東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和2年度
サービス名称 認知症対応型共同生活介護【認知症高齢者グループホーム】(介護予防含む)
法人名称 医療法人社団珠泉会
事業所名称 つつじの夢
評価機関名称 株式会社 販売促進研究所

コメント

施設は昭島市の住宅街にあり、介護老人保健施設と同じ敷地内にある。法人本部、系列施設の取り組み、並びに、当施設独自の取り組みについて評価した。特に場面観察では、施設の新型コロナウイルス感染防止対策が徹底して行われており、評価機関もそれに沿って、マスクの装着、手指の消毒、施設内では上着着用などの対策を実施し、入居者からの距離を保ち短時間で退出した。訪問調査においては、質問事項を送付し、メールにて返信頂いた。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ サービス提供のプロセス項目
 Ⅵ 利用者保護項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)ご入居者個々の生活再編と生活自立意欲の向上を目指す 2)認知症症状の進行を抑制し、症状を緩和することで、身体的・精神的に安定したゆとりある生活を目指す 3)ご入居者を中心とし、家族・施設職員間・地域社会が相互に理解し、支え合う社会を目指す 4)ご入居者が昭島市の一員として生活し続けられるよう地域行事等に積極的に参加する 5)生まれ育った家、家族の待つ家において、健やかなる老いが実現できるよう自立生活復帰を目指す

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

・思いやりのある人(ご入居者・ご家族・他スタッフに対しても、相手の立場に立って考え行動できる人)   ・向上心のある人    ・責任感のある人

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・マニュアルを遵守しながらも、気づきを大切にできる  ・責任をもって業務を遂行することができる (気づきを提案できる、状況に応じた臨機応変な対応ができる)

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 新型コロナウイルス感染防止に努めつつ、入居者が季節を感じながら、心穏やかに、楽しく暮らせるよう工夫して支援している

東京都における新型コロナウイルス感染拡大を受け、従来実施してきた施設内外での活動が制限されるなか、職員が話し合い、入居者が季節を感じながら、心穏やかに、楽しく暮らせるよう工夫して支援している。例えば、近隣への散歩(桜の花見)、貸し切りでのお花の鑑賞、降車しないドライブなどを実施している。施設内の余暇活動においても、体操のバリエーションを増やす、職員との会話や趣味活動(季節に応じた飾り付けを作成し掲示)、七夕には五色そうめんや天の川ゼリー作り、ひな祭りや端午の節句など、季節を感じる場面作りに努めている。
2 介護計画に対する実績の容易な把握・共有と医療従事者との連携により、心身状況の把握と状態変化時の即時・的確な対応が可能となっている

介護計画に対する実績を把握しやすいように、介護計画書の中から、重点的に行なっている項目や評価方法を一覧表にし、表に基づき経過記録に記入している。介護計画書や各種記録は、随時確認できるように掲示・保管し、必要に応じてカンファレンス記録を閲覧することにより、職員間で情報共有している。職員が入居者の日常の健康状態を観察し、異常を発見した際は直ちに専任看護師に報告し、助言を踏まえ主治医や家族へ報告している。職員、専任看護師、医師が密に連携し、入居者の状態変化に、即時、かつ、的確に処置・対応できる体制を構築している。
3 入居者の気持ちにより添い、自立度に基づいて得意分野で役割を持つことにより、自信を持ち、充実した生活に繋がるよう支援している

一つの動作に対して自立度を評価し、声かけにより動作ができる入居者には、声かけのみを行なっている。見える位置に用具があれば自ら動作できる入居者には、気付きやすい場所にセッティングしている。意思決定が困難な入居者には、仕草や表情から意思を読み取るとともに、YesやNoで回答、使用するものを複数前に置いて選択した活動を行なうなどしている。普段は声かけやセッティングすることにより、その後の動作ができる入居者であっても、迷いが見られた場合には、職員が動作をジェスチャーで伝えたり、入居者の横で手を添えるなどしている。

さらなる改善が望まれる点
1 Withコロナ時代の「入居者が主体的に活躍できる地域づくり」を継続し、地域の福祉の核としての信頼に応えていくことが期待される

当施設は、入居者が”愛するまち昭島のコミュニティーの一員”として暮らし続けられることを目指し、市内のグループホーム、関係機関やボランティアなどと連携し、入居者が主体的に活躍できる地域づくりに努めてきた。現在、新型コロナウイルス感染拡大に対応し、従来実施してきた活動の見直しや、関係機関や地域住民との連携のありかたなどを検討している。今後も、必要に応じて、法人本部や他事業所の協力も得て、Withコロナ時代の「入居者が主体的に活躍できる地域づくり」を継続し、地域の福祉の核としての信頼に応えていくことが期待される。
2 現在の仕組みやマニュアルに至るまでの過程や経験などを、法人内のみならず、社会の共有財産として活かしていくことが期待される

