評価結果

標準の評価

基本情報

【法人名称】

社会福祉法人慈雲会

【事業所名称】

特別養護老人ホーム愛敬苑

【サービス種別】

指定介護老人福祉施設【特別養護老人ホーム】

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

「笑顔のある生活」                                                                       ・最後まで、自分らしい普通の生活が送れる環境を作ります。                                                 ・「普通の生活」とは、ご飯を口から食べ、風呂は個浴に入り、トイレで排泄をする生活です。                               ・普通の生活から生まれる笑顔を、私たちは大切にします。

職員に求めている人材像や役割

・利用者の「その人らしさ」を支える姿勢を持つ職員                                                    ・チームの一員として協働できる職員                                                            ・思いやりと誠実さを持って行動できる職員                                                        ・学び続け、成長しようとする意欲のある職員

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・利用者の「人生を支える」使命感                                                                            ・寄り添いと尊厳を守る使命感                                                                ・チームの力で支える使命感                                                                 ・学びと改善を続ける使命感                                                                    ・地域と共に生きる使命感

全体の評価講評

特によいと思う点

施設では、医療体制として、協力医療機関2か所、歯科医院1か所と契約、また、配置医として近隣の開業医が毎朝、利用者の回診をしている。配置医、看護師は、オンコール体制を整えており緊急事態への対応ができる。施設は医療処置を要する利用者の受け入れを積極的におこない、看取り介護も実施している。入所時には看取り介護について説明をおこない意向を確認する。看取りの時期と想定される際には、配置医より再度意向を確認し、看取り介護計画書を作成、各職種が連携し意向に沿う看取りを実践している。2024年度は15名を看取った。

運営会議、ユニットリーダー会議の他に、安全衛生、感染症対策、褥瘡、身体拘束虐待防止、事故防止対策、給食、行事の各委員会があり、毎月開催している。理事長と施設長は全ての委員会に出席し、全体を把握している。各委員会では「普段からの感染症対策」「今月の事故報告」「利用者の褥瘡の経過」「日頃の褥瘡予防」「身体拘束・虐待事例の報告」「虐待の芽チェックリスト」「利用者の嗜好調査」「職員の腰痛検診」等を議題としている。利用者の人権、健康や安全を守るための委員会活動が活発におこなわれている。

深刻な人材不足解消のために高齢者と障害者の雇用を積極的に進めている。常勤・非常勤職員を含めて60歳以上の高齢者は13名、障害者は3名を雇用している。高齢者は近隣からの応募が多く、はつらつと働く姿が見られた。機能訓練指導員2名は視覚障害者である。2025年7月には清掃などを担う職員や障害者をサポートする福祉支援室を設置、法人は将来的に清掃等の業務を受託する就労支援事業所を設立し、障害者雇用の促進を図るとしている。施設長は高齢者も障害者も同じ職場の仲間として共に働き助け合う関係づくりを大切にしている。

さらなる改善が望まれる点

施設では、利用者の72%が使用している車イスの大半は施設所有である。食べこぼしなどの清掃や空気圧調整は介護職員や機能訓練指導員が随時おこなっている。パンクや他の修理、定期的清掃は滞っている。利用者が使用している福祉用具一覧や点検表等は確認できなかった。車イス、福祉用具ともに利用者の安全・安心を考慮し、担当者を決め環境整備等の取り組みを期待したい。また、インシデント報告は確認できておらず、事故を未然に防ぐために、インシデント報告のシステム化を期待したい。

施設は、バイタルサイン救急時対応、虐待予防、事故防止、食事介助・誤嚥防止、口腔ケア、入浴・清拭ケア、排泄ケア、服薬管理、褥瘡発生予防、防災対策など、数多くのマニュアルを備えている。各マニュアルとも内容が充実しており、それぞれの問題について基本的なことからよくわかる内容になっている。マニュアルの他に、身体拘束適正化、看取り介護等の指針もある。職員にはあまり活用されていないというが、マニュアル、指針について学習の機会を設ける等により、ケアの質の向上を図ることが期待される。

サービスを維持・向上させていくために重要な課題として「職員の専門性向上とチーム力の強化」を第1に掲げている。職員の力量を高めるためには、キャリアパスと計画的な人材育成、研修が必要である。介護職員キャリアアップ表の他に就業規則に介護職員の職位一覧表がある。2つの表は求められる能力、職位、職責及び求められる職務内容、任用要件などが一致していない。また必要な研修など明記されておらず、全職種を対象としていない。全職種を対象としたキャリアパス及び人材育成計画、個人別育成計画の策定が望まれる。

事業者が特に力を入れている取り組み

法人は5か年の福祉充実計画に基づいて単年度の事業計画を策定している。施設の2025年度の重点課題としては、稼働率の安定維持(90%以上)、ICT機器のさらなる活用、夜勤体制の見直しと職員負担の軽減、看取りケアと終末期支援の充実を挙げている。ICT機器の活用については、眠りスキャンやインカムの導入、記録のデジタル化等、利用者、職員の安全・安心を守れる体制づくりに取り組み、さらに勤怠管理のデジタル化に取り組んでいる。計画の進捗状況については毎月の運営会議で検証し、着実な計画の実行に取り組んでいる。

施設は、感染症を最大リスクと考え清潔な施設作りを目指している。清掃にはロボット掃除機の導入と共に清掃専任職員を配置、施設内の換気を徹底している。来訪者による感染拡大防止のため面会は全面解除とはなっておらず、共同スペースでの面会としている。また、来訪者の手洗い・うがいの徹底等にも取り組んでいる。感染症対策マニュアルを作成し、感染症対策委員会を設置、毎月会議を実施し、予防対策の評価等をおこなっている。

施設では利用者の健康管理は配置医、看護師を中心におこなっている。尿道留置カテーテル、胃ろう、人工肛門、血液透析等の医療処置を要する利用者がおり、看護師は定期的管理をおこなっている。配置医、看護師はオンコール体制を整え、協力医療機関とは緊急時を含め速やかな連携ができている。看取り介護指針を作成し、入所時に「終末期の医療についての事前調査書」をもらい終末期医療について意向を確認する。看取りを迎える際には再確認し希望する場合には、看取り介護計画書を作成し配置医、看護師、介護職が連携し取り組んでいる。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:利用者総数47名のうち、調査に了承を得た24名を対象とした。
  • 調査方法:聞き取り方式  
    契約日に各ユニットのエレベーターホールで評価者が1対1の対面で聞き取り調査をおこなった。
  • 有効回答者数/利用者総数:24/47(回答率 51.1% )

利用者総数に対する回答者割合は51.1%であった。設問「日常生活で必要な介助を受けているか」への「はい」は91.7%と最も高い結果であった。次に「施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか」への「はい」は87.5%、また「食事の献立や食事介助など食事に満足しているか」「施設の生活はくつろげるか」「職員の接遇・態度は適切か」「利用者のプライバシーは守られているか」への「はい」は79.2%の回答があった。一方で「はい」の回答が少なかった設問は「個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか」に「はい」は25%、「外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか」に「はい」は8.3%の回答であった。総合的な満足度は、「大変満足」12.5%、「満足」45.8%、「どちらともいえない」25%、「不満」4.2%であった。

アンケート結果

1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか

はい 19名 (79%)
どちらともいえない 4名 (17%)
無回答・非該当 1名 (4%)

