東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和元年度(2019年度)
サービス名称 多機能型事業所(就労移行支援、就労継続支援B型)
法人名称 社会福祉法人大三島育徳会
事業所名称 世田谷区立玉川福祉作業所
世田谷区立玉川福祉作業所/世田谷区立玉川福祉作業所等々力分場
評価機関名称 株式会社 にほんの福祉ネット

コメント

調査開始に先立ち、職員や保護者を対象とした説明会を実施した。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

①利用者の自己選択と自己決定 ②利用者の人権を尊重し、一人ひとりの個別ニーズに応じた個別支援計画の作成 ③多機能型事業、本園・分場の特性を生かした一体的事業推進と質の高いサービスの提供 ④地域住民並びに地域関係機関とのネットワークづくりと連携の具体化 ⑤住み慣れた地域で安心と安全な環境を整え、利用者の自立と社会参加を促進する。

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

①障害者(利用者)の人権を尊重し、性別・年齢・宗教・家庭環境・能力・障害程度等いかなる理由においても差別をしない。 ②利用者に対する適切な支援者として、専門性の向上と倫理の確立に向け自己研鑽に努める。 ③他者の評価を謙虚に受け、反する行為は相互に見逃さず改善に努める。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

①利用者の人権を擁護し、体罰・暴言などの権利侵害、および個人情報保護とプライバシーを遵守する。 ②利用者の主体性・個性を尊重し、自己選択・自己決定ができるよう個別のニーズに対応したサービス提供を目指す。 ③利用者の自立を目指し、社会参加の機会を広げるとともに地域の障害理解を推進する。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 個々のニーズを踏まえた計画、それに基づく様々な活動や地域との交流を通して、利用者の活動の充実を支援している

「自分が選んで自分で決める、私らしい生活づくり」という理念を追求していくために、労働習慣や生活習慣の習得の支援、社会参加の促進などの基本方針を定めている。それを踏まえて、自己決定や主体性を前提とした個別支援計画の充実、交流・連携を通した地域に根ざした施設作り、各事業の特色を活かした支援の展開などに取り組んでいる。自分の決めた目標の実現に向けて、必要な支援を受けながら様々な力を養い、また、余暇を含む様々な活動に参加し、地域住民とかかわるなど、地域における利用者の活動の充実を支えている。
2 自主生産品の価値を引き出し、独自の魅力を提供・発信している

リーマンショック以降の景気の悪化や東京五輪の開催決定、ハンドメイドブームなどの事業環境の変化を踏まえ、自主生産品の価値を引き出し、独自のブランドとして世に送り出している(irodori)。利用者のセンスや持ち味を活かして商品化し、ソーシャルネットワーキングサービスを通して認知度を高め、他地域の店舗やネットショップを通して消費者の手に渡るところまで発展している。こうした実践を通して、利用者の意欲や楽しみ、誇り、工賃の向上などの本人の利益や、事業継続の前提となる事業収入の増加につなげている。
3 高齢利用者に特化したプログラムを提供している

加齢に伴う心身の変化を踏まえて、利用者の状況に合った活動を選べるよう、グループ(たんぽぽ)を設定している。50歳以上の利用者を対象に、本人の希望や職員の見立てなどにより参加者を決定し、地域清掃への参加や地域住民の交流の場の利用、お手玉作りなどを行っている。役立ち感謝される体験を通して「報われる」実感を得たり、他者との交流を楽しんだり、身体機能の維持にもつながっている。通常の活動とこうした余暇活動への柔軟な参加を組み合わせることで、体調や気候を踏まえて無理なく通所・活動への参加を可能としている。

さらなる改善が望まれる点
1 利用者・家族の安心・安全を念頭に置き、他機関との連携を継続していく

高齢化が進む利用者への支援には、特化したプログラムを中心に取り組みを進めている。同時に進行しているのが、家族の高齢化である。利用者本人の安心・安全を確保する上でも対応が必要となる部分である。これは当然、他の支援主体につなげることがアプローチの基本となる。今後も引き続き、行政を含む各関係機関との連携を継続していくことを課題としている。
2 支援を必要とする本人により望ましいサービスの選択を支援していく

就労系の各事業の目的を踏まえ、かつ、変化していくニーズに応えながら、事業を展開してきた。「安心できる場所」としての役割を果たしつつも、支援を行っていく中で、本来の、あるいは現状でのニーズや、本人によりふさわしいサービス像が浮き彫りになるケースも出てきている。利用希望者の現状と見通しに立ったより適切なサービスの利用につながるよう、本人、家族、関係機関との調整を今後も図っていくことを課題としている。
3 より体系的な業務の標準化に向けた取り組みを進めていく

運営・支援の各場面における手順や留意事項を網羅した規程類やマニュアルを整えている。これらにより、事業所のサービスの水準を定め、その上で、個々の職員の経験や習熟の程度を踏まえて、新人職員向けのマニュアルを整備・活用したり、個別性を踏まえた育成を行ったりすることで、標準化を図っている。今後も、こうした取り組みを進め、より一層の体系化を図っていくことを課題としている。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 地域に根ざした活動や公益活動を推進している