当施設は、介護保険法が施行された平成12年の7月に開設し、本年で20年目を迎える。この間、当施設の取り組みについて、認知症グルーホーム全国大会(2002、2017、2019年)での研究発表、日本認知症ケア学会大会(2012、2014年)での研究発表など、よりよいグループホームにするための研究を深めている。今後、グループホームの模範的存在として、現在の仕組みやマニュアルにたどり着くまでの過程で得た経験やノウハウなどを整理することにより、法人内のみならず、社会の共有財産として活かしていくことが期待される。
3 施設の強みである関係機関や地域住民との協働をより一層深めるために、新たに必要となる知識や能力を計画的に習得していくことが望まれる

主任は、職員間の業務担当の偏り解消に努めてきた。この結果、「職員が定着して業務が効率化し、支援方法の把握や共有が容易となり、余裕やゆとりをもって業務やケアにあたっている」と評価している。利用者アンケートでも66%が大変満足と回答している。今後も、サービスの質を維持・向上するために職員間の連携を生かして課題の解決に取り組むとともに、施設の強みである関係機関や地域住民との協働をWithコロナの時代に適合させ、より一層深めていくために、新たに必要となる知識や能力を計画的に習得していくことが望まれる。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 災害時に家族へ、被害状況などを発信するための手段の確立

運営推進会議で把握した家族の意見を反映し、台風や地震などの災害発生時、もしくは危険が予想される際に、迅速な情報提供を行なえる手段(メール)の確立に向けて、家族へメール登録の希望を伺うとともに、運用に際して発信時の手順やルールなどの取り決めを進めている。
関連評価項目(事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる)
2 ★ 職員・専任看護師・主治医の連携による健康維持

職員が日々の健康管理や観察を行ない、異常を発見した際は即時に専任看護師に相談し、専任看護師の助言を踏まえ主治医や家族へ報告しており、即時に処置・対応方法・受診の指示等を受ける体制ができているため、コロナ禍であっても健康を維持し、かつ安心して過ごすことができている。
関連評価項目(利用者の健康を維持するための支援を行っている)
3 ★ 入居者が地域で暮らし続けるための、新たな生活様式の中での連携手段の構築

今後も入居者が”愛するまち昭島のコミュニティーの一員”として暮らし続けられるよう、新型コロナウイルスの感染予防を踏まえ、新たな生活様式や地域との連携手段(支援)を確立しつつ、引き続き、可能な範囲で地域の認知症に対する啓発活動(認知症に関する推薦図書の提案・認知症月間:市内グループホームポスター展等)に協力することで、地域に根ざした施設作りに力を入れている。また、市内グループホームや行政を始めとした外部の関係機関とも、継続して、認知症支援連絡協議会を通して連携を図っている。
関連評価項目(利用者が地域で暮らし続けるため、地域と連携して支援を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:入居者は6名(全員女性)平均年齢85歳、平均要介護度2,5、平均入居期間1年3か月である。調査対象者は主任と相談して、全員の家族とした。

調査方法:アンケート方式,場面観察方式  
家族アンケートは評価機関で準備したアンケート用紙と返信用封筒を施設に渡し、施設から入居者家族に郵送して頂いた。アンケートは無記名とし、評価機関宛に直接送付して頂いた。

利用者総数 6人
利用者家族総数(世帯) 6世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 6人
有効回答者数 6人
回答者割合(%) 100.0%

総括
施設は昭島市の住宅街にあり、介護老人保健施設と同じ敷地内にある。入居者総数は6名の1ユニットである。アンケート結果では施設に対する総合的評価が「大変満足」4名(66%)「満足」1名(17%)「どちらともいえない」1名(17%)である。大変満足が66%であり入居者の満足度が高くなっている。評価項目別では、「家族への情報提供はあるか」「利用者のプライバシーは守られているか」の項目で全員が「はい」と回答している。「事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか」「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」「個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか」「サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか」「利用者の不満や要望は対応されているか」の項目で6名中5名が「はい」と回答している。「職員の方には感謝しかありません」「日頃の対応、新型コロナウイルス感染に対する配慮など非常によくやっていただいております」「現在は大変危険な感染症から大切に守っていただいていて感謝しています」「職員の皆さんに良くしていだき感謝しています」など多くの家族から職員への感謝のコメントが寄せられている。

場面観察方式の調査結果
調査の視点:「日常生活の場面で利用者が発するサイン(呼びかけ、声なき呼びかけ、まなざし等)とそれに対する職員のかかわり」及び「そのかかわりによる利用者の気持ちの変化」

