評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
法人の宣言
社会福祉法人愛隣団は、地域の人々と共に歩んだ福祉センターとしての歴史を大切にしながら、キリスト教精神に基づき、多様な福祉サービスを総合的に提供して、一人ひとりの生活を守ると共に、地域の人々の助け合いの輪を広げてゆきます。
さくら荘の願い
私たちは、お母さんとこどもがオンリーワンの人生を愛し、自分の意思を尊重して生きることができるよう寄り添い、可能性や力を引き出す支援に徹します。
職員に求めている人材像や役割
採用内定者・実習生、新任職員(~3年)、中堅職員(4~6年)、上級職員(チーム責任者、7年以上)、基幹的職員認定研修修了者(10年以上)の各レベルに応じた、専門性の向上・資質と倫理・権利擁護・専門的知識・母親と子どもへの支援・施設内チームアプローチ・機関連携・地域の支援(アウトリーチ)に関する専門知識や経験を有し、適切な支援ができるようにする。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
職員にあって欲しい姿:WHATを問うことができる人材
問われることが人生の中で少ない人が多くなっている。自分の担当する子どもが、自分で自分の気持ちを言うことができれば、支援している職員自身も嬉しくなる。職員自身が、何を持って利用者と向き合うのか、そういうことを考え、利用者に向き合う職員となって欲しい。
全体の評価講評
特によいと思う点
事業所では、母の会などは設置していないが、個別に寄り添う支援に注力している。新型コロナ感染防止のためもあるが、さまざまな事情で入所してきた母親たちの中には、集団活動をしたり、母同士の交流に消極的な者もいるためである。クリスマスや母の日などの季節行事、子どもの誕生会なども、集会室で職員がサポートし、世帯単位で実施している。職員は、家庭内での行事の祝い方、行事食やプレゼントの作り方などを共に準備をしながら母子に伝えている。子どもにとっても、調理技術や生活常識を身に着ける良い機会となっている。
母子生活支援施設が秘匿性の高い施設である一方で、地域に支援を必要とする子どもや母親がいればスムーズに支援につなげられるよう、子ども食堂や食事付の学習支援など、地域に開かれた活動を行っている。また、近年の世界情勢を受けて、戦争からの避難民等にも情報が届くよう、ホームページやパンフレットには英語を併記するなど工夫している。さらに、書籍の執筆や大学等での講義を積極的に引き受け、ひとり親世帯が置かれている状況や必要な支援、母子生活支援施設が担う役割等について、一般に広く知ってもらえるよう取り組んでいる。
子ども食堂を月1回実施しており、利用者も含め、約120名が参加している。お弁当を持ち帰りで支給し、ケーキとお茶を集会室で飲食しながら職員が近況を聞き、ニーズに応えている。学習支援(週3回、夕食付)では、学校になじめない子どもたちを、教師の協力を得て、参加できるようにしてくれている。また、子ども食堂の開催を知って退所後20年ぶりに来所した母子もおり、近況を知ることができる場となっている。紛争地域からの避難者も参加していることから、区が開催している日本語教室に施設長が参加して情報収集し、必要な人に関わっている。
さらなる改善が望まれる点
地域住民向けの子ども食堂や食事付きの無料学習塾を運営しており、退所後の母子にはこちらへの参加を呼びかけている。また退所してからも引き続き相談に乗ったり、事業所の体操教室などにも参加できることを伝えている。退所後も顔の見える関係性を保っている母子には、随時に声かけし、必要なサポートもしている。一方で、退所後に疎遠になってしまう母子もおり、こちらへのアフターケアのあり方は今後の課題である。また子ども食堂や無料学習塾の利用者増から、職員の人手が足りない現状もあるが、検討を進めていくことに期待したい。
職員は、子どもと母親が安心して生活できるよう丁寧なサービス提供を心がけており、そのため、職員間の引継ぎや情報共有についても徹底して行われている。情報共有のための書類は、日誌、引継ぎファイル、連絡帳、ケース記録など多岐にわたり、それぞれが詳細に記録されている。職員同士の引継ぎや情報共有については、サービスを提供する上で有機的に機能しているものの、詳細な記録作成は職員の負担が大きいことが懸念されている。記録作成が質の高いサービス提供の妨げとならないよう、工夫して取り組む必要がある。
入所する子どもの中には、感情をうまくコントロールすることが難しいケースや、利用している他のサービス事業所でのトラブルを引継ぎ、所内で安定した過ごしができないなど、様々な困難を抱えているケースがある。職員は、子どもの状況に応じて、専門機関や医療につなげ、適切な指導・支援方法を学び、実践している。また、学校との情報共有を積極的に行うことで、より本人の状況を把握し、日々の支援に活かしている。今後も継続的に障害に関する専門知識を研修等で学び、さらなる適切な支援が行われることに期待したい。
事業者が特に力を入れている取り組み
OJTを重視し、その目的を文書で明らかにし、さくら荘の指針、1日の流れ、自立支援計画票など、必要なことを網羅し、育成につなげている。また、職員全員が、年間の個人総括をかねた実践報告をしている。理念に基づく支援ができているか、支援の支援を通じて何を学び、自らの成長につなげているか等を振り返り、施設長がコメントを寄せている。職員が、自らの成長を実感できるようにしている。利用者との関わりを通じて、職員がやりがいを感じることができるようにしている。実習生も積極的に受け入れ、必要なサポートをしている。
事業所では、子どもと母親それぞれが自分の意思を尊重して生きることができるよう寄り添い、支援することを「さくら荘の願い」として掲げている。各年度の事業方針においても、子どもと母親それぞれの個別の状況を踏まえて個別支援の視点をもって支援にあたることが表明されている。加えて、権利擁護については、職員に対する意識啓発にも努めている。母子生活支援施設の倫理綱領を施設内に掲示しているほか、毎年度初めに外部講師を招き、権利擁護に関する研修を実施することで職員の意識を高め、尊厳を大切にした支援につなげている。
母親の就労や資格取得、健康の回復などのため、施設内保育を提供している。補助保育、病児保育などがあり、事前に申し込んで利用する仕組みである。これに加え、職員は母親の日々の状況をこまめに見守りしており、必要な部分に随時の子育てサポートを提供している。隣近所の助け合いのような家庭的な関わりを心がけており、ちょっとした子どもの預かり、母の出勤時間に合わせた早朝の保育、ゴミ捨てなど、臨機応変な対応をしていることが確認できた。また職員の細やかな介入は、母のストレス軽減、虐待の未然防止にもつながっている。
利用者調査結果(母親調査)
調査概要
- 調査対象:全入居者を対象とした。
- 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式
調査員との個別の聞き取り調査を行った。当日不在の方を対象に、事業所からアンケート用紙を配布し、記入後は返信用封筒に入れ、評価機関へ直接返送していただいた。 - 有効回答者数/利用者総数:4/7(回答率 57.1% )
調査対象者7名中、4名から回答を得ることができた。満足度が高かった項目としては、「生活するために必要な支援があるか」「施設の清掃、整理整頓は行き届いているか」「職員の接遇・態度は適切か」「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」「母親の気持ちを尊重した対応がされているか」などがあげられる。特に、安心・快適性や、個人の尊重に関して満足している様子が窺える。