町会への参画、防災訓練やまつりへの参加・運営の手伝い、ボランティアや住民との交流などを行っている。また、地域の福祉施設との連携による共通課題への取り組みや、他機関との連携による地域向けの講座(玉福セミナー)の開催なども行っている。さらに社会福祉法人の公益活動の一環として、要保護児童を対象とした居場所づくりを行っている(コージープレイス)。法人の地域公益活動室による調整のもと職員を派遣し、様々な事情で保護を必要とする子どもに心休まる場を設け、職員とのかかわりを持ちながら平穏な時を過ごす機会を提供している。
関連評価項目(地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている)
2 ★ より個別性に配慮し、かつ、自律的な運営を図っていく体制がある

ニーズアンケートを通して、個々のやりたいこと、手伝って欲しいこと、工賃目標などを引き出している。必要に応じてイラストなどを用いて検討・選択を容易にするなど、意思の決定や表出を支援している。意思疎通が困難な状況にあっても可能な限り本意を探り、支援を根拠づけようと取り組んでいる。こうした地道な取り組みの背景には、理念や方針の共有、個々の職員の思いや学びなどに加え、本園・分場それぞれにサービス管理責任者を配置し、サービス提供にかかわる一連の過程を実情に即して調整できる体制がある。
関連評価項目(定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している)
3 ★ 課題の細分化や実体験を通して自信や知識・能力を身に着け深められるよう支援している

就労移行支援では、就労への希望の実現をより効果的に支援するために、3か月単位で個別支援計画を作成し、課題を細分化し、毎月の目標をもとに毎日の振り返りを行い、必要な力を着実に培っていけるよう支援している。働く上で必要とされる基礎的なマナーの習得や生活習慣の確立の支援、就業現場の見学や実習などの実体験を通した「働く」ことへの理解や意欲の促進など、本人の目標実現のための道筋を具体化・詳細化し、課題解決を支援し、培った自信と知識・能力をもって就労の場に進んでいけるよう、就労後のフォローも含めて一貫して支援している。
関連評価項目(個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:本園・分場を利用する利用登録者計54名。

調査方法:アンケート方式  
複数の日程で直接の聞き取り調査を実施。調査日に利用がない場合などは郵送によりアンケートの配布と回収を実施。

利用者総数 54人
アンケートや聞き取りを行った人数 54人 (アンケート方式3人 聞き取り方式51人)
有効回答者数 54人 (アンケート方式3人 聞き取り方式51人)
回答者割合(%) 100.0%
就労移行支援 利用者総数: 0人
共通評価項目による調査対象者数: 0人
共通評価項目による調査の有効回答者数: 0人
利用者総数に対する回答者割合(%): 0.0%
就労継続支援B型 利用者総数: 54人 (アンケート方式3人 聞き取り方式51人)
共通評価項目による調査対象者数: 54人
共通評価項目による調査の有効回答者数: 54人 (アンケート方式3人 聞き取り方式51人)
利用者総数に対する回答者割合(%): 100.0%

総括
<総合的な満足度>  「満足」66%、「やや満足」13%、計79%という満足度が示された。 <調査結果の講評について>  ・質問における各回答の割合については、無回答は除いた。  ・肯定的な評価(「はい」との回答)が全体に占める割合についてのみ、記述した。

利用者調査結果
    4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。
1.利用者は困ったときに支援を受けているか
はい 47人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 6人 
回答者の98%が「はい」と回答した。
2.事業所の設備は安心して使えるか
はい 42人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 8人 
回答者の91%が「はい」と回答した。
3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか
はい 38人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 12人 
回答者の90%が「はい」と回答した。
11.【就労移行支援】
事業所での活動が就労に向けた知識の習得や能力の向上に役立っているか
利用者調査の有効回答者数が3未満でしたので、プライバシーの保護により、回答内訳は表示されません。
12.【就労移行支援】
職場見学・職場実習等の、事業所外での体験は充実しているか
利用者調査の有効回答者数が3未満でしたので、プライバシーの保護により、回答内訳は表示されません。
13.【就労移行支援】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか
利用者調査の有効回答者数が3未満でしたので、プライバシーの保護により、回答内訳は表示されません。
16.【就労継続支援B型】
事業所での活動が働くうえでの知識の習得や能力の向上に役立っているか
はい 28人  どちらともいえない 3人  いいえ 2人  無回答・非該当 21人 
回答者の85%が「はい」と回答した。
17.【就労継続支援B型】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか
はい 36人  どちらともいえない 2人  いいえ 3人  無回答・非該当 13人 
回答者の85%が「はい」と回答した。
18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 43人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 10人 
回答者の98%が「はい」と回答した。
19.職員の接遇・態度は適切か
はい 44人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 9人 
回答者の98%が「はい」と回答した。
20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 35人  どちらともいえない 0人  いいえ 1人  無回答・非該当 18人 
回答者の97%が「はい」と回答した。
21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 32人  どちらともいえない 3人  いいえ 3人  無回答・非該当 16人 
回答者の84%が「はい」と回答した。
22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
はい 38人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 14人 
回答者の95%が「はい」と回答した。
23.利用者のプライバシーは守られているか
はい 31人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 20人 
回答者の91%が「はい」と回答した。
24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
はい 24人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 27人 
回答者の89%が「はい」と回答した。
25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 30人  どちらともいえない 5人  いいえ 3人  無回答・非該当 16人 
回答者の85%が「はい」と回答した。
26.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 30人  どちらともいえない 5人  いいえ 3人  無回答・非該当 16人 
回答者の79%が「はい」と回答した。
27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 17人  どちらともいえない 4人  いいえ 6人  無回答・非該当 27人 
回答者の63%が「はい」と回答した。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
理念や基本方針の浸透を図っている