評価機関としての調査結果

  • 調査時に観察したさまざまな場面の中で、調査の視点に基づいて評価機関が選定した場面
    入居者全員がマスクをして、昼食の準備をしていた。フライパンで肉と玉ねぎを炒めている入居者の対面で、職員が、「ありがとうございます」「もう少し炒めますか」などと、明るい声ではっきりと話しかけていた。続けて「塩コショウはこれくらいですか」と問いかけると入居者は、「これくらいで」と笑顔で答えていた。また、隣の入居者に対し、職員が「サラダかナムルを作ろうと思っています」「調味料どれにしますか」と問いかけると、入居者は「ごま油がいい」と答えた。その後、他の入居者と、並んで穏やかな表情で調理しだした。
  • 選定した場面から評価機関が読み取った利用者の気持ちの変化
    当初、入居者の表情から、入居者の気持ちを読み取ることができなかった。新型コロナウイルス感染防止を目的に、入居者、職員が全員マスクを着用しているため、職員は入居者が聞き取りやすいように、入居者の眼を見て、はっきりと丁寧に話しかけていた。入居者が野菜を炒めていると、良い香りがキッチンに広がり、穏やかな表情になり、より一層、調理や職員との会話を楽しむようになった。職員が隣に座っている入居者に使用する調味料の種類を確認することにより、自然に二人の入居者が並んで立ち、調理と会話を楽しむようになった。
  • 「評価機関としての調査結果」に対する事業者のコメント
    つつじの夢では、6名1ユニットという家庭的で落ち着いた雰囲気を活かし、ご入居者同士や職員、地域の方々と交流し馴染みの関係を築きながら、慣れ親しんだ活動を行うことで、できる限り主体的な生活を営み、認知症を呈していても自分らしく暮らし続けられるような援助を心がけています。現在は、新型コロナウイルス感染予防に留意しつつ、可能な限り地域や各関係機関と連携を図ることで、関係性の維持に努めてまいります。
    ご家族とは、認知症対応型共同生活介護計画作成時はもとより、面会時などで直接お話ししたり、お電話で最近の様子をお伝えして、必要に応じてご相談やご提案をするなど連携を深め、ご意見やご要望を介護計画や運営に反映するとともに、ご家族の思いにも寄り添えるよう努めています。また、コロナ禍においても、感染症予防対策を講じ、できるだけ面会の機会をつくることやご利用者とご家族でお電話で会話していただくことで、生活のご様子が伝わり、安心感をもっていただけるよう工夫した支援をしてまいります。、
    今回のアンケート結果や評価を踏まえ、今後も自らの行動を見直し、よりよいサービスを提供できるように鋭意努力してまいります。


    利用者調査結果

    1.家族への情報提供はあるか
    はい 6人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「家族への情報提供はあるか」の質問では全員が「はい」の回答であった。
    2.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
    はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか」の質問では「はい」が83%「どちらともいえない」が17%であった。
    3.職員の接遇・態度は適切か
    はい 4人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「職員の接遇・態度は適切か」の質問では「はい」が67%「どちらともいえない」が33%であった。
    4.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
    はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」の質問では、「はい」が83%「どちらともいえない」が17%であった。
    5.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
    はい 4人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
    「利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか」の質問では、「はい」が66%「どちらともいえない」が17%「無回答」が17%であった。
    6.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
    はい 4人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「利用者の気持ちを尊重した対応がされているか」の質問では、「はい」が67%「どちらともいえない」が33%であった。「感謝の言葉や嬉しいことを表現しにくくなっているところがありますがお手伝いやお出かけのことを嬉しそうに話してくれます」「入居前は「人と交流できず寂しい」「することがなくて辛い」だったので本人は一番辛いことだったのだと思いますが今はホ-ムでその両方を満たしていただいています。ありがとうございます」とのコメントがあった。
    7.利用者のプライバシーは守られているか
    はい 6人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「利用者のプライバシーは守られているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。
    8.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
    はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか」の質問では、「はい」が83%「どちらともいえない」が17%であった。「入所時には、短時間のうちに、家族、本人の話を聞きとり、性格なども見極めて下さり、本人に最適と思われる生活の目標を組んでいただけたと思っています」とのコメントがあった。
    9.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
    はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか」の質問では、「はい」が83%「どちらともいえない」が17%であった。
    10.利用者の不満や要望は対応されているか
    はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「利用者の不満や要望は対応されているか」の質問では、「はい」が83%「どちらともいえない」が17%であった。「現在は、コロナ感染防止のため、ホームの関係者の方々との交流がかないませんが、行動や催しを実施できる日が来たら、ぜひ参加させていただきたいです」とのコメントがあった。
    11.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
    はい 2人  どちらともいえない 1人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
    「外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか」の質問では、「はい」が33%「どちらともいえない」が17%「いいえ」が33%「無回答」17%であった。

    Ⅴ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

    カテゴリー6 サービス提供のプロセス
      サブカテゴリー1 サービス情報の提供
      評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
      標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
      標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
      標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
      標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
    講評
    様々な情報伝達経路を通じて、入居希望者へ施設の情報を提供するよう努めている

