東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

保育理念「未来に向かう『生きる力』を共に育む」及びこれに連なる保育方針・保育目標が、昨年度施行の保育指針を踏まえて系列全園で定められるほか、企業理念に「快適」「自律」など社員・保育者としての五つの規範が謳われている。これらをホームページで発信するほか、職員には社内や園での各研修、毎月のミーティング（以下「ＭＴ」）での企業理念の唱和などにより、保護者には見学・入園時や年度当初の保護者会での説明などによって理解と周知を図っている。また前述の保育理念・方針等をもとに、「子ども中心の保育」を園目標に定めている。

園長の職責が「社員としての心得」、園長・主任の職務内容が「園マニュアル」にも記載されるほか、経営層を含む各職位の決裁権限が保育・情報共有など分野別に書面に一覧化されており、これらを職員に配付して経営層の役割と責任を示している。経営層は日々の各種決裁や職員への指導など、その職責の遂行に努めるとともに、上記の理念・方針等や園目標を踏まえた保育の実践、職員間の連携強化などを重点課題とし、各専門職や非常勤職員を含め、現場との協力のもとで、日々の園運営や保育提供にあたっている。

常勤者及び出席可能な非常勤者によるセンターＭＴを概ね毎月行うほか、園長・主任及び各クラスリーダーによるリーダーＭＴを必要に応じ実施しており、園内の各種案件の検討や系列園共通の各種通達・連絡の共有は、内容や緊急性に応じこれらの場で行われている。各ＭＴでの決定事項等の欠席者への周知は、記録の確認や欠席者等には出席者からの直接の伝達により行うほか、毎日設ける昼礼でも必要な情報が随時職員に伝えられている。保護者には各種書面の配付や主に玄関で行う掲示等によって各種決定・変更等を伝えている。

行事後のアンケートのほか、保護者会・懇談会や各クラスの保護者代表が出席する運営委員会での意見交換などから保護者の意向を把握し、保育参加では例年の意見をもとに実施の曜日や期間を見直し、好評を得ている。職員の意向は、本社によるウェブアンケートのほか、上記の各ＭＴや定期的な個別面談などから把握し、後述の各種子育て支援利用者に行う各回終了後のアンケートから感想などを把握して、企画の参考としている。園の予算や収支など経営状況の管理は、本社が園の状況を踏まえて行い、消耗品費など一部経費や小口の支出等を園が管理している。

区の私立園長会や幼・保・小の連絡会、各種子育て施設・団体等が集う会議などを通じ、区内の福祉・保育の状況や行政・業界の動向を把握し、社内の園長会や発信物、行政の各種通達などからも情報を収集している。また「中期事業計画」を策定し、昨年度から3か年の保育・人材育成・安全管理など5分野の重点実施項目をはじめ、当面の園運営の方針を示している。計画は本社作成の共通様式によっており、「子ども中心の保育」「コーディネーション運動」など、当園独自に注力する各取組について、より具体的に方針や活動を定めることも一考されたい。

年度の事業計画には系列園共通の保育方針のほか、園目標「子ども中心の保育」や注力する「コーディネーション運動」、職員間の協力体制の確立といった園の重点課題、職員の配置と役割分担や各会議の体系、保育や保健・安全面の年間予定をはじめとする園運営の全体像、中期計画の具体化としての年度の取組事項などを記載している。また保育・行事その他の現場の実務について、年間及び短期の各計画が作成され、目標・ねらいの設定や「プランニングシート」による行事の準備の進捗管理などにより、各活動を実行し、成果につなげることに取り組んでいる。

全職員配付の手引書「社員としての心得帳」「保育の実践」に、社会人としての各種心得や子どもの人権・尊厳を顧みない不適切な言動の禁止、守秘義務など、保育者として守るべき倫理・規範が示されており、年度開始時の園内研修でこれを確認するほか、入職時の本社による研修でも関連する啓発がなされている。また毎回のＭＴで前述の理念・方針等を唱和することで、職員に望まれる姿勢や子どもとの関わり方を日々確認するほか、昨年度には保育士団体作成のチェックリストをもとに、子どもの人権擁護について職員による自己点検と話し合いを行っている。

