東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 平成30年度
サービス名称 認可保育所
法人名称 社会福祉法人純心会
事業所名称 丘の上アンジュ保育園
評価機関名称 株式会社 クリップ

コメント

利用者へアンケート方式による利用者調査を実施しました。合わせて評価者がフロアーに入り滞在調査も実施しました。利用者調査終了後、双方の意見に相違がないよう事業所との合議の時間を設定しました。訪問調査では、オリジナルの資料を用い、利用者調査・職員調査の分析結果を説明、意見交換をしました。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1) 全ての利用者の基本的人権を尊重する 2) 利用者に「安全」と「安心」を提供する 3) 利用者本位の施設経営を行う 4) 職員の質の向上に努める 5) 地域社会の福祉の充実増進に努める

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

・保育の理念や目標を理解したり理解しようとする姿勢を持つ。 ・理念・目標に基づき、考え、力を発揮できる。 ・子どもの安心・安全な生活と子どもの権利を大切に守ることができる。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・保育の専門家としての自覚    ・向上心と自己研鑚    ・考え協力し合う姿勢 ・社会人としての常識と教養があること

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 【現状】意欲的に食べることを目標に美味しい食事づくりに熱意が感じられます。

健康な体づくりのため食事を大切にし、意欲的に美味しく食べることを目的にしています。そのため和食中心の献立で、乳児においても和食の伝統文化を伝えたり、食べやすさを工夫しています。行事食では、季節感のある献立にし、食べることが楽しみになるよう、手づくりの折り紙のスプーン置きに子どもは関心を示し、中には家庭に持ち帰る子どももいます。食欲を引き出せるよう、食材のうま味を活かした下味の工夫や彩のよさ、盛り付けにも配慮しています。
2 【現状】前回「保護者の意向要望をもとにしたサービス改善」の課題は改善しました。

前回、“保護者の意向、要望等をもとに相互協議によるサービス改善が課題となっています”との課題に対し園長は「保護者の考えを聞きながら、園としての思いも伝え子どもたちの成長・発達を促せるように心がけてきた」を背景に“改善が進んでいる”と回答しました。今年度の保護者アンケートでは、満足度の全体平均は89%、17問中6問が満足度100%でした。前回のアンケートでは、発熱した子どもへの対応に対する不満がありましたが、今年度は「勤務先が遠いので体調が悪くなっても、時間まで様子を見てくれた」との意見がありました。
3 【現状】卒園後、安心して系列園に進級できるよう丁寧に支援しています。

3歳で卒園した後も、希望者は系列のこころ保育園に進級することができるようになっています。こころ保育園とは運動会や発表会を通じて交流していますが、事前に実際に保育がどう行われているか、縦割り保育といったこころ保育園の特徴を知らせています。さらに進級前の説明会や個別面談の際には職員が同行し、子どもを保育し保護者をサポートしています。また保護者の同意を得た上で子どもの成長の記録などの情報をこころ保育園の職員に提供し、環境が変わっても子どもたちが問題なく過ごせるよう、丁寧な支援を心掛けています。

さらなる改善が望まれる点
1 【課題】乳児保育にふさわしい園の環境設定を外部にアピールして下さい。

園内は掃除が行き届き、整理整頓もされています。子どもが生活する場も環境設定への工夫があり、コーナー保育も充実しています。室内に一歩入った時、手づくり玩具や木製の良質な玩具類で遊びに夢中になっている子どもの姿が見られました。保護者も整理整頓を高く評価をしています。園長を始めとし職員全体が控えめで、園の良さを外部に伝えるという観点が薄いように思われます。子どもへの職員の丁寧な関わり、発達を見据えた環境づくりに取り組みに戸惑っている他の園が多々あります。園の使命として、伝える、伝わる役割が期待されます。
2 【目標】妊婦の方や4か月未満の乳児のいる保護者へのアピールが目標です。

園の周辺はマンションが立ち並び、お店屋などは離れた場所にあり、マンションの前を行き来する親子も少ない状況です。しかし、地域に根ざし、保育園の持つ専門性を地域の親子に伝える子育て支援は、今、園としての課題です。乳児だけの園でワンフロア-の中で地域の方にできることは何かをまずは職員間で検証することが必要です。一案として、妊婦の方や4か月未満の乳児のいる保護者は、来園しても園児への影響が少ないと思われます。限定した中で、保育所体験の実施から園の乳児保育の取り組みを伝えることに期待しています。
3 【目標】主任クラスの職員は職員からの相談を受けることを目標とします。

