評価結果

標準の評価

基本情報

【サービス種別】

指定介護老人福祉施設【特別養護老人ホーム】

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

1)自立した日常生活を営むことができるように支援します。
2)利用者の意思及び人格を尊重するとともに常に利用者の立場に立って、安心・安全な介護サービスを提供します。
3)明るく家庭的な雰囲気のもと、地域や家族との結び付きを重視するとともに、質の高い高齢者福祉・介護サービスを提供します。
4)静養室(看取り室)において、ご家族が終末期をできるだけ一緒に過ごされるように支援します。
5)利用者が生活しやすい環境の中で過ごすことが出来るよう職員ひとり一人が考えて介護します。

職員に求めている人材像や役割

周囲の状況を把握しながら、個々の業務に丁寧で適切に対応できること。
常に、明るく利用者の方に信頼され、親しまれる人材となること。

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

安心・安全な介護サービスを提供し、職員同士が働きやすい環境づくりを目指します。

全体の評価講評

特によいと思う点

「地域や家族との結び付きを重視」し、施設環境・体制の整備を図り、コロナ禍で休止していたボランティアとの交流を、本格再開させている。音楽療法、アニマルセラピー、ホーム喫茶への受け入れは段階的に再開させていたが、行事やイベントへの参加も可能とし、また、ボランティアが講師を務める「絵手紙クラブ」も新規で発足させている。加えて、幼稚園生との交流や、小中学生のボランティア体験、中学生のお花の日訪問等、世代を超えた多様な触れ合いの機会を提供し、利用者が地域・社会との関わりを深めながら、心豊かに暮らせるよう支援している。

施設での生活を楽しめるよう、集団で行う運動療法や音楽療法、多彩なクラブ活動を開催し利用者の趣向に合わせた楽しみの機会を提供している。特に音楽療法は機能訓練指導員と音楽療法士の選曲による懐かしい歌や音楽に合わせた運動で、利用者の人気度、参加率も高い。また、陶芸・料理・習字・絵手紙等のクラブ活動も盛んで掛け持ちで参加する利用者も多い。職員は様々な活動で馴染みになった関係から話し相手や友人づくりを支援している。本調査中には、車いすを足漕ぎで食堂に向かい、笑顔で会話をしながら食事をとる利用者の姿が多くみられた。

施設では看護師が複数配置され、協力医と日々連携し日常の健康管理や急変時の対応を行っている。特に一昨年より看護師の夜間配置を行い、協力医療機関を近隣クリニックに一本化することで看取り体制への強化を図った。さらに今年度からは看護師長を配置、看護業務について改めて整理するきっかけとなり、看護師の育成と評価、メンタルフォローにも注力している。他にも、感染症予防、誤薬防止、褥瘡評価、外部受診の低減等、利用者・家族、職員の安心感はもとより、多職種間の連携がスムーズとなる等良い影響をもたらしている。

さらなる改善が望まれる点

開設33年の当施設は理念に基づき時代の要請を見据えた組織改革に取り組んでいる。新施設長と副施設長はじめ各部門長および会議体や委員会は役割をもって機能し、利用者への質の高い福祉・介護サービス提供を実践している。しかしながら施設では、年々赤字幅が増加する見込みで、持続可能な経営が困難な状況となりつつあると危惧している。体制整備への経費や人件費など行政の助成制度の活用、新たな区独自の支援の要望など、経営の安定に努めている。高齢社会での重要な役割を継続すべく、行政ならびに地域や諸団体とのさらなる連帯強化が望まれる。

施設の性質上、利用者の事故は緊急性の高いものや軽微なものまで、さまざまに発生している。事故防止委員会ではマニュアルに事故事例集を更新し未然防止策として職員と共有している。また、事故防止検討委員会では、ヒヤリハット事例から防止策を立案している。一方、利用者には、毎日の体操や個別機能訓練による機能低下予防、音楽療法や多様なクラブ活動には多くの参加を支援している。結果、仲間や友人づくりが進み、生活機能維持および向上に成果を生んでいる。発生する課題と未然防止策の成果について、施設の特徴として情報開示が望まれる。

今年度の利用者調査では職員からの『声かけ』、『関わり』、『要望への対応』の聞き取りに「みんな忙しそう」、「忙しいので無理かと思う」、「忙しい時の態度は良いとは言えない」等の回答が散見された。マナー指針には、接遇は人と人との対等の全人的の全人的なふれあいであると言われると、表記されている。接遇マナー研修や介護接遇コミュニケーション研修で、職員は非言語コミュニケーションやアイコンタクトの効果なども学んでいるが、利用者からの良い評価は未だ得られなかった。今後の学びの成果への高評価が期待される。

事業者が特に力を入れている取り組み

「利用者の意思及び人格を尊重する」「常に利用者の立場に立って、安心・安全な」支援を理念に、その実践に向け、職員の知識・技術の向上に組織的に取り組んでいる。特に接遇の質を重視しており、年に3回「虐待の芽チェックリスト」により対応を振り返るとともに、外部・内部を問わずマナー研修への参加を促し、また、専門の外部講師を新たに招いて、より実践に即したスキルの獲得を進めている。グループワークには施設長も参加し、利用者の視点で声かけ・対応を見直すなど、全職員が同質で良質な支援を提供できるよう、体系的に学びを重ねている。

施設では利用者の多くが加齢や疾病に伴う嚥下機能低下が見られ、栄養状態の管理が必要になっている。今年1月より口腔機能維持加算の取得へ向け、半年の期間設定で10名の嚥下機能が低下している利用者をピックアップし評価を行っている。毎週の歯科往診日に合わせて、栄養士・介護職員・看護師・機能訓練指導員・生活相談員・歯科医師・歯科衛生士にて集まりカンファレンス、評価を実施する。現段階では顕著な形での好結果は見られないが、嚥下状態の維持や改善に向けて直接食事介助に関わる介護職員の意識も少しずつ変化してきている。

「地域や家族との結び付きを重視する」を理念に、家族との連携体制の強化を図り、交流の機会を増やして、率直な意向の把握に努めている。昨年度は、入念な計画・準備の上で家族懇談会を再開させたが、今年度はサービス担当者会議や行事・イベントへの家族参加も復活させ、また、面会も365日・10時~20時に可能な環境・体制を整えて、その都度対話を重ねながら、思いや気付きの丁寧な聴取に取り組んでいる。こうした、家族からの声を運営に反映させ、共に利用者の暮らしを支えていくプロセスの継続により、関係性も一層の深化が図られている。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:令和7年6月末日現在の利用者93人全員を対象としました。
  • 調査方法:聞き取り方式  
    聞き取り方式による調査は、聞き取りが可能な19人に一人ひとりに対面の環境を確保し、負担をかけない配慮のもと、趣旨を説明し了解を得て行いました。感染症予防対策として調査員はマスクを着用し、換気にも留意しました。
  • 有効回答者数/利用者総数:19/93(回答率 20.4% )

回答者19人は女性14人、男性5人だった。年齢は、「90歳以上」12人63.2%、「85歳~90歳未満」6人31.6%、「70歳~75歳未満」1人5.3%だった。要介護度は、「要介護4」9人47.4%、「要介護3」7人36.8%、「要介護1」と「要介護2」、「要介護5」がいずれも1人5.3%だった。利用期間は、「1~3年未満」9人47.4%、「6ヵ月未満」4人21.1%、「5年~10年未満」3人15.8%、「6ヵ月~1年未満」2人10.5%、「3年~5年未満」1人5.3%だった。総合的満足感は、「大変満足」4人21.1%、「満足」7人36.8%、「どちらともいえない」8人42.1%だった。施設への意見・要望には、「ここでの生活に満足している」、「いろいろ対応してもらって有難い」、「日中は楽しく過ごせている」、「安心して寝られるので快適だ」、「選挙の投票ができて良かった」、「細かい事を言ったらきりがない」、「区の相談を毎月受けたい」、「献立にもっと工夫が欲しい」、「話し相手が欲しい」などの意見があった。

アンケート結果

1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか

はい 14名 (74%)
どちらともいえない 4名 (21%)
いいえ 1名 (5%)