玄関に「ご意見箱」を設置するとともに、苦情等の受付窓口の案内を掲示し、入園時の説明や保護者会の際に保護者へ周知を図っている。また日々の保護者との会話や連絡帳の交換、定期的な個別面談を通じて各保護者の意向・要望等を把握し、必要に応じＭＴ等で検討のうえ、案件に応じた対応や改善を行っている。児童虐待への対応に関しては、地域の関係者会議や各種報道等で伝えられる事例を昼礼などで共有し、現場での早期発見につなげるほか、本社策定のマニュアルや関連する区主催の研修の内容などについても、今後ＭＴ内で啓発を図る予定としている。

園内や入居する商業施設内の区の子育てサロンで、地域の親子が手遊び・歌や絵本、各種制作などを体験したり、夏祭り・運動会等の行事に参加したりできる機会を設けている。またこれら各イベントの広報を商業施設内で配布・掲示するほか、本社ホームページや足立区の各種媒体でも園の情報を発信しており、今後のボランティア・実習生の来園に備え、受け入れ手順書や機密保持等の誓約書様式を常備している。地域内の保育・子育てや要保護児童対策に関する各会議、毎月の区の私立園長会など、関係機関との会合にも複数加わり、連携を図っている。

睡眠・食事・水遊び中の重大事故を系列園共通の最重要リスクと位置づけるほか、これ以外の保育中の各種事故・ケガ、災害・侵入など優先度の高い各リスクに対して、予防や再発防止、発生後の適切な対応のための対策を行っている。毎月の防災訓練を発災の場所・時間や原因をさまざまに設けて実施し、災害時の保護者との連携、不審者の侵入と放火への対応なども確認している。また園内各室各所の安全点検や誤飲の危険のある玩具の排除、睡眠時・溺水時といった各種ケースでの呼吸停止状態を想定した毎月の心肺蘇生訓練など、さまざまな取組を行っている。

保育中の子どものケガ・ヒヤリハットは、発生のつど原因・対策検討を行い、内容に応じ所定の様式に記録するとともに、ＭＴや昼礼での報告や休憩室での掲示により職員間で共有を図っている。中でも加療を要したものなど重要な事例は複数の観点から分析を行って再発防止につなげる「ＳＨＥＬＬ分析」を行うほか、ヒヤリハットを各職員が原則毎日1件報告する決まりとするなど、組織的なリスクセンス向上に取り組んでおり、当園を含む系列各園の事例を集約し、全園への注意喚起やマニュアル改訂等に活かす仕組みも設けられている。

園内の書類・データや各種情報端末は、本社が取得している個人情報保護に関する認証規格に基づく管理がなされ、所定の保管庫での書類の施錠管理、各端末へのパスワード設定とその定期的な変更、職位に応じた端末使用やデータアクセス等の権限設定、それら情報管理全般の運用に関する定期的な点検など、情報漏洩防止の徹底が図られている。職員には入職時の教育と誓約書提出、毎年のテスト実施などにより、情報の適切な利用と管理が促され、保護者には入園時に個人情報の利用目的や開示請求対応等について、書面による説明と同意確認を行っている。

本社・東京本部が首都圏各園の状況を集約し、本社専用サイトや各種就職フェア・人材紹介企業等の活用、養成機関へのアプローチなど、年間を通じた職員募集の活動を行っている。配属や異動は東京本部、園内の配置は園経営層による決定とし、それぞれ園内の状況のほか、各人の希望や経験、期待される成長などを考慮して判断がなされる。今年度本社が新卒者から園長級までの各職位に求める判断・行動や専門性を一覧化した「キャリアマップシート」を策定し、園内では昼礼での報告と休憩室での供覧によって各職員に確認を促している。

