評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)直接支援に携わっている職員(非常勤は常勤換算)1人当たりの利用者数 1.7 人
2)親切心・さわやかな挨拶・和(チームワーク)を大切に事業を推進する。
3)高齢者の尊厳を守り、高齢者が住みなれた地域でいつまでもその人らしく生活できるように最大限の支援をすることを使命とする。
4)高齢者の生活と人権を擁護するために自己研鑚に努め、公平・公正な開かれた施設運営を推進する。
5)高齢者一人ひとりのニーズと意思を尊重し、常に誠意をもって質の高いサービスが提供できるよう研修、研究に励み、専門性の向上に努める。
職員に求めている人材像や役割
高齢虚弱者の立場を良く理解し、利用者本位の生活支援サービスに共生して業務を遂行できる職員。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
一人ひとり異なる貴重な人生を理解・評価し、介護の専門職として、日々学習し努力する真摯な姿勢。
全体の評価講評
特によいと思う点
施設は、特別養護老人ホームとして開設して60周年、現在の区に移転してから45年を迎える。「思いやりの心の介護の実践」の理念のもと、良質な利用者サービスの提供とともに、地域福祉への貢献をめざし、先駆的な地域福祉サービスの開発を行っている。これまでの活動のなかで培ってきた経験値を基礎に、中長期計画のビジョンとして「地域への挑戦」を掲げ、地域社会が求める社会福祉法人・施設としての使命・責務を果たすことを経営指針としている。地域共生社会の実現をめざし、先駆的・開発的な取り組みの推進を図っている。
施設での生活を具体的にイメージし、安心して入所できるよう、月2回の入所説明会や入所時のオリエンテーションを実施している。また、ホームページやSNSを活用し、日常の生活風景や行事の様子を写真付きで紹介する等、視覚的にも分かりやすい情報発信に努めている。これにより、入所希望者や家族が施設の雰囲気やケアの内容を事前に理解でき、安心感を持って利用につなげられる。明るく開放的な環境作りともに、信頼性の高い情報提供を通して、利用者・家族との信頼関係を強め、地域にも開かれた施設運営を進めている。
排泄時は最も尊厳が損なわれやすい場面であり、排泄介助はその施設全体のケアのレベルを示す指標となる。施設では利用者の残存機能をいかし、意向を踏まえた利用者本位の排泄ができるよう支援に努めている。研修等で排泄介助の技術を高めつつ、排泄時の立ち上がりや移動を補助する介護リフト等の福祉機器を活用して、なるべくトイレでの自然な排泄ができるよう「オムツゼロ運動」を推進している。また、居室でオムツ等の交換をする場合は、排泄バッグと蓋付バケツを持参し、他の利用者にわからないよう注意し、利用者の羞恥心に十分配慮している。
さらなる改善が望まれる点
限られた職員配置のなかで、利用者ニーズの重度化や複合化、施設として多様な先駆的事業等を推進する中で、職員が担う業務領域は、やり甲斐を感じられる業務が増幅する一方で、業務負荷の増大が現実のものとなっている。施設では、労働の負荷を改善するためICTやテクノロジーの導入等の生産性向上の活動に取り組み、働き方改革を推進し、対応を行っている。今後は、ワーカホリックやバーンアウトに対応するメンタルサポートを推進するとともに、ワークエンゲージメント(仕事への心の健康)を高める取り組みの推進が期待される。
事業所設立から60年にわたる蓄積がある中で、自立支援や尊厳の保持等、理念に掲げる「思いやりの介護の実践」が事業所全体に根付き、日常業務として定着している取り組みが多く見受けられる。その一方で、職員にとって「当たり前」となり、意識されにくい実践も少なくないため、改めて自らの取り組みを振り返る機会が求められる。今後は、ユニットケア特有の限られた職員体制の中で、情報共有や相互の学び合いを促進し、協働によって効果的で効率的なサービス提供体制の工夫が望まれる。これにより、さらなる高いケアを実現されたい。
機能訓練室を1階の訓練室から5階の「よりあい処」に移転し、機能訓練指導員による機能訓練を毎日実施している。コロナ禍前は週2回利用可能であったが、現在は週1回に減っており、「よりあい処」の体操等のプログラムとあわせて身体を動かす機会を確保している。利用者の機能訓練への要望とニーズが高いことから、週2回に増やせるか模索・検討しているところであり、施設やマンパワーを有効活用しながら増回に向けて取り組まれたい。加えて、DVD等の動画を活用した体操の実施等各ユニットでの心身機能維持のための取り組みの充実も期待したい。
事業者が特に力を入れている取り組み
施設における利用者支援に直接関わる介護および看護職員の配置は、常勤換算で一人の職員に対する利用者数が1.6人である。制度上の配置基準は3対1であり、大変手厚い職員配置となっている。生活相談員や機能訓練指導員、介護支援専門員などの配置も手厚い。また、介護福祉士等の有資格者や経験豊富な専門性の高い職員を配置することで安心・安定した良質な利用者サービスの提供をめざしている。昨年度の常勤職員の離職者は2名(離職率2.8%)であり、法人・施設は、人材確保が難しい状況の中で、手厚い職員配置への経営努力を続けている。
居室から自然に足が運ぶ回遊式のベランダや、エレベーターによる自由なフロア移動、鍵ではなくセンサーによる玄関対応等、生活空間として自由でリラックスできる環境を整美している。これらは施設の開設当初からの基本コンセプトであり、職員は日常の一部としてあたりまえ前のこととして受け止めている。その上で、安全確保のためのリスク管理や環境改善にも継続的に取り組んでいる。居室内は落ち着いた色調で統一され、自宅で使用していた水屋箪笥等を配置できるようにしており、自宅での暮らしの延長として生活を送ることができる環境としている。
誰もが楽しく豊かに過ごせるよう、多彩な余暇プログラムや活動の場を提供している。屋上菜園では、利用者自治会「みのり会」が中心となり種まきや水やりなどをして、花や野菜の成長を楽しみにしている。余暇活動の拠点である「よりあい処」では、企画担当者を変えることでバラエティーに富んだプログラムを提供している。特長的なものとして、鉄道会社の社員を招いて鉄道に関する体験やゲームを楽しむほか、アイドルや歌舞伎など好きなものをとことん楽しむ「押し会」が好評で、利用者が好きなものを選択して楽しめるよう、職員が知恵を絞っている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:施設と協議のうえ、アンケート内容の理解が難しい利用者、会話が困難な利用者を除き、調査に協力可能な利用者を対象とした。
- 調査方法:聞き取り方式
評価者が居室等、話を聞きやすい場所で、個別に聞き取りを行った。 - 有効回答者数/利用者総数:20/119(回答率 16.8% )
聞き取り調査の結果から、多くの項目で肯定的な回答が得られているが、質問の内容によっては無回答の利用者もみられた。サービスの提供では、生活するうえで利用者が必要とする手助けが行われていることや、施設では利用者の希望やペースに合った時間が過ごせていることについて、回答した全員の利用者が満足していると答えている。安心・快適性では、食事場所や浴室など、施設内は清潔に保たれ整理がされていると、多くの利用者が回答している。また、職員の利用者への接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切なものであり、ケガをしたときや体調を崩した際の職員の対応は信頼できると回答している利用者も多い。利用者個人の尊重では、他の人に見られたくないことや知られたくないことなど、個人のプライバシーに配慮した対応がされていると多くの利用者が回答している。なお、個別の計画作成に関することや、外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについては、認識のない利用者が多く見受けられた。総合的な感想では、施設への満足度について、「満足」と回答した利用者が最も多く、次いで「大変満足」「どちらともいえない」となっている。
アンケート結果
1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか
食事の献立や味付け、食事をする際の手助け等に満足しているかについて、20名の利用者のうち、15名が「はい」、5名が「どちらともいえない」と回答している。自由意見では、味つけはちょうどで、量は減らしてもらう等でき、おいしく、メニューは十分だという意見や、どれも好きでおいしいく、寿司が好きだと言う意見が聞かれた。その他、味噌汁の出汁をきかせてほしいという意見や季節の果物、梨やぶどうが食べたいという意見があがった。
2.日常生活で必要な介助を受けているか
