東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人や園の理念・方針を職員が意識する機会は多く作られており、入職時には法人理念を明示している手帳の配布や入職前後の研修により、社員としての自覚が持てる場を設けています。入職後は、年2回行われる法人開催のビジョンミーティングをはじめ、毎月行われる職員全体会議の場などで、園の理念や方針など、目指す姿の浸透を図っています。また、同法人内の姉妹園の園長が集まるブロック園長会議や「こども未来会議」を開催し、法人内の運営管理者同士の価値観の統一に努めています。

姉妹園で構成する園長会で、法人事業部の理念を保護者や職員により浸透させるための方策が協議・検討され、法人理念を表示したポスターを作成し園舎内に掲示しています。園では全職員が全園児を保育することを方針としており、登降園時には保護者に対してていねいな言葉遣いで話し掛け、子どものその日の様子や成長・発達について伝えるよう指導しています。また、年2回行われる保護者会で法人理念や園の方針などを伝えており、それに沿った保育を実践しているということを保護者によく理解してもらうことにより、園への理解や信頼を深めています。

保育理念として「個を受容し、共感する中で主体性を育む」を挙げ、それに基づいた全体的な計画や各期の保育計画を策定し、実践に取り組んでいます。園が提供する保育サービスの内容は、自由な雰囲気の中で「第２のおうち」となれるような環境づくりに努め、季節感のある食育活動にも力を入れています。また、自分で物事を判断し解決できる力を育て、相手の立場になって思いやれる想像力と感受性豊かな心を育む保育を提供することに努めており、各種会議や個別面接を通して職員への浸透を図り価値観の共有を図っています。

保護者には毎日の連絡帳のやり取りや行事ごとおよび年度末のアンケート、保護者会などを実施し、さらには保護者代表が加わる運営委員会などで保護者意向の把握に努めています。職員には各種会議や個別面接等で意向を把握し、自治体開催の連絡会等で地域福祉の現状についての情報収集が行われています。それらの活動により把握した情報を職員会議などで情報共有し、例えば行事後の保護者の意見により会場設定や段取りの改善を図ったり、地域ニーズに沿った園内研修を行ったりし、園を取り巻く状況についての情報収集と改善につなげています。

法人事業部は中長期計画を策定しており、それをもとにビジョンミーティングや全体研修、姉妹園の園長で構成するブロック園長会や未来会議の内容への反映と、各園の運営に影響させています。近隣地域の系列園の園長で構成されるブロック園長会で事業の方向性を検討・協議し、それを基に各園の事業計画の方向性を定めます。また、法人事業部で園の収支を取りまとめ、損益計算書として園に毎月配信されます。今後は、法人事業部で策定される中長期計画と、園で策定される単年度事業計画の連動性を高めることが期待されます。

園で策定している年度ごとの事業計画について、園長が主となり作成していますが、中長期計画との整合性を図り職員会議等で説明するなど、先ずは職員理解を深くし、重要課題別にクラスごとやチームを組んでその中で意見交換等をしてまとめるなど、職員が参画する仕組みを作り、職員の運営参画意識や帰属意識の醸成に取り組むことが期待されます。損益計算については、本部から園に電子データで配信され、園長などの運営責任者層が把握していますが、価値観の統一や帰属意識の醸成のためにも、職員への情報共有に努めることが期待されます。

法人で行う新任研修では、就業規則やビジネスマナーを学ぶカリキュラムが組まれており、法人職員として守るべき法・規範・倫理などの理解が深まるよう取り組んでいます。また、就業経験年数別の研修の実施など、採用後も継続的に研修が行われ職員の理解を深める仕組みがあり、倫理観やホスピタリティの醸成と向上が図られています。さらには、法人理念や運営方針が明示されている法人作成の手帳や職員の心得と題する冊子は全職員に配布され、職員の習得度は高く保護者の満足度も概ね高いことが見受けられます。

