評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)社会的に弱い立場の人の側に立った支援を経営理念の根底におく(アゼリヤ会理念)
2)お一人おひとりの人生を尊び、その人らしく生きることを支える(美山苑基本方針)
3)入居者が主体性を持って明るく心豊かに生活できる施設をめざす(美山苑基本目標)
4)入居者の生命と財産を守り、生活の場として安心できる施設をめざす(美山苑基本目標)
5)地域社会において信頼され必要とされる施設をめざす(美山苑基本目標)
職員に求めている人材像や役割
①自己の業務(しごと)に忠実に尽くす (自分の仕事は何かを十分にわきまえて、誠実に仕事に向かい合い、その仕事に全身全霊を傾ける。)
②誰にでも依怙贔屓なく応える (利用者に対しても、職員に対しても、公平無私でなければならない。)
③慈しみ深く、清々しい人 (利用者に対しても、職員に対しても、深い慈しみの気持ちを持って応えなければならない。)
④偉大なる凡人で、衒うことなき人 (人に良く思われるために「衒う」ような人は良くない。誠実に謙虚に、常にこつこつと自分の最善を尽くす人こそ報われなければならない。)
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
・福祉に携わる者としての倫理観を持ち、専門性を高め入居者の思いに寄り添った支援(福祉)を思いやりと情熱を持って追求すること
全体の評価講評
特によいと思う点
施設は理念にも謳ってあるように昔からの伝統で「社会生活が難しい人、他施設対応困難な人も積極的に受け入れを実施する社会的支援の気持ち」が強い。入居している利用者は、毎月生活懇談会を開催し、ほぼすべての利用者が参加し、要望などその場で話し合いができる環境を作りだしている。また、荘ごとの懇談会も毎月実施して小単位で話やすい場も作り、利用者の意見を聞き、要望実現に向けてできるだけ努力するなどしている。利用者にとって自然に恵まれ、施設面では完全個室等の満足度も高く、自立した生活が実現できている。
施設は全室個室ですべて南向きであるなど、利用者の生活空間はきわめて良好であり、加えて利用者が生き甲斐、やり甲斐を持てるように多様な活動が設けられている。クラブ活動・同好会活動が盛んに行われていて、利用者は入所と同時に自治会「つつじ会」に加入することがルールになっている。「つつじ会」では会費を徴収し、会長、副会長、会計などの役員を選出して自主的な地域活動を展開している。募金活動や互助活動などの他に、グランドゴルフを媒介にしたは地域交流活動も盛んで、生き甲斐とやり甲斐のある暮らしを生んでいる。
利用者の尊厳を大切にした思いやりや、優しさのある暮らしを送ることができるよう、毎年マナー委員会で標語を決め、毎日の支援員ミーティングで唱和をし、日頃から利用者の尊厳を大切にすることを意識して支援を行っている。昨年度は「~させる」などのつい言ってしまいがちな言葉を使わないようにすることをめざし、今年度は「笑顔で自分から挨拶しましょう」「目配り、気配り、心配り、次の人の事を考えて行動しましょう」である。苑全体で利用者の個人としての尊厳に配慮した取り組みで、職員による相談日も設けて利用者の思いを聴こうとしている。
さらなる改善が望まれる点
福祉業界の最近の課題であり、施設でも措置者数の減少に伴う定員割れの状況が続いている。現状、行政から措置の依頼があった際には、速やかな入所につなげられるように、相談受付後は施設内での検討を速やかに行うようにしている。また、行政と事務的連絡を取り合う際には、利用者獲得のために必ず措置の誘導依頼を口添えしているが、願わくばプッシュ型営業も期待したいところである。積極的に行政に出かけて、依頼する活動である。この積極的な活動は、それなりの効果があると言われているため、今後に向けて、検討することを期待したい。
多岐にわたる支援に関して具体的なマニュアルを作成し、日々活用をしている。マニュアルの見直しはマニュアル委員会が中心となり6月9月12月3月の年4回、定期的に点検を行い、各部署会議においても課題提起し話し合う機会を設けている。しかしながら感染症対策等のマニュアルは最新のものとなっているものの、一部のマニュアルで更新手続きが行われず手順が古いものもうかがえた。入居者の高齢化及び介護の重度化が進んでいることからも、実態に合ったマニュアルとなるよう整理することで、今後のサービスの向上に繋がることに期待したい。
入所時アセスメントで食情報を得ており、禁忌、アレルギーをはじめ食形態なども把握し、常食、キザミ、極キザミ、ミキサー、プリン食(ミキサー食を固めたもの)などがある。現在は、法人の3施設合同で同一献立であり、1年を四季に区切り、1つの季節(3ヵ月間)毎に献立を作成し、1ヵ月のサイクルメニューを繰り返している。献立に旬の食材の取り入れがやや少なくバラエティーは乏しいようにうかがえる。年3回の食事委員会で5名の利用者が参加して意見を伝えており、今後は、自前調理の良さを発揮するとともに、変化のある献立作りが望まれる。
事業者が特に力を入れている取り組み
今年度の3つの重点目標の一つとして、「リスクマネジメントのさらなる強化」を掲げている。その中でも事故を未然に防止するためのヒヤリハット報告を活性化させ、報告件数を増やすことに注力している。昨年度はその前年に比べヒヤリハット件数は3倍に増えており、事故件数減少と連動させたいとしている。施設は、日々の業務の中で些細な気づきをヒヤリハット報告で同日中にPC入力を行い、多くの事例を分析・検証し、安全対策にいかすという意識を職員全体で確認しつづけ、事故も未然に防ごうという意識をさらに高めたいとして、取り組んでいる。
介護予防と機能訓練を行って利用者の自立的な生活継続に努めている。理学療法士(PT)が月に2回来所し、個別の機能訓練及び集団の機能訓練を行っている。PTは毎回5~6名の利用者を対象に、各居室にて個別機能訓練を行っており、訓練内容については「個別機能訓練アセスメント表」に基づいて組み立てている。また、介護予防委員会が、朝、昼のラジオ体操を呼びかける他、毎月開催している健康講座があり、全体で介護予防体操を年2回開催し、身体を動かす大切さや身体機能維持の取り組みも行っている。
利用者は、草花の世話、新聞回収、落ち葉掃き、食堂での下膳の補助、猫の餌やりなどの苑内ボランティアに積極的に参加している。清掃活動を積極的に行う利用者も多く、食堂清掃、大浴室の清掃などはルーチン化されている。食堂清掃は、1日3回、毎食後に実施しており、大浴室清掃は毎週、日曜日に職員とともに行っているなど、役目を持つことで達成感を生んでいる。加えて、施設内のゴミ回収作業では、数名の希望者ではあるが、月に2回程度、時間給を支払う有償ボランティアとして業務を依頼しており、やり甲斐を持てるように工夫している。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:施設と協議のうえ、入院中や体調不良の利用者を除いた、全利用者を対象とした。
- 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式
居室など話を聞きやすい場所で評価者が個別に聞き取りを行った。また、アンケートを希望した利用者は、食堂で行った。 - 有効回答者数/利用者総数:94/102(回答率 92.2% )
聞き取り調査とアンケート調査の結果から、肯定的な回答が得られている項目もみられるが、「どちらともいえない」の回答や無回答もみられた。サービスの提供では、挨拶以外の声かけがあるなど、利用者の様子に気配りがされていることに満足している様子がうかがえた。安心・快適性では、食事場所や浴室など、施設内は清潔に保たれ、整理がされていると答えている利用者が多い。また、職員の利用者への接し方や言葉遣い、服装などは適切であり、ケガをしたときや体調を崩した際の職員の対応は信頼できると多くの利用者が回答している。利用者個人の尊重では、個人のプライバシーに配慮した対応がされているかについて、満足している利用者も多い。なお、楽しみな活動や行事などがあるかについては、他の項目に比べると「はい」と回答した利用者が少なくなっている。その他、個別の支援計画に関してや、外部の苦情相談窓口に関しては、無回答の利用者が多い。総合的な感想では、施設への満足度について、「満足」とした利用者が最も多く、次いで「どちらともいえない」「大変満足」となっている。
