東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和2年度
サービス名称 認知症対応型共同生活介護【認知症高齢者グループホーム】(介護予防含む)
法人名称 医療法人社団珠泉会
事業所名称 グループホームかたりざ
評価機関名称 株式会社 販売促進研究所

コメント

当施設は国立市の郊外にあり、広々とした落ち着きのある建物である。法人本部、系列施設の取り組み、並びに、当施設独自の取り組みについて評価した。特に場面観察では、施設の新型コロナウイルス感染防止対策が徹底して行われており、評価機関もそれに沿って、マスクの装着、手指の消毒、施設内では上着着用などの対策を実施し、入居者からの距離を保ち短時間で退出した。訪問調査においては、質問事項を送付し、メールにて返信頂いた。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ サービス提供のプロセス項目
 Ⅵ 利用者保護項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)ご入居者個々の心身の特性を踏まえ、生活居住空間そのものである「住みやすさ」「暮らしやすさ」を前提とした『家庭』としての役割を果たし、生活再編と生活自立意欲の向上を目指す 2)個別性を重視した目標設定を行うとともに、常にご入居者と語らいながら意思及び人格を尊重した援助を行うことで、認知症症状の進行緩和に努め、身体的・精神的に安定したゆとりある生活を目指す 3)ご入居者を中心とし、ご家族・施設職員間・地域社会が相互に理解し、支え合うことを目指す

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

介護に関する知識や技術のほか、ご入居者やそのご家族、職員、医師、地域の方々と接する仕事なのでコミュニケーション能力が必要と考えている。 「報告・連絡・相談」「受容・傾聴・共感」が出来る人。 協調性があり、チームケアが適している人。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

ご入居者の生活の質を高めていかれるよう支援に努めること。 現存能力を活かしご入居者ができる限り自立した生活を送れるよう支援に努めること。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 職員は、入居者の気持ちに寄り添い、明るく優しく声掛けし、日々の状況を踏まえ、楽しい雰囲気の中で、安心して過ごせるよう支援している

職員は、入居者の気持ちに寄り添い、明るく優しい声掛けに努め、入居者の言葉に耳を傾け、楽しい雰囲気の中で、安心して過ごせるよう支援している。言葉で意思が伝えられない入居者は、日々の関わりの中での反応(言動)から要望を汲み取るよう努めている。日によって状態が異なる場合も想定し、幅を持ったケア方法を選定している。利用者アンケートにおいても「利用者の気持ちを尊重した対応がされているか」に全員が「はい」と回答し、「本人が気持ちよく生活させていただいている様子で感謝しています」などの声が寄せられている。
2 職員は、新型コロナウイルス感染防止と入居者がストレスを溜めずに健康に過ごす生活の両立に向け、医療従事者とも連携し支援している

新型コロナウイルス感染防止のため、従来実施してきた外出・外泊・面会などが制限される中、入居者が、ストレスを溜めず、健康に過ごせるよう支援している。例えば、日常生活の中で、家事活動・レクリエーション・外出・体操、段差昇降運動など、個々の入居者の心身状況や希望を踏まえて心身機能の回復に努めている。また、訪問診療の際には医療連携看護師、介護職員が立ち合い、入居者の状況や家族の意向を医師へ報告している。職員が入居者の日々の心身状況を把握し、異常を発見した際には医療連携看護師、協力医療機関の医師や家族へ報告している。
3 入居者や家族の気持ちに寄り添い、最期まで意思が尊重され、充実した日々を過ごせるための体制づくりに多面的に取り組んでいる

「入居者や家族の気持ちに寄り添い、最期まで充実した日々を過ごせる」支援を行なうための課題を整理し、解決に向け多面的に取り組んでいる。具体的には、統轄本部の協力も得て、関係者(家族や主治医、職員など)が協議を重ね、主治医の協力や家族の理解を得ている。家族が医療の選択肢やターミナルケアの流れなどを把握できるよう指針を改訂した。また、入居者・家族との関わり方やケアの具体的な方法や手順等をまとめた実践的なマニュアルを整備するとともに、職員への研修やミーティング等を実施し、知識やスキル習得と精神的な支えに努めている。

さらなる改善が望まれる点
1 今後も、継続的に環境変化に対応し、地域関係者からの「リスク対策において参考とすべき施設」としての信頼に応えて行くことが期待される

日常業務のリスクを洗い出し、発生時に職員が迷う事が無いよう、対応の優先順位も踏まえマニュアルを整備し、研修を行ない周知している。運営推進会議で家族や市職員を交え大雨時の避難を振り返りマニュアルを見直し、統轄本部や系列施設との連携を具体化した。また、災害対策中心だった事業継続計画の改訂の必要性を認識し、法人全体のBCPに施設独自の感染症対策を盛り込んだBCP作成を検討している。今後も、継続的に環境変化に対応し、地域関係者からの「リスク対策において参考とすべき施設」としての信頼に応えて行くことが期待される。
2 課題解決に向け関係者が一緒に検討を継続することにより、当施設の強みである家族との連携を一段と強固なものとすることが期待される

