東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和元年度(2019年度)
サービス名称 生活介護
法人名称 社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会
事業所名称 中野区障害者福祉会館
評価機関名称 特定非営利活動法人 NPO専門職ネット

コメント

利用者調査については、事業所から利用者・保護者に対して、第三者評価の実施と利用者調査におけるアンケートへの協力をお願いした。また、担当評価者により、利用者の日中活動の様子をグループごとに場面観察を行なった。事業評価については、職員に対する説明の機会を設け、第三者評価の理解と記入法等を周知徹底した。事業所の特長や独自の取り組み、工夫点などを重視し、また、前回の評価を踏まえ、改善課題の取組状況等に着目し評価を実施した。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1) 法人理念を運営に活かすとともに、より利用者の立場に立った施設運営を行なう 2) 利用者視点での支援を目指す。(利用者主体)主体者としての利用者の人権を守る 3) ネットワーク関係機関との連携 4) 大規模災害時に向けた環境の整備 5) 自施設以外の障害者の利用について地域の障害者が利用できるスペースの利用の確立

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

相手の立場に立ち、物事を考えられる人。相手の気持ちに寄り添えること。 利用者のよき理解者であり代弁者であること。またその中で、利用者の潜在的なニーズを聞き出すアセスメント力やサービスをつなぎ合わせるための知識や能力を持っており、その方に必要な支援が何かを常に見極める能力を有している。また、その学びを大切にする者。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

利用者の命はもちろんのこと、人権を扱っていることを常に考え、利用者が地域で生きて行くための支援を、また様々な提案をさせてもらっていることに責任をもって支援にあたってもらいたい。利用者と物事を一緒に考え、生活の充実やその人らしさを発揮してもらうための役割があること。仕事であること。自分の業務を楽しめること。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 天気のよい日には毎日のように外出し、利用者の要望に応じて、買い物や外食、公共交通の乗車体験を楽しんでいる

天気のよい日には毎日のように外出している。利用者の要望に応じて行き先を選び、2~3人の小グループで外出する「パーソナル外出」を実施している。地域の商店やショッピングセンターで買い物をしたり、外食を楽しむほか、近隣の福祉施設の喫茶室に立ち寄ったり、社会経験を積む練習として、電車やバスなど、公共交通機関を利用することもある。年に数回は公立のプールに行って水に入ることを楽しみ、機能の向上にも役立てている。今後、地域の商店街で購入したものを施設内で食べるという体験を実施するための企画を検討中である。
2 給食業者との定例会議や利用者アンケートに基づき、利用者に合った食材や食形態、味や盛り付けに配慮された給食を提供している

昼食は委託している業者の給食を提供している。トロミ、きざみ等の食形態、アレルギーや宗教上の制約にも対応している。イベント時には季節に合った行事食が提供され、ムース食であっても、料理の上に食材で描かれたイベントのイラストが添えられるなど、食の楽しみを味わえるよう工夫を重ねている。月に1回給食業者と会議を開き、献立や食べやすさ、色どりなどについて、事業所の意見を伝えている。また、年に1回、保護者にも給食を試食してもらう機会を提供し、レシピや食材に関する質問に答えたり、アンケートを実施している。
3 手厚い医療的ケアの提供に向けて、全職員が医療的ケア手技研修に参加し、必要な技術の向上に努めている

鼻腔栄養、酸素療法、胃瘻、気管切開、人工呼吸器等の医療的ケアが必要な重度心身障害者を受け入れている。1年に3回、医療的ケア手技研修を実施し、喀痰吸引や座薬の扱いなど必要な医療的ケアの手技や発作時の対応を全職員が学んでいる。発作に対しては、前兆に注意し、すぐに看護師が対応できる体制をとっている。整形外科・内科・精神科の医師がそれぞれ年4回ずつ来所し、利用者の状態を確認するとともに、必要な助言を行なっている。消防署の協力を得て、全職員が誤嚥などの事故に備えた救急救命講習を受講している。

さらなる改善が望まれる点
1 事業継続計画(BCP)について、事業の再開・継続に向けた対策など具体化に向けた取り組みが期待される

災害時の対応については、職員には職員会議などで、利用者には家族会議などで説明して理解を深めている。また、事故・感染症・災害などが発生した場合には法人を初め第三者機関などと連携して再発防止を検討する体制が構築されている。大規模災害などに備えて中野区政の事業継続計画(BCP)が作成され、“基本方針に基づき個別事業計画を策定する”ことが規定されている。事業の中断・再開は区の指示によるが、事業を運営する指定管理者として事業の再開・継続に向けた対策等、BCPの具体化に向けた取り組みが期待される。
2 職員の業務負担にも配慮し、ICT化の導入等を含めた業務体制の見直しなどの取り組みに期待したい

利用者の個別支援計画、個人記録のほかに、グループ活動記録、支援日誌、業務日誌、特記簿などの記録、さらに、グループ会議、全体会議、朝夕のミーティングなど、各利用者の情報を共有するしくみを整備している。特に、グループ単位での夕方のミーティングにおいて、日々の細かな利用者の様子や状況を把握・記録し、職員間の情報共有と連携・協力体制のもとで、利用者一人ひとりに寄り添った対応を行なっている。今後は、記録や会議が職員の過度な負担にならないよう、事業所の状況に応じて、ICT化の推進などを含めた検討が期待される。
3 利用者・家族の高齢化を背景として、将来を見据えた利用者支援の取り組みの継続が期待される

利用者の年齢が10代から60代と幅広いため、親世代の年齢もさまざまである。高齢の家族は新しいサービスの導入をためらう傾向があるため、成年後見制度や居宅サービスに関する情報を提供し、家庭環境に変化が生じた場合に時期を逃さず手続きを支援するなどして、利用者の将来を見据えた取り組みを行なっている。ただ、今後も利用者・家族の高齢化が進むことが予想されるため、将来を見据えた利用者支援の取り組みの継続が期待される。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 事業所の機能を活かして利用者や地域の方に対して幅広く生活を支援している