苦解決制度については重要事項説明書に明記しており、利用開始前の面接時に説明されています。また、ホームページ上にもお問い合わせフォームとして、意見や要望、苦情などをメールできるように設定しており、法人本部では苦情解決相談窓口を設置し、利用者からいつでも意見を受け付けられる態勢を整えています。虐待防止策と対応については、各種マニュアルを整備しているほか、姉妹園の園長で構成する園長会や園内でも検討し、園内研修の実施や自治体の研修への参加など、利用者の権利擁護のための取り組みが組織的に行われています。

自治体が開催する保育園の連絡会のほか、地域の幼稚園、保育園、小学校が連携して行う幼保小連携会議にも参加しており、保育園に関する分科会にも参加し待機児童の動向などの地域の福祉ニーズや地域ネットワーク内での共通課題の把握に努めています。人員や施設のスペース的な制限により、地域貢献活動が行い難い状況であると見受けられますが、例えばおむつ替えや授乳のための施設の一部開放や青空保育の工夫など、現状の人員や環境で実施できる範囲での地域貢献活動に取り組み、社会福祉資源として役割を果たすことが期待されます。

保育所を運営する上でのリスクについて、姉妹園の園長で構成している園長会で話し合い、衛生管理・感染症、危機管理、食物アレルギー対応、児童虐待防止などの項目にまとめ、保育施設運営マニュアルとして事業本部から配布されています。園がなすべき対応として、マニュアルを基に園を取り巻くリスク（事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など）を職員とともに洗い出し、どのリスクにどのような対策を講じるかについて話し合うなど、園としてのリスクについての情報共有を職員に対して図るとともに啓発に努めることが期待されます。

火災や地震に関して、管轄の消防署の指導の下での消防計画の作成、消防訓練や避難訓練などが行われ、救命救急やAED講習にも参加しています。また、自治体のハザードマップや園長不在の場合の病院受診の手順などを事務所に掲示し、職員がいつでも認識できるようにしています。法人事業部の取り組みとして、事業継続計画（BCP）を作成し姉妹園への導入を施行しており、その結果を踏まえ来年度より全園に導入する計画が進捗しています。リスクの優先順位の見極めや園としての強みと弱みを明確に把握するためにも、その取り組みに期待されます。

年度ごとの事業計画書および事業報告書を作成していますが、その取り組みを有効利用し事業価値をさらに向上させるための仕組みの構築が期待されます。現状、利用者へのサービス向上を図ることを目的とした利用者情報やアンケート調査、日々の記録などから子どもの成長状態の情報収集と分析がなされていますが、事業計画の進捗状況を把握する運営情報の収集・分析する仕組み作りについてはこれからの課題と見受けられます。今後、園の運営状態がどのように改善され、意図した成果につながっているか分析する情報活用の仕組みの整備が期待されます。

園の実情に合った人材の確保ができるよう、園からの正規雇用の推薦を推奨しています。また、職員からの正規・パート職員の紹介キャンペーンを継続し、職員の人的対応力の活用が図られています。また、異動や資格取得の希望を、職員が本部に直接申告できるキャリアチャレンジ制度のほか、個別面談やキャリアアップ研修、入職３ヶ月間の試用期間中の能力要件に関するチェックリストの活用などを実施しています。さらに、離職率の低下を目的に退職者から意見聴取を行い、職員の意思や能力の把握に努め、職員の育成と満足度の向上につなげています。

職員のやる気向上への取り組みとして、有給休暇の取得の推奨や寮制度、住宅手当の充実などの福利厚生面での充実のほか、専門家による職員一人ひとりへのストレスチェックが昨年度から継続して行われており、精神面からの職員支援が図られています。また、入職２年目に他園への視察研修が行われており、自園の強みや改善すべき点の再認識に役立てています。勤務時間や賃金に関して改善期待を寄せる職員も見受けられますが、男性保育士の会合を行ったり、有給取得率や残業時間の平均値の公開を行ったりし、職員の定着に向け意欲向上に努めています。