アンケート結果
1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか
食事の献立や味付け、食事をする際の手助け等に満足しているかについて、94名の利用者のうち、61名が「はい」、14名が「どちらともいえない」、16名が「いいえ」と回答している。自由意見では、味つけも量もちょうどよく、毎日おいしくいただいているという声や、味も良く、メニューがバラエティーに富んでいという声が聞かれた。また、果物、うどん、そうめん、刺身、うなぎ、あんみつ、ぼた餅など食べたいメニューがあがった。その他、味が薄いという意見や、ご飯についての意見もあった。なお、3名の利用者は無回答であった。
2.入浴時間は個人の状況に応じた設定になっているか
入浴時間は利用者が利用しやすい時間帯になっているかについて、94名の利用者のうち、68名が「はい」、7名が「どちらともいえない」、7名が「いいえ」、3名が「非該当」と回答している。自由意見では、午前中入っていて、ちょうど良いという声や、にぎやかで良く、頭や身体を職員が洗ってくれるという声が聞かれた。その他、共有なので、自分で入浴時間を決められないという意見もあった。なお、9名の利用者は無回答であった。
3.施設に、楽しみな行事や活動があるか
施設で楽しみにしている行事やクラブ活動などがあるかについて、94名の利用者のうち、34名が「はい」、14名が「どちらともいえない」、36名が「いいえ」、2名が「非該当」と回答している。自由意見では、リハビリ体操、グランドゴルフ、カラオケ、書道など、楽しみにしている活動の名称があがった。また、楽しみな活動があるという声や、クラブ活動は入っていないが、イベントが楽しく、クリスマス会はケーキが出て特別の音楽がなっているという声が聞かれた。なお、8名の利用者は無回答であった。
4.日常生活に必要な各種情報を、施設からの情報提供により知ることができるか
施設からのお知らせなどで、生活に必要な情報を知ることができているかについて、94名の利用者のうち、67名が「はい」、10名が「どちらともいえない」、13名が「いいえ」と回答している。自由意見では、ちゃんと教えてくれているという声や、声をかけてくれるという声が聞かれた。また、掲示板で確認できているという意見や、放送してくれるという意見もあった。その他、だんだんやらなくなってきたという意見や、あまりしないという意見もあった。なお、4名の利用者は無回答であった。
5.利用者の状況に応じた見守り、声かけは行われているか
挨拶以外の声かけがあるなど、利用者の様子に気配りがされているかについて、94名の利用者のうち、69名が「はい」、8名が「どちらともいえない」、11名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、気にしてくれていて、部屋に来てくれるという声や、部屋を回って声をかけてくれるという声が聞かれた。その他、もう少したくさん話してほしいという意見や、職員によるという意見もあった。なお、5名の利用者は無回答であった。
6.健康維持・介護予防に向けての相談をしやすいか
健康維持や介護予防に関して職員に相談できるかについて、94名の利用者のうち、50名が「はい」、23名が「どちらともいえない」、10名が「いいえ」と回答している。自由意見では、何でも相談しやすいという声や、私のことをわかってくれているので言えるという声が聞かれた。その他、健康のことはあまり話していないという意見や、信頼関係を築くとよいかもしれないという意見もあがった。なお、11名の利用者は無回答であった。
7.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
94名の利用者のうち、81名が「はい」としており、食事場所や浴室など、施設内は清潔に保たれ整理がされていると回答している。その他、5名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」と回答している。自由意見では、きれいになっているという声や、掃除の業者がしてくれるという声が聞かれた。また、利用者全員で掃除することもあり、きれいだという意見もあった。なお、6名の利用者は無回答であった。
8.職員の接遇・態度は適切か
94名の利用者のうち、65名が「はい」としており、職員の利用者への接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切なものであると回答している。その他、18名が「どちらともいえない」、7名が「いいえ」と回答している。自由意見では、職員はやさしくして、とてもよくしてくれるという声や、やさしく親切にしてくれるという声が聞かれた。また、みなさん礼儀正しいという意見もあがった。その他、きつい人もいて、人それぞれだという意見もあった。なお、4名の利用者は無回答であった。
9.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
94名の利用者のうち、65名が「はい」としており、ケガをしたときや体調を崩した際の職員の対応は信頼できると回答している。その他、17名が「どちらともいえない」、6名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、すぐに対応してくれ、病院にも連れて行ってくれるという声や、職員に言って、看護師が対応してくれるという声が聞かれた。また、安心できるという意見や、全て良くしてくれるという意見もあがった。そのほか、職員によるという意見もあった。なお、5名の利用者は無回答であった。
10.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
利用者間にトラブルなどがあった際の職員の対応は信頼できるかについて、94名の利用者のうち、53名が「はい」、11名が「どちらともいえない」、12名が「いいえ」、4名が「非該当」と回答している。自由意見では、職員が対応しているという意見や、見るが、職員が止めているという意見があがった。また、信頼しているという声が聞かれた。その他、見たことはないが、何かあったら職員が助けてくれると思うという意見もあがった。なお、14名の利用者は無回答であった。
11.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
施設では利用者の気持ちや考えを大切にした対応がされているかについて、94名の利用者のうち、63名が「はい」、14名が「どちらともいえない」、8名が「いいえ」と回答している。自由意見では、みなさんよくしてくれるので、そう思うという声や、職員は個人個人とても良い人で、相談があると言うとちゃんと時間をとってくれるという声が聞かれた。その他、職員によるという声もあった。なお、9名の利用者は無回答であった。
12.利用者のプライバシーは守られているか
94名の利用者のうち、71名が「はい」としており、他の人に見られたくないことや知られたくないことなど、個人のプライバシーに配慮した対応がされていると回答している。その他、6名が「どちらともいえない」、6名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、安心できているという声や、守ってくれていて、大丈夫だという声が聞かれた。その他、わからないという意見もあった。なお、10名の利用者は無回答であった。
13.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