生活するうえで利用者が必要とする手助けが行われているかについて、20名の利用者、全員が「はい」と回答している。自由意見では、風呂で背中を洗ってもらうという意見や、風呂やトイレは職員が助けてくれるので助かるという意見が聞かれた。また、夜中のトイレや風呂を助けてもらい、ナースコールを押すと来てくれるという声があった。
3.施設の生活はくつろげるか
20名の利用者、全員が「はい」としており、施設では利用者の希望やペースに合った時間が過ごせていると回答している。自由意見では、いつもゆっくりしていて、テレビを観たり、横になるという意見や、5階で催しに出ていて、リビングで過ごすことが多いという意見が聞かれた。また、1日中ゆっくりできて幸せだという声もあった。
4.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか
日常的に利用者の健康に気を配ってくれているかについて、20名の利用者のうち、19名が「はい」と回答している。自由意見では、毎日話しかけてくれるという声や、必ず「元気ですか」と声かけしてくれるという声が聞かれた。また、自分より先に気づいてくれるという意見もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。
5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
20名の利用者、全員が「はい」としており、食事場所や浴室など、施設内は清潔に保たれ整理がされていると回答している自由意見では、職員が掃除をしてくれて、きれいになっているという声や、掃除は毎日モップをかけたりしてくれているという声が聞かれた。また、きれいで感謝しているという意見もあがった。
6.職員の接遇・態度は適切か
20名の利用者のうち、19名が「はい」としており、職員の利用者への接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切なものであると回答している。その他、1名が「どちらともいえない」と回答している。自由意見では、職員はやさしいという声や、言葉遣いや態度は丁寧で、親切でやさしいという声が聞かれた。また、常識的で、外国籍の職員も良いという声も聞かれた。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
20名の利用者のうち、19名が「はい」としており、ケガをしたときや体調を崩した際の職員の対応は信頼できると回答している。自由意見では、具合が悪いと言ったら看護師に言ってくれるという意見や、身体が痛いとき、薬を貼ったりしてくれるという意見が聞かれた。また、安心できるという声や、今は熱も出ないが、体調不良時は安心できるという声もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。
8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
利用者間にトラブルなどがあった場合は、職員の対応が信頼できるかについて、20名の利用者のうち、12名が「はい」と回答している。自由意見では、少しはあるが、職員が止めているという意見や、小さいのはあるが、何かあれば職員が止めてくれるという意見が聞かれた。その他、トラブルとかそういうのはないという声や、トラブルとか見たことないという声があがった。なお、8名の利用者は無回答であった。
9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
20名の利用者のうち、16名が「はい」としており、施設では利用者の気持ちや考えを大切にした対応がされていると回答している。自由意見では、大事にしてくれているという声や、そう思うときがあるという声が聞かれた。また、自分のことをわかってくれていると思うという意見もあった。なお、4名の利用者は無回答であった。
10.利用者のプライバシーは守られているか
20名の利用者、全員が「はい」としており、他の人に見られたくないことや知られたくないことなど、個人のプライバシーに配慮した対応がされていると回答している。自由意見では、同性介助にしてもらっているし、部屋に入るときは必ずノックしてくれるという声や、トイレやお風呂のときは、扉をちゃんと閉めてくれているという声が聞かれた。
11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
個別のサービスに関する計画を作成したり見直しをする場合に、利用者の意見や要望を聞いてくれているかについて、20名の利用者のうち、5名が「はい」、1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、ぬり絵をしたいという希望を伝えているという声があがった。その他、わからないという意見もあった。なお、14名の利用者は無回答であった。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
個別のサービス計画に対する職員の説明はわかりやすいかについて、20名の利用者のうち、11名が「はい」と回答している。自由意見では、わかりやすいという声や、わかるという声が聞かれた。その他、わからないという意見や、覚えていないという意見もあった。なお、9名の利用者は無回答であった。
13.利用者の不満や要望は対応されているか
不満や要望は伝えやすく、その後の対応も行われているかについて、20名の利用者のうち、19名が「はい」と回答している。自由意見では、きちんとしてくれるという声や、何でもしてくれるので感謝しているという声が聞かれた。また、すぐにできなくても、ちゃんとしてくれるという声や、忘れずにやってくれるという声もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
困ったことなどを外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについて、20名の利用者のうち、2名が「はい」と回答している。自由意見では、聞いたことがあるという意見があった。また、わからないという声や、知らないという声が聞かれた。なお、18名の利用者は無回答であった。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
次年度の事業計画検討会議を11月から開催し、ボトムアップで策定作業を行っている
施設では、新年度事業検討会議を毎年11月から行うことを事業計画の年間予定表に折り込み、関係職員の参加を得ながら、ボトムアップで策定作業を行っている。事業計画は、法人理念のもと、60年に及ぶ事業活動で培ってきたものを基本にしているが、毎年、変化する事業環境に適合する先駆的な取り組みを折り込み、策定している。地域福祉の拠点施設として、地域貢献や利用者サービス、事業の担い手である職員やその集団、経営の現状と将来について、大きな方向づけを行い、具体的な取り組みの目標・計画を5W1Hの視点で明確に示している。
「地域福祉への挑戦」を軸に、新中長期計画で未来志向のビジョンを明確にしている
法人では、令和7(2025)年度を起点とする5ヵ年の中長期計画への取り組みがスタートしている。令和2年度からの中長期計画の振り返りを行ったうえで、新たな中長期計画では、「地域福祉への挑戦」を軸として、「5つの経営実践の柱」「3つのサービス実践の柱」をこれからのビジョンとして掲げている。少子高齢化と人口減社会の急速な進展に伴い、事業・サービスの担い手である人材の確保と定着が課題となっているが、「5つの経営実践の柱」の一つに「職員の幸福度(ウェルビーイング)の向上」が挙げている。新たな取り組みを期待したい。
活動のプロセスや結果を数値で把握することを基本に、管理サイクルを徹底している
事業報告書では、多様な活動のプロセスや結果について数値や図表による推移の説明を行っている。例えば、令和6年度、稼働率は98.26%、利用者の入院件数は18件延べ358日、入浴は個浴3%・リフト浴52%・特浴45%、個別機能訓練実施数月平均536人・年間6878人、ボランティア活動総数2370(前年比140%)、そして、事業活動収支の数値等である。管理サイクルを徹底、透明性の高い経営を実現している。今後は、事業計画において、達成指標に具体的な数値目標を設定して、計画の達成度評価を行うことを期待したい。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
法人理念を遂行するための行動規範として「職員倫理綱領」を周知徹底している
職員倫理綱領は、利用者個人の尊厳の保持や利用者の自立支援、利用者生活の権利の保障、良質で適切な福祉サービスを公平・公正に提供するための行動規範9項目の構成である。法人がこれまでの活動のなかで培い、大切にしてきた規範を福祉専門職としての行動規範として可視化し、まとめたものである。入職時の新任職員研修で周知・理解を図るとともに、現任者研修や各種会議等で周知徹底を行っている。職員の自己管理、決意表明のための指針と位置づけられているが、活動のあらゆる場面で規範として大切にしている。