年度の事業計画書中に、職位・職種別の社内の研修・会議の計画が記載され、社内研修については職位・経験や職種に応じて出席が課され、必要な研鑽が積まれているほか、保育指針改定等に関する全体研修も実施されている。また各職員の自己評価をもとに園長が面談を行い、年度の課題・目標の設定と達成評価を行う仕組みが設けられているほか、保育や子どもの発達、保健・安全等に関する社外の各種研修にも随時職員を派遣し、専門性向上を促している。上記「キャリアマップシート」を軸に、これらの取組を人材育成にさらに活かしてゆくことが期待される。

毎月のＭＴや園内研修、日々の昼礼では、上記の社内外の各種研修での職員の学びの共有のほか、保育や現場の課題に関する検討がなされている。また今年度系列全園で「メンター制度」を導入し、系列園間での先輩・後輩の交流による新人・若手育成を行い、メンター（指導役）職員には社内の研修や園長の助言、上記の目標管理制度等による指導力向上を促している。職員自己評価ではさらなる配慮を望む声も一部見られるが、労働時間管理や園長・東京本部による意向把握、各種福利厚生制度や行政の諸制度を活用した賃金改善等、労働環境向上にも努めている。

ホームページ（以下、「ＨＰ」）では各園のページが設けられており、系列園共通の保育理念・保育方針・保育目標のほか、所在地や連絡先、定員や開園時間、地図などの園ごとの情報が掲載され、来園せずとも園の情報を入手できるようにしている。ＨＰに掲載される情報に加え、年間行事や一日のスケジュール、園の特徴等を掲載したパンフレットを用意し、見学者に配付するほか、園が入居する商業施設内にある区の子育て支援スペースにも設置して、立ち寄った方が自由に持ち帰ることができるようにしている。

区のホームページでは、区内に所在する認可保育所の所在地や連絡先、延長保育や0歳児保育の受け入れの情報が一覧となって掲載されている。また区の関連窓口で配布される冊子「保育施設利用申込案内」でも、ほぼ同様の情報が掲載されるなど、行政の各種媒体でも園の情報が得られるようになっている。また、園で行う子育て支援事業の開催情報を掲載した情報誌を児童館や保健センター、区の子育てサロンのほか、園が入居する商業施設内の授乳スペースに設置するなどして、地域の未就園世帯の参加を募っている。

園見学は電話で予約を受け付けて、園長または主任が対応している。希望者の都合を確認して行事と重ならないよう日程調整に配慮し、午後1時からの実施を基本としており、希望に応じて平日の午前中や土曜日の見学にも柔軟に対応している。園のパンフレットを配付し、園内を案内しながら、保育の流れや準備物などの主に見学者が気になること、園庭がないことを補うための公園等での身体を動かす取組、ＳＩＤＳの対策などを説明している。また園の行事や子育て支援事業の日程等を知らせ、より園を知ってもらう機会となるよう工夫している。

入園が決定した世帯に対しては、3月に合同の説明会を開催して、利用にあたっての必要な説明を行っている。「入園のしおり（重要事項説明書）」をもとに、保育理念・保育方針・保育目標、一日の流れや年間行事計画、持ち物、個人情報の取り扱いなどの重要事項や園利用にあたっての依頼事項を説明している。また質疑応答も行い、入園に際しての不安や疑問点の解消に努めている。なお、重要事項に対する説明や個人情報及び肖像権の利用に関する同意は、それぞれの書面にて確認している。

入園前には個別に面談を行い、家庭や子どもの状況などの保育開始に必要な情報を確認している。保護者から提出される各種書類も参考にしながら、「お子様調査票」に沿って入園前の子どもの生活リズムや健康状態などを確認するほか、保護者の意向等を聴き取っている。離乳食や食物アレルギー、特定の疾患などの個別配慮が必要な場合は、適切な支援ができるよう、栄養士や看護師が面談に同席して詳細な情報を確認している。これら把握した情報はセンターミーティング（以下「ＭＴ」）で共有し、園全体で同じような支援や配慮ができるようにしている。