    ホームページや東京福祉ナビゲーションなどの外部の介護施設検索サイトに空き情報、料金に関する情報やサービスの特色、健康管理への取り組みや食事・嗜好品に関する工夫などを記載している。運営推進会議や介護サービス情報公表制度を活用し、外部にも運営状況を公開するよう努めている。また、施設独自のパンフレットを配布している。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に新規入居者を募集している旨の連絡を入れ、グループホームでの生活に向いている入居希望者の紹介を受けるよう努めている。

    主任や職員は入居希望者からの問い合わせに迅速かつ適切に対応している 

    入居希望者からの問い合わせに対しては、主任や職員が対応し、迅速、かつ、適切に回答できるようにしている。また、見学の対応については、担当のケアマネジャーから入居希望者に連絡を取り、質問への回答や資料送付などを行なっている。日程調整したうえで、職員間で見学日を周知し、スムーズに見学対応ができるよう予定を立てている。問い合わせ内容や入居希望者の状況などを相談受付表に記載している。

    見学の際は入居後の生活を具体的にイメージできるよう取り組んでいる

    随時見学を受け付け、個別に対応している。見学時には、入居希望者や家族の方々が入居後の生活を具体的にイメ-ジできるよう、共有スペースでの入居者の様子など伝えている。また、「お試し入居」が出来る仕組みになっていることを伝えている。見学の際は、検温と体調確認を行ない、手洗い・うがいを実施したのち、マスク着用を依頼している。見学中は、既存の入居者とは接触しないように依頼するとともに、既存の入居者のプライバシーの尊重に留意している。


      サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
      評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
      標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
      標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
      標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
      評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
      標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
      標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
      標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
      標準項目4 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
    講評
    サービスの開始時は、入居希望者と家族が理解しやすいよう配慮した資料で説明している

    新たな入居者には、施設の概要や職員体制、留意事項などを表形式でわかりやすく記載した書類(重要事項説明書や入居契約書など)を用いて説明している。重要事項説明書には、上記に加え、協力医療機関名、苦情相談窓口、秘密保持及び個人情報保護に関する事項、負担金額などを項目毎に記載している。説明後には、入居者から確認のサインを得るよう努めている。また、入居中に介護保険改定に伴い料金が改定になった場合にも書面にて知らせ、入居者の家族から同意を得ている。

    入居直後から介護計画書による支援を提供し、様子を踏まえて不安軽減に努めている

    お試し入居する場合は、お試し入居中の様子、お試し入居しない場合は、家族や入居予定者からのヒアリングに基づき初回アセスメントを実施し、利用開始時には初回の介護計画書を提示している。入居直後は、環境変化に過敏になり、落ち着かない場合があるため、行動や表情などの生活の様子を経過記録に記入し、思っていることや不安に繋がっている可能性のある様子については、カンファレンスで対応を検討している。また、家族に入居者の施設での様子を伝え、状況に応じて家族にも協力を得ている。

    サービス終了時には、入居者や家族の意向を尊重するとともに支援の継続に努めている

    施設で長く暮らせるために日頃から健康管理に努めているが、施設を変わる状況になった場合には、入居者と家族の意向を職員が十分把握した上で、入居者にとって適した環境(サービス)や意向に沿った事業所を紹介し、情報提供や先方との調整を行なうよう努めている。また、必要に応じてアセスメント表、介護計画書、介護サマリー等を転居先へ提供し、スムーズなサービス移行ができるよう努めている。


      サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
      評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
      標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
      標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
      標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
      評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の介護計画を作成している 実施状況
      標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
      標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
      標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
      評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
      標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
      標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
      評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
      標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
      標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
    講評
    介護計画に対する実績を把握しやすいよう、経過記録の書き方を工夫している

    日常のコミュニケーションや関わり、日常生活(食事の様子や外出時の様子など)や生活状況、身体状況、精神状況、日常生活動作などから、要望や希望を把握するよう努めている。介護計画書の中から、重点的に行なっている項目や評価方法を一覧表にしており、表を確認しながら経過記録に実績を記入している。介護計画書や伝言ノートなどの記録は、随時確認できるように掲示・保管し、必要に応じてカンファレンス記録を閲覧することにより、職員間で情報共有している。

    アセスメントを定期的、並びに、変化時に実施、必要に応じて計画を見直している

    計画書見直し時期には、入居者や家族の意向・方向性などを再確認している。入居者の状態やニーズが変化した際にも、随時、アセスメントを実施している。アセスメント表にニーズと状態を明記するとともに、介護計画表に課題を明記している。計画を見直す際には、複数の職員が参加し、日によって「プランの方向性」「課題の共有」「目標設定」など、項目を絞って検討している。また、定期的にターミナル面談も実施している。

