評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)法人理念 「人は心」「信頼」「安心と安全」
2)保育理念 生涯を通して、社会を生き抜く力を養うことができる共異体の創造
3)保育方針 子どもの主体性を育てる保育
4)育てたい子どもの姿 和の心を持てる子 じりつ・きょういく
5)保育の方法 藤森メソッド(見守る保育)
職員に求めている人材像や役割
・子どものことを語れる職員
・問題解決型、問題提起型の職員
・誠実な職員
・保育者、栄養士、看護師として誇りを持つ職員
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
保育園は子どもたちが安心し安全に通えることを前提と考えます。
その中で、職員は人的環境として子どもたちに影響を与える環境の一部です。
どんな職員であるべきか、子どもの前でどのような立ち居振る舞いが適切なのか。
もちろん、職員の個性を大切にしながらも、プロとして誇りを持った行動を期待します。
また、保育はチームで行う事が大切です。互いを尊重し合う事、しかしそれは慣れ合うことではありません。
対話し合える関係づくりを目指します。
全体の評価講評
特によいと思う点
園はこどもたちの保育参画を積極的に推進する組織能力を持っている。こどもが発信する活動案を大切に取り扱い、活動として実現させる機会を数多く確保している。例えば、物品購入について、園は「ほしいものうかがいしょ」という用紙を準備し、こどもたちは自らほしいものや買いたい理由などを書いて園に提出する仕組みがある。これは一例であるが、こどもたちによる保育参画において象徴的な取組みである。こどもの心情や意欲を大切にし、こどもの権利を尊重した取組みであり、こども自らが園の活動に積極的に関わる態度が醸成される。
園が大切にしている保育理念の具現化という共通認識はもちろんのこと、次なる課題にどう向き合うべきかなどについても、職員間の認識にブレが少ない。これは、日頃から職員一人ひとりが積極的にコミュニケーションをとることで、めざす保育の実現を重ねてきた実績から得られたものと思われる。現場職員の着想をすぐに実行に移し、内容を振り返り、バージョンアップして自分たちのものにするエネルギーが組織全体にあることが大きい。職員同士だけでなく、経営層と現場、園と保護者も含めた「関係性の質」が組織全体の一体感をつくりあげている。
保護者がこども主体の保育の一コマや行事に参加する機会を持ち、保育者と一緒に「共育て」を楽しむ工夫がなされている。保護者からは「こどもたちが考える行事が素敵だと思う」「選択遊びができるのは大きい」などの声が寄せられ、園の理念や方針がこどもにも保護者にも浸透している。こどもが意見を表したり、主体的に活動したりすることで得られる喜びと楽しみを、園は保護者とともに味わっている。園が一方的な保育の提供者という位置づけではなく、こどもも保護者もともに保育の価値を生み出す存在となるよう、協働的な関わりを育んでいる。
さらなる改善が望まれる点
これまで園が取り組んできた数々の保育実践や、その活動を支える組織運営の方法は、保育業界全体に模範的に示すことができる実績と評価できる。当園は、保育界はもちろんのこと、子育て社会全体にも新たな価値創造を打ち出す潜在力を持っている。今後は、中長期的視点で事業を取り巻く環境を多面的に捉えながら、社会資源を含めた経営資源のさらなる活用を戦略的に考え、ダイナミックな経営の視点を持つことも検討に値するのではないだろうか。まずは、法人の経営幹部にも働きかけ、事業計画の策定プロセスを見直すことに着手することを期待したい。
優れたデジタルツールを各所に取り入れて、園がめざす保育の実現に活かしている。同時に、日々の連絡帳や記録など、オリジナルのアナログツールも上手に取り入れられている。仕組みと温かさが日常に備わっており、「この園に入れてよかった」「安心して任せている」など保護者からも安心と信頼を得ている。今後、さまざまな工夫が洗練される中で、こどもとのコンタクトタイムや、職員や保護者と密に対話をしているノンコンタクトタイムも、なお充実することが予見できる。さらには、他園のこどもたちに寄与するロールモデルとなることまで期待できる。
コロナ禍以前、園の地域活動は活発であった。地域防災訓練に際しては園独自の「かまど」を使った炊き出しをしたり、高齢者支援のための「大人食堂」に関わったりするなど地域とのつながりを意識した活動がたくさんあった。コロナ禍でも大根や芋掘りなど地域の畑を利用したこどもたちの豊かな活動の展開があり園の努力を評価したい。今後は、「こどもまんなか」の地域づくり実現に向けて、園の貢献を期待したい。園が大切にしている「こども主体」の考え方と実践の方法が地域に波及することは、今後の地域においても価値あることと思われる。
事業者が特に力を入れている取り組み
こどもたちと職員、さらに職員間においても、お互いをリスペクトし合う関係性の中で「問いかけ」のコミュニケーションが活発で、対話によって物事を解決するチームづくりをおこなっている。「アウトプット」を大切にした育成が根付いていて、職員が常に何かを発しながら、チームが常に進化し続けている。経営層の現場職員への信頼度は高く、多くの権限とチャンスを与えて職員が一丸となり、職員一人ひとりが園運営の担い手となっている。任せることで職員には意欲や主体性が生まれ、好循環のマネジメントを生み出している。
3歳4歳5歳児クラスが集う幼児フロアでこどもたちがダンボール箱を土俵に見立てて紙相撲に興じている。園外活動として出向いた文学館でこどもたちは大相撲を題材にした絵本の展示に触れ、園での活動に発展させている。題材の絵本を傍に置き、トーナメント表をこどもたち自らで作成するなど遊びを最大限に楽しむ姿がある。担当保育士はこどもたちの発想を大切にしている。紙相撲の製作、土俵となるダンボール箱の用意、そしてトーナメント表を作成できるボードの用意をするなど、こどもたちの遊びが豊かになる保育の工夫がみられる。
職員はどこまでもこどもたちを見守り、守ろうとしている。一方、遊びには大小の挑戦が伴い、「想定外の想定内」が起こることも理解している。そのため、こども自身が主体となって自分を守ることができるようにバックアップしている。例えば、看護師と栄養士は、セレクトした絵本の中からこどもに好きな絵本を選んでもらうなど、楽しんで学び合う「健康教育」を2歳児から実施している。「安全教育」も同様に、交通ルールや危険箇所を紙芝居を用いたり、実際にどう遊具を使って遊ぶかなどわかりやすく伝えている。結果、予防がなされている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:施設を利用するすべての世帯(91世帯、利用者総数110名)を対象とした。
- 調査方法:アンケート方式
アンケート方式
インターネットによるアンケート調査とし、アンケート回答用URLおよびQRコードを載せた書面を配付した。集計では、自由意見欄の回答において個人が特定されないように配慮し、表記の加工を適宜行った。 - 有効回答者数/利用者家族総数:78/91(回答率 85.7% )
有効回答率が85.7%と非常に高い中で、総合的な満足度が約99%(「大変満足」(74.4%)と「満足」(24.4%)との合計)であり、保護者からの信頼は極めて高い数値と言える。
また、設問別の調査結果では、「子どもの心身の発達」「子どもの興味や関心」「提供される食事の配慮」「清掃、整理整頓」「職員の接遇・態度」「病気やけがの対応」「子どもの気持ちの尊重」において、それぞれ90%以上の保護者が満足と回答している。
総合的な感想では、保育の取組や職員に対する好意的な意見が多く、大変高い満足度を得ている。
アンケート結果
1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
「はい」は98.7%、「どちらともいえない」は1.3%、「いいえ」は0%という結果だった。自由意見では、「子供だけの会議があるので子供にとってとても良い時間、良い経験のようです。」「決められたプログラム内容ではなく、子ども達の興味ある内容を組んでのプログラムなので、通園が楽しみな様子で助かってます。」「家庭ではできない色々な体験、経験をさせて頂いている。園内にあるかまどについても火を起こすところから園児が体験できる機会を作っていただいていてとても嬉しく思っています。」などの意見があった。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