「はい」が14人73.7%、「どちらともいえない」が4人21.1%、「いいえ」が1人5.3%であり、自由意見には、「味も良くバラエティに富んでいる」、「普段家で食べるような物がでて良い」、「結構、美味しい」、「たまにイベントでお酒が飲める」、「薄味だが健康の為で仕方がない」、「味が薄いし、青菜が柔らかすぎて食べ残す人が多い」、「サツマイモがあると良い」、「麺類を増やして欲しい」、「寿司が食べたい」等の回答があった。

2.日常生活で必要な介助を受けているか

はい 16名 (84%)
どちらともいえない 2名 (11%)
いいえ 1名 (5%)

「はい」が16人84.2%、「どちらともいえない」が2人10.5%、「いいえ」が1人5.3%であり、自由意見には、「排便コントロールなど助けてもらっている」、「在宅酸素では介助してもらっている」、「背中に薬を塗ってもらう」、「不便を感じることはない」、「トイレが空いていないことがある」、「トイレに行きたくても待たされることがある」、「車いすを足で漕ぐのが辛く手伝って欲しい」等の回答があった。

3.施設の生活はくつろげるか

はい 14名 (74%)
どちらともいえない 4名 (21%)
いいえ 1名 (5%)

「はい」が14人73.7%、「どちらともいえない」が4人21.1%、「いいえ」が1人5.3%であり、自由意見には、「体操と音楽など毎日楽しい」、「音楽・体操・陶芸など会が多い」、「書道・絵画・折り紙に参加する」、「集団の活動で友だちが多い」、「友だちと話をして過ごす」、「映画も好きだけど歌や音楽が一番楽しい」、「習字をしている」、「冷蔵庫があるベッドスペースでTVやスマフォを観て過ごす」、「大型TV前の食堂の席で過ごしている」、「毎日文章を書いている」、「健康器具でマッサージしている」等の回答があった。

4.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか

はい 14名 (74%)
どちらともいえない 3名 (16%)
いいえ 2名 (11%)

「はい」が14人73.7%、「どちらともいえない」が3人15.8%あり、「いいえ」が2人10.5%であり、自由意見には、「毎日、細かい事まで気遣ってくれる」、「ぺースメーカーを入れているので聞いてくれる」、「毎週、血圧測定してくれる」、「看護・介護・リハビリの職員が気遣ってくれる」、「大勢の対応で皆さん忙しそうだ」、「忙しそうで聞いてくれることは無い」等の回答があった。

5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 18名 (95%)
どちらともいえない 1名 (5%)

「はい」が18人94.7%、「どちらともいえない」が1人5.3%あり、自由意見は、「普段から整理され、掃除が行き届いている」、「専門の人が掃除してくれるのできれいだ」、「清潔で安心して暮らせる」、「掃除してもらい自分でも片付けるから清潔だ」等の回答があった。

6.職員の接遇・態度は適切か

はい 12名 (63%)
どちらともいえない 6名 (32%)
いいえ 1名 (5%)

「はい」が12人63.2%、「どちらともいえない」が6人31.6%、「いいえ」が1人5.3%であり、自由意見には、「みんな親切にしてくれる」、「キチンとしていて問題はない」、「職員とは良い関係を築けている」、「人によって違いがある」、「丁寧出な人もいるが問題ない」、「忙しい時の態度は良いとは言えない」、「忙しい時は知らん顔されることがある」、「問題がある人は居なくなった」等の回答があった。

7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 17名 (89%)
どちらともいえない 2名 (11%)

「はい」が17人89.5%、「どちらともいえない」が2人10.5%であり、自由意見には、「信頼できる」、「看護師や医師が対応してくれるので安心だ」、「何かあれば病院に連れて行ってくれると思う」、「看護職員が対応してくれる」、「なってみないと分からない」等の回答があった。

8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 13名 (68%)
どちらともいえない 4名 (21%)
いいえ 2名 (11%)

「はい」が13人68.4%、「どちらともいえない」が4人21.1%、「いいえ」が2人10.5%であり、自由意見には、「すぐに対応してもらえる」、「信頼している」、「経験が無いのでわからない」、{いさかいが無いので分からない}、「忙しいから無理かと思う」、「対応してもらえないと思う」等の回答があった。

9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか

はい 12名 (63%)
どちらともいえない 5名 (26%)
いいえ 2名 (11%)

「はい」が12人63.2%、「どちらともいえない」が5人26.3%、「いいえ」が2人10.5%であり、自由意見には、「言葉にしなくても察して動いてくれる」、「有難いと思っている」、「そう思う時とそうでもない時がある」、「大切にしてくれる人と逆の人もいる」、「自分でやろうとして叱られることもある」、「困りごとに対応してもらえない」等の回答があった。

10.利用者のプライバシーは守られているか

はい 17名 (89%)
どちらともいえない 2名 (11%)

「はい」が17人89.5%、「どちらともいえない」が2人10.5%であり、自由意見には、「守られている」、「困ったことはない」、「分からない」、「見られたくない事などない」等の回答があった。

11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか

はい 8名 (42%)
どちらともいえない 7名 (37%)
いいえ 4名 (21%)

「はい」が8人42.1%、「どちらともいえない」が7人36.8%、「いいえ」が4人21.1%であり、自由意見には、「身体の症状や医療機器の使用状況を聞いてくれる」、「確認してくれる」、「施設の人に任せている}、「家族と職員で話している」、「分からない」、「覚えていない」、「支援計画を見た事が無い」等の回答があった。

12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 8名 (42%)
どちらともいえない 7名 (37%)
いいえ 4名 (21%)

「はい」が8人42.1%、「どちらともいえない」が7人36.8%、「いいえ」が4人21.1%であり、自由意見には、「きちんと説明されている」、「家族が説明を聞いている」、「食事やお風呂の時間などは説明してくれる」、「世話をしてくれる時は説明してくれる」、「分からない」、「説明されても聞こえていないかもしれない」、「説明はされない」等の回答があった。

13.利用者の不満や要望は対応されているか

はい 13名 (68%)
どちらともいえない 3名 (16%)
いいえ 3名 (16%)

「はい」が13人68.4%、「どちらともいえない」と「いいえ」が各3人15.8%であり、自由意見には、「相談すればすぐに対応してもらえる」、「相談しやすい」、「話しやすい人に相談して対応してもらう」、「ルールの中で生活できれば良いと思っている」、「ここの決まりで言っても対応されないと思う」、「不満を伝えるつもりはない」等の回答があった。

14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 8名 (42%)
どちらともいえない 9名 (47%)
いいえ 2名 (11%)

「はい」が8人42.1%、「どちらともいえない」が9人47.4%、「いいえ」が2人10.5%であり、自由意見には、「相談したことがある」、「教えてもらっている」、「知っている」、「聞いたと思うが覚えていない」、「相談するような事はない」、「相談先があることは知らない」等の回答があった。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
事業計画およびホームページに明示する基本理念・方針は運営会議等で周知している

明治からの歴史ある財団の社会福祉法人化のもとに開設33年目を迎える当施設は、施設運営の基本理念・方針を事業計画書に明示し、施設内に掲げている。利用者の自立支援、意思・人格を尊重、明るく家庭的な雰囲気での質の高いサービス提供の3点を理念においた施設運営方針は、1月の運営会議にてリーダー層の職員で共有し、全職員に周知している。リニューアルしたホームページでは、施設運営方針に基づく各種取り組みを施設の特徴として、写真やニュース・広報紙への掲載により幅広く周知を図っている。

会議体および各種委員会活動等では施設長はじめ役職者がリーダーシップを発揮している

副施設長の新設により運営体制の強化を進める当施設では、新たな施設長のもとに各会議体の役割を明確に組織運営を推進している。テーマ別に設置された各種委員会は統廃合を行い、主任や専門職員のリーダーシップにより活動し、施設運営の具体的な課題に取り組んでいる。正副の施設長は各定例会議および委員会に出席し、組織の運営状況を把握し、新たな課題の抽出や取り組みを各リーダーに提案している。職員の業務目標制度においては、それぞれの目標達成にむけて助言や研修を推奨し、リーダーシップを発揮している。

介護保険改定や加算体系の見直しなど重要案件は会議の場で決定し、周知徹底している

介護保険の改定や加算体系の見直し、感染症予防対策等の重要な案件については、毎月の定例会議による決定および周知の手順を定めている。管理職会議(施設長・副施設長・事務長・統括主任)で方向性を示し、運営会議で討議決定して、職員会議にて全職員に周知している。さらに、ホームページのニュースや広報紙に掲載および施設内に掲示等で、利用者や家族など関係者に広く伝えている。また、内容によっては、重要事項説明書や契約書別紙等の修正ならびに書面の配布とともにマニュアル等の更新も行っている。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
東京都福祉サービス第三者評価および行政施策や地域の関連会議から課題を抽出している

