容は、法人内研修、区主催の研修、都の研修等、様々な研修を用意しています。また、虐待防止、アレルギー対応、リスクマネジメントなど、都度必要と思われるテーマの園内研修を行うほか、園内研修の中で研修報告を行ない、全職員と情報共有できるようにしています。その他、目標管理シートを活用し、職員個人に合った目標をもって仕事に取り組めるようにしています。

法人では「いい保育をするにはいい組織環境を作ることが大事」という考え方のもとに、法人の実施する園長研修では、組織やチームビルディングなどをテーマに行っています。また、園では「承認文化」を大切にする考え方で園運営を行っています。園長は、職員のいいところを毎日を書くようにしており、それが職員個々人の「承認」となっています。職員の自己評価においても、園の良い点として、人間関係や上司への相談のしやすさ、風通しのよさなどを挙げる職員も複数おり、承認文化が浸透していることがうかがえます。

保育園のホームページで、園の概要、園の方針、一日の流れ、年間行事、法人の基本理念「Home-ここに集いここに育み、そしてここからはばたく、ちとせ交友会はかかわるすべての人にとって心安らぐ場所Homeでありたい」等に関する説明を掲載しています。入園希望者や見学者には、基本理念、法人と園の概要、園の特徴、デイリープログラム、所在地、アクセス方法等を記載したパンフレットを作成・配布しています。

入園希望者の見学や問い合わせに対しては、できる限り希望に沿って日時を調整し、個別や少人数のグループ毎に受け付けを行っています。主な対応は園長または事務員が担当し、「Home」という理念を丁寧に説明しています。また、質問に対しても丁寧に回答するとともに、必要に応じて個別の育児相談にも応じています。併せて、「みんなの広場」や「子育て講座（離乳食体験など）」などの開催を案内し、保育園の様子を体験を通じて知ってもらえるよう取り組んでいます。その他、区が主催する「保育フェア」にも出展し、園を周知しています。

入園決定後、３月初旬までの土曜日・午後に入園説明会を開催し、入園のしおり（重要事項説明書）に沿って説明しています。説明会の際は、子どもを連れて参加できるよう配慮しています。入園前には新入園児の食事、排泄、家庭環境、性格、アレルギーの有無などを記入した書類の提出を受けており、個別面談は経営層が対応し、書類の確認とともに保護者の意向を把握し、全職員で情報を共有しています。また、アレルギー児については、保護者と経営層のほか栄養士と看護師も同席し、保育園の対応を話し合う「アレルギー面談」も実施しています。

入園当初は「慣らし保育」の期間(2週間程度)を設定し、面接で把握した入園前の園児の状況や保護者の就労状況に配慮しながら、無理なく園に慣れていくようにしています。進め方については、入園前面談で時間や期間の目安を保護者とともに決めており、園児の状況や保護者の希望によって、期間の短縮や延長に応じています。卒園に際しては、保育要録を郵送で就学先に届けています。

指導計画は、年齢別や個人別(0～2歳児と要支援児)に作成しており、前月の園児の様子や反省に基づいて、次月の目標や課題を設定し作成されています。クラスの年間の保育の目安や園児の発達の特徴については、入園式や懇談会、保育参観などの機会に保護者へ伝えています。また、園児一人ひとりの様子や成長の目安については、年2回の懇談会やクラスだよりで伝えています。

園では、保育所保育指針改定に伴い、「全体的な計画」を作成しました。この「全体的な計画」をもとに、在園児の様子や園の保育目標を反映し、年間や月間指導計画を作成しています。加えて、行事や食育計画、保健計画も作成しています。そのうえで、具体的な活動については週案の中で表現しています。また、園児の日々の様子は日誌に記録し、発達状況や心身、生活状況などは児童票および発達経過記録に記録しています。

職員会議を毎週行うとともに、クラス会議やリーダー会議を実施し、運営や園児の状況について職員間で確認しています。園児や保護者の状況に変化があった場合の情報や、延長保育時の情報等は、毎日行う朝礼で報告しています。内容は朝礼用ノートに記録されるとともに、職員は出勤に際して確認する事としています。

園児一人ひとりの成長や発達の差に合わせた保育を行っています。園児の成長、発達は、入園面談、保護者との会話、連絡帳、個人面談などを活用して把握できるようにしています。さらに、園児一人ひとりが出来るようになったこと、苦手なことについては、全職員で共有しています。また、園児が遊びを自由に選んで遊べるように、玩具を自由に出し入れしたり、片付けができるような工夫をしており、それぞれの自由な遊びの中で友だち同士の関りも楽しんでいます。

