東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和元年度(2019年度)
サービス名称 認可保育所
法人名称 社会福祉法人聖光会
事業所名称 聖光三ツ藤保育園
評価機関名称 ヒューマンウェア・コンサルティング 株式会社

コメント

事業者の組織価値観に基づいて組織変革を促進し、独自の強みを発揮できる特徴的な組織として認識されるために、第三者評価が有意義であればと考え実施しました。評価者は、それぞれの専門的観点を持って、事業者の事業特性と組織の状態から事業競争力を高めるための重要成功要因を導き、評価の視点を明らかにし、全てのカテゴリーで取り組まれていることを評価しました。重要成功要因は、事業者の競争力強化に向けた取組みに活かしていただくことを目的に、文書化と説明により事業者の理解を促しました。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)子ども、家庭、職員との絶え間ないコミュニケーションを大切にする。 2)笑顔のアタタカイヤリトリを通してすべての人の幸せを追求する。 3)心・体・感を根本に据え遊びの中から自立と自律の出来る子に育てる。 4)保育目標を達成するためのプロセスとして、豊かな感性、細やかな心、健康な体を育てる。

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

心身ともに明るく、元気な挨拶が出来社会人としての自覚と責任を持ち、職員同士和して楽しみながら保育を行って欲しい。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

大切な命をお預りしていることを忘れず、常に危機意識を持ち安全に子ども達を保育すると共に保護者の良き理解者となり、協同して子育てを行っていることを自覚して欲しい。また、日々子どもの気持に寄り添い子どもとの生活を楽しんで欲しい。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 「笑顔のアタタカイヤリトリ」の理念に基づき、子どもも職員も作法を身につけ、日本文化の伝統を継承しています

『笑顔のアタタカイヤリトリを通してすべての人の幸せを追求する』という理念に基づき、アタタカイヤリトリを達成するため、対話や作法を大切にしています。作法では日本文化の継承を目指し、茶道の作法の手前を活動のなかに取り入れています。年長児は正座をし、お茶を頂く体験や保護者にお茶を運ぶことを毎年、実施しています。職員は気持ちを込めた挨拶の徹底や一言言葉を添え、出会った人々を幸せにしています。また、ボランティアによる着物ショーもあり、子どもは着物の美しさを感じ取っています。日本の伝統文化に触れ、感性が養われています。
2 保育士たちの思いを重ねて、保育のスタイルに捉われない園の大切する「アタタカイヤリトリ」にする価値を再確認しています

園が大切にしてきた「アタタカイヤリトリ」を通じた保育実践と、新しい保育指針や社会の潮流となっている「子どもの主体性の尊重」との整合やその実践についての学びを深め、職員間の認識を確かめあう活動が進められています。園がこれまで紡いできた集団活動の中で育まれるさまざまな心の成長を促す保育実践のエッセンスを残しつつ、保育環境の見直しによって自発性を促す遊びの充実や展開が図られるとともに、子ども一人ひとりの成長や特性のほか、情緒にも寄り添ったアタタカイヤリトリをさらに深める取り組みが職員主体で行われています。
3 理念に基づき地域や教育機関との良好な関係をつくり、園児と保護者の地域交流と地域の福祉資源の創出に寄与しています

理念に基づいて地域福祉の充実に向けて、子育て広場「おひさまくらぶ」や母親講座・保育所体験・妊婦講座などの子育て支援を行うとともに、園が行う夕涼み会などの行事では、地域に積極的に働きかけて多くの地域の方々が参加し、園児と保護者の地域交流の場になっています。また近隣の高齢者施設などとも交流・協力を相互に行うほか、夏の小学生の保育士体験、中学生の職場体験、大学生ボランティアや保育実習生を積極的に受け入れるなど、地域や教育機関との良好な関係をつくり、園児と保護者の地域交流と地域の福祉資源の創出に寄与しています。

さらなる改善が望まれる点
1 目指す保育の実現を確認するために、独自の考えかたに基づく目的や意図から活動を振り返ることが望まれます

保育理念を基盤に事業計画で重要取り組み主題を設定し、今年度は環境改善に特に力を入れて取り組んでおり、主題に即した活動も着実に実践されています。現状のところ取り組みで実行したことの具体的結果を確認するという振り返りがなされていますが、今後はさらにもう一段進めて、取り組みにあたってどのような期待効果や意図される成果が上がるかという観点から活動の進めかたややりかたそのものを確認するという振り返りの仕方へ視点を上げることが望まれます。意図からの振り返りによって、当園の特色ある保育の効果を確認することが出来ます。
2 集団での保育から個を大切にする保育に転換していますが、衛生・清潔面の生活習慣づけの細やかな配慮が期待されます

安心して遊びに集中できる環境をつくることに力を注ぎ、集団での保育から個を大切にする保育を目指しています。環境設定も考慮し、好きな遊びに関われるようにしています。子どもは主体的に活動していますが、一方、年齢発達に応じた生活習慣づけにおいては課題が生じています。衛生面の習慣で手洗いの徹底が求められる年齢において、排せつ後に手洗いの習慣が身についてない子どもの姿が見られました。個を大切にする保育実践で、清潔・衛生面に関しては確実に自立するまで見守ることが必須であり、集団と個の保育の丁寧な進め方が期待されます。
3 保育実践やそのために日々研鑽に励む保育士の学びを記録するとともに、それらの保護者への発信による共通理解の深化に期待が寄せられます

園が掲げる「アタタカイヤリトリ」と子どもの主体性の尊重の整合とその実践に向けた取り組みが勧められており、自分たちの保育実践に関するの見直しや保育環境の改善が図れています。ただこれらの取り組みの記録には、背景やその意図のほか、変更の前後の子どもの姿を比較する視点などが踏まえられておらず、記録の継続的な活用という面においては改善の余地があると考えられます。また保育実践のあり方の変更を保護者に伝えて、共通理解を得るためにも、職員の学びや実践の効果を保護者に伝えられる記録の向上には期待が寄せられます。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み