日中の活動の終了後の利用者の居場所を確保するために、事業所の持てる資源を使用して有効活用できる場所を提供したいと、「フリースペース」として開放し、事業所の利用者だけではなく、別の福祉施設の利用者やその家族、ガイドヘルパーの利用を受け入れている。「フリースペース」利用に登録や予約は必要だが、外出の途中で、暑さ寒さをしのいで休憩することができる場となっている。
関連評価項目(地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている)
2 ★ 総合的な支援力のもとで多様な障害特性、利用者ニーズに対応した支援に取り組んでいる

事業所は支援員、看護師、理学・作業療法士、嘱託医、主治医など、利用者の支援に係わる人たちが専門性を発揮し、連携と協力のもとで総合的な支援力を形成し、多様な障害特性、利用者ニーズに対応した支援に取り組んでいる。利用者の日常生活動作の的確な支援、事業所内外での諸活動の支援では、職員各自が支援力を発揮するとともに必要に応じて連携し、医療面では医師の的確な指示、助言を踏まえた、安全で安心できる支援を行なっている。
関連評価項目(個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている)
3 ★ 時間延長サービスの提供により、家族の負担軽減に配慮した支援に努めている

週2回、所定の生活介護サービス終了後の1~2時間、一日2名を対象として、職員が付き添って利用者の支援を引き続いて行なう「利用者時間外タイムケア」(有料)を実施している。家庭の事情に応じてサービスを延長利用することができるので、予約が追い付かないほど好評である。
関連評価項目(利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:利用(登録)者全員を対象とした。

調査方法:アンケート方式  
利用者の状況を踏まえ事業所との協議により、利用者本人の保護者・家族等の協力を得る形でのアンケート調査を実施した。調査実施の案内状と返信用封筒を添えた用紙を事業所を通じて配付し、記入後のシートは、事業所を介さずに直接評価機関へ郵送する形をとった。

利用者総数 26人
アンケートや聞き取りを行った人数 26人
有効回答者数 18人
回答者割合(%) 69.2%

総括
回答者18名中14名は、家族が本人の気持ちを推察して回答している。「利用している「中野区障害者福祉会館」(生活介護)について総合的にみてどのように感じているか」との質問に対して、回答者の約35%が「大変満足」、約52%が「満足」、約12%が「どちらともいえない」と答えている。感謝の言葉と共に「活動内容が充実している」、「利用者・家族に寄り添ってくれる」などの意見が寄せられている。一方で、設備環境や職員体制の要望、安全対策の充実等に関する率直な意見も寄せられている。個別の質問に関しては、「困ったときの職員の支援」、「事業所の活動」、「職員の接遇」、「利用者の気持ちを大切にした対応」、「プライバシーの配慮」、「計画作成時の意見聴取」については、「はい」とする回答が80%以上を占めるなど、事業所に対する信頼と評価がうかがえる結果となっている。「外部の相談窓口」については、非該当も含めて回答が分かれた結果となっている。

