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自分に合った靴の選び方

7.足にかかわる障がいや病気、症状に応じた靴選びのポイント(1)

体の障がいの中には、とくに足や歩行に気をつけなければいけない場合があります。例えば、足・足趾の関節に変形や痛みがある、足に感覚麻痺があるため傷があっても痛みがわからない、左右の脚(あし)の長さが違う(脚長差)、片側装具をつけていることによる靴の着脱や左右の高さ調整、むくみ、足に合わない靴による皮膚や爪の疾患など、その他多くの問題があります。これらは医療チェックを続けていく一方で、靴選びや履き方への配慮により、かなり改善されることもあります。ここではいくつかの症状における靴選びについてご紹介しましょう。

足の症状

図1 開張足

図2 開張足(底面)による胼胝のできやすい位置

図3 外反母趾の靴つま先形状

図4 トウボックスの高さ


開張足と偏平足

足の前足部が足趾方向に向かって扇状に開き、横アーチが低下した状態を開張足(かいちょうそく)といいます(図1)。足の前足部に力がかかることで起こりやすくなります。また縦アーチが低下した状態を扁平足(へんぺいそく)といいます。この二つは同時にも起こりやすく、外反母趾など足趾の変形や皮膚疾患をもたらす原因になりやすいのです。皮膚疾患としては、足裏の第2または第3中足骨の骨頭付近に胼胝(べんち)(たこ)ができやすくなります(図2)。そのようなときは靴の中に横・縦のアーチ補正をすることが大切です。その方法として、靴の中底の必要な位置にパッドを取り付けるか、すでに足のアーチに合った補正がなされた中敷きを入れます。

 

外反母趾

母趾が外反(体の中心から外側に向く)した状態をいいます(前頁図3)。そのことで母趾の付け根の関節が飛び出し、関節に腫れや痛みを伴うことがあります。 外反母趾は、開張足や扁平足から起こることが多いと考えられています。また小趾(第5趾)が体の中心に向かって内側に傾くのを内反小趾といいます。靴はできるだけ先端の形が先細りになっていないデザインのものでヒールが高くないもの、靴幅(足趾の付け根に相当する位置の幅)は立った状態で足幅寸法に合っているものをできるだけ選ぶようにします。靴幅は狭すぎるのはもちろん、足趾に負担がかかりよくありませんが、逆に広すぎるのも横ぶれを起こし、様々な症状の原因ともなります。幅広の靴は、足の甲がしっかり固定されているものであることが大切です。図3のようなつま先の形状が丸みを帯びたオブリークカットになっているものは、外反母趾の場合に適しています。また、足趾の関節が当たる部分が伸縮素材になっていると圧迫されずに楽です。

 

ハンマートゥ

足趾の関節が山形に変形するもので、趾先が床に着いているものをハンマートウといいます(前頁図4)。原因は様々ですが、靴によるものとしては、サイズが小さすぎて足趾が常に圧迫され続けている場合や逆に靴幅が広すぎて足趾が靴底を吸いつけようとすることから起こることがあると考えられ、第2趾に多くみられます。とくに足趾の屈曲した頂点や靴底に当たった趾の先端が傷つきやすいので、靴の先端(トウボックス)の高さやクッション性に気をつけます(図4)。

 

浮腫・むくみ

浮腫の原因はいろいろありますが、歩くことがなくなったり、心臓や脳血管障害の病気をしたことで血液やリンパ系の循環障害によることが多くみられます。また、車いすを利用している場合、下肢全体にひどくむくむことがあるので、足を部分的に強く圧迫することなく、むくみの程度によって調整できる履物が望まれます。そのとき、大きなものを履くことばかりに気をとられずに、足首まわりの関節が変形しないような靴を選びましょう。