評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)「ずっとこのまちで暮らし続けたい」を応援します。
2)利用者の思いに寄り添い、誠意ある看護・介護を実践します。
3)利用者の個別性を踏まえた、アクティビティケアの実践に努めます。
4)利用者とその家族が安心できる、事故のない看護・介護実践に努めます。
5)地域との連携を密にし、在宅復帰に向けた環境づくりを支援します。
職員に求めている人材像や役割
まずは受け入れるという姿勢で業務に取り組んでほしい。医療行為が必要な方、重度の認知症をお持ちの方等、他施設では対応困難な状態であっても、一度は当施設でケアをしてみるという心がけを持って受け入れてほしい。
日々のケアにおいては、親しみやすい関係を構築しつつ、利用者の尊厳を大切にしてほしい。また、利用者だけでなく、在宅介護の中心となる家族のケアも忘れないでほしい。
通常の業務だけでなく、自己研鑽にも努めてほしい。当施設では様々な研修会を開催しているが、職能団体等が開催する研修等にも自主的に参加し、スキルアップ並びにキャリアアップに努めて欲しい。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
台東区から指定管理者として指定を受け、台東区の地域保健医療・介護を担っている事を自覚して業務にあたってほしい。
全体の評価講評
特によいと思う点
医師・看護師・介護職員・薬剤師・作業療法士・理学療法士・管理栄養士・支援相談員・ケアマネジャーなどが常勤で勤務している。病院併設であり、介護福祉士有資格者・経験者が多く、施設基準以上のリハビリ職を配置しているため、多くの医療依存度の高い利用者を受け入れることができ、在宅復帰を目指して支援している。併設病院との連携による内部研修や日常的な連携については、職員アンケートでも「細やかな医療対応をおこなっており、利用者の心身の状態を見ながら適切・適正な医療サービスが提供できていると思う」などの回答が多数あった。
2022年8月から、薬剤の過剰投与の解消や投与の適正化に取り組んでいる。減薬の可否や投与方法を確認し、安全で効果的な投与がおこなわれているか、医師・薬剤師・看護師の三者で連携し検討している。具体的には、処方されている薬を電子カルテで確認して月に1回三者で協議し、処方が変更となる際に内容を根本的に見直すよう努めている。その結果、薬剤起因性老年症候群の回避、利用者の心身状態の回復、多剤服用起因の副作用の是正、準備にかかる職員の手間の解消、薬剤費の減額などに寄与している。
入職1年目から3年目の看護・介護・リハビリテーション・薬剤・栄養・事務といった各部門の職員を対象にして、「多職種連携研修」を実施している。1年目の職員は、毎月の研修を通じて、他の職種でも困ったときに気軽に相談できるような関係性の構築から始めている。3年間の研修を通じて、自分の職種の役割を果たしながら、利用者について自分から他の職種に相談したり、チームケアを意識したアプローチができるようになることを目指している。後進を育成する立場であることを自覚し、多職種連携を意識した指導ができる人材の育成に取り組んでいる。
さらなる改善が望まれる点
利用者のフロア移動を制限しているため、浴槽のないフロアの利用者は冬季もシャワー浴となっており、利用者からは「湯船に入りたい」、職員からは「湯船に入らせたい」という声があがっている。職員アンケートでは「湯船に入れない利用者が多くいるので各フロアに個浴の設備がほしい」、利用者調査では、湯船を利用できる方からは「ゆっくりと入ることができます」との声が寄せられたが、湯船に入れずシャワー浴対応の利用者からは「(湯冷めを避けるためか)大急ぎで洗ってもらっている。ゆっくり入りたい」などの声が複数寄せられた。
毎日のテレビ体操、オリジナルDVDを使っての体操、動画を見ながらの体操など、フロアでのグループ活動が盛んである。また、屋上には畑があり、ここで野菜を栽培することが、利用者の癒しの時間となっている。また、個別レクリエーションなど、利用者がそれぞれ自分らしい時間を過ごせるよう支援している。新型コロナの5類移行後においても、引き続き、感染対策等の取り組みを継続しながら、レクリエーションのさらなる充実を図り、利用者の心身の活性化につなげていくことを期待する。
新型コロナの影響により、利用者・家族に対する満足度調査の実施を見送っているほか、職員間の意見箱についても同じく中断している。コロナ禍で、面会の制限や職員の体調管理、稼働率の低下といった課題が浮き彫りになっており、利用者アンケートなどの満足度調査や職員間意見箱を速やかに再開し、多様な意見を踏まえた施設運営をおこなうことが期待されている。さらに、新型コロナの感染拡大に伴い、行事についてもその多くが中止となっていたが、地域に密着した施設としての役割を踏まえて、今後は徐々に活動を再開していくことが望まれる。
事業者が特に力を入れている取り組み
看護・介護職員の人材不足といった課題に対応するため、各職種の養成学校への訪問や教員との関係性の構築、就職セミナーへの参加など、新卒採用を含め人材確保の取り組みを積極的におこなっている。特に資格取得のための実習生の受け入れに際しては、実習現場の指導担当者が実習生に寄り添い、専門職としてのやりがいや施設の魅力を伝えることで、実際に卒業後の採用につなげている。若手人材の確保のため、処遇改善加算を最大限活用し、月額給与に加えて処遇改善手当を支給することで、賃金の改善など待遇の改善にも取り組んでいる。
看取り目的で入所し、入所時は食思不振で痩せが目立ち、多くをベッド上で過ごす利用者がいた。この方は家族とのカンファレンスを経て、内服薬投与・減薬・食事形態と内容の工夫・定期的なリハビリなどの積み重ねにより、体重が増加し、伝い歩きなどもできるようになり、退所後のデイサービス通所の検討まで進んでいる。同様に、他高齢者施設の入所を検討するまでに回復した利用者もいる。そのほか、介護負担の大きかった認知症の利用者にも、介護の工夫、補助食品の提供、サークル歩行訓練や家屋調査などをおこない、在宅復帰も視野に支援している。
コロナ禍で様々な生活の制限をおこなわざるを得ず、利用者の心身への影響は大きかったが、職員は様々な工夫により、利用者の日常生活を豊かに楽しく過ごすことができるよう努力している。例えば2023年8月の生活リハビリ委員会では、夏季の行事日程を振り返りつつ、「新型コロナだから無理だと思う、といったことではなく理想や目標を常に意識していくことが大事だと思う」と締めくくっている。また、看護介護ケア委員会では利用者の強み「ストレングス」をテーマに話し合い、利用者と向き合う時間の大切さについて職員教育をおこなっている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:施設側と十分な協議をおこない、コミュニケーションが可能で意思を確認できた利用者を対象に実施した。
- 調査方法:聞き取り方式
聞き取り方式 :評価員が施設を訪問し、利用者と1対1による面接方式で調査を実施した。その際はプライバシーに配慮しておこなった。 - 有効回答者数/利用者総数:25/131(回答率 19.1% )
・回答者の属性は次の通りである。年齢:「70歳未満」2名(8%)、「70歳代」2名(8%)、「80歳代」8名(32%)、「90歳以上」13名(52%)。性別:「男性」10名(40%)、「女性」15名(60%)。平均要介護度2.5。
・総合的な満足度は、「大変満足」6名(24%)、「満足」16名(64%)、「どちらともいえない」3名(12%)で、「大変満足」「満足」と回答した方々は回答者の88%で、施設のサービス全般に関して高い満足を得ている。
・特に満足度が高かった設問は、問7「施設内の清掃、整理整頓」、問9「緊急時の対応」で、回答者の96%が肯定的な回答であった。