利用者調査結果
    4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。
1.利用者は困ったときに支援を受けているか
はい 17人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の大多数(約94%)が、「はい」と回答している。「声かけをしてくれることにより、気持ちが楽になる」といった意見が寄せられている。「どちらともいえない」との回答もみられるが、特に意見は寄せられていない。「いいえ」との回答は無く、職員の支援について、利用者本人の特性からくる難しさも含め、信頼と共に評価をしている状況がうかがえる結果となっている。
2.事業所の設備は安心して使えるか
はい 14人  どちらともいえない 2人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
回答者の約78%が、「はい」と回答している。回答者多くが、設備の安全性をおおむね評価していると考えられる結果となっているが、「どちらともいえない」(2名・約11%)・「いいえ」(2名・約11%)との回答もみられ、「いいえ」との回答からは、「建物が古く、きれいで清潔と感じられない」、「入浴サービスの充実」を求める意見も寄せられている。
3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか
はい 13人  どちらともいえない 4人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
回答者の約72%が、「はい」と回答している。「本人はいつも明るく、楽しいのだと思われる」といった意見が寄せられている。「どちらともいえない」(4名・約22%)・「いいえ」(1名・約6%)との回答もみられるが、特に意見は寄せられていない。
4.【生活介護】
事業所での活動は楽しいか
はい 16人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の多数(約89%)が、「はい」と回答している。「いいえ」との回答はなく、「楽しいと思われる」との意見が寄せられ、事業所における楽しい活動を評価していると考えられる結果となっているが、「微妙、楽しい時は楽しいけれど…、発語がないので連絡帳が頼りだが、わからない」とする意見もみられている。
18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 12人  どちらともいえない 2人  いいえ 4人  無回答・非該当 0人 
回答者の約67%が、「はい」と回答している。事業所内の清掃や整理・整頓の取り組みをおおむね評価していると考えられる結果となっているが、「どちらともいえない」(2名・約11%)・「いいえ」(4名・約22%)の回答も他の設問に比べやや多い。「老朽化により、きれいで清潔とは感じられない」、「トイレの改修が進められているが、建て替えの方が良いと思う」といった率直な意見も寄せられている。
19.職員の接遇・態度は適切か
はい 17人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の大多数(約94%)が、「はい」と回答している。「動きやすい私服を用意されるのは大変だと思う」との意見が寄せられている。「いいえ」との回答は無く、職員の取り組みや努力を評価していることがうかがえる結果となっている。「どちらともいえない」との回答からは、「普通、特に何とも思わない、服装については制服にしたほうが楽だと思う」といった意見もみられている。
20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 17人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の大多数(約94%)が、「はい(信頼している)」と回答している。「どちらともいえない」との回答は少数みられるが、「いいえ」との回答は無く、病気やけがをした際の職員の対応を信頼していることがうかがえる結果となっている。
21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 11人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 5人 
回答者の約61%が、「はい(信頼している)」と回答している。「いいえ」との回答は無いが、「どちらともいえない」(2名・約11%)からは、「いさかい等があるのかわからない」といった意見が寄せられている。また、「非該当(経験が無い)」(約28%)との回答からは、「(利用者の特性等から)質問が難しい」、「質問に対して答えに無理がある」といった率直な意見も寄せられている。
22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
はい 16人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
回答者の多数(約89%)が、「はい」と回答している。「どちらともいえない」・「非該当・無回答」の回答も少数みられるが、「いいえ」との回答はみられない。特に意見は寄せられていないが、職員の利用者に対する気持ちを尊重した対応を評価している状況がうかがえる結果となっている。
23.利用者のプライバシーは守られているか
はい 15人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
回答者の約83%が、「はい」と回答している。「どちらともいえない」・「非該当・無回答」の回答も少数みられるが、「いいえ」との回答はみられない。特に意見は寄せられていないが、事業所・職員のプライバシーを保護の取り組みについて評価している状況がうかがえる結果となっている。
24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
はい 15人  どちらともいえない 3人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の約83%が、「はい(聞かれている)」と回答している。「どちらともいえない」との回答は少数(3名・約17%)みられ、「お風呂」といった意見が寄せられている。「いいえ」との回答は無く、計画作成時の面談、要望や意向把握についての取り組みの状況がうかがえる結果となっている。
25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 13人  どちらともいえない 3人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
回答者の約72%が、「はい(わかりやすい)」と回答している。「どちらともいえない」(3名・約17%)との回答からは、「普通です」との意見が寄せられている。また、「いいえ」(1名・約6%)、「非該当・無回答」(1名・約6%)の回答もみられるが、特に意見は寄せられていない。
26.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 12人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 4人 
回答者の約67%が、「はい(対応されている)」と回答している。「本人?、家族の要望ですが」といった意見が寄せられている。「どちらともいえない」(1名・約6%)・「いいえ」(1名・約6%)・「非該当・無回答」(4名・約22%)との回答もみられるが、特に意見は寄せられていない。
27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 8人  どちらともいえない 4人  いいえ 1人  無回答・非該当 5人 
回答者の約44%が、「はい(伝えてくれている)」と回答している。「どちらともいえない」(4名・22%)・「いいえ」(1名・約6%)・「非該当・無回答」(5名・約28%)に回答が分かれ、他の設問に比べ、「はい」とした回答割合が低いものとなっている。「いいえ」との回答からは、「聞いたことがないし、聞かない」、「非該当」との回答からは、「今のところ相談しなければならないことは起こっていない」との意見が寄せられている。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
事業所が目指している理念などを明示、職員・利用者・家族の理解に取り組んでいる

法人の統一ミッション・中野区障害者福祉会館のサブミッションと運営方針・重点項目について明示して事務所内に掲示して事業計画書に記載、施設長が毎月開催する全体職員会議や朝礼などで職員に説明して理解を深めている。上半期終了時には事業計画書を基に進捗状況を振り返り、必要に応じて見直しを行なっている。利用者・家族に対しては事業計画書を配付、区の施設福祉担当者・地域の福祉担当者・民生委員などが出席する運営協議会などで理解に取り組んでいる。

経営層は自らの役割と責任を職員に伝えて職員が取り組む方向性を示している

経営層は自らの役割と責任を組織表に、職務内容を事業計画書に記載して、施設長が毎月開催する全体職員会議などで、取り組むべき方向性を示し、職員の理解を図っている。事業成果や重点項目の実現に向けて中心的に取り組むチームを編成して日常的に進捗状況を振り返り、半期毎に確認して見直し、内容は朝礼などで迅速に伝えて職員が理解を深められるように取り組んでいる。

重要な案件についての決定手順は決められていてその内容は関係者に周知している

重要な案件についての決定手順は法人の施設長会議などで検討し、理事会で決定される。法人の動向や決定事項については施設長が2か月に1回開催される運営会議や年3回開催される全体職員会議で説明、職員には主任が年20回開催される職員会議や朝礼などで説明して常に周知に取り組んでいる。利用者には文章の配付や掲示板へ掲示することや口頭にて理解できるようにわかりやすく説明している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
利用者・職員・福祉関連事業などのニーズを把握して検討し、課題を抽出している

区が年度末に実施している利用者満足度調査・給食試食会アンケートや個別支援計画の面接などで利用者の意向・意見・希望を把握している。職員からは、9月に主任が、3月に施設長が実施する個人面談で聞き取りを実施して把握している。地域の障害者団体イベントなどや身体・医療・介護保険などの関連団体・協議会などへ参加して地域の現状を、都や区との連携や法人会議・研修への参加などで福祉事業全体の動向を把握して課題を抽出して事業運営に取り組んでいる。

指定管理制度の契約時に策定した中長期計画を踏まえて単年度計画を作成している

指定管理の期間(5年間)に応じた中長期計画を策定して区に提出している。単年度計画はその中長期計画を踏まえて、1月に各主任が全職員などと今年度を振り返り、事業内容の現状や今後の方向性などを検討して2月に立案し、区と協議を重ねて作成、法人全体を把握して作成し、理事長に提出、理事会で承認を得ている。また、予算編成については前年度に立案して区と協議の上決定している。

事業所が策定した事業計画の実行に取り組んでいる

法人のミッション、会館のサブミッションを踏まえを事業所の事業計画を策定して理事会の承認を得ている。事業所の重点目標は具体的に明示して職員に理解と周知に取り組んでいる。事業計画の進捗状況については中間(9月)に職員会議で取り上げ、施設長がヒヤリングなどで達成度合いを確認して後期の目標達成に向けて話し合いを持って調整し、必要に応じて見直して理事会の承認を得ている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
社会人・福祉に従事する者として守るべき法・規範・倫理などの周知に取り組んでいる