入園直後には、保護者の就労状況や集団での保育経験の有無などの子どもの状況に応じて「慣れ保育」の期間を設けており、保育時間を徐々に延ばしながら長時間保育に移行することで、新しい環境で過ごす子どもの負担軽減に配慮している。登降園時の会話のほか、入園後の1週間や1か月に行う面談でも保護者との情報共有を図ることで、保護者の不安の解消や共通理解の形成の一助につなげている。卒園等の利用終了後には、来園する卒園児を迎え入れるほか、運動会や「四季まつり」など園の行事に招待をするなどして、関係性の継続に努めている。

入園前の子どもや家庭での状況等については、所定の書式の提出や保護者からの聴き取りなどで把握しており、その後に家庭状況や食事形態等の変更があれば、随時受け付けている。また発達経過記録を使用し、養護と教育の視点での発達状況や子どもの姿を踏まえ、一人ひとりの子どもの発達経過を定期的にチェックするとともに、保育者の配慮等について自由記述の方式で記録している。また身長・体重の計測、定期的な健診など、子どもの成長や健康状態の把握も行っている。これらは個人別でファイルに保管し、進級時に担当間で情報を引き継いでいる。

保育の全体の計画には保育所保育指針に沿って、養護と教育の視点から子どもの姿やねらい・内容を示しており、これを踏まえて下位の計画へと展開し、評価反省によって次の計画に反映することとしている。0・1歳児は月計画の立案の際には同年齢においても月齢や発達差を踏まえて区分するほか、0～2歳児は個別の計画を作成し、一人ひとりの援助や配慮に努めている。保護者に対しては、年度当初の運営委員会や保護者会の場で、園全体及び各年齢の保育の方針やねらいなどを説明したり、保育参観や保育参加を通じて、実際の生活や活動を知らせている。

各クラスの保育の内容や予定、配慮事項などが示された週案・日案は日頃からスタッフルームに掲示し、全職員が確認できるようにするほか、クラスＭＴ（月1回）で子どもの状況や興味、家庭での様子などを意見交換し、個別の配慮やねらいなどにも活かせるよう努めている。また昼礼でその日の子どもの様子や保護者からの伝達事項、今後の行事やその日の保育の注意点などを伝えるとともに、スタッフルームに昼礼ノートを常備し、随時及び出退勤時の閲覧によって、組織内での情報共有を図り、日々の保育や子ども一人ひとりの配慮等に活かしている。

2歳以上児は英語のレッスンの中で外国人の講師とふれ合い、他国の文化や言葉などへの興味を広げている。遊びの中では国旗のカードを通じて国の名称や国旗の種類等を知ったり、外国籍の子どもとの会話等で他国の言葉や数字に触れる機会となっている。またお店屋さんごっこで異年齢の自然な関わりがあったり、4・5歳児は異年齢での生活・遊びが日々展開され、そこに3歳児が参加して遊びをともに楽しむほか、合同保育の中では年上の子どもが絵本を読んだり、身の回りの世話をしてあげるなど、年齢相互の刺激から互いを認め合えるようにしている。

配慮の必要な子どもには保護者との面談にて子どもの個別状況や要望等を把握し、それを踏まえて対応したり、必要に応じて外部の専門機関との連携を図っている。また臨床心理士による現場の観察から助言を得ることで子どもに適した支援方法を学んでおり、それをもとに個別の配慮・援助に活かしている。園生活支援シートに3期の目標や保護者の希望、子どもの姿、達成状況や手段などを記載し、保護者に支援計画の説明をして承諾を得る仕組みとなっている。これに加え、毎月の個別指導計画を作成し、評価反省のもとで子どもの個別の支援を行っている。

就学に向け、自分のものを自分で管理できるようにしたり、椅子に座ってひらがなのワークに取り組んだり、人の話を聞く機会を設けている。また小学校に出かけて給食の試食や昔遊びを小学生と一緒に行い、その雰囲気を感じながら進学への期待感を高めるほか、公立園や系列園の子どもとの交流を図り、より大きな集団での関わりが持てるようにしている。また「コーディネーション運動」を採り入れ、子どもが楽んで身体を動かし、自分の意思や気持ちを表出する経験を重ねることを大切にしつつ、身体・リズム・バランス能力が高まるよう取り組んでいる。