個別の計画を作成したり見直しをする場合に、利用者の意見や要望を聞いてくれているかについて、94名の利用者のうち、31名が「はい」と回答している。その他、7名が「どちらともいえない」、12名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、自分の意見を言っているという声や、話しているという声が聞かれた。その他、わからないという意見や、覚えていないという意見もあった。なお、43名の利用者は無回答であった。
14.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
サービス内容や個別の計画に対する職員の説明はわかりやすいかについて、94名の利用者のうち、34名が「はい」、10名が「どちらともいえない」、10名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、わかりやすいという声や、質問したとき丁寧に教えてくれるという声が聞かれた。その他、わからないという意見や、知らないという意見があった。なお、39名の利用者は無回答であった。
15.利用者の不満や要望は対応されているか
不満や要望は伝えやすく、その後の対応も行われているかについて、94名の利用者のうち、53名が「はい」、16名が「どちらともいえない」、14名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、ちゃんと対応してくれるという声や、だいたい対応してもらえるという声が聞かれた。また、頼んだことはないが、そう思うという意見があがった。その他、職員によるという意見や、困ったりすることはないという意見もあった。なお、10名の利用者は無回答であった。
16.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
困ったことなどを外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについて、94名の利用者のうち、28名が「はい」、6名が「どちらともいえない」、22名が「いいえ」、3名が「非該当」と回答している。自由意見では、知っているという声や、掲示板に貼ってあるという声が聞かれた。その他、聞いたことはないという意見や、知らないという意見もあった。なお、35名の利用者は無回答であった。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
年3回開催する食事委員会には、利用者代表も積極的に参加している
利用者の食事について率直な意見を把握するため、年3回開催の食事委員会は利用者代表と栄養士・管理職・支援員で構成され、日頃の食事の内容、量、行事食、食器などについてアンケートを取り検討し献立に反映している。また食事以外の日常生活全般に係る事項については、毎月末の各荘懇談会・全体の生活懇談会にて生活上での困っていることなどの意見を募っている。事業所の基本目標のひとつに「利用者が主体性をもって明るく心豊かに生活できる施設を目指します」とある通り、ルールは最低限にとどめて自由な生活ができるよう支援している。
地域の福祉現状や福祉事業全体の動向について積極的に情報を収集・把握している
法人内の地域関係会議にて、地域貢献できる活動を提案・実施につなげている。今年度は地域向けに、アゼリヤ会「大根掘り交流会」を開催した。福祉事業全体の動向については養護分科会などの情報を、施設長から朝礼や職員会議にて発信しており、情報を共有することや、相談員による主事会など参加を通して、養護老人ホームの現況を把握している。これらは事業計画書作成の重点目標の参考とし、経営層も自らの率先垂範としての業務目標としている。
収支状況改善には、事業所として検討のみならず法人全体での検討メリットも期待したい
毎月の運営会議にて、経営状況を把握している。また、管理職会議にて経営状況の報告をし、予算上の検討など、提案・実行している。措置者数の減少に伴う定員割れの状況が続いており、措置の依頼があった際には、入所につなげられるように、相談受付後は、事業所内での検討を速やかに行うようにしている。事業所に限らず養護老人ホームはその収益構造から資金余剰が生じにくく、経費の節減だけでは経営状況は好転しない特徴があるが、事業所は法人形態が大きく、多様な事業を経営しており、そのメリットをいかすことも期待したい。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
養護老人ホームに働く職員として守るべき法・規範・倫理の遵守に取り組んでいる
毎年、コンプライアンス事例を基にした学習会や高齢者虐待防止の研修を定期的に行って職員の意識を高めている。全職員にマナーガイドブックを配付し、接遇マナーの向上に継続的に取り組んでいる。その内容は「求める職員、他への思いやり、挨拶、身だしなみ、言葉遣い、電話、5S、社会人としてのコンプライアンス等」が幅広く盛り込まれている。職員マナー委員会を設け、研修を行う際、このガイドブックを活用している。就業規則の服務規律においても、職員が守べき倫理規範などが明示されている。
利用者の権利擁護のために、苦情解決や虐待防止の対応を行っている
各荘の掲示板や食堂入口に苦情解決制度について掲示している。意見箱を食堂に設置して、自由に意見や要望、苦情を投函できるようにしている。意見箱には要望が多く寄せられ、個別に対応可能なものは対応し、苦情解決委員会や運営会議で検討する場合もある。生活相談員が毎月、利用者の相談に応じる日を決めており、苦情に至る前に相談できる体制を整えている。虐待については「虐待の芽チェックリスト」の活用、高齢者虐待防止研修や接遇マナー研修を定期的に実施し、結果については、運営会議や職員会議で振り返りを行っている。
法人創設以来、地域に根差した施設運営に取り組んでいる
施設のみならず、法人として地域関係会議を定期的に実施しており、今年度は地域へ向けた新しい法人イベント「アゼリヤ会ふれあい祭り」を5月に開催した。美山苑では独自の生活支援ショートステイ事業を地域貢献活動として実施している。地域への透明性を高めるために、ホームページは定期的に更新しており、施設広報誌「つつじ」を発行している。クラブ活動ではボランティアに協力をお願いし、実習生についても受け入れの体制を整備している。地域のネットワークにも法人、事業所とも積極的に参画し、共通課題について協働している。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
事業継続計画(BCP)は災害編と感染症編が策定され、対応できるようにしている
施設は市が指定する土砂災害危険区域内にあるため、緊急避難確保計画を策定している。運営会議内において、各種委員会を開催して、優先とされるリスク管理についてその都度話し合いを持っている。感染症対策会議を開催し、感染症を出さないように、場合によっては外出の制限などの対策を取ってきている。災害については、台風の接近の前日に防災委員と管理職との話合いを必ず設け、法人間の管理職とも情報共有し、全体で対策を講じている。事業継続計画(BCP)は「災害編」と「感染症編」を用意し、事務長が講師となり職員研修を実施している。
ヒヤリハット報告の件数で多くの事例を検証し事故防止に努めている
養護老人ホームは自立度の高い利用者がほとんどであり自立生活を中心としつきっきりの介護等は少ない。そのためヒヤリハットは職員がリスクを感じ、把握した件数として捉えている。一方で「けが」、「誤薬」関係は多い。日々の業務の中に対する事故報告は当日のうちにパソコンへの入力をすませ、翌日の朝礼で報告し、原因分析と対策を検討・決定している。事故は2週間後に振り返り、対策の効果を評価している。ヒヤリハット報告も定着し、事故予防の取り組みを強化してきており、数年前に比べるとヒヤリハット報告の件数は確実に増えている。
情報管理の重要性は十分認識しており、様々なルールを定めて適切に活用している