事業所の基本方針として「利用者視点での支援を目指す、主体者(利用者)としての利用者の人権を守る」と明示している。法人の就業規則の服務規程で社会人・福祉に従事する者として守るべき法・規範・倫理などを明示して4日間実施している新人新任研修で説明して周知を図り、3年・5年・8年目に実施する階層別研修の中でも施設長が説明、職員が常に意識して遵守するように取り組んでいる。

利用者の権利擁護のために事業所として組織的に取り組んでいる

苦情解決制度の利用や事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることは、入所契約時に重要事項説明書で説明し、事業所の苦情受付担当者を主任・責任者を施設長と定めて事業所内に掲示し、法人苦情解決窓口・区の担当・オンブズマン・第三者委員を紹介している。虐待については毎朝礼・夕礼で確認し、3か月に1回虐待防止職員チェックリストで確認、利用者には年1回の満足度調査を実施、虐待防止委員会を年1回(必要に応じて随時)開催している。さらに、障害者差別解消法のガイドライン、合理的配慮などの取り組みを行なっている。

地域の福祉ニーズを把握して事業所の機能や専門性を生かした取り組みをしている

会館のミッションとして「さまざまなニーズに対応できるよう関連機関と連携を取り、利用者・近隣住民に信頼される施設を目指す」と示し、小学校や中学校の体験学習を受け入れ、展示された福祉機器について説明し、車いす体験や利用者との交流を実施している。地域祭りの一つとして、会館まつりを開催し、地域と連携し事業を理解してもらう取り組みをしている。また、活動を通じて近隣の障碍者施設、学校や保育園との交流を図っている。会館1階の展示スペース「アルモニー」を活用して事業の紹介や交流の場としての活用がなされている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している ×
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
事業所が目指していることの実現を阻害するリスクに対して対策に取り組んでいる

事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスクに対してリスクマネジメントなどの対策に取り組んでいる。感染症予防・対応に対して新任職員入職時の研修や感染症流行前に医務が施設内研修を実施して職員の意識を高め、リスクの対応方法などを職員会議や朝礼・夕礼などで確認して職員間で共有化している。感染症については感染症マニュアルに基づいて対応、トイレや活動室・食堂の洗面所に手指消毒液を設置して手洗いと消毒などを徹底して予防に取り組んでいる。

事業の再開・継続に向けた対策等、BCPの具体化に向けた取り組みが期待される

災害時の対応については、職員には職員会議などで、利用者には家族会議などで説明して理解を深めている。また、事故・感染症・災害などが発生した場合には法人を初め第三者機関などと連携して再発防止を検討する体制が構築されている。大規模災害などに備えて中野区政の事業継続計画(BCP)が作成され、“基本方針に基づき個別事業計画を策定する”ことが規定されている。事業の中断・再開は区の指示によるが、事業を運営する指定管理者として事業の再開・継続に向けた対策等、BCPの具体化に向けた取り組みが期待される。

事業所の情報管理は法人の規程・ルールに沿って適切に管理・活用できるようしている

法人情報管理は情報セキュリティ管理規程に沿って適切に管理・活用できるようにしている紙ベースの資料は各事業別に鍵のかかる棚に保管して主任が管理している。パソコンには階層別にパスワードを設定して事業所内の重要な情報は管理者のみの管理とし、各事業の共有情報の活用については、管理者を通じて情報の共有化を図っている。個人情報保護規程について、職員とは入職時に誓約書で確認サイン・押印、利用者とは契約時に説明して同意書にサイン・押印を得ている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
事業所の目指していることの実現に向けた人材構成と育成計画に取り組んでいる

事業所の目指していることの実現に向けた人材構成に考慮して採用、常勤職員は法人、非常勤職員は事業所で面談などで決定して法人本部事務局で管理している。外国人の採用は経験者とし、非常勤職員と共に1週間の試行期間をへて正式採用として配置は個々の要望などを考慮して決めている。人事考査制度に基づいて職員の等級別に必要能力などが記載されて個人面談などで意向・意見・意向を把握して異動や研修計画などを作成している。

職員の個々の階層別研修を整備して策定、個人面談や習得度評価を実施している

法人が常勤職員に向けて階層別研修計画(新任・2年目・初級・中級・上級など)を策定しているが、個人が希望する研修にも必要に応じて参加できる制度が確立されている。事業所でも独自に主任などと相談して必要な研修に参加できる体制も整備されている。個人面談などを通じて、どのように研修が職務に活用されているか確認し、さらに習得度評価を通じて次の育成計画に活かしている。