ボランティアや実習生等を積極的に受け入れ、地域に開かれた施設として活動している
施設は、従前からボランティアや実習生の受け入れを積極的に行っている。地域福祉の拠点としての施設の認識のもと、地域に開かれた施設としての活動を推進している。事務部内に地域連携推進係として専任担当者を配置し、各ユニットにもボランティア担当を置いている。コロナ禍で、かつて5000日を超えていたボランティアの年間活動総数は一時激減したが、この数年徐々に回復し、昨年は2370日になっている。コロナ禍で始まったオンラインによる利用者サポート(相談)ボランティアの活動を継続している他、ボランティアの交流会を実施している。
多岐にわたる地域公益的な活動を推進し、社会福祉法人施設としての使命を果たしている
法人・施設は、地域における公益的活動として10項目の取り組み事項を掲げている。社会福祉法人の使命の自覚に基づく活動の推進である。経営会議内で開催する地域公益活動推進委員会で検討し、継続的な取り組みを行っている。10項目の一つ「配食サービス、移動サービ等による地域サービスの向上」 では、毎月第4土曜日に「なぎさ☆キッチン」を開催、食堂形式で多世代が交流できる場として実施している。食の提供としての「なぎさ・フードドライブ」は年4回開催している。また、「地域への情報発信」や「公開講座」なども計画的に実施している。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
防火・防災訓練などを定期的に実施し、地域とともにリスクマネジメントを推進している
火災や地震、津波や豪雨災害などによる被害を最小限に食い止め、利用者の生命を守り、事業を継続していくことを目的とした防火・防災等の訓練を定期的に実施している。初動対応・避難確認訓練、非常時BCP訓練、夜間想定避難訓練、非常食炊き出し訓練などであるが、一部は地域住民と合同で訓練で実施している。また、各セクションに防災リーダーを設置し、それぞれのセクションの特性にあった柔軟な訓練を実施できるしくみを構築し、防火知識や技術を着実に身に着けられるよう繰り返し訓練を行い、着実なレベルアップを図っている。
各種委員会においてリスクへの対応を組織的に協議し、職員への周知を図っている
危機管理委員会や事故防止委員会、苦情解決委員会などを定期的に開催し、さまざまなリスク(危機)に関する報告・協議を行い、職員への周知を行っている。ヒヤリハット報告については、年間件数をデータ化し、発生件数の推移を追いながら、事故につながらないよう検討を重ね対応している。発生事故に対しては、事故検証や対策を講じ、モニタリングを行っている。また、介護職員の医療行為について適切な安全管理体制を徹底するため、口腔内のたんの吸引等は、安全管理委員会を開催し、技術水準の担保、利用者の安全確保の両面から徹底を図っている。
事業に関する情報公開を積極的に行うとともに個人情報の適切な取り扱いに留意している
地域福祉の拠点として、地域に開かれた親しみやすい施設をめざして、法人や施設の事業やサービスについて情報を積極的に公開している。従前から発行してきた広報誌(「文集なぎさ」等)を通じた定期的な発信に加えて、近年はホームページの充実や、SNSを通じてイベントや利用者生活の様子などリアルな情報発信に力を入れている。同時に、個人情報保護については、職員倫理規定を徹底し、医療・介護関係事業における「個人情報に関するガイドライン」に則した体制整備を図り、個人情報保護規程・個人情報管理規程の周知と遵守を徹底している。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
キャリアパスを明確にする新人事管理制度に移行し、対話型の人事考課を実施している
法人は、職員のキャリアパスを明確にし、合理的で公平な処遇の実現をめざして人事管理制度の見直しを行い、新人事制度への移行を行っている。新制度は、役割や能力に応じたステージ制の体系のもとで、格付け・昇格要件の基準、範囲給により処遇体系等を明確にしている。そのうえで、対話型の人事考課制度を導入し、運用の適正化をめざすしくみになっており、職員のキャリアアップの促進、公平処遇の実現が期待される。また、労働集約型事業の健全経営の指標として人件費比率の数値目標を設定し、透明性の高い人事管理をめざしている。
職員の成長と組織の発展の双方をめざして多様な職員研修メニュを計画的に実施している
職員研修は、①専門知識技術の向上、②チームアプローチ、③キャリアパスに沿った人材育成、④法人理念に基づいた実践、の4つの視点で多様なメニューを実施している。新任職員には、入職時に行う法人合同研修(2日間)やセクション研修(5日間)、3ヵ月後および6ヵ月後に振り返りの集合研修(Off-JT)を、さらに1年先輩職員が1年間個別指導(OJT)を行うチューター制度を設けている。現任者研修については、階層別等の多様なプログラムを各月に配置し、実施している。外部派遣研修や自己啓発支援(SDS)のメニューも豊富である。
職員の幸福度(ウェルビーイング)の向上に向けた着実な取り組みが期待される
法人の新中長期計画は、未来に向けた「5つの経営実践の柱」を掲げ、その一つに「職員の幸福度(ウェルビーイング)の向上」を挙げている。今後、さらに深刻化することが予測される人材の確保・定着への法人・施設への取り組みを宣言するものである。多様な福利厚生施策や仕事と育児の両立の支援としての「くるみん」認定、休日増や年休取得の奨励・時間外労働削減等の働き方改革、現場の労働負荷改善の取り組み等、これまでの施策の深化を期待したい。また、多様化する職員の価値観、ニーズに対応し、個別育成(研修)計画の策定・実行が望まれる。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
【課題と目標】地域公益活動としての「学び舎なぎさ」の開催について、参加者に対するアンケート調査等で満足度、ニーズ把握を行い、地域で求められる講座の開始をめざした。
【課題を抽出した理由・背景】コロナ禍で薄れてきた地域での交流の場や生きがいづくりの活性化を意図するものである。施設職員が主体となり開催することで地域とのつながりの理解を深め、担当者の学びの場としてスキルアップをめざす。施設の取り組みを地域に発信する機会を拡充し、認知度アップをめざす。
【取り組み】特養専門チームのメンバーを中心に、年間10回の講座を年度計画で定め、ボランティア学習や介護技術教室まで多岐にわたる内容の講座を開催した。
【取り組みの結果】予定した10回のすべてを開催、定員に満たない回もあったが、参加人員は述べ86人であった。「身体をメインテナンスして、いつまでも元気で過ごしましょう」など、身近なテーマが好評だった。
【振り返り・今後の方向】
担当者から聞き取り・アンケート及び参加者アンケートの分析・考察を行った。取り組み内容について、「アクティブ福祉」で発表し、公表した。今後の講座内容及び回数等の検討を行った。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
施設は、地域福祉の拠点としての自覚のもとで古くから地域貢献の先駆的活動を積極的に推進している。今回、重点課題として取り組んだ「学び舎なぎさ」も従前から継続的に実施してきたものである。「誰もが支え合える地域」をめざし、地域住民が福祉についての学びを深める場、そして施設の活動を知ってもらう場として定期的に開催してきた活動である。
今回の重点課題としての取り組みは、コロナ禍で感染防止の観点から一時休止を余儀なくされてきた活動について、改めて開催内容や開催方法などについて見直し、検討を行い、新たな目標を掲げての取り組みであった。地域住民の学びの場の提供、交流やつながりを通じた生きがいづくりをめざすとともに、施設職員が地域を理解し、地域福祉の活動を体現できる場として位置づけた。
予定した10回のすべてを開催し、ニーズに対応した講座の開催が行われている。また、この活動に参加した職員が、「アクティブ福祉」で発表を行った。プロセスを通じた職員の学びの成果も大きいものが認められている。
法人・施設では、「地域福祉への挑戦」を基軸とする中長期計画を策定しているが、本事業のさらなる発展を期待したい。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
【課題と目標】生産性向上、業務の効率化(職員の負担の軽減)の取り組みとしてインカムを導入する。
インカムの導入により、情報伝達の容易化、迅速な対応力、連携力アップを図る。
【課題を抽出した理由・背景】限られた人員で業務を遂行する中では施設内で職員が点在する形となり、何かが問題が発生した場合、一人ひとりに内線をかける形となり、情報伝達に時間がかかってしまう現状があった。初動を迅速に行うためにも情報伝達方法を改善し、対応力を高めることが求められていた。