    職員の経験やノウハウを法人内外の共有財産として活かしていくことが期待される

    当施設は、介護保険法が施行された平成12年の7月に開設し、本年で20年目を迎える。この間、当施設の取り組みについて、認知症グルーホーム全国大会(2002、2017、2019年)での研究発表、日本認知症ケア学会大会(2012、2014年)での研究発表など、よりよいグループホームにするための研究を深めている。今後、グループホームの模範的存在として、現在の仕組みやマニュアルにたどり着くまでの過程で得た経験やノウハウなどを整理することにより、法人内のみならず、社会の共有財産として活かしていくことが期待される。


      サブカテゴリー4 サービスの実施
      評価項目1 認知症対応型共同生活介護計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている 実施状況
      標準項目1 個別の認知症対応型共同生活介護計画に基づいて支援を行っている
      標準項目2 利用者一人ひとりがその人らしく生活できるよう支援を行っている
      標準項目3 関係職員が連携をとって、支援を行っている
    講評
    動作別アセスメントに基づき、自立度を維持するためのケアや声掛けなど工夫をしている

    動作別のアセスメントを実施し、自立度を維持するためケアや声掛け、環境設定など工夫をしている。例えば、アセスメントでは一つの動作に対して自立度を評価し、「声かけ」をすれば、動作ができる入居者の場合は、「声かけ」の援助のみを行ない、その後の動作は入居者自身で行なってもらうよう促している。見える位置に用具があれば自ら行える入居者の場合は、気付きやすい場所にセッティングするなど工夫している。また、介護計画書には、具体的な援助内容(例:作業の声かけの際、「ご自身の…」をつけると取り掛かりやすいなど)を記載している。

    日々の生活の中で、個々の判断能力に応じた意思決定が行えるように支援している

    日々の生活の中で、一人ひとりの判断能力に応じた意思決定が行なえるように支援している。例えば、通常の会話から意思決定できるかをアセスメントし、意思決定が困難な入居者には、心身状況に応じて、3つから選択・2つから選択・YesやNoで回答、仕草や表情から意思を読み取るよう努めている。場合によっては、実際に物や写真を提示したり、動作をジェスチャーで伝えるなどの工夫をしている。

    各入居者が得意分野で役割を持つことにより、充実した生活ができるよう支援している

    各入居者に、共有スペースの掃除、洗濯や調理など、得意分野で役割を持ってもらうことにより自信を持ち、充実した生活に繋がるよう支援している。例えば、昼食準備の際は入居者全員が参加して、もやしの根取り、炒める、味付け、盛り付けなどを分担している。また、炒め物や和え物を調理している入居者には、「塩コショウはこれくらいですか」と味付けの相談をすると、入居者は、「これくらいで」と笑顔で答えている。

      評価項目2 利用者の状態に応じて、日常生活に必要なさまざまな作業等を利用者が主体的に行うことができるよう支援を行っている 実施状況
      標準項目1 食事に関する一連の作業等利用者の生活場面では、利用者の主体性と能力を活かして支援を行っている
      標準項目2 利用者一人ひとりに応じた生活への参加ができるよう工夫をしている
      標準項目3 利用者の心身の状況に応じて、生活するうえで必要な支援(食事や入浴、排泄等)を行っている
      標準項目4 各種手続きや買い物等日常生活に必要な事柄について、利用者本人による実施が困難な場合に代行している
    講評
    入居者が、施設内外で、季節を感じながら楽しく食事できるよう支援している 

    入居者が、自らの生活リズムで、季節を感じながら楽しく食事できるよう支援している。例えば、お楽しみランチでは、「セルフ天丼」と称して、海老、茄子や南瓜など、入居者が好きな食べ物や季節に応じた具材を選んでいる。お寿司を中心にパンやピザなどを選べるよう工夫している。お正月には、おせち料理、お雑煮やお汁粉、七夕には、五色そうめんや天の川ゼリーなど、職員と入居者が一緒に調理している。

    入居者の気持ちに寄り添い、主体性が引き出せるケアや声かけ、環境設定を行なっている

    入居者一人ひとりの好みや出来ることを把握した上で、入居者の気持ちに寄り添って、主体性が引き出せるようなケアや声かけ、環境設定を行なっている。例えば、取り掛かりでは、声かけの回数を決め、声をかけても行なわない場合は無理強いしないようにしている。作業や活動に疲れた様子が伺えた場合には作業を止め休憩するよう促している。また、作業や活動で使用するものを入居者の前に2点(例:本と塗り絵など)置き、自ら選択した活動を行なう等の工夫をしている。