登園時には子どもの視診をするとともに、前日の様子や健康状態などを保護者に聴き取っている。把握した状況はボードへの記載と昼礼、口頭での引き継ぎによって職員間の情報共有を図り、日中の保育での対応に活かしている。またお迎え時には子どもの日々の成長や細やかな体調変化について、保護者に伝え漏れがないように意識しており、連絡帳（0～2歳児・複写式）でのやり取り、園内での一日の様子や子どもの作品の掲示など、園での子どもの様子を知らせている。

生活習慣の自立に向け、家庭との連携を図り、担当制のもとで子どもの気持ちや意欲を尊重しつつ、自分でしようと思えるような声掛けや励ましに努めており、担当以外の職員にも子どもの個別の特性や状況の共有を図り、一人ひとりの支援にあたっている。またトイレトレーニングはトイレの空間に誘い、便座に座ってみることから始め、無理なく個々の発達や家庭の状況などに合わせて進めている。室内には個人マークを付けて、自分の場所やモノの認識を深め、他者への興味や出し入れ等を子ども自身でやってみようという一つの工夫にもつながっている。

各部屋では寝・食のスペースを使い分け、顔色が分かる程度に採光を調節したり、時にはオルゴールの音楽を流すなどして、落ち着いた環境で休息がとれるようにしている。またＳＩＤＳのチェックをしたり、時期に応じて加湿等を行うなど安全・衛生面での留意にも努めている。早めに起きた子どもは静かに過ごしたり、別室で活動できるようにするほか、0歳児は特に発達・個人差に応じて朝・夕の時間で休息をとれるようにするなど、個別の配慮を行っている。5歳児は運動会後を目安として徐々に昼寝をなくしてゆき、就学に向けて生活リズムを整えている。

室内にコーナーを設け、好きな遊びや発達に合わせた玩具を提供し、個別に遊びが始まり、その後に他の子どもの興味・関心につながったり、大人を介して他の子どもとの関わりや集団活動に発展するよう援助している。遊びの展開の中では遊び込んでいるところに多く声をかけず、遊びの集中を妨げないよう、職員会議等で意識を共有しつつ、「こども中心」の保育を目指して取組を進めている。一つの設定から他の物を組み合わせて遊びを展開したり、ごっこや見立てというイメージを広げて遊ぶなどの活動ができるよう働きかけている。

室内でマットや台を活用した動的な動き、ルールのある簡単なゲームや音に合わせて身体を動かすリズム遊びのほか、季節に応じて制作活動や水遊び、米粉粘土や寒天等の感触遊びをするなど、年間を通じて遊びの内容に変化がもたらされるよう、保育実践に努めている。図鑑や虫メガネを持って散歩や屋上の菜園に出かけ、植物や虫などを探索するほか、持ち帰った自然物を使って制作や遊びにつなげたり、屋上の菜園で収穫した野菜を調理活動に活かしている。また季節によって桜を観察したり、土手すべりや傾斜登り、マラソンなどにも取り組んでいる。

言葉の感覚を養うよう、絵本の読み聞かせをしたり、自分で読むほか、50音表を掲示したり、当番活動の中で自分の名前を言うなどして自然と文字・言葉への関心が高まるようにしている。子ども同士が関わる中で生じるトラブル等では、しっかりと話を聞く時間を設け、互いの気持ちに気づき、それぞれの思いを言葉で表出できるようにしている。また子どもたちがルールを話し合って決めて守ったり、「サークルタイム」で子どもに問いかけ、皆で納得できるような援助も行うなど、自分の気持ちの調整ができるような経験を重ねられるよう支援にあたっている。