該当データがありませんでした

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:現在、保育園を利用している園児211名(180世帯)を調査対象として、アンケート調査を実施しました。また子どもが2人以上通園している世帯については、最年少児を対象に実施しました。

調査方法:アンケート方式  
調査票は保育園から保護者に第三者評価の趣旨説明を行った上で、アンケート用紙を配布し、保護者から評価機関に直接回答していただきました。

利用者総数 211人
利用者家族総数(世帯) 180世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 180人
有効回答者数 75人
回答者割合(%) 41.7%

総括
保護者の総合満足度は、大変満足61.3%・満足34.7%合わせて96%の方が満足と評価している結果です。  設問で満足レベルの回答率が90%程度をいただいている項目は「食事メニューへの配慮」「食育の取り組み」「体調変化への対応」「安全対策」「運動会」「整理整頓された空間」「プライバシーへの配慮」「個人情報保護」「子どもが大切にされていると思う」「職員の礼儀正しく丁寧な対応」「保育内容の説明」「活動の情報提供」です。また他の多数の項目でも80%程度の評価を得ています。  保護者から頂いた園を推奨するコメントでは、職員の明るく丁寧な応対や子どものことを考えた対応、保育による子どもの成長を評価する声や信頼を寄せる声が寄せられています。  一方で、「キッズリーの活用」「不満要望の言いやすさ」「不満要望への対応」「外部の相談先」については、60%~75%程度の結果です。  さらなる向上を望む意見としては、行事等の内容の充実と日程の工夫、相談の機会の充実や話しやすい環境づくり、キッズリーの情報や機能に関わる改善、職員の対応の均質化を期待する声が寄せられています。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 72人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が96%の結果です
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 65人  どちらともいえない 6人  いいえ 3人  無回答・非該当 1人 
86.7%の方が満足と回答しています
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 73人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が97.4%の結果です
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 73人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が97.4%の結果です
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 67人  どちらともいえない 7人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
90.6%の方が「はい」と回答しています
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 69人  どちらともいえない 5人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
92%の方が「はい」と回答して
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 60人  どちらともいえない 10人  いいえ 5人  無回答・非該当 0人 
80%の方が「はい」と回答しています
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 61人  どちらともいえない 11人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
81.3%の方が「はい」と回答ています
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 72人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
96%の方が「はい」と回答しています
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 71人  どちらともいえない 1人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が94.7%の結果です
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 69人  どちらともいえない 4人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
92%の方が「はい」と回答しています
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 63人  どちらともいえない 9人  いいえ 1人  無回答・非該当 2人 
86.3%方が「はい」と回答しています
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 71人  どちらともいえない 2人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答が94.7%の結果です
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 70人  どちらともいえない 5人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
93.3%の方が「はい」と回答しています
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 68人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」の回答は90.7%の結果です
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 57人  どちらともいえない 16人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
76%の方が「はい」と回答しています
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 41人  どちらともいえない 20人  いいえ 7人  無回答・非該当 7人 
「はい」の回答が60.3%の結果となっています

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
法人共通の保育理念の理解を深め、今期重要課題の取組みに役立てています

法人のもと4事業所の経営層で保育理念や保育方針を擦り合わせており、各園でその考えかたが展開されています。保育理念「アタタカイヤリトリ」のもと「自立と自律した子ども」を実現する保育の在り方を上位層が時間をかけて意味の擦り合わせを行い、話し合いのエッセンスが「わくわくする保育ってなんだろう」の冊子にまとめられており、自組織の保育目標に立ち返るときの根拠となっています。朝礼の時間帯を工夫するなどして非常勤職員へ確実に伝える工夫とあわせ、保育環境の改善の取組みも共通の保育目標に照らしながら進められています。

保護者に対して園または法人の理念や保育方針を分かりやすく伝えることが期待されます

保護者向けに、入園時の説明、おたより、懇談会等を通じて園の方針を理解してもらう機会を設け、安心して利用して貰えるように働きかけています。地域に保育園ブランドが浸透しているなか、伝統や大切な考え方は守りつつ、保育意図のさらなる探求が図られています。たとえばクリスマス会では子どもたち自身が話し合って決めるという過程を重視したものへと見せかたも新たな工夫が行われており、園の保育方針の再認識が進んでいると推察されます。保育の意図を発信し続けることで、保護者との信頼関係がさらに強固なものにしていくことが期待されます。

理念など重要な考えかたを深く浸透させるための共有の場の設計をすることが望まれます

保育業務を遂行しながら組織内で重要な案件について深い対話をする機会を確保するのは、業界に共通した課題でもあります。リーダー層は「アタタカイヤリトリ」のイメージがある程度共有出来ているとの見立てではありますが、議論をさらに深堀りするに、全体観のわかる情報を遅滞なく共有することとあわせ、ある程度議論に集中できる場の設定も必要です。会議や研修の持ちかたの見直しとともに、テーマ設定をしたり段階的に進めるなど、深い思索が求められる場の設計自体もしていくことが望まれます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
住民・民間事業者・公共をつなぐネットワークを通じ地域意向を把握しています

近隣の関連事業者とのお付き合いでの情報収集のほか、地区園長会会議や事業者連絡会のような場も活用して、保育に関する地域の動向や困りごとなど地域課題を把握しています。子育て世代としては比較的若い年齢層が存在するとされる地域で、行政側の体制が代わりあらためて事業者ネットワークとの繋がりを再形成しつつある地域でもあります。地域住民・民間事業者・公共をつなぐネットワークが構築されており、地域の意向を当事者から収集し把握できています。

他地域との比較のうえで、当該地域特性に即した計画を策定しています

法人園長会で、4事業所3行政地区それぞれの地域性の意見交換が行われており、対比することで自事業所の地域性が鮮明になったり、規模によって異なる保育アプローチのありかたを気づいたりすることで、自事業所での事業計画の重点領域が非常にメリハリの利いたものとなっています。地域の保護者の生活スタイルや特性を的確に把握したうえで、大規模園ならではの環境をうまく活用した子どもの育ちの支援を検討し、保護者の理解と協力を得ながらのさまざまな工夫につながっています。

