東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

園の理念方針については、西東京市子ども条例を基に、市立保育園としての保育理念に沿い、園として継承してきた園目標を掲げている。園目標については、毎年度の振り返りを通じて、見直しの確認を行っており、年度当初の４月から方針にそった活動を開始している。また、４月の園だより、および全体的な計画にも表示し、保護者に対しても掲示している。さらに、掲示に加え、年度当初の職員会議においては、経営層による年度方針について言葉で伝える取り組みにも期待したい。

市の１０年来の取り組みとして、保育園の民営化の動きと合わせて、公立保育園の役割について、保育園現場から意見をあげていこうということで、本園からも中堅職員が参加して、検討を続けている。こうした中から、緊急一時や障害児保育、地域とのネットワークづくり、虐待の防止など、切れ目のない子育て支援をつくっていく核になろうという考えを持っている。推進委員会の活動として、公立保育園が継承していきたいものを、言葉と形で残そうとしている。

職員会議は、園全体の運営に関わる基本的な方向を検討し確認する場として設定しており、月２回開催し、対象は正規職員である。多様な働き方が認められている中で、時間の制約等が大きいことから、全ての職員が出席して検討できる会議の開催は困難な状況にあり、「フリーミーティング」「ヘルパーミーティング」など別立てで会議を行ったり、伝達による情報共有を行っている。今年度から新任となった経営層は、今後一層、多様な働き方の職員の気持ちを１つにするための方策を模索している。

西東京市の長期計画（わいわいプラン）における子育てや保育の方向性を受けて、園でフォーマットを工夫し、中長期計画を作成している。公立保育園の果たす役割推進委員会での検討を踏まえて、平成３１年度から令和５年度までの中長期計画を作成している。委員会の検討もふまえて、中長期の柱を、保育の質の向上、リスクマネジメント、危機管理、給食調理作業委託、公立保育園の果たす役割推進委員会への対応として、取り組み内容を一覧にしている。

保育園の運営を方向づける計画として、事業計画および事業報告書の作成を行っている。作成にあたっては、年度末の年間の反省をした後に報告をまとめ、次年度の計画につなげている。年度末に園長が事業計画の大きな方針にあたる部分の下案を作り、年度が替わってから詳細を完成させている。なお、事業報告書については、計画書と構成上の整合をとり、計画内容に対する質的量的な分析の記録を追加したい。また、年間計画に対して、各セクションで半期反省を記録しており、これらが事業報告につながることを期待したい。

利用者意向については、行事後のアンケートや保護者会アンケートなどで利用者のニーズや意見を把握し、職員会議や実行委員会、係の検討で課題や次年度への申し送りを行い、次年度の計画に反映している。地域の状況については青少年碧山育成会に毎年参加し、園内ミーティングなどで様子を報告している。また、園に併設された地域子育てセンターに来訪する子育て家庭の様子などからも保育ニーズを把握している。

苦情解決制度については、園のしおり（重要事項説明書）に明記し、入園面接時や年度当初の全体懇談会などで周知している。玄関にはご意見箱を設置しており、近隣からの苦情については、対応した上で、改善策や要望を玄関入口に掲示し、保護者への協力をお願いしている。寄せられた意見は、職員に周知し、対応を検討し、内容に応じて市の担当課に相談し、経緯を含めて説明をしている。

本園は、基幹型保育園として地域子育て支援センターを併設し、園庭やひろば開放、離乳食講習会、健康講座などの育児支援を行っている。職員会議は合同であることから、内容によっては連携して取り組み、地域型保育園への応援を行っており、地域事業「のびのび」を通して、地域型園、児童館と連携し各施設の特長を生かした事業を行っている。また、本園は、福祉避難施設の位置づけとなっているが、避難訓練も地域の小規模園を誘い、日頃より交流を深めている。