各クラスの発達や興味などに合わせ、準備段階から子どもと一緒に制作物や壁面などを作ったり、会場・園内を飾り付けるなど、子どもの意欲を引き出し、期待感を高めている。子どもの日や七夕会、節分等では劇や紙人形劇などを用いて由来を伝えたり、各クラスで行事にちなんだ制作に取り組み、園内に展示して雰囲気を感じられるようにしている。また誕生会には全園児が参加し、皆で歌を歌ったり、出し物等を楽しむとともに、皆の前でその子の特技や挑戦してみたいことを発表するなど、それぞれの特別な日を皆で祝う機会となっている。

行事は日々の子どもの活動や興味に応じた内容とし、子ども主体での取組となるように配慮している。発表会（2歳以上児）では子どもたちと一緒に、劇の内容や歌の種類、やりたい役や作りたいものなどを話し合い、皆で考えたりする中で子どもたちと一緒に作り上げており、劇遊びをしたり、合唱や合奏等をして表現を楽しむ機会ともなるようにしている。また運動会では4・5歳児のリレーや5歳児による組体操のほか、3歳以上児の異年齢の競技を採り入れるなど、皆で楽しみながら協力してやり遂げることを味わえるようにもなっている。

年間行事予定を配付し、保護者に参加してもらえるようにするほか、クラス便りで経緯や取組内容などを伝えたり、日々の取組や行事に向けた内容はクラスボードで知らせている。これら子どもたちの様子は時に写真を交えて報告することでよりイメージが伝わりやすいようにも配慮している。また発表会や「お楽しみ会」などで子どもたちの人前で表現する様子を見たり、運動会や「四季まつり」は親子参加型で楽しむなど、保護者と子どもの成長や日々の取組が共有できるようになっている。

朝夕の時間帯では人数や時間などに応じ、合同保育を行っており、家庭や日中の状態を職員間で伝え合い、保育者とゆったりと関わったり、好きな遊びを選んで取り組めるようにするなど、安心して過ごせるようにしている。また子どもが疲れている様子があれば、布団やゴザを用いて休息をできるようにしたり、職員と一緒に絵本を読むなどして静かに過ごすことができるようにするなど、長時間の保育の中で一人ひとりの状況に合わせた配慮に努めている。

一日の生活の中では「静」と「動」の活動をバランスよく採り入れるよう、月や週の計画を組み立てている。戸外活動で身体を動かして遊んだり、身近な発見を楽しむほか、ランチルームや廊下のスペースを活かし、絵本を読めるようにしたり、雨天でも身体を動かして遊べるようにするなど、さまざまな活動が行われるよう工夫し、子どもが気分転換をできるようにもしている。

献立はさまざまな味覚が体験できるよう工夫を凝らし、素材を活かした薄味の食事を提供している。また郷土食を採り入れたり、誕生日会の際には特別なものを提供し、食べる楽しさを引き出せるようにしている。食事の際には年齢によって職員が介助したり、自ら食べることを見守るほか、無理強いせずに少し口にできるよう、励ましたり、褒めたりするなどして意欲的に食べられるよう支援している。また寝食のスペースを区分したり、クッションや足置きなどを用いて子どもの体格に合わせて安定して椅子に座れるようにするなど、環境面での配慮も行っている。

食物アレルギーがある場合は、保護者から個別状況を聞き取り、医師の指示書をもとに除去食等の対応を行っている。食事提供にあたっては食器やトレイの色を変えたり、座る机を別にするほか、配膳前にはチェック表等をもとに職員間で確認するなど、誤食・誤配膳がないよう努めている。また離乳食においては家庭で2回以上食べたものを園で提供することとしており、食材表への記載や送迎時のやり取りなど、園と家庭との連携を図り、一人ひとりの発達段階に沿って進めている。