「おいしい(2名)」「3食しっかり食べておいしい」「まあまあだ」「まずくない。口にあう」「主食の量が少ないと思う」「朝、昼、晩に同じようなメニューだ。残すことが多い」「献立は魚にしてもらっている。ボリュームがなくてお腹にたまらず、チーズやヨーグルトを持ってきてもらっている」「味は普通だ」「味が少し薄いので食欲がわかない」等の意見があった。

2.日常生活で必要な介助を受けているか

はい 22名 (92%)
どちらともいえない 1名 (4%)
無回答・非該当 1名 (4%)

「お風呂では手伝ってもらう」「できないことは手伝ってもらっている」「日頃は自分でできている」「自分で何でもできる」等の意見があった。

3.施設の生活はくつろげるか

はい 19名 (79%)
どちらともいえない 4名 (17%)
無回答・非該当 1名 (4%)

「皆と一緒におしゃべりやテレビを見るのが楽しい」「皆と一緒にテレビを見ることが多い。木曜日は体操がある」「テレビを見ている(7名)」「体操をして過ごしている」「折り紙をする」「皆と一緒にテレビを見たり、自分の部屋でドリルをしている」「折り紙や貼り絵を教えてもらった。演歌の番組を見ている」「尺八の勉強を始めた」「自室でラジオを聞く」「時々イベントがある時、ハーモニカを吹くことができる」「テレビを見ている。折り紙などあったらよい」「何もせず共同スペースにいることが多い」等の意見があった。

4.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか

はい 16名 (67%)
どちらともいえない 4名 (17%)
いいえ 2名 (8%)
無回答・非該当 2名 (8%)

「毎朝声をかけてくれる。入浴は週2日。その時血圧を測る」「朝挨拶で聞いてくれる」「看護師が毎日来る」「左マヒで痛みがおこる。湿布を貼ってくれない職員がいる。良い職員と悪い職員の差がありすぎる」「元気なので必要ない」「特には聞いてくれない」等の意見があった。

5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 21名 (88%)
どちらともいえない 2名 (8%)
無回答・非該当 1名 (4%)

「いつも清掃している。丁寧にしてくれている」「比較的きれいになっている」等の意見があった。

6.職員の接遇・態度は適切か

はい 19名 (79%)
どちらともいえない 2名 (8%)
いいえ 1名 (4%)
無回答・非該当 2名 (8%)

「やさしい。『トイレに行く時は一人で行ってはいけない。立ち上がりなど、めまいがするから気を付けてください』と言われる」「良いと思う」「入浴介助は丁寧だ。職員によって言葉遣いも様々である」「おだやかだ」「皆親切だ」「つらい思いをしたことはない」「一部の職員は言葉遣い、態度が悪い」「人による。ひどい職員は『後で』と言って、忘れてしまって何もやってくれない」「オムツを替える時、お腹を見て『太ってきたね』『腕がおれるじゃないか』という職員がいる」「まあまあ普通だ」等の意見があった。

7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 16名 (67%)
どちらともいえない 5名 (21%)
無回答・非該当 3名 (13%)

「気にしてくれる」「具合が悪くなったことはないのでわからない(3名)」「来て間もないのでわからない」「信頼できる人もいるが、何か言うとバカにする人もいる」等の意見があった。

8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 16名 (67%)
どちらともいえない 5名 (21%)
無回答・非該当 3名 (13%)

「いさかいやいじめはない(2名)」「いさかいやいじめがあった場合、職員の対応は信頼できる」「いさかいやいじめはなかったが、助けてくれると思う」「たぶん大丈夫と思う(4名)」「陰口もない」「経験がないのでわからない」等の意見があった。

9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか

はい 15名 (63%)
どちらともいえない 4名 (17%)
いいえ 2名 (8%)
無回答・非該当 3名 (13%)

「職員によって違う。すごくやさしい人もいる」「気をつけてくれていると思う」「時々聞いてくれる」「呼んでも来てくれない人がいる」等の意見があった。

10.利用者のプライバシーは守られているか

はい 19名 (79%)
どちらともいえない 2名 (8%)
無回答・非該当 3名 (13%)

「必ずノックし、用件を言う」「下半身の問題を大きな声で言う人がいる。聞くのも嫌だ」等の意見があった。

11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか

はい 6名 (25%)
どちらともいえない 3名 (13%)
いいえ 10名 (42%)
無回答・非該当 5名 (21%)

「覚えていない(2名)」「今は毎日が精一杯で特に要望はない」等の意見があった。

12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 14名 (58%)
どちらともいえない 2名 (8%)
いいえ 3名 (13%)
無回答・非該当 5名 (21%)

「内容の説明はわかった」「説明された内容は覚えている」「リハビリについて細かく説明してほしい」「知らない」等の意見があった。

13.利用者の不満や要望は対応されているか

はい 15名 (63%)
どちらともいえない 5名 (21%)
いいえ 1名 (4%)
無回答・非該当 3名 (13%)

「頼んだらやってくれる」「皆やさしいからやってくれると思う」「不満や要望は言ったことがない」「職員はたまに機嫌が悪い時がある」「概ね対応してくれる。一方であきらめがある。オムツ替えをする時、基本ができていない職員がいる。身体が痛い」「入所時、物がなくなったが証拠がないから言えない。今年も紛失した」「食事の配膳時、大きな音を立てる職員がいる問題は、まだ解決していない」等の意見があった。

14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 2名 (8%)
いいえ 13名 (54%)
無回答・非該当 9名 (38%)

「知ってはいるけれど、そこまで困ってはいない」「入所の時の説明はなかった。以前の利用者調査で知った」等の意見があった。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
パンフレット、苑だより等で理念、ビジョンを伝えています

愛敬苑は社会福祉法人慈雲会が運営する定員50名、ユニット型個室の特別養護老人ホームである。A4三つ折りのパンフレットには、理念「笑顔のある生活」を明記し、居室、浴室、共同スペース等の写真や所在地マップを載せている。1階エントランスホールの掲示板には職員の写真とともに、理念、ビジョンを掲示しており、訪れる家族等は目にしている。2か月に1回発行する「愛敬苑だより」があり、日常生活や活動の様子を写真を使って伝えている。職員入職時には「介護職員業務ハンドブック」を用いて理念、ビジョンを説明している。

経営層は各種会議に参加し、理念の実現に向けリーダーシップを発揮しています

毎月、各ユニットごとのユニット会議があり、利用者支援等について話し合う。ユニットリーダーは、ユニット会議等で出た職員の意見を月1回のユニットリーダー会議に持ち寄り意見の合意を図る。看護師、介護職員、機能訓練指導員、栄養士、介護支援専門員、事務職員、生活相談員等が参加する月1回の運営会議があり、施設運営の全体に関わることを決定する。理事長、施設長は、ユニット会議、リーダー会議、運営会議に参加し、リーダーシップを発揮している。

重要な案件は、実情を踏まえて決定し、その内容を関係者に周知しています

重要な案件については、定款により理事会、評議員会での決定等定められている。決定内容、決定経緯は運営会議、ユニットリーダー会議に報告される。職員には朝礼や勤務交代時の引継ぎ、ユニット会議で周知される。情報の周知については、インカムを導入したことで、職員への伝達が瞬時にでき、その場で対応できるようになり業務が効率化されている。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
利用者、職員の安全・安心を守れる体制づくりのため、対応すべき課題を抽出しています