職員への教育に関し、威圧感を考慮して園長は見守りに専念しています。一方、主任クラスの職員は朝礼ではサブに就く職員への指示にも怠りないほど目配せしています。声のトーンも子どもと職員に対する周波数を分け、職員への指示は子どもには耳障りでないよう使い分けを心がけています。一般的に最近の職員は子どもに対する対応方法を短絡的に求めますが、それでは考える力は身につきません。職員の耳をダンボのように大きく開くことが主任クラスの職員の課題です。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み



該当データがありませんでした

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:アンケートは、18世帯中18世帯の保護者に配付、12世帯から回答を得ました。回答者の属性は、母親が記入が92%を占め、勤務形態は父親の常勤勤務が83%、母親の常勤勤務が75%でした。

調査方法:アンケート方式  
アンケートは園の連絡帳に挟み配布しました。保護者からは同封の返信用封筒で直接弊社への郵送により回収しました。

利用者総数 18人
利用者家族総数(世帯) 18世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 18人
有効回答者数 12人
回答者割合(%) 66.7%

総括
アンケートは、18世帯中12世帯から回答を得ました(有効回収率67%)。回答した保護者の年齢構成は30~35歳が33%、30~40歳が同じく33%でした。 [2]好感を持った出来事では、「先生全員が子どもの名前を覚えて入れている」「体調が悪い時、時間まで見てくれた」がありました。 [3]不快に思ったことでは、「もう少し様子をみてほしいと思うが、心配性です」がありました。 [4]要望では、「イベントの写真を頂けたらありがたい」がありました。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「月齢に会った遊びをしてくれ、日々成長を感じていrます」がありました。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「先生にすっかりなついています」がありました。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「手作りが多く、美味しいです」がありました。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「公園で沢山遊び、友達との触れ合いから社会を学んでします」との意見があがりました。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 6人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 5人 
6名(50%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。特記すべき意見はありませんでした。
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「危険に感じることはありません」との意見があがりました。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。3件の意見を頂きました。参考となる意見として「案内を頂くのが遅い」との意見があがりました。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。2件の意見を頂きました。参考となる意見として「お迎えの際、色々話をさせて頂いています」との意見があがりました。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「掃除が行き届いています」がありました。
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。2件の意見を頂きました。参考となる意見として「園外でばったりあった際の態度が素っ気ないです」との意見があがりました。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「転んだ際、歯への影響を心配して歯医者に連れて行ってくれました」との意見があがりました。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 10人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
10名(83%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「噛みついたりしないか、注意してくれています」との意見があがりました。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「アドバイスを頂けて、とても助かっています」がありました。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「友達との関わりを話してくれます」との意見があがりました。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「連絡ノートに細かく書いてくれます」がありました。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 8人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
8名(67%)が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。特記すべき意見はありませんでした。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 8人  どちらともいえない 0人  いいえ 4人  無回答・非該当 0人 
8名(67%)が“はい”、4名(33%)が“いいえ”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「知りませんでした」との意見があがりました。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
【現状】前回、「園の理念・方針の保護者への浸透」を課題として設定しました。

前回、“園の理念及び方針の保護者への一層の浸透が今後の課題となっています”との表題のもと、「園の理念・方針を保護者に対し、さまざまな機会を活用し、説明・伝達しています。入園時には、「園のしおり」を基に保育の考え方を伝達すると共に、年度初め及び年度末に開催される懇談会で説明を行っています。一方、園としては、保護者への理念・方針の浸透が充分ではないと感じています。保育が理念等に基づき実践されていることを丁寧に説明することが必要と思われます」といった課題を設定しました。

【現状】上記、課題に対し、園長は“改善が進んでいる”と回答しました。

今年度、上記課題に対し、園長は「入園時や懇談会での説明に加え、園だよりでも保育目標を知らせ、保育参加時にも簡単な説明をしている」を背景に“改善が進んでいる”と回答しました。純心会の「くう、ねる、あそぶ」との基本理念に基づく、その人(子ども)育てについて保護者から、「公園でたくさん遊び、お友達との触れ合いを通して社会を学んでいると思います」との理念の真理に触れる意見もあることから、理念が保護者にも伝わっていると評価者は感じます。