利用者に対しては、入所時に個人情報の重要性を全員に説明し、同意書を取っている。職員には入職時に情報管理の説明を行い、守秘義務については同意書の提出を得ている。紙媒体によるものは施錠の上保管し、文書保存年限を定め、期限の経過したものは廃棄するなどして必要な情報以外は保有しないようにしている。電子データには「コンピューター運用管理規程」を設け、高いセキュティを維持しながら運用している。職位に応じたアクセス制限を設定し、管理職以外はアクセスできないデータ領域を設けている。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
採用に限らず、法人にとって、相応しい職員をめざした人事制度としている
採用については、法人の採用担当と連動した採用活動を行っている。採用は、法人内の異動等で将来を見据えた組織づくりを展望し実施している。法人全体の人事制度要綱はどの職員もパソコンで閲覧できるようにオープンな仕組みとしている。人材育成シートを活用して、各自が年2回目標設定と振り返りを行い、課題を抽出して上司との面談を経て次回の目標へと繋げている。考課結果は、昇給や賞与支給額への反映が目的でなく、人材育成に主眼を置いており、職員個々のPDCAが施設全体のPDCAに連動する仕組みとしている。
職員の能力伸長と組織としてのチームワークの促進に、人材育成シートを活用している
職員の育成については人材育成シートを活用して、個々の目標や課題に着目した指導を行っている。人材育成シートは人事考課とも連動しており、効果の結果を次の目標に連動させる仕組みである。また、これらの内容は目標面接やフィードバック面接で共有している。組織力についても令和5年度に副主任の主任への昇格もあり、組織強化に繋がっている。しかし、個々人別には専門性能力に対しては不十分なところがあるのは否めないので、これからの職員の専門性の向上、利用者の対応の複雑化に対応出来る支援体制の構築を期待したい。
職員にとって働きやすい職場であるように、いろいろと工夫と配慮がなされている
順調に能力が伸長すれば、職員は昇進、昇格へとつながるインセンティブな制度を設けており、就業環境も職員にとって安心で快適な職場となるよう配慮されている。特に、メンタル面では、臨床心理士による定期的な面談や法人安全衛生委員会で情報共有も行っている。残業はほとんどなく、休暇取得も出来るだけ希望を叶えるように配慮している。職場において円滑なコミュニケーションが図れるよう、毎日の朝礼、夕礼は全職種が参加して行っている。接遇にも力を入れて、職員同士も意識し合っており、職員間も良好な人間関係かつ助け合いの職場風土がある。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
<重要課題と目標>
安定的な事業運営と業務改善を行い働きやすい職場環境にする。
①在籍者平均106名を目指す。②入居者の重度化に対応できるよう、日課、勤務形態を見直す。③全職種が協働する意識を継続し、働き甲斐のある職場環境を作る。
<取り組み>
①措置入居の他に個別契約が出来るよう運営規程を見直し契約入所を12月から開始した。②夜勤、早番者の勤務形態を見直した。
③指導職の育成と現場主体のチーム作りのため、支援室主任を副主任より昇格させた。意見の言い合える職場風土を大事にし、必ず発言できるように働きかけを行った。
<取り組みの結果>
①措置者数は年平均94名と目標を下回った。②勤務形態の変更、契約入所が実施できるよう体制整備、指導職の育成に取り組めた。
②チームワークを重視し協働して働く意識は定着してきた。一方、採用難もあり計画通りに職員の補充ができず委員会活動などが停滞した。
<振り返り・今後の方向性>
目標に対する達成度と評価を行い次年度の目標を設定し、引き続き、取り組むこととした。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
昨今の養護老人ホームの定員割れの状況が改善されていないため、施設としては、自立度の高かった時代の勤務形態を見直し、さらに、重度化に対応するため効率的な業務改善を図るとした。また、少ない職員配置基準の中、全職種が協働し、チームワークを重視した働き方が必要であると考えた。これらを踏まえ、目標に「安定的な事業運営と業務改善を行い、働きやすい職場環境にする」とし具体的数値目標を定め、取り組んだ。
取り組みの結果として、前年度、令和4年度より改善は見られたものの、目標は到達できなかったと検証している。検証は上・下期振り返るとともに、年度末総括で行った。次期も数値目標を設定する等、明確な目標を設定しており、PDCAサイクルを意識した取り組みとなっている。引き続き、目標達成に向けて、取り組まれたい。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
<重要課題と目標>リスクマネジメントの強化
①誤薬、誤嚥、転倒など事故後の対応を適切に実施出来るよう手順を明確化し、マニュアルを再点検、再整備する。②重大な事故は要綱に沿って振り返りを行える手順を整える。③事故事例に沿った学習会を定期的に開催し、マニュアルの周知を含め再発防止に取り組む。
<取り組み>
①誤薬事故防止のため、どの部署でも事故発生時に確認できるフローチャート式マニュアルを作成し周知した。②事故発生防止の学習会は年2回開催した。③事故防止委員会では事故事例の統計と傾向を探り、対策を講じた。日々の気づきを共有できるようヒヤリハット報告書は朝礼時に確認・周知し、社内メールでも情報共有を図った。
<取り組みの結果>
マニュアルの見直しや学習会の開催などは周知できたが、事故発生防止に関わる意識付けの面では十分と言えないと評価している。また、情報共有での課題もあった。
<振り返り・今後の方向性>
事故発生防止の指針やマニュアルに基づき、事故事例の検証や振り返りを適切に実施するとともに、ヒヤリハットの活性化を図る等、検証結果を次年度に反映することとなった。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
令和4年度に誤薬、誤嚥による重大事故を経験し、再発防止に向けて、施設全体で取り組み、事故後の対応が適切に実施できる体制を整備する必要があった。また、事故の反省点を踏まえ、古いマニュアルの再点検と周知、学習会の定期的な開催を行うことも必要としていた。
これらを踏まえ、重要課題に「リスクマネジメントの強化」を掲げて、施設挙げて、取り組んだ。
取り組みの結果として、事故発生防止委員会、運営会議、年度末総括等において検証したところ、マニュアルの点検、修正、周知、および、学習会での事故事例に沿った振り返りや基礎知識の再確認を実施できたが、意識付けの面では定期的な発信が十分ではないとしている。
達成度の評価と次年度の目標設定を行い、継続的に取り組むこととした。
「誤薬・誤嚥」は利用者の命につながる重要なものであり、引き続き、取り組みを強化することを期待したい。
サービス分析結果
【講評】
ホームページは、多くの写真を用いて、入居者の生活状況等をわかりやすく発信している
ホームページを用いて一日の生活の流れや居室、食事、入浴、余暇活動の様子等を写真付きで説明している。また、健康管理、介護保険、集団生活のマナーや、入居者の自治会である「つつじ会」の活動内容に関しても詳しく書かれてる。「美山苑写真集」ではイベントや、リハビリ体操など多くの写真が掲載され、施設の様子を詳しく紹介している。地域貢献活動のページでは「大根掘り交流会」や「夏休み工作教室」等地域の人との関わりも紹介している。外部からの問い合わせに対してホームページを使って説明する等、視覚に訴えた情報提供に取り組んでいる。
パンフレットや広報誌は文字の大きさや仮名をふるなど読みやすいよう工夫している
パンフレットは読みやすい大きさの文字を使い、施設のデザインコンセプトである「なじみのある思い・想いの暮らし」を基に、施設の思いを伝えている。また、明るく、ゆったりとした生活空間がわかるよう居室や浴室、食堂の写真を掲載し入居後の生活がイメージしやすいようにしている。クラブ活動や施設内行事などの活発な取り組みについても紹介しており、関係機関に送付している。広報誌「つつじ」は年3回発刊し、入居者へインタビュー記事や新職員紹介などを行っていて、氏名にルビをふるなど読みやすくしているが、内部での配付に留まっている。