重点取り組み課題と活動との繋がりを明確にし、目標意識を高めることが期待されます

事業計画では法人共有の重点事業として、保育内容の質向上に始まる7つのテーマが掲げられており、また今年度は環境改善が最重点課題とされています。各テーマでの活動に用いるツールや取り組み経過は明確になっているものの、テーマと各活動のつながりが個別的となっているように見受けられます。今後は、重点取り組み事業または課題テーマと活動がどのように繋がって体系化されているのかを明確にするとともに、進捗状況の全体観を把握することで、目標の実現に向けた参画意識に訴求することが出来ると思われます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
組織の倫理観が周知徹底され、常に体現されています

保育サービスに従事する者が持つべき倫理観の根底にあるものは笑顔の挨拶とし、子どもや保護者、近隣やお客様、職員同士でも笑顔の挨拶を徹底しています。笑顔の挨拶のほか、「ながら挨拶」をしないことや、挨拶にプラスアルファを添えた投げ掛け、適切な言葉づかいなど、人として大切なことを端的で分かりやすいことを示して周知しており、常勤・非常勤の別なくどのような状況であれ実践されています。大規模園でありながら細部にわたって配慮ある行動が行き届いており、組織の倫理観の浸透が図られているといえます。

子どもの主体性を尊重した職員の適切な行動を促すように取り組んでいます

虐待防止に関するマニュアルが整備され、虐待防止に向けた基本的な知識や行政機関への報告や連携体制に関する流れが明らかにされ、職員の適切な言動や関わりのあり方、子どもへの権利侵害や家庭支援に関する学びを、職員全員で受講するオンライン研修で得ています。また子どもの主体性や自発性を尊重することとは、どんなことなのかを職員全員で再確認する取り組みが進んでおり、子どもの主体性を尊重することと、実際の職員の行動や環境構成といった具体的な手段のあり方についても、研修や話し合いを通じて職員間の認識共有が図られています。

地域特性を活かし、多世代にわたる地域社会環境の確保と活用がなされています

未就園児に園に遊びに来てもらう「おひさまクラブ」では、子どもと保護者に園のことを知ってもらったり、保護者同士の交流がなされています。また近隣の高齢者向け施設との交流機会を年に2回設け、地域の子育て世代の若年化傾向のなかで、年齢層の離れた世代との接触を通じた学びの場が形成されています。そのほか元プロスポーツ選手を招いてのスポーツ教室を催すなど、地域資源を生かした多世代にわたる地域社会環境の確保と活用に役立てています。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
内部環境外部環境のリスクをアセスメントし直し、より網羅的に対応しています

リスクマネジメントは、災害、感染症、事故やケガなど、事業に即したリスク領域について、リスク対応策を整備しており、マニュアル等による対応手順の標準化や教育訓練の活動が展開されています。昨今の自然災害の影響を再度アセスメントし直し、土曜日や平日の別や子どもの人数の変動のある時間帯など具体的な状況を想定した対策を進めつつあります。リスク対応の訓練はこれまで各月で実施から評価、反省までを行われていましたが、リスクの所在についてより網羅的に確認され対応策の充実が図られたと言えます。

ヒヤリ・ハットや事故対策を検証し、リスク管理の意図を共有することが望まれます

保育業務におけるリスク管理の精度を上げるべく、ヒヤリ・ハットの報告フォームを見直し、またリスクマネジメント委員会で事故報告とともに共有しています。書き留めやすくなったことで件数も上がるようになり、ヒヤリ・ハット案件を一覧にして、場面や要因などいくつかの項目で整理分類をして、職員の気づきが事故防止につながる対策へとつなげています。現状ではヒヤリ・ハット案件の共有まで出来ていますが、今後は対応策とその効果を重要度や時系列などで経過を追い、リスクマネジメントの意図を共有することが望まれます。

物理環境・ソフト環境ともにさまざまな事態を想定した情報管理が徹底されています

情報管理は、保管庫や施錠など物理的な環境だけでなく、アクセス権の設定などの運用面でのソフト的な環境の管理を徹底しており、あわせて情報の扱いかたやその注意について職員の啓発を図っています。個人情報の利用範囲については保護者の同意を書面で確認しています。ホームページやブログなど電子媒体上での情報の扱いかたの徹底、画像など情報量の多いものの扱いかたなど、さまざまなケースを想定した細かな対策が講じられ実践されています。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
多方面にわたって保育士の保育能力と自己成長を促す活動が行われています

法人の保育観に基づく保育プログラムを推進するために、保育理念と年主題を軸にして、リーダー層と専門職員が定期的な振り返りや日常保育のなかで保育のありかたを話し合い改善計画を立てています。日常保育の実践状況の確認や必要に応じた指導を行うほか、法人内研修や法人内他園見学による学びの機会、グループに分かれてのEラーニング、外部研修の参加など、多方面にわたって保育士の保育能力と自己成長を促す活動が展開されています。

職員一人ひとりの自主性に根差し、小さな試行から組織的な展開へとつなげています

職員一人ひとりが自主的に考えて行動し、意見や力を発揮できる場をつくるという狙いに基づいて、保育環境や職場環境の改善が職員の自発的行動によって継続的に行われています。今期力をいれている環境改善をテーマにした活動では、都度評価と反省を実施し、小さな試行を繰り返しながら組織的に展開するというアプローチで、職員の前向きな行動を支えています。保育活動や環境改善活動では、取組み過程を共有して学び合うというやりかたを通じて、職員が学びのしかたそのものを学ぶことに効果を上げています。

役割・等級とキャリアパスに応じた計画的な人材育成の体制を確立することが望まれます

職員個人に対しては、通常業務や会議、研修での支援のほか、年に3回職員個人面談を実施しており、メンタル面までも細かやなフォローがなされています。個人の行動特性や得意分野も踏まえたうえで、ヒューマンスキルやセルフコントロールスキル、業務遂行能力の枠組みで数項目ずつ、職員一人ひとりの成長の状態を把握し上長から適切なアドバイスがなされています。今後は、役割あるいは等級とキャリアパスに応じた個人の挑戦課題を設定するなどして、組織力の厚みをつけていくための人材育成計画を策定し共有することが望まれます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【課題・目標】「見守る保育」に向けた職員全員での取組み