    日々の状態を踏まえて、声かけや働きかけを行ない、幅を持ったケアを実践している

    天気や入居者の状態に応じて、日によって状態が異なる場合も想定し、入居者に声掛けし、働きかけるなど幅を持ったケアを実践している。例えば、普段は声かけやセッティングすることにより食器拭きができる入居者であっても、迷いが見られた場合には、職員が入居者に拭く食器を渡したり、職員が入居者の横で手を添えて食器を拭く動作を行ない、その後、入居者に続けてもらうなどしている。

      評価項目3 利用者の健康を維持するための支援を行っている 実施状況
      標準項目1 利用者の心身の状況に応じた健康管理を行っている
      標準項目2 日常生活の中で、利用者一人ひとりの状態に応じて身体を動かす取り組みを工夫している
      標準項目3 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
      標準項目4 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、医療機関等と速やかに連絡できる体制を整えている
    講評
    日々の健康管理と職員・専任看護師・主治医との連携により、健康維持に努めている

    職員が日常の健康状態を観察し、異常を発見した際は即時に専任看護師に報告し、専任看護師の助言を踏まえ主治医や家族へ報告している。職員、専任看護師、医師が密に連携し、入居者の状態変化に、即時、かつ、的確に処置・対応できる体制を構築している。健康チェック表や健康ノートを活用し、医師からの処置・内服・対応を継続して実施できるよう努めている。また、職員が確認後に押印することにより、確認漏れの防止に努めている。

    新型コロナウイルス感染予防に努め、安心と健康維持の両立に努めている

    外出時以外の場面でも、こまめに手洗いやうがいの声かけをしている。施設内には、入居者が持っている力の活用を促すため、必要な箇所に様々な手すりを設けているが、手すりなどの消毒作業の回数を増加している。また、定期的に行なっていた換気を可能な限り常時行なっている。外出する場合は、混み合わない場所や時間を選び、出先でもマスク着用のうえアルコールスプレーを携帯し、新型コロナウイルス感染予防に努めている。

    入居者個々の心身状況や希望などを踏まえ、幅広い活動の機会を設けるよう努めている

    外出等の屋外活動だけでなく、掃除等の家事作業や余暇時間に体操等を行ない日々、一人ひとりの心身状況や希望などを踏まえ、幅広い活動の機会を設けるよう努めている。例えば、立位の家事作業を日常に取り入れるほか、入居者全員で体操を毎日実施したり、運動プログラムのDVDを見ながら手や足を動かしたり音楽に合わせて体を動かしている。食事前には、口腔体操も実施している。

      評価項目4 共同生活が楽しく快適になるよう工夫している 実施状況
      標準項目1 利用者がお互いに関わり合いながら楽しく生活することができるよう支援を行っている
      標準項目2 事業所での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
      標準項目3 居室や食堂などの共用スペースは、利用者の安全性や快適性に配慮したものとなっている
    講評
    感染予防策を講じたうえで、入居者が施設内外で楽しく暮らせるよう支援している

    感染予防策を講じたうえで、入居者が楽しく暮らすとともに心身機能を維持するため、家事作業を一緒に行なったり、施設内外で、余暇活動に参加できるよう支援している。例えば、近隣への散歩(桜の花見)、貸し切りでのお花の鑑賞、降車しないドライブなどを実施している。外出以外でも、体操やレクリエーション、職員との会話、趣味活動(季節に応じた飾り付けを作成し掲示)などを実施している。手作りデザート、パンジーの寄せ植え、敷地内で栽培しているキュウリの収穫、ひな祭り、お茶会など、より一層、季節感を取り入れる場面作りに努めている。

    入居者が互いに関わり合いながら、心穏やかな毎日が過ごせるよう支援している

    入居者の性格や生活してきた環境を尊重しつつ、入居者同士が馴染みの関係となり楽しい時間を過ごせるよう、関係性の構築のサポートに努めている。お誕生日会、バレンタインデー、ひな祭り、端午の節句などの行事を企画・実施している。お茶や食事の時間、レクリエーション等の余暇時間は共有スペースで入居者同士が会話や一緒に楽しく心穏やかな毎日が過ごせるよう声掛けし、支援している。長く続く梅雨の中では気分を上げて暑気払いとしてノンアルコールビ-ルやジュ-スで乾杯をし、お寿司を食べながら夏の話題で盛り上がっている。

    新たな生活様式を「つつじの夢」の生活に合わせてカスタマイズすることを検討している

    コロナ禍で思うように外出できなくてもストレスを溜めない支援方法に関しては、必要に応じてカンファレンスの場で協議し決定している。日頃より、新型コロナウイルスの感染症予防に努めているが、今後も長期化することを踏まえ、新たな生活様式を「つつじの夢」の生活に合わせてカスタマイズし、生活・外出・季節感・運動量などを考慮したスタイルを検討している。

