東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

事業所が目指している理念や基本方針について、職員全員が同じ方向を向いて園が大切にしている保育ができるよう、園の理念、保育方針、保育目標等が明示された職員ハンドブックや職員マニュアルを回覧し、いつでも見られるようにしています。また、「養護と教育にかかわる全体的な計画」の中にも同様に明示されています。逐次の職員会議の中でも園の考えを伝え、職員自身の保育の振り返りを持って反省・評価を引き出しています。加えて全職員を対象にした確認テストも実施されており、理解を深めています。

事業所が目指している理念や基本方針について、保護者には重要事項説明書や園のパンフレットに加え、園説明の用紙に園が目指している保育理念や保育目標、保育方針を明示して保護者に説明しています。また、これらの情報は玄関に掲示されています。園の姿勢は新入園児説明会では重要事項説明書を使い、保護者会でも園の保育の様子を見てもらいながら説明されています。さらに、毎月発行される園便りやクラス便りでも都度に園の考えを明示しており、理解が得られるよう努めています。

経営に関する重要事項は代表取締役、取締役、統括園長、系列園の園長で随時検討しており、同メンバーで毎月幹部会を開催し、重要事項を決定する仕組みを作っています。
重要な案件の検討、決定の手順は「職員ハンドブック」に明記されており、決定するに当たっては現場の声を吸い上げた上で、経営層の考えを含め、最終決定できるようにしています。また、園を良くするための運営委員会を開催しており、利用者代表から意見等を聴取したり、学識経験者、顧問税理士、顧問社労士等からアドバイスをもらい、保育運営に活かしています。

利用者意向の把握のためのアンケートが定期的(６月、10月、２月)に行なわれている他、行事の都度や「お父様アンケート」も実施されています。回答に苦情・要望等が記載されることは少ないのですが利用者が記載した内容は園を良くするきっかけとして重要視されています。アンケートの内容のまとめを職員全員に回覧しており、運営委員会の際に報告されています。さらに、年度末に全保護者に配布している「保育のまとめ（総括）」の中でも、匿名でアンケートの内容やその返答について記述するなど、積極的な取り組みが行なわれています。

職員意向の把握のため、また、風通しの良い職場を作り全職員が働きやすい環境を整えるために職員と園長との面談が年３回行なわれており、事前に渡している自己評価表を提出してもらっています。用紙内には経営層に意向を伝える欄があり、そこに自由に記入できるようになっています。また、園長・主任との面談の他にも、いつでも話せる関係ができており、都度に職員の意向が把握されています。職員から上がった意見はその都度、検討するようにしており、場合によっては幹部会で審議する体制もできています。

区内で本園を含む系列園６園が運営されており、地域の子育てニーズについての重要な情報源としています。また、地域の保育施設が連携する「子育てネットワーク」にも参加していて、行政を交えた関係機関との連携と情報交換に努めています。園では今後も地域支援に力を入れたいと考えており、年２回開催している「親子影絵劇場」の他、毎月開催の「おいでよ ほいくえん」を実施しながら、関係機関との連携強化を目指しています。
組織としての理念の実現に向けた中・長期計画については一層明確で職員や保護者にも理解できる計画の醸成に望みます。

法・規範・倫理などの周知と遵守については、職員マニュアル等を新入社員研修やリーダー研修、園内研修で職員に配布しています。守るべき法、規範、論理を明示した就業規則や職員ハンドブックを回覧しており、毎月行われる職員全体ミーティングの中では都度に園長が話しをし、職員が厳守していることを話し合う場を設け、確認しています。さらに、自己評価表により、職員自身が反省・評価を行い、園長と面接するようにしています。
利用者の苦情相談制度として相談窓口があり、窓口はクラス担任、解決責任者は園長として対応されています。