「はい」は98.7%、「どちらともいえない」は1.3%、「いいえ」と「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「興味あることにより強く取り組める園なので満足しています。興味ないことも、しばらくすると興味あることに転じてることも多く、園で何か上手に声かけ等してもらっているんだろうと思っている。」「制作、創作においても決められたものをやらせるのではなく、園児から提案のあった意見を尊重して、園でできる範囲のものに噛み砕いて体験させて頂いているように思います。」などの意見があった。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
「はい」は93.6%、「どちらともいえない」は6.4%、「いいえ」と「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「昼食は和食中心で、おやつもおにぎりやパスタなど栄養価の高いものが多いです。下の子は牛乳と卵のアレルギーですが、除去対応がきちんとマニュアル化されており、安心して預けられます。」「学年のわりに離乳食の段階が遅かった子供に対して、こちらからの要望で段階の調整をお願いして適切に対応していただきました。おかげさまで今では毎日完食出来ている様子です。」などの意見があった。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
「はい」は87.2%、「どちらともいえない」は12.8%、「いいえ」と「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「真夏であまり外に出られない期間でも、絵本や先生のお話で色々な生き物や出来事などを把握できて来ていると思います。」「これまでコロナ禍で難しい部分もありましたが、できる範囲で地域の方々と交流する機会も設けていただいています。」「移動動物園など、なかなか経験できない企画があったりして面白いです。」などの意見があった。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
「はい」は73.1%、「どちらともいえない」は2.5%、「いいえ」は0%、「非該当」は24.4%という結果だった。自由意見では、「急な保育をお願いしても皆さん笑顔でいつも預かってくださり本当に感謝しています。」「前日でも相談にのってくれて大変助かっています。子供達も延長で残ることがマイナスに感じることがなく、その辺も何かしら園のおかげだと思っている。」「仕事の都合上どうしても連絡がギリギリになってしまうが、補食などの対応もきちんとして頂けて助かっている。」などの意見があった。
6.安全対策が十分取られていると思うか
「はい」は80.8%、「どちらともいえない」は16.6%、「いいえ」は0%、「非該当」は2.6%という結果だった。自由意見では、「不満があるという訳ではないです。子供は想定外の行動をすることがあるので、どんなに配慮しても安全対策が十分と言うのは難しいと感じています。」「先生方が子供たちをよく見て下さっていると感じている。その場を離れる際の声掛けや、申し送りがしっかりされている。」などの意見があった。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
「はい」は88.5%、「どちらともいえない」は10.2%、「いいえ」は0%、「非該当」は1.3%という結果だった。自由意見では、「保護者参加のイベントを基本的に土日にしてくれている。」「基本的に懇談会等は土日に設定していただいているので助かっている。」「年初に全て開示されているので、仕事などの調整をつけられます。」などの意見があった。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
「はい」は88.5%、「どちらともいえない」は8.9%、「いいえ」は2.6%、「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「定期的な個人面談があり、いろいろ相談できます。」「こどもの様子で気になることや不安なことを伝えると親身に聞いてくださり、保育中気にかけてくださったり報告してくださったりと感謝しています。」「子供を預けること以外に親同士の交流活動、先生方との交流活動をできる機会を作って頂いているのでとても良いと思います。」などの意見があった。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
「はい」は92.3%、「どちらともいえない」は5.1%、「いいえ」は2.6%、「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「綺麗で過ごしやすそうな空間が維持されていると思います。」「ものの置き場が決まっており、整理整頓しやすい環境になっていると感じます。」などの意見があった。
10.職員の接遇・態度は適切か
「はい」は93.6%、「どちらともいえない」は6.4%、「いいえ」と「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「比較的、服装やヘアカラーなど自由にされていると思いますが、先生達にも個性がありとても良いと思います。」「どの先生も対応がとても丁寧だと感じます。」「おしゃれな先生が多く、様々な外見の先生と幼い頃から接することでそれぞれの個性を認める事を自然に身につけてくれそうで良いなと思っています。」などの意見があった。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
「はい」は92.3%、「どちらともいえない」は6.4%、「いいえ」は0%、「非該当」は1.3%という結果だった。自由意見では、「すぐに連絡をくれますが、迎えの時間に関しては事情を考慮してくださいます。」「小さな傷に関してでも、お迎えの時に丁寧に説明してくださいます。発熱の時なども、看護師さんからお電話がありますが、いつもこちらの仕事の都合を配慮していただき、ありがたいです。」などの意見があった。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
「はい」は66.7%、「どちらともいえない」は10.2%、「いいえ」は0%、「非該当」は23.1%という結果だった。自由意見では、「まだいじめ等の大きな出来事には遭遇していませんが、お互いに我慢が出来なくて軽いイザコザがあったり、不機嫌になったりした時には、間に入って諭していただき、保護者へも様子を教えて下さいます。」「面談でいつでも相談してくださいと言われている。」などの意見があった。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
「はい」は94.9%、「どちらともいえない」は5.1%、「いいえ」と「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「園の先生に懐いているようで、気持ちを大切にしながら接してくれていることが伝わります。」「園の規模感もあると思うが、担当学年以外の保育士もよく見て、声をかけてくれるので、非常にありがたく感じています。」「連絡帳などから、こどもの意思を大切にしてくれていることが感じられます。」などの意見があった。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
「はい」は73.1%、「どちらともいえない」は11.5%、「いいえ」は1.3%、「非該当」は14.1%という結果だった。自由意見では、「話の内容によって場所を変えてお話しする等、配慮していただきたいです。内容によっては、話しづらさを感じました。」「問題ありません。」などの意見があった。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
「はい」は89.7%、「どちらともいえない」は6.4%、「いいえ」は3.9%、「非該当」は0%という結果だった。自由意見では、「連絡帳も、口頭でもわかりやすいです。連絡帳が写真なので文章よりわかりやすい。」「毎月の園だよりや、毎日のPDF配信、懇親会などで、わかりやすく伝えていただいてます。」「定期的に個別面談をして頂いているので、コミュニケーションは取れていると思います。」などの意見があった。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