・利用者からは「職員全員が面倒をよくみてくれます」「リハビリ訓練を週3~4回受けています。リハビリの先生がよくしてくれます。自分でできる範囲で頑張ろうと思っています」などの声が寄せられた。
アンケート結果
1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか
回答者の76%が「はい」と回答し、食事に関して概ね満足を得ている。「年寄り向きの食べやすい調理がされています」「私が食べたいものを聞き取ってくれます」「ここの料理はおいしいです」などの声が寄せられた。
2.入浴の時間は、快適か
回答者の72%が「はい」と回答し、入浴に関して概ね満足を得ている。「自宅の風呂よりも安心して入れます」「1週間に2回、お風呂に入っています」「湯船にゆっくりと入ることができています」「(湯冷めを避けるためか)大急ぎで洗ってもらっている。ゆっくり入りたい」などの声が寄せられた。
3.日常生活で必要な介助を受けているか
回答者の80%が「はい」と回答し、日常生活での必要な介助に関して高い満足を得ている。「おむつもすぐに交換してくれます」「職員に無理をさせないよう、自分でできることは頑張ってやっています」などの声が寄せられた。
4.施設の生活はくつろげるか
回答は、「はい」60%、「どちらともいえない」20%、「いいえ」16%、「無回答・非該当」4%であった。「体を動かすことが好きです。たくさんのプログラム(行事)に参加しています」「屋上に行って外を眺めるのが好きです」「毎日、日記をつけて楽しんでいます」「今、編み物がはやっていて、私も編んでいます」などの声が寄せられた。
5.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか
回答者の84%が「はい」と回答し、健康状態の把握に関して高い満足を得ている。「優しく、気が利いています」「きつい言葉もありません」などの声が寄せられた。
6.退所後の在宅復帰に向けたリハビリや相談は、計画的に行われているか
回答は、「はい」52%、「どちらともいえない」28%、「いいえ」16%、「無回答・非該当」4%であった。「一人で歩いたり、サークルで歩いたりする手伝いをしてくれます」「3か月が過ぎ、リハビリ回数が減り困っています」などの声が寄せられた。
7.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
回答者の96%が「はい」と回答し、施設内の清掃、整理整頓に関して非常に高い満足を得ている。「すごくきれいにしています」などの声が寄せられた。
8.職員の接遇・態度は適切か
回答者の76%が「はい」と回答し、職員の接遇・態度に関して概ね満足を得ている。「いろいろな人と触れ合い、会話が弾んで楽しいです」「言葉遣いが良く、優しい人が多いと思います」などの声が寄せられた。
9.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
回答者の96%が「はい」と回答し、緊急時の対応に関して非常に高い満足を得ている。「本当によく気がつくと思うほど、面倒をみてくれます」「まだそのような経験はありませんが、もしあった場合には優しくしてくれると思います」「夜間に転倒した際、医師につなげてくれました」などの声が寄せられた。
10.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
回答は、「はい」36%、「どちらともいえない」52%、「無回答・非該当」12%であった。「そのような経験はありませんが、対応してくれると思います」「私はけんかをしないのでわかりませんが、職員は対応をしてくれると思います」などの声が寄せられた。
11.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
回答者の76%が「はい」と回答し、利用者の気持ちの尊重に関して概ね満足を得ている。「『そろそろトイレに行きましょう』と丁度良い頃合いに誘ってくれます」などの声が寄せられた。
12.利用者のプライバシーは守られているか
回答は、「はい」56%、「どちらともいえない」36%、「いいえ」8%であった。
13.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
回答は、「はい」36%、「どちらともいえない」52%、「いいえ」12%であった。「家に早く帰れるように工夫してもらっています」「3か月に一度、よく話し合っています」などの声が寄せられた。
14.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
回答は、「はい」24%、「どちらともいえない」52%、「無回答・非該当」24%であった。
15.利用者の不満や要望は対応されているか
回答者の80%が「はい」と回答し、不満や要望への対応に関して高い満足を得ている。「(不満や要望を)言った場合には対応してくれるだろうと信じています」などの声が寄せられた。
16.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
回答は、「はい」8%、「どちらともいえない」40%、「いいえ」52%であった。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
ご意見箱や嗜好調査、ACPカンファレンスを通じ、利用者・家族の意向を把握している
1階フロアにご意見箱を設置し要望・意見を募集しており、「皆さまのお声委員会」が回収し、取りまとめている。個別の要望は担当部署に対応検討を依頼し、組織横断的な要望は委員会で対応策を検討している。対応方針は最終的に幹部会で承認した後、ご意見箱横に設置している掲示板で公開している。食事に関しては、入所時などに個別嗜好調査を実施し、できるだけ利用者の要望に応えられるように努めている。終末期ケアに関しては、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)カンファレンスを開催し、意思決定支援ができる体制を整備している。
年次事業計画を策定し、「在宅強化型」の施設基準に沿った運営を目指している
病院を併設する複合施設として、中長期計画「台東区立台東病院公的医療機関等2025プラン」を策定するほか、老健施設としての年次事業計画を策定している。老健施設としては、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を踏まえて「在宅強化型」の施設基準指標の点数維持、稼働率の維持向上を目標に掲げている。毎月の事業推進会議で進捗状況を確認し、目標達成に向けた取り組みを検討・実施している。2021年度の介護報酬改定に基づき、委員会の再編及び指針の策定作業を実施し、法令改正にも計画的に対応している。
事業運営状況は、施設内の各会議に加え「台東病院等運営協議会」で評価・検証している
毎月実施する全体朝礼や事業推進会議、老健運営会議で、施設長及び各部門長が部門ごとの取り組み状況や課題について説明し、議論している。年度末には「活動発表会」を開催して各部署や委員会での取り組みについて発表し、優れた取り組みは表彰してモチベーション向上を図っている。運営の透明性及び区民に対する説明責任を確保するために設置された「台東病院等運営協議会」において、機能や役割を適切に果たしているかといった視点に加えて、事業計画及び事業運営の達成状況を客観的に評価・検証している。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
虐待防止研修や不適切ケアチェックなど、自己点検の機会を設け意識向上を促している