コロナウイルス感染予防のため、面会制限や運営推進会議が書面開催となった際には、「かたりざ便り」に入居者の様子を写真で掲載し、必要に応じて電話している。オンライン面会導入は、システム面などの課題のため一度は断念したが、再度検討を進めている。面会禁止を継続する施設も多い中、感染予防対策に留意し、協力を得たうえで、段階的に面会を再開している。今後も、家族や入居者からの意見や要望の把握に努め、課題解決に向け関係者が一緒に検討を継続し、当施設の強みである家族との連携を一段と強固なものとすることが期待される。
3 今後も、より一層、サービスの向上と職員の業務負担の軽減に努めることが期待される

職員間の役割分担や業務内容や帳票の見直しなど、サービスの向上や業務負担の軽減に取り組んでいる。これまで、管理者、担当別(食事・金庫・書類・排泄・計画作成など)の役割を明記するとともに、全職員が担う役割を提示するなど改善に取り組んでいる。また、従来職員が実施していた内部研修の講師を法人本部に依頼するなど協力も得ている。今後も、入居者・家族や職員の意見を把握し実施施策の効果を把握するとともに、職員一人ひとりの負担軽減策を具体化することにより、より一層、サービスの向上と業務負担の軽減に努めて行くことが期待される。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 入居者の望む生活を実現するための個別ケアの提供に努めている

家庭的な古民家風の建物の中で、個々の入居者に対し、常にお声に耳を傾けると共に、家族からも意見や、入居者の生活歴等を聞いた上で、細やかなアセスメントを実施し、日々のカンファレンスで協議を行なうことで、入居者の望む生活を実現するためのケアプランを立案している。そのケアプランに基づき、職員全員が統一した個別ケアが提供できるよう努めている。
関連評価項目(利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の介護計画を作成している)
2 ★ コロナ禍においても入居者、家族に安心して生活していただけるよう努めている

新型コロナウイルスが流行している最中であっても、入居者や家族に安心して生活していただけるよう、法人共通のマニュアルを作成し感染予防対策を徹底している。ウイルスを施設内に持ち込まないよう、施設内の出入りや面会を制限し、職員は就業前の検温、業務中のマスク着用を徹底すると共に、施設内の環境や清掃、消毒方法を見直し、徹底的な感染予防対策を実施している。入居者には、外出ができなくてもストレスを溜めず健康的に生活していただけるようケアを工夫すると共に、適時の手洗い・手指消毒を促し、体調に留意している。
関連評価項目(サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている)
3 ★ 個々の入居者に必要な医療や投薬、生活の中でのリハビリが行えるよう努めている

平均在所日数が長くなっていく中で、医療や身体機能面に対応が必要な入居者が増えてきたため、家族へ状態を伝え、医療やケアの希望を確認した上で訪問診療時に同席し、主治医に相談・指示を仰いだり、法人内のリハビリ専門職に相談することで、状態に併せ、かつ、希望に沿った医療や投薬、生活の中でのリハビリが行えるよう努めている。また、入居者、家族が望むターミナル期を迎えられるよう、マニュアル・手順書の見直しや作成を行うと共に、研修やミーティングを通じて、職員の知識だけでなく精神面も支えられるよう努めている。
関連評価項目(利用者の健康を維持するための支援を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:当施設は国立市にあって古民家風の建物である。入居者は16名(男性2名、女性14名)平均年齢89.7歳、平均要介護度(2.7)、平均入所期間3年8か月である。調査対象者は管理者と相談して、入居者全員の家族とした。

調査方法:アンケート方式,場面観察方式  
評価機関で準備したアンケート用紙と返信用封筒を施設に渡し、施設から入居者家族に郵送して頂いた。アンケートは無記名とし、評価機関宛に直接送付して頂いた。

利用者総数 16人
利用者家族総数(世帯) 16世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 16人
有効回答者数 12人
回答者割合(%) 75.0%

総括
アンケート結果では、施設に対する総合的満足度は「大変満足」50%「満足」50%であり全回答者が、満足以上と回答しており高い評価である。評価項目別では、「職員の接遇・態度は適切か」「利用者の気持ちを尊重した対応がされているか」「利用者のプライバシーは守られているか」など、7項目で全員が「はい」と回答している。「現在のようなコロナ禍にあり、なかなか面会も叶いませんが、昨年の大雨の時も非常にすみやかな対応で入所者を安全な場所に避難させ、コロナに対する対応も、常に入所者の安全を考えて下さり、家族も安心してお任せしております」「気持ち良く生活させて頂いている様子で感謝しています」「住空間、ケアなどゆとりがあり入所でき本当に感謝しております」「日々24時間安全と健康的な世話をして頂いており大変助かっています」「親切、丁寧に対応して下さっていると感謝しております」「入居者一人ひとりの体調等に合わせ、きめ細やかにお世話してもらっていると感じています。接し方もとてもやさしいです。良い環境で感謝しています」「面会が制限される中、オンライン会議を希望したが実現されていない」「人手が少なく大変では」などのコメントがある。