「はい」は78.2%、「どちらともいえない」は3.8%、「いいえ」は1.3%、「非該当」は16.7%という結果だった。自由意見では、「以前、意見させていただいた事がありますが、何回かに渡って園長が対応してくれました。また、職員に伝えても伝達されていて翌日には何かしらの返答があるので、良いと思います。」「特に不満はありませんが、そのようなことがあったときには真摯に対応して頂けるものと信頼ができます。」などの意見があった。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
「はい」は33.3%、「どちらともいえない」は16.7%、「いいえ」は9.0%、「非該当」は41.0%という結果だった。自由意見では、「文章などで伝えられてます。」「役所や第三者委員会の話はまだ説明を受けた記憶がありません。ただし今のところ今の園とトラブルになる姿が想像できないので必要ない気もします。」などの意見があった。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
事業運営における身近な課題を短期間のうちに柔軟に解決する仕組みを持っている
現場で生じるちょっとした気づきや疑問などを、躊躇なく相談したり報告したりする「報連相シート」やICTを使った各種ツールが、園の課題解決に大いに役立っている。日常の保育の中で発生する諸問題を、職員が自分ひとりで抱えず、他の職員たちとすぐに共有し合い、相談事なども率直に出して解決につなげることができる仕組みとなっている。職員間のコミュニケーションの豊かさと現場チームの変化への対応力により、事業運営における身近な課題は短期間のうちに柔軟に解決されるようになっており、当園の組織の大きな強みになっている。
安定した仕組みにより、子育てに関わる多様なニーズへの取組みを計画的に行っている
園だよりなど各種の方法で、子育て家庭が抱きやすい疑問や不安に対して丁寧に対応している取組みを見ると、保護者ニーズの把握とそのニーズへの対応は計画的に行われていることが分かる。安定した仕組みを持っているため、保護者の期待に十分に応えていると言える。地域情報の収集も非常に積極的で、町内会との連携や地域における行事等での交流などの取組みを見ると、地域ニーズに基づいた園の取組みが、いかに計画的に行われてきたかが分かる。こうした流れを大切にし、さらなる発展に向けた今後の事業推進を見守っていきたい。
組織のさらなる進化のために、中期的見通しを持った経営が期待される
当園には、組織自体に柔軟性と対応力があるため、明確な事業計画策定プロセスによって事業を計画化しなくても、強力に事業を推進する力がある。とはいえ、これからは事業環境の変化を踏まえて保育事業の大局を見通しながら、身近な保護者の声や地域の多様なニーズを捉え、多角的な観点から事業課題を抽出できると、組織の持つ推進力がダイナミックに機能するだろうと思われる。組織内の課題についても、顕在的な課題だけでなく、将来発生する可能性があることへの視点も持ちながら中長期的な捉え方ができれば、組織がさらに進化できると思われる。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
通常の保育の中に、園の社会的責任意識の高さを垣間見ることができる
当園のように、こども一人ひとりの多様性が認められ、分け隔てない関わりがあり、こどもが主体的に自らの興味関心に基づいて活動を選択できることが保障された保育をおこなっていることは、保育における社会的責任の代表例ということができる。さらに、日々の保育や行事等でこどもたちがさまざまな企画を出して実現できる機会があり、「こどもの保育参画」も実現しており、このことから園全体にこどもの権利を大切にする考えが行き渡っていることが分かる。このように、通常の保育の中に、園の社会的責任意識の高さを垣間見ることができる。
常にこどもの視点で組織的に事業運営を行う素地がある
園では、常にこどもの視点で、保育活動の振り返りや保育環境の改善が行われている。赤ちゃん学会で「音環境」の大切さを学んでくるとすぐに吸音材を整備して、こどもにとって最適な環境に改善するなど、組織全体が「こどもにとってどうなのか?」という観点で事業運営をおこなっていることが分かる。定期的な研修会では、人権研修はもちろんのこと、こどもへの声かけの一つ一つについて多様なバリエーションを学び合う機会があるなど、現場目線での工夫も見られる。
持続可能な地域社会における当園の貢献には今後も引き続き期待が集まる
園では、当園の象徴的な取組みである竈(かまど)を使った活動を生かして、地域に園の魅力を伝えながら、地域とのつながりを創出している。園の保育が地域に知れ渡ることにより、自然な形で子育てを通じた地域への貢献がなされている。今後は、こうした地域づくりが発展して「子育てしやすいまちづくり」の発信につながれば、地域の活性化も期待できる。持続可能な地域社会への貢献という文脈の中で、当園の果たす役割や今後に向けた期待は大きいと思われる。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
「こども主体の保育」の一環として、安全な保育環境を構築し、運用している
めざす保育の実現を阻害する要因になりそうなことは、すぐに予防、対応できるように保育環境の中でリスク情報を掴みやすくしている。手順書やマニュアルなどの形式的な仕組みだけに頼らず、できるだけ現場で応じられるようにする工夫がある。例えば、大規模な地震等があった時に保育室のどこが安全であるかを、こどもたちもすぐに認識できるようなサインがあるなど、こども目線で分かりやすい実践が見られる。安全活動についても、与えるものではなく、こどもが自ら捉えられるようにする工夫事例であり、園が大切にする保育の一環として行われている。
リスクの芽を早い段階で摘むことができるように職員間でリスク情報が共有されている
日頃現場で生じる変化や気づきをいち早く職員間で共有する仕組みが機能していて、リスクの芽を早い段階で摘むことができるようになっている。園では、各種ICTの活用や「報連相シート」「ヒヤリハット報告」などにより、現場で問題になりそうなことがあれば職員が気づいて報告し、しかも相互に助け合って解決している。また、こどもたちも発達に応じて自らリスクにつながりそうな出来事があれば職員に声をあげられるような育ちを経ていて、リスクマネジメントにおいても、こども中心の考え方が浸透している。
事業継続に関する仕組みを整備し、危機発生時の対応力を組織として強化している
危機発生時の対応を事業継続計画として仕組み化し、組織として具体的に活動できる体制を構築している。初動で必要となる防災活動を計画化しているだけでなく、事業復旧につながる流れも時系列に示しており、経営層が危機発生時のシミュレーションを綿密におこなって策定をされたことが窺える。これは法人が大切にする理念「信頼」「安心と安全」の実践活動として高く評価できる。園が率先して事業継続計画の推進に取り組むことで、保護者の安心感は自ずから醸成されるであろうし、園運営が信頼性の高いものになるであろうことは容易に想像できる。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
職員一人ひとりの成長を言語化することにより職員が自発性を育みやすくなっている
職員一人ひとりの成長を言語化し、経験に基づいたスキルの見える化を、各自が「職員ポートフォリオ」というフォーマットで行い、職員が自らの行動を自己評価できるようにしている。この仕組みにより、園が職員にどういうスキルの獲得を求めているかを知ることができるようになっている。その中で職員は自らを振り返り、目標意識をもって自己スキルを向上させることができるようになっている。例えば、会議での発言や提案ができる度合いなどを自己評価する設計になっていて、職員一人ひとりが自主的に考えて行動する力を育てることを支えている。
失敗への恐れが少ない組織特性を持ち、職員の大きな原動力となっている
園が大切にする理念にブレがなく、職員がその方向性を常に確認できる仕組みがあるため、職員に迷いが少なく、何事もチャレンジしやすい組織風土が醸成されている。何か新しいことに取り組んで仮にうまくいかないことがあるとしても職員間で助け合いながら修正することができるため、失敗への恐れが少なく、発想が柔軟になりやすい。これが職員の大きな原動力となり、チーム一丸となった推進力を持つ組織特性をつくりあげている。めざす保育をやっていくんだという自覚を職員一人ひとりが持ち、いい意味のプライドが組織に生まれている。
職員の役割が相互にクロスオーバーすることで高い専門性が発揮されている