      評価項目5 事業所と家族等との交流・連携を図っている 実施状況
      標準項目1 家族や利用者の意向を考慮して、家族等が参加できる事業所の行事を実施している
      標準項目2 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
      標準項目3 家族等が事業所等に対し、意見や要望を表せる機会を設け、それらを活かした支援を行っている
      標準項目4 重度化した場合や終末期に備え、あらかじめ本人や家族等と話し合い、事業所でできることを説明しながら、方針を共有している
    講評
    家族に入居者の様子を伝えるとともに、意見・要望を把握し、関係作りに努めている

    毎月のお便りや共有スペースに季節ごとの写真を掲示したり、運営推進会議で報告している。「つつじの夢便り」には、誕生日会の様子や外出時の様子など日々の活動風景を写真入りで分かりやすく掲載し、家族に郵送している。新型コロナウイルス感染防止のため、運営推進会議は書面での開催としている。面会時や電話連絡、運営推進会議等で意見・要望を把握し、カンファレンスや会議での検討結果を議事録に残し、支援や運営に活かすよう努めている。運営推進会議の議事録に、施設のアドレスを記載し、メールで意見や要望を把握することも計画している。

    定期的に家族と面談し、終末期における意向を確認している

    入居時に、”重度化した場合・終末期における対応に関する指針”を説明して、同意を得ている。その上で、定期的にターミナル面談を行ない、終末期をどう過ごしたいか、今後の方向性、緊急時の搬送先の希望や延命処置の希望の有無などを都度確認し記録している。施設で生活することが困難な状況になった場合は、入居者の安全や生活の質を維持する観点から、生活の場の変更が必要になることに理解を得るよう努めている。

    新型コロナウイルス感染を予防し、家族との面会の機会を設けるよう計画している

    現在、新型コロナウイルス感染予防により、家族との面会を制限していることや運営推進会議を書面開催としているため、当施設の強みである家族との双方向の交流バランスを保てるよう、電話連絡や書面で情報提供をする機会を増やすよう努めている。今後は、地域の感染状況を把握しながら、家族との面会時のルールを設定することで、予防に努めながら可能な限り機会を設けていくことを計画している。

      評価項目6 利用者が地域で暮らし続けるため、地域と連携して支援を行っている 実施状況
      標準項目1 地域の情報等を収集し、利用者の状況に応じて提供している
      標準項目2 利用者が地域のさまざまな資源を利用するための支援を行っている
      標準項目3 利用者が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、事業所が利用者と共に地域の一員として日常的に交流している
      標準項目4 運営推進会議で話し合われた意見を活かして支援を行っている
      標準項目5 区市町村や地域包括支援センターと日頃から連絡を取り、協力関係を築きながら支援を行っている
    講評
    地域の関係者に施設の情報を提供するとともに、地域からの情報収集に努めている

    運営推進会議(家族、行政担当者、地域包括支援センターの職員、自治会長等が参加)や外部の関係機関(市内グループホーム、介護者の会、認知症支援連絡協議会など)の場で、職員が意見交換するとともに、認知症の啓発活動などを実施している。また、参加者から様々な意見や要望を把握している。東京都において、新型コロナウイルスの感染者が急激に増加していた際には地域活動を自粛していた。

    地域行事を見学するとともに、主体的に参加できる催しを見つけ交流している

    地域や季節行事の情報を収集するとともに、地域の一員としての生活の実現に取り組んでいる。現在は、マスクの着用や手指の消毒、帰設後の手洗いやうがい等の感染予防対策を講じたうえで、個別もしくは少人数でドライブや施設の周辺を散歩等より再開している。今後、感染状況等をみつつ、買い物や公園への外出、認知症カフェなど地域活動への参加タイミングを検討し、可能な範囲で交流を再開していくことを計画している。

    Withコロナ時代にも、地域の福祉の核としての信頼に応えていくことが期待される

    当施設は、入居者が”愛するまち昭島のコミュニティーの一員”として暮らし続けられることを目指し、市内のグループホーム、関係機関やボランティアなどと連携し、入居者が主体的に活躍できる地域づくりに努めてきた。現在、新型コロナウイルス感染拡大に対応し、従来実施してきた活動の見直しや、関係機関や地域住民との連携のありかたなどを検討している。今後も、必要に応じて、法人本部や他事業所の協力も得て、Withコロナ時代の「入居者が主体的に活躍できる地域づくり」に努め、地域の福祉の核としての信頼に応えていくことが期待される。


      サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
      評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
      標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
      標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
      標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
      評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
      標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
      標準項目2 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
    講評
    プライバシー保護の研修を実施し、外部への情報提供の際には事前に同意を得ている

    プライバシー保護について、内部研修を実施するとともにテストを行い職員の理解度を確認している。入居者に関する情報を外部へ提供する場合の情報の取り扱いについて、入居時に説明し承諾を得ている。また、必要時には随時、提供する情報と提供目的を説明し、事前に承諾を得ている。「つつじの夢便り」などに写真を掲載する際にも入居者の家族から同意を得ている。