第三者評価の結果やユニット会議の報告等から、利用者、職員の意見を把握している。区の施設長会議では、深刻な人材不足への対応が課題となっているが、当施設では障害者、高齢者雇用に積極的に取り組んでいる。また、厚生労働省、東京都の情報等を把握し、DX化の取り組みを検討している。経営状況の把握・検討は、理事会、評議員会、運営会議等で常に検討する。利用者、職員の安全・安心を守れる体制づくりに取り組み、眠りスキャンを導入し、見守りカメラ導入については検討課題としている。

5か年の福祉充実計画に基づいた単年度計画を策定しています

法人は2024年度から2028年度まで5か年の福祉充実計画を策定し、各年度の事業計画と資金計画を明らかにしている。単年度の事業計画を策定し、基本方針、重点事業、人材育成と職場環境、地域連携・公益的取り組み、組織運営とガバナンスについて具体的に記載している。2025年度の重点課題としては、稼働率の安定維持(90%以上)、インカムや記録ソフト等ICT機器のさらなる活用、夜勤体制の見直しと職員負担の軽減、看取りケアと終末期支援の充実を挙げている。

毎月の運営会議で検証をおこない、着実な計画の実行に取り組んでいます

運営会議では、毎月稼働状況の確認をおこなう。空室や、新規利用者の状況を確認し、重点課題である稼働率90%以上が達成できるようにしている。他の重点課題についても、進捗状況を確認している。デジタル化の推進について、勤怠管理に導入することを検討している。出退勤管理をどのようにするかの議論を経て、新しいシステムをテスト運用することとなった。物品の購入についても計画的に進めている。また、感染症の流行についてなどの報告もある。運営会議で話し合われたことは、ユニット会議に報告し、職員に周知している。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理を周知しています

法人には倫理規定があり、信用失墜行為の禁止、守秘義務、社会貢献、人権の尊重などを定めている。また、就業規則の服務の項には、服務心得、遵守事項等を記載している。遵守事項は、退職後も機密保持、兼務の禁止、就業時間中の携帯電話等の私用使用禁止、セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント禁止等、15項目にわたって具体的に記載されている。職員入職時には、誓約保証書に本人及び身元保証人の署名・捺印を求めている。経営層は必要時に職員と面談するなど、法・規範・倫理が遵守されるように取り組んでいる。

苦情対応、虐待予防など、利用者の権利擁護に取り組んでいます

契約書に相談・苦情対応について明記し、重要事項説明書に苦情受付窓口、苦情解決責任者、第三者委員を明示し、区、東京都社会福祉協議会、国民健康保険団体連合など、施設外の窓口の連絡先を記載している。寄せられた苦情とその対応については、ユニット責任者会議、運営会議等に報告され、年度の事業報告書に記載される。虐待予防マニュアルを備え、全職員対象の研修をおこない、虐待の芽チェックリストも実施している。身体拘束虐待防止委員会があり、現場からの事例を出し合い改善策を検討、虐待予防に取り組んでいる。

高齢者・障害者雇用を進め、医療処置を必要とする利用者を受け入れています

高齢者・障害者雇用への取り組みを強化し、就労支援事業の立ち上げ準備を進め、行政との協議を続けている。盲学校、特別支援学校の実習生の受け入れを前向きに検討している。胃ろう、尿道留置カテーテル、人工肛門、血液透析等、医療処置を必要とする利用者を受け入れている。痰吸引、褥瘡などについても状態を見極めた上で、受け入れを検討する。看取り介護の体制を整えており、2024年度は15名の利用者を施設内で看取った。また、生活困窮者・生活保護の利用者の受け入れを検討する等、地域貢献の取り組みがある。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
感染症対策委員会、事故防止委員会を中心に感染症予防、事故防止に努めています

リスクの優先順位を感染症、事故、災害として対策をおこなっている。感染症対応マニュアル、事故防止・対応マニュアルを備え、毎月の感染症対策委員会、事故防止委員会で感染予防対策や事故報告と再発防止について検討し周知している。感染予防のため、オムツ交換、着脱などの実技や注意事項などの研修を実施、マスクの着用、手洗い、清掃を強化徹底している。転倒、転落、骨折、打撲など事故の事例検討や年間の事故発生状況に対する気づきや課題を全職員にレポート提出を求めるなどしている。地震、火災を想定した防災訓練を年2回実施している。

事業継続計画(BCP)の共通理解とインシデント報告のシステム化が望まれます

震災・水害、長期停電、感染症を想定した事業継続計画を策定し、福祉避難所として要救護者の受け入れも定めている。職員自己評価では、リスクやBCPを理解し対応できるよう取り組んでいるかの設問に対し「そう思う」の回答は48.5%と低かった。BCPの研修や訓練を通して職員の共通理解が深まる取り組みが必要と思われる。事故報告書は事故発生時・発生後の対応、原因内容と再発防止策を記載しているが、インシデント報告は確認できなかった。事故を未然に防ぐために、インシデント報告のシステム化を期待したい。

個人情報保護規程を備え、個人情報の利用同意書を得ています

法人は個人情報保護方針、個人情報保護規程を備えている。契約書に秘密保持について、重要事項説明書で個人情報の利用目的を明示し利用同意書を得ている。個人情報保護方針はホームページに掲載、個人情報の開示・訂正・利用停止等や問合せ窓口を明記しており、利用者・家族にわかりやすい。個人情報保護マニュアルがあり、利用者台帳、記録類は施錠保管し不要になった場合はシュレッダー処理をする。パソコンはパスワードによるアクセス制限をし、USBメモリ等への保存は原則禁止、新任職員研修において必ず個人情報保護教育を実施するとしている。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
人材確保と共に働く場として、障害者、高齢者の雇用に力をいれています

2024年度の職員採用は常勤3名、非常勤5名、退職は常勤3名、非常勤8名であった。人材確保は深刻な課題で、ホームページやハローワークで職員を募集し、障害者や高齢者の雇用にも注力している。障害者は常勤・非常勤職員を含めて現在3名、60歳以上の高齢者は13名を雇用している。2025年7月には、清掃等を担う職員や障害者のサポート体制として福祉支援室を設置した。職員の配置換えはユニットによって特徴があるため1、2年で実施し、介護技術の向上やモチベーションの維持、ユニットリーダーの育成をおこなっている。

全職員のキャリアパス及び人材育成計画の策定を期待します

介護部門の職位は介護スタッフA、介護スタッフB、リーダー、介護主任、介護課長である。スタッフAは基本的な介護技術、知識を習得し比較的難易度の高くないケースを担当、スタッフBはリーダーの補佐とスタッフAの教育をおこなう。介護職員のキャリアアップ表では、介護職のプロになる、ユニットリーダーになる、フロアリーダーになる各期間に求められる能力を示しているが、職位とは一致しておらず、求められる資格や研修内容も明示していない。介護職員も含めた全職員の職位、職責等を明記したキャリアパス及び人材育成計画の策定を期待する。

資格取得に補助し意欲を持って、安心して働きやすい職場づくりに取り組んでいます

勤務形態を問わず研修を受講できる。eラーニング、WEB研修を活用して認知症初任者研修、ユニットリーダー研修、行政主催の研修を受講している。勤務年数に関わらず、初任者研修、実務者研修、介護福祉士、介護支援専門員等の資格取得の受講費用は事業所が補助している。資格取得を勧めているが、個人別育成計画は確認できなかったため策定を期待する。勤怠管理システムの導入検討や3交代制勤務、4週8休体制の徹底、有給休暇の消化、腰痛検診等の取り組みにより、安心して働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