屋上にある菜園では管理人の方から教えてもらったり、聞いたりして、子どもが野菜等の栽培に取り組むほか、季節ごとに虫探しをしたり、土に触れながら芋掘りをするなど、身近に自然を感じられる環境となっている。また5歳児を中心として収穫した野菜を使った調理体験が展開されたり、バイキング給食として子どものリクエストをもとに提供し、好きなものを選んで食べる体験ができるようにしている。さらに年齢に応じ、皮をむく・丸める・ちぎるなど簡単な調理をしながら野菜に触れたり、食材にちなんだクイズを行うなどして、食への関心を高めている。

手洗いやうがいは年齢に応じて担任が指導しながら日々励行し、歯磨きは2歳児から開始している。看護師による歯磨き指導を幼児に行うほか、5歳児向けに区の歯科衛生士による指導が行われるなど、病気予防に向けて多様に取り組んでいる。散歩や公園での活動の前には、交通マナーや安全に遊ぶための約束ごとを繰り返し伝えることで、子ども自身で意識が持てるようにしている。また幼児で展開されている「コーディネーション運動」の内容を年齢に応じ、他クラスでも日々の活動で積極的に採り入れ、ケガ予防や病気に負けない身体づくりに取り組んでいる。

登園時には受け入れを担当する職員が子どもの視診を行うとともに、連絡帳や保護者の伝達でもその日の子どもの健康状態を確認している。看護師が各クラスを巡回して子どもの状況を確認し、ケガや体調面などの個々の状況に応じたケアに努めている。専門機関等との連携の仕組みを整えており、嘱託医による年齢に応じた定期的な健康診断や歯科検診が行われるほか、特定の疾患や発達面などの個別の配慮が必要な場合は、かかりつけの医療機関からの指示等を保護者を通じて共有し、適切な支援につなげている。

園内で感染症が発生した際には、掲示により発生人数や対応方法などの情報について周知を図り、蔓延防止に向けた協力を保護者に依頼している。毎月発行する保健便りでは季節性の感染症や健康面での留意事項などの情報を発信するほか、4月の保護者会ではＳＩＤＳ対策に向けた園の取組の周知や行政のリーフレットの配付による啓発を行っている。この他、健康診断や歯科検診の結果は保護者に所定の書面で報告し、必要に応じて処置を依頼するなど、保護者と連携して子どもの健康の維持・管理に努めている。

入園直後には週単位で新入園児の家庭と面談の場を設けるほか、全世帯を対象として定期的に個人面談を行っている。日々の登降園時での保護者とのコミュニケーションも大切にしながら、折々で確認した相談ごとや意向に応じた支援にあたっている。また、保護者の就労による急な延長保育や土曜保育の利用にも柔軟に対応するほか、個人面談は都合に応じて降園時や土曜日にも行えるようにするなど、保護者の負担軽減や就労等への配慮を心がけ、保護者が安心して子育てができるような支援に努めている。

子どもの日々の様子やクラスの活動内容は、0～2歳児では連絡帳や口頭での伝達を通じて伝えるよう努めるほか、各クラスの入口付近に時折り写真も添えて日々の活動報告を掲示したり、年4回発行されるクラス便りでもクラスの様子や取組を紹介している。また子どもの生活・活動が伝わるよう、保育参観・参加の機会を設けており、講師が行う「コーディネーション運動」を見たり、体験してもらうほか、給食や離乳食の試食会も設けるなど、年度やクラス、年齢に応じて工夫を凝らし、園の取組について理解を深められるようにしている。

年度当初には年間行事計画を配付し、保護者が参加する行事の見通しを持てるようにするほか、保護者のアンケート結果を踏まえ、保護者参加行事を土曜日に設定したり、平日は一定の期間を設けるなど、保護者の都合に応じた配慮も行っている。保護者会では、年齢ごとの成長発達の目安などを伝え、テーマに沿った歓談の場も設けて親交を深めたり、子育てに関する情報共有を行うなど、子育ての一助となるよう工夫している。また「四季まつり」や「親子で遊ぼう」などの行事では、一緒に楽しめる企画としつつ、保護者同士の交流が図られるようにしている。