年３回、青少年碧山地区育成会に参加し、地域の子どもたちの様子、各団体の活動について意見交換をしている。次世代育成の観点から、実習生、ボランティア、中高生の職場体験などを保育課、市のボランティアセンターを通して積極的に受け入れている。当園の特徴として、ごみ減量推進課と連携して、環境教育にも力をいれ、廃材をつかった作品制作などに、ごみ減量推進課の協力のもとに取り組み、リサイクル体験を通して自然環境に親しむ機会を提供している。

公立園全園の取り組みとして、副園長、看護師を中心に、各部署１名からなるリスクマネジメント会議を月１回実施している。そこでは、リスクマネージャーを中心にインシデント・アクシデントレポートを活用して、身の回りの危険について再確認し、子どもの個々の状況を踏まえて安全な環境づくりに配慮している。フローチャート訓練では、訓練実施後に、振り返りを行って職員会議で報告して気付きを共有している。保育園の安全管理については、平常時の危機管理として予防の為のチェックリストを用いて、年２回の行動の振り返りを行っている。

西東京市版事業継続計画は、多摩直下型地震でマグニチュード７．３を被害想定として、保育園が取り組むべき任務を被害発生時から事業の復旧までを見通して明らかにしている。園では、その内容を踏まえて、職員安否確認システムや、安心伝言板などを活用して減災、早期再開ができるように取り組んでいる。特に、本園は福祉避難施設に指定されているため、マニュアルに沿って、在園児の保育と福祉避難所としての対応の任務を負っている。

個人情報の取り扱いについては、入園面接や全体懇談会において説明し、同意を得ている。実習生、ボランティア職場体験の受け入れにあたっては、オリエンテーション時に「保育園で働くということ」について資料を用いて説明、署名をもらっている。また情報セキュリティ研修に参加した職員を中心に、園内研修で周知を図っている。個人情報の開示については、個人情報保護条例、同要綱に基づいて対応している。

正規職員に対しては、西東京市の公務員としての人材像を市で作成し、職員に明示している。市として、西東京市の保育人材の階層別目標（キャリアパス）を作成し、その中で、必要な人材像と育成方針を明らかにしている。こうした取り組みを背景にして、市の副園長会において、３期（年）計画の研修計画を立て、主要テーマとして人権、一人ひとりを大切にする保育、マニュアルの再確認をかかげ、市全園で取り組んでいる。

西東京市で子ども条例を作ったことを受けて、今年度は、市全体の動きにも配慮し、人権・子どもを大切にする保育をテーマに園内研修を実施している。また、昨年度には、障害児保育をテーマにして、職員が参加した研修にヒントを得て、障害の疑似体験を行う研修に取り組んだりもしている。研修に参加した職員は必ず研修報告を作成し、職員会議などで報告しているが、参考になる事例がある場合には、園内研修として取り入れている。

経営層は、職員組織としては、前例踏襲ではなく、自分達で考えて行っていく意識を持てるような職員育成を進めたいという考えを持っている。職員会議においては、意見が言いやすい雰囲気を大切にしたり、職員がそれぞれ役割を発揮できるよう、様々な工夫を行っている。多様な雇用形態が共存し、シフトの影響で職員全員が一堂に顔を合わせる機会が持ちにくい中で、常勤、非常勤、臨時職員等の枠を超えて職員がそれぞれの力を発揮し活発に連携しあえることをめざしている。

保育園の情報は市ホームページの他、市報、保育・教育施設等案内（冊子）、保育施設入園のご案内（冊子）、園のリーフレット等にて提供している。保育園利用希望者が保育サービス内容を把握したり、保育園を選択する際に必要な情報や手続き等、活用しやすいよう配慮している。園に備えているリーフレットには園の所在地、マップ、市立保育園の保育理念、園目標、施設概要等、園周囲環境の特色、季節を感じながらのびのびと四季折々に合わせた特色のある年間行事、多彩な地域との関わりなどを記載し、必要に応じ配付している。