職員の意欲向上を図り、組織としてのチームワークの向上に取り組んでいる

年2回の面談で職員の意向・意見・希望などを把握、有給休暇の取得状況などを考慮して勤務体制に反映させている。法人は年1回、職員のストレス状況を判断、必要に応じて医師が相談に応じている。また、契約している相談窓口をパンフレットで周知を図り、年1回窓口より内容の報告を受けている。職員の気づきや工夫などについてはミーティングなどで認めて職員間での共通化を図っている。外部研修参加後に会議などで発表する機会を設けて職員間で情報の共有化、組織としてチームワークの向上に取り組んでいる。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 医療的ケアを必要とする利用者の利用者の需要が増えたこと、併せて、障害の重症化や高齢化が進んで医療面での強化が必要となってきている。そのため、指導する医師の確保が必要となり前年度の目標として「支援力の向上と連携」とし、医療面での強化を目標に指導医を開拓し、アドバイスを基に今以上に利用者が安全・安心して通所できる体制を整えることに取り組んだ。目標達成に向けて指導医を開拓するため情報収集や他施設へ訪問して交渉などを実施する。また、そのアドバイスに基づいて看護師などのレベルアップを図り、事業所として利用者が安全・安心して通所できる体制の構築を目指した。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
昨年末に胃ろうの手術を実施した利用者に対する手技の指導を受けるため病院に出かけた際にも話をし、推薦できる医者がいないとのことで断られたが、医療的ケア手技研修時の医師に現状を話して指導医を見つけるための相談を繰り返し行なったが、前年度においては目的は達成できなかった。そのため、継続して今年度の重点目標の1つとして「医療的な支援体制の向上」と明示し、指導医の開拓とともに、職員への研修のフィードバックを通じて医療的な知識を向上させることとした。今年度の医療的ケア手技研修を実施した際に現在の生活介護では必要性が高いことを説明したが「難しい」との回答であった。再三のお願いにより了承してもらい、今年度に入って、当該医師が春・夏・秋・冬の4回来館することになり、看護師に年1回は直接指導ができるようになっている。東京都の重度心身障害者事業を受託に向けて職員の意識付けにもつながっっている。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 日中の活動後にヘルパーを利用して天気などが悪い日にも外に出かける利用者を見て、暑い日は冷房の効いた場所を寒い日は暖かい場所を提供し、利用者が過ごしやすい環境を確保したいと考え、第三期目の指定管理における新規事業の提案として、生活介護の日中活動が終了後の居場所確保に向けて具体化に取り組んだ。中野区障害者福祉会館に事業所がある利点を生かして、通所施設の終了後の15時30時ごろから17時30分を充てることとした。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
前年度の取り組みを踏まえ、日中の活動の終了後の利用者の居場所を確保するために、障害者福祉会館の持てる資源を使用して有効活用できる場所を提供したいと今年度の計画の重点項目に「居場所の提供」継続課題として明記し、具体化に向けて取り組んだ。ヘルパーと利用者の安全快適な場所として会館の活動室の開放を検討し、保護者会で説明して本年10月から運用が開始しされた。生活介護事業所の利用者のほか、障害者福祉会館の利用者も5名の登録があり、利用は8回となっている。ヘルパーの意見でも好評であるので、今後は他の施設にも呼びかけ、拡大に向けて展開していく予定となっている。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページや障害者福祉のしおり、パンフレット等で基本的な情報を提供している

ホームページや区の「障害者福祉のしおり」、事業所のパンフレット等で基本的な情報を提供している。パンフレットは、A4、2つ折りのカラーで、コンパクトに運営方針、施設概要、一日の流れ、活動の紹介などが簡潔に紹介されている。利用者向けの情報提供には、文字数をすくなくし、写真やイラスト多く取り入れるよう努めている。また、事業所内の廊下などを利用して、各事業の説明や活動内容、実施状況を掲示するなど、文字を大きくして、写真や絵を取り入れ視覚に訴える工夫をしている。

地域の事業所として関係機関を通じた情報提供と情報収集に努めている

区の指定管理者として行政への情報提供のみならず、区内の関係機関との事業所連絡会、入所情報連絡会などの情報交換ができる会合に参加し、関係機関を通じた情報提供と情報収集に努めている。さらに、特別支援学校とは、実習の受け入れなど、情報の交換を積極的に行なっている。実習のオリエンテーションでは、説明をする際に資料として写真など提示し、利用者本人の理解を促している。事業所としては、オリエンテーション等で使用するパンフレットのリニューアルなど取り組みが検討されている。

問い合わせや電話相談、見学等を通じて具体的な状況に応じた情報提供に努めている

問い合わせや電話相談、見学等を通じて、具体的な状況に応じた情報提供に努めている。問い合わせや見学の希望には、電話を中心に随時受け付けを行なっている。基本的な対応は主任職が応じている。見学希望には、利用者の要望、状態に応じて対応し、利用者の活動時間内に見学できるように調整を行なっている。体験・実習の受け入れは、事前に調整して個別の状況に応じて対応している。希望があれば、支援者の付き添いでの体験・実習も受け入れている。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  標準項目4 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
利用者・家族の状況に応じて、余裕を持って面談や契約ができるように配慮している

利用に向けて事前に実習を実施したうえで利用希望の意思確認を行なっている。利用開始時には、契約・重要事項説明の時間は余裕をもって設定し、利用者・家族の状況に応じて対応し、個別の書面等を活用してわかりやすい言葉でポイントを絞った説明を行ない、同意を得ている。「入所時契約の手順」の書類を用意し、手続きに漏れの無いよう配慮している。実習や面談を通じて利用者・家族の意向や要望、支援に必要な特別事情等を確認し、フェイスシート・アセスメントシートに情報を集約している。

実習や面談など段階を経て環境の変化による利用者の不安や負担の軽減に努めている

実習の記録、面談やアセスメント、必要に応じて利用者本人の様子を利用前の学校や家庭へ訪問して把握するなど、利用前の本人生活状況を把握することにより、入所前の情報を踏まえた受け入れ体制を整え、環境に溶け込みやすい支援につなげている。事前の実習や面談など段階を経て環境の変化による利用者の不安や負担の軽減に努めている。情報を集約した利用者のフェイスシート・アセスメントシートを職員に配付し、情報の共有化を図り、医療的ケアなどの医務との連携も重視した支援に取り組んでいる。

終了時においても、利用者の不安を軽減すると同時に継続性に配慮した支援に努めている

本人の活動の様子を事前に訪問して確認するなど、利用前の生活を踏まえた対応による支援の継続性に配慮するなどの利用前の連携のみならず、サービス終了時においては、家族の承諾を得て移行先への必要な情報提供や関係機関への連絡や連携を図るなど、利用者の不安を軽減すると同時に、継続性に配慮した支援に努めている。また、送別会を実施したり、利用時の写真を提供するなどして、退所していく利用者・家族の気持ちに寄り添う対応もなされている。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
職員全体の意見も反映した多角的な視点からの個別支援計画策定に取り組んでいる