近隣の病院からの退院調整や電話相談、医療処置を要する入居希望者の増加、入居中の看取り希望、医療処置を必要とする入居者が増加傾向にあった。ケアに対する知識や精神的ケアのスキルを高めるため「医療処置を要する利用者対応の機能強化」を課題とした。尿道留置カテーテル、胃ろう、人工肛門、血液透析、たんの吸引、褥瘡等の医療処置が必要な入居者の受け入れに努めた。個別支援計画に観察ポイントを明記、配置医、看護師の指導のもとユニットリーダーと介護職員が共有した。連絡ノートに食事の内容、居室での過ごし方、血圧、体温測定の手順、透析者であれば透析日の流れなど詳細に記録し、看護師と介護職員が共通認識できるようにした。体位交換やベッドの角度調節、痛みの箇所の確認など看護師に相談、医療的研修会に参加し、スキルの向上と知識の習得を図った。介護職員は精神的にも落ち着いて対応できるようになり、優先順位の高いものから取りかかるようになり、リーダーや先輩職員が指導できるようになった。2024年度は15名を看取り、家族から感謝の言葉が届いている。今後は看取り研修会や亡くなった利用者のケース等を評価し、課題を明らかにしさらなる向上を目指すとしている。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

近隣の病院や電話相談、医療処置を要する入居希望者の増加、入居中の看取り希望や医療処置を必要とする入居者が増加しており、ケアに対する知識や精神的ケアのスキルの向上のため、「医療処置を要する利用者対応の機能強化」を課題とした。尿道留置カテーテル、胃ろう、人工肛門、血液透析等の入居者がいる。個別支援計画に観察ポイントを明記、配置医、看護師の指導のもと支援をおこなった。連絡ノートに食事内容や血圧、体温測定の手順等を詳細に記録、看護師と職員が共通認識を持つことができるようにした。体位交換など看護師に相談、医療的研修会への参加により、スキルの向上、知識の習得を図った。介護職員は精神的にも落ち着いて対応でき、リーダーなど先輩職員が指導できるようになった。2024年度は15名を看取った。今後は看取り研修会やケース検討をおこない課題を明らかにし、さらなる向上を目指すとしている。今後、医療処置を必要とする入居者は増加すると考えられる。入院施設のある協力医療機関のバックアップ体制もあり、蓄積したスキルや知識をさらに向上させ、医療処置の必要な入居者の支援の充実を期待する。終末期の介護は職員の精神的負担も大きく、その支援が望まれる。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

高齢化社会の進行は、人口減少社会となり人材不足と同時に介護施設の必要性が高まっている。そのため、「元気な高齢者と障害者の雇用促進」と「医療と介護の連携強化」を目標とし取り組んだ。ハローワークや求人広告で高齢者と身体障害者の募集をおこない、2024年度までに高齢者12名、機能訓練指導員として視覚障害者2名の雇用をした。2025年度も採用を継続し、高齢者は13名、障害者は3名を雇用している。経営層は「誰もが役割を持って働ける社会」を目指し、「高齢者も障害のある方も共に働き、支え合う場をつくる」ことを法人の重要な使命と考えている。2025年7月には清掃などの業務で働く職員や障害者のサポートを担う福祉支援室を設置し、自立的に働ける環境を整えた。法人は清掃、洗濯、ベッドメイキング、リネン交換などの仕事を受託する就労支援事業所の設立をめざし、行政と協議を続けている。2024年度、入院施設のある内科系と外科系の2医療機関と協力医療機関協定を結んだ。緊急時を含め速やかな連携ができているため、相談しやすくなり入退院の受け入れも順調に進み、医療と介護の連携強化を図ることができた。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

高齢化社会の進行は人口減少社会となり、介護分野の人材不足は深刻となっている。また、福祉社会を取り巻く環境は介護施設の必要性と医療との連携が重要となっている。その解決の一環として、「元気な高齢者と障害者雇用の促進」と「医療介護の連携強化」を課題とした。ハローワークや求人広告で募集をおこない、2025年度現在までに高齢者13名、障害者3名を雇用した。機能訓練指導員2名は視覚障害者である。2025年7月には清掃などの業務で働く職員や障害者のサポートを担う福祉支援室を設置した。法人は清掃、洗濯など利用者の生活を支える業務を受託する就労支援事業所を設立し、さらに障害者雇用を広げたいと考え、行政と協議中である。2024年度の介護報酬改定により、協力医療機関との連携体制を確保するため協力医療機関や取り決め内容等の届け出が義務付けられた。事業所は入院施設のある内科系と外科系の2医療機関と協定を結び、緊急時を含め速やかな連携ができるようになった。目標とした2点は介護分野における喫緊の課題であり重要な取り組みである。施設が目指す「誰もが役割を持って働ける社会」のために高齢者と障害者の雇用拡大、就労支援事業所の設立に期待したい。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
ホームページには写真を掲載し、施設生活が具体的にわかるよう工夫をしています

施設は、ホームページを作成している。「愛敬苑情報」と題し、施設の日常生活を写真付きで掲載、「メッセージ」として、施設の介護についての考えを挙げ、「事業を知る」として、ICT活用を機器使用時の写真に加え説明し、「環境を知る」として、清潔な施設作りを目指しロボット清掃機、特製ゴミ箱等の設備機器を紹介している。また、パンフレットも作成し、施設概要、活動方針、施設内の写真等も掲載し、希望者が施設をイメージしやすいよう情報を提供している。実際に利用者が活動する場面の写真を掲載し、具体的に理解できるよう配慮をしている。

公的な情報サイトへのみならず、民間運営の情報サイトにも施設情報を提供しています

福祉医療機構運営のWAMNET、都介護サービス情報公表システム、とうきょう福祉ナビゲーションに事業者情報を提供している。区ホームページの「高齢者のしおり」内の施設一覧、「杉並区内・区外協力及び自治体間連携特別養護老人ホーム一覧」「すぎなみ福祉サーチ」に施設情報の記載があり、そこから各施設のホームページに移動し詳しい情報を得ることができる。また、民間運営であるが「介護サービス事業者ガイドブック」にも情報を提供し毎年更新、区のホームページにも案内があり問い合わせの連絡は多い。

見学は、生活相談員と介護支援専門員が対応し、随時、申し込みも受け付けています

施設のホームページに、見学は随時との記載がある。また、「介護サービス事業者ガイドブック」を見た希望者からの問い合わせも多い。問い合わせや見学は、生活相談員と介護支援専門員が担当し、1か月に5名から10名程度を対応している。施設内を案内し、施設費用や入所生活等について説明をおこなう。特に、見学者用の記録を残してはおらず、入り口に設置している「来館者名簿」への記入をするのみとなっている。

1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
  • 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  • 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
入所時の契約は、利用者・家族等に丁寧に説明をおこない同意を得ています

入所が決定すると、利用者、家族等と契約を取り交わす。契約書には、目的、契約期間、サービスの内容、契約の終了、秘密保持、相談・苦情対応等について明記している。契約書別紙には提供するサービス内容を具体的に明記、重要事項説明書では、法人概要と共に施設概要として設備・職員体制・職務内容・サービス内容・利用料金・支払い方法、サービスの特徴、医療の提供、相談・苦情等について明記されている。契約書、契約書別紙、重要事項説明書を読み上げ、利用者、家族等の同意を得ている。