施設が毎年受審する東京都福祉サービス第三者評価では、利用者調査や職員自己評価および施設運営状況を把握し、課題を抽出している。ホームページには評価結果から課題を抽出し、改善計画と取り組み状況を開示している。また、利用者には食事の嗜好調査を行って、献立や調理への課題を抽出している。職員には専用意見箱を設けて、意見や気づきなど声を集めて、運営会議で対策を協議している。また、社会的状況や福祉ニーズ、行政施策などの動向は、地域の関連会議から経営層や管理職員が把握し、施設の経営や運営の課題を抽出している。

事業計画には理念の実現に向けた方針を示し人材確保や育成など予算編成を行っている

開設以来、施設は中長期計画を策定していないが、基本理念を基に時代の要請に合った質の高いサービス提供を基本方針とした単年度事業計画を策定している。年度末には1年間の取り組み実績を事業報告にまとめ、その結果から次の課題を抽出して重点目標を設定し、次年度の事業計画を策定している。単年度事業計画により人材確保や職員育成、設備改修等サービス提供に掛かる予算編成も行っている。事業計画書・事業報告書および財務諸表はホームページで公表し、施設内には閲覧用も整備している。

定例会議や委員会活動および職員業務目標等からも重点目標の達成に取り組んでいる

施設の定例会議や各種委員会等は、開催と参加者および内容を事業計画書・事業報告書に明記している。年度の重点目標には、各委員会が専門性をもった活動で取り組み、毎月の運営会議で活動状況を報告している。各委員会からの報告により、経営層は重点目標それぞれの進捗を評価・分析し、運営会議の同日に開催する幹部会議(経営層・役職者・専門職員)にて、取り組み状況や人事異動等について審議している。また、業務目標制度による職員自己評価シートと年3回の職員面接からも、施設長は業務への助言など、事業目標の達成に取り組んでいる。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
職員倫理に基づく「利用者の接遇目標」および「マナー指針」等は周知が図られている

当施設では、利用者本位の基本理念の実現に向けて、職員が守るべき規範・倫理に基づいた「利用者の接遇目標」を、事業計画に掲げている。マナー向上委員会は、接遇マニュアルを含む「マナー指針」からマナー標語を作成し掲示するなど、職員へ周知徹底を図っている。新人職員研修では、法人の例規集や就業規則とともに接遇マニュアルで「利用者の接遇目標」を新人職員に意識づけている。また、職員は、自身の接遇を業務チェックリストを使って振り返えり、施設長面談で助言も受けている。

施設は苦情解決の実践を公開し利用者の人権擁護および虐待・拘束ゼロに取り組んでいる

苦情解決制度は法人全体で取り組み、施設内には掲示とともにチラシを置いている。重要事項説明書では、サービス内容に関する相談・苦情の窓口(施設の担当生活相談員2名・区・都)と連絡先を明記し、契約時に説明している。発生した利用者の苦情については、事象と対応と解決の2ケースをホームページで開示している。施設内で解決困難と判断した場合は、法人が委託する第三者委員(弁護士等)が、申立人と対話して解決策を講じている。また、当施設の介護業務マニュアルには利用者の人権擁護を接遇目標としており、虐待・拘束ゼロに取り組んでいる。

地域に開かれた施設として体験学習やボランティア受入れなど積極的な交流を行っている

歴史に裏付けられた当施設のホームページには、施設の特徴や運営情報、第三者評価結果やニュース等を開示し、透明性を確保している。1階のデイルームを地域の祭事や夏の一時休憩所としてコロナ禍の閉鎖を経て連日開放している。地域の福祉ニーズにもとづくショートステイ利用を積極的に受入れ、地域の介護施設とのイベント交流および近隣の小中学生の体験学習やボランティアの受入れも再開して多くの参加があり、医療や介護の実習生受入れ体制もある。行政との災害協定では福祉避難所指定を受けて地域に開かれた施設として貢献している。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
運営を阻害するリスクには各委員会で指針に基づき発生防止と発生時の対応に備えている

事故、感染症、災害、侵入、記録管理など施設運営を阻害するリスク管理には、リスクマネージメント委員会をはじめ事故防止や感染症予防等の委員会が中心となって取り組んでいる。副施設長がリスクマネージャーとして施設全体のリスク管理を統括し、利用者主体のサービス提供におけるリスクへの視点をもって業務の改善を推進している。科学的推進加算Ⅱでの記録とその管理では、家族への分かりやすさへの留意とともに、情報の漏洩防止を図っている。各リスク管理の指針に基づく防止対策マニュアルでは、防止対策とともに発生時の対応体制を定めている。

危機管理対策委員会では事業継続計画(BCP)を策定し訓練などの結果で更新している

法人の理念に基いて災害時判断・行動指針を標題としたBCPは、災害時の非常事態を想定して法人全体で策定し、研修・防災訓練・見直している。区の福祉避難所としては、施設のデイルーム・ホール・食堂に避難テントが幾つ入るか検証、避難物資の入手ルート確認、年2回の避難訓練、職員寮フロアを区職員の宿泊に開放など、発生時の体制や対応マニュアルを更新している。職員は上級救命講習を受講している。また、感染症のBCPは感染症予防対策委員会で協議し、職員による消毒の励行などの予防策と発生時の対応に関する職員研修を実施している。

施設が継続課題とする事故防止には事例の周知および機能訓練など両面で取り組んでいる

施設の性質上、利用者の様々な事故は日常的に発生し、継続した課題と捉えている。事故防止指針に基づいて設置の事故防止委員会では、事故予防マニュアルに事故事例集を更新して職員に共有し、未然防止対策の一つとしている。職員はデータや各マニュアル綴りで閲覧し、発生防止に取り組んでいる。当委員会が組織する事故防止検討委員会では、ケース記録のヒヤリハット事例から事故防止策を立案し、運営委員会を通じて職員に周知している。また、各介護マニュルの留意事項および集団・個別機能訓練による機能低下防止策の両面から取り組んでいる。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
ホームページや区の補助や支援制度を活用した人材確保および職員育成に取り組んでいる

ホームページの採用サイトでは、募集職種別に仕事内容・経験と処遇および年収モデルも示している。就業支度金については要件と金額を記している。職員確保・定着の為に、区の「医療ケアを実施するための体制整備に要する経費補助」に加え、新たな区独自の支援を区へ要望している。また、居住支援手当の増額や介助補助員の人件費補助など、有資格・経験者の採用につなげている。また、採用後の資格取得にはシフトを考慮し、定着率の延伸には、職員育成委員会による指導者の育成および新人への段階的な研修と目標制度で組織的な支援に取り組んでいる。

「勤務評定実施要領」では業務目標と勤務評定制度が給与加算に反映すると明示している

「勤務評定実施要領」では、業務目標制度の自己申告と勤務評定による人事考課制度が給与加算につながっていることを説明している。職員は共有フォルダにアクセスし評定項目への入力で自己申告し、三段階の評定により合計点数を得ている。職員業務目標制度の年3回の施設長面談では、職員の目標に適切な研修の推奨や助言を得ている。法人や施設内の職員研修は階層別や部門別や課題別で計画され、職員のキャリアパスや目標達成に向けて受講を決定し、次なる業務目標につなげている。

研修や会議を通して職員の円滑なコミュニケーションやチームワークの醸成を図っている

階層別や課題別職員研修は、利用者本位や接遇意識および介護技術水準を高めている。外部講師による研修のグループワークでは、職員間のコミュニケーションが良好になっている。経験に応じた部門ごとのOJT指導では、新人と指導者、指導者を育成するリーダーの関係づくりとなっている。運営会議でのリーダー層の連携、主任や副主任が招集するフロアごとのワーカー会議ではコミュニケーションの円滑化が図られている。また、新人のプリセプター制度では、同世代の先輩職員が6か月寄り添いと俯瞰的な支援を行い、チームワークづくりにつながっている。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