入職時の新人研修のほか、２年目、３年目、５年目、主任、園長、栄養士の研修が計画的に行われています。また、全職員が全園児を見守る保育作りを課題として、園内研修や職員間での話し合い、園長と職員との意見交換を重ねながら、職員が意欲を持って保育にあたられる環境の整備に努めてきました。なお、職員の動機付けという観点から、職員個別の人材育成の仕組みやキャリアアップにつなげる能力要件の整備などを、法人事業部で作成しており来年度から実施予定なので、その仕組みの構築と実践が期待されます。

利用希望者等へのサービス情報の提供手段としてホームページがあり、園長の挨拶文ではどんなときも「笑顔で誠実な応対」をモットーに、自由な雰囲気の中で「第２のおうち」となれるような環境づくりに努め、子どもたちの「ありのまま」を受けいれ、寄り添いながら主体性・自立心を育む保育を行っていることが明記されています。また、周辺環境や食育体験、体操教室などについての園の考え方を掲載し、園の様子はブログとして紹介し、日常の生活の様子や行事などの写真が掲載しているなど、利用希望者などに対して園の思いや様子を伝えています。

利用希望などの電話対応は園長および事務職員が担当しており、見学の要望には一日三組に限定しており、子どもの生活に影響が出ないよう配慮しています。見学対応は園長が担当し、子どもの生活に影響が出ないよう１日２～３名に限定しています。見学の際にはリーフレットを配布し、法人理念や保育方針のほか園生活の流れや延長保育の対応などを説明し、提供している保育内容などを伝えています。また、育児に関する相談や悩みがあれば応え、子育てに対する不安解消と園への理解を深めてもらえるよう努めています。

ホームページ内のブログの更新を活用して、園が提供しているサービス内容や保育のねらいなどを地域に発信しています。しかしながら、地域への子育て支援に関する情報の発信については今後の課題と見受けられます。地域の方の子育て相談に対応し、子育てへの不安解消に努めていることで園の価値の浸透を図るなど、園が行う地域貢献について明示し、例えば地域向けの園だよりを発行し行事やイベントに訪れた地域の方に配布するなど、園の情報が簡単に入手できるように工夫し、地域の子育て世代の保育力向上につなげることが期待されます。

入園が決定した保護者には、入園に関する書類一式を郵送した後、個人面接を園長と主任が行っています。園長は「入園のしおり」をもとに保育理念や諸注意、持ち物について、主任は発達面に関して話しています。保護者の同意は、「保育園利用に関する同意書」に沿ってチェックをし、捺印をもらっています。意向については、入園準備に対することほかを聞き取っています。保健師は個人面接前に実施している入園前健診の際、保健の状況などを確認しています。他の職員には職員会議のおりに面接所感を担任に伝えると共に、職員全体でも共有しています。

慣れ保育については入園前の個人面接のとき、保護者と話し合い、ヒヤリングシートを作成し、時間を決めています。0歳児クラスの入園が多く、クラスでは正規職員2名にパート職員をつけ、手厚く対応しています。子どもがストレスを感じないよう個別の関りを大切に、子どものリズムに合わせた時間を過ごすよう配慮しています。保護者に対しては、不安感を払しょくすることを大事にし、お迎えの時に、担任より口頭で遊んでいる姿や食事の様子などを伝えています。話で伝えることもコミュニケーションが深まりますが、写真に撮り見せるのも一案でしょう。

子どもが転園や退園をする際は、クラスでお別れ会を実施しています。みんなで写真を撮ったり、クラスによっては子どもが書いた手紙を渡したりしています。保護者にはいつでも遊びに来てほしいことなどを話しています。転園先の園に申し送りの文書は出していませんが、相手の園から子どもに関する問い合わせがあった場合は、園での様子を簡潔に話しています。一部の情報に限ったことで、個人情報に触れない程度のことを伝えるよう、細やかな配慮をしています。子どもがスムーズに転園先の園に馴染むよう問い合わせへの対応をしています。