場面観察方式の調査結果
調査の視点:「日常生活の場面で利用者が発するサイン(呼びかけ、声なき呼びかけ、まなざし等)とそれに対する職員のかかわり」及び「そのかかわりによる利用者の気持ちの変化」

評価機関としての調査結果

  • 調査時に観察したさまざまな場面の中で、調査の視点に基づいて評価機関が選定した場面
    パブリックスペースで、入居者は目を閉じて車いすに座っていた。職員が、足元にたたずみ落ち着いた声で「足元が寒そうだから足をもう少し伸ばしましょうか」と声かけしながら、ゆっくり足を伸ばし、そっとブランケットをかけた。職員は「お昼ごはんにしましょう」「林檎美味しいですか」など声かけした。入居者が目を閉じたまま頷くと、職員は「良かった、目を開けることができますか」と声かけした。職員が入居者の手に林檎ジュレの入ったグラスを乗せると、入居者は目を開けて頷き自らジュレを飲み始め、職員と一緒に笑いながら食事が始まった。
  • 選定した場面から評価機関が読み取った利用者の気持ちの変化
    最初、入居者は職員の声かけに応えず、目を閉じたままで関心を持っていないようであった。しかし、職員が入居者に優しい声で静かに声かけし、ゆっくり足を伸ばし、そっとブランケットをかけることにより、気持ちが和んできて、職員に心を開いて来た様子であった。職員が、入居者の気持ちに寄り添い、小さな変化にも気を配ることによって、入居者は職員に関心を持ち始めた様子であった。職員が、入居者の手に林檎ジュレの入ったグラスを乗せる頃には、入居者は目を開け、笑顔になって食事と会話を心から楽しむよう変化したことが伺えた。
  • 「評価機関としての調査結果」に対する事業者のコメント
    かたりざでは、集団生活の中でも一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションや支援を行うことで皆様に安心して過ごしていただけるよう心がけています。また、日常生活の中でご本人ができることや得意なことを把握し、少しでもご自分で行っていただけるようお手伝いすることで、自信を持って心地良く生活できるよう継続して努めてまいります。


    利用者調査結果

    1.家族への情報提供はあるか
    はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「家族への情報提供はあるか」の質問では全員が「はい」の回答であった。「細かいご報告までいただいており感謝しています」「もう少しお話ししていただけたら」とのコメントがあった。
    2.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
    はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか」の質問では「はい」92%「どちらともいえない」8%の回答であった。「人手が少なく大変では」とのコメントがあった。
    3.職員の接遇・態度は適切か
    はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「職員の接遇・態度は適切か」の質問では全員が「はい」の回答であった。「丁寧に対応下さっていると感謝しています」「優しく丁寧にお話しして下さいます」「とても親切に対応していただき感謝しています」などのコメントがあった。
    4.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
    はい 10人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
    「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」の質問では、「はい」が83%「無回答」17%の回答であった。「日々、24時間身内の者の安全と健康的な世話をして頂いており大変助かっています」「入居者一人ひとりの体調等に合わせ、きめ細やかにお世話してもらっていると感じています」「コロナに対する対応も、常に入所者の安全を考えて下さり、家族も安心してお任せしております」などのコメントがあった。
    5.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
    はい 10人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
    「利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか」の質問では、「はい」が83%「無回答」17%の回答であった。「そのような状況に遭遇したことがありません」「今までないようですが、上手にやっていただけそうです」などのコメントがあった。
    6.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
    はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「利用者の気持ちを尊重した対応がされているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。「本人が気持ちよく生活させて頂いている様子で感謝しています」とのコメントがあった。
    7.利用者のプライバシーは守られているか
    はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「利用者のプライバシーは守られているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。「疑問を持ったことは一度もありません」とのコメントがあった。
    8.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
    はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。「その度ごとに連絡いただいています」とのコメントがあった。
    9.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
    はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。
    10.利用者の不満や要望は対応されているか
    はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
    「利用者の不満や要望は対応されているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。「面会が制限される中、オンライン会議を希望したが実現されていない」「人手が少なく大変では」などのコメントがあった。
    11.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
    はい 7人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
    「外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか」の質問では、「はい」が58%「どちらともいえない」17%「無回答」25%であった。「今までその様な事になったことがない」とのコメントがあった。

    Ⅴ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

    カテゴリー6 サービス提供のプロセス
      サブカテゴリー1 サービス情報の提供
      評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
      標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
      標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
      標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
      標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
    講評
    利用希望者に、ホームページやパンフレットなどを活用し、施設の情報を提供している

    施設の基本情報とともに、設備や入居者の日常生活の様子をパンフレット、ホームページ、外部の介護施設紹介サイトなどに掲載し、施設での生活を具体的にイメージできるよう工夫している。当施設は、入居者一人ひとりの「昔話」や「物語」を大切にし、語り手が集う場所であることを伝えている。また、外部の介護施設紹介サイトには、施設内外のパノラマ写真を掲示し施設の様子を具体的に把握できるよう工夫している。法人ホームページに、見やすくわかりやすい形で空き情報等の確認ができるようにしている。