フェースシート・アセスメントシート、ケース記録等で把握した利用者の心身状況や生活状況を基本として評価を実施し、ニーズや課題を明確にしている。面談を行ない、利用者の希望や思いを尊重して、利用者の個別性に配慮した個別支援計画の策定、見直しが行なわれている。作成・見直しには、事前にグループ会議や全体会議においてケース検討が行なわれ、職員全体の意見も反映した多角的な視点からの個別支援計画の策定に取り組んでいる。本人の意思や思いをいかに計画に反映するか、計画内容の充実に向けた継続した取り組みの進展に期待したい。

支援内容の報告・振り返りを行ない、個別支援計画を見直すサイクルを確立している

年度の中間期と年度末から年度初めの時期(半年に1回)に、計画のモニタリング・評価を実施し、家族参加の面談を通じて、支援内容の報告・振り返りを行ない、計画の中間期の見直しと次年度の個別支援計画を作成するサイクルを確立している。さらに、利用者の状態変化などの場合に、必要に応じて会議を開催し、緊急な計画の見直しを行なっている。個別支援計画を基本とした利用者の支援内容の充実に継続して取り組み、計画・中間報告・年度末報告の様式の見直し・改善に向けた取り組みを課題としている。

職員間の情報共有と連携・協力体制のもとで支援の充実に努めている

利用者の個別支援計画、個人記録のほかに、グループ活動記録、支援日誌、業務日誌、特記簿などの記録、さらに、グループ会議、全体会議、朝夕のミーティングなど、各利用者の情報を共有するしくみを整備している。特に、グループ単位での夕方のミーティングにおいて、日々の細かな利用者の様子や状況を把握・記録し、職員間の情報共有と連携・協力体制のもとで、日々の支援の継続性に配慮した対応ができるようにしている。事業所の状況に応じたITC化に向けた取り組みの検討なども検討課題となっている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  標準項目2 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  標準項目3 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  標準項目4 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
講評
ケース記録に個別支援計画の目標を記載し、毎日、達成状況をチェックしている

個別支援計画原案はグループ会議で検討し、さらに看護師も含めた職員全員が参加する全体会議を経て確定している。見直しの場合も同様の経過をたどることで、全職員が個別支援計画を意識した支援に取り組んでいる。毎日の活動を記録する個人別のケース記録には、個別支援計画の目標が記載されており、毎日の達成状況をチェック欄に記録している。ケース記録は1か月が1枚になっており、1か月ごとに利用者の達成状況を判断し、目標や支援の内容について、個別支援計画見直しの参考にしている。

家庭や学校からの情報をもとに、利用者に合った方法で意思疎通を図っている

言語による応答が難しい利用者が少なくないため、家庭や学校からの情報をもとに、絵や写真などさまざまな方法を用いて意思疎通を図っている。重度の利用者に対しては、目がピッと動く、口をぱっと開ける、小指を上げるなどの動作を見逃さず、本人の思いを読みとるように心がけている。また、「散歩に行きたいですか?」など質問による言葉かけを行なったり、朝礼の司会を利用者に担当してもらうなどして、言葉を発する機会が増えるように取り組んでいる。車いすやベッド上の利用者には、目の高さを合わせて対応するよう心がけている。

障害特性に合わせたグループごとに活動を行ない、トラブルのないように支援している

活動は、医療ケアが必要な利用者が多く全員が車いすを使用している「ぽれぽれ」グループと、知的障害が中心の「さんさん」グループに分けて行なわれている。当日の活動、参加する利用者名等がホワイトボードに書きだされ、朝礼の際に、当日担当の利用者が読み上げている。毎月、日程表を配付し、当月の予定を利用者・家族に伝えている。利用者同士の接触の機会が多いさんさんグループでは、相性の合わない利用者同士の近くに職員がいるようにしたり、必要に応じてパーテーションで場を区切るなどして、トラブルが生じないように支援している。

  評価項目2 利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
  標準項目2 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  標準項目3 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  標準項目4 【食事の提供を行っている事業所のみ】 利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
講評
自治会活動や選択肢の提示等を通じて、利用者の意向を運営に反映させている

1~2か月に1回、利用者による自治会を開催し、活動やイベントに関する意見を運営に反映させている。活動の際には、職員主導の「次は○○しましょう」という声かけではなく、「○○しませんか?」「○と△、どちらがいい?」などの質問形の対応を心がけ、利用者の意向に応じて支援することを大事にしている。天丼とかつ丼、うどんと蕎麦など、写真を示して食事のメニューを選ぶことができるセレクト給食を実施したり、外出先のフードコートで好きなものを食べてもらうなど、利用者に選択できる機会を提供している。

天気のよい日は毎日のように外出し、散歩や外食を楽しんでいる

古紙回収、クッキーづくり、貼り絵などの活動のほか、天気のよい日は毎日のように外出し、近隣の公園まで散歩に行ったり、外食を楽しんだりしている。外気に触れる機会として、ベランダの回廊を車いすで一周することもある。年に数回は公立のプールに行って水に入ることを楽しみ、機能の向上にも役立てている。また、会館の広い廊下を利用して自立訓練事業所と合同で行なわれる運動会、宿泊旅行、忘年会など、利用者が楽しめるイベントも実施されており、会館全体で行われる夏祭りでは利用者が神輿を担ぐこともある。