法人ホームページほか、事業計画や事業報告の冒頭、パンフレット、職員ハンドブックなどに理念や基本方針を掲げている。事業計画などは職員にも配布し会議にて説明することで、各自の理解を促している。施設内での掲示のほか、社員証(職員証)の裏面にも理念を記載し、常に確認・立ち返ることが出来るようにしている。利用者・家族に対しては、広報紙の配布に加え、利用契約の段階や利用者会・保護者連絡会などの場を利用して、事業所として大切にしている考えや思いなどを発信している。

本園・分場での指揮系統を明確化し、連携体制を確立している

法人の組織図により、役職ごとの職責を明確化している。経営層に属する職員は、定められた職責に則り、管理・監督、職員育成、地域との関係の処理、計画に基づく支援過程の調整などを行っている。当事業所では、本園・分場を統括する施設長のもと、本園・分場それぞれにサービス管理責任者を配置し、以下、主任、支援員を位置づけることで、指揮系統を明確化するとともに連携体制を確立している。

定例の会議や委員会を設定し、検討・決定・周知を図っている

高齢・障害その他の各種福祉サービスを展開する運営法人の一角を占める事業所として、法人主催の各種会議や委員会が検討・決定機関としてある。施設長を始めとする幹部職員がそれらに出席するほか、事業所内では合同職員会議や運営会議などのほか、テーマに応じた会議を開催し、現状の把握や方針の決定を行っている。法人の動きなども事業所内の会議を通して職員全体に周知している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
広くニーズを収集し、課題の抽出を行っている

広く意見を収集するために意見箱を設置している。利用者・保護者を対象にアンケートを実施し、運営・支援全般に対する意向の確認を行っている。職員に対しては、管理職による定期的な面談のほか、業務改善を目的としたアンケートにより積極的に意見や提案を募っている。地域については、各種事業者連絡会や町会などへの参加などを通してニーズを収集している。事業所の経営状況については、法人の経営戦略会議にて現状分析や方向性の確認などを行っている。こうした取り組みを踏まえて、今後の課題の設定を行っている。

地域福祉の現状を踏まえた積極的な取り組みがある

事業所間のネットワーク(玉川支援ねっと)の代表と事務局を担当している。身体・知的・精神の三障害の支援事業所が参加しているため、各分野での事例発表や分野を超えての討論などを行っている。現場職員の横のつながりの強化、事業所間の学び合いや支え合い、地域の福祉事業の底上げなどに功を奏している。

計画に基づく着実な運営を図っている

法人として「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要因から現状を分析し、中長期計画を策定している。この計画と指定管理プロポーザル書を踏まえて、年度ごとの事業計画を策定している。年間事業計画では事業ごとに支援方針や重点目標を設定し、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)のサイクルに則って計画の進捗管理を行っている。これにより、業務の遂行が組織としての成長や支援の充実につながるように取り組んでいる。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
「いかにして本人の意向を引き出すか」という絶え間ない実践がある

苦情解決制度の整備や意見箱の設置といった、いわば「求められる」取り組みは当然のこととしてなされている。それ以上に現場で実践されているのが、「いかにして本人の意向を引き出すか」という絶え間ない取り組みである。ニーズアンケートでは、個々のやりたいこと、手伝って欲しいこと、工賃目標などを引き出している。必要に応じてイラストなどを用いて検討・選択を容易にするなど、意思の決定や表出を支援している。意思疎通が困難な状況にあっても可能な限り本意を探り、支援を根拠づけようと取り組んでいる。

擁護・追求する価値の浸透と実践を図っている

法人として倫理規程やそれを踏まえた行動指針を定めている。職員にはそれらを含む遵守事項や確認事項を内容とするハンドブックを配布し、会議などで振り返りを行っている。毎年セルフチェックも行っている。支援理念として差別の禁止、主体性や個性の尊重、プライバシーの保護、人権の尊重と対等な立場での支援、体罰等の禁止などを定め、事業計画に掲載するとともに、その浸透を図っている。

法人・事業所として公益活動を推進している

社会福祉法人として地域の公益に資する取り組みを行っている。その一つが、要保護児童を対象とした居場所づくりである(コージープレイス)。法人本部の地域公益活動室による調整のもと、当事業所を含む各事業所が職員を派遣し、様々な事情で保護を必要とする子どもに心休まる場を設けている。そして、安心できる大人としての職員とのかかわりを持ちながら、平穏な時を過ごす機会を提供している。子どもの安心・安全のみならず、誰もが暮らしやすい地域作りにつながる取り組みである。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
自然災害に対する高い危機意識のもと、対策を進めている