総合的な満足度では、回答者全員が「大変満足、満足」と回答している。「職員の皆さんがとてもやさしいです」「安心して生活でき、感謝しています」などのコメントがあがっている。
アンケート結果
[母親調査]1.生活するために必要な支援(家事・生活知識・相談・助言など)があるか
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]2.就労に関する必要な支援がされているか
3名が「はい」、1名が「どちらともいえない」と回答している。 「ここで紹介してもらった作業所に通っています」といったコメントがあがっている。
[母親調査]3.母子関係をより良いものにするための支援がされているか
3名が「はい」、1名が「どちらともいえない」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]4.必要に応じて、子育て支援が柔軟に行われているか
3名が「はい」、1名が「どちらともいえない」と回答している。 「基本は母がお世話をしています」といったコメントがあがっている。
[母親調査]5.学校生活に対する施設からの支援は役に立っているか
3名が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]6.職員の勤務交代等があっても、依頼をしたことは別の職員から支援を得られているか
3名が「はい」、1名が「どちらともいえない」と回答している。 「思ったように伝わっていないこともあります」といったコメントがあがっている。
[母親調査]7.安心して生活できるよう支援がされているか
3名が「はい」、1名が「どちらともいえない」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]8.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]9.職員の接遇・態度は適切か
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]10.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]11.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
2名が「はい」と回答している。 「トラブルなどはないです」などのコメントがあがっている。
[母親調査]12.母親の気持ちを尊重した対応がされているか
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]13.利用者のプライバシーは守られているか
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]14.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]15.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
3名が「はい」、1名が「どちらともいえない」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]16.利用者の不満や要望は対応されているか
回答者全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[母親調査]17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
2名が「はい」、1名が「どちらともいえない」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
利用者調査結果(児童調査)
調査概要
- 調査対象:入居児童全員を対象とした。
(事業所と協議の上、聞き取りの難しい乳幼児を除く) - 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式
小学生以下を対象に、調査員との個別の聞き取り調査を行った。中学生以上については、アンケート調査を行った。 - 有効回答者数/利用者総数:4/7(回答率 57.1% )
調査対象者7名中、4名から回答を得ることができた。満足度が高かった項目としては、「生活するために必要な支援があるか」「施設の清掃、整理整頓は行き届いているか」「職員の接遇・態度は適切か」「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」「母親の気持ちを尊重した対応がされているか」などがあげられる。特に、安心・快適性や、個人の尊重に関して満足している様子が窺える。
総合的な満足度では、回答者全員が「大変満足、満足」と回答している。「職員の皆さんがとてもやさしいです」「安心して生活でき、感謝しています」などのコメントがあがっている。
アンケート結果
[児童調査]1.【中学生以上の方に】
生活するために必要な支援があるか
[児童調査]2.【中学生以上の方に】
母子関係をより良いものにするための支援がされているか
[児童調査]3.学校生活に関する支援がされているか
4名全員が「はい」と回答している。 「特に困ったことはないです」「話は聞いてくれます」などのコメントがあがっている。
[児童調査]4.【中学生以上の方に】
依頼をしたことは、職員の勤務交代等があっても別の職員から支援を受けられるか
[児童調査]5.【中学生以上の方に】
安心して生活できるよう支援がされているか
[児童調査]6.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
4名全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[児童調査]7.職員の接遇・態度は適切か
4名全員が「はい」と回答している。 「優しいです」「普通です」といったコメントがあがっている。
[児童調査]8.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
3名が「はい」と回答している。 「ちゃんと対応してくれました」などのコメントがあがっている。
[児童調査]9.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
2名が「はい」と回答している。 「ケンカはないが、止めてくれます」「優しい人がいます」などのコメントがあがっている。
[児童調査]10.子どもの気持ちを受け止め、尊重した対応がされているか
4名全員が「はい」と回答している。 「一緒に遊んでくれたりします」「ちゃんと話を聞いてくれます」などのコメントがあがっている。
[児童調査]11.子どものプライバシーは守られているか
4名全員が「はい」と回答している。 「あまりそのようなことがないです」などのコメントがあがっている。
[児童調査]12.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
3名が「はい」、1名が「いいえ」と回答している。 「お片付けを頑張るという目標があります」「特に、そういう話をすることがありません」などのコメントがあがっている。
[児童調査]13.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