地域の福祉ニーズに対応するため、系列園が協力し合い、年に２回「親子影絵劇場」を開催しています。親子で影絵を鑑賞してもらい、手遊びや親子ふれあい遊びに参加してもらって親子で楽しい時間を過ごしています。また、利用数はまだ少ないのですが、平成30年度より「おいでよ ほいくえん」という名称で、地域の子育て家庭の方に園に来てもらい、園生活の様子を見てもらったり、園生活の一部の体験に参加してもらう活動に取り組んでいます。

地域の関係機関の中での取り組みとして、区主催の保育の地域ネット、私立園長会、要保護支援協議会、子ども家庭支援センター、児童相談所、小学校、中学校、消防、警察所、民生委員などに参加しており、意見交換の場に参加していて、万が一の時には助け合える関係が構築されています。また、近隣の保育園との交流も進められていて、合同の避難訓練が実施されています。さらに、地域の商店街との交流も始められており、地域の行事を盛り上げる活動に参加しています。地域との関係づくりの一層の強化に向け、ボランティアの受け入れ展開にも期待します。

園では日常の保育の中での事故、感染症、災害、侵入リスク等への対応管理と対策として、安全対策・衛生管理・清掃マニュアル、近隣の医療機関リスト等を作成し、嘱託医からの情報提供を受けています。また、感染症情報（サーベイランス）に加入して、区内全般、都内の情報を把握し、利用者に伝えています。さらに、リスクマネジメント委員会を実施しており、系列園の各園で話し合われたヒヤリハット報告やアクシデント報告を再度、代表取締役以下、各園の園長が集まるリスクマネジメント委員会で検証し、再発防止策を検討して危機管理に努めています。

保育児童の安全・安心を守るために、避難訓練、自衛消防訓練を毎月、消防署員による避難訓練・指導を年1回、保護者による引き取り訓練が実践されています。また、万が一に備え、緊急連絡網や医療機関一覧表等も備えて緊急時でもすぐに対応がとれるよう体制を整えています。
今後はこれらの諸計画を統合した事業継続マネジメント計画(BCP)の取りまとめに期待します。

情報管理の面では、個人情報の種類と利用目的が個人情報保護方針に規程として定められており、職員ハンドブックに収められていています。また、雇用契約書の中にも個人情報の取扱いについて明示されています。職員全体ミーティングで注意点を定期的に伝えており、個人情報の取扱いについての研修に参加し、その内容をフィードバックしてもらっています。利用者とは、個人情報保護法の趣旨を踏まえて個人情報確認書で利用目的や開示の可否が確認されています。

職員の人材育成の一環としてキャリアパスと連動させた人材育成計画を策定しており、研修にも積極的に参加してもらって資質向上に努めるなど、保育の質を上げることのできる体制が構築されています。組織として職種別に体系的に整理しており、役割等について職員に伝えています。また、リーダー研修を実施し、その役割や職責についての話し合いをする場が設けられています。組織としての仕組みは整えられていますが、職員アンケートではキャリアパスに関する理解が十分ではなかったので、仕組みの職員理解の充実を望みます。

職員の技術育成の面では、職員の意向や経験等に基づき、保育スキルアップ計画・評価や環境整備クリーンアップ計画・評価を行い、個人別の育成に努めています。また、職員の能力や適性、成長度合い等を見極めたり、職員の要望等を考慮した上で研修が受講されています。さらにチューター制度を取り入れており、毎月、新人職員一人ひとりと園長・主任が話し合いの場を持ちながらスキル向上に向けてのアドバイスや支援が行なわれています。職員のモチベーション向上に向け、有給休暇のほぼ完全取得が達成されており、意欲向上に貢献しています。

組織力の向上に向けたチームワークの醸成の面では、職員全体ミーティングの中でテーマを設け、職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫等、話し合う場が設けられています。また、系列園全園で行っている保育・看護・栄養の各ミーティングでも同じ年齢の子どもの保育の担任同士が実際の保育を通しての気づきや今後に向けての話し合いなどを行なっており、保育の質向の上に繋げています。
学びの面では園内研修が積極的に行なわれており、受講記録を作成して報告し、研修報告記録を基にフィードバックを行い、職員が情報共有できるようにしています。