給食は食形態、アレルギー等に配慮し、食の楽しみを味わえるように工夫されている

昼食は委託している業者の給食を提供している。トロミ、きざみ等の食形態、アレルギーや宗教上の制約にも対応している。イベント時には季節に合った行事食が提供され、ムース食であっても、料理の上に食材で描かれたイベントのイラストが添えられるなど、食の楽しみを味わえるよう工夫を重ねている。月に1回給食業者と会議を開き、献立や食べやすさ、色どりなどについて、事業所の意見を伝えている。また、年に1回、保護者にも給食を試食してもらう機会を提供し、レシピや食材に関する質問に答えたり、アンケートを実施している。

  評価項目3 利用者が健康を維持できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  標準項目2 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  標準項目3 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  標準項目4 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  標準項目5 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】 服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
講評
看護師が毎日、医療的ケアが必要な利用者に体温、血圧、血中酸素濃度を測定している

「健康管理マニュアル」に基づいて、利用者の健康維持に取り組んでいる。医療的ケアが必要な利用者に対しては、連絡帳で自宅での様子を確認するとともに、毎日、看護職が体温、血圧、血中酸素濃度を測定している。いつもと違う状態が見られる場合は家族に連絡し、必要時職員が同行して受診に結びつけている。体重は毎月測定し、極端な増加や減少については、家族と連携しながら、間食やご飯の量について、話し合いを行なっている。利用者によっては、エネルギーを補給するために、医師から栄養補助剤の処方を受けることもある。

重度の利用者に対応できるよう、すべての職員が医療的ケア手技研修を実施している

鼻腔栄養、酸素療法、胃瘻、気管切開、人工呼吸器等の医療的ケアが必要な重度心身障害者を受け入れている。1年に3回、医療的ケア手技研修を実施し、喀痰吸引や座薬の扱いなど必要な医療的ケアの手技や発作時の対応を全職員が学んでいる。発作に対しては、前兆に注意し、すぐに看護師が対応できる体制をとっている。整形外科・内科・精神科の医師がそれぞれ年4回ずつ来所し、利用者の状態を確認するとともに、必要な助言を行なっている。誤嚥などの事故に備え、職員全員が消防署の協力のもとで救急救命講習を受講している。

「与薬支援依頼書」に基づき、利用者に合った服薬の支援に取り組んでいる

昼食後に服薬が必要な利用者に対しては、家族から「与薬支援依頼書」を提出してもらい、薬剤名や用法、利用者に合った服薬方法を把握するとともに、「服薬マニュアル」に従って、利用者が確実に服薬できるように支援している。薬剤同士の副反応を防ぐため、事業所が服薬支援を行なう薬剤は処方薬に限っている。湿度計を設置して常に室内の湿度に注意し、夏場では熱中症、冬場ではインフルエンザ予防のために加湿器を使用している。利用者には歯ブラシやコップを持参するよう伝え、口腔ケアに取り組んでいる。

  評価項目4 利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている 実施状況
  標準項目1 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  標準項目2 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  標準項目3 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
講評
毎日の連絡帳やほぼ毎月開かれる家族連絡会によって、情報交換や意思疎通を図っている

家庭や事業所での様子、活動内容、配付物、提出物の受け取り確認などの情報を交換するために、連絡帳を活用している。拡大した書き方見本を配布し、家族が迷わず記載できるようにしている。年に4回、広報紙「ひまわり通信」を配付し、イベントや活動中の利用者の様子を伝えている。2月と8月を除く毎月、家族連絡会を開催し、館長が行事報告、事務連絡、障害者制度に関する区の制度について説明を行なうほか、家族からの質問や要望を受け入れている。ときには家族の発案で、区に要望書を提出することもある。

家庭での利用者の様子や環境の変化等について家族からの情報を入手している

個別支援計画の見直し時期に合わせて、家族と面談を行ない、家庭での利用者の様子や環境の変化等について家族からの情報を入手し、また、家族の意向を確認している。意思表示のできる利用者の場合、家族への連絡は本人への情報提供のあとで行なうよう心がけている。連絡帳やほぼ毎月の保護者会、広報紙を通じて、家族とのコミュニケーションを図っている。

家族からの相談には情報提供だけでなく、必要に応じて手続き支援を行なっている

家族からの相談に対しては、できる範囲で情報や助言を提供している。愛の手帳や障害者医療証などの公的サービスに関しては、書類づくりを手伝ったり、区役所に問い合わせるなどの支援を行なっている。利用者の年齢が10代から60代と幅広いため、親世代の年齢もさまざまである。高齢の家族は新しいサービスの導入をためらう傾向があるため、成年後見制度や居宅サービスに関する情報を提供し、家庭環境に変化が生じた場合に時期を逃さず手続きを支援するなどして、利用者の将来を見据えた取り組みを行なっている。

  評価項目5 利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  標準項目2 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
講評
散歩や買い物、外食で地域と触れ合いを重ね、学校の体験学習を受け入れている

日中活動の一環として、地域を散歩することが日常となっている。2~3人の小グループで外出する「パーソナル外出」を実施し、地域の商店で買い物をしたり、外食を楽しんだり、近隣の福祉施設の喫茶室に立ち寄っている。また、新聞回収では、作業時に出会う近隣の人々と交流している。小学校や中学校の体験学習を受け入れ、展示された福祉機器について説明し、車いす体験や利用者との交流を実施している。地域の夏祭りや福祉施設のイベントのチラシを連絡帳に挟んで、地域の情報を利用者に伝えている。

他の福祉施設と協力し合える関係が構築できており、休憩スペースの提供も行なっている

公共のプールや地域の福祉施設の喫茶室の利用などを通して、他の福祉施設と協力し合える関係が構築できている。使用していない部屋を「フリースペース」として開放し、事業所の利用者だけではなく、別の福祉施設の利用者やその家族、ガイドヘルパーの利用を受け入れている。「フリースペース」利用に登録や予約は必要だが、外出の途中で、暑さ寒さをしのいで休憩することができる場として機能している。障害者福祉会館で行なわれる会館まつりには大勢の近隣住民が訪れ、ボランティアとして参加する住民も少なくない。