利用者や家族等の意向は記録に残し、入所後の支援に繋げています

利用開始時、施設利用についての説明をおこない、利用者や家族等から意向を聞き取り、施設で運用する介護ソフトに介護支援専門員が入力し記録を残す。また、入所申込み時に「特別養護老人ホーム入所申込書」「特別養護老人ホーム入所申込者状況票」を提供され個人ファイルに保管する。介護ソフトに入力された情報と共に利用者の基本情報として各担当部署で利用者の心身状況把握に活用し、リハビリテーションや日々の介護に活かしている。時には、前利用施設や在宅時の介護支援専門員からの情報も心身状況の把握に利用している。

入所当初の不安等への対応は、事前の情報を基に丁寧に対応しています

利用開始直後は、環境の変化により不安やストレスを感じ、予想していない言動を発することがあるが、利用者の基本情報や家族等から提供された情報をもとに受容や傾聴の姿勢を取り、不安やストレスの軽減を図っている。また、家族等に協力を求め、面会を多くしてもらう等の対応をすることもある。他施設への転居、入院等には、当施設より「看護、介護サマリーシート」を作成し提供している。

1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
  • サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  • サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
利用者の基本的な情報は介護ソフトを活用し入力・把握をしています

施設では、介護ソフトを導入し、利用者の心身状況や日々の生活状況を各担当者が入力している。体温・血圧・酸素飽和度・脈拍、食事量、水分量、排泄状況、機能訓練や生活の様子等をどの部署からも入力・閲覧ができ把握することができる。利用者のニーズや課題は、入所当初、介護支援専門員が把握し施設サービス計画書に反映をする。入所後の計画立案には、各部署の職員も参加してのサービス担当者会議を開き、ニーズや課題を再度検討し支援内容を決定している。計画立案についてはマニュアルがあり、アセスメントは半年ごととしている。

利用者や家族等の希望を聞き取り、計画に反映しています

計画立案は、利用者や家族等の希望を聞き取り反映している。利用者の希望は日々の会話から聞き取り、家族等の希望は電話や面会時に聞き取っている。家族等には、後見人も含まれ意向確認も同様にしている。計画立案はマニュアルを作成しているが、日常生活動作の低下、心身状態の低下等が起きた時には定期見直しの時期でなくとも計画の見直しをする。また、緊急で計画を変更する必要のある場合には、臨時のサービス担当者会議を実施し、支援内容を検討後、計画を変更する。

ICTを活用し、事務負担の軽減と共に情報の共有を図っています

施設では、介護ソフトを導入し、利用者一人ひとりの情報を入力、管理している。また、印刷の帳票類も作成しており、申込書、申込者状況票、契約関係書類、基本情報、施設サービス計画書、アセスメントシート、情報提供書等は個人ファイルにも保管している。日々の支援内容については、介護ソフトの「介護記録」に入力する。介護ソフトは、どの職員も閲覧することができ、利用者の情報を共有している。引継ぎも、以前は連絡ノートの利用だったが、タブレットの活用に加え、インカムを着用しどの場所に居ても情報を聞くことができるようにしている。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  • 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している
  • 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  • 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録を適切に作成する体制を確立している
  • 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 利用者に変化があった場合の情報について、職員間で申し送り・引継ぎ等を行っている
1.施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている
  • 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
  • 利用者の意向や状態に応じて、生活の継続性を踏まえた支援を行っている
  • 介護支援専門員を中心に、介護、看護、リハビリ、栄養管理等の職員が連携して利用者の支援を行っている
【講評】
計画を基本に各専門職が分担し、利用者の支援をおこなっています

施設では、施設サービス計画を基本とし利用者を支援している。各担当は、立案された計画を確認し、その後、具体的な支援を検討し提供する。医療面の支援は看護師、生活全般の支援は介護職、体力や機能維持の支援は機能訓練指導員、栄養面の支援は栄養士が担当し、利用者の施設生活を支えている。看護師は配置医と連携し健康維持や疾患管理等をする。介護職は、ユニット毎に利用者の支援について検討、また、定期的にリーダー会議も実施し各ユニットの報告や課題等を話し合っている。機能訓練により訓練への意欲が沸き機能向上となった利用者もいる。

入所前の生活が継続できるよう必要な物品を持ち込むことができます

当施設はユニット型個室の施設であり、利用者は居室での生活が中心である。その為、危険性がなければ、必要物品の持ち込みが可能である。携帯電話やハーモニカ、尺八などの楽器類を持ち込み楽しんでいる利用者もいる。物品については管理は自己責任の範囲となる為、紛失等は利用者や家族等が責任を負う事となるが、自宅で使い慣れた物品を施設でも使うことができることは利用者の意欲の低下予防にも繋がっている。

各専門職がそれぞれ具体的な支援を考え、かつ、連携して支援をしています

各専門職は、施設サービス計画を基本とし具体的な支援をする。食事では、利用者の身体状況に応じた食形態の検討、体重測定による低栄養状態の予防や改善、嚥下機能低下予防の体操等に取り組む。入浴では、個浴と特殊浴利用の判断、安全な入浴方法の検討、楽しい時間となるような環境設定等に取り組む。排泄では、自然な排泄が維持できるよう身体機能の評価・訓練、タイミングを見計らう、必要量の水分摂取の促し等に取り組む。利用者の望む生活を実現できるように各専門職は必要とする支援について共に検討し、提供している。

2.食事の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
  • 利用者の栄養状態を把握し、低栄養状態を改善するよう支援を行っている
  • 嚥下能力等が低下した利用者に対して、多職種が連携し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている
【講評】
利用者の身体状況に応じた食形態を提供しています

施設では、調理済みの惣菜、デザートを外注し、食形態には普通、柔らか、ムース食がある。各ユニットではご飯、お粥を炊き汁物を作り、冷凍で届いた惣菜の解凍・温めを設置しているスチーム式機器でおこない、器に盛り付け配膳する。食形態は看護師が身体状況を把握したうえで配置医に確認し決めている。利用者のペースに合わせ見守りや声かけ、食事介助をおこなう。胃ろう造設の利用者には、居室で看護師が準備、注入、片付けをおこなっている。

毎食の食事摂取量、毎月の体重測定の結果等を把握し低栄養状態の改善に努めています

介護職員は毎食の主食・副食摂取量を記録している。栄養状態は毎月の体重測定と毎日の摂取量を把握し、看護師、介護職員、栄養士が共有している。栄養状態によっては配置医と相談、高カロリー栄養補助食品の利用を検討し低栄養を改善するよう努めている。食が進まない利用者には、家族等に連絡し好みの食品を持参してもらうこともある。

嚥下機能が低下した利用者に、多職種が連携し経口摂取ができるよう取り組んでいます

嚥下機能低下防止のための嚥下体操を、機能訓練指導員は機能訓練の一環として全員に、介護職員は昼食前におこなっている。訪問歯科診療では口腔ケアに力を入れている。看護師は食事中に巡回し、普段の飲み込み状態を確認している。胃ろう造設の場合にも本人、家族等の希望により配置医が診察し、看護師を中心に経口摂取への移行を試みることもある。経腸栄養から経口食に移行できた利用者もいる。多職種が連携し最期まで口から食べることに取り組んでいる。