随時更新している市のホームページは入園を希望する保護者が必要に応じ、入園に関わる手続きなど、より詳細にわかりやすく掲載している。また外国籍の保護者へは外国語の市報や音声案内を提供する等、活用しやすい配慮をしている。入所状況を毎月、市の担当課へ報告し、市のホームページでは園の空き状況を見ることができる。併設する地域子育て支援センター、市の担当課、子ども家庭支援センターとの情報交換や課題の検討をする等、保護者の育児と就労を応援できるよう子育てに関わる機関との連携に努めている。

園の利用希望者の問い合わせには丁寧に対応し、随時受け付けている保育園見学は希望の日時等、できるだけ要望に添えるように心がけている。園のリーフレットを配付し、園長または副園長が担当し、緑に囲まれた保育環境で年齢に応じた多彩な体験をしている子ども達の状況を見ながら、併設する地域子育て支援センター等、園の特徴を説明している。個別の状況に合わせ利用者が必要としている支援や質問等にも一つひとつ丁寧に対応し、看護師、栄養士も必要に応じ対応できる体制が整えられている。来園者カードの記載を依頼している。

担当課から保護者へ入園面談に関わる日時や必要書類が送付され、それに従い入園前面接は個別に保護者と入園児の面接を実施している。「園のしおり・重要事項説明書」をもとに市立保育園の保育理念や保育の目標、新しく始まる園生活の保育内容や必要な基本的なルールの説明をし、クラス別に園長、保育士、看護師、栄養士が面接を行い、保護者の意向を確認している。入園に関する重要事項の説明を受け、面談内容の理解を得る入園時面接シートで確認し、行事や活動の様子を知らせる写真の園内掲示やおたより等への掲載同意を得ている。

入園面談で得られた子どもの保育に必要な情報は保護者が提出する必要書類及び面接時の新入園時記録（児童調査書、健康意見書、食事調査書等）で把握し、児童票等に記録している。職員会議で情報を共有し、子どもの食事や睡眠、心身の様子などの情報を保育活動にいかしている。保育開始時は新しい集団生活環境で過ごす子どもの不安な気持ちを受け止め、保護者の意向も取り入れ、徐々に慣れるための期間を設けている。保育時間や食事等を調整し、職員のシフトを調整する等、子どもと保護者の気持ちを和らげ、安心する配慮をしている。

途中退園や転園についての情報は職員会議で周知し共通理解のもとに対応している。新たな園へ転園する保護者へは丁寧に対応し、不安なく退園でき、気軽に遊びに来られるなど行事（夏祭り）のお誘いハガキを送付している。転園や途中退園時には園での思い出となるお別れ会や在園中の制作品を添えてプレゼントし、温かく見送っている。市内公立保育園へ転園する場合は転園児書類受け渡し書にて成長記録が継続する配慮をしている。退園後も関係機関との連携や継続して相談が受けられることも伝え、保護者が安心できるよう努めている。

子どもの発育・発達状況や子どもを取り巻く生活環境等については入園時に保護者が記入し提出する所定の書式で把握し、日常の園生活については所定の個人ノート（０～５歳児の連絡帳）への記録や送迎時の対話、クラス懇談会等で家庭での過ごし方などの生活状況を把握している。子どもに関わる事項は児童票、保育日誌等に記録している。家庭の方針及び園への要望等は保育参観や参加、個人面談を設け、定期的にアセスメントを行い、課題の明確化をはかり、一人ひとりにふさわしい生活の場となるよう定期的に振り返り、保育の継続につなげている。

教育及び保育の内容に関する「全体的な計画」は市の保育理念を基に園目標や０歳児～５歳児の子どもの保育目標等を定め、細やかな対応により気持ちが満たされ、心の安定を図る養護と子どもの成長・発達を促す教育の領域（健康、人間関係、環境、言葉、表現）を含め、作成している。全体的な計画をふまえ、年・月・週・日案の指導計画は０～２歳児と配慮を要する子どもは個別に、３～５歳児は年齢別に立案している。「全体的な計画」は玄関掲示の他、子どもの発達を見通す保育計画はクラス目標として各クラス掲示し、保護者と保育を共有している。