当園では、複数の専門能力を併せ持つ職員の活躍が目立つ。例えば、管理栄養士の資格を持ちながら保育士資格を習得する職員や、看護師でありながら保育士でもある職員、ICTに関する高いスキルを持つ保育士や海外での経験を活かす保育士などである。専門的な複数のスキルを持つ職員たちがそれぞれ持っている力を発揮しあってさまざまな役割を担っている。職員が自分の役割の領域だけをカバーするのではなく、複数の専門能力を重なり合わせることができるため、多面的な視点を交換し合うことが可能となっている。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
前年度に掲げた年間テーマ「多様性」から学んだ点を発展させる流れの中で、「生物多様性」を重要課題として捉え、具体的な活動につなげた。前年度からの延長線上にテーマ設定があったため、職員への浸透に無理がなく意識の共有化がスムーズに進んだように思われる。5月には職員研修として清里に出向き、専門家から生物多様性について学ぶ機会を持ち、さらに職員たちによる共有を経て保育の中でどのようなことができるかを考えて具体的な活動を展開した。この活動を通して、都会であっても生物多様性のつながりを感じられることに気づくと同時に、こどもも大人もこの関わりをありのままに捉えることの大切さを共有した。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
毎月園だよりに掲載される振り返りを見ると、こどもたちが「なんで?」「どうして?」と率直に抱く疑問に対し、保育士が時には一緒に悩み、こどもたちと同じ目線になって疑問を抱くことや考えること自体を共有するシーンが数多く紹介されている。こどもたちが自分の考えを伝えたり、相手の考えに耳を傾けたりする関わりの楽しさを得るなど、保育の中で重要な意味を持つ取組みだったと考えられる。生物多様性をテーマにしたことにより、常に身近にあるものの意味を実感することができたと言える。こうした取組みから得た「発見」を進化させるべく、次年度は「日常」に焦点を合わせ、日頃の何気ない活動にスポットライトを当てる取組みへと発展させることができた。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
毎年設定している「職員行動目標」を、「TRY(やってみよう)」に設定した。これは、保育の流れがある程度できてきた中で、やや受け身の姿勢になっているのではないか、新しいことにチャレンジする機会が減ってきているのではないか、という前向きな問題意識のもとで設定された課題である。具体的な取組みとして、行事のリーダーを若手中心にして、フォローに先輩が入るようにした。これにより、行事に関して運営チームと若手が直接話すことができ、「TRY」したいと思った時に背中を押すことがしやすくなった。さらに日々の保育については、「連携係」を設けベテランと経営層が話せる機会を多く持った。園の考え方を軸として、どのように保育を考えていくかを話す機会を設けたことにより、「TRY」できる幅を広げることができた。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
若手が中心となって各行事をおこなったことにより、さまざまな取組みへの自信が醸成された。若手が経営層と話す機会が増え、「TRY」する場面をつくることに役立った。ベテラン層は園の考え方をすり合わせながら、「行事」「保育全体」「保育事務」「リスクマネジメント」「研修」などの役割をつくり、主体的に「TRY」するに至った。「TRY」という言葉の定着はなかったが、職員が主体的に取り組める場づくりをしたことで職員の大きな成長が見られた。この活動により経験や役職等の関係なく園全体につながりができたと考えられる。当園の持つ前向きにお互いが助け合い、さまざまなことに柔軟にチャレンジするチームづくりにつながったと言えるだろう。
サービス分析結果
【講評】
園長などが率先して、保護者等からの声や面談を受け付けて丁寧な説明をしている
こどもにとってどんな保育なのか、保護者等が雰囲気も分かるように工夫して情報提供をしている。具体的には、毎月複数回の地域交流会(看護師と話す会、離乳食、園行事への体験参加、沐浴講習など)や、自園の「かまど」でこどもたちが調理した料理を振舞うなど、地域に開かれた取組みがある。その活動の様子を、地域各所への掲示やSNS等などを活用し、実際に目にしやすいように知らせる工夫をしている。面談や見学では、個別に丁寧な説明やフォローがあり、こどもにとって選択するに資する必要な情報が、保護者等に届きやすくなっている。
パンフレットやチラシなど、園やこどもたちの様子や雰囲気が「見える化」されている
園の目指している保育は繊細で高質である。それは、専門家でないと読み取れない側面も多分にあり、全てを言語化するには多くの言葉を要すると思われる。園では言語化する力もありながら、実際には初見となる保護者等の目線で、写真などをふんだんに使って「見える化」「分かる化」を優先している。例えば、「共異体」という考え方も、こどもたちをふっくらしたお米のイラストで表現するなど、「何だろう?」と興味関心が膨らむものへ「見える化」されている。そして、何気ない日々の会話の中で丁寧な説明を継続していることで「分かる化」されている。
ブログを中心に活きた情報を提供し、園は必要な情報が手軽に得られる工夫を行っている
園ではほぼ1週間ごとに、ホームページの中のブログで、最新のお役立ち情報を、「現場の生の声」で提供し続けている。例えば、「離乳食講座」「看護師のお話会」「はじめてのお月見制作」「シャボン玉ショーのご案内」「小中高生の保育士体験」「移動水族館のようす」など、写真を交えて活き活きとした中身を発信している。利用希望者等にとって、必要な情報が手軽に得られる工夫を日頃の活動の発信により実現している。園は情報を活きたものにし続け、常にメンテナンスを行うことで、誰もが自由にアクセスできるホームページの特性を活かしている。
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
職員からの温かくさりげない声掛けが、保護者やこどもの納得感や安心感になっている
保護者やこどもへの説明が一方的なものではなく、双方向的で園生活のイメージがわきやすい工夫がある。相手に寄り添った確認や大事にしていることの伝え合いの場や工夫が日常にある。例えば、入園のしおり、重要事項説明書、同意書を配布するだけでなく、職員から小さな不安の様子などに声を掛けることで、気兼ねなく話ができる。さらに、入園後もいつでも面談や参観できる機会を確保し、保護者やこどもから発せられた意向は、すぐに対応できる職員体制となっている。親子の絆や成長をあたたかく見守り、安心した通園を支える仕組みが機能している。
保育園に入園し、保育園を卒園することに対して、親子の不安を安心へと転換している
入園時にこどもが抱くと想像できる不安や恐れに対して園はきめ細かく対応している。慣れ親しんだ園を卒園する寂しさや不安に寄り添うことにも、園は敏感に対応している。園では、親子が感じる不安を全職員で温かく受け止める工夫がある。入園時に保護者の就労状況とこどもの姿を両面から捉えて、十分な職員配置のもと、その子に合わせた「慣れ保育」を実践している。卒園時には、保護者と就学前相談や懇親会などを行う。年長児は普段から小学校との接点を持ち、学区内の小学校の見学で卒園児と交流するなど、就学が安心や楽しみになる工夫をしている。
こどもや保護者がいつでも園に遊びに来られる環境であり、「心の故郷」となっている
園では入園前から入園が始まっている。卒園後も卒園が終わっていない。地域に根付き、こどもや保護者の拠り所となり、ゆるやかなつながりがいつからでもいつまででもある。例えば、「あら、先生こんにちは、駅の近くに寄ったもので」などと保護者が寄り道をして声をかけてくれたり、「せんせい、あそびにきたよ、ほら、ランドセル!」「ともだちできたよ、○○ちゃんだよ」などとこどもが顔を見せにきてくれる姿が日常にある。地域とのイベントや園庭の開放や園の行事などでも、在園児に交じり卒園児が楽しそうにしている。支援がずっと続いている。
1.サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
- サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
- サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
どの職員からでもその子のことが話せるように計画が立てられ、記録が共有されている