異年齢の園児同士がふれあう機会として、行事のない月には「きょうだいグループ」という3つの縦割グループで過ごす日を作っています。また、日々の活動においても、2歳児と3歳児がいっしょに過ごすことがあり、朝夕の時間帯や土曜日にも、合同保育を行っています。さらに、5歳児が１歳児の午睡の寝かしつけを手伝うこともあり、思いやりの気持ちや兄弟のような親密な関係が育まれています。その他、異文化体験として、英語教室でネイティブの教師から英語を学ぶ機会の提供や、絵本の読み聞かせにより、多様な文化に触れています。

職員は園児たち一人ひとりをよく観察し、会議以外でも園児の姿を伝え合うことで、園児同士のけんかや噛みつきなどのトラブルの発生を防ぐようにしています。また、自分たちで問題を解決できるように、職員が質問形式で言葉を促すなどフォローをしています。さらに、言葉で表現ができない園児については、お互いの気持ちを尊重した関係が築けるように、お互いの気持ちを職員が代弁するなど支援をします。その他、子どもたちの自主性を育むために、職員は否定的な言葉は使わないことにしています。

登園時に、園児の家庭での様子や健康状態について、園児一人ひとりを視診とともに連絡帳や保護者との会話などで確認しています。降園時には、その日の園児の様子について連絡帳を活用するとともに、どのように過ごしたか、体調がどうだったかなど、保護者一人ひとりに丁寧に説明して伝えています。クラス活動の様子は園だよりやクラスだよりを配布しているほか、玄関では給食の見本、お散歩マップ、感染症発生状況や登園基準、お便り関係がまとめて掲示されており、当降園時の機会を利用して、保護者へ情報提供を行えるように取り組んでいます。

個々の発達の状態に応じて、食事の指導やトイレトレーニングを行っています。実績としては、箸は３歳児クラスの初め頃から、歯ブラシは２歳クラスの後半頃から、使用できるようにしています。進めるにあたって園児の状況を、連絡帳やクラスだより、懇談会、個人面談で保護者と共有し、家庭と連携した支援ができるように取り組んでいます。

年齢により基本的な入眠時間や長さは決まっていますが、体調や日々の家庭での生活状況によって、園児一人ひとりに必要な休息時間は日々違っていることを考慮しながら対応しています。登園時に聞き取った前日からの睡眠状態や登園時間、保護者からの要望をもとに、園児一人ひとりの必要に応じて、入眠時間を調整しています。また、休息をとりたい園児がいる場合は、静かな落ち着ける場所で休息できるようにしています。なお、５歳児クラスの午睡時間は年明け頃から短縮し、２月末からなくし、変わってワークや自由遊びをして過ごすようにしています。

園での活動は、全体的な計画～週日案まで連動性を持たせた保育計画に沿って、日常の保育の中で実践されています。園での玩具は、既製品だけでなく廃材を使用した玩具を準備するなど、園児の想像力を高めたり集中して遊べるように取り組んでいます。園児が楽しみながら集団遊びを行えるように支援する中で、集団活動に入れない園児に対して無理強いをしないで、同じ空間で友だちが楽しく遊ぶ姿を見たり、職員が楽しさが伝わるように声かけをすることで、自ら参加できるように努めています。

毎朝9時30分からのグループタイムでは、「クラスの出席調べ、日付・お天気調べ、手遊び、歌、絵本の読み聞かせ」などを行っており、「ビックブック」(大きな絵本)を、毎日数ページずつ読み聞かせしています。5分から10分程度、職員と園児が言葉のやり取りを行ってから読み進めています。その後の主活動では、0歳から音の出る玩具や歌を歌って、日常でも表現遊びを取りいれています。また、毎月リトミック教室を実施し、音楽・リズムに合わせて体を動かすことを楽しんでいます。

散歩や野菜の栽培などを実施し、季節の移り変わりを感じる機会を設けています。園児が戸外活動で体を動かす楽しみとともに、植物や自然事象に触れる機会とする体験を多く持てるようにするため、自然に関する絵本や図鑑などを用意しています。また、散歩の途中で、図書館で絵本を借りる体験を通して、公共施設を利用するときのマナーを学んだり、安全のための交通ルールも学んでいます。日常の生活の中でも、ルールのある遊びを取り入れてたり、散歩や遊びを通してルールを守る大切さを伝えています。