「身体的拘束等の適正化のための指針」や「虐待防止マニュアル」を作成し、職員に周知徹底している。不適切ケアの防止に関して、3月と9月の年2回、各職員による不適切ケア防止チェックを実施しており、各フロアに配布したQRコードを読み取ることで、オンライン上で容易に回答できるように工夫している。接遇・虐待防止に関する研修を年2回開催しており、例えば、「虐待の実態と種類、そして原因について」という虐待に関する動画を視聴する研修では、事故予防対策委員会が作成した様式を用いて、各職員がレポートを作成し、提出している。
苦情・意見対応マニュアルに基づき、施設方針を速やかに返答するように努めている
苦情相談窓口や苦情処理体制を契約書に記載しており、利用開始時に利用者・家族に説明している。「苦情・意見対応マニュアル」を作成し、「円滑かつ迅速に苦情処理をおこなうための処理体制・手順」を定めており、苦情があった際は、該当部署において事実確認・内容の整理・改善案の検討をおこない、部単位では解決不能と判断した場合には、老健運営会議へ報告・協議し、改善方針や施設方針を利用者へ回答している。苦情は、医療介護サービスの質の向上につながるきっかけであり、より強固な信頼関係を築くことができる機会と位置づけている。
認知症カフェや病院祭を開催し、地域への架け橋となる開かれた施設を目指している
台東区や居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなどの要請に応じて、地域のイベントに医師・看護師を派遣しているほか、「認知症カフェ」を施設内で隔月開催していた(5類移行後は協働する地域包括支援センターで開催中)。併設の台東病院と合同で、地域住民を対象にした「病院祭」を毎年開催している。病院祭を「あなたの未来の健康を知って人生をより良くするための」お祭りと位置付け、在宅ケアの相談ブースやリハビリ体験コーナーのほか、外国人職員によるアジア交流ブースを設けるなど、地域とつながりがある開かれた施設を目指している。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
洪水時の避難確保計画やBCPの策定、防災訓練の実施により災害発生に備えている
防災訓練については、前年度はコロナ禍のため机上訓練としていたが、今年度から現場での実施を再開した。「自分たちの施設は自分たちで守る」「訓練は本番のように、本番は訓練のように」の意識で、火災時の通報訓練や消火訓練、避難訓練を実施している。大地震を想定した事業継続計画(BCP)や洪水時の避難確保計画を策定し、災害時の体制を確立した上で利用者に対するケアを継続する方法・手段を明示している。コロナ禍で中断しているが、区内の病院との合同非常災害訓練や、防災協定に基づく町内会との合同防災訓練も実施している。
医療安全マニュアルの策定や事故対策予防委員会の設置により、事故防止を徹底している
医療安全マニュアルを策定し職員に周知徹底しているほか、安全対策に関する方針を施設内に掲示し、利用者及び関係機関に周知している。職員研修「KYT(危険予知トレーニング)~職員の気づきについて」を実施しており、事故対策予防委員会が作成した動画を見ながら、リスクに気づくことの重要性を認識するとともに、事故に結び付くリスクに対して、どのような対応策が考えられるかを検討する機会を設けている。新型コロナウイルス感染症対策会議を毎週開催し、速やかに対応策を講じて感染拡大防止を徹底している。
システム管理者を設置し、セキュリティ対策を講じて一元的に情報を管理している
病院・老健共通のシステム管理者を置き、セキュリティ対策を講じつつ一元的に情報を管理しており、問題点があれば月に1回開催している情報管理委員会で共有している。全職員を対象とした個人情報保護法に関する研修会を各年度1回実施している。利用者に関する記録は電子カルテに集約しており、職位や職責によって個別にアクセス権限を設定するなど情報管理を徹底した上で、全職種がパソコン端末から記録を閲覧できるようにしている。実習生やボランティアの受け入れ時には、文書により個人情報保護について説明し、誓約書を交わしている。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
学校訪問や就職セミナー、実習生受け入れなど様々な方法で職員確保に努めている
各職種の運営基準や全国平均値を踏まえて職員の配置計画を策定し、必要な人材の確保に努めている。採用に当たっては、ホームページに職員募集コーナーを設けて周知しているほか、学校訪問の実施や就職セミナーへの参加など、新卒及び中途採用での人材確保に積極的に取り組んでいる。介護福祉士養成学校の留学生や技能実習生の採用も進めている。さらに、介護職員の人材確保に困難が伴う中、当施設で受け入れた実習生について受入現場と連携し採用につなげるなどの取り組みにより、今年度は新卒8名の介護士の採用を実現している。
職種別にキャリアラダーを提示し、計画的な人材育成・キャリアアップに取り組んでいる
全職員を対象に、法人本部による業績評価制度を運用し、適切な人事考課及び目標管理を実施している。プリセプター制度による新人教育やキャリア段位制度によるアセッサー研修をおこない、教育体制の充実を図っている。看護・介護など職種別にキャリアラダーを提示し、必要な研修の受講と連動させるほか、評価表に基づいた適切な技術評価がおこなわれるよう取り組んでいる。介護士を対象に、喀痰吸引等研修といった特定行為研修や認知症介護実践者研修、eラーニングによる研修を実施しており、質の高い看護・介護の実践を目指している。
組織力の向上を目的として、職員の気づきや取り組みを共有し議論する機会を設けている
職員の気づきを事例検討ワークシートに記入し、多職種によるカンファレンスで月1回取り組みを発表し議論している。ここでは、認知症の入所者の気持ちに寄り沿った対応を考え連携し、極力薬剤に頼らず安静に過ごし早期に退所に至った事例などを取り上げている。年1回の活動発表会では、各部署が1年間の取り組みを発表し、情報を共有するとともに、職員のモチベーション向上につなげている。1年目から3年目の職員を対象に、困ったときに気軽に相談できるような関係性の構築のため、多職種連携研修を実施し、組織力の向上に取り組んでいる。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
前年度の重要課題として、「稼働率の回復とともに、施設基準の指標に基づいた成果に向けて取り組みをおこなう」を設定した。課題設定の背景として、2018年度の介護報酬改定により、新たに「施設基準の指標」が設けられ、老健としての成果が数値化されるとともに、その数値が施設基準算定及び介護報酬加算に反映されるようになったことが挙げられる。その結果、令和2年10月には施設基準の指標70点を安定して確保しつつ稼働率が93%前後で推移するなど、安定した運営状況であった。しかし新型コロナの流行の影響などにより、稼働率が低下し施設基準の指標が70点に満たない状況が生じた。上記重要課題達成のための取り組みとしては、新型コロナの流行下においても、緊急ショートステイや重度の要介護者の受入れを積極的におこなうとともに、引き続き看取りケアも提供することとした。また、施設基準の指標についての取り組みとしては、厚生労働省の通知に基づき、新たに設けられた各種要件をクリアし、施設基準の指標の維持に努めることとした。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