4名全員が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
[児童調査]14.子どもの不満や要望は対応されているか
3名が「はい」と回答している。 「今まで嫌なことがないです」といったコメントがあがっている。
[児童調査]15.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
2名が「はい」と回答している。 特にコメントはあがっていない。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
アンケートを実施しているほか、面談などを通じて利用者の意向や意見を把握している
利用者アンケートを実施しており、行事に関する希望を把握している。以前の外出では、テーマパークに行くなど、希望が多い所を選んで行っていたが、近年は、個別行事を希望する利用者が増えており、個々の家庭の状況に合わせた対応をしている。外出行事も再開をしている。キャンプについては、コロナ禍でも継続して実施していた。以前は子どものみであったが、親も一緒に参加するようになっており、好評を得ている。また、個別面談や普段のコミュニケーションを通じて、利用者の意向や意見を聞いており、事業所運営や利用者支援の参考にしている。
職員との個別面談で意向や意見を把握しており、アイデアを出し合って改善を重ねている
施設長と職員との個別面談を年1回実施している。その中で、職員各自の意向や意見を把握している。職員の要望を踏まえて改善していることも多く、現場の職員の意見を大切にしている。例えば、地域向け学習支援を実施するに当たってどのようなシステムとするか考えたいという声が挙がり、ミーティングを通じて検討した。その結果、多動の子どもが多い(地域から色々な課題を抱えた子どもが来る)のため、最低2名の職員がつくようにするなど、子どもの見守り体制や教え方についてアイデアを出し合い、改善を重ねている。
地域の子どもの状況を把握しており、外国籍の母子への対応も図っている
地域の子どもの状況を把握している、民生児童委員と連携を図っている。子ども食堂や学習支援で来所する、地域の子どもが抱えている課題を共有している。外国籍の子どもも多いため、関わり方を模索している。ウクライナからの避難者もいる。区の多文化推進課と連携し、無料で日本語教室を開催しており、そこにも参加して情報収集している。ウクライナ人の母親から話を聞いたり、子どもが学習支援のために来所している。また、全母協や東社協の母子部会などとのつながりも深く、様々な情報を収集・検討し、事業所運営や利用者支援に活かしている。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
倫理綱領に関する研修を毎年実施し、第三者委員も来所して利用者の話を聞いている
倫理綱領に関する研修を年1回実施している。外部講師を招き、倫理綱領改変に伴う内容などについて学びを深めている。苦情解決の仕組みも整えており、第三者委員も2名(行政書士及び元大学教授)に委嘱している。子ども食堂にあわせて、毎月1名ずつ第三者委員が来所しており、利用者の話を聞いてもらっている。第三者委員は、年1回開催している苦情解決委員会にも参加している。法人全体で、年度の振り返りと来年の活動について委員に報告し、意見をもらっている。現在、深刻な苦情が寄せられることがない状況となっている。
虐待案件がないかを確認し、地域の状況にも目を配って必要な支援を検討している
職員会議やケース会議で、虐待案件がないか確認している。レスパイト保育を実施しているため、その際に、子どもの様子などを確認している。また、障害児保育など、利用者の特性を学んで個々に必要な関わりができるようにしている。子家センの相談受託を実施しているため、その際の引き継ぎのやりとりの中でも、地域の状況について情報共有している。要保護児童ネットワークにも参加し、情報交換を図っている。地域における虐待案件が増えているため、事業所としても区や関係機関と連携を図り、さらなる地域への支援を充実させていきたいとしている。
子ども食堂や学習支援を実施しており、地域の子ども達を受け入れている
子ども食堂を月1回実施している。利用者も含め、120名位が参加している、お弁当を支給し、ケーキとお茶は集会室で飲食している。同日に学習支援(週3回、夕食付)もしている。子ども食堂の参加者にはアンケートを取り、氏名、保護者氏名、住所、電話番号、アレルギーについて(チェック項目)などの情報を確認している。特に、食物アレルギーには注意を払っている。学校とも連携を図っており、必要に応じて子どもの状況を共有している。子ども家庭支援センターとの連携も深く、具体的なケースについて共有を図っている。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
先駆的にBCPの作成に取り組み、訓練には利用者参加して意識を高めている
BCPを2009年に作成している。都の研修に参加し、作成を進め、その後(東日本大震災以降)、他の施設の手本として取り上げられている。基本方針、想定災害、最優先業務等の抽出基準、業務継続のために平常時に実施すべき対策、指揮命令系統の確立などを明示している。訓練も利用者が参加し、定期的に実施している。防災館にも出掛けている。施設長と職員1名が防災士の資格を取得しており、今後、増やしていきたい(全員)ともしている。救急救命講習もコロナ禍以降、滞っていたが、また以前のように全員が受講することを検討している。
リスクマネジメントに関するマニュアルを整備し、事故防止にも努めている
リスクマネジメントに関する各種のマニュアルを整備している。震災発生時の対応フロー、利用者夜間緊急対応(急病)、大量服薬(危機対応)、災害発生時(地震)など、想定されるリスクに備え、適切に対応することができるようにしている。また、事故・ヒヤリハット報告書には、事故・ヒヤリハットした時のあらまし、どのような問題があったか(環境・設備・機器の問題、今後の対策、あなた自身の問題、心身分析)、ふりかえり反省(再発防止について)などを記載している。報告書は、職員全員で回覧している。職員会議でその後の状況も確認している。
個人情報の取得・提供・保管についての定めを遵守し、セキュリティ対策も講じている
個人情報保護規定のさくら荘細則において、個人情報の取得・提供・保管(保管と整理整頓、入室禁止について、メール・インターネットの利用、個人情報を取り扱う機器について、記録の取り扱い、個人情報に関わる複製等の制限(書面・デジタルデータ)、コンピュータウイルス対策、写真の取り扱いについて、記録の廃棄について)などを定め、遵守している。事務室のPC端末ごとに、パスワードを設定している。また、アクセス権限を設定し、施設長専用のフォルダを作っている。インターネット端末を別に用意し、セキュリティ対策を講じている。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
実習生を積極的に受け入れているほか、職員の成長を面談を通じて後押している
職員採用のため、福祉・保育関係の大学と関係を作り、十数校から実習生を受け入れている。人事考課は実施していないが、給与表(初任給、役職手当、夜勤手当、調整手当、昇給ガイドライン(8等級))に基づいて処遇を決定している。職員と施設長の個別面談の中で、個人の要望や課題に合わせた研修を受けることを促している。職員の希望も聞いており、利用者支援に関連する研修を希望することが多くなっている。面談記録には、職員自身による年度の振り返り、施設長からのコメント、今後の目標などが記載されており、職員の成長を後押している。