災害(火災・地震・洪水)、防犯、感染症、業務中の事故など、事業所運営上の様々なリスクに対応する手順書を整備し、訓練を実施している。多摩川に近接する立地上、水害への備えには特に留意している。町会の防災訓練に参加したり、緊急性や安全性を踏まえて柔軟に避難するなどしている。事業継続計画については、法人の担当部署(災害対策室)が中心となって見直しを行っている。事故や事故に至らない事例については、それぞれ報告書の作成基準を設け、発生(発見)から事後の対応までの一連の過程を明確化している。

個人情報の適切な管理体制を整えている

事業の性質上、支援に必要な情報という高度な個人情報を蓄積している。そのため、情報の重要性や機密性を踏まえ、管理基準に従って情報を処理し、パソコンについては正規職員は1台使用できることとし、アクセス権限を設定している。紙媒体の重要な情報については保管期限を含むルールに基づいて管理している。内容によっては、施錠できる棚への保管を義務付けている。

個人情報の適切な利用と厳格な保護のバランスを図っている

個人情報の有用性に配慮しつつ、利用者支援のために個人情報を活用し、かつ、利用者個人の利益および権利を保護することを目的として、個人情報の利用と保護に関する規程を定めている。この規程により、利用目的の特定や利用目的外の利用の制限を行い、取得に関する規則の制定、情報の適正管理のための取り組みの明確化、個人データの第三者提供の制限などを行っている。その上で、採用・受け入れ時の説明などを通して、職員や実習生、ボランティアへの周知を図っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
キャリアパスや個別の育成計画、エルダー制度などを活かして職員育成にあたっている

キャリアパス制度を整備している。上席・主任・専任・上級・中級・初級の各介護員のそれぞれを部長・課長・リーダー・サブリーダー・中堅・新人として位置づけ、求められる力量などを明確化している。そして、同制度とリンクした形で個人別の研修計画を策定している。また教育指導制度の一つであるエルダー制度を導入し、リーダーと非リーダーとを組み合わせて育成を図っている。成長の支援のみならず悩みをフォローしたり、「プチカンファレンス」的に課題や方向性を相談したりするなど、日々向き合って指導にあたっている。

コミュニケーションを重視し、健康的な精神状態や職場の雰囲気を維持している

面談により職員の状況を把握し、また有給休暇の取得状況や残業の状況などを査定し、改善を図っている。ストレスチェックも導入している。また特に挨拶の励行や「10秒ルール」として「おしゃべりOK」の時間を設けている。これは、職場の雰囲気や職員それぞれの精神衛生を健全に保つ上で「無駄話も必要である」との考えによる。育成・評価制度の一環である面談や会議などで思いを伝えることに加え、こうした取り組みが組織内の風通しの良さに貢献している。

本園・分場の自律と協働による責任ある運営体制を確立している

施設長は主に本園にて本園・分場双方の管理監督を行っている。その上で、本園・分場それぞれにサービス管理責任者を配置し、職員の育成のほか、サービス提供にかかわる一連の過程を実情に即して調整できる自律的な運営体制を整えている。所在地が異なる分、合同の会議を始めとする情報共有には特に留意しており、理念を同じくする組織として一丸となった運営を行っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 「利用者支援力の向上」を課題として設定し、人材育成の様々な手法を活用して専門性の向上を図った。また外部研修の成果の共有、自己決定支援などをテーマとする内部研修の実施、ケースカンファレンスによる支援方法の工夫の共有などを行った。そのほか、「利用者の、思わずにやりとしたり、ほっとしたりするエピソード」を捉えて全体で共有した。こうした取り組みが支援水準の向上に功を奏している。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
研究成果の発表や学び合いを目的とした会(せたがや福祉区民学会)で取り組みを発表したことは、これまでの実践に自信を与えることとなり、また士気の向上にもつながった。日常の支援を通して利用者の強みに気づくことも、やりがいにつながっている。課題意識に基づく取り組みが様々な面でプラスに働いている。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 「地域との交流・連携」を課題として設定し、施設祭や施設公開などのほか、他機関との連携による地域向けの講座(玉福セミナー)の開催、要保護児童を対象とした居場所づくり(コージープレイス)への職員の派遣などを行った。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
それぞれの活動に確固としたねらいや目的を設定し、これまでの経験や培ってきた専門性を活かして、地域のニーズに応えてきた。今後もこれらを継続するとともに、グループホームの開設などさらに準備を進めていく方針である。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページを中心に支援の方針や活動内容、商品などを発信している

ホームページやパンフレットを通して、事業所情報を発信している。ホームページでは、施設概要を始め、就労移行支援・就労継続支援B型の各事業紹介、自主生産品のラインナップの紹介などを行っている。そのほか、いくつかのソーシャルネットワーキングサービスを活用して、広く商品の紹介を行っている。写真を多く用いることで、イメージをつかみやすいようになっている。