【取り組み】介護長が中心となり、機器の選定、補助金の活用、自己資金の確保を行い、年度内にインカムを導入する準備を行った。
【取り組みの結果】インカムの導入にあたり、Wi-Fiの状況などの現状確認を実施。機器も選定を行った。導入のための補助金申請も行った。ところが、業者との行き違いで選定した機器の在庫がなく、結果的に購入・導入には至らなかった。
【振り返り・今後の方向】専門家会議において専門職同士で振り返りのディスカッションを行った。業者に時期を確認、導入時期の変更を行い、改めて導入準備を進めた。導入後の運用イメージの確認を行っている。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
この重点課題は、施設内の情報伝達機器としてインカムを円滑に導入するための組織的な取り組みに関するものである。管理サイクルとしてのPDCA(計画・実行・確認・改善)の各ステップを押さえながら取り組んだ。インカムの導入は、業者側の認識に瑕疵があっため予定した時期にはできず、納入時期を変更することとなった。計画通りに導入できなかったという事態は目標未達であり、また業者の認識の瑕疵を確認できなかったことは反省点ではあるが、実質的な損失や不具合は発生していない。管理サイクルを徹底した成果である。
介護サービス事業の職場においては、今後、生産性向上の取り組みとしてさまざまなICTやテクノロジー機器等の導入を検討していくことになる。導入の目的を明確にしながら、職場の状況にマッチした機器等を選定し、導入を行っていかなければならない。今回の取り組みは、そうしたこれからの取り組みの先行モデルとして受けとめることができる。今後は、管理サイクルとしてのPDCAの各段階に現場職員を参画させ、推進していくことに期待したい。
サービス分析結果
【講評】
ホームページやSNSを活用して施設の情報を発信し、生活の様子を具体的に伝えている
広報誌による情報発信に加え、よりタイムリーで施設の様子が伝わるよう、ホームページやSNSを活用している。ホームページでは、行事やお知らせ等のトピックスを、SNSでは日常の様子やできごと等を発信し、それぞれの特長をいかして役割を分担している。また、情報発信の安全性を確保するため、作成担当者を明確にし、最終的には苑長が内容を確認してから掲載する体制を整えている。こうした取り組みにより、入所希望者が事前に施設の雰囲気やケアの様子を把握できるようになり、安心して見学や相談に来るケースが増えている。
月2回の入所のための説明会を定期開催し、希望者に対して窓口を広げている
入所を希望する方に対して、月2回の説明会を開催し、施設の概要や利用に関する情報発信を行っている。電話で問い合わせがあった際には、説明会の日程を案内し、可能な限り参加を進めているが、日程が合わない場合には個別対応も行っている。説明会は1回40分程度で、少数制とし、丁寧な説明を心掛けている。また、プライバシー保護の観点からフロア見学は実施しておらず、代わりに説明会資料に掲載された写真やホームページの情報を活用して、施設の雰囲気や生活のイメージを持てるように伝え、安心して申し込みができる環境を作っている。
地域ニーズを的確に捉え、行政や関係機関と情報を交換しながら信頼関係を強めている
施設は、23区内でも最も歴史ある特別養護老人ホームとして開設60周年を迎え、行政機関との信頼関係のもと、従来の特別養護老人ホームとしての機能の他、地域課題に応える多様な活動を展開している。若年性認知症支援、障害福祉サービスへの取り組み等、地域の多様な福祉ニーズに対応し、社会福祉法人としての役割りを明確に持ち、行政や関係機関と情報交換を積極的に行い、事業推進にいかしている。また、行政へは事業計画書や広報誌を定期的に配布し、苑長は3ヵ月ごとの施設長会に出席し意見交換を行うなど、地域に根ざして活動している。
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
契約前にオリエンテーションを行い、ミスマッチがないように丁寧に説明している
入所候補者の段階で入所時オリエンテーションを実施し、最終的な入所意思を確認している。重要事項説明書を用いて施設概要やサービス内容、費用や日課等を丁寧に説明し、施設見学を含めて約2時間かけて行うことで、入所生活を具体的にイメージできるようにしている。担当相談員は「入所時オリエンテーション面接記録表」を使用し、説明内容に漏れがないように面談をして、入所者や家族の理解に相違がないかを確認しながら進めている。こうしたプロセスにより、入所後のミスマッチを防ぎ、利用者が安心して生活を始められるようにしている。
サービス利用に関する費用説明は書面で丁寧に行い、同意を得て進めている
サービス利用に関する費用説明は、入所候補者となった段階で「入所時オリエンテーション」で実施している他、契約時に利用料金体系や加算の内容を説明しており、2回にわけて丁寧に伝え、同意を得ている。従来型とユニットケア型では居住費に差があるため、空き状況を踏まえて意向を確認し、希望に応じて柔軟に対応している。また、南向きの居室を希望する場合には、1日につき300円の追加料金が必要であることを説明している。昨今の物価高騰に伴う食費の見直しの際には、書面で詳細を提示し、家族の同意を得た上で改定を実施している。
サービス開始から終了時まで、不安軽減を図り、支援の継続性に努めている
利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように、職員間で連携し、手厚い支援を行っている。利用者の心身状況は、詳細に介護記録にとり、入所後1週間でケアの見直しを実施している。また、看取りの説明会を年2回開催し、利用者および家族の不安を軽減している。さらに、医師よりターミナルケアの指示が出た際には、個別に面接を行い、急変時の対応を確認し、カンファレンスを実施して、対応している。利用の開始から終了まで、利用者や家族の気持ちに寄り添い、安心感があり、継続性に配慮した支援に努めている。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
「ケアプランシート」の一枚にまとめて、緊急時を含め利用者情報の集約を行っている
入所時オリエンテーションで実施するアセスメント結果をもとに、本人の基本情報やケアプランの要約、留意点等を1枚にまとめた「ケアプランシート」を作成している。これは、職員間の情報共有を円滑にし、夜勤や緊急時等の限られた時間の中でも迅速な判断ができるようにするための工夫である。シートは各ユニットで活用され、日々の支援の中でケアプランや医療・家族情報等に変更があった場合はその都度書き加え、半年ごと(6月、12月)には全体を一斉に更新している。最新の状態を保ち、誰もが必要な情報を迅速に確認できる体制を整えている。
利用者や家族の意見を取り入れて、ケアプランを作成し、その実践に取り組んでいる
利用者に状態変化等があった際は、カンファレンスを実施するとともに、利用者本人の意向を確認し、ケアプランの見直しを行っている。その際、利用者の家族にもSNSや電話等で意向を確認し、個人のニーズを的確に把握して、ケアプランへ反映させている。また、利用者の状態やニーズに合わせた、その人にあった柔軟な対応ができるよう専門職を含めた、職員間で連携しながら、支援している。さらに、ケアプランはシステム上で、情報でき、朝夕の引き継ぎの申し送りでも共有しており、適切に計画変更に対応できている。
PCやタブレットを活用して、職員間での情報共有をスムーズに行っている
各ユニットにタブレットとパソコンがあり、業務支援システムを使い、日常の介護記録の入力や基本情報、ケアプラン、各種マニュアルの確認、あるいは日常での気づきもわかりやすく検索できるようになっている。また、グループウェアソフトを使い、職員間の申し送りやスケジュール管理等、情報共有のツールとして定着している。毎日、朝夕の引継ぎの申し送りの他、昼の申し送りの時間には、多職種で顔を合わせてのカンファレンスを実施し、情報を共有している。外国籍の職員もソフトを使った入力作業であるため、記録作成の負担感の軽減にもなっている。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録を適切に作成する体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 利用者に変化があった場合の情報について、職員間で申し送り・引継ぎ等を行っている
1.施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている
- 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
- 利用者の意向や状態に応じて、生活の継続性を踏まえた支援を行っている
- 介護支援専門員を中心に、介護、看護、リハビリ、栄養管理等の職員が連携して利用者の支援を行っている