前年度に引き続き、施設の基本理念でもある、①自立した日常生活を営むことができるように支援します。②利用者の意思および人格を尊重するとともに利用者の立場に立って安心・安全な高齢者福祉・介護サービスを提供します。の2点を令和6年度の重点目標とした。目標達成に向けて、(1)個別機能訓練では、立位保持訓練や歩行訓練、その他日常生活動作に関する訓練を行うことで、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止することを目指した。1日あたり平均5.5人、年間延べ1,411人の利用者が機能訓練指導員による指導・訓練を受けた。(2)音楽療法では、音楽を使って心身の健康維持への取り組みで生活の質を良くするため、歌や音楽で昔を振り返る回想や、音楽に合わせた体操やレクリエーションを取り入れ、利用者が楽しめるように工夫しました。1日あたり平均20人、年間延べ1,420人の利用者が参加した。結果、多くの利用者の日常生活において、機能減退を予防できていると評価を得られた。引き続き、今年度も本人の意向を確認して、毎週1日、短時間ながら(1)と(2)のプログラムを継続して取り組んでいる。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

利用者本位を基本とする当施設の理念を実現するための(1)個別機能訓練と(2)音楽療法の継続した取り組みには、令和6年度に引き続き、今年度の利用者調査でも、『したいことをして過ごしていますか』の聞き取りに、「朝の体操」、「歌や音楽に合わせた運動」などと「歌の会」、「音楽の集まりに参加」を楽しんでいる多くの声があった。週5日間の午前中の集団体操では、機能訓練指導員の職員が選曲した歌や音楽を交えて利用者のペースを確認しながら体操や運動を進めている。立位保持訓練や歩行訓練、間接可動域訓練は個別計画で行って、日常生活を営むのに必要な機能の減退防止を図っている。音楽療法は、外部講師によるプログラムで歌や音楽による心身の健康維持に取り組み、生活の質への療法の効果を評価している。選曲では昔を振り返る回想や音楽に合わせて体を動かすレクリエーション要素で、利用者が楽しめるように工夫して、機能減退を予防できていると評価が得られている。今年度も本人の意向を確認しながら、継続して週1回取り組んでいる。生活の質を高める(1)(2)の取り組みは、当施設の特徴にもなっている。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

事業計画書に掲げる基本理念および組織目標である、①明るく家庭的な雰囲気のもと、地域や家族との結びつきを重視し、関係機関と密接に連携します。②利用者の身体状況、嗜好に適した季節感のある食事を提供します。の2点を、令和6年度の重点目標とした。実行計画として(1)毎日の生活に張り合いをもっていただくため、歌謡クラブ、習字クラブ、陶芸クラブ、料理クラブなど、ボランティアに頼らない活動を毎週行い、利用者の身体状況や趣味に合わせてクラブや行事に誘い、年間延べ1,094人が参加した。その結果、日常生活にリズムと潤いが生まれた。昨年度の利用者の反応から、今年度も取り組みの継続を決めた。(2)利用者への嗜好調査から「食べたいもの」での特別食の実施や鮨ボランティアは、毎月の誕生日会食、テーマを決めたお食事会は年2回、季節の行事ごとの特別食は年5回実施した。お食事会では、ご当地メニューや鮨などの提供し、利用者の状態に応じた食形態での提供を継続して行い、季節料理や嗜好に応える献立を楽しめる機会とした。また、今年度も引き続き、鮨・うなぎ・すき焼きなどの出前やテイクアウトを外食イベントと称して、希望者に提供している。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

令和6年度は重点目標に対して、(1)レク、習字、絵画、散歩、料理、陶芸、足湯のクラブ活動を毎週実施した。アニマルセラピーやホーム喫茶や夏まつりなど、団体や個人のボランティアの受入れも再開して、利用者の日常生活にリズムと潤いを高めている。利用者調査での『過ごし方』の聞き取りには、「習字」、「絵画」、「クラブの友だちとのおしゃべり」、「陶芸でのおしゃべり」など笑顔で回答があり、総合的満足の要因にもなっている。(2)年1回の利用者への嗜好調査結果の{食べたいもの」を提供する、お食事会、行事ごとの特別食などを利用者の状態に応じた食形態での提供、選択食やデザートバイキング、出前イベントなど、食を通した生活のリズムと潤いを提供している。利用者が歓談しながら食事を楽しんでいるランチタイムの食堂の光景は、(1)(2)の継続した取り組みの成果といえる。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
クラブ活動・行事等の工夫ある多様な取り組みを、ホームページを通じて発信している

施設の運営状況は、主としてホームページを通じ、事業計画・報告、料金表、行事案内、現在の面会方法等、随時情報を更新しながら発信・提供されている。運営方針4点も記載されており、中でも「利用者の生活に潤いと豊かさをもたらすよう、生きがい活動等を積極的に行います」を踏まえた、アニマルセラピー、お買い物イベント、各種クラブ活動や行事等の様子は、隔月の広報紙「はなみずき」に多数の写真と共にプライバシーにも配慮の上で掲載されており、当施設ならではの工夫ある取り組みが伝わってくる。今後は、より頻回な更新を検討中である。

利用希望者にとって入所申請窓口となる、行政との情報共有・連携強化が進められている

利用者が入所を希望する際には、区の窓口へ申請する流れとなっており、施設情報の詳細もその際に提供されるため、行政へのこまめな情報開示・共有には、継続的に取り組んできている。こうした連携体制づくりにより、個々のニーズに応じた順次の入所につなげてきたが、当区で福祉等の施策を実行・推進してきたキャリアを持つ新施設長の実務知識と経験を活かし、利用希望者の受け入れがより円滑・適時に実現可能となるよう、該当部署に具体的な提言をするなど、相互の関係性の更なる強化を図り、利用者還元につながるような、働きかけも行われている。

年間を通じ感染予防対策の徹底に努め、個別の希望に沿った見学対応を実施している

季節性を問わずあらゆる感染症の予防対策を講じており、見学希望者に対しても、体温測定・手洗い・うがい・マスク着用は必須とし、苑内の清掃・消毒・換気も徹底の上で、受け入れ環境を整えている。個別の意向や事情を踏まえ柔軟に見学日時を調整・対応しているが、当日37℃以上の発熱が見られた場合には、見学者の理解を得て日程を再調整している。施設での日常の様子をありのままに公開すべく、全フロア・スペースを見学可能としているが、利用者のプライバシーやストレスにも配慮しつつ、生活相談員がその都度工夫しながら案内している。

1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
  • 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  • 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
施設のルールや基本事項等を、「ホームのしおり」も用いて具体的・詳細に説明している

サービスの開始にあたっては、施設のルールや基本事項等を、契約書・重要事項説明書とともに「ホームのしおり」も活用し、具体的・詳細に説明している。「ホームのしおり」には、入所時の持参品、日課と協力のお願い、年間の主な行事、荷物や衣類の管理方法等が詳細に記載されており、施設での生活が明確に把握できる冊子となっている。この冊子も用い、利用者・家族の心身状況や特性も踏まえ、生活相談員が必要事項をわかりやすく伝え、要望や不安、疑問等も必ず確認の上で、同意を得て利用契約を交わしている。

入所前の訪問面談結果をフェースシートに反映させ、暫定的に支援ニーズを検討している

入所前には遠方であっても必ず訪問面談を行い、利用者・家族の意向、既往歴、服薬状況、ADL(日常生活動作)、家族状況、精神状態、趣味、嗜好、食事内容、性格、生活環境に至るまでを詳細に確認し、入所後の支援に必要な情報を収集している。把握した内容はフェースシートに反映させ、多角的にアセスメントを実施し、ニーズを暫定的に抽出して、具体的な支援内容を検討している。また、本人や家族のみでなく、医療関係者、居宅の介護支援専門員等からも情報を収集し、支援ニーズの検討に活かしている。

プライバシー改修により新設された壁面も活かし、安心感につながる環境を提供している

利用者の入所直後のストレス・不安の軽減を図り、こまめな見守りや声かけを徹底させ、また、プライバシー改修で新設された居室の壁面も活かし、馴染みの作品や思い出の写真を掲示するなど、安心感につながる個別環境を提供している。その上で、施設長、介護支援専門員、生活相談員、管理栄養士、利用者の担当介護職員、看護職員、機能訓練指導員等が参加するサービス担当者会議を入所2週間後に開催し、利用者に変化があればあらためて支援課題を検討し、アセスメントを見直して、よりニーズに沿ったサービス提供につなげている。

1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
  • サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  • サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
各専門職の視点を活かした「包括的自立支援プログラム」による課題分析が定着している