    感染防止対策に留意しつつ、問い合せや見学要望に個別に対応している

    近隣の居宅介護支援事業所のケアマネジャーや介護施設紹介サイトを確認した方なども含め、入居希望者からの問い合せや見学要望には、随時個別に対応している。入居希望者や家族が、施設での生活をイメージしやすいよう、お試し入居を勧めている。お試し入居が難しくても実際の生活場面を見学してもらっている。新型コロナウイルス感染防止対策期間も、来設時の感染予防について管理者より周知し、職員は、見学者の体調を確認し、検温・マスク着用などを条件に見学・相談に対応している。ホームページにも見学の際の留意点を記載している。

    行政担当者や関係者の方々との情報交換に努めている

    運営推進会議に国立市の行政担当者や民生委員等関係者の方々が出席し、市の方針や施策などを伝えている。また、職員は、国立市の行政担当者や関係者の方々に、施設の状況を伝えている。新型コロナウイルス感染防止対策のため、対面での運営推進会議や例年実施していた家族参加行事は休止している。運営推進会議は書面開催としている。


      サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
      評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
      標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
      標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
      標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
      評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
      標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
      標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
      標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
      標準項目4 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
    講評
    入居時には、契約書・重要事項説明書の要点を丁寧に説明し、同意を得ている

    サービス開始時に契約書、重要事項説明書を提示し、サービス内容や入居者負担金等の要点を丁寧に説明し、同意を得ている。「重度化した場合・終末期における対応に関する指針」に基づき施設で対応可能な支援について説明している。入居後に制度改定により、利用料が変更になった場合にも、運営推進会議で資料に基づき説明するとともに、家族からの質問に回答している。入居ユニットは、入居者のアセスメント結果に基づき、管理者、計画作成担当者が話し合って決めている。

    入居時から介護計画にそった支援を実施し、不安やストレスを軽減するよう努めている

    お試し入居を利用する場合は、事前に経過記録ファイルに入手情報を記載し、ニーズアセスメント、初回アセスメントを実施し、入居直後から、認知症対応型共同生活介護計画にそった支援を提供している。お試し入居を利用しない場合は、家族や入居者に生活歴や趣味、日頃の状況、要望などをヒアリングし実施している。入居の際は、使い慣れた食器などを持ち込み、不安軽減に努めている。入居後は、生活の様子を細かく記録している。収集した情報を全職員で共有し、必要に応じて計画を見直し、入居者の不安やストレスの軽減に努めている。

    退去先においても支援が継続されるよう、入居者の支援に関する情報を提供している

    入居者が退去する際には、退去先の医療機関や施設の担当者にアセスメント結果・認知症対応型共同生活介護計画、介護・看護サマリー等の情報等を提供し、支援が退去先で継続されるよう努めている。入院した際は、入院前の日常生活動作等の情報を医療機関に伝えるとともに、医師や相談員と連携し、早期に病院から施設へ戻れるよう努めている。また、必要に応じて、退去後必要分の薬を主治医・薬局に依頼し準備している。


      サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
      評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
      標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
      標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
      標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
      評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の介護計画を作成している 実施状況
      標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
      標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
      標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
      評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
      標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
      標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
      評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
      標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
      標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
    講評
    入居者の様々な情報をカルテに綴じこみ、定期的にアセスメントを実施している

    経過記録、アクシデント・ヒヤリハットレポート、処置伝票、健康チェック表、排泄表などをカルテに綴じこんでいる。また、稼働中のプラン、日々の記録をそれぞれまとめてファイルし、日々のカンファレンスで共有している。定期的にアセスメントを実施し、入居者の心身状況や生活状況を把握している。例えば、職員が、水分摂取が不足する心配がある入居者に対し、ベット脇の椅子にコップを置くことにより、入居者が自ら水分が取れることを確認した。職員は、申し送りに写真を添えて分かり易く記載することにより、職員間で情報共有している。

    入居者の心身状況や要望の変化に基づき、認知症対応型共同生活介護計画を改訂している

    認知症対応型共同生活介護計画に基づき個別ケアを実施し、実施した時の様子や表情、効果などは経過記録に記載している。定期的に、身体状況、日常動作、生活ペースなどを総合的に評価し、その評価表とアセスメント結果、並びに、入居者や家族の要望を確認することにより、総合的援助の方針を策定し、認知症対応型共同生活介護計画を改訂している。定期の見直し以外にも、入居者の状態が変化した場合や、カンファレンスなどを通じて職員が計画の内容を修正する必要があることに気づいた場合にも迅速に対応している。

    より一層、サービスの向上と職員の業務負担の軽減に努めて行くことが期待される

    職員間の役割分担や業務内容や帳票の見直しなど、サービスの向上や業務負担の軽減に取り組んでいる。これまで、管理者、担当別(食事・金庫・書類・排泄・計画作成など)の役割を明記するとともに、全職員が担う役割を提示するなど改善に取り組んでいる。また、従来職員が実施していた内部研修の講師を法人本部に依頼するなど協力も得ている。今後も、入居者・家族や職員の意見を把握し実施施策の効果を把握するとともに、職員一人ひとりの負担軽減策を具体化することにより、より一層、サービスの向上と業務負担の軽減に努めて行くことが期待される。