  評価項目6 【生活介護】日常生活上の支援や生活する力の維持・向上のための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 一人ひとりの目的に応じた創作的活動、生産活動やその他の活動の支援を行っている
  標準項目2 自分でできることは自分で行えるよう働きかけている
  標準項目3 食事、入浴、排泄等の支援は、利用者の状況やペースに合わせて行っている
  標準項目4 【工賃を支払っている事業所のみ】 工賃等のしくみについて、利用者に公表し、わかりやすく説明している
講評
少人数のグループで、利用者の特性に応じて活動ができるように取り組んでいる

重度心身障害中心のグループ、知的障害中心の2グループに分かれ、個別支援計画の目標に応じて、古紙回収、クッキーづくり、貼り絵、イベント用の装飾品づくりなど、利用者の特性に応じた活動を行なっている。活動内容によっては、グループをさらに少人数に分けて、利用者の状態やペースに合わせて作業ができるよう取り組んでいる。調理は、こねる、混ぜる、ちぎる、切るなどの動作を通じて、利用者の感覚を向上させる効果があり、バレンタインデー用のチョコレートづくりなど、楽しみながら取り組んでいる。

利用者の要望にもとに、さまざまなところに出かけて社会経験を積んでいる

連絡帳やケース記録によって利用者のその日の状態を把握し、無理のない範囲で活動できるように支援している。社会に出てさまざまなふれあいが体験ができるように、天気のよい日には毎日のように外出している。外食、お茶休憩、ショッピングセンターめぐりなど、利用者が自分で行きたいところを選び、職員はできるだけそれを実現できるように支援している。社会経験を積む練習として、電車やバスなど、公共交通機関を利用することもある。今後は、地域の商店街で購入したものを施設内で食べるという体験を組み込みたいと考えている。

体調に配慮しながら、利用者が自分でできることは自分で取り組むように促している

利用者の状態に応じて、機能訓練、日常生活動作訓練、言語訓練、マッサージ等を行なっている。自宅で体を動かす機会が少ないため、利用者の体が固まっていることが多い月曜日には、活動の前に体をほぐすことを大事にしている。機能の維持・向上のために、自分で行なえることは自分で取り組んでもらい、職員はサポートに徹する体制をとっている。排泄介助は、同性職員が行なっている。車いすのテーブルに手を打ちつける癖のある利用者に対し、段ボールでクッション性のあるカバーを作成するなど、利用者に合った用具の工夫にも取り組んでいる。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
講評
個人情報の提供・公開に関する同意書を、年度初めに各利用者・家族に確認している

個人情報の保護について、「個人情報保護規程」を基本として、個人情報の提供・公開に関する同意書を持って、年度初めに各利用者・家族に確認し、同意を得ている。また、情報セキュリティ研修の実施や日常的なサービス提供における利用者のプライバシー保護に努めている。施設環境においてもカーテンによる間仕切りの設置やトイレの改修など、改善に取り組んでいる。さらに、排泄介助などの同性介助を基本として利用者の羞恥心への配慮を心がけるなど、職員間の周知・徹底に取り組んでいる。

各利用者に応じたアプローチにおいて、利用者の意思確認の工夫をしている

利用者を主体とした本人の意思を尊重し、利用者が選択できる自己決定への支援を実践している。各利用者のアセスメントや個別支援マニュアルにおいて、コミュニケーション対応を明確にし、支援や活動において確認の言葉かけや写真などを用いた確認の工夫をするなど、一人ひとりの利用者に応じたアプローチにおいて、利用者の意思確認に努めている。また、それぞれの価値観・生活習慣など利用者の状況に配慮した支援内容を計画に組み入れている。

各利用者の価値観・生活習慣などに配慮した個別支援に取り組んでいる

利用者フェイスシート・アセスメントシートを活用して、利用者の基本情報を把握している。文化的な食事制限など生活習慣や好きなことなど、各利用者の価値観・生活習慣などを把握し、必要に応じて個別支援計画に組み入れるなど、利用者の状況に応じた個別支援に取り組んでいる。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
講評
サービス提供に関わる必要な各種マニュアル類の整備に取り組んでいる

「規程集」の他、「個別支援計画の作成にあたって」、「個別の支援手順書」、「リスクマネジメントマニュアル」など、サービス提供に関わる必要な各種マニュアル類の整備に取り組んでいる。業務やグループ支援について、年間の業務計画策定時に、前年度の業務の振り返りを通じて担当業務内容、業務手順の見直しに取り組み、報告書を作成している。今後も継続して、支援のマニュアル等の整備・定期的な見直しとともに、業務点検の手段としてのマニュアルの活用が期待される。

各種会議や日々のミーティングにより、基本事項や手順の周知・徹底に努めている

事業計画の中間モニタリングを実施し、上半期の事業を振り返り、進捗を確認するとともに、下半期に向けて計画の修正、改善に向けたしくみが構築されている。全体会議やグループ会議、朝夕のミーティングなど、業務や行事の前後の打ち合せ等できめ細かな話し合いを行ない、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている。業務担当については、中堅・ベテラン職員と新任職員が組んで、引き継ぎを兼ねて業務を進める体制により、業務の標準化と一定の水準の確保を図っている。

手順書の内容の充実に加え、日常的に支援技術の向上に取り組んでいる

多職種で構成されている施設の職員は、それぞれの領域の専門性を生かして利用者の支援を行なっている。さらに、グループ会議や日々の支援現場におけるリーダーを中心としたサービス提供方法などの具体的な指導・助言により、職員間の情報共有と共通認識を深めている。また、職員間の情報共有と共に、理学療法士や作業療法士などの専門職による支援技術等の交流も図っており、研修、勉強会、事例検討を行なうなど、手順書の内容の充実に加え日常的に支援技術の向上に取り組んでいる。