研修体系に沿って職員が必要な研修を受講できるようにしており、履歴も管理している
研修体系では、採用内定者・実習生、新任職員(~3年)、中堅職員(4~6年)、上級職員(チーム責任者、7年以上)、基幹的職員認定研修修了者(10年以上)という区分に応じて、職員育成のレベル(目的)、専門性の向上・資質と倫理・権利擁護・専門的知識・母親と子どもへの支援・施設内チームアプローチ・機関連携・地域の支援(アウトリーチ)などの項目に沿って、育成課題を明確にし、必要な研修を受講できるようにしている。また、個別研修計画及び個別研修記録も作成している。職員の過去の研修受講歴も一目で把握できるようにしている。
OJTの目的を文書に明示し、具体的な事項を網羅して新人職員の教育にあたっている
OJTを重視しており、その目的を文書で明らかにしている(「利用者支援、業務を行う上で必要な技術や知識、施設の方針、施設及び職員間の決まりごと、設備の使用方法などを新人職員に伝える」、「必要なことを事務的に説明、指導するだけでなく、新人職員が利用者に対してより良い支援を行うことができるためにどうしたらよいか、そのまなざしを持つ」)。さらに、OJTファイルで、さくら荘の指針、1日の流れ、利用者支援で気をつけること・職員間で一致させること、自立支援計画票など、必要なことを網羅し、育成につなげている。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
【重要課題】
外国籍の利用者への支援(ウクライナ避難者への支援、紛争地域から来日した母子への支援)
【具体的な取り組み】
・台東区の多文化推進課と連携し、推進課から依頼のあった区のウクライナ避難者の中でも、貧困の母子に週3回夕食支援と相談支援を行い、子の学習支援も始めた。
・ネイティブ(英語)を常勤職員に採用し、施設内外の母子に英語を無料で教える取り組みを始めた。
【取り組みの結果】
海外からの避難者への継続的な支援を行う中で、DV被害者に見られる感情のコントロールができなくなるということが紛争地域にいた海外避難者と共通していることから、DV支援を積み重ねてきた母子生活支援施設の支援者が貢献できる分野だと感じた。週3回の夕食支援と相談支援を積み重ね、信頼関係を築くことができ、傾聴しながら怒りのコントロールに継続して取り組んだ。
【取り組みの検証と次年度への反映】
ネイティブ(英国)の常勤スタッフを採用することにより、地域の方々に母子生活支援施設を知ってもらう介在にもなった。台東区多文化推進課に、施設で地域の外国籍の方々の交流の場をつくる計画を打診している。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
事業所では、世界的に紛争が広がっており、日本にも海外避難者が入国していることから、地域のニーズを把握する中で施設も日本人はもちろんのこと、在日外国人のことだけでなく、海外避難者のことも含めた支援を考えなければならない、という考えの下、区と連携しながら、ウクライナからの避難世帯への支援を実施した。
また、ネイティブスピーカーの職員を採用して英語教育を行うことで、教育だけでなく、広く地域に事業所の存在を知ってもらうことにつながっている。
さらに、地域において支援が必要な外国人への対応を図っていくとしている。
目標設定、具体的な取り組みの実行、取り組み成果の検証、次年度の方向性への反映、というサイクルに沿った運営をしている。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
【重要課題】
入所を必要としている人に施設を知ってもらうことに加え、地域支援に関係機関や行政を招き、母子生活支援施設の機能を知ってもらう。
【具体的な取り組み】
コロナ禍でも地域支援を継続したことで(週3回:夕食付学習支援、月1回:子供食堂)、調査や見学を受け入れることができ、母子生活支援施設を知ってもらうことができた。同時に、地域の貧困家庭、虐待世帯を把握し、関係機関と連絡を取り合った。
【取り組みの結果】
訪問機関:厚生労働省、主任児童委員・民生委員、大学教授(子育て世帯調査)
大学教授たちの調査には、入所者や地域の子育て世帯が聴き取りに協力してくれ、ニーズを調査を取りまとめることができた。フィードバックしてもらえることになり、地域のニーズを知るきっかけとなった。また、名誉教授が見学に来た時に、ひとり親家庭の母親が養育費請求など制度について質問しており、権利や助けとなる制度を知る機会となった。
【取り組みの検証と次年度への反映】
子供食堂は、参加者が120名前後となり、保健所の上限50名を超えたため、食事は持ち帰りとし、希望者はお茶とお菓子を食しながら職員が話をする中で、ニーズを把握する場をつくっている。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
事業所では、新型コロナウイルスの影響による外出規制などをきっかけとした家庭内不和が増えているが、暴力被害があっても母子生活支援施設を知らないために、心身に深刻な影響があってもその環境から逃げることができない母子に施設の存在を伝えることが必要である、という考えから、上記の取り組みを進めた。
厚生労働省や大学教授などが事業所を訪れ、利用している世帯のみならず、地域で支援を必要としている世帯に目を向けるきっかけを事業所が提供することができている。
また、子ども食堂や学習支援など、事業所が実施している地域支援も定着し、多くの人に利用されるようになっている。
目標設定、具体的な取り組みの実行、取り組み成果の検証、次年度の方向性への反映、というサイクルに沿った運営をしている。
サービス分析結果
【講評】
母子生活支援施設が果たしている役割について、伝わることを意識して情報提供している
事業所では、「母子生活支援施設」について知らない人にも理解してもらえるよう、また、利用者が安心して施設で生活できるよう、伝わることを意識して情報提供を行っている。ホームページやパンフレットには、部屋の設備や日常生活の様子、行事、地域活動などの写真を多く掲載することで、施設での生活をイメージできるよう工夫している。また、特に近年、外国籍の人が増加傾向にあることを受けて、施設の概要については英語を併記して紹介している。
執筆活動や講義等を通じて、積極的に事業所の情報発信に取り組んでいる
事業所の情報については、パンフレットや「生活のしおり」のほか、オリジナルのクリアファイルを作成して、行政や相談窓口などの関係機関に配布している。また、施設長は、書籍の執筆や大学等の講義依頼を積極的に引き受けており、様々な人に事業所の存在を周知し、必要な支援について社会に向けて広く情報発信を行っている。今後は、SNSを活用して、より効果的に情報を発信していくことが検討されており、さらに幅広い層に情報が行き届くことが期待される。
支援を必要とする人に情報が届くよう、地域での支援活動にも力を入れている
事業所では、台東区の補助事業として、施設の一部を地域に開放し、無償の食事付学習支援、子ども食堂を実施している。食事付学習支援は、同区の小中学生を対象に週3回開催している。教育支援センターとも連携しながら、学校や家庭で様々な課題を抱えた児童への学習支援を通じて、不登校や非行を未然に防ぐことにも貢献している。子ども食堂は、同区の地域住民を対象に月1回開催し、地域の方々の居場所づくり、交流促進を図るとともに、支援が必要な人を早期に発見し、支援につながるよう必要な情報を届けている。
1.子どもや母親等に対してサービスの情報を提供している