子どもの発達過程は定期的に児童票に記載し、日々の生活の様子や具体的な活動については子どもの育ちを捉え、個別月案、保育日誌等に記録し職員会議で共有し、指導計画立案時等、必要に応じ活用している。職員はシフト制勤務のため、その日の子どもの状況（体調や家庭からの伝言等）は各クラスの登降園表、朝のミーティングノートで全職員の情報共有が図られている。定期的に行う職員会議で連絡事項、各クラス子どもの現状報告、行事取り組み確認事項等を共有・周知して、子どもと保護者への配慮に努めている。

一人ひとりの子どもを取り巻く生活環境は入園時の発達過程を知る書類一式、日々の連絡帳、個人面談等で発育・発達、家庭状況を把握し、子どもの全体的な姿を捉えている。保育目標に応じた年齢別指導計画のもと、子どもが主体的に意志を持ち、様々な遊びや経験を通し、友だちとの関わりや会話を楽しめるよう一人ひとりの発達に応じた保育に取り組んでいる。室内の玩具や絵本等は子ども目線に整え、絵本コーナーも配置され、遊びを自ら選択できる工夫もみられ、遊びができる物や物の配置、働きかけで更に遊びが広がる環境を整えている。

温かい雰囲気の集団生活は発達の特性を踏まえ、年齢別のクラス編成（０歳児～５歳児）で穏やかに過ごしている。０歳児室は食事、遊び、睡眠が充実し、月齢に応じ落ち着いて過ごせる配慮をしている。合同保育では自分と異なる存在を知り、季節の花が咲き、砂場や鉄棒、雲梯（うんてい）のある園庭での遊びなど恵まれた自然環境の中で、楽しく遊びながら学び交流する環境を整えている。年齢に応じ、主体的に取り組んだ絵画や制作物の掲示や展示をすることで明日につなげる配慮や遊びが楽しく展開していく気持ちを見守り支えている。

自分の言葉で表現する力の発達段階にあり、特別な配慮が必要な子どもについては信頼できる身近な人の会話を介して周囲と関わり、子どもの主体性を援助しながら同年齢クラスの保育を行っている。市の巡回相談等のアドバイスを参考に個別指導計画を作成している。人・物との出会い等、多様な経験や自我の発達に伴う、子ども同士のトラブル、かみつきは共に育ちあえるよう場面に応じた会話で対応をしている。５歳児の就学に向けては今年度、小学校と交流する機会ができたことをきっかけに継続するよう制度的に交流できる仕組み作りを進められたい。

登園時は「おはよう」の挨拶を交わし、子どもの体調の様子を聞き取り、各クラスの登降園表や個人ノート（０～５歳児）を確認し、看護師は健康観察を行い、子どもの心をしっかり受け止め、子どもの生活にふさわしい生活リズムが継続する配慮をしている。降園時は日中の活動等の様子や気に入って遊んだ姿や友達同士が関わり合う成長した姿などエピソードを交えて個人ノートに記入している。また、保護者には必要に応じて子どもの様子を口頭でも伝えている。更に取り組み状況や活動の見える化につながる写真を掲示ボードに掲示している。

生活に必要な習慣がわかり、一日の生活の流れが見通せるよう年齢に応じた配慮をしている。食事、排せつ、睡眠、衣類の着脱、手洗い・うがい・歯磨き等、身の回りを清潔にする習慣を家庭と常に連携し、積み重ねが習慣となるよう一人ひとりの子どもの発達に合わせ取り組んでいる。生活の中で自分の体を大切にしようとする気持ち、おむつ替えや着替えで、さっぱり感が育つよう、子どもの意欲が芽生え始める適切な時期に場面を捉え、自分でできることの喜びや自信を持つことができるように援助しながら、自分でしようとする意識や姿勢を見守っている。