生活相談員、管理栄養士、利用者担当の介護職員、看護師、機能訓練指導員がそれぞれの視点を活かし、「包括的自立支援プログラム」を活用して、多角的に課題を分析している。利用者の、食事、排泄、入浴、整容、リハビリテーション、健康・医療、心理・社会面等の状況を各専門職がチェックし、生活全般にわたる支援ニーズを包括的に把握していく仕組みである。このアセスメント手法により、場面ごとの課題が専門的・詳細に検討され、利用者を職員が連携により支えていくための、支援の指標・提供内容が個別に導き出されている。

多職種によるケアマネジメントの仕組みが機能し、利用者主体の支援が継続されている

利用者・家族の意向や各専門職によるアセスメント結果を踏まえ、長期・短期で支援目標を設定して、介護支援専門員が施設サービス計画を策定している。全職員にとっての支援指標として共有化されており、利用者担当の介護職員、看護職員、管理栄養士、機能訓練指導員が毎月モニタリングを実施して、課題があればサービス担当者会議に諮り、計画の見直しにつなげている。こうした、多職種による一連のケアマネジメントの仕組みが機能しており、利用者を主体に、個別性を尊重した良質な支援の継続が図られている。

利用者情報は専用システムにより一元管理・共有化され、連携支援に活かされている

利用者の日々の様子や伝達事項は、パソコンの専用ソフト内に一元化して記録し、管理・共有している。各職員は勤務の都度必ずパソコンで記録を確認するが、閲覧後にはチェックが入る機能により、共有状況が一目で把握可能となっている。また、重要事項は「申し送り簿」というシートに集約し、全職員に確実に伝わるよう、工夫して伝達している。フロアごとの定時・随時の口頭による申し送りも併せ、情報共有の仕組みが着実に機能し、連携支援に活かされているが、職員も徐々に多国籍化している現状の中、言葉の理解度の相違も認識されつつある。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  • 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している
  • 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  • 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録を適切に作成する体制を確立している
  • 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 利用者に変化があった場合の情報について、職員間で申し送り・引継ぎ等を行っている
1.施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている
  • 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
  • 利用者の意向や状態に応じて、生活の継続性を踏まえた支援を行っている
  • 介護支援専門員を中心に、介護、看護、リハビリ、栄養管理等の職員が連携して利用者の支援を行っている
【講評】
サービス担当者会議への家族参加の再開も図り、利用者本位を念頭に支援を見直している

施設サービス計画の指標に沿い、職員が連携して支援を提供しているが、その実施状況・達成度を毎月モニタリングにより確認し、見直す仕組みが定着・機能している。利用者担当の介護職員、看護職員、栄養士、機能訓練指導員それぞれが毎月振り返りを行い、専門的な視点により場面ごとに支援内容を評価し、変更の要否を検討している。その上で、多職種によるサービス担当者会議に諮る仕組みを構築しているが、あくまでも利用者本位を念頭に、コロナ禍で休止していた家族参加の再開も図り、協議の上で施設サービス計画を見直すプロセスを実現させている。

その人らしい暮らしの継続に向け、個々の意向を重視した自立を促す支援を実践している

「自立した日常生活を営むことができるように支援します」を基本理念に、利用者らしい暮らしの継続に向け、一人ひとりの意向を重視し、できることに着目した支援を実践している。生活の場面ごとに、利用者に自己決定・自己選択を促し、個々に保有する力を引き出しながら、必要な支援のみを提供している。利用者アンケート結果の「自分でてきることは自分でやっている」等のコメントからも、個別性を重視した支援の様子が窺えるが、施設サービス計画に沿い、利用者の主体性を尊重して、安全面にも配慮の上で、自立を促す働きかけが行われている。

円滑な多職種連携の実践に向けた仕組みが機能し、良質な支援の継続が図られている

「包括的自立支援プログラム」を用いた多職種によるアセスメント、毎月のモニタリング、サービス担当者会議での協議結果を踏まえ、介護支援専門員が施設サービス計画を策定している。この一連の、連携によるケアマネジメントの仕組みが機能しており、また、記録・口頭による多職種間での情報共有の徹底により、良質な支援の継続が図られている。職員構成も年々変化しており、育成中の新人や外国人材も複数見られるが、介護主任経験者でもある生活相談員が現場に横断的にかかわるなど、円滑な連携支援を可能とする組織体制が維持され、機能している。

2.食事の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
  • 利用者の栄養状態を把握し、低栄養状態を改善するよう支援を行っている
  • 嚥下能力等が低下した利用者に対して、多職種が連携し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている
【講評】
利用者それぞれの状態に応じた食事提供や支援を行っている

施設は栄養ケアマネジメントを実施し、管理栄養士により食事ケア計画書を作成している。介護職員は毎食時、摂取量や嚥下状況等を記録、管理栄養士は適宜喫食状況を観察、看護師は適宜咀嚼・嚥下機能を観察し、状態変化の早期発見に努めている。主食は「米飯食・軟飯・全粥・パン・パン粥・パン粥ミキサー」の6種であり、副食も「常菜食・一口切・刻み・極刻み・ペースト・流動食」の6段階で対応している。また、糖尿病や減塩等治療食への対応、代替食についてもアレルギー、薬の相互作用、嗜好によるもの等に対応している。

利用者それぞれの栄養状態を常に把握し、改善するよう支援を行っている

施設では利用者の多くが加齢や疾病に伴う機能低下が見られ、さらに栄養状態の管理が必要になっている。管理栄養士は栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング表を使用し、利用者の低栄養状態のリスクレベル、身体状態や意欲、摂食・嚥下状況、嚥下調整食の必要性の有無、多職種による栄養ケアの課題等の情報を収集し、3か月ごとに評価している。その結果を食事委員会で多職種にて共有され、課題・問題点について多角的な対応策の検討、協議が行われる。また食事量が低下した利用者には捕食として高カロリー栄養食等にて対応している。

嚥下機能が低下した利用者に対し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている

施設では嚥下機能が低下した利用者については、多職種により利用者の状態を把握し、適宜その対応について協議している。外部より歯科医師及び歯科衛生士の診療が週1回あり、義歯調整や口腔ケアの指導の他、嚥下評価も行っているため適宜相談ができる環境にある。今年1月より口腔機能維持加算の取得へ向け、半年の期間設定で10名の嚥下機能が低下している利用者をピックアップし評価を開始、できるだけ経口にて摂取することが継続できるように支援している。また区主催の施設栄養士会にも参加し、新たな情報収集や交流の機会にも努めている。

3.利用者が食事を楽しむための工夫をしている
  • 利用者の嗜好を反映した食事を選択できる機会がある
  • 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
  • テーブルや席は、利用者の希望に応じて、一定の範囲内で選択できる
  • 配膳は、利用者の着席に合わせて行っている
【講評】
嗜好調査を実施して利用者の意向や要望を確認し、日々の食事に反映させている

施設では年1回は利用者に嗜好調査を実施し、主食や副食の分量や温度、固さ、味付け、好きな食材や好きな料理、食べたい料理等に対する意向や要望等を確認している。嗜好調査の結果や日々のミールラウンドによる意見や要望等を踏まえ、給食会議にて反映する。施設長はじめ、管理栄養士等多職種、給食委託業者により構成される給食会議は月1回開催され、給食に関する様々な問題解決や献立メニューの工夫等改善や向上に向けた協議、検討が行われる。厨房では「クックチル」を導入し、味付けや固さ等の均一化が図られ利用者からも好評である。

食事提供方法を工夫し、季節を感じながら食事を楽しめる様々な支援を行っている

施設では季節行事や旬の食材を取り入れた食事を提供し、季節を感じながら食事を楽しめる様々な支援を行っている。毎月実施している「誕生会」、年2回は各地方の料理・特産などを提供する「お食事会」(今年6月は九州地方の料理)、正月や敬老会、クリスマス会等の季節イベントの際には「特別食(行事食)」を提供している。また、利用者自身が好きなおやつを選べる機会として月2回「おやつバイキング」の実施や、「外食イベント」と称して実施する、老舗有名店の鮨やうなぎ、すき焼き等の機会は利用者から好評を得ている。