選択に資する援助を行っている

個々の利用ニーズに応じた見学や問い合わせを随時受け入れている。施設見学や事業案内を行い、質問にも応じている。紙芝居を用いて説明するなど、分かりやすさに配慮している。自主生産品を独自にブランド化した取り組み(irodori)についても説明している。保護者の中には利用者の将来について悩んでいる方も多いため、多機能施設故に考えられるメリット・デメリットについて、オープンに伝えている。そして利用者の希望をしっかり聞いて、色々な事業所を見た上で選択することを推奨している。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  標準項目4 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
スムーズな利用開始につながる情報収集とそれを踏まえた対応の決定がある

利用開始に先立ち、5日間程度の実習期間を設定し、作業その他の様子を観察・考察し記録している。利用が決定した段階で改めて面談を行い、重要事項説明書に基づき利用上のルールや留意事項について説明している。説明の際は、利用後の状況を具体的にイメージできるように写真などを用いるなど工夫している。この時点での「意向の把握」は、重要事項説明書への署名・捺印にとどまらず、個別支援計画のもとになる暫定的な計画の作成と内容への同意まで行われている。実習段階の状況の分析と合わせ、スムーズな利用につなげている。

就労後も相談できる関係を維持している

別事業所に移行する場合や就労などにより利用を終了する際は、行政や就労機関、相談支援事業所などと連携して支援が途切れないように配慮している。就職後は面談や職場訪問などによりフォローし、就労者で構成される会(OB会)などによりつながりを維持し、相談できる関係を続けている。なお、支援を行っていく中で、本人によりふさわしいサービス像が浮き彫りになるケースも出てくる。より適切なサービスの利用につながるよう、本人、家族、関係機関との調整を今後も図っていく方針である。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
利用者の最新情報を入手し、本人の気持ちに寄り添った支援につなげている

フェイスシートやアセスメントシート、健康管理シート、通勤トラブル時安否確認票などにより利用者の状況を把握している。各シートは新年度に更新している。年度初めには一人ずつ面談を行い、希望する活動や作業について聞き取りを行っている。筆談やイラスト、写真などを駆使して本人の意向や意思決定を尊重し、支援員の考えるニーズと利用者の要求をすり合わせて個別支援計画を作成している。面談時は複数の視点で確認できるよう家族や相談支援専門員も参加している。月1回のモニタリング面談では必要に応じて支援目標を見直している。

本人が実現したい事に焦点を合わせた個別支援計画を実践・見直しをしている

個別ニーズアンケートで昨年度の振り返りや今年度やりたい事、頑張りたい事、困っている事、手伝ってほしい事、希望する工賃額、将来の夢や希望、希望する作業、係、行事への参加などを詳細に聞き取り、「○○係をやりたい」「旅行に行きたい」「○○さんみたいに働きたい」といった希望を確認している。4月の計画面談に合わせて個別支援計画を作成し、毎月のモニタリングで必要に応じて目標を見直し、2月の評価面談で振り返りを実施している。そのほか、ポイントカードや達成グラフなどを活用して本人の意欲を支えている。

利用者の「強み」に着目し、前向きな視点を支援に活かしている

フェイスシートやアセスメントシート、個別支援計画、家庭状況連絡シートなどは共有サーバー内に保管し、職員がいつでも閲覧できるようにしている。そのほか、朝・終礼、職員会議、ケース会議などで情報を共有し、日々の業務は業務日誌に記録している。終礼時の利用者報告の中で課題やヒヤリハット事例だけでなく、思わず「にやり」としたり、気持ちが「ほっと」になる出来事を報告し合い共有している。個別面談では家族にこうしたエピソードを紹介し、利用者の意外な一面に気づくきっかけとなっている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  標準項目2 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  標準項目3 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  標準項目4 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
講評
利用者の意思決定を尊重した個別支援計画に基づいた支援を実施している

「自分が選んで自分で決める、私らしい生活づくり」の理念のもと、利用者の意思決定を尊重し、ニーズに沿った自立支援に取り組んでいる。毎月本人とモニタリング面談を行い、個別支援計画を日々の支援に反映できるよう取り組んでいる。希望する工賃に見合った作業内容の提案や喫茶実習に向けた入浴習慣の促し、実習に行くために家族と連携し歩くトレーニングを実施するなど、作業と生活の両面で支援を展開している。個別の課題に対しては精神科の嘱託医や行政の心理支援員、機能訓練士、言語聴覚士、作業療法士などの専門職の助言を活かしている。

利用者に合わせた意思決定につながる地道な努力がある

利用者とのコミュニケーションを大切にしている。うまく言語化出来きない、引き出せない利用者に対しては、筆談や写真・イラストの提示による見える化、声掛けのタイミング・方法を工夫し、合わせて専門職の助言を得ながら個別に対応している。写真やイラストを用いて意思を確認する中で、イメージ出来なかったり当てずっぽうに指を指しているように見受けられる場合もある。そのため、日頃の様子の観察やケース会議などで話し合い、複数の視点で本人の気持ちに近づけるよう努めている。

人との関わりの中で自分の気持ちを調整できるよう一人ひとりに向き合っている

個別支援計画作成時の面談、資料配布、利用者会、利用者朝礼・終礼時などの機会を捉えて、グループホームや後見人制度などの利用可能な社会資源や、福祉実習や就職などの就労関連情報について、利用者に提供している。利用者からの相談には随時対応し、難しいケースでは専門職とも連携している。そのほか、行事の実行委員決めや宿泊訓練計画の立案、外出壁新聞作り、地域イベントへの参加などの活動を通して、利用者同士の交流や地域住民との関係づくりを支援している。利用者が自分以外の様々な人の存在を意識した関係構築に向けて取り組んでいる。