前々年度(令和3年度)の稼働率は83.0%となっていたが、前年度(令和4年度)は88.0%まで改善している。特に下期においては、1月及び2月は稼働率90%超を達成している。施設基準の指標においては、厚生労働省の通知に基づき、入退所前後訪問と同水準の情報収集を実施するなど、新たに設けられた各種要件をクリアし、在宅強化型+在宅復帰在宅療養支援機能加算Ⅱの算定を継続することができた。新型コロナの流行下においても、緊急ショートステイや重度の要介護者の受入れなどを積極的におこない、看取りケアも提供してきたことから、区民のニーズに応えられていると評価できる。一方で、事業外収益を除いた場合には、経営状況は厳しい結果となっており、今年度は、区民のニーズに応えつつ、経営状況も良好に保つため、在宅強化型としての施設基準指標の点数の維持と、稼働率の維持向上を目標の一つとしている。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
前年度の重要課題として、「新型コロナの流行下においても在宅医療を支えるため、緊急ショートステイの受け入れ及びメディカルショートステイ(検査・処置・投薬が必要な状態でもショートステイを提供すること)の体制整備を推進する」を設定した。重要課題設定の理由・背景として、新型コロナの流行下において、短期入所生活介護及び短期入所療養介護の事業縮小又は停止をする介護施設が増えていること、一方で、要介護認定者とその家族のニーズとして、介護負担の軽減のためデイサービスやショートステイの施設サービス利用を希望する割合が50%を超えていることがある。重要課題の達成に向けては、
1.行政や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所を中心に緊急ショートステイ及びメディカルショートステイのチラシを配布し周知する
2.利用前の体調確認、利用時(入所時)のPCR検査を実施し、感染予防策も怠らないよう努める
の2項目に取り組むこととした。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
前年度(2022年度)の緊急ショートステイの対応実績は41人であった。そのうち4人は、検査・投薬・治療をおこなった場合などに算定される総合医学管理加算の対象利用者であった。その他、ショートステイ利用中に体調変化があったため急遽利用期間を延長して検査・投薬・治療をおこない、総合医学管理加算を算定した利用者も2人いて、要介護認定者とその家族のニーズに対応できていると言える。今年度も引き続き在宅医療を支えるべく緊急ショートステイ及びメディカルショートステイの対応は継続していく方針である。一方、メディカルショートステイとして受け入れた場合に算定される総合医学管理加算は算定要件が厳しく、検査・投薬・治療をしても加算につながらないこともあるが、当施設の理念を実現させるための取り組みとして、在宅医療を支えるためにもメディカルショートステイを積極的に受け入れていくこととしている。
サービス分析結果
【講評】
広報委員がSNSを使って、行事やイベントなどについて情報発信している
ホームページやSNS、パンフレット、「総合案内」などを使って施設の情報を発信している。SNSでは広報委員が行事やイベントの様子を伝えている。その際、基本的に利用者の顔が写っていない後ろ姿の写真などを載せている。「総合案内」では、入所・短期入所・通所のカテゴリーに分類し、それぞれのサービスに関して、利用開始までの流れや職員体制、機能訓練、退所支援などについて紹介している。大きな文字を使用して専門用語を避け、高齢の方でも理解しやすい内容となるよう工夫している。パンフレットは併設事業所と合同で作成している。
居宅介護支援事業所へ空き情報について情報発信している
ショートステイに関しては利用者個々の担当ケアマネジャーに毎月サービス提供実績票を送信している。また、訪問やファックス送信などを通して空き情報についても情報発信している。利用料金を変更するときなどは、支援相談員が訪問して説明する場合もある。年1回、台東区へ運営実績を報告している。また、台東区から指定管理者として指定を受けており、その機能や役割を適切に果たしているかについて台東病院等運営協議会が評価・検証しており、その評価結果は台東区のホームページにて公表されている。
利用希望者等の個別の状況に合わせて、説明書類の郵送や電話面談に柔軟に対応している
訪問調査時点では、1階エントランスにて支援相談員が「総合案内」を説明するほか、施設内の写真などを提示し、利用希望者が入所後の生活をイメージしやすいよう配慮して案内している。利用料金の月額の概算を表にし、わかりやすいように工夫している。利用希望者等の個別の状況に合わせて、説明書類の郵送や電話面談にも柔軟に対応している。緊急で利用が必要な場合は、緊急ショートステイでの受け入れを提案・調整しており、個別の状況に応じて、ショートステイの延長や入所切替を提案している。2022年度は41件の受入実績がある。
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
週1回入所判定会議をおこない、入所決定後、契約手続きをおこなっている
週1回入所判定会議を開催し、多職種で入所決定及び入所後の支援について検討している。入所決定後、入所前か入所当日に契約手続きをおこなっている。その際は、家族や後見人、生活保護受給者の場合にはケースワーカーなどが同席している。独居の方の場合も離れて暮らす家族の同席をお願いし、契約書、重要事項説明書、各種同意書について説明し、同意を得ている。夜間も含めた医療体制についても説明しており、24時間医師がいることは家族の安心につながっている。家族からの入所時に必要な持ち物等に関する質問にも丁寧な対応を心がけている。
入所時に多職種が集まり、サービス担当者会議を開催し、利用者の情報を収集している
入所時に多職種が集まり、利用者や家族等を含めたサービス担当者会議を開催し、入所前の生活環境や心身の状況等を確認し、食事の形態やベッドからトイレまでの動線等を工夫・調整するなどして、不安やリスクの軽減に努めている。また、利用開始直後は慣れない環境下におかれていることに配慮し、聴取した生活歴や生活習慣、得意なこと等を話題としてコミュニケーションを積極的にとり、顔馴染みの関係となるよう努めている。また、新型コロナ5類移行後に再開した入所前後の自宅訪問等で利用前の生活を把握することに努め、支援に活かしている。
家族や関係機関を含めた退所前連携会議などを実施し、支援の継続性に配慮している
家族や関係機関を含めた退所前連携会議や退所前後の自宅訪問を実施しており、心身の状況や介助内容、家屋環境、課題等を共有し、適宜福祉用具や介護サービスの導入・調整について助言している。さらに、退所までに必要な動作の強化練習、介護指導、手続きのサポートなどに取り組んでいる。必要に応じて当施設でのショートステイを予め提案・確保し、介護者のレスパイトや、退所後の新たな課題確認の機会を設けている。緊急再入所や緊急受診に備えて、施設内だけではなく併設病院とも情報共有するなど、利用者家族の不安解消に努めている。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
利用者の保有する能力などを把握し、課題・ニーズに合わせた計画を策定している
支援相談員を中心に入所希望者にはインテーク面談を実施し、ニーズや課題のほか、保有する能力、発揮しうる能力、想定されるリスク、生活歴、趣味・嗜好などについてケアマネジメントツール『R4システム』で記録している。また、本人や家族それぞれのサービス利用の目的及び目標も記載している。さらに、各専門職は入所時及び入所後に随時、本人や家族等へ追加の情報収集やニーズの再確認をおこなっている。入所時に暫定の計画書を提示した後は、2週間を目途に「総合計画書」を完成させている。
3か月ごとに施設内カンファレンスを開催し、アセスメントの内容も更新している
