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1.入浴の意義や大切さについて

入浴の目的は、身体を清潔にすることと、リラックスすることがあげられますが、入浴は、高齢者に限らず多くの人にとって楽しみでもあり、生活していくために大切なことです。
身体の清潔については、特に足の清潔が大切でしょう。加齢に伴い、足の筋力が低下するだけでなく、外反母趾などの障害が生じてくることも多くなります。健康的な生活を送るためにも、歩くことは基本であり、足の手入れ(フットケア)は重要です。
その他、入浴の際には、立ち上がりや座位保持の能力などの身体機能や、高血圧や心臓疾患などの医学的な禁忌事項などについても考慮しましょう。
入浴は、精神的な安定の面でも大切です。日本人は、その習慣からもシャワーだけでは満足できずに、湯船に肩までゆったりとつかりたい気持ちがあるでしょう。たとえ高齢になって身体が少し弱くなったとしてもお風呂を楽しみたい・・・、そんな思いを大切にするために、入浴の際の注意点や入浴を支えるための福祉用具などを紹介していきます。

2.部屋からの移動、脱衣場について

部屋から浴室へ

浴室やトイレなどの水回り関係の設備は、日常の生活の場(部屋)から遠いことが多いため、部屋から浴室への動線について部屋間の段差がなるべく生じないようにするとともに、転倒などに注意して歩くようにしましょう。

脱衣場の温度や衣服の着脱について

脱衣場は暖かくするようにしましょう。特に冬は、部屋と脱衣場、浴室にあまり室温差が生じないような配慮が必要です。急激な温度差が身体に衝撃を与え、心不全などを引き起こすこともあります。脱衣場にもヒーターなどを設置することが望ましいでしょう。
高齢者は足腰が弱くなっているため、衣服の着脱のときには、身体を安定させるために、なるべく座って行うとよいでしょう。座位が不安定な場合は、背もたれや肘掛けがある椅子が有効です。ただ、肘掛けは着脱時に邪魔になる場合もあるため、可動式や取り外せるものが便利です。用途が合えば、シャワーチェアと兼用するのも一つの方法です。また、脱衣場や浴室はあまり広くない場合が多いので、多く物を置くと動きが制限されたり、介助者のスペースが失われるため、余分なものはなるべく置かないようにしましょう。
脱衣場も床が濡れますので、足下は、滑り止めマットやすのこなどを敷いて、滑らないようなしっかりとした対策が必要です。

画像(座った状態での脱衣)

*座った状態なら安定して脱衣ができます

 

3.洗い場への移動

脱衣場から洗い場への移動について

脱衣場と洗い場の間には、水が外に流れていかないように段差が設けられていることが一般的です。そのため、洗い場の入口にグレーチング(鋼材を網状に組んだ排水溝用の蓋)を設けて段差を解消するなど、浴室を改修する方法もありますが、もっと手軽に段差をなくすためには、洗い場にすのこを敷くという方法があります。

それでも、多少の段差が生じることもありますので、段差のあるところには必ず手すりをつけましょう。手すりは、大きな段差があるときには縦型のものを、移動や立位姿勢を保持するときには横型を設置するなど、使用の状況や場所に応じて使い分けるようにします。

また、ドアは開き戸では開放時にスペースが必要になるうえ、手すりがつけにくいという欠点があるため、折れ戸か引き戸がよいでしょう。可能であれば3枚引き戸が間口も広くとれるため望ましいでしょう。

画像(すのこ)

*すのこで脱衣場と洗い場の
段差を解消します

画像(三枚引き戸)

*浴室への出入りが
容易になる三枚引き戸

4.洗い場にて

洗い場の床、立ち座り補助、水栓の操作について

洗い場の床面もしくはすのこについては、濡れても滑りにくい材質のものを使用するか、滑り止めマットを使用します。滑り止めマットは、裏に吸盤のついたものもあります。小さく分割されていて組み合わせるタイプ(吸盤なし)のマットは、きちんと端まで敷き詰めないとかえって滑ることもあるので、注意が必要です。

水栓については、通常低い位置に設置されていることが多い上に、すのこを使用するとさらに低くなります。シャワーチェアなどを利用すると、座面が高いため、水栓の操作などが非常に使いにくくなってしまいます。そのため水栓の高さを調整する器具や、水栓を開閉のしやすいレバー式にすると使いやすくなります。また、シャワー部分にボタンがついていて、ワンタッチでお湯がでるものもあり、介助者としても使いやすいものもあります。ただ、混合水栓の場合は温度の管理をしっかりとしておかないと、思いもよらず水や熱いお湯がでてきてしまうこともあるので、注意が必要でしょう。

洗い場で身体を洗う際には、シャワーチェアを使うと便利です。シャワーチェアには、前述した背もたれや肘掛け付き等のように、様々な種類があります。例えば、座面の高さを微調整できるものは、浴槽の縁と高さを合わせて浴槽への出入りをしやすくすることができます。また、座面に穴が空いたものは、陰部などが洗い易いという利点があり、クッション付きで姿勢を安定させるものもあります。このように用途によってシャワーチェアも使い分けが可能ですが、できるだけ一つのものを様々な用途で兼用して、浴室内のスペースはできるだけ残しておきたいものです。身体の状況にもよりますが、例えば座面がフラット(平ら)なものが利用できれば、脱衣場での衣服の着脱時や、浴室内での洗体時、浴槽内への移動時など、多用途に用いることができます。


画像(水栓レバー)

*操作のしやすい水栓レバー

画像(手元止水栓付きシャワーヘッド)

*シャワーヘッドについた止水栓で
操作ができます

 
画像[座面が平らなシャワーチェア)

*座面が平らなシャワーチェアは
さまざまな用途に利用できます

[図:転載] 『高齢者・障害者の生活をささえる福祉機器V(入浴、排泄、自助具、衣服)』(財)東京都高齢者研究・福祉振興財団発行 より
5.浴槽への出はいりについて