担任だけではなく、その子のことを園全体で考えるシステム作りがなされている。具体的には、その子の育ちがよく分かる先進的に開発されたICTなどを全職員が使い、発達経過記録、園日誌、昼礼、月案会議、ケース会議などへ展開させ、「その子理解」を深めている。家庭とも、連絡帳、申し送り表などで日々共有し、切れ目のない報告・連絡・相談・記録の流れを徹底している。例えば、年間の指導計画でも振り返りを1期毎(3か月)で行うなど、こまめさ、スピード感、緊密さに特徴があり、その子にとっての最適な環境構成や支援につながっている。
全体的な計画、年間計画、月間計画、週案のつながりから、一人ひとりの子を見ている
ひとつながりの計画は、目の前のこどもの発達の程度、家庭の状況の変化や意向などを加味して実施され、振り返り、見直されることで、「和の心を持てる子」の育ちが営まれている。具体的には、こどもの育ちを可視化するICTの利活用を中心に、年齢に合わせた個別計画の作成をスムーズに行い、クラス会議でねらいや配慮事項の振り返りをしている。職員が抱え込まないように、組織としてこども一人ひとりの課題を共有している。例えば、「連携会議」などで配慮児や気になる子の様子などを持ち寄り、アプローチ方法や配慮事項をみんなで考えている。
保護者の声もこどもの声の一部として捉え、素早く穏やかなフィードバックをしている
園では、保護者はこどもが安心と信頼を寄せる「安全基地」であることを理解している。そのため、職員と保護者とのやりとりは「報連相シート」に記入され、運営を担うメンバーなどと一緒にすぐに対策ができるよう取り組んでいる。また、保護者からの「申し送り表」や「ご意見箱」がある。「~のこと、ありがとうございます」などと感謝の声から、「~してほしい」などとリクエストの声も丁寧に吸い上げ、真摯に対応をしている。ねらいに基づくこどもの様子や気づきなどをわかりやすく説明し、保護者の意見を大切に受け止めて保育に活かしている。
1.定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
- 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している
- 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
- 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、保育の過程を踏まえて作成、見直しをしている
- 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
- 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
- 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
3.子どもに関する記録を適切に作成する体制を確立している
- 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報について、職員間で申し送り・引継ぎ等を行っている
- 子ども一人ひとりに対する理解を深めるため、事例を持ち寄る等話し合う機会を設けている
1.子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている
- 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
- 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
- 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
- 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
- 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
- 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】
小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
【講評】
こどもの興味関心に合った、こども自ら働きかけられる遊びの環境が充実している
こどもの成長発達に合わせた遊び環境が用意されている。3歳未満児の保育環境にはこどもが保育者とふれあい遊びができる場があり、またこども自身の興味関心好奇心をもって玩具等を選んで遊ぶことができるよう保育環境が工夫されている。3歳以上児には小集団で遊べるゾーンが遊び環境として設定されており、ブロック、絵本、生物科学などのゾーンでこどもたちが他児と関わって遊びに興じる姿がみられた。職員はチームで保育することによってこどもの興味関心を的確に把握し、環境会議での振り返りによってこども主体の保育を保障している。
こどもの文化習慣・発達の違いをありのままに受け入れ職員はこどもと関わっている
年齢や文化・習慣の違いを前提としない保育を職員は心がけている。図書コーナーにはトランスジェンダーの絵本や日本以外の国や地域の文化を知ることができる絵本を配架しており、人間の多様な生き方、生活の仕方にこどもたちが興味関心を持てるよう保育環境を構成している。また、地域の人々との交流により地域の文化にふれる機会もある。特別な配慮を必要とするこどもを「特別な配慮」という枠組みで括るのではなく、一人のこどもとして他児と分け隔てなく応答的で公正な関わりができるよう職員間で共通理解しようとする園の取組みがみられる。
相手がどんな気持ちなのかこども自ら分かる取組みが3歳未満児室から実施されている
3歳未満児が集う保育フロアでは、こども同士でふれ合う姿がみられた。職員はこどものかみつき、ひっかきに十分に注意しながらも乳児からのこどもたちの関わりを大切にしている。たのしい、かなしい等の感情表現を表す顔の絵を掲示して相手の気持ちを察することをこどもたちに促している。幼児保育フロアにはじっくりと話ができる「談和室」(あえて「話」を「和」と表示)を設け、「和の心を持てる子」を大切にした取組みとして、自分や相手の心を知ったり心を整える機会を保障している。
2.子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている
- 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
- 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
- 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
- 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
【講評】
こどもの生活の連続性に配慮した家庭と園との情報伝達、連携を重視した取組みがある
こどもの園生活の始まりである登園時には、こどもの体調、気持ち、普段と異なっていることがないか職員が保護者に確認している。また「申し送り表」があって、前日にあったこと、保護者に伝えたいことを記録し、職員間で共有しながら保護者への伝達を正確なものにしようとする園の姿勢がみられる。申し送りはできるだけ担任がするよう体制を整えているが、直接伝達以外にも「連絡帳」や情報伝達アプリによってこどもの園生活を保護者が分かる園の取組みがあり、利用者調査から園と保護者双方のコミュニケーションがうまく取れていることが分かる。
保育士栄養士看護師が協働して食事や排泄等生活習慣の大切さをこどもに伝達している
こどもたちが食事への意欲を高めることを目的とした年間食育計画が立てられている。計画の一つに「食材に触れて食に興味をもつ」というねらいを立てた具体的な食育計画があって、さやえんどうのすじとり、とうもろこしの皮むきをこどもたちが体験する。その際保育士と栄養士調理師等による実施に向けた相談があり、その相談に基づいた作業工程計画が綿密にねられ実行に移される。実施した後の振り返りも欠かさない。看護師と栄養士が連携して「噛むこと」の大切さなど「健康教育」の実践によってこどもたちが生活習慣の大切さを知ることができる。
午睡・休息は、家庭との連携の下、こども一人ひとりの生活リズムに配慮して実施される
入園時の個人面談票を用いた家庭でのこどもの生活スタイルを園は丁寧に確認し、園の保育につなげている。午前寝が必要なこどもには午前寝を保障したり、横になって休息をとったり、午睡を取らずに起きて静かに活動したりするなどこども一人ひとりの成長発達、生活リズムに合わせて午睡・休息に関わる保育を実施している。午睡・休息の取り方については家庭との連携を密にし、都度確認しながら実施するなど園としてのこまかい配慮がうかがえる。また、職員の会議においてもこども一人ひとりの午睡の様子を職員間で共有するなどの丁寧さが園にはある。