【課題を抽出した理由】一斉保育から個別保育への転換を図り、子どもたちがさまざまなことに興味や関心を持ち、自分で考え行動できるようになるという児童像の実現のためには、職員が子どもの姿を観察したうえで子ども視点で支援のありかたを見直す必要があることが背景にあります。

【取り組み結果】年間を通して外部研修・内部研修の学習の場に参加し、また日常保育のなかで子ども個々の生活をスムースに行うことや遊びの意味を理解し、あわせて一人ひとりの子どもの特性に配慮したうえで見守り、必要なときに援助するしかたについて、繰り返し職員の意見交換が行われました。自主性に繋がる活動の改善案件が増加し、エピソードとして蓄積されました。

【振り返りと今後の方向性】見守る保育に対しての職員の理解度が高まってきたと評価されましたが、一日の流れのなかで大人主体になり過ぎてしまったり、声掛けが多くなってしまう場面もまだ見られることから、一斉保育から個別保育への考えかたの大きな転換にはまだ取組み期間が必要と考察され、引き続き見守る保育の解釈の擦り合わせを進めていくことしました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
法人理念を基盤として、これまで長らくあった一斉保育の考え方から個別保育への転換を図るために、日常保育および研鑽の場を通じて職員の意識の擦り合わせが実践されています。取組みの成果は定性的ながらも把握されており、次年度には蓄積した知見を活かしながら活動を継続していくとの考察がなされており、活動のPDCAサイクルが回っているといえます。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【課題・目標】挨拶の徹底や明るい雰囲気、きめ細やかな保育とコミュニケーション能力の向上

【課題を抽出した理由】子どもも安心して生活が出来るためには、保護者も安心して預けられる場を作るという狙いがあります。保護者との対話を改善することで、家庭を含め子どもが育つ生活環境を改善することが目的です。

【取り組み結果】年間を通した研修計画を策定、個別の研修の目的に応じて合同研修またはグループ研修の様式を工夫して取り組んできました。法人合同研修でコミュニケーションの大切さ、挨拶とプラスアルファの言葉掛けによる信頼関係の生成について学び、日常保育と保護者との対話でのコミュニケーションの取りかたを企画・実践しました。保護者からは園側の伝える姿勢について具体的な評価の声が得られるようになりました。

【振り返りと今後の方向性】保護者とのコミュニケーションの取りかたの工夫が、保護者サイドから評価されたことで、理念であるアタタカイヤリトリを保護者とのコミュニケーションで実践することの意義を職員が再確認することとなりました。家庭・保護者とともに子どもの生活環境づくりへの協力を促進することを継続的に行っていくこととしています。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
法人の保育の基本的な考え方を冊子にまとめるという活動と並行しながら、法人理念を保護者との関係性のなかで具現化させるかを検討し、計画的に実施しています。連絡帳やおたより、送迎時の対話など、さまざまな媒体でコミュニケーションのしかたが工夫され、共通テーマに沿った組織学習が促進されています。活動の振り返りと評価は定性的なものではありますが、次年度への継続が決定されており、活動の切り口の見直しを含めて活動のPDCAサイクルが回っているといえます。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページ、ブログを通じて保育園の遊びと生活の様子を伝えています

利用希望者への園情報の発信として、園のホームページには、保育理念・1日の流れ・年間行事のほか、連絡先・アクセスマップ・よくある質問・ブログが掲載されています。ブログでは、園での子どもたちの日々の活動や生活の様子のほか、行事への取組などを写真とともに紹介しています。子どもたちの呟きを紹介したり、保育実践の意図にも触れることで、子どもたちが日常の遊びや生活の中で、多くのことを体験し、さまざまな学びを得ていることを伝えたいと考えています。

行政機関を通じて保育園の情報を発信しています

武蔵村山市のホームページには、認可保育所の一覧が掲載されており、園の所在地・連絡先・受け入れ年齢・保育標準時間・延長保育時間・定員等園の情報が掲載されているほか、地域子育て支援事業の一環として行っている、園庭開放や餅つきなど園行事の情報なども掲載されており、園のホームページと合わせて、利用者が園に来ることなく園情報を入手することができるようになっています。また、市役所・子ども家庭支援センターには園のパンフレット「おひさま通信」が常置されているほか、市報には園のイベント情報を掲載しています。

利用希望者の見学を受け入れ保育内容や環境の工夫を説明しています

見学は子どもが活動している様子が見られる10時?11時を勧めてしています。見学の際には、保育活動の様子がわかる写真資料を見せながら、一年の保育の流れや内容を説明した後に、園舎内の見学を行っています。保育室の環境構成の工夫を説明しながら、年齢別の発達に応じた保育の特徴や園が大切にしている保育の方針などについても伝えるようにしています。また入園後必要となる持ち物については、実物を見せて伝えるほか、園で使用している連絡アプリについても、タブレットを実際に触って体験できるようにしています。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
新入園説明会を行って園の方針や決まり事を伝え同意を確認しています

新入園説明会では理事長・園長が、園のしおりに用いて、法人の理念、保育理念・保育目標・保育方針など、園の概要や基本方針について説明し、入園後に必要な注意事項や約束事については、主任保育士が説明しています。保健面については、看護師が、食事については栄養士が説明を行うこととしています。入園説明会・個人面談を行った後、重要事項説明による保育開始の同意を署名にて確認しています。また、個人情報やプライバシー情報の取り扱いについても、利用目的を明らかにした上で了承を得ています。

入園時の子どもと家庭の状況を把握・記録し、職員間で共有しています

子どもと家庭の状況は、保護者記入の各種書類によって、家族構成・緊急連絡先のほか、既往症・出生時の状況・発育歴・かかりつけ医などに関するを情報を把握しています。予防接種については、連絡アプリの中へ保護者が入力する仕組みとなっています。また面談を実施しており、年齢別に内容を変えた面談表を用いながら、さらに詳細な情報を把握・記録し、その後の職員会議で情報を共有するほか、利用したいときに確認ができるように整理されています。特別な配慮が必要な場合には、専門職も面談を行って情報を確認しています。