午睡や休息は毎日の活動が楽しく、健やかに過ごせるよう保護者と協力し、子どもの一日の生活を見通し、年齢や個人差に配慮している。また、５歳児には適度な休息の大切さを伝え、就学に向けた対応をしている。眠れない子どもや早く目覚めた子どもへの対応は一定時間静かに絵本を見る等、静かに過ごせる配慮をしている。保護者には午睡の様子と子どもにふさわしい生活リズムが崩れないよう帰宅後の就寝時間への留意も伝えている。

「いきいきあそぼう」の保育目標のもと具体的目標「すきな遊びをみつけて、友だちと一緒に遊べる子」「自分の気持ちをしっかり出して、相手に伝えることのできる子」「友だちへの思いやりの気持ち、やさしい気持ちを持てる子」に沿い、クラス別の目標に向けて、様々な可能性を秘めた子どもの感性や好奇心、集中して取り組む力を育み、子どもたちが自発的に活動できる発達の援助をしている。戸外遊びでは友だちと身体をたくさん動かし、室内では静かな活動で癒されるコーナー、ある程度動きのある遊びができるコーナー等、空間活用の工夫をしている。

地域の恵まれた自然環境を活用して近隣の公園では四季折々に季節が移り変わる自然の面白さや不思議さを体感している。ドッジボール遊びで思いっきり全身を動かし、虫探しでは探求心から飛び出す言葉や会話を受け止め、園庭に咲く季節の花で色水づくりの不思議さの会話のやり取りをしながら戸外で遊ぶ心地よさを十分に、楽しむ体験をしている。ルールのある遊びでは心身の発達に伴う些細な意見の食い違いや取り組まず反抗する子どもの気持ちを受け止め、集団として相手の気持ちを認め合いながら遊び、仲間意識が育まれる関わりをしている。

グループごとの劇ごっこを行う際は題材など活動内容を子ども同士で意見を出し合い、劇で使用する小道具づくりを行うお楽しみ会では人との関わりが深められ、様々な感性が育まれ、集団活動が豊かに展開する関わりを楽しんでいる。楽器遊びやピアノの音に合わせた動きを表現するリズム遊びなど多彩な表現を楽しむ保育に取り組んでいる。所有意識が高まり、遊びの中で順番を待つ等、自我の発達に伴う様々な思いを受け止め、見守り、情緒の安定を図り、楽しさの幅を広げ、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を目指し保育の工夫をしている。

行事が特別な日ではなく保育の一環として参加し、楽しむことができる日になるよう子どもたちの意欲を大切に、目的を持ち企画している。毎年恒例の好きなダンスや競技、日常の好きな遊びの中で音楽に合わせた遊戯や踊りなどを積極的に取り入れ、無理なく楽しい日となるよう取り組んでいる。子ども同士が楽しむ季節的な行事（七夕集会等）や子どもの成長した姿がみられる誕生会、夏まつり、運動会などを実施している。子どもたちの楽しむ姿や一生懸命頑張る姿を通して、成長などに気付く機会となっている。

目的を定めた行事は日々の保育活動で取り組んできた中から活動内容の検討や環境設定をし、楽しい経験を重ね、相手を思う気持ちを育み、やり遂げた喜びが体験できる等、様々な力が身につく援助をしている。幼児クラスの保護者が参観するお楽しみ会では保護者を前にクラスらしい姿を表現する劇を披露し、保護者の思い出に残る行事となっている。運動会では年齢に応じた競技や一人ひとりのやる気が引き出され、一緒に力を合わせることの難しさを感じながらも一生懸命表現し、「できた・見せた」という気持ち、喜びが持てる取り組みを行っている。

行事には多くの保護者を含む家族が参加しやすいよう、また、子どもと一緒に楽しいひと時を過ごす大切な時間となるよう配慮をしている。保護者が参加する行事については年度初めに年間行事予定表を配付し、保護者参加行事（運動会、夏まつり等）は子どもと一緒に楽しめるよう配慮をしている。行事前には掲示や園だより、クラスだよりで、「おうちの人に見て欲しい」という子どもの思いや練習に取り組む子どもたちの姿を知らせ、保護者も子どもと一緒に意欲的に行事を楽しめるようにしている。