3.日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している
- 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
- 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
- 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉(発声や喃語を含む)や表情、身振り等による応答的なやり取りを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
- 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
- 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
- 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
【講評】
こどもの遊び込む体験を大切にすると共に、こどもの自主性や自発性を尊重している
こどもが自分の好きな遊びを見つけ、用意された玩具等を選んで遊べるよう園は心がけている。3歳未満児から絵本やブロック、電車やおままごとなどのゾーンをこども自ら選んで遊んでいる。園は玩具の数や種類、部屋の広さ、明るさ、棚の高さ等を十分に考慮しながら保育環境を設定している。こどもと対話しながら、遊びの選択の幅を広げている。また自発的な遊びが自己効力感の育みにつながると園は考えている。定期的に保育環境会議を開催し、遊びの環境の計画と見直しをすることでこどもたちが遊び込める空間と時間への配慮を怠らないようにしている。
どんな行動もこどもの表現だと捉え、その表現を受容しようとする姿勢が園にはある
こどもの表現の幅を広げることに園は熱心だ。さまざまなこどもの表現を受容すると共に、いろいろな表現方法をこどもが知るきっかけとなる活動を取り入れている。演じる楽しさを知る表現遊び、リトミック、身体表現遊び、造形絵画、ダンスや和太鼓などの遊びをこどもたちは選びながら楽しんで遊んでいる。特に和太鼓の表現活動は「和の心を持てる子」という園の育てたいこどもの姿に連動する活動となっている。こどもたちの主体的な表現活動を重視し、その表現を受け入れ、こどもにとってよりよい環境を構築する姿勢が園の保育活動の中に確認できる。
他児と関わりながらこどもがきまりと自己コントロールの大切さを知る機会を設けている
乳児期より他児を意識できる「朝の会」を設けるなど乳児からのこども同士の関わりを園は大切にしている。その後の発達過程においても異年齢、同年齢で関わる活動を通してきまりの大切さ、自分をコントロールする力の育みを園はこどもたちに保障している。その際、簡単なルールがある遊びを通して「きまりを守る楽しさ」をこどもたちが味わえるよう保育を工夫している。自分の欲求を満たしつつ、相手の意見に耳を傾けることで「大切にしたい3つの力」の一つ、知る力=「自分と自分以外の存在について知ろうとする力」を育むことにつながるであろう。
4.日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している
- 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
- みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
- 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
【講評】
普段の保育同様、行事においてもこどもたちの主体的な保育参画を園は大切にしている
園はこどもの選択、決定を大切にしている。行事の計画にもこどもたちが積極的に関わっている。コロナ禍を経ての夏祭り、こどもたちがどう関わるかが問題だったが、1週間の夏祭りウィークとし、こどもからの提案である「ようかいやしき」や「いざかや」(ブロックで寿司やえいひれを作った)を実施するなどこどもたちがさまざまな企画を出して実現させているところはこども主体の行事になっているといえよう。職員が出すブースにはこどもたちが手伝う姿もあり接客の仕方を学んだという。こどもが主体的に参画して取組む行事を園は実施している。
こどもたちがアイディアを出し合いながら協力してやり遂げられる行事を実施している
夏祭りや成長祭の実施に当たってはこどもたちの話し合い「会議」を通して準備を進めていく姿がある。準備を進めていく際、必要なものを考えたり用意したりする中で他児の考えや意見を知り、自分たちが考えたことを形にして実行し、協力して取組んでいる。こどもたちが必要と考えたものの購入には「ほしいものうかがいしょ」をこどもたち自らが作成し園長に伺うという過程があって、こどもたちによる積極的な行事参画のひとつといえよう。「親子レクリエーション」や「成長祭」では、こどもたちが係分担を引き受けスタッフの役割をこなしている。
年度当初に年間行事予定を保護者に知らせることで行事への理解や協力を得ている
園は行事当日の「結果」を保護者に見ていただくと同時に、行事当日までの準備「過程」を保護者に伝達することを重視している。行事の準備こそはこどもの成長過程を保護者が感じる機会になると園は判断しており、「一日の様子」「園だより」「おしらせ」等を通じて準備過程を保護者に伝えることに園は積極的だ。園からの情報伝達によって保護者も楽しみながら園の行事づくりに参加していることがうかがえる。保護者の行事当日参加については土日の開催や年度初めに年間予定を開示することで保護者が参加できる確率が高くなっており評価されている。
5.保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている
- 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
- 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
【講評】
長時間保育年間計画書に基づき、こどもが安心して延長時間を過ごせるよう配慮している
園は長時間にわたって園を利用するこどもたちが安心してくつろいで過ごせるようあらかじめ「長時間保育(延長保育)年間計画書」を策定している。保育の目的、保育の配慮が明記されており、期ごとに配慮事項を確認し振り返って保育を実施している。「延長の時間に楽しめる環境の中で、異年齢のこどもたちとの交流の中で思いやりの心や社会性を身につける」という目的は、延長保育であっても子どもにとって大事な時間と捉えた保育の心がけの表れだ。実際、夕方の保育では、保護者の迎えを待つ間、落ち着き、くつろいで過ごせるよう配慮されている。
夕方の保育には畳敷の和室を使うなど、こどもたちがくつろげる環境を用意している
園の2階には畳敷の和室がある。丸テーブルの家具やブロックの遊具が設置されており、楽しんで過ごせる玩具も豊富だ。畳のフロアは床に座ったり時には寝転んだりしながらくつろいで過ごすことができ1日の疲れを癒す最適な場といえよう。1日の保育活動を経て夕方ゆったりと過ごせる場所が用意されているのはこどもの安心感を保障することにつながっている。保護者の迎えを待つ間、少人数のこどもたちのふれ合いがあり、好きな玩具を用いながらゆっくりのびのびと時を過ごすこどもたちにとっては、日中の保育とは異なる格別な体験の時間なのであろう。
異年齢児交流の中で楽しみながら落ち着いて過ごせる長時間保育を実施している
延長保育に関わる「遅番日誌」があり、月極利用者とスポット利用者に分けてクラス、名前、降園時間及び「申し送り」事項が記入されている。担当の保育者が異年齢で過ごす利用児各クラスの担任から得られた情報を「申し送り」に記載し保護者へ正確に伝達している。延長保育時間では担任ではない職員とこどもが過ごすことになるのでゾーンにない玩具を用意しこどもが寂しくならないように保育者がしっかりとついて保育している。異年齢児の関わりが繰り広げられる時間をこどもたちは楽しみながら落ち着いて過ごしている。思いやりの心も育まれている。
6.子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している