食事時間や食事の席に関して利用者の状況を配慮し対応している

施設では食事提供時に温冷配膳車を使用し、温かいものは温かい状態で、冷たいものは冷たい状態で提供している。また配膳は、利用者が全員着席して落ち着いたことを確認してから対応するよう配慮している。食事の提供時間は事前申出により便宜を図り対応するが、原則として1時間前からの提供が可能、調理後は2時間までの取り置きを可能としている。食事介助は一部及び全介助の利用者が5割程度ということもあり、食事時の席次は食事介助の必要な利用者の状況に応じて決めているが、クラブ活動等の馴染みの関係で近くにする等適宜配慮している。

4.入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の意向や状態を把握して、できるだけ自立性の高い入浴形態(個浴、一般浴等)を導入している
  • 入浴の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  • 認知症の利用者に対し、個別の誘導方法を実施している
  • 利用者が入浴を楽しめる工夫をしている
【講評】
利用者それぞれの状態に合わせた入浴形態を導入している

施設の入浴設備は3階に一般浴、2階に機械浴を配置し、利用者の身体状況に応じて使用している。現在、大半の利用者が入浴時の介助が必要な状況であるため機械浴の使用が多いが、機能訓練の成果で立ち上がりができるようになり一般浴に変更した利用者もいる。一方で他の階に移動して入浴せざるを得ない現状があり、特にコロナ等感染対応の際には各階に移動することが大きな課題となった。以前より入浴設備の経年劣化に伴う工事は検討されているが、その優先順位は低く、利用者にできるだけ負担のない入浴対応ができることが期待される。

入浴の介助は羞恥心に配慮し、利用者がリラックスできるよう工夫に努めている

浴室の入口カーテンは二重にし、脱衣室の中が見えないように配慮している。入浴介助はできるだけ同性介助を心がけているが、人員の関係で完全には実施できていない。入浴委員会では入浴剤の選定を行ったり、ゆず湯や菖蒲湯など利用者に季節を感じてもらえるよう工夫している。個別に好みのシャンプー・リンスを購入して使用している例もあり、それぞれの希望に応じて対応している。入浴中は時間的な制約もあるが、利用者個別に好きなCD音楽をかけるなど「利用者が楽しめる」「利用者が少しでもリラックスできる」よう工夫に努めている。

入浴拒否が見られる利用者に対し、統一した支援が行えるよう努めている

施設では、認知症の利用者等で入浴拒否が見られた場合にはその場での入浴を無理強いせず、時間を置いた対応や、職員を変更したり時間や日程の変更で対応し、利用者に負担がかからないような入浴支援に努めている。そのような対応でも入浴が難しい場合には、全身清拭・部分清拭・陰部洗浄・更衣支援等の代替えによる支援を行っている。入浴拒否を訴える利用者への声かけや入浴の時間帯の対応等を実際に行った職員は、生活記録や申し送りノートに詳しく記載し、職員間での情報共有を図り、統一した支援が行えるよう努めている。

5.排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている
  • 排泄の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  • 研修等によりオムツ交換、トイレ誘導等の排泄介助方法の向上に取り組んでいる
  • トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面や臭いに配慮し、清潔にしている
【講評】
利用者それぞれの意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている

施設では利用者それぞれの自然な排泄を促すために、食事とおやつの際のお茶の提供のほか、利用者の好みに合わせてこまめな水分補給を実施している。日々、食事中とそれ以外の利用者個別の情報を水分チェック表及び排尿チェック表に記録し、検討・対応している。排泄介助を必要としている利用者は一部介助、全介助を含めて9割を占め、おむつ使用者はそのうちの半数となっている。各トイレは安全面の配慮からドアは常時解放されているが、入口にカーテンを設置することにより中が見えることがないよう配慮している。

委員会や外部研修の実施等により、排泄介助方法の向上に取り組んでいる

施設では排泄委員会が月1回開催され、安心・安全で快適な排泄を目指し、利用者の身体状況に合わせた排泄方法及び介助方法の基準を協議、検討している。排泄介助マニュアルでは、トイレ誘導の目的の中に『プライバシー保護に努める』と記しており、プライバシーや羞恥心に対する職員の意識向上につながっている。また、おむつメーカー講師を招き、紙おむつやパットの当て方や選び方、陰部洗浄の仕方について研修を実施している。実践での研修のため職員からは高評価であり、排泄介助の技術向上はもとより、意識変化にも寄与している。

排泄介助時は褥瘡の状態確認を行うなど予防するための体制を整備している

施設では日常の排泄介助時には褥瘡の状態を確認し予兆の発見に努めている。毎月1回、褥瘡予防対策委員会を開催し、介護職員・看護師・栄養士・機能訓練指導員・生活相談員等多職種連携と、適宜形成外科医師にも相談し、除圧や栄養状態、介護方法、処置方法について検討、協議している。施設サービス計画では、褥瘡発生の恐れのある利用者や、長期入院等により褥瘡ができてしまった利用者それぞれについて、具体的な改善目標を定めて取り組んでいる。それらの取り組みの結果、施設における褥瘡の処置人数は以前に比して減少している。

6.移動の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
  • 利用者の状態や意向に応じ、できるだけ自力で移動できるよう支援を行っている
  • ベッド移乗、車イスの操作など移動のための介助が安全に行われている
  • 利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が行われている
【講評】
機能訓練指導員を中心に、介護職員との連携により利用者各々の機能向上に努めている

施設では全利用者が機能訓練指導員(理学療法士)の個別機能訓練を受けている。現在、車いす使用者は9割弱であり、そのうち自力で車いすを操作している利用者は約半数であるが、立ち上がりや座位保持等体幹を鍛える基本動作を中心に取り組んでいる。その他に日々の生活の中で利用者それぞれに目標を設定し、介護職員とも連携して機能訓練に取り組んでいる。運動療法や音楽療法などの集団運動も実施しており、音楽やボール等を使用したレクリエーションを取り入れた運動療法として多数の利用者が参加している。

福祉用具の活用や研修の実施により、安全な移乗・移動が行われるよう努めている

施設ではベットから車いすへの移乗、車いすでの移動の際は、できるだけ利用者自身の残存能力を活用し、安全に配慮して介助している。ヒヤリハット報告や事故報告において転倒・転落事故のケースは、立ち上がった後の方向転換時にバランスを崩したり、立ち上がった際の膝折れ、夜間せん妄が原因のベットからの転落が多い。対策として、ベットから車いす移乗の際に福祉用具(スライディングボード)を必要な利用者の各部屋に備え、安全面と職員の負担軽減を兼ねて活用している。また、機能訓練指導員より移乗・移動に関する研修も適宜行っている。

利用者が快適に安全に使用できるよう車いす等の環境整備が行われている

施設では車いす選定マニュアルを策定し、機能訓練指導員と介護職員が利用者それぞれに適合した車いすを選定している。座位保持の困難な利用者にはリクライニングタイプを選定したり、移乗の際に下肢に制限がある場合はフットレストを外せるタイプを選定している。年2回、全職員により車いすの清掃やメンテナンスを行うなど、環境衛生面や安全面に配慮し快適に利用できるように取り組んでいる。定期的な点検以外も、日常生活の中で車いすの状態で気になることや要望があった場合には、機能訓練指導員を窓口として報告、適宜対応をしている。

7.利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている
  • 利用者一人ひとりに応じた機能訓練プログラムを作成し、評価・見直しをしている
  • 機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を入れている
  • 機能訓練指導員と介護職員等の協力のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
  • 福祉用具は、定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
【講評】
利用者それぞれに応じた個別機能訓練を実施し、評価・検討を行っている

施設では機能訓練指導員として理学療法士が1名配置されている。機能訓練指導員は利用者それぞれの個別機能訓練計画を作成し、身体機能の保持・低下防止を図っており、1日平均20名の個別訓練を実施している。個別機能訓練計画は介護職員・看護師等との合議で個別の施設サービス計画の一環として共有され、介護・看護・栄養に関する計画と連動しており、半年に1回、サービス担当者会議で評価・見直しを行っている。その間の訓練状況やその結果について、その都度評価・計画の見直しを行い、多職種との共有を図っている。

機能訓練の一環として利用者が楽しみながら運動ができる機会を作っている

施設では集団運動として運動療法と音楽療法を行っている。運動療法は施設の機能訓練指導員が主体で体操を実施するが、音楽療法は2011年から音楽療法士を外部より招いて実施している。指導員と音楽療法士が選曲する懐かしい歌を歌ったり、リズムを取ったりすることで、リラックス効果を高め、脳の血流を良くし、認知機能を改善する効果もみられ、利用者の人気度及び参加率は高い。実際の運動ではボールやマラカス等の楽器を使用してレクリエーション要素を取り入れる等、利用者が楽しみながら適度な運動ができるように取り組んでいる。