年長児は地域の資源を活用し、さまざまな交流や体験の機会を得ている。近隣の高齢者施設との交流が設けられ、発表会の出し物を披露したり、ハロウィンの時には仮装して訪問するなどしている。また近隣の図書館で公共の場でのマナーを学んだり、園が入居する商業施設のスペースを借りて野菜の栽培に取り組んでいる。さらに近隣の公立保育園に月1回訪問して一緒に遊んで交流を深めるほか、近隣の小学校に出かけて給食を体験したり、小学生と一緒に正月遊びを楽しむなどの交流が図られている。

入居する商業施設の毎年の点検日に合わせ、0～2歳児は区内の系列園で一緒に遊ぶほか、3歳以上児も系列園の子どもと一緒に区内の体験型学習施設に行って遊んだり、ランチを食べたりしながら交流を深めている。園が支援する家庭的保育者（保育ママ）が担当する子どもとは、散歩先の公園で会った時に一緒になって遊んだり、園の行事に招待するなどの交流が持たれている。園では今後、さらに地域との関わりを深めながら、子どもたちが地域のさまざまな人々との関わりを持てるようにしていきたいと考えている。

個人情報の取り扱いにあたり、入園時に個人情報及び肖像権に関する同意を得るほか、外部への提供等が必要になった場合には、改めて保護者の同意を得たうえで対応することとしている。また園生活の中では、着替え等の際にカーテンを閉めたり、屋上での水遊びでは着衣のままで行うなど子どものプライバシー配慮を行っている。施設の特性や周辺からの視線を踏まえて窓ガラスに見えにくいよう加工を施するほか、トイレ内を見えにくい場所に設置したり、年齢によって扉付きのものを準備したりするなど、ハード面の対応もなされている。

昨年度見直された法人共通の保育方針「一人ひとりに応じた健やかな育ちに向けて援助する」に基づき、子ども一人ひとりを尊重した保育実践に取り組んでいる。入園前後の面談や日々のコミュニケーションを通じて保護者の意向や子どもの生活リズムを把握するとともに、日々の保育の中でも子ども一人ひとりの興味や関心などを捉え、個々の配慮や環境設定などに反映させている。また保育方針に沿って、「子ども中心の保育」を園目標として掲げ、園内研修で職員がどのように関わるか等の理解を深め、実践につなげられるようにしている。

虐待に関する外部の研修に職員を派遣し、報告書の閲覧やセンターＭＴでの報告によって研修内容を共有している。虐待に関する系列園共通のマニュアルが整備され、入職時研修で学ぶほか、園内研修でもマニュアルを確認する機会を設けて理解が深まるようにしている。また系列園共通のマニュアルをもとに作成された園のマニュアルには、暴力的な言葉や差別用語、体罰の禁止など、職員として守るべき事項を示し、年度当初に全職員で確認するなど、さまざまな機会を設けて虐待防止・予防に向けた意識啓発に取り組んでいる。

安全管理や衛生管理、人権と虐待等の系列園共通のマニュアルが整備され、入職時に周知されるとともに、毎月の園内研修でテーマごとで内容の確認を行っている。園のマニュアルも作成し、年度初めの会議でパートを含む全職員で確認している。これらのマニュアル類についてはスタッフルームに備え置くほか、「社員としての心得帳」や「保育の実践」は職員に配付され、常時確認できるようにしている。この他、職員が個別に自己評価をしたり、社内監査によって定められた事項に沿っているかなどの確認がなされることで、手順等の徹底につなげている。

園のマニュアルは年度末に各職員が気になる箇所を持ち寄り、検討のうえ見直しを行っており、変更点は内容に応じて社内で共有し、系列園共通のマニュアルに反映される仕組みとなっている。保護者の意見等を踏まえて園の運営や保育の見直しも行っており、年2回の運営委員会や行事後に行うアンケート、日々の口頭や連絡帳でのやり取りなどで保護者の意見等を収集している。寄せられた意見等を参考に見直した事項は、運営委員会の議事録の配付や園便りへの掲載などにより保護者に報告している。