
評価機関としての調査結果
調査時に観察したさまざまな場面の中で、調査の視点に基づいて評価機関が選定した場面
自閉症を伴う重度の知的障害を抱える子どもたちが、リビングで思い思いに過ごしている。テレビの前には複数の子どもが集まり、身体を揺らしたり、時々歌を唄う子どももいる。リビングには職員が2人~3人おり、全体を見守っている職員は床に座り、子どもが職員の膝に頭を乗せている。また、リビングに隣接した個室で過ごしている子どもは、時々リビングに出てきては職員に近づいたり、出入り口や廊下に向かい、また個室に戻っていく。子どもたち同士が積極的にかかわる様子は見られないが、特定の子どもは職員への接触を繰り返している。
選定した場面から評価機関が読み取った利用者の気持ちの変化
夏休みに入ったばかりで生活のリズムが変化したこともあり、子どもたちは全体として落ち着かない状況であるとの情報のもと、調査を行った。職員の膝に頭を乗せている子どもは、職員を独占したいのか離れる様子はなく、職員も子どもの要求に応え、子どもを引き離すことなく座っている。日常との変化を敏感に感じ取り、子どもは不安を感じていたのかもしれない。職員はそのような子どもの心に寄り添い、安心できる環境を提供しており、子どもの気持ちが落ち着いてきたのか、徐々に職員から離れる場面もみられるようになった。また、行動が落ち着かず個室にいた子どもは、お昼の時間が近づくと頻繁にリビングに出てきては、職員の顔の近くに自身の顔を寄せたり、廊下の端に向かっていく。言葉はないが、職員はその行動に対し、「お腹空いたね。もうすぐで昼食だよ」と声をかけており、子どもの気持ちを代弁する行為により、子どもは自身が理解されていると感じているのではないかと推察した。
「評価機関としての調査結果」に対する事業者のコメント
夏休み期間に入った初日だったということもあり、子どもたちにとってはいつもと違う、または夏休みと理解はしていても少しソワソワとしてような落ち着かなさのある状態であったと思います。そんな中、まずは子どもたちの様子を職員がよく観察・把握し、どのような環境や活動を設定することがより安全で安心できるのかということを考えながら支援にあたっている最中であったかと思います。なかなか言語での表現の難しい子どもたちではありますが、普段の行動や態度からその内面にあるものを職員が察して、代弁していくことで子どもにとって“理解してもらえている”という人に対する安心感や信頼が生まれるように日々の関わりを行っています。常に職員がその内面を的確に捉えられることばかりではありませんし、子どもの思いと職員の思いがぶつかり合うこともありますが、それも人として他者と交わるという経験になるように、お互いの関係性を築いていくように関わっています。
1.子どもの様子や支援の内容についての十分な説明があるか |
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2.家族への精神的なサポートの取り組みは十分か |
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3.緊急時の対応体制は信頼できるか |
はい 82%
どちらともいえない 12%
無回答・非該当 6%
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4.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか |
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5.職員の接遇・態度は適切か |
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6.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか |
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7.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか |
はい 65%
どちらともいえない 24%
無回答・非該当 12%
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8.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか |
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9.子どものプライバシーは守られているか |
はい 82%
どちらともいえない 12%
無回答・非該当 6%
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10.個別の計画作成時に、子どもや家族の状況や要望を聞かれているか |
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11.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか |
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12.利用者の不満や要望は対応されているか |
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13.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか |
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