施設見学や問い合わせは、柔軟な対応を行い安心して入居できるよう取り組んでいる
施設見学の希望に対して土日も交代で生活相談員が対応し可能な範囲で個別の状況に応じている。電話等の問い合わせが多く、わかりやすい情報提供ができるよう、ホームページを見てもらいながら説明を行っている。施設見学では利用者のプライバシーに配慮しながらも生活空間や共用部分を見てもらい、施設の雰囲気を感じられるように配慮している。加えて、契約入所の場合にはショートステイの体験入居も行っていることも伝えている。施設の空床情報は東社協のホームページに掲載し定期的に更新をしており、見学の申込みには迅速に対応している。
1.利用者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用者が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
サービス開始時に、サービスや基本的ルールについて、丁寧な説明を行っている
施設のサービスやルールに関して、入居前の面接時に入居手続きマニュアルに沿って「入居のご案内」を渡し説明を行っている。入所日にも丁寧な説明を心がけており、契約入所の場合には入居の案内とともに重要事項説明書及び契約書を使って説明をしている。また、入所日には「個人情報についての説明」で個人情報の取り扱いの説明を行う他、「急変時等事前確認書」「居室の鍵を所有される方へのお願いと同意書」「入出金代行委任状」等の説明を行い、同意を得ている。新入居の場合、エレベーターがない「福寿荘」への入居を基本としている。
スムーズに生活が始められるよう利用者の情報や意向を把握し情報共有している
入所前の面接及び措置元からの情報を集約、アセスメントシートを作成し、社内メールで周知して情報共有を行い、入所直後の支援にいかしている。アセスメントシートには本人の人生歴なども書き入れている。また、本人の新たな情報をフェイスシートに記載している。個別支援計画は、入所後2週間を目安に、利用者の希望・意向及び措置元の意向や判断を確認し作成している。入所後も介護サービスや通院先を継続できること、飲酒、喫煙、就寝時間などの生活様式を継続できることを伝えており、利用者が安心して施設での生活が始められるよう努めている。
退所時には関係機関との情報提供や連携及び円滑な移行により、不安軽減に努めている
退所理由としては、病院での死亡が一番多く、長期入院と合わせると9割近くとなる。また、特別養護老人ホームへの入所は1割程度である。特別養護老人ホームなど他施設への入所見学には職員が同行し不安軽減に配慮している。入院や他施設入所の際は、情報提供を速やかに行い連携を取ることで、スムーズなサービスの移行に努めている。施設のお墓があり、身寄りのない方が希望すれば埋葬することができ、菩提寺にて供養等も行うため、利用者の不安解消に役立っている。施設の仏壇に毎日利用者が水を供え、手を合わせる等、心の拠り所となっている。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、理解を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要な事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容について、利用者の理解を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
独自のアセスメントシートを介護ソフトへ取り入れ記録管理と情報共有に力を入れている
個別支援計画「わたしの生活プラン」を作成する際に、使用するアセスメントシートは従来使用していたものを介護ソフトへ取り入れるなど、施設独自の記録管理の工夫をしている。このアセスメントシートで6ヵ月ごとに職員によるモニタリングを実施して振り返りを行い、1年に1回誕生月には計画そのものを刷新しており、「ADL評価」表を使って計画の評価を行っている。利用者の状態が変化して計画の変更が必要となった場合には、昼のミーティングで話し合い、朝礼で各職種へ伝え、ケース会議を開催し、サービス内容の見直しと決定を行っている。
個別支援計画「私の生活プラン」を作成する際には入居者の希望や意向を反映している
施設独自のアセスメントシートでは、「本人の意向確認」「やってみたいもの」「希望」を確認、記入し個別支援計画に反映している。アセスメント後も、日常的に本人から生活の様子や要望等について聞き取りを行い、ケース記録に記載し、個別支援計画の作成に繋げている。個別支援計画を身近に感じられるよう利用者の意向を反映し、名称を「私の生活プラン」として、利用者主体であるという意識づけを図っている。作成後は説明し確認のサインをもらい、写しを渡している。必要な利用者には読みやすいよう、ひらがなや拡大コピーの対応をしている。
口頭及び文書等で職員間の情報共有を密に行い入居者の変化に対応する仕組みがある
朝礼及び夕礼で職員間の情報共有を行い職員は各自メモを取るなどしていて、その場にいない職員にも伝わるよう各日誌や申し送りノートを活用している。申し送り簿は紙媒体であり「夜勤者(報告)」「本日の予定」「事故報告対応」「ミーティング」「夕礼への申し送り」などの項目があり記載内容は充実している。重要な申し送りは社内メールで発信して確認の漏れを防止している。また、利用者支援を一覧化した「日常業務確認表」にも付箋や色付きマーカーペン等で目立つように個別の情報を記載する等、状況把握と個別の対応にいかしている。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別支援計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画を利用者にわかりやすく説明し、同意を得ている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別支援計画に基づいて自立生活が営めるよう支援している
- 個別支援計画に基づいて支援を行っている
- 利用者の特性に応じて、コミュニケーションのとり方を工夫している
- 利用者一人ひとりがその人らしく生活できるよう支援を行っている
- 利用者の支援は関係職員が連携をとって行っている
- 介助が必要になった利用者には、介護保険サービスの利用による支援の体制を整えている
【講評】
個別支援計画に基づいた支援であり、職員対応は日常業務確認表に落とし込んでいる
利用者の個別支援計画(「わたしの生活プラン」)があり、支援目標達成のための外部サービス、内部サービスが示されている。内部サービスでは、生活面、健康、周囲との関係性などにおけるサービス内容が示されていて、日々の支援の基本である。個別支援計画に沿って日々職員が行う支援内容を一覧化した「日常業務確認表」があり、利用者個々に対してルーチンとして行う支援内容が示されていることから、実施後にチェックを入れて対応にもれがないかを確認することができる。利用者の様子はケース記録に残しており、施設長が文言などを確認している。
利用者の個性や心身の状況に応じてコミュニケーションの取り方を工夫している
利用者とのコミュニケーションは、利用者個々の個性や心身の状況に応じて工夫しており、職員は利用者から声をかけられたら足をとめて耳を傾けることを基本としている。その際には、利用者に応じて筆談、代読、大きな文字で示すなどの配慮がある。利用者の中には精神的な疾患を有している人もおり、まずは話を受け止め、否定形で話さないようにしている。また話を聞く場所は、本人が落ち着けるところを選び、病状なども踏まえて感情がエスカレートしないように時間を定めたりしており、本人が望んでいることを自分から言えるように配慮をしている。
利用者のADLの変化に伴い、介護保険サービスの導入を働きかけている