当園は区から委託されて法人(株式会社)が運営している認可保育園であり、区のホームページや「世田谷区の保育施設」「保育のごあんない」という冊子などにも園の概要が掲載されています。また、法人によるホームページには、系列園共通の保育理念や年齢別の保育目標、年間行事予定などと合わせて、当園の定員や連絡先なども掲載されています。さらに、地域の子育て家庭を対象とした地域支援活動も実施しており、希望者が見通しをもって参加しやすいように年間の日程を園の掲示板や保健センターなどに掲示して伝えています。

昨年度から、地域支援活動として「おいでよ ほいくえん」を実施しています。内容は主に園内見学と保育体験で、日頃園で行なっているふれあい遊びや絵本の読み聞かせ、手作り玩具の紹介、離乳食の試食会など、様々な企画で実施しています。昨年度までは利用人数を制限していましたが、今年度からは制限を設けず、調整がとれれば全ての希望者にご案内する方向で対応しています。さらに、系列園の保育士と合同で開催している「親子影絵劇場」では地域の子育て家庭の方にも誘いかけ、園児と共に楽しみを共有しています。

見学の問い合わせがあった際には、「おいでよ ほいくえん」もしくは、毎週水曜日15時30分から予定している見学会をご案内しています。見学は事前予約となりますが、落ち着いた環境でゆっくりと見てもらえるように、５名定員としています。また、園長や主任が質問を受けながら対応にあたり、園の概要を記載したパンフレットや年齢別の保育目標をまとめた書面を通して、あたたかく家庭的な保育を心がけていることを伝えています。さらに、園内に掲示されているお散歩マップや各クラスの制作物などを通して日々の保育を紹介しています。

入園が決まった際には、重要事項説明書や園の基本的ルールなどを記載した書類を郵送し、事前に目を通して頂いたうえで入園説明会を実施しています。入園説明会では保護者と共に重要事項説明書などの読み合わせを行ない、質問があれば随時答えたり書面に記入してもらう形で返答しています。また、重要事項説明書には園の概要のほか、保育計画や一日の流れ、食事や健康面、保育参観など、一通りの説明が詳しく記載されています。さらに、入園時には、個人情報の取り扱いや常備医薬品、アレルギーの有無などに関しても保護者の確認をとっています。

入園前の個人面談で把握した内容は入園前の個人面談記録に記録されています。その後、保護者が提出する入園前の生活状況や家庭状況、身体検査書などの書類と合わせて一人ひとりに応じて必要な支援を話し合い、全職員で周知・共有して保育にあたっています。保育を開始する際には、担任と1対１の関わりをもって安心につなげられるよう、保護者の状況も加味して午前や午後の短時間保育から始めています。また、利用開始前の生活リズムを基に食事や授乳、入眠時のタイミングなどを考慮しながら、園での環境に慣れていけるように配慮しています。

年度末には「給食お楽しみ会」を開催し、食物アレルギーのある子どもも食べられる同じメニューでのバイキングを楽しみながら進級や卒園への不安を期待に変えています。また、退園する子どもには「おもいでのアルバム」や制作帳、卒園児には卒園証書と卒園アルバムも贈っています。卒園アルバムには全職員からのメッセージや入園してからの成長、子どもの長所などが綴られ、就学する子どもにエールを送っています。さらに、在園中から時計の読み方や和式トイレの使い方、困った時に助けを求められる力などを育み、入学後の自信につなげています。