- 子どもや母親の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 子どもや母親の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
利用者の状況や特性に配慮しながら、サービス内容について丁寧に説明している
サービスの開始にあたっては、生活のしおりや入所前面談説明事項などの資料を用いて、事業所での過ごし方や生活する上での基本的なルールについて、読み合わせしながら丁寧に説明している。特に、入所した直後は利用者の心理的な負担が大きいことにも配慮し、説明は必要な内容に留め、その後、生活の様子をみながら説明を重ねている。また、外国籍の人など、理解が難しい利用者に向けては、分かりやすい言葉・嚙み砕いた言葉を用いて伝えるようにしている。
子ども食堂などの地域支援活動を通じて、利用者の退所後の状況を把握している
アフターケアについては、退所前の面談で退所後も必要な支援ができることを説明している。事業所が地域支援として実施している子ども食堂や食事付学習支援は、退所した利用者も参加することができ、退所後の状況を把握することにも役立っている。実際に、利用者が退所した後で再び支援が必要な状況を確認し、支援につなげている。また、地域支援活動により地域の方々との連携が図られており、利用者が退所後に地域で生活していく際に、地域で見守りができるよう取り組んでいる。
アフターケアについては、継続性に配慮し体系的に実施していくことが期待される
地域支援活動により、退所者が事業所を訪れる「来所型」のアフターケアについては充足が図られているものの、職員が退所した利用者を訪問する「アウトリーチ型」の支援については、職員数が限られていることもあり、実施することが困難な状況がみられる。また、退所者が増加していることに加えて、退所後に区外・国外に転居する利用者も多く、アフターケアのニーズも多様化している。行政や様々な関係機関との連携体制の拡大と強化を図るなど、限られた人員体制の中で継続性のあるアフターケアを実施できる体制を整えていくことに期待したい。
1.サービスの開始にあたり子どもや母親に説明し、理解を得るようにしている
- サービスの開始にあたり、施設の基本的ルール(約束ごと)、権利擁護の取り組みをはじめとした重要な事項等を子どもや母親の状況に応じて説明している
- サービス内容について、子どもや母親の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、子どもや母親の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、子どもや母親の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、子どもや母親の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- 入所以前の生活習慣等をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、子どもや母親の不安を軽減し、退所後の支援の継続性にも配慮している
【講評】
子どもと母親の状況や課題、それに対する支援の経過が分かるよう、記録をまとめている
事業所では、利用者の日々の様子についてその日に担当した職員が「日誌」に記録し、母子それぞれの担当職員が日誌をもとに月ごとに「ケース記録」をまとめ、利用者の状況や支援の経過を職員間で共有している。これら記録の書き方はマニュアルにも定められ、均一化が図られている。日誌では、利用者の言葉づかいなど心の動きにも注意しながら詳細に記録することで、職員間での引継ぎを円滑なものにしている。また、ケース記録には、服薬などの医療情報、収支に関する情報、役所からの通知など、支援する上で重要な情報を添付し、共有している。
自立支援計画票は、利用者の状況や変化に合わせて作成・見直しを行い、支援している
自立支援計画票については、利用者の生活が安定する入所後約2カ月を目途に作成し、半年に一度見直すことがマニュアルに定められている。作成にあたっては、利用者の「自立」を軸に置き、本人の希望を尊重している。子どもの計画作成においては、年齢に合った分かりやすい言葉で説明し、また、母親から聞き取った情報を参考に質問しながら、本人の希望を聞き出すようにしている。計画作成後は、支援の内容とそれによる利用者の変化、状況について、月に2回開催される職員会議にて確認し、必要に応じて計画を見直すこととしている。
質の高いサービスを維持できるよう、記録にかかる負担の軽減を図ることに期待したい
事業所では、利用者の日々の状況について、日誌やケース記録、引継ぎファイル、連絡帳などに詳細に記録することで、職員間の引継ぎ、情報共有が円滑に行われ、サービスの質の向上が図られている。一方で、細かな情報を載せた記録の作成は、職員の負担が大きく、本来業務に影響を及ぼす可能性が懸念されている。コンピュータのシステム上、複数人が同時に入力することができないといったハード面の課題はあるものの、より効率的な記録作成の方法を検討していくことが求められる。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもや母親の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 子どもや母親の心身の状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
- 子どもや母親一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもや母親の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を作成している
- 計画は、子どもの最善の利益を第一に、子どもや母親の希望を適切に反映して作成、見直しをしている
- 計画を子どもや母親にわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直すとともに、緊急に支援内容を変更する必要が生じた場合の対応や計画変更のしくみを整備している
3.子どもや母親に関する記録を適切に作成する体制を確立している
- 子どもや母親一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもや母親の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもや母親の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、子どもや母親に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の自立支援計画に基づいて、自立のための支援を行っている
- 個別の自立支援計画に基づいて支援を行っている
- 子どもや母親一人ひとりに合った方法で、職員との信頼関係を構築するために受容的・支持的な関わりをしている
- 必要に応じて、家族間・親族間の関係調整の支援を行っている
- 退所後の安定した生活基盤の確保に向け、関係機関や関係職員、専門機関と連携をとって、退所後の生活を見越した支援を行っている
- 退所後は計画に基づいて、一人ひとりに応じた支援を関係機関や関係職員と連携して行っている
【講評】
利用者個別の持てる力に合わせ、無理のない目標を立て、緩やかに自立を促進している