  評価項目2 利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
  標準項目2 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  標準項目3 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  標準項目4 【食事の提供を行っている事業所のみ】 利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
講評
利用者の意向を把握し、様々な活動に反映させている

利用者の要望や意見を踏まえつつ、主体的な活動の場とする利用者会活動を取り入れ、行事、係活動、利用者役員会、クラブ活動など、本人活動において役割を作り、希望制や選挙で役員を選出している。作業室には15の係分担表を掲示し、毎週水曜日のクラブ活動は年2回希望を取り決定している。本園ではカラオケ・スポーツ・美術・ゲーム、分場ではカラオケとスポーツ、美術とビデオの中から選んで参加している。フリーデーにはグループワークを行い、自分たちの問題を自分たちで解決できるよう支援している。

全ての利用者が自己決定しながら快適に過ごせるプログラムを設定している

年齢を重ねても自分らしく作業・活動に参加できるようなプログラム(たんぽぽ)を設定している。自分の調子や活動内容を踏まえて参加するか否かを選択し、少人数のアットホームな活動の中で、他の人の気持ちを尊重しながら自分の意見を言える安心できる場となっている。また、利用者の変化を見逃さないよう「知的に障害がある人のための認知症判別テスト」を実施し、支援に反映している。なお、空調、換気、採光、加湿、除菌などは日々配慮し、日常的な清掃は利用者が分担して行うとともに、月1回の業者による清掃で快適な環境を保持している。

利用者と職員が揃って食事を楽しむ至福のひとときがある

栄養アセスメントを活かして、生活習慣病の予防や悪化防止、健康状態の改善を目指して個別に食事量を調整して提供している。旬の素材を活かして行事食やイベント食、選択メニュー、ハーフ&ハーフなど、和洋中の多彩な献立を作成している。給食会議には利用者代表も参加し、給食について直接意見を聞く機会となっている。利用者嗜好調査では利用者のリクエストメニューを聞き取り献立に反映し、また、残食量を記録・分析し献立の見直しにつなげている。利用者・職員が自然と作り出した分け隔てのないオープンな雰囲気の中で食を楽しむ姿がある。

  評価項目3 利用者が健康を維持できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  標準項目2 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  標準項目3 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  標準項目4 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  標準項目5 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】 服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
講評
定期的な健診で利用者の健康的な生活を継続的に支援している

嘱託医による内科健診、看護師による血圧・体重測定などほか、定期健康診断や歯科健診を実施している。日頃から利用者の状態を観察し、咳が出ている、顔が赤い、足を引きずっているなどの小さな変化も職員と看護師で共有し、早めの対応につなげている。夏の熱中症予防について利用者に説明するとともに、水分補給や熱中症対策グッズの使い方を実演したり、経口補水液を施設内・車内に常備するなどしている。高齢者施設での清掃業務を受注しているため、希望者にはインフルエンザの予防接種を実施している。

利用者・家族の健康に関する不安を緩和し、生活全般に亘り支援に取り組んでいる

健康上の心配がある時は利用者・家族の了解を得て嘱託医に相談し、健康指導や病院の紹介など、連携して対応している。緊急性の高い症状があり家族の都合がつかない場合は、職員が通院に付き添うこともある。栄養士は利用者の体格や年齢、運動量に応じて一日のカロリーをアセスメントし、昼食の主食量を調整しその人に合った食事を提供している。疾病により食生活や生活リズムの管理が必要であるにもかかわらず、障害特性や保護者の高齢化ゆえにより一層の管理が必要な場合は、行政や相談支援事業所と連携し支援している。

体調変化時・与薬の対応について決められた手順に従って確実に実施している

日課の中で午前・午後に運動を取り入れるほか、運動指導士によるスポーツ指導なども活用している。座位・立位運動やリズム体操、ストレッチ、エアロビ動作などで楽しみながら体力増強を図っている。発作を含む体調変化時の対応は予め家族と相談し緊急時連絡先を確認し、緊急対応マニュアルに沿って看護師と連携して対応するほか、看護師不在時にも対応出来るよう体制を整備している。定時薬・屯用薬・臨時薬の預かりが必要な場合は、依頼書と薬情の提出を受け、全職員に周知し、与薬は担当職員を中心に複数職員が確認している。

  評価項目4 利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている 実施状況
  標準項目1 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  標準項目2 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  標準項目3 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
講評
利用者の様子や施設の現況を様々な方法で家族に伝えている

利用者の生活全般に亘る支援につなげるため家族との連携を重視し、必要に応じて日々の連絡帳や電話連絡、家族面談を実施している。問題が発生してからの対応ではなく、入所式や施設のまつり、新年会などの行事への参加呼びかけのほか、見学の随時受け入れなど、日頃からオープンな関係をつくり協力している。保護者連絡会は年3回開催し、法人や施設の運営状況や課題、行政の動向やお知らせなどを案内し、欠席家族には議事録・資料を配布している。保護者運営の保護者会は行事への積極的な参加により施設運営に協力している。