入園時には、家庭状況や生活状況、入園前健康診断、予防接種の記録などを所定の様式で提出してもらい、個別の面談を通して子どもの心身状況や生活状況を把握しています。また、保護者の意向や要望に関しても入園前の面談で把握に努め、保育に反映させてます。さらに、日々の保育日誌を児童票や個人別指導計画につなげることで、より具体的に子どもの状態を記録に残し、支援につなげています。個々への対応に関する見直しの時期などに関しては、職員マニュアルにも明記され、定期的な振り返りが行なわれています。

保育計画は、養護と教育の面から見て、目標・実践・反省・評価の流れに従って作成されています。また、各年齢の保育目標は重要事項説明書やクラスだよりに明記すると共に、新入園児説明会や保護者会などで説明を加える取り組みにより、今回のアンケートにおいて「保育内容に関する説明がわかりやすい」という回答が100%に達しています。さらに月間指導計画は、今年度系列園と共に見直しを図り、保育目標につなげる活動を図式化して分かりやすくし、様々な観点から保育を発展させていけるように工夫されています。

各クラスの引継ぎ簿には、前日からの申し送りや登園時に保護者から受けた連絡事項、日中の様子など、子どもに関する日々の変化や情報が詳しく記録されており、保育に入る非常勤職員とも共有しながら保育に反映させています。また、０～２歳児は個人日誌、３～５歳児はクラス日誌に記録を残すほか、定期的に、様々な視点から客観的に捉えた個々の成長記録を児童票にまとめています。さらに、栄養士や看護師とも連携を深めており、職員全体ミーティングやクラスミーティングの中で、個々に対する適切な支援や配慮に関する話し合いが行なわれています。

「主体的に遊ぶ中で五感を働かせて感受性を高めたり、意欲を育む」「生活や遊びを通し、様々な経験を重ねる中で豊かな感性を育み、自信をもって行動できるようにする」ことを目標に掲げ、今年度は、「子どもが遊びを選べる環境づくり」に着目して玩具棚の使い方や配置の工夫に取り組んでいます。可動式の棚を購入したり、写真を活用した収納、静と動の空間分け、想像を広げる衣装の導入、物の再利用の本を図書館から借りてきたり、様々な取り組みによって子ども達の意欲や遊びも広がり、率先して片付ける姿にもつながっています。

当園は、建物の構造上１歳児と２歳児、３・４・５歳児は壁の仕切りがないワンフロアの空間で過ごしています。主活動はパーテーションや棚で空間を分けたり活動場所の調整によって各年齢ごとの空間を保障していますが、その環境を活かして朝や夕方の時間帯は異年齢との関わりを自然なこととして楽しんでいます。また、５歳児が１階にいる０・１・２歳児のクラスに行ってお世話をしたり、幼児クラスを真似て３歳児がコンサートを企画することもありました。さらに、小学校の情報を写真入りの冊子にして就学への期待につなげています。

職員は、「お子さまのすべてを受け入れる家庭的な温かい保育」という法人代表の言葉を胸に、「優しく育てられたお子さまは、優しい人に育つ」という信念の下で子どもを温かく包みこむ保育に努めています。子ども同士のトラブルに関しても、両者それぞれの思いを受け入れ、尊重しながらの対応を心がけています。また、配慮の必要な子どもに対しても、その子どもができる事と得意な事、好きな事を通してクラスの中での仲間意識や肯定感を全体に伝えられるように配慮し、区の研修などにも積極的に参加して専門性の向上に努めています。

朝や帰りの受け渡しは保育室の入り口での個別に対応し、保護者と落ち着いて話せる環境を整えています。体調面などに関する個別配慮が特に必要な０歳児クラスに関しては、時系列で生活状況を細かく把握できるような独自の規格の連絡帳を活用しています。また、職員は連絡簿を活用して子どもの情報を共有し、迎えの際には連絡帳に記入した内容以外の具体的なエピソードを伝えられるよう努めています。さらに、毎月作成しているコラムボード（園での生活や遊びの様子をおさめた写真）で日中の様子をイメージしやすいように伝えています。