子どもの心身や生活状況は、児童環境記録や入園までの生活の記録、保健の状況ほか日々の様子は連絡帳、個別計画、発達及び経過記録などで把握しています。発達及び経過記録は子どもの成長発達をチェックし、課題を明示する書式となっています。0歳から2歳児クラスは月毎に、3歳～5歳児クラスは4半期ごとにクラスリーダーがチェックをしています。特記欄に5歳児クラスだけは、現状の姿今後の関り等の記入をしていますが、他クラスは無記入でした。どのように関わり成長したか、成長発達のポイントをおさえた関り方の記入が必要と思われます。

全体的な計画は法人の書式をもとに園長がきめ細やかな内容の計画を作成しています。全体的な計画を柱にクラス毎の年間指導計画、月間指導計画、週案等を各クラスで作成しています。年間指導計画と月間指導計画が連動しているか、月間指導計画が次月の計画に繋がっているかの確認はまずは主任がし、園長も確認しています。今後の課題として、職員会議で各指導計画案をクラスごとに伝えたり、個々の子ども発達の状態を共有したりして、0歳児～5歳児クラスまでの発達を促し、5歳児クラスが集大成となる積み重ねのある保育のあり方の検討が望まれます。

子どもに関する情報の共有として、昼礼や職員会議を設けています。昼礼は週2回で、13時30分から15分程度にしています。園長、主任、クラスリーダー、看護師、給食、事務等が参加しています。クラスからの特記事項、連絡事項等が話され、昼礼ノートに内容を記載し、不参加者に伝えています。毎月、職員会議もあり、行事や諸連絡事項などを話し合っています。内容の伝達漏れがないよう努めています。職員会議のあり方としてクラス毎に子どもの様子を話す事や保育の方法など話し合える内容にするため、時間の割り振りなど工夫してみてください。

個々の子どもの姿を把握する上で大切にしていることとして、子どもの体調や機嫌をみています。子どもの心身状態を加味しながら保育に携わっています。園長は常日頃より現況の子どもの状態に合わせ、職員に『褒めたらできた』というスタンスで、つまずいている子どもに対して励まし寄り添うよう話しています。保護者の利用者調査の中でも、「職員が子どもを温かく見守ってくれている」や「一人ひとりの気持ちに配慮してくれている」などの意見が寄せられています。職員集団も若く、活気があり、園長の指導の言葉も浸透していくことでしょう。

室内環境は、階段の壁に四季折々の小型の額が飾ってあったり、観葉植物が置いてあったりと配慮の見られる面もあります。各保育室内の環境設定は、クラスに任されており、クラス毎に差異があります。年齢発達に即した環境づくりとして、コーナー保育のあり方や玩具類の選定を課題としています。今後の計画として、玩具類の購入も予定しています。子どもが主体的にものに興味を持ち遊びこむことも大切です。子どもの主体性を引き出す環境とは、に取り組むため、法人内の環境にこだわっている園見学をし、職員がイメージを膨らませてみてください。

配慮が必要な子どもに対しては、職員を加配し、手厚い対応を心がけています。子どもが通所している発達センターなどの専門機関と連携をとり、個別に子どもに関わっています。1対1の保育や安全を確保した状態での全体保育を実施しています。多動傾向のある子どもが癇癪を起したときは、抱きしめることをし、子どもの気持ちを落ち着かせています。他の子どもとのコミュニケーションを持てるよう、職員が仲立ちとなり対応することもあります。更に、障がい児保育の専門知識の習得や研修への参加をし、保育のあり方を学びたいと、職員は考えています。