【講評】
利用者の笑顔が見られた時の記録を取るなど、生活の中でポジティブな面に着眼している
職場内の認知症研修で「パーソンセンタードケア」について学んだ後、職員の提案により「笑顔シート」を作成し、利用者の日常生活の中で笑顔が見られた場面を共有している。日々の関わりの中で、職員がポジティブな視点から利用者を捉えることで、尊厳のある介護の実践につながり、それが利用者の意欲を引き出し、生活の質の向上に結びついている。また、共有された「笑顔シート」の内容は介護記録にデータとして蓄積され、カンファレンスやケアプランの見直しの際に、利用者の心身の変化や満足度を把握する重要な情報として活用されている。
リハビリ専門職と効果的に連携しながら、生活空間の中でリハビリを日常的に行っている
特別養護老人ホームという生活空間の中で、開設以来リハビリの設備とリハビリの専門職を置き、午前中を機能訓練の時間にしている。全利用者に対して、週1回の個別機能訓練を行っている他、希望する利用者は毎日参加して自主トレを行うこともできるようにしている。介護職はリハビリ職のアドバイスを基に日々の姿勢保持やケアにあたっている。また、施設全体が生活リハビリを意識した設計になっており、回遊式のベランダやエレベーターでフロア移動を自由に行い、5階の菜園に行くことが出来る等、運動習慣と生活意欲の向上に向けて取り組んでいる。
ケアプランに基づいたサービス支援の深化を検討し、取り組んでいる
入所時オリエンテーション時のアセスメントから始まり、ケアプラン作成後はサービス提供時の気づきを記録し、3ヵ月ごとのモニタリングや半年ごとのカンファレンスでプランを見直すしくみが整っている。介護過程に基づく支援を確実に実施しているが、ユニットケア特有の少人数による支援体制のため、日常業務の中での意見交換やOJTの機会が限られていることを課題と捉えている。今後はケアプランを中心にケアの質を高め、利用者一人ひとりのニーズに寄り添った支援を行うため、チーム全体で学び合い、成長できる環境づくりをめざしている。
2.食事の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
- 利用者の栄養状態を把握し、低栄養状態を改善するよう支援を行っている
- 嚥下能力等が低下した利用者に対して、多職種が連携し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている
【講評】
自立した食事をめざし、利用者の状態に応じたきめ細かい食事提供と支援を行っている
利用者が状態に応じて適切に食事が摂れるよう、きめ細かい食事提供と支援を行っている。食事介助を必要とする利用者が増えているが、利用者が適切な自助具を選んで活用することで、なるべく自立度の高い食事を続けられるような支援に努めている。利用者の嚥下機能を反映した栄養ケアマネジメントに沿った「嗜好一覧表」で、主菜の粥・ソフト粥・パン粥、副菜のきざみ・極きざみ・ソフト・1センチ角、とろみの量等を指定し、これに基づき提供している。特にソフト食の提供により、味、見た目、嚥下機能等に配慮した食事提供に力を入れている。
利用者の栄養状態を把握し、リスクの度合いに応じ、栄養補助食品等で改善に努めている
低栄養は筋力・免疫力低下、縟瘡発生、認知機能低下、要介護度重度化等の原因となるため、多職種が連携して利用者の栄養状態を把握し、その改善に向けた支援に努めている。主治医の意見、介護職員や看護師からの情報、毎月の体重測定結果等に基づき、管理栄養士が3ヵ月ごとにスクリーニングと栄養ケア計画書作成を行う。そこで把握したリスクの度合いに応じて、ハーフ食・クォーター食の提供、牛乳等の乳製品、ゼリー、プロテイン、栄養補助食品、経腸栄養剤等、多種多様な補助食品やおやつを、利用者の嗜好を考慮しながら提供している。
多職種が連携して、利用者目線で経口摂取の維持・回復のための支援に力を入れている
利用者がなるべく口から食事を摂ることができるよう、利用者目線を大事にして経口摂取の維持・回復のための支援に力を入れている。介護職員・管理栄養士・歯科衛生士等による食事口腔ケア班において、利用者の嗜好、飲み込む力や噛む力等を踏まえ、食事と口腔ケアが連動した支援内容を検討するとともに、講習会を開催し食事介助技術の向上に努めている。また、経管栄養の利用者もリビングルームで一緒に食事できるようにするほか、医師・介護職員・看護師・管理栄養士が連携・協力して経口移行計画を作成し、移行に向けた支援を行っている。
3.利用者が食事を楽しむための工夫をしている
- 利用者の嗜好を反映した食事を選択できる機会がある
- 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
- テーブルや席は、利用者の希望に応じて、一定の範囲内で選択できる
- 配膳は、利用者の着席に合わせて行っている
【講評】
家庭的な雰囲気の中で楽しく食事ができるよう、環境作りや演出をしている
食事は利用者の最大の楽しみの一つであり、家庭的な環境で食事が楽しめることを大切にしている。各ユニットのリビングルームで、利用者は好みの席を選んで座り、自宅で使っていたお気に入りの茶碗や湯飲み、調味料等を使って食している。食事時間は2時間の範囲で本人が選ぶことができ、テレビや音楽を楽しみながら、自宅での食事の雰囲気で食べられる環境作りをしている。また、利用者が身近で食事に触れられることを重視し、炊飯、再加熱、食材のカット、盛り付けを各ユニットで行い、食事が楽しみになるよう食事のムード作りを演出している。
バラエティーに富んだ献立や選択メニューで食事提供し、飽きのこないよう工夫している
「好みに合った食事の提供」を目標に掲げ、利用者の嗜好に合ったメニューを選べるようさまざまな工夫を凝らしている。うなぎか寿司を選んで注文できる月1~2回のお好み食、肉・魚から選ぶ月1回の選択食を実施するとともに、正月、敬老の日などの際の行事食、各地の郷土料理等豊富なバリエーションの提供に努めている。管理栄養士は毎日ユニットに出向き喫食状況を把握するとともに、給食懇談会等で利用者の好みや希望を聴取し、メニュー改善に反映させている。加えて、ユニットごとにかき氷やパンケーキなどを利用者の希望を踏まえて提供している。
ユニットのメリットをいかし、安全でおいしく食事できるようきめ細かく支援している
食事は適温で提供できるよう、利用者が着席してから配膳している。さまざまな食事形態の利用者がいることから、氏名や食事形態等を明記したカードをトレーにセットし、誤配膳がないよう注意し、新人職員には先輩職員が付き添い正確を期している。ユニットでの食材のカットは、ミスを防ぎ、利用者のニーズへのきめ細かい対応を可能にしている。また、10人のユニットでの提供は、誤嚥や誤食等への目配りが効くメリットがある。食事後は生活リハビリの一環として、能力に応じタオルたたみやお盆拭き等の片付けに参加するよう促しており、定着している。
4.入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の意向や状態を把握して、できるだけ自立性の高い入浴形態(個浴、一般浴等)を導入している
- 入浴の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
- 認知症の利用者に対し、個別の誘導方法を実施している
- 利用者が入浴を楽しめる工夫をしている
【講評】
残存能力と自立度を考慮して入浴形態を決め、希望に沿ったサイクルで入浴できる
浴室は各ユニットごとに個浴を、各フロアごとに機械浴を用意し、異なる階への移動の負担なく入浴できる。入浴は週2回で、入浴間隔・曜日・時間は利用者の希望に沿って対応している。入所時の身体機能の評価や希望をもとに、残存能力と自立度を考慮し、個浴のリフト浴を基本に入浴形態を決めている。自立度の高い個浴は減少しており、リフト浴と機械浴が4~5割ずつを占めている。イスは高低2種類用意し、使いやすい方を選べるようにしている。安全性確保のため、医師の指示がある場合は中止し、感染症のある利用者は最後に入浴するようにしている。
羞恥心に配慮しながら、安全性と快適性を大切にして入浴支援に努めている
安全安楽な入浴介助を重視していることから、入浴マニュアルに基づき、マンツーマンで安全性と快適性を大切にして入浴支援に努めている。羞恥心への配慮としては、脱衣場で他の利用者と一緒になることはなく、同性介助を希望する利用者には100%希望に応えている。介助を要する利用者が大多数のため、利用者と職員の安全のためスライディングボード等の福祉用具を活用し、事故・ヒヤリハット情報を再発防止のために共有している。入浴をしたがらない利用者には感情を読み取り、気分がいい時に促すなどして、6日以上間が開かないようにしている。
利用者にとって満足度の高い入浴になるよう、さまざまな工夫を凝らしている