3.利用者が食事を楽しむための工夫をしている
  • 利用者の嗜好を反映した食事を選択できる機会がある
  • 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
  • テーブルや席は、利用者の希望に応じて、一定の範囲内で選択できる
  • 配膳は、利用者の着席に合わせて行っている
【講評】
利用者、家族等から聞き取ったアレルギー食品や禁食には代替食を提供しています

業者から決められた献立表1か月分が施設に送られてくる。栄養士は、入居前に利用者、家族等から聞き取ったアレルギー食品、禁食について確認、献立の一部を変更し代替食を提供している。朝食がパンの日はご飯に変更できる。近隣の寿司屋に来てもらい、地域交流スペースで「お寿司の会」を催したこともある。普段の食事とは違う正月のおせち料理や、握り寿司は利用者に好評という。施設独自の「お寿司の会」は今後も継続の予定である。

食事時間はゆとりをもって利用者の状況に合わせた支援をしています

朝食は7時30分から8時30分、昼食は12時から13時、間食は15時から15時30分、夕食は18時から19時と決まっている。利用者に声をかけ希望に合わせ時間をずらしての提供もおこなっている。食事時間がずれた利用者にも、ゆっくりと落ち着いて食べられるよう職員は見守っている。外出等で遅くなる場合は、衛生管理上ユニットの冷凍庫で一定時間は保管する。

食事は離床し自分のペースで食べることを基本としています

共同スペースで食べることを基本としている。利用者には、体調の悪い時以外は離床し共同スペースて食べられるよう支援している。長時間座っていることが困難な利用者には配膳直前に誘導している。席は自由に選べるが、必要に応じ相性などを考慮し席を勧めることもある。居室で食べることを希望し、嚥下等に問題がない利用者には応じている。テーブルは高さ調整ができ、車イス利用者や身長に配慮している。配膳は着席を確認しおこなう。食事介助は利用者の咀嚼などペースを確認し、ゆっくりと時間をかけおこなっている。

4.入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の意向や状態を把握して、できるだけ自立性の高い入浴形態(個浴、一般浴等)を導入している
  • 入浴の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  • 認知症の利用者に対し、個別の誘導方法を実施している
  • 利用者が入浴を楽しめる工夫をしている
【講評】
入浴は利用者の意向や状態に合わせて個浴と特殊浴で対応しています

施設の入浴設備は、各ユニットに個浴、1階に特殊浴(ストレッチャー浴)があり、利用者の意向や状態に合わせ対応している。自立性の高い利用者には、意向を確認し個浴を勧めている。安全に配慮しシャワーチェアーやスライディングボード等を備えている。特殊浴の入浴介助は看護師と介護職員がペアでおこなっており、身体や皮膚の観察、処置、緊急時対応等が速やかにおこなえている。特殊浴利用者であっても立ち上がりや座位保持などが可能な場合には、意向を確認し多職種が連携し個浴へ変更することもある。

入浴には状況に応じた誘導や介助をおこない、利用者の羞恥心に配慮しています

入浴時の誘導は、職員が一人ひとりに声をかけおこなっている。認知症等により入浴を拒む利用者には、声かけの工夫や時間の変更など利用者の様子に応じた誘導をしている。入浴介助は、個浴では希望により同性介助としている。職員は着脱、洗身や洗髪などを見守り、利用者では手の届かない部分を介助している。特殊浴では異性による介助があり、洗身や職員の立ち位置などに配慮している。個浴、特殊浴ともに着脱時などには身体にタオルをかけるなど羞恥心に配慮している。

個浴、特殊浴ともにゆったりと入浴が楽しめるよう工夫しています

浴室の入り口には温泉マークの暖簾を下げ、浴槽から見える位置には富士山の絵を掲示し、利用者が「お風呂屋さん」の雰囲気を味わえる工夫をしているユニットもある。入浴は週2回、時間は概ね30分としゆっくり入浴できるよう配慮している。利用者がリラックスできるよう演歌や唱歌など希望の音楽をかけている。入浴後にはスポーツドリンクを提供するが、お茶、コーヒー、乳酸飲料等の希望にも応じている。

5.排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている
  • 排泄の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  • 研修等によりオムツ交換、トイレ誘導等の排泄介助方法の向上に取り組んでいる
  • トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面や臭いに配慮し、清潔にしている
【講評】
利用者の状態に応じ、できる限り自然な排泄ができるよう支援しています

施設では、トイレで自然排泄できる利用者はできる限り維持するよう支援している。機能訓練指導員は、車イス利用者には立ち上がり、ふらつき、立位保持、座位保持など身体機能を評価しユニットへ報告している。介護職員は、オムツを装着している利用者にも様子やタイミングを見計らい、声をかけ意向を確認しトイレでの排泄を促すこともある。水分摂取は大事であり、一日の水分量は800~1000mlを目標にお茶やスポーツドリンク等を勧め自然な排泄ができるよう支援している。日中は離床しリハビリやレクリエーション等への参加を声かけしている。

トイレ誘導の声かけやオムツ交換時には、プライバシーや羞恥心に配慮しています

介護職員は、トイレ誘導の声かけは周りに気づかれないよう小さな声でおこなっている。オムツ交換時には必ず各居室で外部から見えないようドアを閉めプライバシーや羞恥心に配慮している。排泄物で寝具、着衣が汚染され交換するときなどには、声のトーンに配慮するようにしている。年1回業者の研修会を実施し新商品の説明を受け、その人に合う適切なオムツとパットの選択をしている。皮膚トラブル解消を含め心地よいオムツ装着の技術を学んでいる。新人職員は必ず参加するが、在籍職員の参加者が減少しマンネリ化傾向という。

施設特有の臭いが発生しないよう、トイレの衛生面や臭いに配慮し清潔にしています

施設には清掃専門の職員がおり、各ユニットの職員も清掃マニュアルを作成し衛生面や消臭に心がけ清掃をおこなっている。「施設独特の臭いがしない」と言われ好評価という。職員自己評価には「フタ付きのごみ箱にすべて変更したことで異臭が軽減した」「オムツ交換時用にキャスター付きの回収容器を導入し衛生的になった」等の意見があり、衛生面や臭いに配慮した取り組みがうかがえた。夜間のポータブルトイレについては、夜勤職員が巡回時に排泄物の確認をおこない清掃し、長時間放置されることはない。ポータブルトイレは日中消毒をしている。

6.移動の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の状態や意向に応じ、できるだけ自力で移動できるよう支援を行っている
  • ベッド移乗、車イスの操作など移動のための介助が安全に行われている
  • 利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が行われている
【講評】
利用者ができるかぎり自力で移動できるよう支援しています

施設には、独歩、杖歩行、歩行器歩行、車イス自走等により自力で移動できる利用者がいる。利用者が安心・安全に移動できるよう居室、廊下、共同スペース等の環境整備をしている。介護職員は、自力で移動している利用者の意向を尊重し、見守りや声かけにより安全を確認している。機能訓練指導員は個別機能訓練計画書に、転倒なく生活し歩行での移動が継続できる、自身のペースで活動ができる等を目標にあげ訓練を実施している。