      サブカテゴリー4 サービスの実施
      評価項目1 認知症対応型共同生活介護計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている 実施状況
      標準項目1 個別の認知症対応型共同生活介護計画に基づいて支援を行っている
      標準項目2 利用者一人ひとりがその人らしく生活できるよう支援を行っている
      標準項目3 関係職員が連携をとって、支援を行っている
    講評
    入居者の状況変化に応じて認知症対応型共同生活介護計画を随時見直し、支援している

    認知症対応型共同生活介護計画に沿った支援を行ない、経過記録に記載している。定期的に動作別のアセスメントを実施し、入居者個々の希望や持っている力を把握している。把握した情報に基づき、自立度を維持するためのケアや声掛け、環境設定などの工夫を計画に反映している。アセスメントとカンファレンスを通じて、洗濯、園芸等、入居者が日頃行なっていたことを計画に組み込み、支援することにより、入居者が望む生活の実現に努めている。家族からのアンケートにおいて「計画見直しの際は、その都度連絡を頂いています」との声が寄せられている。

    新型コロナウイルス感染防止に留意しつつ、その人らしく生活できるよう支援している

    施設は、慣れ親しんだ家事や余暇活動を通じて「対話や語り合いによりそのひとらしい生活を実現する」ことを重視している。新型コロナウイルス感染防止のため、人が集まる場所への外出を避け、施設の敷地内で活動量の確保や気分転換が行える機会を設けるよう努めている。例えば、入居者の心身状況を踏まえて、レクリエーション(歌会、トランプ、風船バレー、パズルなど)、余暇活動(生け花、ハガキ読みなど)、家事活動(洗濯物たたみ、食材切り、炒め物、後片付け、収納、掃除など)、外出、体操など工夫している。

    カンファレンスを通じ、入居者の心身状況・背景・生活歴などを踏まえて支援している

    日々実施しているカンファレンスでは、職員が入居者の表情や家族から得た情報(背景や生活歴など)に基づき、カンファレンスを実施している。例えば、入居者間の人間関係や相性、心身状況の変化などを職員が察知し、カンファレンスなどで話し合い、支援方法やリスクを検討し対応を決定している。議事録には、議題毎に対応策を記載するとともに、裏面に申し送り事項、医療連携看護師へ相談する事により、職員が理解しやすいよう工夫している。

      評価項目2 利用者の状態に応じて、日常生活に必要なさまざまな作業等を利用者が主体的に行うことができるよう支援を行っている 実施状況
      標準項目1 食事に関する一連の作業等利用者の生活場面では、利用者の主体性と能力を活かして支援を行っている
      標準項目2 利用者一人ひとりに応じた生活への参加ができるよう工夫をしている
      標準項目3 利用者の心身の状況に応じて、生活するうえで必要な支援(食事や入浴、排泄等)を行っている
      標準項目4 各種手続きや買い物等日常生活に必要な事柄について、利用者本人による実施が困難な場合に代行している
    講評
    日常生活の様々な場面で主体性が引き出せるよう、ケア・声掛け・環境設定に努めている

    入居者の表情や家族から伺った情報をもとに、カンファレンスを実施し、日常生活の様々な場面で主体性が引き出せるようなケア・声掛け・環境設定に努めている。言葉で意思が伝えられない入居者は、日々の関わりの中での反応(言動)から要望を汲み取る努力をし、なるべく主体性を重視している。また、必要に応じて個別のケアプランに反映している。例えば、食事の準備をする際には、職員が入居者に「奇麗に盛り付けてもらいありがとうございます」「食欲がでますね」などと声掛けしている。

    入居者の生活習慣を把握し、持っている力を引き出して生活できるよう支援している

    職員は、入居者が健やかに暮らしていた時の生活習慣を把握し、入居者の持っている力を引き出して生活できるよう支援している。日によって状態が異なる場合も想定し、幅を持ったケア方法を選定している。職員は、テ-ブル拭き、お茶入れ、配膳などを依頼する際には、常に感謝の言葉を伝えている。

    職員は、入居者に寄り添い、声掛けし、入居者のペースで食事支援を行なっている

    職員は、入居者に寄り添い、声掛けすることより、入居者のペースに合わせて食事が出来るよう、支援している。例えば、パブリックスペースで、目を閉じて車いすに座っている入居者に、職員は「お待たせしました」「お昼ごはんにしましょう」「林檎どうぞ」「美味しいですか」などと声かけし、入居者の手に林檎ジュレの入ったグラスを乗せた。すると、入居者は目を開けて頷き自らジュレを飲み始め、職員と一緒に笑いながら食事が始まる様子が見受けられた。