施設ケアマネジャーは施設内カンファレンス予定表を作成して多職種へ伝達し、利用者1名に対して3か月に1回の頻度で施設内カンファレンスを開催している。各フロアにて開催する曜日を分けて設定し、各職種が計画的に参加できるよう調整している。カンファレンスの開催前に、各職種は支援プロセスで得た情報をもとにアセスメントの内容を更新している。利用者との関わりにおいて、潜在的な課題や新たなニーズの把握に努め、カンファレンスにて情報を集約し、個別性のある「総合計画」の作成に取り組んでいる。
朝・夕に加え、13時30分からのミーティングなどにより、利用者情報を共有している
朝・夕に全ての職種が参加するミーティングを開催し、申し送りや引き継ぎをおこない、利用者情報を共有している。また、毎日、13時30分から15分程ミーティングをおこない、ヒヤリハットも含めて、利用者の状況変化について情報共有している。職員の出勤時には、各種記録の確認に加えて対面による申し送りを実施し、情報共有を強化している。各職種が利用者個々の支援経過を電子カルテに入力し、重要事項が申し送り一覧に表示できる機能も活用して、多職種で情報共有をおこなっている。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画を利用者にわかりやすく説明し、同意を得ている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援している
- 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
- 利用者の特性に応じて、コミュニケーションのとり方を工夫している
- 利用者一人ひとりがその人らしく生活できるよう支援を行っている
- 利用者の支援は関係職員が連携をとって行っている
- 退所後も相談に応じている
【講評】
利用者の希望や要望に沿い、自立した施設生活に向けて支援している
毎朝のリハビリ担当職員や施設ケアマネジャーを含めた30分のミーティングや昼過ぎのミニカンファレンスなどで、リアルタイムに利用者の状態について情報交換している。また、利用者の要望を汲み取り、対応を検討している。例えば、「夜間自分でトイレに行きたい」という思いを持つが、転倒の危険がある利用者に対して、その意思を尊重して固有の排泄動作を観察し、安全に歩行できるようトイレの側にベッドやいすを手すり代わりに配置するなどしている。安易に禁止や否定をせず、利用者の意欲を尊重して支援している。
利用者一人ひとりの状態や要望に合わせた支援を進めている
生活歴や性格、希望などから残存機能に着目し、その人らしい時間を過ごせるよう努めている。たとえば、「趣味の編み物を楽しみたい」という利用者には、施設側で材料を購入し、色合いを工夫したアクリルタワシやマフラーなど様々な制作を楽しめるようにしている。利用者調査では「今編み物が流行っていて、私も編んでいます」との声も寄せられた。また、8月の看護介護ケア委員会では、利用者の隠された強みに着目する支援を目指して担当利用者について「ストレングスシート」の作成を試み、利用者と向き合う時間を設けている。
各専門職が共同して利用者の自立へ向けた支援に力を注いでいる
多職種間で日常的に情報を共有し話し合える関係が整っており、ケア方針を多職種で随時確認しながら支援を実践している。入所後2週間程度は、ミーティングで利用者の様子変化を情報交換し共有している。嚥下状態の悪い利用者には、介護職を中心に管理栄養士、作業療法士、理学療法士、医師の協力を得て、身体状態、姿勢、食形態、嗜好、補助栄養食の活用、口腔ケアなどについて検討している。こうした関わりにより、看取りを視野に入れて入所した利用者が、食事がとれるようになり回復した事例なども多々あった。
2.栄養バランスを考慮したうえで、おいしい食事を出している
- 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
- 利用者の状態や嗜好に応じて献立を工夫している
- 利用者が選択できる食事を提供している
- 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
- 食事を楽しむ工夫をしている
【講評】
管理栄養士はミールラウンド(昼食時の巡回)により、利用者の状態を把握している
食事中の姿勢や嚥下の状態を観察・評価し、誤嚥予防に努めている。摂食困難や嚥下障害などのある利用者については多職種で対応方法について話し合っている。滑り止めトレーや自助食器を必要に応じて使用し、色の区別がつきにくい方の場合には食器の色を変えるなど、皿や容器の並べ方を工夫して自力摂取を支えている。これらを通して、それぞれの心身状態に応じて、安全で楽しく食事ができるよう支援している。
栄養アセスメント・モニタリングで利用者の経時的な変化を把握している
毎月多職種でミールラウンドを実施し、対象となる利用者を抽出し、姿勢・咀嚼・嚥下状態・食に対する意識・嗜好・栄養状態などを評価し、対応を検討している。「安全に美味しく食べられるのか」をテーマに毎月、摂食・嚥下委員会を開催している。また、随時、嗜好の聴き取りをおこない、牛乳をヨーグルトや他の飲み物、肉を魚、米飯をパンに変更するなど利用者の嗜好に合わせてできる範囲で調整している。「食事に気がのらない」という利用者には、栄養補助食品の提供や好きな食べ物の差し入れをおこない、食べる楽しみを感じられるよう努めている。
コロナ禍での制限はあるが、行事の機会に食事を楽しめるよう工夫している
1か月に1~2回ほど、季節の節目ごとに行事食を提供している。7月は七夕や丑の日などにふさわしいイベント食を、正月や桃の節句などにも季節ごとに行事を楽しめるメニューを提供している。管理栄養士は月2回、紙媒体の「食べ物豆知識」を作成・掲示し、食べることへの関心を高めている。食事中はテレビを消し、静かで落ち着いた音楽をかけて、食事を楽しめるように工夫している。利用者調査では「私が食べたいものを聴き取ってくれる」などの声が寄せられた。
3.入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の状態に応じた入浴方法や介助を行っている
- 健康上の理由等で入浴できなかった利用者には代替方法をとっている
- 入浴の誘導は利用者に負担がかからないように考慮し、行っている
- 浴室や脱衣室は清潔で、快適な状態にしている
【講評】
利用者それぞれの状態やADL、好みなどに合わせて入浴形態を検討している
浴室及び手前の準備室は広く清潔感がある。一般浴、ストレッチャー浴、チェア浴があり、利用者の日常生活動作(ADL)や入浴時の様子などから入浴方法を検討している。機械浴槽から一般浴槽へ変更する際は、介護士とリハビリ職員で実際に動きを見ながら評価し、利用者の意見を聴き取りながら変更している。利用者調査では、コロナ禍での利用制限により、シャワーで対応せざるを得ないフロアもある中で、入浴支援に関して回答者の72%が満足と回答している。その一方、「ゆっくり湯船につかりたい」との声もあった。
利用者の負担や怪我、感染が無いように、介護技術マニュアルに沿って支援している
清潔保持及びリラクゼーション、コミュニケーションの促進を目的として、定期的な入浴支援をおこなっている。利用者の更衣の際は、立ちあがり、下肢の挙上、下着の上げ下げなどによるリハビリ効果も意識している。コロナ禍では浴槽のタイプを選択するための各フロア間の移動ができず、利用者に不便をかけているものの、一人ずつ支援をおこなうなどして感染を防いでいる。職員アンケートでは「冬場でもシャワー浴の対応が続いている」「各フロアに個浴を作ってほしい」など、利用者の気持ちを反映した改善案もあった。
職員を中心に、浴室や脱衣室の清潔な環境を整えている