    入居者の権利擁護や不適切なケア防止に多面的に取り組んでいる

    日々のカンファレンスやミーティングにおいて振り返りや対策を検討することにより、権利擁護や不適切なケア防止の職員への意識づけに努めている。外部研修に参加した職員が伝達講習を実施している。毎月、入居者家族に送付している「つつじの夢便り」の下段に当施設の連絡先に加え、「外部の苦情・相談窓口」を記載している。また、万一、不適切なケアが発生した際には、法人本部や職員が加わり、原因究明と再発防止に取り組む体制を有している。

    コミュニケーションを通じて、体調や心理状態を把握し、意思を尊重して支援している

    入居者との日々のコミュニケーションを通じて、体調や心理状態を把握し、意思を尊重して支援している。例えば、塗り絵やドリルなどの趣味活動の際は、入居者自身が楽しくできるものを選び一人ひとりのペースに合わせて支援している。また、読書については、職員が希望を聞き、購入したり、図書館などで借りている。掃除、洗濯たたみ、調理の際には、入居者の様子を観察し、疲れた様子を見せ始めた際には、休息を取るよう促している。


      サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
      評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
      標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
      標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
      標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
      評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
      標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
      標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
    講評
    都度マニュアルを確認するとともに、必要に応じて整備・改訂する仕組みを有している

    日々の業務やケアに関して手順通り行なえているかを職員相互で点検しあえる風土となっており、わからないことが起きた際は、マニュアルを確認している。また、法人が作成した「新型コロナウイルス感染症対応マニュアル」に沿って対応するとともに、保健所が開催した「感染症対策」の講習会に職員2名が参加し、職員間で研修報告書を確認している。カンファレンスを軸として、サービス水準の維持を図っており、カンファレンスで検討しきれない議題の際は、ミーティングを開き、必要に応じ法人本部も参加し検討する体制ができている。

    新型コロナウイルス感染防止に向け、日々の対応を振り返り、標準化に努めている。

    法人が発信している「新型コロナウイルス対策 情報提供」を回覧し、職員間で情報を共有している。また、講習会や法人から、感染予防の動画の情報提供があり、動画を視聴して内部研修を行なったり、都道府県労働局からの「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」をもとに、必要な物品を揃えたり、職員が日々の対応を振り返り、標準化に努めている。

    強みである関係機関や地域住民との協働をより深めるための知識や能力の習得が望まれる

    主任は、職員間の業務担当の偏り解消に努めてきた。この結果、「職員が定着して業務が効率化し、支援方法の把握や共有が容易となり、余裕やゆとりをもって業務やケアにあたっている」と評価している。利用者アンケートでも66%が大変満足と回答している。今後も、サービスの質を維持・向上するために職員間の連携を生かして課題の解決に取り組むとともに、施設の強みである関係機関や地域住民との協働をWithコロナの時代に適合させ、より一層深めていくために、新たに必要となる知識や能力を計画的に習得していくことが望まれる。


    Ⅵ 利用者保護項目

    利用者保護項目
      評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
      標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
      標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
      評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
      標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
      標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
      評価項目3 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
      標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
      標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
      標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
      標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
      標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
    講評
    外部の苦情相談窓口を周知するとともに、意見・要望・苦情への対応に努めている

    苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを重要事項説明書に明記し、入居前に伝えている。また、「つつじの夢便り」にも連絡先を掲載している。家族や入居者からは、日々の会話の中から意見や要望、苦情などを把握し、職員間で対応を検討している。日常の中で対応可能な意向は随時対応し、工夫や調整が必要な内容は、カンファレンスで検討している。

    職員への意識づけに努め、組織として不適切なケア防止に取り組んでいる

    内部研修を実施すると共に、外部研修に参加し、不適切なケアに関する知識や認識を高めるよう努めている。入居者の能力を無視した過剰な介助、認知症の重度化により意思表示が難しい入居者への対応においても不適切なケアとなる可能性がある事を意識し、有する能力を発揮できる環境を整えたり、表情や仕草を観察しながら、入居者がその人らしく、ありのままで生活することができるよう努めている。また、万一、不適切なケアが疑われる情報を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている。

    関係者の意見を把握し、より一層、リスクに対する対策強化に努めようとしている

    定期的に内部研修や訓練等で、有事に備えている。インシデントやリスクが発生する可能性が伺えた時点で、カンファレンスで検討している。感染症や災害などに関しては、法人本部で収集した情報を活用し、予防や対策を実施している。防災訓練後には、各役割の振り返りを行なっている。今後は、法人の事業継続計画に基づき独自の事業継続計画の策定を予定している。また、災害時に電話が不通になることを想定し、状況(被害や避難の有無)が確認できるように、主介護者のメールアドレスを任意登録し、被害の有無や避難状況を発信できるよう工夫している。