自立支援計画の作成にあたっては、利用者個々の能力に見合った、無理のない目標づくりを心がけている。指導や約束事の設定などでは真の自立につながらないと考え、利用者にとっての自立とはどのような姿か、職員が寄り添い、共に考えている。利用者が自立に向けて自身の課題を整理し、歩みだせるよう、職員は日々の暮らしの中で声かけし、お茶を飲みながら思いの聴き取りをしている。自立支援面談は一度だけではなく、時間をかけて、繰り返し話を聞くようにしている。退所の期限は厳密に定めず、緩やかな自立支援をおこなっている。
職員は家庭的な雰囲気づくりを心がけ、助け合いの感覚で利用者のサポートをしている
家庭的な雰囲気づくりを心がけており、職員は、近所の人が助け合いををするような感覚で、母子の手助けをしている。就労や子育て、健康回復などにいっぱいいっぱいの母親もおり、職員はさりげなく見守りをしながら、随時に声かけをしている。あらかじめ申し込みをして利用する施設内保育もあるが、これ以外にも母の状況に応じた子どもの預かり、母のレスパイト、ゴミ捨ての手伝いなど隙間的なサポートもしている。自立支援の理念に反しない限り、できる限り受容的・支持的な関わりを心がけており、施設と感じさせないように努めている。
退所後も引き続き相談に乗ることを伝えているが、アフターケアの充実も期待される
退所した母子に対しても、引き続き相談に乗ることを伝えている。また事業所が、区の補助事業としておこなっている子ども食堂や無料学習支援の利用を呼びかけている。母のレスパイト、心のケアなども継続しておこなわれている。一方で、地域向けの子ども食堂や無料学習支援の利用者が増加の一途をたどっており、職員の手が足りない状況となっている。アフターケア計画を立てたり、家庭訪問をするまでの余裕が無くなっていることが課題の一つとなっている。アフターケアの充実について、検討していくことが促される。
2.子どもの健全育成のための支援を行っている
- 子どもの自主性、協調性を育てる取り組みを行っている
- 子ども一人ひとりの状況に応じた学習支援を行っている
- 学校等の関係機関との役割分担を行い、必要に応じて、情報交換をしている
- 子どもの心の悩みなどの課題に対応できるように工夫している
- 子どもの年齢に応じた生活力を身につけられるよう支援を行っている
- 食習慣の確立や食育に関心を深めるための支援を行っている
【講評】
職員が子ども個々に学習支援をしており、ネイティブ講師による英語レッスンもある
子どもの年齢は乳幼児から高校生まで幅が広いため、学習支援は子ども担当の職員が個別に実施をしている。担当職員は子ども個々に声かけし、学校の宿題を見てあげている。事業所で地域向けの無料学習支援を実施しているが、こちらの支援とは分けて、個別に学習支援をしている。このほかに、外国籍の職員による、英語レッスンの時間も設けている。こちらは母子ともに参加自由で、年代に合わせた内容としている。乳幼児とその母向け、高校生とその母向けなど、柔軟に内容を変更している。
新型コロナ流行を受け、子ども会議やキャンプは開催方法を工夫しながら継続している
子ども会議は年3回、夏休みなどの長期休み前に実施し、休みの過ごし方などについて話し合いをしている。また、子ども向けの行事としてキャンプなども実施していたが、新型コロナが流行してからは、交流の機会を縮小している。子ども会議を職員と子どもとの個別の話し合いにしたり、キャンプは親子で郊外のコテージやホテルに宿泊するスタイルに変更し、感染防止に努めている。季節の行事なども、世帯ごとにしたり、密にならないスタイルにするなど工夫しながら交流や体験の機会作りに努めている。
特別な支援が必要な子どもへの関わり方について、更なるスキルアップが期待される
発達障害を持つ子どもが増えており、職員は障害の知識や関わり方を研修等で学び、支援に活かしている。特に感情のコントロールが不得手な子どもへの対応は、今後の課題となっている。近隣の小学校とは養護教諭を中心に情報共有を図っている。必要があればケース会議を開催することもある。また学校に対し、母子生活支援施設の役割も随時に伝え、理解を得ている。高校、特別支援学校、放課後等デイサービスなどとも、必要に応じて連携を図っている。引き続き、子ども個々に応じた課題に対応できるよう、スキルアップしていくことが期待される。
3.母親の子育てを支援するためのさまざまな取り組みを行っている
- 子育てに関する不安や悩みを相談できるようにしている
- 母親の養育力や子育て観を向上させるような支援を行っている
- 母親同士が交流し、子育て等について情報交換できる機会を提供している
【講評】
虐待を未然に防止するため、母のニーズに応じて柔軟に施設内保育を提供している
全室個室であり、家庭内での親子の関わりが見えづらい側面がある。特に乳児は、もしもネグレクト等があると命の危険も生じるため、職員は日々、こまめな声かけや見守りに努めている。あらかじめ申し込みをして利用する病児保育、一時保育などの施設内保育サービスもあるが、これ以外にも、日々の母の心身の状態やレスパイトのニーズなどに応じて、随時に職員が子育てや家事の手助けに入っている。さながら近所の人が助け合う感覚で、子どもの預かり、ゴミ捨てなどを引き受けている。施設を感じさせない家庭的なサポートが実践されている。
母親集会などは設定しておらず、緩やかで自主的な交流の支援に留めている
母親たちは、個別にさまざまな事情で母子生活支援施設に入所してきており、精神的に疲れている人も多い。母同士の交流を積極的に望まない人もおり、定期的な母親集会などは設定していない。クリスマス会や子どもの日などの季節行事も、職員が1名ついて世帯ごとに実施したり、開催時間の範囲内で自由に参加・退出できるよう工夫している。母たちは、個別の意向に応じて、職員と子育てにまつわる話をしたり、気の合う母同士で情報交換するなど、ストレスなく交流が図れるよう気を配っている。
季節の行事を世帯別におこない、家庭的な祝い方、行事食の作り方を職員が伝えている
クリスマス会、子どもの日、七夕、お正月など季節の行事は、基本的に世帯ごとに行うスタイルとしている。集会室の1テーブルに母子と職員が座り、家庭内での行事の祝い方などについてさりげなく伝えている。母の日のプレゼントづくり、行事食づくりなどを共に行い、祝うことで生活力の向上につなげている。母自身も、家庭での誕生日祝い、各種の季節行事を体験したことがない場合もあり、よい学びの機会となっている。併せて子どもも調理などに参加することで、自立支援が実現している。
4.自立に向けた生活支援や就労支援等のさまざまな取り組みを行っている
- 基本的な生活習慣及び生活知識・技術を身につけられるよう支援を行っている
- 母親の適性、経験、意向等をふまえて、就労支援を行っている
- 安定・継続した就労のために、必要に応じて就労先との調整を行っている
- 母親の状況(体調不良、就職活動など)に応じた保育サービスを行っている
- 経済的自立のための相談や支援を行っている
【講評】
退所に向けて100万円を貯めるなどの目標を立て、家計管理支援を行っている
区内に都営住宅が少ないことなどを受け、退所に向けての金銭管理・貯金の支援を積極的に行っている。民間アパートを借りて退所することを想定し、入所中に100万円を貯めるなどの目標を設定している。適切なお金の使い方が身についていない利用者には、収支のバランスが視覚的に分かる図表などを用い、家計管理の仕方を伝えている。生活保護、障害年金などを受給している利用者に対しても、時には施設でお金を預かるなど、適切にお金を使えるようサポートしている。金銭管理支援の結果、貯金ができた利用者も多くみられる。