毎日業者が清掃をおこなっている。また、シルバー人材センターにフロアや脱衣室の手すり消毒を委託している。浴室・脱衣室の使用後は、清掃職員や介護職員が定期的に掃除している。浴槽は職員が清掃し、入浴の前後で塩素濃度を測定するなど清潔に保っている。利用者調査でも、「生活空間の清潔、整理整頓」に関して回答者の96%が肯定的回答であった。職員アンケートでも、「清潔で快適な環境」について回答者の77%が肯定的回答であった。コロナ禍で普段にもまして感染予防のための作業が増える中、清潔な生活環境づくりに取り組んでいる。
4.排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 排泄介助が必要な利用者に対して、一人ひとりに応じた誘導や排泄介助の支援をしている
- 利用者の状況に応じた排泄目標を設定している
- トイレ(ポータブルトイレを含む)は使いやすさや安全面を考慮し、それに応じた環境整備をしている
- トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面に配慮し、清潔にしている
【講評】
個々の排泄に必要な動作レベル、尿意・便意の有無などに合わせて排泄を支援している
介護技術マニュアルでは、「利用者のトイレに行きたいという気持ちを尊重し、(時機を)逃さないよう心掛ける」など8項目の目標をあげ、排泄用品の準備やトイレへの誘導・介助について具体的な支援方法を示している。利用者個々の状態に応じて、トイレ誘導やパットチェックの時間、パッドのサイズ、麻痺の有無や脱臼のリスク等に配慮して排泄介助をおこなっている。利用者に無理のない範囲で、できる限りトイレで排泄することを目標とし、自然排泄できるよう自立支援に努めている。
排泄の自立に向け、可能な限りトイレでの排泄を目指している
介護職員を中心にリハビリ担当職員や看護職員を交えて、利用者の状態変化に応じてアセスメントをおこない、排泄方法の改善について検討している。「時間を決めてトイレに座れるようにしたところ、排尿が見られるようになり、尿意も明確になり、おむつからリハビリパンツになった」「自分からトイレへの意思表示ができ、パット内失禁も殆どなくなった」「ズボンやリハビリパンツの上げ下げもほぼ自立した」などの改善成果がみられている。入所時におむつ対応だった方で、徐々にトイレ誘導に変更するケースも少なくない。
安全面を考慮して、利用者個別のニーズに沿ってトイレ環境を整備している
フロアのすべてのトイレには右用、または左用の手すりがあり、片麻痺や脱臼などの利用者は手すりの向きなどに注意して使いやすいトイレに誘導している。トイレ内は車いすが回転できる広さが確保されている。「利用する前後に便座と手すりを消毒する」というマニュアル通りに支援を実践している。さらに1日2回、手すりや便座を除菌シートで拭いている。自室のトイレ利用の意思がある場合、ベッドからトイレまで自力で行けるよう、トイレ近くにベッドの手すりやいすを配置するなどして利用者が排泄の自立に意欲的に取り組めるようにしている。
5.移動、整容の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の状態にあった移動方法を検討している
- 服装や整容は利用者の好みを反映した支援を行っている
【講評】
多職種によるカンファレンスを通じて、安全な移動方法を確認している
入所時は利用者や家族から機能維持・改善に関わる希望を聴くことから始まる。早期に家屋調査をおこない、帰宅後の移動に関する課題を抽出している。定期的にカンファレンスを実施し、具体的な生活場面での自立度、日常生活動作(ADL)やその安全性を評価・確認したうえで移動手段について検討している。利用者の心身状態は1日の内でも大きく変動するため、変化のパターンを見分け、多職種間で共有している。利用者の意向に沿った移動の実現のために、転倒しにくい環境設定や、居室内の家具の配置、自立を奪わないケアの方法などを確認している。
利用者一人ひとりの好みを反映させて整容を支援している
衣類は自宅から好みのものを持参してもらい、利用者が気温や季節に合わせて着替えを選択できるように援助している。現状では、自分で着替えられる方以外の入浴後の着替えはほとんど職員が選んでいる。時間のある時に利用者の意向を汲み取り、利用者と「選ぶ」ことも大切にしている。訪問理美容は月3回談話室で実施し、1回15名程から髪の長さやスタイルの注文を受けておこなっている。歩行の困難な利用者の場合はベッドサイドまで訪問し、10分から15分でカットなどを施している。コロナ禍前は髪染めもおこなっていた。
利用者の足や爪の状態に合わせ、ボランティアによるフットケアの機会を提供している
利用者の足指の爪には巻き爪、陥入爪、爪白癬、硬くて切除できない場合など様々な病変があり、進行すると歩行が困難になることもある。そのため定期的にフットケア養成学校の教員や受講生によるフットケアの機会を設けている。電動爪切り機や病変に見合った様々な用具を持参した3名ほどが来所し、1回10名程度の利用者を対象に施術している。利用者の歩行状態、麻痺のレベルによって下肢や足底の病変も起こるため、生活習慣の改善を勧めながら整容支援に取り組んでいる。
6.利用者の健康を維持するための支援及び必要な医療サービスを行っている
- 利用者の状態に応じた健康管理や支援をしている
- 健康状態に関して、利用者の相談に応じ、必要に応じて医師が利用者や家族に説明をしている
- 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
- 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
- 日頃から医療機関と連携を図り、必要時には措置を講じている
【講評】
医師をはじめ、多職種が連携して利用者の健康状態を把握している
看護師は1日2回、利用者の顔を見てバイタルチェックをおこなっている。また、介護職員の申し送りに参加し、利用者の1日の変化を把握している。医療依存度の高い利用者の場合には、日常生活動作、食欲、意欲、表情などを確認し、総合的に利用者の健康状態の把握に努めている。入所時には、感染対策のための事前面接で、ワクチン接種歴を確認し、PCR 検査をおこなうなどしている。陽性反応が出た場合には、自宅療養または併設病院への入院などの措置をとっている。さらに医師が毎日各フロアを巡回し診察して、疾病の管理・相談対応に努めている。
急変時や緊急対応時には、施設内・院内で速やかに支援できる体制を整えている
急変時は速やかに医師による診察をおこなっている。状態に応じて併設病院または近隣病院に搬送している。院内ルールによって併設病院からの応援を受け、スムーズに診療を受けられる体制となっている。夜間帯と休日も同様の対応を行っている。さらに迅速な対応が必要な場合は、応援要請として施設内・院内の医療スタッフを一斉招集できる緊急コールの活用が可能で、速やかに対応できる体制を整えている。訪問調査時に車いす用トイレで利用者の様態が急変したとの緊急連絡があり、職員が一斉に駆けつけられる体制を確認した。
最期を安らかに迎えられるよう、終末期ケアの質向上を目指している
入所時には延命治療に対するアンケートを実施しており、必要に応じて再確認している。ACP(人生の最終段階における医療・ケア計画)の取り組みをおこない、穏やかな最期を迎えるために各職種が連携している。家族には、終末期の利用者の変化や、施設や家族ができること、家族に現れる不安や悩みなどの心理的な変化について細やかに記した「これからについて」というパンフレットを配布している。終末期の利用者家族から「かつて山登りをしていて活発でした」などの話を聴き取り、思い出に耳を傾けつつ、安らぎのある支援に生かしている。
7.日常生活の自立を支援するために必要な機能訓練を行っている