職員は、一人ひとりの個人差も考慮しながら適切な時期に、成長や発達に見合った生活習慣を習得していけるよう保護者との連携の下で進めています。乳児クラスの排せつ面に関しては、生活の流れに慣れることも大切にし、子どもの気持ちや意欲・興味のタイミングを把握し、一人ひとりの成功体験に共感して行くことでさらなる喜びや自信につながるように配慮しています。幼児クラスになると、生活や活動に見通しをもって行動したり、自分の身体の健康や安全への話を通して共に考える中で手洗いやうがいの大切さにも気付けるように対応しています。

休息に関しては特に家庭との連携を深め、子どもの体調や夜の就寝状況、起床時間、保護者の意向などを総合的に考慮しながら対応しています。０歳児クラスなどで午前寝を必要とする子どもがいた場合には、体調や様子を把握し、その後の食事や活動も視野に入れて適切な休息をとれるように対応しています。また、５歳児に関しては、就学を視野に入れて秋頃から徐々に午睡時間を調整し、年明けには午睡をなくす方向で進めていますが、個々の体調や疲れ具合なども考慮していつでも対応できるように布団を用意しています。

子ども達は、ワンフロアという開放的な空間や、遊びの環境を整える職員の工夫により、異年齢との関わりも交えながら各々の遊びを見つけて楽しんでいます。そのようにして子ども達が自分で見つけた遊びで十分に遊びこめるように、可動式の棚で新たな空間を作ったり、机上遊びをしやすいように配置したり、様々な形式のパーテーションを作り、思い思いの空間が確保できるようにしています。また、時間に関しても、子ども達がゆったりと遊びこめるように応答的な温かい関わりを心がけて対応しています。

乳児クラスでは、大好きな歌に合わせて踊ったり見立て遊びを楽しむ中で言葉や数字に触れる機会を意識的に設け、４・５歳児クラスでは毎月１回外部の講師による英語指導を通して、いろんな国や言葉があることを伝えています。また、３歳児以上からは各自の粘土やクレヨン・自由画帳など、自分の物でいつでも自由に楽しめる環境を整えており、塗り絵を切り抜いてペープサートを作り、さらには背景も作って他クラスも招く「ペープサート劇場」に発展したこともあります。さらに、敬老の日には祖父母に手紙を書く機会を設け、文字への関心も誘っています。

近隣の公園や緑道には季節の草花や桜・あじさい・川などの環境があり、乳児クラスの子ども達も葉っぱに触れたり蟻を追いかけるなど、四季折々の豊かな自然を体感しています。また、幼児クラスでは20～30分歩くような遠出散歩にも出かけています。さらに、３階のホールを活用して夏にはプール、天候の悪い日にも巧技台やアスレチックを設定して運動機能を高めています。春には幼児クラスの親子遠足、秋には乳児クラスのミニ遠足も企画し、電車に乗って図書館やプラネタリウムに出かけた際には、公共の場でのマナーやルールも伝えています。

行事には、特別な日だという認識や期待感を持てるように日々の保育内容を工夫し、ハロウィンの際には子どもも衣装の制作に携わり、その衣装を身にまとって近隣を歩き、特別な一日を楽しんでいます。また、すいか割りやお月見の会、凧揚げ大会など、日本の伝統文化も大切に考えて保育に取り入れています。さらに、「山の日」には、日本地図を作って有名な山を調べたり、山の木が資源となって紙芝居などができることを伝え、おにぎり作って食べることでその雰囲気を盛り上げています。

８月の「夏まつりごっこ」は、２歳児以上のクラスがゲームコーナーやたこやき、ヨーヨーなど手作りの品で出店し、全園で夏祭りの雰囲気を楽しむという企画です。出店するクラスは店員役と客役を交代で楽しみ、その日だけは甚平着用で雰囲気を盛り上げています。また、１年間の集大成として行なわれる４・５歳児の発表会では、ハンドベル演奏や劇などを披露し、０・１歳児クラスに関しても保護者と一緒にリトミックを楽しんだり、２・３歳児クラスも保護者の前で歌や劇を披露する場を設けて子どもの自信につなげています。