【課題】園長と評価者は純心会の理念方針の職員への周知を課題としています。

昨年度来、園長と主任クラスの職員の在職年数は長きに亘りますが、転居、結婚、出産と退職理由は明確ですが、新たな職員の入職が続いています。そのため、新人職員への純心会の理念の浸透と理解が課題となっています。今回の職員アンケートの“【1-1-1①】理念・ビジョンを理解しているか?”の認知度は91%と高位でした。果たして、職員の理念に対する理解の深さに対し、園長と評価者は懐疑的です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
【現状】前回「保護者の意向要望をもとにしたサービス改善」を課題と設定しました。

前回、“保護者の意向、要望等をもとに相互協議によるサービス改善が課題となっています”との表題のもと、「保護者の要望等は日常の園運営では、毎月の職員会議にて個別に検討され、対応が決定されています。一方、園としては保護者の意向等に関し園の考えも説明することにより、相互に満足出来るサービス改善を模索しており、課題となっています。なお、利用者調査では、園の意向把握に関する評価は昨年度より、向上しています」といった課題を設定しました。

【現状】上記、課題に対し、園長は“改善が進んでいる”と回答しました。

今年度、上記課題に対し、園長は「保護者の考えを聞きながら、園としての思いも伝え子どもたちの成長・発達を促せるように心がけてきた」を背景に“改善が進んでいる”と回答しました。今年度の保護者アンケートでは、満足度の全体平均は89%、17問中6問が満足度100%でした。前回のアンケートでは、発熱した子どもへの対応に対する不満がありましたが、今年度は「勤務先が遠いので体調が悪くなっても、急な場合でない時はすぐにお迎えではなく、時間まで様子を見てくれた」といった保護者からの意見があり、改善が見てとれます。

【課題】園の大まかな予算編成を職員に知ってもらうのが課題です。

今年度の職員アンケートの認知度の全体平均は90%と非常に高位でした。当カテゴリー“【2】事業所を取り巻く環境の把握・活用と計画の策定と実行”の認知度も87%と高位でしたが、“【2-2-1③】予算書の内容を理解”の認知度は27%にとどまり、中でも“わからない”が45%でした。恐らく、予算書自体を想像できない職員が約半数を占めているのでしょう。園の細かい収支まで理解する必要はありませんが、主な収支と大まかな人件費の割合程度は知るべきと評価者は考えます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
【現状】前回「地域保育に関する前向きな取り組み」を課題と設定しました。

前回、“子育て支援環境の変化の中、地域保育に関するより前向きな取組みが期待されます”との表題のもと、「法人として地域保育に関する取組みを推進し、他園が主にその活動を担当しています。園としては本年は他園と共同で地域公民館にて出前保育を開催しました。また、園長が地域の保育園長会及び地域保育協議会に参加し、待機児童の解消等の課題に取り組んでいます。一方、園のスペースが狭いため、ボランテイア及び実習生は受け入れていません。他方、職員調査では地域保育に関する意識・関心の低さが推察されます」といった課題を設定しました。

【課題】上記、課題に対し、園長は“改善していない”と回答しました。

上記課題に対し、園長は「職員が新しくなっていることもあり、職員が園のことを理解して取り組むことが出来るようにしたうえで、地域に対して何ができるかを模索中である」を背景に“改善が進んでいない”と回答しました。一方、“【3-3-2①】責任者が地域貢献に取り組んでいる”の職員の認知度は91%と高位であることから、園長との認識の違いが明らかになりました。ただ、職員が責任者の地域貢献の認知度が髙いとしている背景は、職員の意見から見出すことは出来ませんでした。

【目標】地域との関わりの実践は法人のバックアップが目標です。

上記の地域貢献に対し、園長は模索中、職員からは意見なしとの今回の結果から、アンジュ保育園単独では突破口を見出せないと評価者は感じています。法人のバックアップが求められます。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している ×
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる ×
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
【現状】“【4-2-1】情報管理”に関する職員の認知度は100%でした。

“【4-2-1】情報管理”の認知度は100%と非常に高位でした。内訳は、“【4-2-1①】情報の収集、利用、保管、廃棄のルールを理解”、“【4-2-1②】情報の整理保管に注意”、“【4-2-1③】外部に情報が漏れないよう注意”、“【4-2-1④】個人情報の利用目的、開示請求への対応”の4項目でした。一方、情報管理に関する職員からの意見がなかったため、その背景を知ることは出来ませんでした。