機能訓練指導員の助言により、安全で適切な移乗、車イス操作に取り組んでいます

利用者入所後、最初のベッド移乗や車イス操作には機能訓練指導員が立ち会い、ベッドの高さ、車イスの座面と位置角度、介助姿勢など安全に介助できるよう確認している。状態により2人で介助する場合もあり、利用者に負担がかからないよう配慮している。また、ストレッチャーへの移乗についても細心の注意を払っている。車イスへの移乗介助ではクッション使用や座位保持、フットレストの位置などを確認し、操作時には声をかけ安全におこなっている。機能訓練指導員の助言により、安全で適切な移乗、車イス操作に取り組んでいる。

利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が求められます

施設では、利用者の72%が車イスを常時使用し大半は施設所有である。食べこぼしなどの清掃は介護職員が、空気圧調整は機能訓練指導員がリハビリの時間を利用しおこなっている。パンクやその他の修理は滞っている。職員自己評価には「古くなった車イスを買い換えてほしい」という意見があった。車イスの環境整備について検討中とのことであるが、利用者の安心・安全を考慮し担当者を決め実施することを期待したい。

7.利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている
  • 利用者一人ひとりに応じた機能訓練プログラムを作成し、評価・見直しをしている
  • 機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を入れている
  • 機能訓練指導員と介護職員等の協力のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
  • 福祉用具は、定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
【講評】
利用者全員の個別機能訓練計画書を作成し、評価・見直しをおこなっています

機能訓練指導員は入所前の既往歴、治療経過、合併疾患・コントロール状態等の情報を把握、利用者、家族等の機能訓練への意向等を聞き取り、全員の個別機能訓練計画書を作成している。機能訓練は、日常生活を送るのに必要な機能の維持・改善のためにおこなうとしている。四肢の筋力及びバランス能力の維持と強化、体操や余暇活動への参加等利用者一人ひとりの訓練目標を記載している。あげている。機能訓練指導員、介護支援専門員、看護師、介護職員等がカンファレンスをおこない3か月に1回計画書の評価、見直しをおこなっている。

機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を取り入れています

機能訓練指導員は、日常生活の場でいかすことができるよう個別のプログラムを作成している。訓練は、利用者にあん摩マッサージをおこない体をほぐしてから開始している。関節可動域訓練、立ち上がりから立位保持、立ち上がりから足踏み練習、歩行訓練、ラジオ体操、口腔体操など一人ひとりのプログラムを実施している。訓練の積み重ねによりトイレでの立位が取れる、自力で食事摂取が維持できるなど訓練の成果が表れている。

利用者が使用している福祉用具の確認や点検、修理が必要と思われます

機能訓練指導員、介護職員は、利用者が日常使用している車イス、歩行器、四点杖等福祉用具の使用状況を確認し、不具合はないかなど点検はしているが、利用者が使用している福祉用具一覧や点検表は確認できなかった。ナースコールは随時確認し、ベッド、浴槽などは専門業者が定期的に点検、修理等おこなっている。利用者が使用している福祉用具の確認や点検、修理が必要と思われる。

8.利用者の健康を維持するための支援を行っている
  • 利用者の状態に応じた健康管理や支援を行っている
  • 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
  • 利用者の状態に応じ、口腔ケアを行っている
  • 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている
  • 終末期の対応をすでに行っているか、行うための準備が行われている
【講評】
配置医、看護師を中心に利用者の状態に応じた健康管理をおこなっています

利用者の健康管理は配置医、看護師を中心におこなっている。健康診断は年1回受診している。配置医は毎朝利用者全員の回診をおこない看護師は各ユニットに配置医からの指示を伝え職員間で共有する。医療処置を要する利用者を受け入れており、看護師は定期的管理をおこなっている。週2回の訪問歯科診療は定着しており、歯の治療のほか口腔ケアを希望する人も多く、誤嚥性肺炎が少なくなった。歯科医師からスポンジ清拭の指示を受け、寝たきりや自身ではうがいができない利用者には介護職員が、胃ろう造設の利用者には看護師がおこなっている。

服薬管理は誤りがないよう、服薬管理マニュアルを作成しチェック体制を整えています

服薬管理マニュアルでは、利用者の薬は配置医の処方箋に基づき、提携薬局の薬剤師が1週間分を各ユニットのカート・個別ケースにセットする。看護師は配置医の処方箋とセットされた内服薬を確認し鍵のかかる倉庫で保管する。介護職員は、内服薬確認票と個別ケース内を確認、利用者に名前を言ってもらい内服介助をする、口の中に残っていないか飲み終えるまで確認する、最後に飲み忘れがないか個別ケースを全部確認するとしている。同時に2人以上の介助はしない、利用者にはフルネームで呼称する等、服薬に誤りがないようチェック体制を整えている。

利用者の体調急変時には医療機関との連携体制を整えており、終末期の対応をしています

施設では、配置医、看護師はオンコール体制を整え、利用者の夜間の体調急変時にも慌てず対応できるようにしている。協力医療機関とは、緊急時を含め速やかな連携ができている。施設は看取り介護指針を作成し終末期の対応をおこなっている。入所時に「終末期の医療についての事前調査書」をもらい終末期医療について説明、意向を確認している。看取りの時期を迎える際には、再度配置医が本人、家族等の最終意思決定を確認する。看取りを希望する場合には、看取り介護計画書を作成し、配置医を中心に看護師、介護職員が連携し取り組んでいる。

9.利用者が日々快適に暮らせるよう支援を行っている
  • 起床後、就寝前に更衣支援を行っている
  • 起床後に洗顔や整髪等、利用者が身だしなみを整える際に支援を行っている
  • 利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている
【講評】
起床後、就寝前には更衣支援をおこなっています

施設では、起床後は洋服に、就寝前には寝間着に着替えることで生活リズムを整えている。日常生活で汚れた場合には適時更衣している。日中も寝間着を着替えていない利用者には声をかけ更衣介助をする。関節拘縮があり更衣が困難な利用者には家族等に、前開きの衣服を準備してもらい、毎日の着替えは無理をせず、汚れたとき以外には入浴時におこなうようにしている。認知症等による更衣拒否などがあるが、個々の状態に応じた介助をおこない一日の生活リズムが感じられるよう支援している。

身だしなみを整え、快適に過ごせるよう支援しています

利用者が快適に過ごせるよう、起床後の歯磨き、洗顔、整髪など身だしなみを整えている。洗面台は居室にあり、それぞれの自立度に応じた見守りや必要な支援をおこなっている。職員は洗顔がむずかしい利用者にはウエットタオルを使い介助している。男性の髭剃りは本人が持参の電気シェーバーを使い、職員が剃り残しなどを介助する。爪切りや耳掃除も適時おこなっている。月に一度理美容の訪問があり、利用者は思い思いにヘアスタイルをリクエストするなど満足しているという。

安定した睡眠がとれるよう支援しています

利用者が安定した睡眠がとれるよう日中は離床するよう促している。利用者の健康状態に合わせ機能訓練、外気浴、屋上の菜園作りへの参加、レクリエーション、趣味活動をおこなうなど出来る範囲での活動を支援している。夕食は19時頃には食べ終えるが、口腔ケアを済ませ20時頃から就寝準備をしている。オムツの装着は夜間用を使用し安眠できるよう配慮している。居室の照明の明るさ、扉の開閉状態は利用者の希望に応じている。

10.利用者の施設での生活が楽しくなるような取り組みを行っている
  • 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
  • 利用者の意向を反映したレクリエーションを実施している
  • 認知症の利用者が落ち着いて生活できるような支援を行っている
  • 利用者の気持ちに沿った声かけや援助を行っている
【講評】
ユニット型施設であり、利用者それぞれに合わせた過ごし方ができます