入園時の負担の軽減に努め、卒園の際には希望により面談を行っています

子どものと保護者の負担と不安の軽減に向け、状況に応じて徐々に時間を延ばしながら、経験を増やし、場所や人に無理なく慣れることができるように援助しており、泣きが強く出るなどは、できる範囲内で同じ職員が関わりを持ち、愛着関係を築けるようにしています。保護者の不安の軽減と信頼関係を築けるように、保護者の思いや子どもの家庭での変化や様子をよく聴き、安心できるように子どもが笑顔で過ごしている写真を見せるなど、アタタカイヤリトリに努めています。卒園の際には希望に応じて面談を行うほか、再訪や相談ができることを伝えています。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
子どもの発達等の状況や家庭の意向の把握に努め、記録を更新しています

入園時に把握した子どもの発達の状況は、定期的に更新することとなっており、体格的な成長に関しては、毎月の身体測定の実施によって把握し、心身の発達の状況は、2歳児クラスまでは毎月、3歳児以上については期ごとに、発達指標を用いて確認し、全体的な子どもの姿については、保育士が把握している様子を記述式で記録しています。個人面談を行うほか、日々の対話や連絡アプリを通じて保護者の価値観や要望の把握に努めています。また行事後にはアンケートを行って、保護者の感想や意向の把握に努めています。

全体的な計画をもとに保育計画を策定し実践につなげています

全体的な計画では、保育理念・保育目標・保育方針のほか、家庭支援・保育の特色など園の保育の基調を明らかにしており、年齢別の養護と教育のねらいと内容についても記載される、園の保育計画の最上位にあたるものとなっています。この計画をもとに、年齢別の年間指導計画に展開させることとなています。年間指導計画は、年間を4期に分け、養護と教育に関するねらい・内容・配慮事項のほか、食育や行事についても目標を掲げ、より実践的な月間・週間の下位計画が策定されています。これらの計画は振り返りを行って次の計画に繋げられています。 

保育環境や実践の意図を職員間で確かめあい、保護者に活動の様子を伝えています

新しい保育指針の内容や、保育の潮流を踏まえ、子ども主体性についての職員それぞれの考えを確かめ、園としての保育の考え方の再確認の作業が、環境構成のあり方を考えて改善する取り組みや、保育の一場面の写真から保育士と子どもの関わりで大切にしたいことを考えるワークなどを通じて進んでいます。そして保育計画についても基本になるものを確立し、子どもの様子や状況に応じて加筆修正を行えるようにしたいとの考えがあります。保護者への保育計画・実践の説明は、クラスだよりで行うほか、今後は連絡アプリの活用も視野に入れています。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
子どもの姿を把握しながら環境を整備し、主体性を育む保育を目指しています

日々の子どもの姿を観察し、子どもの多面性、多様性を受け止めながら子ども主体の保育を目指しています。子どもが『この遊びをしたい』と思えるような環境にするため、室内の環境を改善しています。子どもが園庭や芝生、室内での遊びを選び体験することで、自分で考える力をつけています。保護者に理解をしてもらうよう努め、集団での一斉活動から個の育ちを重視した活動に保育の方向性を変えています。方向性を変えた保育実践のなかで、子どもは遊びを自ら選び、楽しみ、子ども同士の繋がりも深まり、徐々に主体性が育っています。

日本の伝統文化を伝えるとともに、世界の文化にも関心を持たせています

日本の古い童謡を歌うことや着物ショーを行うなど伝統文化を大切にしながら、世界の文化にも目を向ける取り組みを行っています。月に1回は世界の国の料理をだし、味わうことや、世界地図や地球儀を置き、関心を持たせています。年間2~3回は、理事による世界を知るための集会が年長児を対象に行われており、ヨーロッパの歌をうたうことや国旗を知らせることなどをしています。子どもは世界の国に興味を示し、国旗の検定を取った子どももいます。また、保護者にも保護者会時に外国の洋服ほかを飾り、園の取り組みを伝えています。

年齢に即したトラブル対応を考慮し、幼児はアタタカイヤリトリに繋がっています

トラブルも大切な経験と捉えながら、乳児のかみつきに対しては環境を整え、子どもに合った玩具を選ぶことで、玩具によるトラブルが少なくなりかみつきも減っています。遊びの空間や動線も考慮しています。幼児のけんかは見守ることを大切にし、お互いの気持ちを話させています。職員の指示待ちでなくなり、アタタカイヤリトリができるようになっています。保護者へのトラブルへの伝達は、乳児は職員の配慮不足として謝罪し、2歳児クラスで子どもが相手の名前を言うときは双方の保護者に話しています。幼児も職員からもトラブルの状況を話しています。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
登降園時は視診と対話を大切にし、保護者との関係性を築いています

登園時の視診は、子どもの体に傷がないか、子どもの機嫌はどうかを観察したり、保護者の状態も把握し、日中の保育を鑑みています。明るい笑顔での挨拶と、一言、言葉をかけるよう配慮をしています。降園時は、一日のなかで子どもの可愛いエピソードを話すことや朝泣いていた子どもの保護者には、その後は泣きやんで楽しく過ごしたことを話しています。連絡帳や『一日の様子』の用紙の掲示より、日中活動を伝えたり、時には写真で活動を知らせたりと工夫しています。送迎時の保護者との対話を大切にし、アタタカイヤリトリがなされています。

一人ひとりの子どもの生活リズムに合わせた習慣づけに努めています

個々の子どもの生活リズムに合わせた基本的生活習慣の確立を目指しています。午前中の活動を思う存分楽しみ、お腹を空かせ食事をとるようにすることや、着脱ではできた喜びを感じ取らせています。スプーンの三点持ちは2歳児クラスまでにできるように計画を立て、トイレでの排泄も2歳児クラス後半までにできることを目標にしています。3歳児クラスのトイレ後の手洗いは、今までは一斉にトイレにいっていた状況から、個別に行くことに切り替えたことで、手洗いの習慣化ができていない子どもも散見しており、手洗いの習慣づけの確立を考慮しています。