登園時は、視診や触診の徹底を図るとともに、0歳児～5歳児クラスまで登園した子どもから検温をしています。子どもの体調管理をしかりと実践しています。仕事に向かう保護者には明るい声での挨拶をし、保護者が気持ちよく出かけられるよう配慮をしています。
お迎え時は、仕事に疲れていることと保護者への気持ちを鑑み、「おかえりなさい」の言葉や日中の子どもの様子を心を込めて伝えています。連絡帳や日中活動の状況をクラスのボードに書き、保護者に伝えてもいます。引き継ぎ表を確認し連絡漏れがないよう、細やかに気配りをしています。

基本的な生活習慣の確立では、職員自ら挨拶の徹底や子どもにも挨拶の大切さを伝えています。家庭に対しては「早寝・早起き・朝ごはん」を依頼しています。安全と清潔については細心の注意をし、環境を整えています。また、1歳児クラスにおいては、トイレトレーニングを子どもの身体状況をみながら進めています。トイレに行く回数を無理をさせないで増やし、トイレへの不安感を払しょくさせ、タイミングよく排せつできた成功体験を大切にし、トイレトレーニングに臨んでいます。食事の指導に関しては、評価者の滞在時に改善の余地が感じられました。

休息への考え方として、午睡としてとらえ家庭と同じような睡眠のひとときをもつようにしています。柔らかい素材のパジャマに着替える、動的な日中活動から静的な休息（午睡）を園生活の区切りの時間としています。午睡室は薄暗くし、安眠できる環境にしています。午睡チェックを実施し、0歳児クラスは5分毎、1、2歳児クラスは10分毎に、3歳児から5歳児クラスは1時間に1回、子どもの状態を観察しています。3歳児～5歳児クラスは目視にとどまっていますが、簡潔な書式の記録表を用意し、観察後の記入をすることをお勧めします。

集団活動の一環として、朝の会を1歳児クラス～5歳児クラスまで行っています。クラスによって手遊びや歌遊び、名前や日付、天気等を取り上げる会にしています。集団遊びは、ボールあそびや鬼ごっこを好んで行い、子どもは楽しんでいます。専門講師による体操教室では、耐久力や敏捷性を養うよう運動面での指導をしています。戸外では散歩先によって活動のねらいを決め活動しています。リズム面では5歳児クラスは、担任によるリトミックを取り入れています。全園児向けのリトミックを実施するよう、職員の得意分野を活かす事も遊びの充実が図れます。

言葉の習得や発達を促すため、職員は丁寧でわかりやすい言葉で話すよう心がけています。0歳児～2歳児クラスは子どもの気持ちを大切にし、話していることを認めたり、繰り返しをし確認したりしています。適宜声掛けをし、発語を促してもいます。絵本からの刺激も考慮し、良質な絵本を揃えています。しかしながら、若い職員も多く職員同士、親しく触れ合うことから、ためぐちになる時もあり、子どものお手本になる言葉づかいを目指し、職員間で禁止用語などを確認し、自粛してもいます。職員自ら、美しい日本語を話すよう、一層努めてみてください。

自然環境豊かな場所にある園であり、その環境を活かした戸外活動を行なっています。道を歩く際の決まりやルールを子どもに伝え、安全面を第一に考慮しながら、月間指導計画や週案の中に戸外活動のねらいを立て、日々の保育で計画を実践しています。活動内容としては、広い場所でのボール遊びや鬼ごっこ、季節感を十分味わえる自然のなかで落ち葉や木の実などを拾い、作品づくりをしています。保護者からも、四季を体験させてもらえているという意見や、毎日戸外遊びがあり感謝している、といった戸外活動に満足している意見が寄せられています。

行事を通して子どもの成長の促進や自身で学びを感じ取ってもらうことをねらいとしています。行事の参加は子どもの年齢に合わせて参加内容を決めています。園行事としてはこどもの日会や七夕会、お月見会、ハロウィン会、クリスマス会、お正月会等の季節行事のほか、保護者参加の親子遠足、夏祭り、運動会、生活発表会等があります。運動会は保護者参加種目の計画やハロウィン会では保護者の参加も募りました。誕生会は毎月集会形式で実施しており、歌やインタービュー、職員からの出し物（ペープサートなど）を披露し、子どもの誕生を祝っています。