長い時間保育園で過ごす子どもの保育は日中の保育活動内容と疲労度とのバランスに考慮し、安心して落ち着いて過ごしながら異年齢の子ども同士の交流が穏やかに育まれる取り組みをしている。気持ちを切り換え、温かな雰囲気で、子どもの希望に合わせて、少人数で楽しめるブロックや好きな折り紙を使って制作や遊びをしたり、日中の保育ではなかなかできない職員と１対１で落ち着いて絵本を見る等、くつろげる場で安心する関わりをしている。

保育時間の長い子どもの保育は、子どもの生活リズムや心身の状態を把握し、安心して充実した毎日を過ごせるよう配慮している。保育形態が時間帯で変わり、職員の入れ替わりがあるため、引き継ぎ時に日中の子どもの様子は個別ノート、登降園表等で確認し、職員間で情報の伝達を確実にしている。保育が延長保育へと引き継がれ、子どもが安心して過ごした人数は早番、中遅番、遅番申し送り簿に記載している。子どもの過ごし方など保育が継続するような記録を進められたい。降園時、保護者へ口頭で子どもの姿を伝え、子育てを応援する声かけをしている。

給食は乳幼児期の栄養摂取量に合わせ、栄養バランスに心がけた献立を毎月作成している。年齢に応じた給食は園内調理で、安全な食材、季節を感じる旬の食材は可能な限り地場産を使用し、視覚や味覚で楽しめる盛り付けで、健康な毎日を応援するメニューで提供している。友だちと楽しく食べる環境を整え、行事食は行事がイメージできる献立に特別感を持たせ提供している。テーブル・椅子は子どもの年齢、体格に合わせ正しい姿勢で食べる配慮をし、栄養士は子どもの喫食状況を観察し、献立や調理の検討工夫をし、当日の給食を展示している。

離乳食は子どもの月齢や体調、保護者の要望等に合わせ、味覚形成や咀嚼が育まれるよう配慮をしている。体調により食欲が低下している時には消化しやすいよう配慮をし、喫食量を調整するなど、子どもが喜び、美味しく食べる工夫と配慮をしている。食物アレルギー対応は医師の診断書を受け「アレルギーガイドライン」に沿い、代替食、除去食など個別に対応し、座る位置などを工夫し、誤配膳、誤食に留意することで個食にならない配慮をしている。必要に応じ保護者を交え、担任、栄養士、看護師と除去の状況など、細かな話し合いを行っている。

給食年間計画の主な目標「食べる意欲を大切に”食”の体験を広げよう」「マナーを身につけよう」に沿い、望ましい食習慣の定着と食を通して心身の健康を目指す紙芝居の読み聞かせや食事のバランスについて等、栄養指導を計画的に実施している。幼児クラス担任と連携し、年齢に応じて旬の食材に触れることから素材の名前を知り、調理（野菜をちぎる）する楽しさを知り、年齢毎の活動計画に沿った料理保育で食材の取り扱いや調理器具、食器の扱い方を知る等の調理に関わる体験を通して食を育んでいる。夏野菜の栽培活動は収穫までの体験をしている。

保健年間計画を立案し、健康で安全な生活を自分自身で作り出す力が育まれるよう健康教育年間計画を作成し、年齢に応じた保健指導や危険を回避する方法を知らせる健康教育を行っている。戸外活動時の道路の歩き方、公園内で遊ぶ時のルール、遊具の使い方など安全についての留意点は担任と協同し行っている。健康な心と体を育む基本的な衛生の習慣（歯磨きや手洗いなど）はなぜ身につけることが大切なのか、保健計画に沿い保育と連携し、実施している。看護師は子どもの健康維持増進、病気予防と早期発見、衛生管理の配慮に努めている。