【課題】上記カテゴリーに関し、園長は課題があると感じています。

一方、“【4-2-1】情報管理”に関する職員の認知度が100%といった結果に対し、園長は懐疑的です。記録や連絡帳が開いたままになっているといった現状が背景にあります。そこで、記録をキーワードに職員の認知度を拾うと、“【6-6-3】記録”、“【6-3-4】職員間情報共有”はいずれも100%でした。職員が情報管理に関しての認知度が100%であることへの認知度の背景を確認する必要があります。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている ×
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している ×
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している ×
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している ×
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている ×
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
【現状】前回「職員の質の向上」を課題と設定しました。

前回、“職員育成の枠組みは出来ていますが、一層の質の向上の取組みが必要です ”との表題のもと、「事業計画では、「人材の質の向上及び育成」が重点施策として挙げられています。この施策に沿い、職員の年度目標の設定、園長による育成計画作成が以前からの施策として実施されていますが、形式的な運用になっています。職員に対する園内及び園外の研修計画も事業計画の一環として策定されています。しかし昨年度の園内研修は全体研修として5回しか実施されておらず、園外研修には一般の職員は参加していません」といった課題を設定しました。

【課題】上記課題に対し、園長と職員間にギャップがあります。

今年度の職員アンケートでは、“【5-1-3】職員の質の向上”の認知度は100%と非常に高位でした。一方、園長は職員を研修に出せていないことを背景に改善していないとの認識です。話題を研修に絞ると、園長が研修に出せていないとの認識に対し、“【5-1-3】研修を受けていますか?”の職員の認知度は100%で、園長と職員の間でギャップがあります。

【目標】主任クラスの職員は職員からの相談を受けることを目標とします。

職員への教育に関し、威圧感を考慮して園長は見守りに専念しています。一方、主任クラスの職員は朝礼ではサブに就く職員への指示にも怠りないほど目配せしています。声のトーンも子どもと職員に対する周波数を分け、職員への指示は子どもには耳障りでないよう使い分けを心がけています。一般的に最近の職員は子どもに対する対応方法を短絡的に求めますが、それでは考える力は身につきません。職員の耳をダンボのように大きく開くことが主任クラスの職員の課題です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 昨年度、保育士が集まらないために0歳児の定員を埋めることが出来ませでした。今年度も同じ状況が継続しています。そこで、新たな保育士を募るため、純心会を知ってもらうことが重要との認識のもと、ホームページの充実を図って来ました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行っていなかった(目標設定を行っていなかった場合を含む)
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させていない
【講評】
今年度も保育士が集まらない状況は引き続き、そのため0歳児の定員を埋めることが出来ていません。職員の退職理由は、出産や転居とやむを得ない事情が多く、職場環境の悪さの原因によるものではありませんでした。暦年の課題である地域との関わりを一歩でも広げ、アンジュ保育園の存在をアピールすることから存在意義につなげ、職員定員を満たすことを目指すとの意向です。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 園開設以来、地域との関わりの接点が見いだせない状況が続いています。果たして、その糸口は何?と言うのが歴代の園長の課題となっています。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行っていなかった(目標設定を行っていなかった場合を含む)
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させていない
【講評】
園長は、親子食育講座、育児相談といった地域との関わりの糸口となる企画を持って実現したいと考えていますが、そのためには職員のレベルアップが優先順位として高いとの認識です。まずは職員のレベルアップ、そして地域との関わりというロードマップの実現のため、職員への教育に基づくレベルアップが一番重要と考えます。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
【現状】園の情報はホームページ、しおり、パンフレットなどで周知しています。

サービスの基本情報は法人のホームページやパンフレットで周知しており、パンフレットは多摩市、児童館などの関係機関、見学者に配布しています。また法人で共通のガイドブックを毎年発行し、入園の際や在園児の保護者に配布しています。ガイドブックには法人共通の保育理念、保育目標のほかコーナー保育や散歩などの大切にしている活動、年齢別保育の特性、和食を中心とした自園給食など園の姿勢を伝えるのみならず、書き込み式行事カレンダーも編集され、通年で活用できるものとなっています。