「夏祭り・ハロウィンパーティー・クリスマス会・おもちつき会・豆まき・ひな祭り会」などの季節の行事や、「運動会・生活発表会」など園児の成長を確認できる行事、その他「入園式・敬老会・お別れ会・卒園式」などを実施しています。運動会や発表会は日々の生活の延長線で開催方法を検討し、園児たちの発達に合ったものをプログラムとして採用するなど、園児たちと一緒に作りあげています。また、5歳児クラスでは区の主催する「なかよし運動会」に参加し、一体感を感じるとともに他園の園児との交流を楽しんでいます。

年度当初には保護者に年間行事予定を配布しており、保護者参加の行事について、事前に予定が確認できるように努めています。行事の前には、プリントやクラスだよりで日程の案内や目的、ねらいなどを伝えるとともに、協力依頼なども含めて保護者の理解を得られるようにしています。行事後には今年度から導入されたICTアプリも活用して、アンケートの結果の収集を行い、分析の上、次回の改善につなげています。なお、運動会や発表会では、保護者が園児の姿をよく見られる環境を整えるために、地域交流会館などの外部施設を活用しています。

日常の保育では、園児が自身の意思を伝えることができるように配慮して、規制されたり強制されたりすることがないよう努めています。そして、職員との信頼関係の中で、時には甘えるなどしながら過ごせるようにしています。集団から離れて一人になりたいときには、園児の気持ちを大切にして、集団遊びを見ていたり、絵本を読んで過ごしたりできるように見守りを行っています。法人の基本理念「関わる全ての人にとって心安らぐ場所ｈｏｍｅでありたい」に基づき、家庭的な雰囲気となるように努めています。

18時15分以降の延長保育時間帯は、1歳児クラスで合同保育しています。その際、園児がそれぞれのペースで落ち着いて過ごせるように、室内をさらに2つのスペースに分けています。また、異年齢の保育の中で、乳児も安心して過ごせるように玩具や遊び方を考慮しています。職員も園児にとって慣れ親しんだ体制となるよう、遅番の担当を固定しています。なお、延長時間が1時間の園児にはおやつ、延長2時間の園児については夕食がとれるようになっています。

0～１歳児は楽しく食事をしながら、個別の成長やペースに合わせて提供しています。また、2～5歳児は職員も一緒に同じ給食を食べながら、会話を楽しむなかで食事のマナーなども伝えています。椅子やテーブルは園児の体格に合ったものを準備し、正しい姿勢で食べられるように調整しています。その他、行事などの際には会食の機会も持ち、バイキングなども実施し、いつもと違った雰囲気での食事も楽しんでいます。

給食献立は園内の給食会議で作成し、旬の食材を取り入れた日替わりの料理を提供しています。また、食の安全性を考慮し、地域の商店から国産食材を仕入れています。行事や誕生会などには野菜の型抜きなど盛り付けを工夫し、視覚でも楽しめる食事を提供しています。さらに、卒園時にはリクエスト献立も採用し、給食が思い出になるようにしています。一方、食物アレルギーのある園児については、配膳の際に専用プレートに名前とアレルゲン食材を添付するとともに、色違いの食器に盛り付けし、調理担当職員とクラス担任が確認しています。

食育計画に基づき、年齢に合わせた食のマナーを身に付けるとともに、野菜の栽培、クッキングに取り組み、食への関心を深めています。調理保育として、乳児クラスでは米とぎ・野菜の皮むき・へた取り等を、幼児クラスではハロウィンでオリジナルパフェを作ったり、クリスマスにはジンジャークッキーの型抜きを体験したりしています。調理器具として、ピーラーや包丁を使う機会もあります。また、2歳児以上のクラスでは、トマト・いちご・ニンジン・ピーマン・ブロッコリー等の栽培・収穫を体験しています。

怪我や危険を防止するために、散歩の際には道路の歩きかたや横断歩道の渡り方を伝えるなど、園児自身が危険防止のために守るべきルールを知ることができるよう取り組んでいます。併せて、絵本や紙芝居を通して、園児が自ら危険への対応を考える機会も設けています。また、感染症が流行する時期には、正しい手洗いの仕方やうがいの方法などを看護師から指導しています。時には手洗いチェッカー等を用意したり、時には人体模型を手作りしたりして、園児の関心を深めています。さらに、歯科医師による歯磨き指導も行っています。

嘱託医による年2回の内科検診(0歳児は毎月)や歯科検診のほか、毎月身体測定を実施するなど、専門機関と看護師や保育士が連携して園児の健康維持に努めています。与薬は基本的にしていませんが、食物アレルギーなどは連絡票を提出してもらい、必要に応じて適切に対応できるようにしています。保護者とは、看護師を含めた職員全員で園児一人ひとりの健康状態の情報共有を行うように努めています。慢性疾患やアレルギー等で健康上配慮が必要な園児については、看護師がまとめた書面を各クラスに配布しています。