子ども一人ひとりの健康状態は入園時に提出の各種書類や嘱託医による定期健康診断（０歳児毎月１回、１～５歳児年／２回）、歯科検診、耳鼻科検診、眼科検診年／２回、毎月の身体計測、看護師の健康観察や保護者から体調についての連絡などで把握・記録し、心地よく、健やかに園生活が送れるよう努めている。健診（検診）や計測結果は一人ひとりの健康ノートに記録し、保護者と子どもの健康状況を共有している。医療的ケアが必要な場合は医療機関及び嘱託医と連携することや発熱時の対応、園での与薬が必要な場合の対応は仕組みに従い実施している。

入園面接時に入園のしおり説明と合わせて乳幼児突然死症候群（ＳＩＤＳ）の予防のための説明をしている。日常の園生活では室温や換気に留意し、０歳児は５分毎の呼吸状態に合わせて体位、顔色を同時に確認し、睡眠時チェック表に記載している。１～２歳児は１０分毎に睡眠状態を観察している。看護師は全体保護者会、０歳児懇談会に参加し、感染症予防対策や生活リズムを整える大切さ等の情報の提供をしている。また、毎月保健だよりを発行し、玄関入口に感染症罹患状況（病名を記載）に合わせた保健指導、感染予防の掲示をしている。

保護者との信頼関係の構築、維持に向けて、保護者が安心して子育てと仕事の両立ができるよう延長保育、障害児保育、アレルギー児対応、外国人児童受け入れ等、個々の事情に配慮する支援をしている。日常の送迎時や個別ノート、個人面談、クラス懇談会のほか、保護者の意向や要望などを把握する「ご意見箱」を園内に設置する等、保護者の意向や要望の把握に努め、適切な対応につなげている。子育ての相談や保育時間の変更など、保護者の就労や家庭の事情等に配慮し、可能な範囲で快く対応している。

保護者同士の交流の場として、夏まつり、運動会、幼児組のお楽しみ会、懇談会などを実施し、できるだけ多くの方が参加しやすいよう日時等の配慮をしている。保護者会（保護者が主催する会）活動の支援や日頃ゆっくり話す機会が少ない保護者同士が気軽に話し合える雰囲気づくりをしている。職員も子どもが様々な活動を通して育つ姿や心身の発達の姿、小さなエピソードを保護者に知らせ、喜びや充実感が感じられるよう取り組んでいる。また、保育参加、参観ができることを説明し、子育ての自信や意欲が高められるよう支援している。

日々の送迎時の対話や連絡帳などを通して子どもの発達や育児についての相談は保護者の状況を踏まえ、保護者に寄り添い一緒に考え、共に育ちを共有する対応をしている。子ども一人ひとりの家庭と園との共通認識を深める、年／１回の個人面談（適宜に相談が受けられる配慮をしている）や保育参観、参加後は栄養士による食育に関わる話や栄養相談を受けている。また、年/１回保育園が提供する給食の試食会を行っている。保護者会とは情報交換を行い、保育環境について共通認識する機会を設けている。

恵まれた自然環境の中、地域に開かれた基幹型保育園（社会資源）としてまた、併設する地域子育て支援センターとして近隣の様々な人や機関と連携し、共に育ち合い協力する環境が整えられており、多様な体験や交流を楽しみ、子どもの感性を豊かにしている。今年度から近隣の福祉施設の高齢者との世代間交流も始まり、近隣の農家が栽培しているジャガイモ畑でワクワクしながらジャガイモを掘り出し、収穫物は園庭にかまどを作り、料理保育のカレー作りの食材にし、収穫の喜びと楽しさを味わっている。地域資源を活用した体験は五感を育んでいる。