入浴は利用者の大きな楽しみの一つであることから、満足度が高い入浴をめざしており、入浴班のメンバーが菖蒲湯、柚子湯などの季節湯を検討し、季節感を味わえるよう提供している。この他、区内の事業者から寄贈されたりんごやみかんを活用したイベント湯も実施している。また、自宅での入浴の気分が味わえるよう、好みのシャンプーやリンスが使えるようにし、希望する場合は音楽を流している。なお、さらに入浴の気分が高まるよう、浴室入口や脱衣室に銭湯や温泉などのディスプレイをするなどの工夫を各ユニットごと取り組むことを期待したい。
5.排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている
- 排泄の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
- 研修等によりオムツ交換、トイレ誘導等の排泄介助方法の向上に取り組んでいる
- トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面や臭いに配慮し、清潔にしている
【講評】
オムツゼロ運動の下、残存能力をいかしてなるべくトイレで排泄できるよう支援している
排泄動作は生活リハビリの効果があるため、「オムツゼロ運動」として、トイレ及びポータブルトイレでの排泄への移行・継続に向け取り組んでいる。入所時に本人意向を聞いた上で1週間排泄状況を確認し、最適な排泄方法や用品を決定する。その後も、利用者の排泄状況の記録を踏まえたカンファレンスを介護職員、機能訓練指導員等で開き、見直している。排泄時の立ち上がりや移動を補助する介護リフト等の福祉機器を使いながら、残存能力をいかして排泄できるよう支援している。また、希望する場合は夜間もオムツでなくトイレ誘導・介助を行っている。
その人のペースに応じた利用者本位の自然な排泄ができるよう介助に努めている
その人のペースで利用者本位の自然な排泄ができるよう、1週間尿量を測るとともに、尿意・便意を汲み取り、定時でなく、随時トイレへの誘導やオムツ等の交換を行っている。利用者の負担を減らし、より快適で安全なオムツ等の交換ができるよう、リーダー向けや新任向けの排泄講習会、業者を招いたオムツ・パットの勉強会、排泄班での排泄ケアの課題検討等を行い、排泄介助についての知識・技術の向上に努めている。なお、介助する職員は、排泄介助マニュアルに沿って、目線を外したり、ひざ掛けを掛けるなど利用者の羞恥心に十分配慮して介助している。
安全・快適に排泄ができるよう環境を整え、きめ細かい配慮をしている
どの利用者も落ち着いて安全・快適に利用できるよう排泄環境の整備に努めている。手すりや背もたれを取り付けたバリアフリーのトイレを各ユニットに3ヵ所設置しており、トイレ内は清潔に保たれ、臭気対策のため消臭機や消臭剤を活用している。居室でオムツ等の交換をする場合は、介護職員が排泄バッグと蓋付バケツを持参し、他の利用者にわからないよう注意している。ビニール袋に入れた使用済みのオムツやポータブルトイレの排泄物等はすぐに密閉し蓋付バケツに入れて臭わないようにし、居室内にも消臭剤を使用するなど、同室者へも配慮している。
6.移動の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の状態や意向に応じ、できるだけ自力で移動できるよう支援を行っている
- ベッド移乗、車イスの操作など移動のための介助が安全に行われている
- 利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が行われている
【講評】
身体機能の評価に基づき、利用者の能力や状態に応じた移動支援を行っている
利用者一人ひとりに残された身体機能を最大限活用して自力歩行や立位保持によりできるだけ自立度を維持できるよう、利用者の能力や状態に応じた移動支援を行っている。入所時や介護職員から依頼があった場合等に、機能訓練指導員が利用者の身体状況の機能評価を行い、それまでの移動方法を踏まえながら、適切な移動方法や車イス・歩行器等の利用を決める。利用者の状況観察に基づき、機能訓練指導員が歩行器を使用しての歩行を提案することもある。居室内の床マットセンサー・離床センサーを活用して、自立歩行での転倒等を未然に防ぐようにしている。
一人ひとりの残存能力をいかし、「持ち上げない移乗」の徹底をめざしている
施設は「ユニットケアの成功のカギは『移乗』にあり」と考え、適切な移乗ケアを追求している。利用者の安全・快適性だけでなく職員の腰痛予防のため、機能訓練指導員とユニットサブリーダー等で一人ひとりの残存能力をいかした最適な移乗方法を検討し、リフト、移乗ロボット、スライディングボートなどのさまざまな移乗機器・用具を活用しながら「持ち上げない移乗」の徹底をめざしている。移乗動作マニュアルや移乗動作を撮影した動画を活用するとともに、移乗講習会や福祉機器の勉強会を開催し、安全で快適な移乗ケアの統一化に努めている。
常にベストの状態で車イスが利用できるよう、選定・調整・管理に努めている
車イス利用者は全体の9割で、車イスの状態が生活の質を大きく左右する。入所後、機能訓練指導員による機能評価に基づき、医師の確認を得ながら、安全性と快適性の観点から車イスを選定・調整している。ポジショニング・フィッティング・脚の角度等の調整はその後も随時行い、常にベストの状態で利用できるようにしている。ストック分も含め、施設内のすべての車イスに番号を振り、画像を添えた車イスのデータを作成し管理している。ユニットで不備を見つけた際は、空気入れやネジ締めは施設内で行い、それ以外のメンテナンスは業者に委託している。
7.利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている
- 利用者一人ひとりに応じた機能訓練プログラムを作成し、評価・見直しをしている
- 機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を入れている
- 機能訓練指導員と介護職員等の協力のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
- 福祉用具は、定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
【講評】
日常生活に必要な機能が維持できるよう、計画に基づき機能訓練を行っている
その人らしい生活が送れるよう、日常生活に必要な機能維持のため、機能訓練を行っている。機能訓練指導員が介護職員、看護師、医師等と多職種連携して3ヵ月ごとのアセスメント評価に基づき個別機能訓練計画書を作成し、これに基づき一人ひとりの状態に合った訓練を行っている。作業療法士・マッサージ師・柔道整復師等により5階の「よりあい処」の訓練スペースで機器も使いながら歩行訓練・立ち上がり訓練・関節可動域訓練などを実施している。また、臥床時間が長い利用者にも、円滑な身体介助が受けられるよう、関節可動域訓練等を行っている。
介護職員が機能訓練指導員と連携・協力し、各ユニットで生活リハビリを行っている
機能訓練プログラムは、日常生活での自立した排泄などに効果が上がることを念頭に置いて作成・実施している。機能訓練は機能訓練室で行うものに加えて、介護職員が機能訓練指導員と連携・協力して生活リハビリを推進している。利用者に離床しての身体を動かすユニットレク等への参加を促したり、外廊下や屋上で外気浴しながらの歩行を勧めている。また、各ユニットでは、残存能力維持のための生活リハビリとして、タオルやエプロンをたたんだり、お盆や食器を拭く手伝いをしてもらうことで、人の役に立てているという利用者の生きがいにもなっている。
「よりあい処」や各ユニットで心身機能の維持・向上のための活動の機会を提供している
余暇支援の場として設けている「よりあい処」を拠点に、心身機能の維持・向上に役立つさまざまな活動の機会を提供している。介護職員が中心となり、体操、ぬり絵・貼り絵・墨絵等の創作活動、手工芸等の手作業、カラオケや音楽療法、リラクゼーションなど、利用者のニーズに合うよう多彩なメニューを企画、週2~5回実施しており、利用者の楽しみになっている。加えて、ユニットごとでも、アロマテラピー、足湯、ボードゲーム、映画鑑賞等のレクリエーションを企画・実施し、利用者が手足を使うことによる機能維持と認知症進行の抑制に役立てている。
8.利用者の健康を維持するための支援を行っている
- 利用者の状態に応じた健康管理や支援を行っている
- 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
- 利用者の状態に応じ、口腔ケアを行っている
- 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている
- 終末期の対応をすでに行っているか、行うための準備が行われている
【講評】
利用者の健康維持のため、診療や指導、口腔ケアを行う体制が充実している