みんなで協力し合い達成感を味わう行事は、夏祭りやお泊り保育です。夏祭りでは5歳児クラスは神輿づくりをし、当日は神輿を担いで場を盛り上げています。お泊り保育は、カレーづくりをし、職員も食べています。思い出製作でキーホルダーづくりをし、家庭に持ち帰っています。行事に向けてグループをつくり、グループ活動を通して役割を感じてもらいたいと職員は思っており、5歳児クラスでは行事に主体的に関わったり、達成感を得たりしています。特に花火をしたりクッキングをしたりしたお泊り保育は、思い出に残る行事として印象に残っています。

行事に対して保護者の理解を得る取り組みについては、毎月の園だよりに日程のお知らせほかを掲示しています。行事向けのトピックスとして、各クラスのボードに見どころをわかりやすく説明しています。別に行事のお知らせを配布してもいます。保護者参加の行事の後には必ずアンケートを取り集計しています。集計結果は職員会議でも発表され、次年度の行事に活かす大事な保護者意見として扱っています。保護者にもアンケート結果を開示しています。また、行事の様子は、大きな行事は業者が写真を撮り、季節行事は職員が撮り、保護者に掲示しています。

当園は月曜日から金曜日まで18時1分～20時まで、延長保育を実施しています。延長保育を利用している子どもは15名くらいです。延長保育を行う部屋は1階の1歳児クラスの部屋で、異年齢の子どもが交流し合い、保護者のお迎えを待っています。遊びに変化を持たせるため、日中保育で使わない玩具類（レゴブロックなど）を出しています。ままごとコーナー、積み木コーナー、塗り絵コーナー等をつくり、子どもが落ち着いて遊べる環境を工夫しています。ゆったりと過ごせるよう、マットを出していますが、子どもはコーナーで好きな遊びをしています。

延長保育の時間帯は異年齢の混合保育となっています。5歳児クラスの子どもは昼間の姿と異なる様子も見られ、小さな子どもに優しく関わっています。絵本を読んであげたり、お世話をする姿も見られます。小さな子どもは、大きな子どもの真似をしたり、遊んでもらい喜んでいます。職員体制は再起職員2名で、各クラスや夕保育からの引き継ぎの徹底をしています。延長保育の計画は月間指導計画の長時間保育の欄に月のねらいや取り組みが記載されています。延長保育の子どもの様子や連絡事項は引き継簿に記入してあり、翌日の早番職員に伝達しています。

0歳児～1歳児クラスは職員が子どもと向き合い、ゆったりと落ち着いて食べられるよう食事の環境を整えています。食具も食べやすいスプーンで美味しそうに食べています。自分で席を選んで食卓につくような配慮をしていますが、クラスや子どもの状態によっては、席を決めた方が落ち着けるかもしれません。4、5歳児クラスは合同で食事をしており、場所が狭く5歳児クラスが落ち着いて食事を摂る環境となっていないようです。就学に向けて食事の取り組みも大切な時期なので、一定時間内にきれいに食べる、マナーを守って食べるような工夫が望まれます。

おいしい食事づくりを目指しており、彩りよく味付けは薄味に、だし汁の味を活かしています。盛り付けは、乳児はスプーン乗る大きさに食材を切って食べやすくしています。食材は国産の物を使用し、肉や野菜は地元から購入し、魚は近隣の区から購入しています。食物アレルギーを持つ子どもが10名位いて、調理器具類を別にする他、トレーの色を変える、名札を付ける、離れて食べることを行っています。チェック体制も厳重にし、まずは調理室で、園長、担当クラスの職員が受け渡しの際や食べるときにも重ねてチェックをしており、誤食を防いでいます。