      評価項目3 利用者の健康を維持するための支援を行っている 実施状況
      標準項目1 利用者の心身の状況に応じた健康管理を行っている
      標準項目2 日常生活の中で、利用者一人ひとりの状態に応じて身体を動かす取り組みを工夫している
      標準項目3 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
      標準項目4 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、医療機関等と速やかに連絡できる体制を整えている
    講評
    職員・医療連携看護師・医師などが協働し、入居者の健康管理に努めている

    訪問診療の際には医療連携看護師、介護職員が立ち合い、入居者の状況や家族の意向を医師へ報告している。また、入居者の状態や薬の変更について、必要に応じて医療連携看護師、協力医療機関の医師から直接家族へ説明している。職員が入居者の日々の心身状況を把握し、異常を発見した際には医療連携看護師、協力医療機関の医師や家族へ報告している。また、主治医より指示された、処置・内服・対応等を継続して実施できるよう、健康管理表や処置伝票を用い対応している。医師の診察結果を入居者毎に記載し、申し送り事項を職員間で共有している。

    個々の入居者の心身状況や希望を踏まえて心身機能の回復に努めている

    日常生活の中で、家事活動・レクリエーション・外出・体操、段差昇降運動など、個々の入居者の心身状況や希望を踏まえて、一人ひとりに適した方法を活用し、心身機能の回復に努めている。また、感染防止のため手指を消毒する際には、「手指をこすってね」「消毒しましょう」などと声掛けしている。利用者アンケートにおいて、「入居者一人ひとりの体調等にあわせ、きめ細やかにお世話してもらっていると感じています」「日々、24時間、身内の者の安全と健康的な世話をして頂いており、大変、助かっています」との意見が寄せられている。

    食事の前には、職員の誘導で、入居者が楽しく口腔体操を行ない、誤嚥予防に努めている

    食事の前には、職員が入居者に「お昼ご飯の前にお口の運動をします」と優しく、明るい声で、ゆっくりと声掛けすることにより、入居者は職員に注目して話しを聞いている。職員は、口の形と発音を書いた手作りの画用紙を掲げ、その際、「口をしっかり閉じてください」「喉の奥を意識して下さい」などと、笑顔で声掛けながら入居者と一緒に口腔体操を実施した。口腔体操の合間に「ご飯が美味しく食べられますように」と声掛けすると、入居者は、笑いながら、楽しく口腔体操を行なった後に食事している。

      評価項目4 共同生活が楽しく快適になるよう工夫している 実施状況
      標準項目1 利用者がお互いに関わり合いながら楽しく生活することができるよう支援を行っている
      標準項目2 事業所での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
      標準項目3 居室や食堂などの共用スペースは、利用者の安全性や快適性に配慮したものとなっている
    講評
    日常生活の中で、入居者同士が一緒に楽しく生活できるよう努めている

    お茶・食事の時間、体操・レクリエーション等の時間には、パブリックスペースを活用し、入居者同士が楽しく活動できる機会を設けるよう努めている。気持ちが落ち着くよう、童謡などの音楽を流している。また、定期的に誕生日会や季節の食事パーティー、おやつ作りなどを企画し、皆で活動したり、入居者が役割分担して1つのものを作り上げることができるよう働きかけている。また、外出時にも気の合う入居者を一緒に誘い、散歩などに出かけている(新型コロナウイルス感染対策で、現在外出は敷地内のみとしている)。

    個々の入居者の生活ペースを尊重し、季節を感じ、快適に過ごせるよう支援している

    個々の入居者の生活ペースや趣味・嗜好を尊重した支援に努めている。家族に入居者の生活ペースを確認し、入居者の状態を踏まえ共同生活に支障のない範囲で就寝時間や入浴回数を決定している。七夕飾り、壁飾り(夏には魚やイカなど海の生物)、入居者の生活の様子の写真などをパブリックスペースに掲示している。食材切り、洗濯物たたみ、炒め物や後片付けなど、各入居者の得意分野で活動することにより、生きがいを持ち、季節を感じながら、その人らしく過ごすことができるよう支援している。

    「住みやすさ」「暮らしやすさ」「くつろぎ」と安全の両立を目指した支援に努めている

    入居者の「住みやすさ」「暮らしやすさ」「くつろぎ」と安全の両立を目指して支援している。入居者の言葉に耳を傾け、気持ちに寄り添い、意向を尊重した支援に努めている。体調不良者や退院後の入居者には、毎日カンファレンスに参加している常勤職員がアセスメントをし安全なケア方法を立案したうえで、他職員も対応している。パブリックスペースの椅子やベンチの家具は木製で木の温もりを感じ、大きな窓で明るく天井の梁が見える吹き抜けになっている。畳の部屋では、入居者は、日向ぼっこなどして、語り合あえる空間となっている。

      評価項目5 事業所と家族等との交流・連携を図っている 実施状況
      標準項目1 家族や利用者の意向を考慮して、家族等が参加できる事業所の行事を実施している
      標準項目2 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
      標準項目3 家族等が事業所等に対し、意見や要望を表せる機会を設け、それらを活かした支援を行っている
      標準項目4 重度化した場合や終末期に備え、あらかじめ本人や家族等と話し合い、事業所でできることを説明しながら、方針を共有している
    講評
    事前に終末期の対応に係る指針を示すとともに、定期的に家族の意向を確認している