利用者の可能性を追求しながら家族と連携した支援を行っている

利用者の日々の様子は連絡帳や保護者連絡会、個別支援計画面談で伝えている。必要に応じて電話連絡や家族面談を実施するほか、年2回に発行する広報「たまがわ」でも状況を伝え連携を図っている。自宅では経験させていなかった事が出来るようになったと喜ぶ家族の気持ちに共感し、利用者の可能性を追求しながら連携して支援していこうとする施設の姿がある。連絡帳に記載されている家族の不安には施設長が対応し安心につなげている。家族からの本人・家族についての情報は全職員で共有し、支援に活かしている。

利用者の生活を支えている家族の様々な状況にも配慮し、協力体制を準備している

利用者の高齢化に合わせ保護者の高齢化も進み、家族の支援力が低下する傾向があり、合わせて障害のある利用者が高齢家族の介護を担う必要のあるケースも出てきており、大きな負担になっている事を懸念している。家族間の問題は大きくなるまで表面化しにくいが、運営母体である法人が高齢者福祉サービスを行っていることから、問題の顕在化に合わせて協力体制を準備している。

  評価項目5 利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  標準項目2 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
講評
地域情報を入手し随時利用者に伝えている

地域に関する様々な情報は行政からのメールや事業者連絡会、地域自治会、町会、街情報プロジェクトチラシ、イベントに関するパンフレットなどで入手している。配布された物は利用者の目につきやすい場所に掲示したり、ラックに置いて自由に手にとれるようにしている。行政・地域との連携を図り、町会の防災訓練やイベントに参加したり、地域の「共生の家」を訪問したりしている。そのほか、移動支援やショートステイなどの利用にかかわるマネジメントも相談支援事業所と連携して行っている。

利用者の自立した生活と安心した通所を目指し地域交流に努めている

入所式・施設公開での外部の方々の招待、様々な販売会や委託販売、商業施設での展覧会での作品展示、施設のまつりの企画・実施、行政主催のおまつりや地域行事への参加、空き缶回収や地域清掃の実施、地域の防災訓練での炊き出しなどへの参加など、様々な機会を通して他者との交流を図っている。地域住民からはビーズ・布の寄付があり、また布裂き・アイロン・仕上げ作業のボランティアの存在も施設を支えている。

  評価項目10 【就労移行支援】就労に向けて、必要な知識の習得や能力向上のための訓練等の支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者が働く意欲を持てるような取り組みを行っている
  標準項目2 サービス期間内に就労に結びつくことができるよう工夫している
  標準項目3 生活リズムや社会人としてのマナーの習得等の就労に向けた支援を行っている
  標準項目4 就労に向けた職場見学や実習等、実際に職場にふれる機会をとりいれた支援を行っている
  標準項目5 就労支援機関と密接な連携をとり、利用者が力を発揮できる就労先に結びつくよう支援を行っている
  標準項目6 就労後も利用者一人ひとりに応じて職場定着等の支援を行っている
講評
年間を通して就職準備のためのプログラム、企業見学・実習、体験実習が充実している

就職準備プログラム、企業見学、企業実習、体験実習などの取り組みにより利用者が具体的に「働く」ことをイメージし、意欲につながるよう支援している。就労準備プログラムはアセスメント、就職意識の向上、ビジネスマナーなどの習得を目的として月2回開催し、「未体験のことを想像することが苦手」という利用者の特性を考慮して、実際に自分で「見る」「体験する」要素を取り入れるようにしている。面接練習などのほか、会社で求められる人物像について企業の人事担当者から直接話を聞く機会となっている。

「今月の目標」を掲げ、目標を意識した取り組みを実践している

作業所内厨房での企業実習や法人での職場実習を第一歩として短時間就労などを経て、スモールステップを踏み無理なく就労に結びつくよう支援している。個別支援計画の短期目標を細分化し、「今月の目標」を毎月掲げて作業室内にある訓練スペースに掲示し、視覚的に目標を意識できるよう工夫している。目標に対し毎日自分で振り返り、職員による他者評価も毎日受け、モニタリングにより達成度を振り返りながら少しずつクリアしていくことで達成感と自己肯定感を持てるようにしている。日常的な挨拶や身だしなみについても計画に沿って支援している。

就職後は定着支援を実施、利用者と企業の間を調整している

ハローワークとの連携や、新規実習先での企業実習などにより、就労につながっている。企業と利用者間を調整する支援を行い、企業ニーズや利用者本人の状況の変化に対応できるよう支援体制を整えている。就職後は利用者に対し面談や職場訪問を行い、本人と会社への支援を行っている。定着支援期間後も必要に応じて支援を継続し、利用者の不安や心配事に耳を傾け安心につなげている。就労者で構成される会(OB会)は、就労者・家族同士の情報交換やリフレッシュの場となっている。