昼寝とは体を休める時としながら、昼寝中の安全性の確保をしています

昼寝とは体を休める時とし、無理に寝かさないよう配慮しています。早く目覚めた時は少しゆっくりさせ、その後、別の部屋で遊んでいます。昼寝の際の雰囲気づくりでは、乳児はオルゴールの曲をかけています。顔の見える明るさをキープし、安心できる温かな環境のなかで昼寝をしています。SIDS予防に関しては、0歳、1歳児クラスは5分毎に、2歳児クラスは10分毎に、幼児クラスは15分毎に睡眠チェックをし、睡眠チェック表に記入しています。さらに0歳児クラスは小型の体動センサーを衣服に挟んで使用し、昼寝中の安全性の確保をしています。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
個を大切にする保育活動を目指し、遊びこめる環境設定を配慮しています

一斉保育ではなく個を大切にした保育を実施し、子どもの主体性を育むよう環境設定を考慮しています。園長や主任、職員は、他の保育園や大学付属の幼稚園などを見学にいくことや研修を受け、子どもが主体的に遊びを選ぶような環境づくりに取り組んでいます。コーナーの工夫や、年齢に合わせた玩具類を選定し、静と動との空間づくりにも配慮しています。子どもは園庭での自由な遊びや室内でも好きな玩具を選び、遊びに集中しています。子どものやりたい気持ちを受け止め、職員は遊びを見守る保育に向けて、試行錯誤をしながら日々、関わっています。

集団活動も取り入れ、みんなとの活動のなかで個別の成長を促しています

個を大切にする活動と合わせて集団活動の良さを考えながら、集団活動においても主体性を重んじるようにしています。活動内容として、体操教室を幼児クラスで月2回実施し、専門講師の指導により縄跳びや鉄棒の基礎能力を身につけています。常時保育体操をする事やマラソンも取り入れ体づくりをしています。教本に則ったリトミックをし、歌をうたいながら体を動かして楽しんでいます。制作活動は0歳児~5歳児クラスまで毎月テーマを設け実施し、個々の一年間分を作品集としてまとめ年度終わりに渡しています。廃材を活用した造形活動もしています。

さまざまな機能を持つ園庭や散歩先で活動的体験や自然体験をしています

戸外活動は、芝生や広い園庭、固定遊具のある乳児を主にした園庭での遊びを充実させています。園庭での自由遊びは遊びたい異年齢の子ども同士が大型三輪車や縄跳び、鬼ごっこなどを楽しんでいます。散歩にも出かけ、近くの公園で遊んでいます。大規模園であり、幼児クラスは常時の散歩と計画を立てることが難しい状況下ですが、乳児クラスは散歩車などにのり回数を多く出かけています。子どもは散歩先や園内で落ち葉や虫を探す、木の実を集める体験をし、自然に触れる機会を持っています。散歩時には交通ルールを身につけています。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
園独自の行事の取り組みのなかで、子どもの主体性を大切にしています

行事とは、子どもが主体となって進められるよう、日々の生活の中から関心のあるものを行事に取り入れています。大きな行事として夕涼み会や運動会、クリスマス祝会などを行っています。夕涼み会は盆踊りや模擬店などがあり、1000人近い方が訪れ賑わっています。運動会は毎年テーマを設け、様々な競技をしています。特色あるクリスマス祝会では、年長児は衣装を着けた降誕劇やトーンチャイムの演奏、男の子と女の子と演目を違えた日舞の指導を担任が行い、演じています。歌も讃美歌や童謡、新しい歌をきれいな声で歌い、会を盛り上げています。

伝統的に継続して行われている野点を通して、年長児は達成感を味わっています

日本の伝統文化を伝える行事として、5歳児クラスが毎年、継続して行っている行事に野点があります。春と秋に実施しており、その前には園内の和室でお茶の作法の練習をしています。緋毛氈や傘をたてた野点に保護者を呼び、年長児と保護者はお点前を頂いています。野点の場面を他のクラスの子どもは見ており、特に4歳児クラスは年長児へのあこがれの気持ちを持っています。5歳児クラスの子どもは年長児しかできない貴重な体験を緊張しながらも楽しみ、充実感ややり終えた達成感を得るなど、非日常の行事から刺激を受けています。

保護者に行事の取り組みの過程や見所を号外のお便りで詳しく伝えています

行事を進める中での子どもの頑張りを保護者に伝えており、運動会やクリスマス祝会などの行事は、年間行事予定や園だより、クラスだよりで日程を知らせる以外に、保護者に向けて取り組みの過程や見所を伝えています。第1号、第2号、第3号とシリーズを各クラスごとにお便りやブログで発信しています。プロセスの説明や子どもの様子、出し物の内容、お願い事項を写真とコメントを入れたもので知らせ、保護者や子どもは、お便りが出る度にわくわくして行事に期待する気持ちが高まっています。職員の意気込みも感じ取れる号外ニュースとなっています。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
延長保育時間は延長保育用の玩具での遊びをし、ゆったりと過ごしています

当園の延長保育時間は18時から20時迄としていますが、20人くらいの子どもが徐々に少なくなり、現況では19時ころの家庭が2家庭くらいになっています。延長保育は1歳児クラスで実施しており、手づくりの椅子やマットを敷き、ゆったりと過ごせる空間にしています。延長保育用の遊具を用意し、子どもは日中保育で使わない玩具類で遊びを楽しんでいます。長期保育計画を作成しており、保育計画に沿って過ごせるよ配慮しています。職員は個々の子どもの遊びを見守りながら保護者のお迎えを待ち、お迎え時にはアタタカイヤリトリで接しています。