入園時や年度の初めには行事の年間予定を配布し、毎月発行している園だよりにも月毎の予定を記載することで保護者が見通しをもって予定を組めるように配慮しています。また、子どもだけで実施する園内行事の様子を写真に収め、園だよりに掲載してその雰囲気や子どもの表情を伝えています。さらに、子どもの誕生会や発表会など、保護者が参加できる機会を設けて子どもの成長や園での雰囲気を体感してもらっています。夏と冬の年に２回開催している「親子影絵劇場」は、親子はもちろんのこと、職員とも交流を深められる機会にもなっています。

長時間保育という視点では、子どもと保護者が安心して預けられ、翌日への楽しみや意欲につながるように配慮し、担任以外の職員でも引継ぎ簿を活用して個々の体調や一日の活動の具体的な様子を把握して保育にあたっています。天気の良い日は戸外に出たり、好きな遊びを存分に楽しめる自由時間の確保によって個々の気持ちを満たしたり、ふとした時に一人になってほっと落ち着ける空間づくりにも配慮しています。さらに、友達が次々に降園していく淋しさを感じさせないように、保育士にゆったりと甘えられる雰囲気や環境づくりを心がけています。

朝と夕方は合同保育の形態で対応していますが、日頃から異年齢との関係が育まれている為、その時間を楽しみにしたり、年下の子どもの理解度や遊び方に配慮しながら関わる自然な関係が育まれています。また、子どもの人数や状況を見ながら、縦割り保育で楽しめる活動内容を提供したり、保育士や友達との関わりをゆったりと楽しめる雰囲気を作るなど臨機応変に対応しています。さらに、玩具の種類や素材に選択肢を用意することで子どもが興味をもって楽しめるように工夫したり、会話によって遊びを発展させられるような対応も心がけています。

園での食事を通して偏りのない食生活を育みたいと考え、行事との連携も図りながら食事を楽しめるように工夫しています。夏まつりごっこに４歳児が焼きそば屋さんを出店した際には、家庭で焼きそばの具材や作り方を教わる機会を作り、給食に本物の焼きそばを提供する工夫でその雰囲気を盛り上げています。また、クリスマスには紙皿を使ったり、正月には和柄の食器を使用するなど、季節の雰囲気も大切に考えています。さらに、「給食お楽しみ会」のバイキングでは食物アレルギーのある子どもも同じように食べられる献立で提供しています。

食物アレルギーのある子どもや未食の食材がある子どもに関しては、保護者と栄養士・保育士の連携を密にとり、食材チェック表などを活用して全職員で配慮事項を共有しながら介助にあたっています。また、対象となる子どもの食器は視覚でも確認できるように色を変え、座席の間隔にも配慮して誤食や誤嚥がないように努めています。さらに、食物アレルギーが解除になった子どもに対する心のケアへの必要性も感じ、心の支えとなり、恐怖心を取り除いて行きたいと考えています。子どもの体調で配慮が必要な場合には家庭との相談の下で個別に対応しています。

子どもが様々な食材に興味を持ち、食に関する関心を深められるよう、給食・食育の月間指導計画を作成して、夏野菜の栽培やクッキング体験のほか、野菜スタンプ・かぼちゃのランタン作り・野菜クイズ・買い物ごっこなど、多彩な活動を企画・実施しています。また、他のクラスの食育活動を見て興味を示した時には、そのタイミングを大切にし、その子どものできることで臨機応変に対応したいと考えています。さらに、近隣の畑を紹介してもらい、大根の種植えや収穫なども体験しています。