    法人の基本理念に基づき、「重度化した場合の対応に係る指針・看取りに関する指針」を改訂し、家族が医療の選択肢やターミナルケアの流れなどを把握できるようにしている。平常時より、終末期をどう過ごしたいかを入居者や家族間で相談するよう依頼している。主治医の入居者に関する所見に基づき、家族から看取り介護についての同意書を受領している。主治医、管理者、医療連携看護師が参加し、カンファレンスを実施し、ターミナルケア計画書を策定している。

    入居者や家族の気持ちに寄り添い、最期まで充実した日々を過ごせるよう取り組んでいる

    定期的にターミナル面談を実施し、入居者や家族から重度化した際の意向を確認している。ターミナルケア実施にあたって、主治医の協力や家族の理解を得る、実践的なマニュアル整備、職員の知識やスキル習得、職員の精神的な支えなどの様々な課題を認識し、協議を重ね、統轄本部の協力も得て、「入居者や家族の気持ちに寄り添いながら、最期まで意思が尊重され、充実した日々を過ごせる」体制づくりに取り組んでいる。

    当施設の強みである家族との連携を一段と強固なものとすることが期待される

    コロナウイルス感染予防のため、面会制限や運営推進会議が書面開催となった際には、「かたりざ便り」に入居者の様子を写真で掲載し、必要に応じて電話している。オンライン面会導入は、システム面などの課題のため一度は断念したが、再度検討を進めている。面会禁止を継続する施設も多い中、感染予防対策に留意し、協力を得たうえで、段階的に面会を再開している。今後も、家族や入居者からの意見や要望の把握に努め、課題解決に向け関係者が一緒に検討を継続し、当施設の強みである家族との連携を一段と強固なものとすることが期待される。

      評価項目6 利用者が地域で暮らし続けるため、地域と連携して支援を行っている 実施状況
      標準項目1 地域の情報等を収集し、利用者の状況に応じて提供している
      標準項目2 利用者が地域のさまざまな資源を利用するための支援を行っている
      標準項目3 利用者が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、事業所が利用者と共に地域の一員として日常的に交流している
      標準項目4 運営推進会議で話し合われた意見を活かして支援を行っている
      標準項目5 区市町村や地域包括支援センターと日頃から連絡を取り、協力関係を築きながら支援を行っている
    講評
    施設と家族、家族と行政、行政と施設の双方向の情報交換と連携に努めている

    運営推進会議に、国立市健康福祉部の職員、民生委員などの方々が参加しており、施設の状況を伝えるとともに、行政や地域社会からの意見や要望を把握している。また、行政から家族や地域住民へイベントなどの情報を提供するとともに、家族や地域住民から行政への質問の場となるよう努めている。介護保険事業者連絡会への参加、防災メールへの登録などを行なっている。

    可能な範囲で、地域との交流に努めている

    可能な範囲で地域との交流に努めている。地域住民の集う学習教室で認知症に関する講師や介護事業連絡会との連携などを行なうよう努めている。近隣幼稚園と連絡を取り合い、幼稚園児が施設へ来設しての敬老会開催などの交流機会を設けている。また、認知症サポーター養成講座受講後のフォローアップ実習を受け入れる施設として登録するなど、地域の認知症啓蒙活動の一翼を担う存在になるよう取り組んでいる。現在は、新型コロナウイルス感染予防のため、参加・実施を見合わせている。

    新型コロナウイルス感染防止を前提に、今後の地域との交流について検討している

    これまで、職員は、入居者が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、運営推進会議の出席者や市報などから情報収集してきた。また、近隣のお祭りの見物や商店への買い物などに出かけたり、大学のフラダンスサークル、音楽・ネイル・将棋・生け花など地域の方々のボランティアも受け入れてきた。幼稚園が主催する運動会へ参加するとともに、幼稚園児が施設を訪れ敬老会で入居者と手遊びや鼓笛隊を楽しむなど双方向の交流に努めてきた。新型コロナウイルス感染防止を前提とした、今後の地域との交流のありかたについて検討している。


      サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
      評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
      標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
      標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
      標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
      評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
      標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
      標準項目2 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
    講評
    外部に情報提供する際は、事前に同意を得るとともに必要最小限とするよう努めている

    入居時に「個人情報使用同意書」の内容を説明し、承諾を得ている。また、外部に個人情報を提供する必要が生じた場合には、その旨を説明し、承諾を得た上で必要最小限とするよう努めている。施設の生活の様子をホームページに掲載する際には、入居者の顔が写らない写真を選んでいる。

    定期的にプライバシー保護・権利擁護に関する研修を実施し、理解度を確認している

    プライバシー保護・権利擁護に関しては、虐待防止等と併せ、定期的に内部研修を実施し、統一した理解が深められるよう努めている。研修後には、各職員がチェックリストと研修報告書を提出することで、理解状況を確認している。また、入浴・排泄・更衣など様々な場面を通じて羞恥心に配慮して支援するよう心掛けている。