施設には診療所を併設しており、日中は週4日内科の常勤医が、加えて週1回別の内科、週3回歯科医師・歯科衛生士、月2回精神科の非常勤医が、看護師と連携しながら利用者の健康管理と療養上の指導を行っており、救急受け入れ可能な提携病院とあわせて、利用者及び家族に安心感を与えている。看護師は19時までの勤務だが、勤務時間外も病状急変等緊急時には電話や施設に出向いての対応をとる体制を整えている。また、口腔ケアは歯科医師・歯科衛生士の指導やアドバイスのもと、各ユニットで毎食後励行しており、100%の実施率を誇っている。
服薬管理は渡し間違いによる誤薬を防ぐためチェック体制を整え、正確を期している
服薬管理として、薬局から薬が届くと2名の看護師でダブルチェックしながら一週間分の個人別トレーに入れ、介護職員はその日の分をユニットに運び、確認しながら利用者に服用してもらい、空袋を回収、チェックし看護師に戻すことで、渡し間違いによる誤薬を防いでいる。加えて、手順をマニュアルに明記するとともに、服薬研修やヒヤリハット事例の共有により正確を期している。また、褥瘡ゼロをめざし、毎月褥瘡対策委員会を開き、看護・介護・栄養等の連携により、早期発見とリスクのある利用者への適切なケアに努め、新規発生のリスクを抑えている。
終末期の看取り介護は、家族の同意を得て、多職種が連携・協力して実施している
看取り期に入ったと医師が判断した場合は、家族が医師と話し合い、「看取りに関する指針」に基づき、「ターミナルケア同意書」で同意した場合に看取り介護を開始する。看取り介護は「看取り介護に関する計画書」を作成し、医師・看護師・介護職員・栄養士等が方針を確認しながら連携・協力して進める。家族は居室で利用者と最期の時間を過ごすことができ、利用者の状況はSNSを使って、迅速かつきめ細かく家族に伝えている。終了後は介護職員による看取りの振り返りを行い、看取り介護の質向上と携わった職員の精神面のサポートに役立てている。
9.利用者が日々快適に暮らせるよう支援を行っている
- 起床後、就寝前に更衣支援を行っている
- 起床後に洗顔や整髪等、利用者が身だしなみを整える際に支援を行っている
- 利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている
【講評】
起床後・就寝前になるべく着替えるよう、着替えの促しと支援を行っている
起床・就寝時刻は、それまでの生活パターンを尊重し、食事との関係で支障のない範囲で自由である。朝7時から利用者の起床時刻にあわせて声かけをし、昼夜の気持ちを切り替えハリをもたらすため着替えを推奨しており、着替えの促しや介助を行う。昼夜兼用タイプの衣類を着用している利用者も多く、日々、就寝時と日中で着替える利用者は半数ほどだが、食事や排泄で汚した場合は必ず着替えてもらっている。衣類はそれまで愛用していたものを続けて着用でき、必要なものは外出してのショッピングやインターネットショツピングで購入も可能である。
清潔で快適に過ごせるよう、洗顔や整髪等、身だしなみを整える支援に努めている
それまでの生活との継続性を大切にし、日々清潔で快適に過ごせるよう、きめ細かく身だしなみを整える支援をしている。居室の洗面台で歯磨き、洗面、整髪、電気カミソリでの髭剃り等を自分で行うよう促し、必要な場合は介助を行っている。洗面が困難な利用者には蒸しタオルで顔を清拭する。理美容を希望する利用者には専用室が用意されており、パーマや染髪も含めてゆったりとサービスを受けられる。爪切りは主に爪が柔らかくなる入浴後に行い、希望者にはボランティアによるネイルアートを行うなど、利用者のニーズに応じたサービスに努めている。
利用者が安定した睡眠をとれるよう、環境を整え、きめ細かい配慮をしている
利用者の安定した睡眠確保のため、環境面や介護面できめ細かい配慮をしている。居室内は常夜灯のみで暗くしてあり、夜間の職員による確認も室内を明るくすることなく行い、起こさないようにしている。また、適正なサイズの排泄用品を使うことで、就寝中のオムツ等チェックをしないようにしている。居室内には床マットセンサー・離床センサーとカメラを配備し、夜間等に立ち上がったり離床した際にはすぐに確認し、必要に応じ居室に出向き安全を確保している。眠れないと訴える利用者には、ケアステーションで話を聞くなど個別対応をしている。
10.利用者の施設での生活が楽しくなるような取り組みを行っている
- 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
- 利用者の意向を反映したレクリエーションを実施している
- 認知症の利用者が落ち着いて生活できるような支援を行っている
- 利用者の気持ちに沿った声かけや援助を行っている
【講評】
制約は少なく、生活習慣や価値観に基づき選択しながら自由度の高い生活ができる
施設での生活は、重要事項説明書に掲げた禁止事項やルールがあるほかは制約はなく自由度は高い。エレベーターの利用、外泊や外出、飲酒、指定した場所での喫煙等は自由にできる。コロナウイルス感染症の収束状況を見ながら面会回数制限をなくしたため、家族と会える機会が増えたと喜ばれている。食事は月1~2回のお好み食、月1回の選択食を提供し、好みのものを選ぶ機会がある。また、さまざまな余暇活動やイベントに参加するかどうかは利用者の自由であり、入所前の生活習慣や価値観に基づき選択しながら自分らしい暮らしができるようにしている。
利用者の希望や意向等を知り、これに基づき余暇時間が過ごせる機会を提供している
施設では支援にあたり、隣に座りその人を知り、寄り添うことをテーマに、利用者と同じ時を同じ場所で共感することを大切にしている。利用者懇談会や日頃の会話の中で余暇活動についての希望を聞き、「よりあい処」では年間143回、多種多様な余暇支援プログラムを提供するとともに、各ユニットで季節を感じられるさまざまな行事を開き、希望に沿った余暇時間を過ごせるようにしている。また、日頃の様子や家族からの聞き取りにより、自分で訴えられない利用者の希望にも応えるよう努め、屋上や外廊下等での日光浴や外気浴等の機会を提供している。
普通の暮らしが続けられるよう、「個人を演出できる環境支援」に力を入れている
ケアの重点項目の一つに「環境支援」を掲げているのが施設の大きな特長である。「個人を演出できる環境支援」を目標に掲げ、本人や家族と相談しながら、希望に沿った生活環境づくりに取り組んでいる。長く自宅で使っていた家具類や、趣味を続けられる用品の持ち込み、使い慣れて愛着のある食器類の利用などを勧め、それまでの生活との連続性の高い「普通の生活」が続けられるようサポートしている。リビング等の共用部分は、落ち着ける居場所となるような雰囲気で内装を統一するとともに、クリスマス等季節ごとに、装飾を凝らし楽しさを演出している。
11.地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 定期的な散歩や外食、遠出など外出の機会を設けている
- 利用者が地域の一員として生活できるよう、地域住民が参加できるような行事など、日常的な関わりが持てる機会を設けている
- 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
【講評】
社会との接点を保てるよう、地域散策会、ドライブ、買い物等外出支援に取り組んでいる
自分の意思で社会との接点を保ち、人間らしく普通の生活を送る上で外出は不可欠であり、「散歩や出かけたい気持ちに寄り添う」ことを目標として掲げ、コロナ5類引き下げ以降、外出支援の充実に取り組んでいる。外出プログラムとして、ボランティアの協力を得て、少人数ごとに近隣の公園等に出かける地域散策会、自動車を使った遠出の外出等を定期的に実施している。同区内にある臨海公園や児童文学館等への外出が特に好評であった。また、ショッピングデーでは近隣のショッピングモール等へ付き添って買い物ができるよう支援している。
利用者が地域の一員として地域住民との日常的な関わりが持てる機会を多数設けている
利用者が地域の一員として地域住民と触れ合い、交流しながら過ごせる機会を積極的に提供している。個人・団体のボランティア参加の調整を行うボランティア・コーデイネーターを配置し、外出プログラム、「よりあい処」での余暇活動、長寿祝賀や介護の日等のイベントで参加をお願いし、利用者の活動の幅を拡げるのに役立っている。コロナ禍で制限していた直接的な関わりも再開し、一般ボランティア・介護サポーターあわせて延べ2,270人と活動数が大幅に増加した。イベントではたくさんの区民が訪れ、利用者との貴重な交流の機会となっている。
利用者が地域で暮らしている実感を持てるよう、地域とのつながりを大切にしている
施設は当地に開業して45年、地域とのつながりを大切にした施設運営を強みとしている。小学校の運動会や卒業式、吹奏楽部のコンサート等への招待があるほか、入居者自治会「みのり会」が地元町会に加入していることから、近隣のお祭り等の参加や来苑した住民との交流などをとおして、地域で暮らしているという実感を利用者が持てるように努めている。また、赤い羽根共同募金活動に利用者が参加し地域貢献も行っている。なお、各ユニットで、区や町会の広報誌の掲示したり、地元の風景やお祭り等の動画を流す等、地域情報の提供も検討されたい。