利用者の高齢化がすすんでおり、入所時に比してADL(日常生活動作)の低下が見られる人もいる。こうした利用者は介護保険制度によるサービス受給をすすめており、要介護と要支援の利用者は全体の4割程度を占めている。制度に基づき、外部サービスとして訪問介護、通所サービス、福祉用具、訪問リハビリなどのサービスを利用している。サービス調整を行う居宅介護支援事業所と連携を取っており、ケアマネージャ主催のサービス担当者会議には本人、生活相談員が参加し、本人が自立した生活を継続できるように話し合いを行っている。
2.食事は、利用者の状態や要望を反映したサービスを行っている
- 利用者の状態に応じた食事提供や支援(見守り・声かけを含む)を行っている
- 利用者の状態や嗜好に応じて献立を工夫している
- 利用者が選択できる食事を提供している
- 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
- 食事を楽しむ工夫をしている
【講評】
食堂は2階にあり、利用者は自分で御膳立てするが、職員が配膳支援を行うこともある
食堂は2階にあり、入り口には利用者が食前に手洗いができる洗面台が設置されており、横に5人が並んで一斉に手を洗える。また、車イス対応の専用洗面台も設置されているなど整備された環境である。利用者の席は自由であり、お盆に主菜・副菜の皿をとり、調理員から直接好みの量のご飯と汁物を得ている。日常的にシルバーカーなどを利用している場合には、ワゴンにお盆を乗せてセットする。ワゴンは職員の手作りであるなど創意工夫がある。テーブルに名前が示されている席は、職員があらかじめ御膳立てし、配膳までを支援する利用者である。
利用者の状態に応じた食形態の対応があり、連続して食事を摂らない場合には配慮がある
入所時のアセスメントで食事の情報を得ており、禁忌、アレルギーをはじめ食形態なども把握している。また、年に1回実施する「ADL評価」でも変化を把握している。施設では常食、キザミ、極キザミ、ミキサー、プリン食(ミキサー食を固めたもの)などがあり、利用者の状況に応じた食形態の提供である。体調不良の利用者に対しては部屋食とすることがあり、加えて2連続で喫食を拒否する利用者に対しては部屋まで届ける等して摂食をすすめている。年に3回の食事委員会が開催されており、5名の利用者が参加して食事に関する意見・要望を伝えている。
旬の食材の取り入れのため、四季毎のサイクルメニューであるが、献立の変化が望まれる
朝食はご飯であり、パンは週に1回程度の昼食であり、乳製品の提供がある。麺類、丼物もあり、旬の食材は毎月の誕生食で取り入れているが、日常の献立への提供が少ない。また、献立は法人の3施設合同によるサイクルメニューである。1年を四季に区切り、3ヵ月毎に献立を作成し、経費削減、残菜削減を目的にしているが、献立のバラエティーはやや乏しいようにうかがえる。麺類やパンは種類を変え、カレーは具材を変更する等、変化をつけながら提供しており、より季節感を出す献立作成の工夫と、自前調理の利点をいかした献立作成が望まれる。
3.入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の状態や希望に応じた入浴方法や支援(見守り・声かけを含む)を行っている
- 入浴できる曜日や時間など利用者にわかりやすいように明示している
- 浴室や脱衣室は清潔で、快適な状態にしている
【講評】
大浴室、個浴、機械浴が整備されており、利用者の自立度に応じた入浴が可能である
浴室は利用者の自立度に応じて選べるように、大浴室、個浴、機械浴が整備されている。大浴室は男女別であり、24時間循環式風呂となっていて、定期的に水質検査を行い衛生管理に努めている。他に家庭用個浴槽が設置された個浴4室、歩行困難者や車イス利用者が水平移動で浴槽に入ることができる機械浴(介護浴室)がある。大浴室は主に自立度が高い利用者が使っており、感染症対策として荘ごとに入浴日が定まっていることから日曜日を除いて週に3回程度の入浴(14:30~17:30)が可能である。また安全対策として一人での入浴を禁じている。
職員による入浴支援とヘルパー介助があり、入浴チェック表で回数などを確認できる
利用者の高齢化がすすみ、職員の入浴支援が増えている。安全面での配慮では浴槽への手引き誘導があり、他に洗髪や洗体などを介助することがあるが、なるべく自分で行うように声かけを行っている。一方、介護保険制度に基づいたヘルパー介助は全体の約3割であり、個浴、機械浴で行うことが多く、利用者の自立度に合わせて大浴室での入浴もある。また、利用者の中には、デイサービスにて入浴を受ける場合もある。何らかの支援を要する利用者では入浴チェック表があり入浴回数を把握できるが、自由に入浴している利用者の頻度は把握しにくい状況である。
入浴を楽しめるように工夫しており、大浴室の清掃は利用者が自発的に協力している
入浴を楽しめるように、季節感のある菖蒲湯、ゆず湯などを実施しており、浴室の入り口には暖簾を掲げるなどして雰囲気作りに努めている。タオルは利用者各自が用意しており、足ふきマットは施設が設置し、午前と午後で替えている。白癬菌予防の観点からも今後は利用者が自身で用意するように協力を求められたい。また、6~9月の夏場には、シャワー浴を実施しており、19時まで大浴室にて可能とした。利用者の多くが支援を受けるだけではなく役に立ちたいと思っており、大浴室の清掃という形として、毎週1回、職員と利用者が一緒に行っている。
4.利用者が主体的に健康管理や介護予防に取り組むための支援体制を整えている
- 健康管理や介護予防等に関する利用者からの相談に応じる体制を整えている
- 利用者の主治医や常用薬等について把握し、服薬管理は利用者の状況に応じた支援を行っている
- 精神的なケアが必要な利用者に対して支援の体制を整えている
- 日常生活上で介護予防につながるような働きかけや工夫をしている
- 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
- 日頃から医療機関と連携を図り、必要時には措置を講じている
【講評】
利用者の健康管理は主に医務と支援を行う職員が担っていて、専門医の来所がある
利用者の健康管理は主に医務と利用者に直接支援を行う職員が連携を取って対応している。職員は毎日、午前と午後に居室訪問を行い、安否確認と体調変化などを確認し、必要に応じて医務に繋いでいる。利用者の健康診断は年に2回実施しており、春は問診、血圧検査、心電図、胸部X線、検尿などであり、秋は検査、握力、酸素飽和度などである。利用者への健康管理の意識付けとしては「自己健康管理記録」にて毎月の体重、血圧、脈拍を記録し可視化を図っている。嘱託医は内科医師で毎週来所しており、精神科医師は月に2回、歯科医師の来所もある。
利用者は理学療法士による機能訓練を受けており、介護予防の取り組みがある
理学療法士(PT)が月に2回来所しており個別の機能訓練及び集団の機能訓練を行い、利用者の機能維持と介護予防に取り組んでいる。PTは毎回5~6名を対象に、各居室にて個別機能訓練を行っており、訓練内容については「個別機能訓練アセスメント表」に基づいて組み立てており、実施後には記録を記している。個別の機能訓練の後は、機能訓練を担当する職員も加わり、全利用者を対象にしたリハビリ体操などの介護予防に取り組んでいる。PTには利用者の歩行状態なども相談でき、福祉用具の助言を受けることができるなど利用者の自立に繋いでいる。
薬の管理は医務が行っており、AEDの設置とともに緊急時対応マニュアルがある
利用者の定時薬などは医務が管理しており、医師の処方箋に基づいた1ヵ月分が届くので、個別の保管引き出しに入れる。薬袋には服用時間帯ごとに色の線を引いてある。医務では①自己管理できる人②薬カレンダーで管理する人③食堂でその都度渡す人に区分する。自己管理できる利用者には本人に渡し、薬カレンダーは1週間分を各曜日のポケットに入れる。食堂で服薬支援を行う場合には、一日分ごとにセットしたボックスがあり、7日分を用意している。緊急時に備えAEDの設置があり、急変マニュアルと急変時の連絡ファイルが支援員室に設置されている。
5.日常生活では、利用者の状態や意思を反映した支援を行っている(食事・入浴以外)