- 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
- メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
- 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している
- 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
- 保護者や地域の多様な関係者との連携及び協働のもとで、食に関する取り組みを行っている
【講評】
こどもが快適に食事をとれるような時間や食べる量、食べる場所への配慮がみられる
こどもたちがお腹の空いたタイミングで食事スペースに来ることができるよう時間が工夫された食事の提供を園は心がけている。幼児の食事は異年齢で実施されることからこどもが自分のサイズに合ったテーブルとイスを選んで座れるよう配慮されている。テーブル中央のマークでどのクラスのこどもが座れるかが分かる。「いっぱい」「ちょっと」と食事の量を自分で選択したり好きな量を言って配膳してもらえるセミバイキング形式を取り入れている。季節の行事に合わせた音楽を流したり、テーブルの真ん中に花を据えたり、食事の環境がよく整えられている。
出し汁や郷土料理にこだわった和食中心の食事を園はこどもたちに提供している
園は和食中心の食事提供を心がけている。汁物、主菜、副菜がある和食はいろいろな食材を一度に食べることができ、こどもたちが多くの食体験や味の記憶を積み重ねられると園は考えている。また、こんぶやかつお等の出し汁へのこだわりがある。だしをきかせ、薄味で添加物のなるべく使用していない調味料を利用するなどこどもの健康に配慮した食事への工夫が確認できる。四季のある日本ならではの「旬」を味わえる食材の提供、そして日本各地の郷土料理を紹介するメニュー、季節ごとの行事に込められた願いを伝える食の提供は、園のこだわりの一つだ。
クッキングや食材の下処理活動などを通じてこどもたちは食についての関心を深めている
幼児クラスではクッキングが保育活動の中に取り入れられている。チンゲン菜などを使ったみそ汁づくり、柑橘系の果物を用いて作るゼリーづくりなどさまざまな料理づくりにこどもたちはチャレンジしている。クッキングの体験から料理の出来上がる過程を知り、同時に食に興味がわき食べたいという思いが起こることをこどもたちに期待している。また、食材の下処理活動を計画的に実施している。さやえんどうのすじとり、とうもろこしの皮むき活動を興味関心、発達段階に応じて行うなどこどもの選択を保障しながら食への関心を深めるよう取組んでいる。
7.子どもが心身の健康を維持できるよう援助している
- 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
- 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
- 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
【講評】
看護師と栄養士が協働して健康やけがに関するこどもたちの意識づけを図っている
年間の事業計画のもと、園では看護師と栄養士とが協働して2歳児クラス以上のこどもたちに「健康教育」を実施している。例えば、暑くなる前に、熱中症の危険を回避するためにどうしたらよいか紙芝居で知らせたり、外での帽子の着用、水分補給の大切さ、朝食を食べないと熱中症になりやすいことなどを伝えたりしている。また、デジタルホワイトボードを用いて噛むことの大切さを視覚に訴えながら看護師、栄養士が協力してこどもたちに伝達している。健康でいることの大切さをこどもたちに理解してもらう取組みを園は大切と考え定期的に実施している。
こどもがけがを負ったり事故に至らないよう会議等でリスク情報の共有を徹底している
昼礼、乳児会議や幼児会議、「報告・連絡・相談」シートにはヒヤリハット等けがや事故につながる可能性がある案件が取り上げられ、実際のけがや事故に至らないよう職員の意識化を図っている。ヒヤリハットの提出の仕方について、前日の夕方からその日の日中に気づいたことを翌日にはあげる取組みを園は徹底している。ただヒヤリハット案件をあげるだけではなく、その対応策も同時に提案するよう職員に求めるなど、けがや事故の発生を未然に防止することに園は余念がない。見守る保育を実施しながらこどもの安全の確保をさまざまな角度から図っている。
毎月の園だよりを通じてこどもの健康に関する情報を保護者に発信し留意を促している
毎月保護者向けに発行される「園だより」には「給食だより」「保健だより」のコーナーがそれぞれあって、食と保健の両面から保護者の育児を支援する情報提供がなされている。給食だよりでは「味覚を育てよう!味覚の発達のピークは3〜4歳!?」などのようなこどもの発達に加えて「健康で美味しい給食」そして食事について保護者にアピールしている。また「保健だより」では爪の管理、薬の預りについての留意事項と同時に地域の感染症流行状況、歯の衛生週間のような季節ごとに強調される健康保持の取組みについてもわかりやすく情報伝達されている。
8.保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている
- 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
- 保護者同士が交流できる機会を設けている
- 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
- 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
- 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
【講評】
保護者の子育てをすぐ隣で伴走し、保護者の子育て力が自然と育つ工夫を続けている
こどもを第一に保護者が少しでも楽に子育てを楽しめるさまざまな仕組みがある。例えば、こどもや保護者の様子の変化は園全体で共有される。日々の保育者のねらいや意図が保護者に分かるように伝えている。延長保育や土曜保育は柔軟に受け付けている。それら一例の積み重ねで、子育ての不安が早期に緩和され、子育ての喜びを感じ取りやすい。特に、土曜日のいちご広場の開催、懇談会、成長祭など、保護者同士が心の内を出し合って交流し、園行事などにも一緒に参加する機会があり、子育てが孤立せず、保護者同士が子育てを支え合う力を引き出している。
本来の行事の意味や良さを捉え直し、保護者との豊かな関係づくりを育んでいる
小規模にしていた行事の規模と質を再構築する試みが行われている。例えば、親子レクリエーションでは、異年齢が一緒に行い、こどもも保護者もともに発達や成長を喜び合っている。成長祭では、こどもたちが考えてつくり上げた劇の発表を保護者に見てもらい、本気の本領発揮を引き出している。行事アンケートでは、「こどもたちの成長したと感じた点」を聞く工夫をしていて、行事の目的を「園と家庭とがこどもたちの成長を喜び合うこと」と改めて捉え直す機会をつくっている。保護者への問いかけを通じて、園との豊かな関係づくりを育んでいる。
三者で一体的に行う子育てが、保護者と園の厚い信頼関係を醸成している
日々の保護者とのたゆまない会話や対話はもちろんのこと、希望する保護者が半日保育体験できる「1日保育士」の実施や行事等への保護者の積極的な参画などを通して、こども、保護者、保育園の三者で子育てを一体的に促進している。利用者調査では「保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか」という項目で約99%が「はい」と回答していることからも、保護者が園を高いレベルで信頼していることが分かる。「当園はこどもの個性を伸ばしてくれる園」といった口コミを見ても、保護者との関係づくりが非常に豊かであることが分かる。
9.地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
- 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
【講評】
こどもが自分自身が大きく育っていくことのイメージが、地域交流の中で広がりやすい
園内では、大人が求めるわけではなく、卒園児の小学生が進んで「保育士体験」で園に来て、小さな保育士となりこどもたちと交流をしている。そのためこどもたちは、小学生の先輩から小学校生活や地域生活を、リアルに感じ取っている。園外では、地域行事、遠足、散歩など、地域の住民やこどもと触れ合い、園児が楽しんで交流をしている。さらに「かまどウィーク」を設定して、地域の住民やこどもを招待し、かまどで豚汁を作りふるまうなど交流する機会を設けている。それらがあいまり、こどもたち自身が地域住民である小さな自信と喜びとなっている。