食育としてプランターでの野菜栽培をし、栽培したクラスが収穫した物を調理し、出しています。バランスの良い食事の基本を保護者や子どもに伝えるため、展示食の横に三色食品群の絵を貼りだしています。食育計画に沿って調理保育も実施しており、5歳児クラスはカレーづくりや肉じゃがづくり、4歳児クラス、3歳児クラスと今後、調理保育に取り組む予定としています。1、2歳児クラスは野菜の皮むきや・野菜洗いをしています。調理室では時間がある時、各クラスを巡回し、食べ具合や食事の状況を把握しています。栄養士からの指導も効果的でしょう。

子どもの健康教育として、手洗い指導や歯磨き指導、怪我指導を保健師が適宜行っています。手洗い指導は汚れが目につくグッズを使用し、子どもにきちんと手を洗うことの大切さを知らせています。歯磨き指導は保健所の歯科衛生士による指導もかってありました。また、保健師は子どもの前で人形を使い心肺蘇生を見せる取り組みをしています。保健師の専門性を発揮し、子どもに健康面についての指導を実施しています。安全面では戸外活動への注意事項や、園内の危険個所点検、廊下を走らないような工夫を行い、危険を回避する園生活を目指しています。

既往歴のある子どもは現況では在籍しておらず、食物アレルギーを持つ子どもの食事時の対応をしています。皮膚の弱い子どもで汗をかくとかゆみが出る子どもなどは軟膏を預かり食後赤くなった皮膚に塗っています。市の自治体作成による「生活管理指導表」に食物アレルギーを持つ子どもの状況ほかを記載しています。子どもの身体状況の把握は、毎月の身体測定や0歳児定期健診、健康診断などで把握しています。嘱託医との連携もよく感染症などの情報提供や子どもの健康面の相談事に応じてもらっています。

感染症発生時はまずは職員の手洗いの徹底をしています。保護者に向けて、掲示板や保護者との連絡ツールであるメールシステムを使用し、感染症情報を発信しています。内容は、症状・感染症病名・人数などを知らせています。
乳幼児突然死症候群予防に関しては保護者会のおりに説明したり、ポスターの掲示やチラシの配布をしたりし、園での取り組みや家庭でのあり方を啓蒙しています。保護者と共に、個々の子どもの健康を維持するよう努めています。

保護者同士が交流を持つ機会として、親子遠足や保護者会、進級オリエンテーション、入園オリエンテーション、運営委員会などを設け、保護者同士、保護者と職員が触れ合う機会を設けています。保護者会は年1回、土曜日の午前中に行っています。保護者参加は7割以上であり、園からのお知らせや、クラスの状況などを話しています。進級オリエンテーションでは、進級への不安解消や持ち物の変化など、年齢に合わせた説明を行っています。入園オリエンテーションは、新入園児の保護者同士が一堂に会して顔見知りになるよい機会となっています。

保護者との信頼関係構築に向けて、個人面談を実施しています。園独自の個人面談記録を作成し、保育園での様子、家庭での様子で聞きたい内容、保護者よりと細かな項目を基に保護者との対話を深め関係性を築いています。希望者は9割程度あり、保護者の熱心さも垣間見えます。個人面談後は聞き取った内容を記録簿にしっかり書き込み、職員間で共有しています。日々の保護者とのコミュニケーション確立での留意点は、笑顔での明るい挨拶を心がけており、保護者対象の利用者調査において、職員が丁寧な対応をしているとの意見が寄せられています。

子どもの発達や育児のあり方の共通認識を持つため、保育参観や保護者会で絵本講座を設けています。保育参観は昨年度より実施し、日常の保育の可視化をしています。期間を決めての実施で、0歳児～2歳児クラスは5、6月中に、3歳以上のクラスは11、12月中として、保護者から第四希望まで出してもらい参観する日を割り振っています。参観時は事前に保育のポイントを話し、事後に感想をもらっています。併せて試食会もしています。保護者会の中で、講師による絵本の読み聞かせの講話があり、絵本を読むことの意義や方法を講師が伝えています。