利用者本人の希望や持てる力に沿い、個別に即した就労支援が行われている
就労については、利用者本人の希望や持てる力に沿って、個別の支援を提供している。求職活動では、ハローワークに出向いたり、インターネットなども活用している。教育訓練給付制度を利用して資格取得する利用者も多い。医療、福祉、介護など、様々な資格取得にチャレンジをしている。障害のある利用者については、福祉的就労の支援もしている。就労継続支援事業所などに登録する利用者もいる。採用され、働き始めてからも、長く継続していけるよう、職員は随時に相談に乗り、見守っている。
母が就労を継続していけるよう、柔軟な施設内保育を提供している
母親が仕事探しや資格取得の学校に通うにあたり、事業所では柔軟な子どもの預かりをおこなっている。病児保育、補助保育はあらかじめ申込をして、利用する仕組みである。しかし、母の状況に応じて、随時に子どもを預かることもある。朝早くから仕事に行く保護者のために、早朝保育も実施している。昨今は、知的障害、発達障害など、特別な支援を必要とする子どもも多くなっているが、職員は子ども個々の特性に配慮しながら預かっている。一方で、母子の関係性を大切にするため、土日祝日の就労は原則許可をしていない。
5.子どもや母親が心身の健康を維持するための支援を行っている
- 必要に応じて医療機関等と連携し、病状、薬の説明や指示どおりの服薬等の療養支援を行っている
- 心身のケアが必要な子どもや母親に対しては、医療機関等と連携して支援を行っている
【講評】
特別な支援が必要な子どもが増加傾向にあり、専門機関と連携して支援をしている
発達障害、知的障害や愛着の問題など、特別な支援を必要とする子どもが増加しつつある。事業所では学校、医療、福祉などと連携して、支援にあたっている。行政の保健師に相談することもある。専門機関からの情報や助言は、職員間で共有し、日々の支援に反映している。放課後等デイサービスの利用希望を受けて、職員も一緒に情報収集したり、見学に同行したりすることもある。サービス等利用計画をセルフプランで作成する母もおり、必要に応じてサポートをしている。
必要に応じて職員の通院に同行し、母子の状況について医師と情報共有している
精神の病気を抱える利用者も多く、ニーズに応じて服薬の支援をしている。また、利用者の希望があれば、職員も通院に同行している。通院同行の際には、職員が、事業所での生活状況や日々の様子などを客観的に伝えている。併せて医師の助言ももらい、事業所での関わり方に活かしている。このほか、年2回の嘱託医による健康診断を、世帯主全員と希望する子どもに対して実施している。職員は医療連携や日々の見守りを通じ、母子の健康管理に努めている。
感情のコントロールが難しく、暴言暴力のある母子にはクールダウンの仕方を伝えている
気持ちの波が大きく、感情がコントロールできない人や、自傷・他害がある人など、様々な特性のある母子を受け入れ、職員が日々支援をしている。気持ちが高ぶってしまい、暴力・暴言や不適切な行動につながりそうな場合は、母子を分離し、クールダウンできるように導いている。子どもに関しては、特別支援学校でアンガーマネジメントを学んで貰うなど、学校と連携を図っている。必要があれば、精神科病院のカンファレンスにも参加し、支援方法について意見交換している。
6.子どもや母親の生活が安心・安定したものとなるよう、主体性を尊重した支援を行っている
- 生活ルールの設定やスペースの提供などは子どもや母親の意向を尊重して行っている
- 施設の行事や活動は、子どもや母親が参画しやすいように工夫し、計画・実施している
- 共有スペースは、子どもや母親の安全性や快適性に配慮したものとなっている
【講評】
施設内のルールはしおりに明示されており、必要に応じて随時に改訂して周知をしている
施設生活上のさまざまなルールは、生活のしおりに明示されている。事業所では、母親の集会などは開催しておらず、皆でルールについて意見交換する機会は作っていない。施設生活の決まり等に関する意見・要望は個別に聞き取りをしている。口頭の相談以外にも、意見箱が設置されており、投書で伝えることもできる。寄せられた意見は、内容に応じて施設サービスに反映をしている。このほかに、アンケート調査も実施しており、特に行事に関しては、都度、母子の意向を聞くようにしている。
子ども向けの決まりごとは子ども会議の中で話し合い、取り決めをしている
夏休みなどの長期休み前に子ども会議を開催している。この会議内で、施設のルールほか、さまざまな事柄について話し合いをおこなっている。子どもたちは、長期休みを主体的かつ計画的に過ごすにあたり、職員や他の子どもとともに、一般常識や公共のマナーなどについて学んでいる。子ども会議の記録には、熱中症予防、上履きの洗い方、交差点の安全な渡り方、防災や避難の知識などについて職員から教わり、話し合いをしたことが記載されていた。子どもの社会的自立につながる良い取り組みだと感じられた。
障害のある子どものため、施設内の各所に視覚的にわかりやすいマーク等を掲示している
発達や知的な障害を持つ子どもも受け入れているため、施設内の各所に、視覚的に分かりやすい表示をつけて安全の確保をしている。文字での注意書きや口頭での説明が伝わり難い子どももいるため、施設内の床に目立つ色のテープを貼り、安全な場所と危険な場所をエリア分けしている。また、自室のドアなど、入ってもいい場所には子どもの似顔絵を描いたマークを付け、他室への無断入室などを防いでいる。このような視覚的な工夫により、障害のある子どもがルールを理解し、安全に生活できるようにしている。
7.地域との連携のもとに子どもや母親の生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 子どもや母親にとって必要な情報を収集し、活用できるように提供している
- 地域の社会資源を、子どもや母親が実生活で活用できるように支援を行っている
【講評】
母子に必要な情報を収集し、集団・個別に情報提供をしている
児童館やスポーツセンターのほか、ニーズに沿って地域のさまざまな資源を紹介している。スポーツセンターに行って好きなスポーツを楽しむ利用者もいる。また、子どもたちが安全・安心に児童館へ行けるよう、子ども会議の中でマップを確認し、交差点など危ない箇所も併せて教えている。このほかにも、特別な支援が必要な子どもを持つ母に対し、行政や民間のさまざまな相談窓口、福祉事業者、医療機関などについて伝え、必要があれば同行支援もしている。就労の際も、ハローワークの場所をはじめ、就労支援事業所などの情報も提供している。
企業や宗教法人などからの寄付が多くあり、利用者へ公平に配布をしている
事業所には、企業や寺などの宗教法人、社会福祉協議会ほかから、多くの寄付の品が寄せられている。地域の人々の善意から頂いた物品類は、各母子世帯へ、平等になるよう配布をしている。寄付の品物は多岐にわたっており、衣料品などは好みに応じて提供している。また米や醤油、野菜などの食品類は、入所者と子ども食堂とで分配している。企業からは女性向けの化粧品やシャンプーなどが多く贈られており、クリスマス会などの行事で、プレゼントとして渡している。進学する子ども向けにランドセルなどもあり、地域からの恩恵を得ることができている。
子ども食堂や無料学習支援など、地域の人々に関する支援を数多く行っている
事業所では、施設の機能や経験を活かし、多くの地域貢献活動を行っている。区の補助事業として実施されている子ども食堂や、食事付きの無料学習塾は、地域のニーズを受け、利用者が増加の一途を辿っている。このほかにも、ウクライナ避難者への支援ほか、紛争地域から来日した母子への支援なども始めている。子ども食堂などの地域支援の場には、大学の研究者など、さまざまな人々も訪れている。地域貢献の活動は、事業所と地域との繋がりをより一層深め、ひいては母子の生活の幅を拡充することにもつながっている。