看護師は、子どもに自分の身体や健康に興味をもってもらえるよう、年齢に応じた視覚からの理解や体験を通して様々な工夫で取り組んでいます。目の愛護デーをきっかけに、０歳児には動物の目の位置を知る歌を歌い、１・２歳児には色の認識クイズ、幼児クラスには目隠しをして歩いてみたり、箱の中を見ないであてるクイズを実施しています。また、咳エチケットを伝える為、実際にばい菌が飛ぶ範囲を紙テープで実演したところ、子どもが咳をする時に自ら口を覆う姿が見られるようになったそうです。

看護師はいち早く子どもの体調の変化に気付けるように、午前と午後の一日２回、全クラスを巡回しています。また、子どもが体調を崩した時には「健康連絡カード」を作成し、園の様子や検温の経過を記入して保護者に渡し、医師の診断や投薬状況、次回登園までの健康状態や服薬の種類・時間などを記入してもらい、保育につなげています。さらに、医療的な配慮が必要な子どもには、緊急時の対応方法を確認して「個別対応カード」を作成し、園医、子どものかかりつけ医、近隣の専門医療機関、地域の保健センターなどと連携しながら慎重に対応しています。

乳幼児突然死症候群(ＳＩＤＳ)や揺さぶられっこ症候群に関しては、入園説明会や保護者会、日頃の保護者対応を通して周知と予防に努め、園内でも細心の注意を払って対応しています。また、ＳＩＤＳ対策として０歳児クラスにはセンサーも導入しています。さらに、近隣地域の感染症発生状況や地域分布図のほか、感染症の病名や主な症状、治療法、潜伏期、配慮点なども掲示して注意喚起に取り組んでいます。毎月発行される保健だよりで、時期的に必要な情報や靴選びのポイントなど、子どもの健康に関する情報を幅広く提供しています。

職員は、保護者の悩みや相談を話してもらいやすいように信頼関係を構築していくことに努めており、保護者の状況をふまえながら肯定的な見方で必要なアドバイスや対応ができるように配慮しています。また、登降園時には保育室の入り口で子どもと荷物を預かることで時間的な負担を軽減すると共に、保護者としっかりと向き合ってコミュニケーションを深められる時間として活用しています。さらに、急な残業や直前の連絡・土曜保育にも快く対応しており、保護者からも好意的な意見が多々寄せられています。

当園では、年に３回の保護者会を実施しており、目標や取り組みの説明、日頃の遊びや生活のビデオ上映会、３月には１年間の振り返りを報告し、「保育のまとめ」という冊子も配布しています。また、休日の過ごし方やイヤイヤ期への対応など、悩みごとの共有や解決への糸口を見いだせる場としても活用してもらえるように配慮しています。11月の試食会では、給食のねらいやレシピ、園の食育活動をまとめた冊子も配布し、保護者同士の交流を深める場であると共に、保護者との信頼関係を構築していく場としても大切に考えています。

園では、家庭と園で共有できる遊びの提案を大切にしており、園で楽しんでいる歌や手遊びなどの曲や歌詞にイラストを添えて解説したものをカラー印刷で配布・紹介しています。また、園だよりやクラスだよりには、子どもの生活や遊びの様子をカラー写真で掲載して日中の雰囲気を伝えたり、最近楽しんでいる遊びやおすすめ絵本の紹介などもしています。さらに、年に２回の保育参観・保育参加及び個人面談を実施していますが、保育参観に関しては、保護者の都合に合わせていつでも対応し、希望があれば行事の参観にも対応しています。

近隣地域の方々とのふれあいを大切に考え、積極的に挨拶を交わしたり、散歩の時には「いってらっしゃい」と見送ってもらえる良好な関係が築かれています。また、消防署の協力により５歳児が消火器を使用する消火訓練を体験させてもらったり、敬老の日には郵便局ではがきを購入して祖父母への手紙を出しています。さらに、４・５歳児は年に２回、区の教育センターへプラネタリウム鑑賞に出かけて星の観察をしたり、図書館で星の図鑑を借りるなど、多彩な経験を重ねるほか、５歳児は食育の一環で大根の種まきや収穫の体験もさせてもらっています。