入園時に園児の健康管理や病気を発症した際の注意事項と、予防と対処の方法をわかりやすく伝えています。保健だよりでは、季節ごとに流行する感染症や生活習慣の大切さ、健康に過ごすための情報などを掲載しています。感染症が発生した際は玄関に情報を掲示して注意喚起し、感染拡大の防止に努めています。SIDS(乳幼児突然死症候群）については、入園時にうつぶせ寝の危険を説明して、家庭の理解を促しています。午睡チェックの端末（センサー）を採用しており、0歳5分、1～2歳10分、3歳以上30分で呼吸や体位を確認して記録しています。

登降園時の会話や連絡帳、園だよりやクラスだよりなどで園児の発達の目安や成長の様子を伝えることで、保護者と共通認識を持てるよう努めています。また、登降園のときの保護者との会話や個人面談（年2回）の際には、子育ての考えや就労の状況の確認もしており、家庭と保育園の様子を伝えあったり、職員から園児の状況を成長の目安と共に説明することで、情報共有の場としています。さらに、保育参加・参観では、園生活の様子を実際に見てもらっています。特に春の保育参加（参観）は、複数日程を用意して参加しやすくしています。

保護者同士が交流する機会として、クラス懇談会を行っています。クラス懇談会では、園から園児の様子や成長の目安を伝えるとともに、家庭での園児の様子や育児についての悩みや疑問を話してもらい、保護者間で交流できるように促しています。年度末の懇談会では、園児の様子を記録したビデオを上映し、話題が盛り上がるようにしています。

外部講師を招いての英語教室や法人職員によるリトミックを取り入れ、園児が職員以外の人と交流する機会を設けています。英語教室ではネイティブの先生とリズム遊びやゲーム、歌などを楽しんでいます。また、「夏まつり・観劇会・ハロウィン」等の行事に地域の方を招待し、一緒に遊ぶ機会を設けています。さらに、年長児は区内保育園が参加する合同運動会や観劇会へ参加したり、近隣の保育園行事に招待されて出かけたりし、同じ年齢の子どもたちとの交流の幅を広げています。

個人情報の取り扱いについては重要事項説明書に明記されており、入園時に説明し同意を得ています。個人情報の管理については、事務所内から持ち出すことは原則禁止とし、園児の情報を外部とやりとりする必要が生じた際は経営層に申請して承認を得ています。また、園児の羞恥心に配慮した環境として、3歳以上の園児が使用するトイレにはドアを設置しています。着替えに際しては、全裸にならない着替え方を指導しており、プール遊びの準備で着替える際は、男の子と女の子で場所を分けています。

ピアジェの構成論を基に、園児が主体的に考えて行動できるよう、園児のやりたいという気持ちを大切にし、失敗しても次どのようにすれば成功するのかを職員が園児と一緒に考えています。また、園の目指す姿として「一人ひとりの子どもを大切にし、子どもの育つ姿を理解した保育を実施し、保護者への子育て支援をしていきます」とあり、園児一人ひとりを尊重した保育を心がけています。さらに、「職員勤務ステートメント・ブック」をもとに、職員は各家庭の価値観や教育観などを把握したうえで、配慮のある支援に努めています。

虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて理解を深めるために、毎年虐待防止マニュアルをもとにエリア園長による研修が実施されています。職員の言動については「服務規程」に記載しており、自らを振り返る機会も設けています。例えば、否定語は使用しない、あだ名で呼ばない、言葉のかけ方に注意するなどを職員は心がけています。また、虐待を受けている疑いが生じた場合、子ども家庭支援センターや児童相談所など各関係機関と連携をとることとしています。

系列園共通のマニュアルとして、職員の行動の規範、就業規則、虐待防止、安全管理のほか、危機管理マニュアルなどを整備し、事務所に保管しています。また、事務所には保育関係のマニュアル、給食関係のマニュアルも整備されており、提供しているサービスの手順等が掲載されています。職員が、分からないことが起きた場合や、手順に疑問が生じたときなどにいつでも基本事項を確認できるように、マニュアル類はコンピューターの共用サーバーで管理し、各クラスのパソコンからも閲覧することが出来るようになっています。

規程・基準類やマニュアルの改訂を定期的に行い、標準業務の確認と改善を図っています。また、規程や基準類、マニュアルの改訂の際には、職員や関係者の意見が反映されるような取り組むを行っています。定期的な改訂が行われることにより、職員への周知も繰り返し行い、業務の標準化が図られています。