  評価項目12 【就労継続支援B型】就労の機会の提供や、知識の習得及び能力向上のための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 自発的に働きたいと思えるような取り組みを行っている
  標準項目2 働くうえで、利用者一人ひとりが十分に力を発揮できるよう支援を行っている
  標準項目3 工賃等のしくみについて、利用者に公表し、わかりやすく説明している
  標準項目4 受注先の開拓等を行い、安定した作業の機会を確保できるよう工夫している
  標準項目5 商品開発、販路拡大、設備投資等、工賃アップの取り組みを行っている
講評
世界に一つだけのオリジナル作品を生み出す職人としての利用者の存在がある

個別支援計画をもとにやりたい作業、できるようになりたい作業、できるであろう作業を個別に設定し支援している。自主生産ではたまピカクロス、機織りでマット・鍋つかみ、陶芸では干支土鈴・置物、デザイン指定の皿、デザイン指定の絵付け、ビーズ刺繍や刺し子のブローチ、コースターなどをそれぞれ生産・販売している。決められた手順・基準の製品を作ることが求めらる従来の下請け作業に対し、作業内容により利用者の自由な発想が商品に反映されており、「創作」が利用者の喜びや意欲につながっている。

写真と解説でわかりやすい「工賃のしくみ」を用い、利用者に説明している

利用者会活動で工賃の仕組みについて学ぶ時間を設定し、毎月の工賃明細書を手渡しする際に、評価を伝えている。「工賃の仕組み」を写真と解説で利用者に説明し、作業工賃をたくさんもらうにはどうすればよいかを利用者と共に確認している。作業を頑張る事、遅刻をしない事、評定を高くするなど具体的に頑張る内容を伝え、合わせて作業工賃がたくさんもらえるよう職員が応援していることを伝えている。利用者は工賃支給日に買い物に出かけるなど、働いて得た工賃の活用を学び、働き甲斐を見いだせるように支援を行っている。

受注先の開拓、商品開発と販売の拡大で工賃アップを実現している

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やホームページで商品を紹介している。区内の事業所と連携し、仕事を共同受注している。受注拡大・工賃向上を目指し、コンサルタントを導入して自主ブランド「irodori」のブラッシュアップを行い、さらなる収益の向上に取り組んでいる。受注加工は増加傾向にあり、新規の作業も請け負っている。自主生産とのバランスを取りながら年間を通して安定した作業に取り組んでいる。製品の組み立て作業に適性がある利用者のために、新たな受注先の開拓が必要と考えている。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
講評
利用者のプライバシーを守り尊重する安心な支援を提供している

個人情報の取り扱いについては、法人の個人情報保護規程及び個人情報保護方針に則り、サービス利用に係わる情報提供同意書、写真掲載同意書を用いて説明し、利用者・家族の同意を得ている。個人情報保護についてはサービス開始時、年度初めの面談時に丁寧に説明している。職場実習、施設間移動、グループホーム入居時の情報のやり取りは、利用者・家族の同意を得て実施している。利用者の荷物は鍵のかかるロッカーを利用し、利用者の荷物に触れる場合は本人の同意を得、更衣やトイレ時に支援が必要な場合は同性介助で対応している。

職員が利用者の人権を尊重した基本姿勢を保ち続けている

障害のある人が住み慣れた地域社会の中で、人としての尊厳を保ちつつ自立と社会参加が保障された中で生きていくために、常に人権を尊重し創意工夫を持ち、利用者の支援を行っている。支援理念として差別の禁止、利用者の主体性と個性の尊重、プライバシーの保護、人権の尊重と対等な立場での支援、社会参加の促進、専門性の向上と倫理の確立、体罰等の禁止、セクシャルハラスメントの禁止を掲げている。利用者の権利擁護に関して研修を開催し、職員一人ひとりの振り返り、気づきにつなげている。

その人らしくいられるような環境を整えている

利用者の意思を尊重し、思いや気持ちに常に寄り添いながら、必要な支援を提供している。利用者の声を受けとめ、利用者が「ノー」と言える環境を整え、サービス内容の見直しにつなげている。施設内には利用者の希望・要望を把握するための「玉手箱」を設置し、利用者の生の声に耳を傾ける姿勢を明確化している。休憩時間や昼休みの過ごし方はそれぞれ自由で、お気に入りの場所で昼寝やゲーム、ぬり絵、ドリル、読書などを楽しんでいる。利用者同士のトラブルは家族と連携し、心理職などの専門職の助言も受け解決につなげている。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
講評
手順書の整備や研修などを活用して標準化を図っている

運営・支援を進めていく上での理念や方針、踏まえるべき視点や留意すべき点などは、事業計画においても示している。その上で、法人・事業所として危機管理や健康・衛生管理、支援の各分野における手順や留意事項をマニュアルとして定めている。平成30年度から利用者支援に導入しているコーチングの報告書も、支援の細分化や支援スキルの向上に活用されているという意味で標準化の役割を果たしている。また中途採用の職員も多いため、研修を通して視点や手順の共有・浸透を図っている。

随時および年度末に手順の見直しを行っている

実践を通して定められた手順の遵守を図りつつ、手順と実際に必要との間に齟齬が生じた場合は随時見直しを行っている。見直しの際は、支援計画面談やケース会議、職員会議などの機会に課題を抽出したり、必要に応じてグループワークを行って改善案を出したりしている。年度末には、業務全体の見直しを行っている。