ハロウィンの際には手作り衣装を身にまとい、消防署や花屋、靴屋など地域の方々の協力を得てお菓子をもらっています。また、近隣にある保育園の荒馬活動や音楽会にも招待してもらって参加したり、系列の保育室と毎年合同で開催する運動会のほか、環境学習の一環としてゴミ収集車の観察やお仕事体験にも招待してもらっています。訪問前には事前に手紙を交わし、初対面の子どもとも積極的な交流を楽しんでいます。さらに、系列園と合同で開催している「親子影絵劇場」は地域の子育て家庭や両園の保護者・子ども達の広い関わりの場として喜ばれています。

子どもに関する情報の取り扱いに関しては、入園時と契約更新時に書面を用意し、保護者の署名捺印にて同意を確認しています。確認事項以外の事例が発生した際には、使用理由を説明して、保護者の意向に基づいて対応しています。また、日々の保育の場面でもきめ細やかな配慮が行なわれており、保護者向けに作成したコラムボード（園での生活や遊びの様子の写真紹介）に水遊びの写真を掲載する場合などには、その都度保護者の意向を確認してから掲載したり、出入りの多い玄関から見えない位置に掲示されています。

「様々な人と関わり愛される中で自己肯定感をもち、自分を大切にし、周りの人も大切にできるようにする」というのが園の考え方で、誕生会には誕生児の保護者も招待し、誕生児のリクエストによるキャラクターなどをデコレーションしたケーキと一緒の写真をプレゼントしています。また、毎月発行される園だよりには誕生児の近況やエピソードが掲載され、一人ひとりを大切に思う園の姿勢が伺えます。さらに、職員が子どもや保護者に寄り添い明るく楽しく過ごすことによって子どもにも保護者にも笑顔になってほしいという思いの下で保育にあたっています。

虐待防止や育児家庭への支援をしていけるように、保育所としての役割や責務の重要性を認識したうえで、定期的に開催される要保護児童支援協議会や研修会などに参加すると共に、園内でもその内容を学びあい、共有しています。また、少しでも疑わしいと感じた時には躊躇せず園長や主任に相談して、速やかに連携していけるように配慮しています。さらに、定期的な注意喚起と地域の状況把握に努め、関係機関との繋がりのある支援体制の強化に努めています。

マニアル類は各分野毎に作成されており、さらに内容により細かく分類した手引書がファイルに納められ、基本事項や手順等を明確にしています。また、各クラスから安全防災・保健衛生・給食食育・行事遊びそれぞれの担当係を決めて毎月ミーティングを行い、必要な点検事項や検討事項を話し合う機会を設け、記録しています。さらに、新入職員には以上の基本的マニュアルを入社前に配布しており、既存職員も日頃の保育で園の方針に沿った内容を理解して対応にあたれるように、活用しています。

各マニュアルに定めた基本事項や実施手順が日々の保育実践を通し、質問、疑問がある際はリーダー、チューター、園長・主任に相談ができるよう連携を取っています。マニュアルの内容に変更がある場合は全体に周知し、速やかに反映して現場で生かせるようにしています。マニュアルの一部を抜粋した自己評価表で守るべき事項が遂行できているかを５段階でチェックすると共に、園長評価と面談により、基本マニュアルを再確認し、的確な実行を進言する機会があります。
業務の標準化推進に関する一般職員の理解と関心についてはさらなる推進に期待します。

保育計画や月案等の基本事項や手順等の見直しは、クラス内・園内・全園を通して定期的に行なわれており、現場職員の意見が反映される仕組みが作られています。
保護者には入園時や新年度クラス開始時、保護者会前などにアンケートで意向や要望を聞いており、できるだけクラスもしくは個人別指導計画目標の中に反映できるようにしています。