地域資源の活用は、七夕に使う笹の提供をお願いし、笹をもらっています。芋堀りにも行き、子どもが地域の方々と触れ合う機会ともなっています。自然に恵まれた環境の中で近隣の方が畑を解放してくれており、子どもにとって貴重な体験となっています。そのほか、消防署とは消防自動車を見たり、避難訓練時に話を聞いたりしています。今年度より交番との交流が始まり、ハロウィンの行事の時、園側であらかじめ渡しておいた手づくり玩具を仮装をして訪れた子どもに渡してもらっています。子どもにとって新鮮な体験となりました。

子どもが職員以外の方との交流ができる機会として、散歩先での触れ合いや、お別れ遠足時の触れ合いなどがあります。今後は近隣の高齢者施設に訪問することを予定しており、ぜひその実現が望まれます。地域との交流が少ないと認識している職員もいます。地域の子育て支援事業は保育指針においても課せられているところです。芸術作品展に招くチラシを配布したり、1階のトイレを地域の親子に有効活用してもらう計画を立てるなど、現況でできそうなところを見出し、一歩踏み出すことが望まれます。

採用時に、保護者と子どもの個人情報やプライバシーを保護する誓約書を法人事業部に提出しています。また、入園時に「保育園利用に関する個人情報同意書」に署名を保護者からいただいており、書面は園内掲示やブログへの掲載、テレビ・雑誌の取材への対応など、具体的な場面を示しながら名前・写真等の取り扱い方針を示しています。職員間で情報共有とプライバシー保護に関するルールや運用方法を徹底させ、保護者が安心して子どもを預けることができる環境の整備に努めています。

子どもの人権に配慮し、日常の保育に際して「名前を呼び捨てにしない」「丁寧な言葉遣いをする」等の基本姿勢を確認しつつ、職員が子どもに強制したり感情的に叱ったりするなどの行為が行われないようにしています。また、着替えや水遊びの環境を整えて、外部からの視線にさらされることがないようにしています。子どもへの声の掛け方や保護者への対応については園長からの適宜の指導、各種会議やミーティング等で確認しており、保護者からいただいた意見があれば都度周知させているなど、常日頃から意識し合い認識の統一を図っています。

子どもや保護者の日常の様子は、日誌・発達経過記録・職員会議議事録等にまとめられ、児童虐待や育児困難家庭に対する援助の方法については、関係機関と連携しているほか、区や法人事業部が開催する研修に職員を派遣し職員会議などで報告し情報共有に努めています。子どもや保護者への権利擁護に関する対応をより丁寧な関りや適切な配慮が出来るように、更に研鑽を積んでいくことを課題認識し取り組んでいることが期待されます。

園運営に必要なマニュアルは、法人事業部が作成した「保育施設運営マニュアル集」があり、系列園全てに配布しています。保育の基本事項や手順は、職員会議などの各種会議等で確認しているとともにOJTによる指導を行っています。年度初めには、職員会議で保育以外の園に関する仕事の分担について話し合われ、係や担当が決められます。なお、系列園の園長で構成する園長会に設けられた勉強会「こども未来会議」で法人事業部が作成したマニュアルについて見直しが行われているなど、現場の意見を反映した手順書の作成に組織的に取り組んでいます。

サービスの向上を目指して、園の業務水準を見直す取り組みとして、年１回行われる法人本部が主導する保護者アンケートの実施や意見箱の設置のほか、保護者会や個別面談などが行われています。その他３年ごとに行う第三者評価や、職員自己申告書をベースとした個別面接による職員意向の把握の取り組みなどから、必要な情報を把握しています。また、ピアノ伴奏や制作物など、職員の得意分野を把握して適材適所に能力を発揮できるようにしているなど、より良い園運営につながるよう図っており、職員のやる気や帰属意識の向上に努めています。