機能訓練指導員と介護職員との連携により、日常生活においても機能訓練を実施している

施設における機能訓練は機能訓練指導員と介護職員等との連携により実施している。実際の訓練の主体となるのは機能訓練指導員であるが、介護職員等の協力、連携により行われている場面が多く見られた。例えば、集団運動の場面では必ず介護職員が連携して実施し、運動中の利用者の様子を観察して日常の介護支援のヒントとして活かしている。福祉用具も機能訓練指導員がその利用者に合ったものを選定するが、日常生活における利用者それぞれの使用状況は介護職員が観察し、必要に応じて機能訓練指導員に状況や要望を伝え、見直し等を行っている。

8.利用者の健康を維持するための支援を行っている
  • 利用者の状態に応じた健康管理や支援を行っている
  • 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
  • 利用者の状態に応じ、口腔ケアを行っている
  • 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている
  • 終末期の対応をすでに行っているか、行うための準備が行われている
【講評】
看護師の体制を強化し協力医等との連携にて健康管理や看取り体制を整備している

施設では看護職員が複数配置され、協力医と日々連携し日常の健康管理を行っている。内科の他、精神科、形成外科の医師にも往診を依頼し、急変や医療処置が必要な場合には協力医に即時相談、適宜病院等への受診に繋げている。一昨年より看護師の夜間配置を行い、協力医療機関を近隣クリニックに一本化することで看取り体制への強化を図った。さらに今年度からは看護師長を配置、育成と評価、メンタルフォローに注力している。利用者・家族、職員の安心感はもとより、職種間連携がスムーズとなり、外部受診が減るなど良い影響をもたらしている。

服薬管理は誤りがないようマニュアル策定や管理方法の工夫により厳重に取り組んでいる

施設では服薬管理マニュアルを策定し服薬支援を行っている。誤薬事故発生時には対策やマニュアル改定を重ね、相互チェックすることや管理方法の工夫により最近ではその件数が激減した。薬局が持参する薬は一包化され、看護師がダブルチェックにて薬を個別にセットし管理、看護師と介護職員が連携してチェック表を基に服薬を支援している。原則、朝夕食時は介護職員、昼食時は看護師が服薬を行うが、与薬時にも利用者氏名の復唱を徹底している。氏名確認を職員二人で行うこと、車いすに名札をつける等、間違いがないよう取り組んでいる。

利用者の急変時に看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている

施設では体調急変時や怪我を伴う事故発生等の場合は、救急対応マニュアルに従い速やかに協力医療機関のクリニックと連携して対応している。24時間看護師が配置されたことで迅速に対応しているが、後方支援として大学病院等のベッドも控えているため安心である。終末期の意向は入所のタイミングで利用者・家族に意思を確認し同意書を得て、終末ケアマニュアルに従い支援している。喀痰吸引研修には介護職員を積極的に参加させ医療職以外も対応できるよう備え、受講後の実地研修では看護師による直接指導を行い職員のフォローアップを図っている。

9.利用者が日々快適に暮らせるよう支援を行っている
  • 起床後、就寝前に更衣支援を行っている
  • 起床後に洗顔や整髪等、利用者が身だしなみを整える際に支援を行っている
  • 利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている
【講評】
整容マニュアルを策定し、利用者の要望や身体状態に応じた更衣支援を行っている

施設では整容マニュアルを策定し、日々の生活にメリハリをつける観点からも、起床時には普段着への更衣、就寝時には寝間着への更衣の支援を行うことを生活の基本としている。更衣支援が必要な利用者は約9割になっており、利用者全員への一律の更衣支援の対応は、介護職員の人員配置からも困難を極めている。職員自己評価結果においては「起床後、就寝前に更衣支援を行っている」に「そう思わない」が4割弱を占めているが、利用者の要望や身体状態に応じた支援は行っており、利用者の持っている能力に配慮した対応を重視している。

起床後の身だしなみについて、利用者それぞれの心身状況に応じた支援を行っている

施設では起床時のモーニングケアとして、自立して自分で行える利用者には、職員の見守りや声かけ等により、洗面所にて自身で洗顔や整髪を行っている。ケアが必要な利用者には、温かいタオルやブラシを職員が事前に用意して、一部もしくは全介助にて顔や手の清拭を行っており、利用者個別の心身状況に応じた支援にて対応している。できるだけ利用者の生活習慣を尊重することを重点に置き、自分で洋服を選んだり、髪を整えたり化粧をする等、その日の気分で、気持ちよく自分らしい生活を送ることができるように支援している。

利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている

施設では夜間の安定した睡眠を確保するために日中はできるだけ離床することを心がけ、クラブ活動、運動療法や音楽療法等、日中に行われる様々な活動への参加が勧められている。就寝時には騒音・明かり・温度・湿度等を配慮するように努めており、居室の環境を整えるとともに、定期的な夜間巡回を行うことで、安心して睡眠ができるよう配慮している。入眠が難しい利用者や夜中に起きてしまう利用者には、安易に睡眠導入剤等の薬の服用は控えて、お茶や嗜好品等を提供したり、静かに話をするなど対応して支援している。

10.利用者の施設での生活が楽しくなるような取り組みを行っている
  • 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
  • 利用者の意向を反映したレクリエーションを実施している
  • 認知症の利用者が落ち着いて生活できるような支援を行っている
  • 利用者の気持ちに沿った声かけや援助を行っている
【講評】
利用者の主体性を尊重し、自由度の高い暮らしが継続できるよう個別に支援している

施設では集団生活においても利用者の主体性や生活習慣を尊重し、できるだけ自由度の高い暮らしが継続できるよう個別の支援に努めている。喫煙の習慣がある利用者においては、各フロアのバルコニーの喫煙スペースでゆっくり過ごしたり、飲酒を希望する利用者においても夕食時に冷えたビールを楽しむことが可能である。3階のベランダでは利用者が園芸を行い、その収穫物を皆で味わったり、空きスペースに洗濯物を干したりと、利用者がいつまでも自分らしく過ごせるよう、利用者個別の生活を尊重した支援を実践している。

クラブ活動やレクリエーション、季節イベントを実施し、利用者に楽しみを提供している

施設ではクラブ活動やレクリエーション、夏祭り・文化祭・クリスマス会等の季節イベントを実施し、施設での利用者の生活に楽しみを提供している。コロナが落ち着いて以降は、職員が工夫を凝らし、陶芸、料理、習字、絵手紙等多彩なクラブ活動に注力している。人気のホーム喫茶、アニマルセラピーではボランティアの訪問が再開し、コロナ前の運営体制に概ね戻しつつある。ホームページや機関紙でも利用者が笑顔で活動に参加する様子が確認できる。また他にも、毎月の誕生日会や訪問販売、食事会等一年を通じて利用者の日常生活に彩りを添えている。

認知症の利用者が穏やかに過ごせるよう、状況に合わせて声かけや働きかけをしている

認知症状を有する利用者が全体の8割近い現状を踏まえ、日常的な場面において職員が専門性を活かして支援している。施設サービス計画を踏まえ、個別状況に合わせて声かけや働きかけを工夫し、利用者が安心して穏やかに過ごせるよう配慮して支援を行っている。利用者への声かけにおいてもストレートな表現ではなく別の言葉に置き換えたり、時間や対応する職員を変更したり、夜間不穏の際にはマンツーマンで傾聴対応し飲み物を提供するなど、個々の利用者のペースと思いを尊重し、受容した上で寄り添い、必要な支援を行っている。

11.地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている
  • 定期的な散歩や外食、遠出など外出の機会を設けている
  • 利用者が地域の一員として生活できるよう、地域住民が参加できるような行事など、日常的な関わりが持てる機会を設けている
  • 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
【講評】
利用者と地域・社会とのつながりを重視し、工夫を活かして外出支援に取り組んでいる