12.施設と家族との交流・連携を図っている
- 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
- 家族や利用者の意向に応じて、家族と職員・利用者が交流できる機会を確保している
- 家族または家族会が施設運営に対し、要望を伝える機会を確保している
【講評】
利用者についての連絡事項や生活の様子は、さまざまな媒体を使い家族に知らせている
利用者についての連絡は、生活相談員が面会に来た家族に伝えるほか、電話やコミュニケーションアプリケーションを活用して家族に伝えている。よりわかりやすくタイムリーに伝えるため画像を添付して送信することも多い。また、施設で運営しているSNSでも利用者の行事や活動の様子がわかる画像を多数掲載し、家族が閲覧するよう周知している。加えて、ホームページに月間予定表を掲載し、家族が施設の予定を把握できる。面会制限を緩和して以来、オンラインによる面会の需要は減っているが、海外や遠方の家族には重宝がられ、活用されている。
職員が家族とコミュニケーションや関係を深めるのための機会を豊富に設けている
利用者主体の個別ケアの推進のためには利用者の生活の様子や価値観などの情報を家族から得る必要があるため、施設では家族の価値を重視し、家族とのコミュニケーションや関係づくりに努めている。年間を通じて、長寿を祝う秋祭りや介護の日のイベント、各ユニットで開催する行事、家族との懇談会や看取りについての説明会等家族が参加する機会を設け、参加した家族・利用者と交流し、情報共有と情報収集の場としていかしている。近年、こうした場に来ない家族が増えており、会う機会の少ない家族との接点をどう持つかの検討が望まれる。
家族会の協力を得て、意見・要望を聞いたり、施設運営や支援の充実を図っている
施設と一緒に利用者を支える支援者として家族を位置付け、家族との協働のベースとなる家族会の運営に力を入れている。家族会は幹事会を年2~3回、総会を年1回開催し、家族会としての支援などについてを話し合い、施設協力推進事業として利用者が使う物品、福祉機器や備蓄物資等の寄贈を毎年行っている。家族会は家族との懇談会とあわせて家族同士の横の関係を築く場として活用するとともに、施設運営やサービスについての家族の意見・要望を聞き、面会の制限緩和や余暇活動メニュー充実など、利用者本位のサービス向上に役立てている。
【講評】
プライバシーを尊重し、利用者が自由でリラックスして生活できる空間を作っている
120床のうち80床はユニット型(個室)、40床は従来型(多床室)となっている。従来型もカーテンでの仕切りがあり、プライバシーの確保を維持しつつ、費用面(居室代)の選択肢を広げている。ユニットごとに3ヵ所のトイレと1ヵ所の浴室があり、リビングからは見えない位置にあることや、職員間で共有できる言葉を使い、プライバシーに配慮している。施設内は自由に移動ができ、5階の菜園や「よりあい処」で余暇活動を楽しむことができる。各階の回遊式テラスを散歩するため居室からの出入りが自由にできるようになっている。
高齢者の権利擁護や尊厳について学びの機会を積極的につくり、ケアにいかしている
東京都の認知症介護研修への職員参加や、東京都認知症介護研修の指導者養成過程を修了した職員による法人内研修を通じて、「その人らしさ」を尊重したパーソンセンタードケアの理解を深め、日常のケアや接遇にいかしている。また、虐待防止や看取り、理念研修を実施し、個人の尊厳と福祉職としての基本姿勢を学ぶ機会を設けている。「思いやりの介護の実践」の理念のもと、研修会だけでなく、職員一人ひとりが主体的に学び、行動できるよう、リーダー層が高齢者福祉の基本理念を日常業務の中で伝え、意識的に人材育成を進めている。
日常的に職員が意向を聞き取り、一人ひとりの生活習慣に合ったケアをしている
利用者から相談があった時は、介護職が対応することもあるが、5名の相談員が必ず一人はいる状態を作り、担当でなくても相談を受ける体制を作っている。相談員の出勤体制が掲示されているため、訪問した家族も担当相談員に相談しやすい環境になっている。食事の嗜好を定期的に聞き取り、好みや食形態をわかりやすくシートにまとめ可視化しており、また、食事の時間は利用者の生活ペースに合せて配膳している。入浴時は、同性介護を基本にしながら、ユニット間で協力しながら限られた職員体制で工夫しながらケアを行っている。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
介護のマニュアルは毎年1回見直し・更新し、職員が確認できる状態を作っている
ファイリングされている「介護マニュアル」は、ケアについての基本と医療関連、業務マニュアルが含まれ、新人育成や手順がわからない時に確認できるように各フロアに設置されている。排泄班、入浴班等のケアの担当が意見交換を行う他、3月にはマニュアルの検討の期間を設けて、最終的にはリーダー層が参加する専門職会議で諮り、新年度には最新のものを整えるしくみになっている。事業継続計画や災害時対応を整備し、火災や震災・風水害に加え、夜間を想定した訓練マニュアルも用意し、非常時に職員が迅速に対応できるように備えている。
指導の基本としてマニュアル等を活用し、職員の主体性を高める育成を行っている
チューターはマニュアルとマニュアルの項目をまとめたチェック表を用いて新任職員を指導し、理解度を確認しながら進めている。新任職員は1年間を通して項目ごとに業務を学び、マニュアルを確認しつつ、わからない点はチューターや先輩職員に自ら質問するなど自主性を重視している。外国籍職員に対しても、特別なマニュアルは作成せず、漢字にふりがなを付す程度とし、自主的な学びを基本に育成を進めている。しかし、外国籍職員への指導方法は検討が必要と考えており、今後の人材確保・定着を視野に入れた新たな取り組みが期待される。
少人数でのケアが進められるよう、業務の効率化に向けた取り組みが進められている
これまでは紙媒体でマニュアルを作成し、項目別に仕分けてファイリングしていたが、今年度からはグループウェアで一元管理する方向ですすめられ、閲覧性の向上と更新作業の効率化を図っている。また、ユニットケアでは限られた職員でケアを行うため、各居室入口にシーツ交換の実施状況を示す表示や、緊急時に迅速な対応ができるように表示を作り、効果的・効率的な業務の工夫がされている。なお、これまでのマニュアルの活用方法や見やすさなどの検討もすすめながら、さらなる職員育成とサービスの向上に向けた標準化に取り組まれたい。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
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【講評】
法人理念のもと、精度の高い事業計画を策定・共有し、健全な事業経営を推進している
施設の事業計画は、法人理念のもと、上位方針である法人の経営指針を踏まえて策定している。施設としての重点方針を明確にしたうえで、部門別・機能別等の取り組み課題・方針・目標・スケジュール等を具体的に設定しており、精度の高い事業計画書である。内容的には、60年に及ぶ活動の歴史の中で培ってきた活動のあり方を継承・拡充しながら、新たな事業活動の方向を具体的に示している。達成目標を数値化し、実施スケジュールを具体的に設定しており、実効性が高い。職員等関係者に周知・共有することで健全な事業経営を推進している。
施設長は、経営会議・業務推進会議を軸に権限を委譲し、効果的な組織運営を行っている
施設長は、課長・係長・主任・リーダー等の職制体制を通じて効果的な組織運営を行っている。重要事項については、経営会議および業務推進会議の中で協議・決定し、合意形成と権限委譲を行うことでエンパワーメントを高めている。トップダウン・ボトムアップの双方向での意思疎通を重視している。施設内には機能別会議や多くに委員会があるが、その役割や協議事項、参加メンバーおよび責任者について事業計画に明記し、確実な実行を促している。各種委員会のメンバー構成については、適材適所を基本にしながらも多職種での構成を大切にしている。
当事者委員会や家族会、地域との繋がりを密にする対面の場や機会を多く持っている
施設では、入居者の自治組織である当事者委員会(みのり会)を開催し、利用者の立場で施設サービスへの提言や地域イベントへの参加活動等、利用者の地域交流や社会性維持のための活動を継続している。施設長と利用者が対面で懇談する「よりあいの会」や家族会を開催し、利用者や家族との意見交換を密にし、ニーズや意向の把握に努めている。また、地域福祉の拠点として、「なぎさカフェ」「なぎさ☆キッチン(地域食堂」「なぎフェス」「学び舎なぎさ」の活動など、地域の一員として、地域の繋がりを密にする場や機会を多く持っている。