- 施設サービス計画に基づいて、利用者一人ひとりに応じたプログラムを作成し、評価・見直しをしている
- 機能訓練のプログラムに在宅生活の場でいかすことができる視点を入れている
- 機能訓練指導員等の指導のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
- 介護職員等が日々の介護の中で気がついたことを機能訓練指導員に返している
- 福祉用具は定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
【講評】
利用者一人ひとりの状態や生活背景に応じたリハビリ計画を立案している
医師を含めた多職種カンファレンスにおいて、利用者個々の目標設定に基づき、リハビリ実施計画の立案・設定をおこなっている。利用者と家族の希望に合わせ、初回聴き取りでの情報に基づいて、食事の自力摂取、立位保持、排泄自立などのリハビリメニューを選択し計画している。ある利用者は「入所時にはおむつ装着でほぼベッド上での生活で、起き上がりに介助を要していたが、11か月後の退所時には歩行や階段昇降訓練などによって下肢筋力が増強し、見守りから軽介助となった」という。チームでの取り組みが功を奏した事例が多くある。
自宅環境に合わせた退所後のリハビリ計画を多職種で連携して作成している
退所に向けて自宅の家屋調査を実施している。一例では、施設でサークル歩行器を利用して移動している利用者とともに家屋環境評価のため自宅を訪問し、階段昇降が必須となる生活環境だったため、理学療法士が階段昇降動作を確認するなどしている。その結果、「自宅内移動には、手引き歩行、伝え歩き歩行も必要で、さらに福祉用具の選定や手すりなど家屋環境の設定、ホームヘルプサービスの活用も必要」と評価している。自宅環境に合わせ、施設でのゴールを見据えたリハビリ計画を策定し、多職種間で共有している。
一人ひとりの心身の状態に合わせて、生活の中でリハビリを取り入れている
作業療法士は8名、理学療法士は3名おり、それぞれ連携しながらフロアを担当している。利用者調査では「3か月が過ぎ、リハビリ回数が減り困っています」など決められた時期に限らず個別リハビリの実施を望む声が強かった。一方で毎日のテレビ体操、オリジナルDVDを使っての体操、動画を見ながらの体操など、フロアでのグループ活動は盛んである。また、屋上には畑があり、オクラ・ナス・スイカ・イチゴなどをフロアごとに栽培している。利用者は散歩時に水をあげたり収穫したりしながら心身を活性化させている。
8.利用者の自主性を尊重し、施設での生活が楽しく快適で、自立的な日常生活となるような取り組みをしている
- 日常生活の中で楽しめる機会を設けている
- 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、原則として自由である
- 利用者が落ち着ける雰囲気づくりをしている
- 居室や食堂などの共用スペースは汚れたら随時清掃を行う体制があり、安全性や快適性に留意している
【講評】
施設周辺の懐かしい下町風情を感じられる散策や行事の機会がある
利用者調査では、複数の利用者が地元で育ってきた生活歴を語っており、地元への愛着が感じられた。施設では、公園の花見や下町風情が残っている地域のドライブ、地域の祭りなど、行事を楽しめるよう支援している。コロナ禍でも、窓から見物して近隣の神社祭礼や三社祭りを楽しんでいる。また、窓から大きく見える超高層タワーを話題にしたりと、地域を身近に感じることができる環境がある。コロナ禍以前には子ども祭りの神輿が各階に上って来てくれるなど、町内会との関わりも大切にしていた。
ケアに関わることや日常生活について、利用者の自由で自分らしい判断を尊重している
個別のレクリエーション、屋上の散歩、家族等との面会、感染対策のうえでの利用者同士の交流などを実施し、利用者が自由に考えたり、行動したりする場面を作っている。レクリエーションや行事への参加は、利用者の同意のもとにおこなっており、強く勧めたりはしない。特に自立度の高い利用者からは「読書や編み物の時間が欲しい」などの要望もあるため、自由に過ごしてもらい見守っている。それぞれの自分らしい時間を大切にすることで、利用者の入所後の生活意欲が持続している。
共有スペースでの落ち着ける雰囲気を守るため、個別状況に応じて対応している
日中はフロア内にオルゴールのBGMがかかっている。大画面のテレビで子猫や自然の風景の動画を流したり、歌の映像を流している。写真や書道など利用者の作品を施設内になじむように自然に飾っており、自分の好きな外国籍の介護職員の名前を書いた習字などが貼ってあった。学校のような一斉の掲示ではないことが家庭的な雰囲気を作っている。また、音などが気になって食事に集中できない利用者の場合には、居室内で食事を摂るなど、他者と席を離し落ち着いて過ごせるように対応している。
9.施設と家族との交流・連携を図っている
- 家族等との外出・外泊・面会時間は可能な限り希望に応じている
- 家族が参加できる施設の行事を実施している
- 利用者と家族がゆっくり話せるように配慮している
- 利用者の日常の様子や施設の現況を定期的に家族に知らせている
【講評】
家族を中心にした多職種でのカンファレンスを定期的におこない、その意向を聴いている
入所時や3か月後には、本人・家族から入所後の心身の変化や暮らしの意向などを聴き取っている。各個別支援計画書の定期的な更新や状態変化による臨時の更新の際には改めて家族の要望を聴取し、支援目標とサービス内容を更新して家族の同意を得ている。ある利用者の家族とのカンファレンスでは、徐々に食欲が落ち体重減少がみられる本人の状況を説明し、終末期ケアを視野に入れ、多職種で意見交換している。症状の緩和のため、期間限定の点滴や栄養補助食の利用、入院などを含めた今後の生活について丁寧に意見交換している。
コロナ禍でも家族と過ごすことができるよう、触れ合いの時間を工夫して確保している
2023年5月から制限付きだが、1回15分、2名までの予約制で直接面会を再開している。基本的に、毎日14時から17時まで面会を受け付けている。外出・外泊は家屋調査や移行先の施設見学のほか、親族の葬儀などの必要な時に限定している。ターミナルケア中など配慮が必要な場合は、前述以外の時間にも面会時間を設けるようにしているほか、事情に応じてリモート面会も引き続き実施している。面会の場を確保し、家族だけでの面会ができるように配慮している。
利用者家族へ、家族同士も交流できる施設内外での行事への参加を勧めている
利用者が家族と動物園へ出かけ、楽しい時間を過ごすことができたケースもあり、入所しても本人と家族の交流を大切にしている。また、利用者の様子を家族に伝え、心身の状態回復に向けて互いに情報共有し、対応を検討している。その中で、家族も楽しむことができ、利用者の様子や職員の関わり方などについて理解を深められる場として、行事への参加を勧めている。行事については、他の介護家族と悩みを共有することができたとの家族の声も寄せられている。感染対策委員会と協議しながら、家族同士の交流の場づくりを模索している。
10.地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
- 利用者が職員以外の人と交流できる機会を確保している
- 利用者が地域のさまざまな資源を利用する機会を設けている
【講評】
感染対策をおこないながら、利用者が職員以外の人と交流できる機会を設けている
過去には子ども神輿の来訪や寿作品展への参加など町内会との交流があったが、コロナ禍以降、感染対策を優先させるため、地域との交流の機会は減少している。感染対策の一環として始めたビデオ通話面会は今も受け付けており、遠方の親戚・付き合いのある近隣住民との交流の場を設けている。一方で、医療・福祉系実習生やフットケアのボランティアを積極的に受け入れ、医療・福祉人材の育成や多様な交流の場を設けている。前年度は、看護師・介護福祉士・医師・リハビリ職などの資格取得を目指す実習生計130名を受け入れている。