    入居者一人ひとりの生活習慣や嗜好に合わせ、選択の機会を提供するよう努めている

    家族から入居者の背景や生活歴、生活習慣等の情報をヒアリングするとともに、入居者との日々のコミュニケーションから入居者の大切にしていることを把握し、入居者の意思を尊重した支援に努めている。起床時間や就寝時間、食事なども、可能な範囲で、入居者一人ひとりの生活習慣や嗜好に合せるよう努めている。食事の際にはパズルをしている入居者や新聞を読んでいる入居者に「食事をするから片づけて良いですか」などと声掛けし確認している。また、集団での体操やレクリエーションへの参加は、入居者が自由に選択でき、入居者の希望に合わせている。


      サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
      評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
      標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
      標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
      標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
      評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
      標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
      標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
    講評
    サービスの向上・統一を目的に、マニュアル・手順書を整備し、周知している

    サービスの向上・統一を図ることを目的に、職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などを踏まえ、職員間の話し合いを通じてマニュアル・手順書を整備し、職員に周知している。各ユニットに手順書、マニュアルを配置している。各種サービスや業務の手順書・マニュアルは整備しており、周知を図る目的で内部研修でも、手順書・マニュアルを用いるようにしている。帳票などに記入漏れが発生した際には、ミーティングにおいて、管理者が注意を促すとともに、職員が最終確認する仕組みとし、再発防止に努めている。

    カンファレンス・会議など様々な検討結果に基づき、基本事項や手順等を改訂している

    カンファレンス・運営推進会議・身体拘束廃止及び身体的拘束等の適正化のための対策検討委員会等での意見やインシデント・アクシデントを踏まえ、必要に応じて基本事項や手順等を改訂している。インシデント・アクシデント発生時は、状況把握・要因分析を行ない、再発防止・予防対策を立案し、必要に応じて効果確認期間を設けている。各職員が、アクシデントレポートに押印し、確実な情報共有に努めている。また、法人本部の内部監査を受審し、法を遵守しているかの点検も実施している。

    本部の協力も得ながら、入居者の重度化に対応するための体制づくりに取り組んでいる

    統轄本部、グループホームでの看取り経験がある看護師や医療連携看護師、管理者、計画作成担当者を中心に、当施設の環境にあわせた「重度化した場合の対応に係る指針」を改訂した。また、当施設で初めての看取りを行うにあたり、入居者・家族との関わり方やケアの具体的な方法・手順等を「エンゼルケア」としてまとめた。内部研修・手順書の作成・ミーティング等を実施し、職員の不安軽減に取り組んでいる。研修後の職員アンケートには「手順書が出来て良かった」「研修を思い出して落ち着いて行動したい」などの感想が記載されている。


    Ⅵ 利用者保護項目

    利用者保護項目
      評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
      標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
      標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
      評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
      標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
      標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
      評価項目3 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
      標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
      標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
      標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
      標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
      標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
    講評
    入居者・家族・関係者からの意向把握、並びに、外部相談先の周知に努めている

    入居者からは日々の関わりの中から、家族からは面会時等に、意見・要望の把握に努めている。運営推進会議の場では、家族、行政、民生委員や地域の方々等から意見・要望の把握に努めている。把握した意見・要望には、速やかに対応するように努めている(新型コロナウイルス感染防止のため、現在は運営推進会議を書面開催)また、苦情解決制度が利用可能であることを重要事項説明書に明記するとともに、入居時にも説明するようにしている。法人として策定した、新型コロナウイルス感染症対応マニュアルを活用し、職員への感染対策を周知している。

    大雨による避難の経験をマニュアルに盛り込み、本部・系列施設の連携を具体化している

    昨年の大雨時の避難に関わった職員の振り返りをもとに、統轄本部、管理者が中心となり「台風など、水害被害が予想される際の対応マニュアル」を見直し、統轄本部や系列施設との連携を具体化した。また、「防災・災害時対策マニュアル(別添)」では、非常時持ち出し物品一覧を優先順位をつけて記載している。家族、市の職員を交え、昨年の豪雨避難について振り返りを行なっている。家族へのアンケートにおいても「昨年の大雨の時も非常にすみやかな対応で入居者を安全な場所に避難させ安心してお任せしております」との声が寄せられている。

    「リスク対策において参考とすべき施設」としての信頼に応えて行くことが期待される

    日常業務のリスクを洗い出し、発生時に職員が迷う事が無いよう、対応の優先順位も踏まえマニュアルを整備し、研修を行ない周知している。運営推進会議で家族や市職員を交え大雨時の避難を振り返りマニュアルを見直し、統轄本部や系列施設との連携を具体化した。また、災害対策中心だった事業継続計画の改訂の必要性を認識し、法人全体のBCPに施設独自の感染症対策を盛り込んだBCP作成を検討している。今後も、継続的に環境変化に対応し、地域関係者からの「リスク対策において参考とすべき施設」としての信頼に応えて行くことが期待される。