- 利用者の状態に応じて、身の回りのことができないときには支援する体制がある
- 区市町村・福祉事務所等と連絡をとり、必要に応じ利用者への情報提供・手続き等の援助を行っている
- 利用者同士の人間関係を良好に保つ工夫をしている
【講評】
「日常業務表」を使って、支援が欠かせない利用者の日常をサポートしている
利用者の自立度は入所時は比較的高いものの、近年は高齢化も顕著であり、日常生活において職員の声かけや手助けが必要になっている利用者が少なくない。そのため「日常業務表」を作成しており、支援が不可欠な利用者に対して行う具体的内容と時間帯などを一覧にしている。表にはあらかじめ利用者名と「居室床確認」「洗濯確認」「Pトイレ処理」などとそれぞれ示してあり、職員は支援後にチェックを入れる仕組みである。他にデイサービスの送り出しが必要な利用者、ヘルパー支援や訪問リハビリを受けている利用者などの情報も盛り込んでいる。
居室清掃などの習慣がない利用者への対応や排泄介助の対応を行うことがある
利用者担当の職員や巡回職員は利用者の様子観察に努めており、利用者が日常生活を自立的に送れるように支援している。利用者の中には掃除をする習慣を持っていない人もいて、職員は一緒にやりましょうと声をかけて居室環境を整えることもある。また、半年に一度衣類を購入することをきっかけにして、本人が自ら衣類整理と清掃などを行えるように声かけを行う事がある。また、排泄面での支援が必要な利用者は、排泄表で援助内容を示し、デイサービスの迎えに間に合うようにオムツやパッド交換を行っており、行政への給付申請の手続きを行っている。
生活懇談会の開催があり、措置元と連携しながら利用者の抱える問題解決に努めている
施設は全室個室ですべて南向けの居室配置であり、利用者それぞれの生活空間はきわめて良好である。しかしながら、集団生活の中では利用者同士の若干のトラブルは避けられないものの、月に1回、全利用者対象の生活懇談会の開催があり、施設長及び各部署の職員が参加し、質疑応答を通じて大きなトラブルにならないように配慮している。また、本人の不安感が強く、トラブルが続いたり、金銭面での課題が生じた時など職員の対応が困難な場合には措置元と連携して改善に繋いでいる。措置元と利用者の定期面接には職員が立ち会うこともある。
6.利用者の生活が健康で明るくなるよう、施設の生活に工夫をしている
- 日常生活の中で楽しめる機会を設けている
- 施設内で利用者一人ひとりに応じた役割や生きがいを見出せるよう支援している
- 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、原則として自由である
- 利用者が落ち着ける雰囲気づくりをしている
- 食堂やトイレなどの共用スペースは汚れたら随時清掃を行う体制があり、安全性や快適性に留意している
【講評】
クラブ活動、季節の行事などがあり、利用者の生活に変化と楽しみにつながっている
クラブ活動・同好会活動が行われており、詩吟、書道、カラオケ、園芸、映画、グランドゴルフ等があり、外部講師のクラブもある。季節の行事が設けられていて、苑庭梅もぎ、七夕、納涼祭、盆供養、敬老のお祝い、クリスマス会、餅つき、新年お楽しみ会などがある。例年実施していた法人合同の納涼祭は中止となり、施設独自で夏祭りとして食堂でかき氷等を提供し、花火大会を行った。毎月18日に実施する誕生日会では該当者にプレゼントを贈っている。ホーム喫茶は職員による年に3回の実施であり、食堂にてお菓子とコーヒー・紅茶が振る舞われている。
苑内ボランティア、有償ボランティア、清掃活動などで自立的な生活を生み出している
利用者は苑内ボランティアとして様々な仕事を担っており、草花の世話、新聞回収、落ち葉掃き、食堂での下膳の補助、猫の餌やりなどがある。特に清掃活動を積極的に行う利用者も多く、食堂清掃、大浴室の清掃などは定着している。食堂清掃は、1日3回、毎食後に実施しており、大浴室清掃は毎週、日曜日に職員とともに行っている。また、年に4回、敷地内の美化活動として草取りなどを行う取り組みにも参加する利用者は多い。加えて、施設内のゴミ回収作業では、時間給を支払って活動してもらう有償ボランティアの取り組みがあり独自性が高い。
生活上のルールは最小限にとどめ利用者ができるだけ自由に過ごせるように配慮している
集団での生活であり守るべきルールはあるものの、最小限にとどめている。居室内では火災予防の観点から喫煙はできないが、指定の場所が屋内・屋外の2ヵ所設けられていて喫煙可能である。飲酒は15時~就寝までとしているなど自由度が高い。集団生活における決まり事は、全体で実施する生活懇談会の他に荘単位で開催する、荘懇談会で話し合っている。荘懇談会は各荘に設けられた談話コーナーで開催されており、デイサービスがない日曜日に行われる。荘の利用者に加え、荘を担当する職員が出席しており、率直な意見交換が行われている。
7.施設と家族との交流・連携を図っている
- 家族との接し方について本人や家族等の意思を確認している
- 家族等との外出・外泊・面会時間は可能な限り希望に応じている
- 家族が参加できる施設の行事を実施している
- 利用者と家族がゆっくり話せるように配慮している
- 緊急時に家族等と連絡が取れる体制を整えている
- 家族からの相談に対応する体制を整えている
【講評】
利用者のそれぞれの家族関係は多様であり、個々に対応することで信頼を得ている
利用者は何らかの理由があって居宅での生活が困難な65歳以上の高齢者であり、区市町村の首長による措置での入所である。そのため、身寄りがない人や精神疾患を有している人、家族はいるが疎遠になっているなど多様である。入所時には本人、福祉事務所から家族関係についての情報を得ており、個々の情報に基づいて家族に対応している。利用者の中には、施設が利用者と家族の間に入ることで、それまで疎遠だった両者の関係が修復されることもあるため、施設ではできるだけ利用者の日常生活の様子などを伝えていく方針である。
家族には個別支援計画について説明することがあり、面談に出席する家族もいる
家族には個別支援計画(わたしの生活プラン)の写しなどを届けることはないが、年に一度の見直し時には生活相談員が電話にて利用者の近況などを報告し、同時に家族の意向を聴取して個別支援計画についても説明している。家族の中には、わずかではあるが個別支援計画の見直しの際に、面談を希望する例もある。また、見直し時に家族の来所があれば、提示して説明している。家族の面会は自由であり、外泊は届け出を出せば可能である。面会は通室にて過ごしてもらうなどしている。家族には法人のふれあいまつりや大根掘り交流会への参加を呼びかけている。
緊急時の対応については確認書があり、本人・家族には施設のお墓について説明している
入所時には緊急時の連絡先や万が一の場合の連絡と対応について確認している。「急変時等事前確認書」では、本人及び家族、あるいは代理人の意思を確認している。書面では延命についての意見や献体等の登録の有無、重篤な疾患の告知の希望などの意向を聞いている。また、委任状があり、医療機関への通院・入院に際して手術等が必要になった際には、その説明を受ける事と手続きを施設長に委託する書面であり、緊急時に備えている。また、施設のお墓を有していることから、身寄りのない方には、希望すれば最期の受け入れも可能であることを伝えている。
8.地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
- 利用者が職員以外の人と交流できる機会を確保している
- 利用者が地域のさまざまな資源を利用する機会を設けている
【講評】
「つつじ会」は地域の老人クラブ連合会に所属し、地域の老人クラブとの連携がある
利用者は入所と同時に自治会「つつじ会」に加入することがルールになっており、「つつじ会」は八王子市の老人クラブ連合会に所属し福祉活動に寄与する目的を有している。利用者は隔月で300円の会費を負担し、会長、副会長、会計などの役員を選出して自主的な地域活動を展開している。「つつじ会」が主体となって行う活動としては、募金といった社会奉仕、互助活動などの他に、地域交流活動としてグランドゴルフがある。グランドゴルフは地域の老人会と交流が盛んであり、大会に出場したり、他の老人会からメンバーとして加入を希望する人もいる。