【講評】
個人情報の保護については、法人としての規定や施設の細則を備え、徹底している
事業所では、法人が定めた個人情報保護規定に加えて「さくら荘細則」を備え、利用者のプライバシーの保護について詳細に示し、すべての職員が徹底して取り組むようにしている。利用者の居室への入室に際しては、事前に連絡の上、承諾を得てから入室するほか、男性職員が入室する場合は女性職員が同行し、ドアを開放して利用者の安心を確保している。郵便物の預かりに関しては、利用者の要望に基づき、必要な対応をとっている。また、写真や映像などの撮影の可否や肖像権の確認についても同意書を用意し、プライバシーを守るようにしている。
母子生活支援施設の「倫理綱領」に基づき、子どもと母親の権利擁護に取り組んでいる
子どもと母親の権利を守り、尊厳を尊重した支援を行うため、事業所では、全国母子生活支援施設協議会が定めた「倫理綱領」を施設内に掲示し、職員全員の意識づけを図っている。倫理綱領に関しては定期的に研修を実施して意識啓発を行うほか、毎年度初めには外部から講師を招き、権利擁護について学ぶ機会を設けている。施設では、倫理綱領の基本理念「母と子の権利と尊厳を擁護します」に基づき、自立支援に反したり子どもの不利益になることを除いて、個人の意思を尊重して取り組んでいる。
日頃からの声掛けを大切にし、子育てを支援することで虐待を未然に防いでいる
虐待等を未然に防ぐため、事業所では、すべての職員が利用者の子育てを支援するという意識のもとで、利用者への日頃からの声掛けやちょっとした変化への気づきを大切にしている。土日等に子どもを預かる時間を設けることで、母親の育児疲れを軽減したり、子どもが職員に助けを求められる環境や雰囲気づくりに取り組んでいる。一方で、特に乳児の場合など、事業所に居室への入室権限がないため、虐待等への事態に瞬時に介入することが困難であることについては、制度上の課題として認識されている。
1.子どもや母親のプライバシー保護を徹底している
- 子どもや母親に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや母親の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どもや母親のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 子どもや母親の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもや母親の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 意見を表明しやすい環境をつくるなど、子どもや母親(保護者として)の権利が守られるように取り組んでいる
- 居室内での虐待等不測の事態が起きないよう見守る体制を整えている
- 子どもや母親一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
職員の業務の実態に即して様々なマニュアルを整備し、活用している
事業所では、日勤・夜勤などの各業務、日誌などの記録の書き方や報告の仕方、入所時・退所時の対応、自立支援計画票の作成の仕方や手順、災害や病気における緊急対応など、職員の実際の業務や支援の流れをマニュアルとしてまとめ、詳細に示している。職員は、業務の中で不明点があれば自主的にマニュアルを確認する姿勢をもち、活用している。他方、利用者の状況によってはマニュアルに沿った対応ではなく個別の対応が求められることもあり、その際は職員同士で相談しながら必要な対応をとっている。
マニュアル等は、毎年度末に見直すことが示され、効率的に行われている
各種マニュアルや規定等は、その見直しの時期についてもそれぞれの文書に示されており、毎年度末に見直しがなされている。見直しにあたっては、文書ごとに担当職員が割り振られ、効率化が図られている。また、施設では新規のマニュアル整備にも積極的に取り組んでおり、新型コロナウイルスへの対応については、既存の新型インフルエンザ対策マニュアルを活用し、早急にマニュアルを整備した。今後は、食事付学習支援等にかかる業務についてもマニュアル作成に取り組みとしている。
マニュアル等の見直しは、利用者や職員の意見、提案を反映し、有用性を高めている
事業所では、子どもや母親からの意見やニーズを汲み取り、それらをサービスに反映する仕組みを有している。職員は、利用者との日々の関わりや支援の中で、積極的に利用者の声を聞くよう取り組んでおり、また、定期的に行われる面談の機会を活用してニーズを把握している。利用者からの意見や提案は、職員会議やケース会議等の場で全体に共有され、現状のサービスに照らして必要な内容を反映している。また、マニュアルの見直しを担当制にすることで、職員の提案が反映されやすい環境にするとともに、マニュアルの有用性を高めている。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども、母親等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
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評価情報
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【講評】
理事長による理念研修を毎年実施しており、職員にも実践の振り返りを促している
理事長による理念研修を年1回、実施している。福祉に関わる先人たちの歴史、理念、生活の中に入り込んで支援していく精神を伝えている。非常勤を含めて全職員が受講し、受講後に感想を書いてもらっている。新規採用職員に対しては、OJTの中で理念などについて伝えている。事業計画で掲げられている、利用者に関連する重要事項や、重点項目は職員会議の中で話し合って検討している。その結果を事業計画に落とし込んでいる。また、職員には「実践報告」として、年間の個人総括をかねて、理念に基づく支援について振り返りを促している。
入所時面談で利用者に理念や方針を説明し、入所後に具体的なサポートを伝えている
入所時面談で、利用者に対して「生活のしおり」をもとに、事業所の理念や方針を説明している。しおりには、さくら荘の事業目的、社会福祉法人愛隣団の使命、さくらの荘の指針などのほか、生活面での重要事項について記載している。説明するだけでなく、入所後に職員が寄り添いながら、利用者への具体的なサポートを伝えている。利用者が意見が言いやすいような雰囲気づくりを心掛けている。見学時にも、質問に対して丁寧に回答している。利用者に関する重要事項は、書面、掲示、口頭で伝えている。
職員会議などでの検討を踏まえて施設長が意思決定しており、法人とも連携している
事業所運営に関する意思決定は、職員会議や小グループでのミーティングで検討し、施設長が最終決定している。必要に応じて法人連絡会議で許可を取ったり、報告をしている。年度初めの職員会議では、職務分担表(運営管理、事務、災害予防管理、保健衛生管理、援助、施設管理)で担当者を明記している。また、役割分担表として、事務用品・備品注文、会議係など、細かな分担も決めている。年間の行事予定も確認している。また、ケース報告や自立支援計画票の進捗状況、ケース記録の進捗状況なども会議で確認している。