身近な地域の資源を活用し、利用者の社会生活を支援している
当施設は下町の風情やなじみの風景が残されている地域の中にあり、花火大会の見物など窓からの景観や、あじさい祭りなどを話題にした職員との日常会話から、地域との距離が近く感じられる。また、「(留守にしている)自分の家を見たい」という利用者の声を受け、施設の車でドライブを兼ねて利用者の自宅の前を通り、家族と窓越しに対面している。職員は健康推進委員会の活動のもと、毎月1回、30~40分かけて施設周辺で捨てられた吸い殻などのゴミを拾うクリーン活動や小中学校での防煙教室もおこなっている。
台東区内の医療福祉連携に努め、共通課題の解決に向け協力している
区内の医療・福祉連携事業の中心として、施設の運営理念である「『ずっとこのまちで暮らし続けたい』を応援します」の実現に取り組んでいる。区内医療機関とは「台東区病院連絡会」で連携するほか、中核的病院や大学病院などの特定機能病院とも連携している。また、地域包括ケアシステムの拠点として、地域包括ケアシステムを支える人材の育成や地域ヘルスプロモーション推進の一翼を担っている。高齢者福祉と一体的に運営している慢性期病院や介護保険事業所、区に空床情報を提供しており、この時相談された支援困難ケースを受け入れるなどしている。
【講評】
契約時に「個人情報同意書」を使って、その取り扱いについて利用者家族に説明している
契約時に利用者家族に対して、「個人情報使用同意書」を使って、個人情報の取り扱いについて説明している。同意書に第三者への提供事例を列挙し、その事例ごとに提供してよいか確認している。説明後、同意の署名をいただいている。面会予約時には面会希望者の氏名や連絡先を確認し、カルテに記載がなく利用者との関係が不明な方の場合は家族に電話し、面会可能か確認している。電話で個人情報に関する内容は基本的に伝えないことなどを周知するほか、個人情報保護研修を毎年全職員が受講するなど、個人情報保護の遵守に努めている。
個別でのケアが増え、支援の場面ではプライバシー保護の徹底に努めている
コロナ禍以降、感染予防の観点から個別でのケアが増えたこともあり、訪問調査時点ではフロアでの入浴は原則利用者1名ずつとし、介助する職員も1名で対応しているため、プライバシーが保護されている。家族などとの重要な話し合いなど特段のプライバシー配慮が必要な場合には、面談室を使用している。多床室での更衣やおむつ交換などの場面では、ドアやカーテンで空間を仕切り、利用者のプライバシーに配慮している。共用スペースにおけるトイレ誘導の声かけでは、声の大きさや直接的な排泄に関わる言葉を避けて声かけしている。
入所時に本人の嗜好などを聴き取り、入所後も習慣等を継続できるよう支援している
入所時に利用者や家族などに聴き取りをおこない、就寝時間やパジャマ更衣、義歯をつけ外しするタイミングなど施設生活の中で対応できることについては継続していけるよう援助している。許可が確認できれば、コーヒーなどの嗜好品の提供も受け付けており、本人の自宅での生活習慣が継続できるよう配慮している。入浴やトイレ誘導の際に、利用者の拒否があれば時間を変更したり、対応する職員を変えるなど配慮し、無理な支援はおこなっていない。食事拒否があるときには、時間変更だけでなく、栄養補助食品等の別の物を提供するなど対応している。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
業務遂行に必要な各種マニュアルを用意し、必要に応じて改定している
食事、口腔ケア、清潔(陰部洗浄、全身清拭)、体位交換、移乗移動、排泄、更衣、入浴、環境整備などの介護技術について、「業務マニュアル」を用意している。それに加え、接遇、災害対策、感染対策、医療安全、虐待防止などの各種マニュアルを整備している。各種マニュアルはパソコン内の共有フォルダから閲覧できる。新型コロナ感染対策中も入所対応マニュアルを随時変更するなど、必要に応じてマニュアルを改定している。各種委員会でサービスを見直し、マニュアルの改定をおこなっている。
事例検討をおこない、施設全体のサービス水準の向上を図っている
以下のような事例検討をおこない、サービス向上につなげている。入院や入所による集団生活や環境の変化になじめず不穏な時には、複数の職員が交代で本人の訴えを傾聴するなどして対応し、関わる中で、職員との信頼関係が生まれた。食欲不振などの体調不良時には、多職種で連携してアプローチし、本人の訴えを傾聴することで精神の安定も図った。職員間の情報共有を密におこない、利用者への理解を深めている。家族から生活背景や性格などを聞いておくことでリスクを予測することができるため、家族との情報共有の重要性を再確認している。
各委員会主催の研修を通して、施設全体のサービス水準の向上に取り組んでいる
事故予防対策委員会などの各委員会主催で研修を実施し、施設全体のサービス水準の向上に取り組んでいる。事故予防対策委員会では、「KYT(危険予知訓練)」をテーマに研修を実施しており、新型コロナの対応によって変化した利用者の心理・生活環境に対して、転倒転落アセスメント能力を身に付けることやリスクに気づくことの重要性を再確認している。「手指衛生について」がテーマの研修では、基本に立ち返り、感染予防のため手洗いの手順や実技を身に付け、ブラックライトを用いて手洗い後の手指のチェックをおこない、正しい手洗いを学んでいる。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
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【講評】
理念を実現するため、基本方針を基に施設運営方針を定めて職員間で共有している
「『ずっとこのまちで暮らし続けたい』を応援します」を理念とし、「利用者の思いに寄り添い、誠意ある看護・介護を実践します」を始めとした5項目の基本方針を定めている。理念及び基本方針は、施設内の各部署に掲示するとともに、ホームページやパンフレットにも記載しており、職員や利用者・家族、関係者がいつでも確認できる。理念を実現するため、基本方針を基に「地域に住む高齢者の医療と介護を一体的に提供する」と運営方針を定め、毎月開催している全体朝礼や事業推進会議などにおいて、職員間で理念や目標を共有している。
地域包括ケアシステムの一翼を担うための重点目標を掲げ、ホームページで公開している
ホームページには施設が大切にしていることとして、「尊厳を守る 身体拘束ゼロ」「生活の質 QOLの向上」「家族へのケア 相談できる存在」の3項目を明示し、在宅復帰・在宅療養支援機能強化を図り、地域包括ケアシステムの実現を目指している。当施設は併設の病院とともに台東区より指定管理者として指定を受け運営しており、「台東病院等運営協議会」を設置し、学識経験者や医療関係者、区民の代表などの委員による施設の評価・検証を毎年おこない、その結果をホームページで公開するなど、区民に開かれた施設づくりに取り組んでいる。
幹部会議や老健運営会議にて、部門ごとの取り組み状況や課題について議論している
運営上の問題や懸案事項は看護介護ケア委員会や感染症予防対策委員会など各委員会で検討し、老健運営会議への報告・協議を経て、幹部会議に付している。幹部会議には、管理者(病院長)・副管理者・施設長・副院長・看護介護部長・医療技術部長・事務部次長が出席し、各案件について協議し決裁しているほか、経営状況について確認し、目標達成状況についての共通認識を持つようにしている。各段階で様々な視点から検討したうえで決裁しており、決裁後には老健運営会議や各委員会へ伝達し、職員に周知している。