異年齢の子ども同士の交流も深まり、双方が影響し合い遊んでいます

延長保育時間帯は、異年齢の混合保育となり、年齢の異なる子ども同士が仲良く過ごしています。大きな子は小さな子に優しく接し、折り紙を折ったり、絵本の読み聞かせをしたりと、年長児としての役割を果たしています。4、5歳児クラスの子ども同士の交流も深まり、年長児の遊びに入れてもらうなど、遊びが発展しています。クラスを越えて遊ぶ姿が見られます。当番職員は少人数だからこそできる遊びを設定してもいます。また、職員は保護者に対して、日中活動の子どもの様子の伝達や、連絡事項に漏れがないよう留意することに、気を配っています。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
『食事が楽しみになるよう』な意図のもと、様々な食事形態を取り入れています

『食事が楽しみになるように』との法人の思いのもと、月の食事の目標を立てています。子どもが楽しみにしている食事の一つとして、弁当給食を設けています。四季折々に『春よ来い弁当』などと命名し、弁当箱も全員の子どもに用意し、提供しています。食材は季節に合ったものを入れ、子どもは弁当箱のふたを開けた時、「わー」と声をあげ、わくわくしながら食べています。食べる場所もテラス、園庭、近くの公園と普段と違えています。子どもの食経験を増やすため世界の料理や日本各地の郷土料理の提供や、バイキングやメニューの希望も聞いています。

美味しい食事づくりで意欲的に食べる事や行事食も本物を提供をしています

美味しい食事づくりに向けた取り組みとして、食材の選定に配慮しています。うま味や味がいい旬の食材の使用、ほか、旬の食べ物の生育のプロセスも写真から知らせています。味付けにもこだわり、天然だしとしています。野菜類は野菜のうま味を出すよう工夫し、彩りは食事の全体の色合いのバランスを考え、量は子どもが食べやすく食べれる分量を出しています。行事食の取り組みでは、クリスマス祝会時は鳥の丸焼きをつくり、鳥一羽の実物を子どもに見せた後、食卓に出しています。子どもであっても本物を知ってほしいというねらいのもと行っています。

食への取り組みの徹底を図ると共に世界の食にも興味を持つようにしています

食育として、夏野菜の栽培をし、給食に入れたり、調理保育でタケノコの皮むきでは事前にタケノコの絵を描いたりしています。『命を頂いていることを知ろう』というねらいを持ち、年長児に魚一匹を見せるほか、魚の食べ方を栄養士は話しています。活きの良いアジが届き、骨の取り方の順番を絵で知らせ、食事に魚一匹を出し、子どもは上手に身をとり、骨を上手にさばいて食べています。世界の料理も月毎に計画的に取り入れ、国旗や街並み、所在地を知らせ、かぷれーぜ(いたりあ)、ばんばんじー(ちゅうごく)とわかりやすく書面でも伝えています。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
心の健康、自己肯定感の育みを保健の基本に据えています

心の健康なしに、体の健康はあり得ないとして、心の健康、自己肯定感の育みを保健の基本に据えています。この考え方は、「アタタカイヤリトリ」を大切にする園の考えを源泉としており、職員は保育実践において、その子の心の安定や育みにとって何が大切であるのかを絶えず考えるよう心がけています。看護師は毎日登園するすべての子どもの顔を見るようにしており、保育士が得ている家庭での様子や前日からの健康面や情緒面に関する情報とともに、子どもの状態を把握するようにしています。

手洗いや歯磨きなど保健指導や避難訓練などを通じた安全指導が行われています

子どもへの保健指導として、歯磨き指導を行っています。手洗い指導については、基本的生活習慣の習得の援助の流れの中で、発達や理解に応じて行うようにしており、一緒に行うところからはじめ、徐々に自分で行えるよう援助しています。看護師は、手洗いの現場に赴き適宜正しい洗い方を伝えるようにしています。子どもの安全への意識を高めるために、交通安全教室が行われており、警察署員によって交通ルールやマナーが伝えられるほか、避難訓練の際には、逃げる時の姿勢や命を守ることの大切さが伝えられています。

保育活動で丈夫な体づくりに取り組み、保護者に保健情報を伝えています

上記に加え、保育実践の中には、丈夫な体を育むためのプログラムが組み込まれています。保育体操として3曲踊ったのちにマラソンを行ったり、外部講師を招いて行う体操教室では、体の使い方を楽しみながら学び、体幹が鍛えられています。医師による健診が定期的に行われ、情報提供や助言を受けるなどの協力が得られています。保護者への保健情報の提供として、保健だよりを発行しており、睡眠時間や事故のほか、感染症・視力・スキンケアなどに関するコラムを掲載するほか、感染症の発症状況についても掲示によって伝えています。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
保護者の事情に配慮した対応に努めています

保護者の就労や健康上の理由による、急な保育時間や利用日の変更には、柔軟な対応に努めています。保護者との「アタタカイヤリトリ」の充実を基本として、保育時間の変更などの連絡を受けた折には、保護者の仕事への労いや、保育園や保育士のことを気にかけてくれたことに関する園側の感謝気持ちを伝えるようにしています。夕刻のお迎え時は、降園する家庭が多く、ゆっくり応対することが難しいこともあるが、子どものその日の様子をできる限り伝えるよう心がけており、保護者が安心して預けることができるようにしています。

保護者同士が交流する場を設け、信頼関係を築くアタタカイヤリトリに努めています

保護者同士が交流する機会がさまざまに設けられています。保護者会は、各クラスの代表者が出席して園運営について意見交換をする場となっているほか、運動会の保護者競技や夕涼み会のほか、保育参観も保護者同士が関わり交流する機会となっています。保育士と保護者の信頼関係の始まりは、入園前の見学や入園後の面談であり、保護者の意向や不安をしっかりと聞き取り職員間で共有することに努めているほか、保育開始直後の慣らし保育の期間中にも、保護者が安心できるよう、子どもの様子を丁寧に伝えるなどのアタタカイヤリトリに努めています。