地域交流の中で多種多様な子育て家庭を受け入れ、こどもが多様性を身近に感じている
地域の子育て家庭と交流しやすいように、さまざまな取組みを演出し、ともに楽しんでいる。具体的には、紙芝居、造形の展覧会、ブロックを使ったイベント、移動動物園、観劇、獅子舞、園庭を随時開放など、年間で合計96家庭もの参加がある。こどもが地域のいろいろな家庭と関わる貴重な機会ともなっている。同時に、さまざまな地域との触れ合いや交流できる機会を設けることは、地域への還元でもあると捉えている。地域食育として地域の方にクッキング教室を展開するなど、こどもを地域で育む相乗効果が生まれている。
地域の町内会や他園などと定期的な集まりを通してつながり、活動の幅を広げている
こどもたちの活躍の場は、地域に開かれている。実際に町を歩けば、いたるところから声をかけてもらったり、見守ったりしてくれている様子が分かる。それは、地域の豊かな資源を園だけの材料と考えず、お互いに相談し合い、意見を聞き合える環境そのものを地域資源とし、地域全体を子育ちの場とする意識からである。具体的には、町内会と連携して地域の町づくりの中で防災を考えたり、他園とスポーツを通して園児同士が交流したり、地域の園長会で地域のこどもの姿を熱心に語り合うなど、こどもたちの現在から未来への地域社会を支えている。
【講評】
「自分は好き」「自分は嫌」など、こどもが意思を安心して表出できる支援をしている
一人ひとりに異なる個性やプライバシーを、小さなものと蔑ろにせずに、人と人との目線で尊重している。大人がされて嫌なことは、こどもにもしていない。例えば、着替えや排泄の場面で、年齢や性別などの差異に関係なく、「恥ずかしい」という思いを汲み取り見えない環境作りを工夫している。「こどもたちにとってどうか」の視点で、常に話し合いや定期的な研修会がなされ、一人の価値観ではなく多面的な捉え方でこどもの権利を認め合い、多様性を進化させている。保護者とも理解を深め合い、大人とこどもの区分を超えて、実際に実践が実現している。
こども一人ひとりの権利を守るために、言い合える職員関係(心理的安全性)がある
こどもたち一人ひとりの権利を認めて受け入れるために、職員がお互いの違いを発見する機会やきっかけ作りとなる園内研修を豊富に設けている。例えば、こどもに対する「声掛け研修」など、職員の日常の課題感(よりよくしたい想い)から職員自身による研修が企画され、学び合っている。保護者に対しても、入園のしおりなどで、「チーム保育」で協働してこどもと関わるために、「お互いに思いがある時には対話ができるよう、普段から心理的安全性に配慮して保育します」と宣誓し、こどもの権利の観点を軸にした話し合いをそこかしこでおこなっている。
内部の振り返りだけでなく、外部の有識者の専門的な知見をふんだんに取り入れている
内部では、「世田谷区保育の質ガイドライン」の「子どもの人権チェックリスト」などを用いて、「本当に一人ひとりを見ることができているのだろうか」「選択をしていたら本当に主体的だと言えるのか」「その子の本当の困りどころを保育者はわかっているのか」など、定期的に問い合う機会を設けている。そればかりでなく、外部の有識者による巡回相談、カンファレンスをしたり、「子どもの人権研修」「子どもを深くみる保育者の専門的なまなざし」などを始め、豊富な外部研修を職員が分散して受講して共有することで「当たり前」の基準を高めている。
1.子どものプライバシー保護を徹底している
- 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
- 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している
- 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
- 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
- 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
【講評】
職員同士が業務の目線合わせをする意識が定着し、先んじてアップデートされている
保育においてバラつき、ごまかし、慣れ合いが生じない工夫がなされている。例えば、保護者に渡している入園のしおり、重要事項説明書などは、保護者に理解してもらうだけではない。一つの指標として全職員が理解し合い、各所の意見を取り入れ、ズレやブレがないか、よりよくできる余地がないか振り返り、誠実な保育に帰結させる共通認識がある。個々の「振り返りシート」などで基本事項の底上げを図っていることと、園全体の「マニュアル」「チェック表」などで業務レベルの即時見直しを図っていることが、両輪となり保育の質をアップデートしている。
園の標準を、常に自ら考えて挑戦し続ける仕組みが機能している
こども家庭庁が「こどもの発達の鍵」として示す『安心と挑戦のサイクル』にあるように、築き上げて安定した保育の流れに甘んじず、自ら考えてトライし続けようとする考えをもとにした標準化が築かれている。「行事」「保育全体」「保育事務」「リスクマネジメント」「研修」などの役割をつくり、全職員が能動的に考え合い、協力して取り組める仕組みにより、日常業務につながりと伸びしろを持たせている。さらに、全体約20の「係担当」では、各々が力を発揮し合い、こどもたちの「知る力」「生み出す力」「協働する力」の手本となっている。
新任職員のみならず、実習生やボランティアが活躍できる手順等を明らかにしている
新任職員に対して、業務を行う上で段階を踏めるオリジナルのシートを用いて無理なく業務を行えるよう配慮し、手順等を示している。また、いつでもだれでも基本に立ち返ることができるマニュアル等の更新も随時なされている。これらの積み上げが、例えば年間で、各種の「保育実習」では8名の保育士の卵を受け入れ、「職場体験学習」では6名の中学生を受け入れ、「小学生保育士体験」では38名もの受け入れを実現させている。アウトプット(教えること、伝えること)によってインプット(教わること、気づくこと)をしており、好循環となっている。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
事業者のコメント
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【講評】
園に関わる人たちみんなが、園が大切にする保育の実現者になっている
園が大切にする保育理念は、言葉としての共通認識という概念を超えて、保育実践の中で体現するレベルで浸透されている。これは職員間にとどまらず、こどもたちや保護者にまで波及している。こどもたちは自らの活動をどうしたいかを考えて実践していて、このことを保護者も共感し、園の保育の主体者になっている。園に関わる人たちみんなが、園が大切にする保育の実現者になっている。職員たちは「保育には終わりがない」という共通の考えを持ち、一人ひとりが「どうなりたいか」を実現するメンバーとして、大切にする保育を常に進化、発展させている。
職員間の風通しのよさが決定事項の合意を形成し、重要事項に関する納得性を高めている
職員たちが忌憚なく意見や感想などを言い合い、聞き合う関係性を持っているため、物事の決定に関する合意が得られやすい。おかしいと思うことがあれば率直に聞いたり話したりしても人間関係を悪くしない「心理的安全性」が確保されていることから、情報の伝達が速く、変化に対して柔軟に対応できる組織風土を持っている。職員間の連携を行いやすくする仕組みがあることに加え、ちょっと気がかりなことがあるとすぐに報告や相談を行う仕組みがあることから、日頃の保育において何を重視すべきかの共通理解が自然に醸成されている。
職員一人ひとりがリーダーシップを持ち、園運営の実践者となっている
誰かの指示命令による統率型で園運営を行うのではなく、園が大切にする理念や方針のもとで職員一人ひとりが園運営の担い手のように自分事として動く組織特性を、経営層や職員たちがつくり出している。このため、多様な職員の得意技や個性、独自性を活かしあうことができている。既存の枠組みを超えたダイナミックな経営の実践を可能とする力をもっているだけに、今後どのような園経営をすることになるか、大きな期待を持つことができる。こうした園の持つ組織特性が、保育界にも大きな貢献をもたらせば、大きな価値を持つことになると考えられる。