「地域や家族との結び付きを重視」した支援を基本理念に、利用者の健康管理に努め感染予防策を講じた上で、工夫を活かして外出支援に取り組んでいる。万全な計画・準備のもと、ボランティアや家族の協力も得て、初詣や春のお花見など季節に合わせたバスハイクを実施し、体調に不安がある利用者には玄関先で外気浴を行うなど、地域交流につながる楽しみを提供している。また、クラブ活動にも散歩を組み入れ、近隣の公園等を車イスのまま散策するなど、利用者の意向・状態に合わせた、少人数単位での支援も実施している。

ボランティアとの交流を本格再開し、利用者の暮らしに張り合いと潤いをもたらしている

音楽療法、アニマルセラピー、ホーム喫茶を始めとし、行事・イベント時にもボランティアとの交流を本格的に再開したことで、利用者の暮らしに張り合いと潤いをもたらしている。こうした随時の触れ合いの様子は、広報誌「はなみずき」に写真とともに掲載されており、他の参加者や動物たちとの交流を楽しむ、利用者の姿が確認できる。また、近隣の幼稚園生との世代間交流や、学生のボランティア体験も受け入れ可能な体制・環境を整え、様々な触れ合いの機会を提供して、利用者が地域・社会との関わりを深めながら、笑顔で暮らせるよう支援している。

利用者の暮らしの幅を広げる地域情報を各種収集し、個別性を踏まえて提供している

コロナ禍後は外出の機会も増え、地域の環境や取り組みが、利用者の生活に密着した身近な資源へと復活したことから、気軽な活用につながるような、各種情報を収集・提供している。紙面では、区が月に2回発行する情報誌や、地域の公益財団法人が毎月発行するコミュニティ情報誌を備え置き、また、日頃の対話も通じて、近隣店舗や公園、四季に応じた風景の移り変わりなど、利用者の外出意欲につながるような、具体的な話題を提供している。情報誌は希望に応じ内容を読み上げて伝えるなど、利用者の個別状況に合わせた、柔軟な支援が継続されている。

12.施設と家族との交流・連携を図っている
  • 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
  • 家族や利用者の意向に応じて、家族と職員・利用者が交流できる機会を確保している
  • 家族または家族会が施設運営に対し、要望を伝える機会を確保している
【講評】
多職種によるモニタリング結果等を毎月家族に送付し、利用者の日常の様子を伝えている

介護、看護、栄養、機能訓練担当の各職員による毎月のモニタリング結果を家族に送付し、利用者の直近の様子を詳細に知らせている。家族の心情にも寄り添い、利用者の発言や表情、心身状態の推移、日中の過ごし方等を、エピソードと共に記載したシートを毎月郵送し、近況を伝えている。また、利用者が音楽療法やマッサージセラピーに参加している場合には、セラピストからのコメントも同封し、活動時の具体的な様子を知らせている。加えて、ホームページ上の「はなみずき」にもイベント時の写真を掲載し、随時更新することでも家族に近況を伝えている。

意向に沿った自由な面会・外出が可能となるよう、環境・体制を整えて実現を図っている

利用者と家族の意向に沿った自由な面会・外出を可能とすべく、清掃・消毒・換気等による施設内整備や、利用者・職員の体調管理の徹底など、環境・体制を整えて実現を図っている。季節性も含め、感染症の発症時には休止、または制限を設けるが、基本的には365日予約なしで、10時~20時まで希望の場所で面会でき、外出も可能となっている。また、外食・外泊も、事前申請を踏まえ意向に応じて支援している。ホームページの「NEWS」欄には、直近の面会ルールを公開しており、家族が随時確認することで、来苑日時の検討が可能となっている。

家族との交流の機会を増やし、利用者を共に支えるための関係性の強化を図っている

利用者の暮らしを家族と共に支えるため、交流の機会を増やし、率直な意向の把握に努め、関係性の強化を図っている。昨年度は、入念な計画・準備の上で家族懇談会を再開させたが、今年度はサービス担当者会議や各種行事・イベントへの家族参加も復活させ、その都度対話を重ねながら、思いや気付きの丁寧な聴取に取り組んでいる。家族から寄せられた要望・疑問には、その場で即時、若しくは、後日確実に回答する体制が築かれており、信頼関係もより深化し、基本理念である「地域や家族との結び付きを重視する」支援が誠実に実践されている。

【講評】
個人情報は法令及び法人の規程に則り、必ず同意を得た上で厳重・適正に取り扱っている

利用者の個人情報は、法令及び法人の規程に基づき、契約時に保護方針及び利用目的を文書にて明示・説明し、必ず同意を得た上で、取得・利用・提供している。また、全職員が個人情報に関する誓約書に署名・捺印の上で業務に従事しており、プライバシー厳守を念頭に、サービスが提供されている。ホームページ上では、広報誌「はなみずき」に行事・イベントを楽しむ利用者の写真が多数公開されているが、いずれも個人が特定できないよう加工の上で掲載するなど、内部・外部を問わず厳重かつ適正に、利用者情報を利用・提供している。

利用者のプライバシー及び羞恥心に配慮し、個別性を重視してサービス提供を図っている

利用者のプライバシーに配慮し、多床室を個室仕様へと改修したことで、居室の快適性も向上し、利用者アンケートでは「安心して寝られる」などの声も寄せられている。こうした環境面の整備とともに、入浴・排泄・更衣など利用者が羞恥心を感じる場面においては、個別の意向に応じ、可能な限り同性介助の提供を図っている。また、声かけもストレートな表現は避け、他者に状況がわからないよう伝え方を工夫し、その都度カーテンやタオル等で周囲の視線を遮るなど、利用者の心情に配慮してサービスを提供している。

利用者の主体性と自己決定を尊重した、柔軟で自由度の高い支援が実践されている

利用者が継続してその人らしく暮らせるよう、生活習慣や趣味・嗜好等に配慮した、個々の意向を尊重した支援を提供している。喫煙・飲酒も、一定のルールのもとで楽しむことが可能であり、テレビ、パソコン、冷蔵庫、スマートフォン等も、自室での使用は自由となっている。また、3階のベランダを活用して、植物を育てたり洗濯物を干すことも可能である。集団での活動として、音楽療法や運動療法、陶芸や絵画等のクラブも実施しているが、あくまでも参加は自由であり、利用者の主体性と自己決定を尊重した、柔軟で自由度の高い支援が実践されている。

1.利用者のプライバシー保護を徹底している
  • 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  • 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
業務内容を網羅した各種実践マニュアルを整備し、組織的に随時見直し・改訂している

介護技術や接遇、環境整備等も含め、業務内容を網羅した各種実践マニュアルを整備し、職員間で供覧して標準化を図っている。食事・入浴・排泄等の介助方法や、マナー、虐待防止、感染症対策等、どの職員が対応しても一定水準の支援を提供できるよう、手法や手順は全て文書化され、共有化されている。整備状況・内容は、リスクマネジメント委員会にて毎月、及び、随時見直す仕組みを機能させ、今年度は「熱中症対策マニュアル」も新たに作成している。こうした、法改正や社会情勢、施設の現状に合わせた更新・改訂を定着させ、標準化を推進させている。

各種会議や委員会を通じ、職員協議により業務を見直す仕組みが構築されている

定例的に開催されている各種会議や委員会を通じ、職員が協議により業務・支援の内容を見直している。毎月開催の運営会議には、施設長や各部門の全ての幹部職員が参加し、現状の課題を確認の上で、意見交換により改善策を検討している。また、看護師と介護士の連携会議、ワーカー会議、給食会議、リスクマネジメント委員会、余暇委員会、職員育成委員会等により、各職域・部門・テーマごとに職員が相互に意見を交わし、組織として業務水準の見直しを図っている。尚、職員意見箱を通じた声の聴取に関しては、運用に更なる工夫が期待される。

多様な手法で利用者の意向を聴取し、提供しているサービス内容等を見直している

非言語も含めた日常的なコミュニケーションや、区の介護相談員制度、施設委嘱の第三者委員を通じ、利用者の意向を聴取して、業務・支援の見直しを図っている。聞き取った内容は、記録や申し送りにより全職員で共有し、状況に応じ各種会議や委員会に諮り、サービス内容・手順の変更につなげている。また、年に1回嗜好調査を実施し、結果をもとに給食会議でメニュー・味付け・調理方法等を再検討し、満足度と質の向上に取り組むなど、利用者の率直な評価を指標に業務を見直す、一連の仕組みが定着・機能している。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価実施期間】

2025年5月12日~2025年11月6日

【評価者修了者No】

H0306086,H0902007,H0902014

評価結果のダウンロード

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