保護者との共通理解を深める機会がさまざまに設けられています

保護者が参加する運動会やクリスマス祝会は、子どもたちの成長を保護者に伝える機会となっているが、当日のできた、できないによって、子どもたちの成長を伝えるのではなく、行事を進める中で見られる子どもや子どもたちの成長の姿を伝えたいと考えており、お便りやブログなどを活用しています。また保育参観では子どもの日常の遊びや生活の姿を伝えたり、保育公開日を設けるほか、個人面談では、保育園と家庭の子どもの様子を伝え合い、成長の姿や援助の方針を確かめ合うなど、保護者との共通理解を深める機会がさまざまに設けられています。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
公的機関や公園活用、ボランティアとの関わりを持ち生活の幅が広がっています

地域資源の活用では、運動会前に1ヶ月ほど公園の活用をし、運動会当日に臨んでいます。公的機関は消防署の訓練時に子どもも参加したり、警察署の不審者対応や交通安全教室に参加したりし、専門的な知識を得て散歩時の歩き方や、避難訓練時のあり方を学んでいます。年長児は年2回、高齢者施設を訪問し、日舞やトーンチャイムを演奏して高齢者に喜ばれ、子どもの自信にも繋がっています。ボランティアの来園もあり、音楽大学のリトミック研究会の学生が4歳児クラスの子どもにリトミックを教えており、ピアノ演奏や小物を使った動きを楽しんでいます。

園行事の招待や近隣の方との日常的なつながりを大切にしています

園行事に地域の方やほかの人の参加を招く催しとしては、夕涼み会があります。この行事は例年続けて実施しており、本年は1000人以上の参加がありました。リピーターも多く、焼きそばやフランクフルトソーセージ、唐揚げやジュース、アイスクリームなどの食物も出て大人気です。近隣の方との関係性もよく、常日頃から明るい挨拶と一言の言葉かけをするほか、行事の際はあいさつ回りをしています。また、近所の方からいただいたクレーム対応にも迅速に対応し、近隣との信頼関係を築いています。

地域の子育て支援に向けて積極的に取り組み、役割を果たしています

地域の子育て支援事業として、保育所体験や試食会、母親講座、妊婦講座、相談事業など多岐に渡る支援事業を実施しています。母親講座は、計画を立て歯磨き指導や乳幼児期の食事について、虫よけスプレーづくり、自己肯定感の大切さなどを栄養士や看護師を中心に講座を開いています。相談事業ではコップで飲めなイヤイヤ期の対応、雨の日の過ごし方などの相談が寄せられています。また、人形劇や七夕制作、水遊びなどの園活動の参加もあります。歴史のある保育園として、地域の子育て支援に向けた役割を果たしています。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
個人情報やプライバシーの保護に努め、羞恥心に配慮しています

入園時には個人情報やプライバシーの保護に関する保護者の同意を確認するほか、その後に外部との情報のやりとりが必要になる場合などに関しては、再度保護者の確認をとり同意を得るようにしています。羞恥心への配慮として、プールや水遊びの際には目隠しを施すほか、身体測定など裸になる時にも、カーテンを引くなどして視線を遮るようにしています。排せつの失敗などには、子どもの気持ちに寄り添いながら、他児に気づかれることがないように着替えの援助を行うようにしています。

子ども一人ひとりの主体性の尊重について職員間の認識共有がすすんでいます

集団保育の中において、子ども一人ひとりの主体性や自発性を尊重することとは、どんなことなのかを職員全員で再確認する取り組みが進んでおり、子どもの主体性を尊重することと、園が大切にしている「アタタカイヤリトリ」との整合についての納得性や、実際の活動内容や環境構成といった具体的な手段のあり方についても、研修や話し合いを通じて職員間の認識共有が図られています。また法人の合同研修会において、理事長より法人が大切にしていることが伝えられているほか、園長からも「アタタカイヤリトリ」への思いが職員に伝えられています。

虐待防止や早期発見・通報の仕組みが整えられています

虐待防止に関するマニュアルが整えられており、虐待を受けている子どもの特徴や虐待が起こっている時の家族の特徴や虐待を見逃さないためのポイントのほか、行政機関への報告や連携体制に関する流れなど、虐待防止に向けた基本的な知識や連携に向けた流れが明らかにされています。職員の不適切な言動や関わりの防止に向けて、子どもへの権利侵害や家庭支援関する学びを、職員全員で受講するオンライン研修で得ています。また現場における好ましくない言動や所作については、時を開けずにリーダー層が指導し注意を促すこととしています。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
園の業務の標準が各種マニュアルによって明らかにされています

保育計画を策定する際のガイドとなる「年間計画マニュアル」や、離乳期のねらいや調理職員と保育士との連携、食具の見通しなどが記載されている「食育マニュアル」、歳児ごとのデイリープログラムやその留意点のほか、朝夕の保育のポイントなど保育の基本が記載されている「日常保育マニュアル」のほか、「安全対策マニュアル」や「散歩マニュアル」・「感染症マニュアル」・「災害対策マニュアル」など、園業務の遂行に必要なマニュアルが整えられています。嘔吐処理や適切な清掃方法については、看護師の指導が行われています。

マニュアルは必要に応じて更新が図られています

上記の園の業務の基本を明らかにしているマニュアルは、法令やガイドライン等、行政から発出される各種の通知によって、適宜改定することとなっているほか、業務遂行に際して、不都合や改善を要するものについても適宜最適化を図ることとしており、チーフ会議の中で見直したり、必要に応じて新たに手順や基準を定めたりしています。新人職員に対してはオリエンテーションが行われ、法人が大切にしている考え方が伝えられるほか、園独自のルールについては基本の手順を指導するだけでなく、園内研修でも必要なことが伝えられています。

現在進んでいる保育実践の充実に向けた取り組みの記録化に期待が寄せられます

昨年度より、園が大切にしていることと、子どもの主体性の尊重との整合や実践に関する学び合いがすすめられており、他施設への訪問や園内研修を踏まえて、環境構成や関わり方が見直されています。ただこれらの見直しによって再確認されたことや新たな気づきとして得られたことなどの、学びや実践の記録についてはさらなる充実の余地があるとも考えられます。子どもの発達の状況と環境や関わりの変化によって変わった子どもの姿を、意図や工夫などとともに継続して記録することが、園独自の保育メソッドの構築につながる可能性があると考えられます。