園は地域との関係が意義ある活動となるよう併設する地域子育て支援センターと連携し、地域活動を計画的に実施している。地域子育て支援センターとしての年間目標、ひろば事業等の年間目標のもと、関係機関（市民の健康に関わる課等）と連携し、子育て広場や在宅子育て支援事業を行っている。警察署、消防署、市ごみ減量推進課と連携を図り、子どもたちは様々な訓練やリサイクル活動の体験をしている。市のマスコットキャラクターを夏まつりの催しに参加を依頼し、ふれあいを楽しみながら地域と関わり、地域の一員として多彩な感性を育んでいる。

保育業務の基本として個人情報保護法及び関連法令に基づき、保護に努め、個人情報の取り扱いは入園に関する事項の説明時に「個人情報の取り扱いについて」を保護者に説明している。市の「個人情報保護条例」に基づき、外部の公的機関等とのやりとりでも、虐待等に関する関係機関等への照会・通告をする場合を除き、必ず保護者の同意を得るよう全職員が周知している。ホームページへ行事等の子どもの写真掲載や園内写真掲示、掲載は、入園時に保護者の意向を確認して同意を得ている。また、必要に応じその都度掲載について確認同意を得ている。

身につけてほしい羞恥心は子どもの発達のプロセスや個性、自尊心を大切に「はずかしい気持ち」が育まれるよう職員全員が共通認識を持ち対応している。日常の保育の中で衣服の着脱は外からの視線に配慮し、裸にならない着脱方法を教え、プール活動時の着脱は外部の視線に留意し、トイレは仕切りで隣同士が見えない配慮をしている。おむつ替えは周囲の視線に配慮し場所を決め行っている。虐待防止については研修会で得た知識や必要な情報を職員会議等で共有し、対応マニュアルに基づいた行動ができるよう確認している。

保育理念や園目標に沿い、日々の様々な場面を捉え、子どもの伸びる可能性を大切に、思いやりや友だちと一緒に楽しく遊び、日常保育の中でその子らしさを大切に一人ひとりの主体的な活動を見守り、援助をしている。子どもの権利や子どもに最善の利益となるよう子どもの心に寄り添い、また、保護者の子育ての自信や意欲が高まる対応をしている。子どもと保護者の培われた価値観や生活習慣は、生活環境全体を把握するとともに、家庭での生活と園での生活の連続性に配慮し、共に育てる支援をし、必要に応じ、関係機関と連携する仕組みがある。

保育業務に関する基本的な事項を定めた保育マニュアル（保育園運営管理規程）は園の職員として運営に関することから専門職としての基本業務を明文化し、一定の保育業務に携わりサービスの基本事項や手順が確認できるよう事務室と各クラスに常備し、保育業務で迷った際にはその都度マニュアルの確認や副園長の指導を受け保育実践のスキルアップに努めている。マニュアル類は市担当課危機管理マニュアル、保育園の安全管理マニュアル、保健業務や栄養士業務マニュアル等、園の職員として一定のサービス内容で提供できるよう作成している。

保護者対応などのサービス基本事項を含め、公立園共通のマニュアルの改訂や提案される事項については関係する会議で検討をし、社会情勢や環境変化に対応するよう必要に応じて改訂・改善をする仕組みがある。子どもの姿を踏まえて日常の保育の質の向上に反映するよう改善に努めている。市としての共通の保育マニュアルはなく各保育園の創意工夫にゆだねられ、検討が進められている。保育サービスの質の向上につながる「保育の質」ガイドラインが共通の手引書となるよう期待したい。

市や関係機関からの通達、地域や園の情報などは職員会議などを通じて職員間で周知・共有している。地域に向け、専門性のある情報発信をすることを目指し、地域内の関係機関や併設している地域子育て支援センターと連携し、地域の在宅子育て支援を行っている。食事、健康、遊びなどの事業や広場開放等に取り組み、保育内容のスキルアップや日常の保育にも反映されている。保護者会（保護者主催の会）独自で取り組む保護者アンケートに園として回答し、また、その集計結果を受け、誠意をもって対応し、保護者と友好的な関係を構築している。