施設はユニット型施設であり全室が個室であることから、家具を持ち込むことができ、仏壇、写真や思い出の品、自分の作品を飾るなど、居心地の良い部屋に整えることができ、携帯電話の使用もできる。テレビやラジオも他者に迷惑がかからない範囲で視聴できる。楽器の練習や読書、折り紙など趣味を楽しむ人もいる。家族等との面会は新型コロナウィルス感染症の5類移行後は共同スペースでおこなっている。

季節感のあるレクリエーション等を企画し、生活が楽しくなるよう取り組んでいます

各ユニット職員は、利用者が正月飾り、鬼の貼り絵、お雛様やこいのぼりなどの折り紙工作、季節の花等のちぎり絵、クレヨン画、屋上にある家庭菜園作りなど好きなことに参加できるよう工夫している。共同制作した作品を廊下などに掲示している。満開の桜の絵はエントランスに掲示し来訪者にも披露した。節分やクリスマス会などもおこない、利用者は趣味のハーモニカや尺八を演奏する機会もある。また、和太鼓演奏、お寿司の会、夏まつり、お茶会等を地域交流室でおこない、利用者は普段と違う雰囲気の中で楽しむことができた。

認知症の利用者が落ち着いて生活できるよう支援しています

認知症の利用者はその日、その時の気分により様々な行動がみられる。ユニットでは利用者が一人で歩いている時には、声をかけ安全を確認し見守っている。日常生活の場で利用者の好きな歌を一緒に歌う、得意な事や若かりし頃の話を時間をかけて聞くこともある。家庭菜園の作業を熱心に取り組む人もいる。夕方などに落ち着きがなくなる利用者に、職員は隣のユニットへの散歩やソファーに座り話を聞くなど、満足するまで行動をともにするよう心がけている。集団生活の中で利用者が落ち着いて生活できるよう支援している。

11.地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている
  • 定期的な散歩や外食、遠出など外出の機会を設けている
  • 利用者が地域の一員として生活できるよう、地域住民が参加できるような行事など、日常的な関わりが持てる機会を設けている
  • 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
【講評】
施設の屋上スペースを有効に活用しています

施設では、屋上に利用可能なスペースがあり、利用者は、そこで天気の良い日に外気浴をしながら、軽体操にも取り組んでいる。また、最近になり、そのスペースに家庭菜園を作り、野菜の苗を植えた。畑作りでは作業する利用者や見て楽しむ利用者もいる。今後は、苗の発育の観察、草取り、収穫等も利用者が参加できるようにしたいと考えている。新型コロナウィルス感染症の流行以降、定期的な外出の機会はなくなっている。

町会行事も縮小傾向にあり、地域との関係に検討が必要となっています

施設のある地域の町会に加入しており、回覧板が届く。回覧板は施設内でも閲覧できるようにしており、見ている利用者もいる。以前は、地域の祭りの神輿が施設前を通り楽しむことができたが、昨今の猛暑の影響により、神輿の練り歩きは夕方に変更、祭りの規模も縮小傾向となり、楽しむ機会がなくなってしまった。また、新型コロナウィルス感染症流行以前に来訪していたボランティアも高齢化に伴い来訪が難しくなってしまった。地域との関係は維持していきたいと考えているが現状が厳しく、交流の機会も減少傾向となっている。

12.施設と家族との交流・連携を図っている
  • 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
  • 家族や利用者の意向に応じて、家族と職員・利用者が交流できる機会を確保している
  • 家族または家族会が施設運営に対し、要望を伝える機会を確保している
【講評】
毎月、広報紙「愛敬苑だより」を作成し、家族等にも送付し近況を報告しています

毎月、「愛敬苑だより」を発行し、請求書の送付時に同封している。また、電話や面会時に家族等に利用者の様子を伝えることもある。ホームページにも、施設での生活の様子を掲載しており、家族等が情報を得る方法の一つとなっている。2025年「夏祭り」を実施し、その中で盆踊りを披露する機会があり、家族等に観てもらうことができた。

施設では、意見箱を設置し、いつでも意見要望を出せるよう取り組んでいます

新型コロナウィルス感染症が5類に移行してから、利用者の入居するユニット内の共有スペースでの面会ができるようになった。面会時に利用者と家族だけでなく、同じユニット内の他の利用者や担当職員と交流することができる。施設に家族会はないが、「意見箱」を1階に設置しており意見要望を伝えることができるようにしている。また、第三者評価の報告書も置いてあり、自由に内容を閲覧できるようにしている。

【講評】
個人情報の外部への提供については同意書を得ています

契約書には秘密保持を明記し、重要事項説明書の別紙として個人情報の利用目的を明示している。介護サービスの提供に必要な利用目的として、施設内部で必要な場合、他の事業者等への情報提供が必要な場合を明記している。その他、氏名・写真等の広報誌への掲載等を挙げている。契約時にはこれらを説明し、利用同意書を提出してもらっている。

利用者のプライバシーや羞恥心に配慮した支援を心がけています

施設はユニット型個室のホームであり、プライバシーは守られている。職員が居室に入るときは必ずノックし、了承を得てから入室する。個人宛文書等は事務所で預かり、家族または後見人に転送する。排泄介助等は本人を傷つけないよう、声かけに配慮する。排泄や入浴、更衣等に利用者自身が同性介助を希望する場合には応じている。同性の職員が不在の場合は、他のユニットから派遣してもらう等の工夫をしている。

日常の支援にあたっては個人の意思を尊重しています

日常の支援にあたっては個人の意思を尊重するよう心がけている。特性や性格にもよるが、入浴について拒否の見られる利用者がいる。時間をおいて再度声かけする、ほかの職員で対応するなど、場面を変えることで解決することもある。どうしても拒否される場合は、日を改めることもある。拒否的な言葉かけは避け、無理強いせずタイミングを見計らって対応する等、利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援をおこなっている。

1.利用者のプライバシー保護を徹底している
  • 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  • 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
「介護職員業務ハンドブック」があり、施設理念、活動方針を明らかにしています

施設では新任職員には「介護職員業務ハンドブック」を用いて研修をおこなう。ハンドブックでは、施設の理念を「笑顔のある生活」とし、「最後まで、自分らしい普通の生活が送れる環境を作ります」「『普通の生活』とは、ご飯は口から食べ、風呂は個浴に入り、トイレで排泄をする生活です」と記載している。施設活動方針、介護職活動方針、施設が求める人材像を明記している。また、介護業務チェックリストを備え、職員が新任職員に対して、もれなくオリエンテーションができ、業務の標準化が図れるようにしている。

多くのマニュアルを備えていますが、あまり活用されていない状況があります

施設では、各種マニュアルを備えている。バイタルサイン救急時対応マニュアルでは、体温、呼吸、脈拍、血圧、酸素飽和濃度について基本的知識を説明し、救急対応について記載している。虐待予防マニュアルには虐待の5類型を説明し、予防策、施設職員・施設管理者としての責務を記載している。そのほか、身体拘束防止、事故防止、服薬管理、防災対策など、多くのマニュアルを備えている。数多くのマニュアルがあり内容も充実しているが、現場職員にはあまり活用されておらず、今後の課題であると施設長は考えている。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価実施期間】

2025年10月30日~2026年2月20日

【評価者修了者No】

H2301006,H0803036,H1301004,H1101026

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