第三者評価セミナー2007を開催しました


 2月22日、東京都社会福祉保健医療研修センターにおいて、「第三者評価セミナー2007」を開催しました。当日は事業者等238名の方が参加しました。今回のセミナーは、「第三者評価をより有効に活用するには 評価結果の受け止めとその活用 4年目を迎えた現場からの報告」と題し、第一部では松原康雄明治学院大学教授からの講演、第二部のパネルディスカッションでは評価を受けた事業者(高齢者介護総合センター サンメール尚和施設長の北川和秀氏と康保会乳児保育所園長の遠藤正明氏)と評価実施機関(りそな総合研究所株式会社と特定非営利活動法人ほいくオーアールジー)、そして都の所管である指導監査室の田窪和美評価推進担当係長からの報告がありました。


 第一部では、明治学院大学教授で、第三者評価の評価・研究委員会委員である松原康雄先生から、『第三者評価をより有効に活用するには』というタイトルで講演をいただきました。松原先生は、第三者評価を受けただけでは、評価の実績づくりの意味合いしかないこと、そして、「第三者評価において、いわば自分たちの『枠』が出来てしまうところに対して、自分たちとは違った立場の人、かつ専門的知識をもった評価機関から評価を受けることで気付きを得たり、気付いたことを再認識することが評価結果の活用につながる」、「課題に対し優先順位をつけて、どこをどのようにしていくのかというプログラム策定をしていくことで、はじめて第三者評価が活用されたことになる」とのお話がありました。


 第二部のパネルディスカッションでは、最初に高齢者介護総合センター サンメール尚和の北川和秀施設長から報告をいただきました。サンメール尚和では平成15年度から継続して同じ評価機関で評価を実施していますが、評価を行うにあたっては、施設の実態把握と改善効果の測定を目的とし、「評価を受ける際にいろいろと心配しても仕方ないので、前向きに開き直ろう」「良い評点はいらない」という姿勢で、特に事前準備をせずに評価に取り組んでいるとの話がありました。また、評価実施後の具体的改善点として、課題とされた「職員と組織の能力向上」について、研修制度の見直しや、職員の施設経営への一体的な参加促進の取り組みを行ったこと、第三者評価は毎年度事業計画策定にあわせて実施していくことが有効であると考えていることなどが報告されました。

 また、今年度初めて評価を実施し、2月にフィードバックを受けたばかりという康保会乳児保育所の遠藤正明園長からは、当初、自分たちの行っていることを正確にみてもらえるのか、また保育所のことを理解している評価者に評価してもらえるのかという心配から、さまざまな形で評価結果や評価機関に関する情報を自発的に準備したという話がありました。評価実施後の変化として、「職員一人ひとりが目的意識と問題意識をもち保育を行うようになったと感じる」「日頃実施してきた保育が評価を受け、理論的にも整理でき本当に良かったと感じている」と報告されました。
 りそな総合研究所株式会社の宮澤謙介さん、特定非営利活動法人ほいくオーアールジーの橋秀司さんからは、それぞれ評価を行った際に特に注目した点や、フィードバックで伝えたかったことなどをお話いただきました。また、東京都の田窪評価推進担当係長からは、計画的に評価を実施していく必要性や、第三者評価の今後の課題などが話されました。

 パネルディスカッションを聴いての質疑応答では、「毎年評価を実施している中で、経年変化としてはどのようなことがあるか」「評価を行うにあたり、職員とどのように話し合いを行っていったか」「利用者の皆さんには評価実施前にどのように説明を行ったのか」など、参加者自身の評価の経験と比べながら、具体的な質問も多く寄せられました。時間の制約もあり、すべてにお答えすることはできませんでしたが、北川施設長、遠藤園長双方からは、「評価機関・評価者選びが大切」「第三者評価を実施するのは最初大変と思うかも知れないが、これまで見えなかったものが見えてくる」「自立した施設になるためには自律が必要。明日の笑顔のために、迷っているより、『改善』のための一歩を」と、評価実施に向けた参加者へのメッセージが送られました。
 終了後のアンケートから、77%の方からセミナーに満足したという結果が、特に保育所関係の参加者からは84%の満足という高い評価が得られましたが、その一方で、「もっと具体的な活用方法についての話がききたかった」「高齢者施設と保育所の両方ではなく、どちらかにしぼってもっと色々な話がききたかった」などの声も寄せられ、第三者評価も4年目を迎えた今、より具体的な情報発信を求められていることが感じられたセミナーとなりました。
 大変多くの皆様に御参加いただき本当にありがとうございました。今回いただいた皆様のご意見を踏まえつつ、来年度も引き続き新たな企画を考えていきますのでよろしくお願いします。

<セミナー終了後のアンケート結果>

※当日質疑応答でお寄せいただいた質問については、改めてホームページ上で回答していきたいと考えております。



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