大根掘り交流会は法人の畑で育てた大根を媒介にして地域を巻き込んだ取り組みである
法人敷地内の救護施設利用者が育てた大根を、地域住民を招いて大根掘り体験をしてもらう取り組みがあり、長年にわたって実施してきた。例年地域住民が参加しており、大根掘りとともに豚汁を振舞うなどして喜ばれている。また、子どもたちも多数参加することから、喫茶でポップコーンを提供したり、スタンプラリーを実施した。お土産に一人1本の大根を持ち帰ってもらうなどして、地域住民に法人事業を知ってもらう有効な機会としている。施設周辺には田園風景が広がっており、農産物を媒介にして地域を巻き込んでいく独自性の高い取り組みである。
市の移動図書の利用では、「つつじ会」が管理しており貸し出し業務を担当している
八王子市の移動図書館を利用しており、多量の本を定期的に借り受け、「つつじ会」が施設内図書館を運営している。図書館から借り入れた本は保管庫に収め、毎月10・20・30日に利用者に対して貸し出しを行っていて、1階の集会室に役員がテーブルを設置して本を展示し、利用者が借りたい本を選べるようにしている。会の図書担当者は、貸し出し日には保管庫から本の出し入れはもとより、貸し出しカードを作成して管理している。また、移動図書館の来所時には、図書館職員が「お話ボランティア」として朗読を実施して利用者との交流を持っている。
【講評】
個人情報等に関しては利用開始時に説明し承諾書に同意を得て実施している
個人情報の取り扱いは、入所時に「個人情報について説明」の書面を使用し、個人情報の利用目的や運営管理に関する事務、他の事業者等への情報提供に関する利用目的、その他の利用目的に関して説明を行い同意を得ている。機関誌「つつじ」への氏名や写真等の掲載についても「個人情報に関する承諾書」で同意を得て、掲載の際はその都度了解を得ることとしている。急変時の対応に関しても「急変時確認書」で、もしもの時の延命をはじめとした医師へ伝えたい希望等について書面で確認し、意思が変わった場合はいつでも変更ができる旨も記載し伝えている。
個人の尊厳に配慮した取り組みを職員全体で日々実践し、相談日も設けている
マナー委員会で毎年標語を決めてスタッフルームに掲示し、毎日朝礼時にも唱和をしている。申し送りノートなどにも標語の写しを貼り、日頃から意識した支援に取り組んでいる。昨年度の標語は「食べさせる」「飲ませる」「着させる」といった「~させる」などのつい言ってしまいがちな言葉を使わないように目指し、今年度は「笑顔で自分から挨拶しましょう」「目配り、気配り、心配り~次の人の事を考えて行動しましょう」と標語を決めている。生活相談員による相談日を定期的に設けており、利用者の意見や要望などを聞き取り対応している。
利用者へのプライバシーの保護及び羞恥心に配慮した支援を行っている
個人宛の郵送物は職員が居室まで届けている。留守の場合の手紙等は居室のポストへ入れている。基本的に封書は本人が開封するが支援が必要な人は了解を得てから行っている。全室個室で鍵もあるためプライバシーが守られている。職員による夜間の巡回も、鍵の開閉音が響かないように配慮し、訪室の際はノックを3回し、声掛けをしてから入室している。入院時等で本人が不在の際は職員2名体制で入室するなどの取り決めがある。入浴支援等では女性の場合には同性介助を基本としている。排泄介助も本人に確認を取りながら声掛け等の工夫をしている。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
各種マニュアルで業務の標準化をめざしており、今後はマニュアル全体を確認されたい
サービスの基本事項や手順等について、規定類、指針、職務分掌、各業務の流れ、マニュアル手順書などを作成し、パソコンの指定された場所に保存している。スタッフルームにもマニュアルを設置することで、いつでも確認できる環境を整えている。マニュアルは図や写真を用いてわかりやすく作成している。マニュアルの更新は年2回のマニュアル委員会にて点検を行い、各部署会議で出された課題に対して話し合っている。なお、感染症マニュアル等は最新版であるが、見直しや改定がなされていないものも見受けられるため、今後の取り組みを期待したい。
サービスについての評価を行い、サービス向上の取り組みへ繋げている
年度末にサービスの基本事項及び手順書等について評価を行い事業総括振り返り記録へ記載し、次年度の計画へ反映している。また、各部署会議で出された課題や、利用者が参加し月1回行われている生活懇談会、荘懇談会において出された意見を聴取しサービスの向上へ繋げている。行事等を行った際は必ず終了後に反省会を実施している。福祉サービス第三者評価における利用者アンケートなどの結果内容もについても、話し合いが行われている。その他、生活相談員が行う相談日にて、利用者から得た意見などをサービスの見直しに反映することもある。
施設の独自の確認表を使い職員間で共通の認識を持ちサービスの標準化に繋いでいる
「日常業務確認表」は、利用者個々の1ヵ月分の日常業務の内容を1枚にまとめて作成されたものであり、一目でわかる管理体制により、個別支援の標準化に繋いでいる。表の内容は「利用者名」「仕事の内容」「備考欄」であり、日々記録している。特に、外部サービスを利用している場合などでは、事業所名や曜日、利用時間帯なども記載することで、個別の支援手順書となっている。さらに、作成した表は、毎月ファイリングしており、時系列で確認をすることで、利用者の変化等の気づきにもつながっている。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
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評価情報
【評価機関名】
【評価実施期間】
2024年6月24日~2025年3月10日
評価結果のダウンロード
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【講評】
基本方針及び基本目標はロビーはじめ施設内の目につく各所に掲示している
社会的に弱い立場の人の側に立った支援を経営理念の根底に置く法人理念をベースに、事業所の基本方針「お一人おひとりの人生を尊び、その人らしく生きることを支えます」をはじめとした4つの基本方針を掲げ活動している。基本方針は、食堂入り口、スタッフルーム、相談員室、ロビーなど事業所内の各所に掲示している。これら理念等は職員に対しては、職員会議や人事考課面接等の際に伝えている。事業所のホームページにも養護老人ホームの理念・基本方針を分かりやすく丁寧に説明している。また利用者に対しては各懇談会において説明・周知している。
毎日の朝礼や夕礼や月1回の職員会議を通して経営層は役割と責任を説明している
経営層は自らの役割と責任を常に表明することを心掛けている。社内報で定期的に発信するほか、毎日の朝礼や夕礼のほか月1回開催する職員会議においても責任感をもって発言し事業所をリードしている。また年2回の人事考課面接の際には人材育成シートをもとに直接職員に伝えている。経営層は現状に満足せず、業務内容の可視化を進め、個人プレーではなくチームワークを重視した体制で業務が展開できるよう全職員を牽引している。年度総括においては、施設・各部署で振り返りを行い、事業計画に反映させている。
運営会議で決定・職員会議で周知の仕組みはあるがその徹底については検討余地がある
重要な案件の決定は毎月2回開催する運営会議で行い、毎月の職員会議で周知している。これら運営会議や職員会議の議事録は公開されており誰でも見ることができるようになっているが、今回の職員自己評価結果では、検討や決定の手順、また決定経緯の説明等の周知について、一般職員の理解にバラつきが見られており、さらに浸透させなければとの認識している。グループ間通知やメールによる発信だけでなく、朝礼、夕礼などの場も活用して発信した内容が確実に伝わっているかを確認する工夫を設けることが期待される。