【課題】0歳児クラスでは定員まで受け入れられない状況です。

見学者の声では小規模でこじんまりしている、一人ひとりに目が届くので安心と好感を持たれています。今回の保護者アンケートでも大変満足、満足合わせると100%と高い評価を得ています。しかしながら職員採用の難しさから、0歳児クラスでは定員まで受け入れができない状況です。同じ理由から、地域子育て支援事業がほとんどできておらず、未就園児の子育てをしている家庭への周知もできにくい状況です。利用者のみならず、職員募集にもつながるようなアピールの方法や、関係機関への一層の周知に工夫が必要です。

【目標】定員割れを防ぐためにも利用者、地域、保育者向けのアピールが目標です。

待機児童の数も徐々に減り、0歳から5歳までの認可保育園でも入園しやすくなりつつあります。実際に入園後に他の認可園に転園する子どもも出てきています。そのため系列の保育園と共に、0歳から就学までを保証し、小規模で豊かな心を育てる魅力あふれる園であることの一層の周知が必要です。近隣の児童館や図書館、小児科などの医療機関との連携や、保育士養成機関への訪問・紹介、見学会の開催といった積極的なアピールが目標となります。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
【現状】系列園への進級できることに力を入れています。

入園の時点から、3歳児からは連携しているこころ保育園に進級ができることを伝えているため、保護者には卒園後対策の心配はありません。卒園の際には3年間の成長の様子を一冊の写真集にまとめ、保護者に渡しています。身長、体重、体力の変化の記録、一日の生活の流れと遊びの姿と共に、子どもが3年間積み重ねてきた遊びを「興味、言葉、表現、感じ取ること」などに分類しています。進級後も養護、教育両面からの成長を保護者に理解されるよう心がけています。また進級前のこころ保育園への面接にも同行しています。

【現状】職員が保護者面談に同行し、進級後の保育を理解出来るよう努めています。

こころ保育園に進級すれば、持ち上がりの子どもたちとの合流や、年長の子どもたちとの出会いがあり、ギャップに直面することになります。また前回の第三者評価では、「進級して初めてこころ保育園が縦割り保育だと知った」という意見があり、事前の見学の周知・徹底を指摘されています。このため園では職員が進級時の保護者面談に同行し、面談中の保育を手伝うようにしています。その結果、保護者は進級後の保育を理解出来る機会が保証されました。

【課題】保護者も子どもも安心して進級できるように、日常的な連携が課題です。

今回の保護者アンケートでは、「(こころ保育園の)行事の案内が遅く、予定が入っていた」という声があり、進級先の保育園への関心が高いことがわかります。こころ保育園の行事予定がつぶさにわかるよう、園だよりを掲示するといった工夫が課題です。また子どもが進級後に戸惑わないように、2歳児とこころ保育園の3歳児との合同保育の機会を増やすといった行事参加以外にも日常的な交流を深める工夫も課題となります。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
【現状】子どもの指導計画や成長記録は、書面で管理されています。

子ども一人ひとりの支援計画は、保育課程(全体的な計画)、年間カリキュラム、月案、週案を作っており、日々の保育に活かしています。また子どもの発達記録は月案に添付されている個人記録で管理され、細かい変化まで記録されていました。記録の付け方は個人差が出やすいところであり、保育の質にもつながっていきます。記録は担当職員に任せており、その後園長が確認しています。子どもの発達の捉え方に違いが生じることもあり、その際は園長が指導にあたっています。また職員間の伝達は、申し送りノートによって伝えています。

【課題】コミュニケーションの良い職場づくりも含めて改善していくことが課題です。

園長は、職員が子どもに対して誤った見方のまま、指導を進めていくことの怖さを感じています。保育者として矜持を持つことは大切ですが、思い込みや異なった意見を受け入れない職員の心の閉鎖性は、保育の質の向上を妨害します。職員一人ひとりが互いの保育を見合い、情報を共有し研究し合うことで、子どもの発達に応じたより適切な支援、指導ができるよう、コミュニケーションの良い職場づくりも含めて改善することが課題です。

【目標】職員同士のコミュニケーションから保育の質を向上させましょう。

前回の評価では、職員の能力に応じた適切な指導の必要性が指摘されました。園長は職員の意欲を低下させないよう自主性を重んじていますが、若手職員に自ら謙虚に学ぶことの大切さを伝えることは難しいと感じています。日々の保育を観察し合い情報を共有するという基本に戻るため、職場内の横の関係作りとよりよいコミュニケーションを工夫しましょう。更には新保育指針に基づき保育の質を掘り下げていくよう、外部講師の力を借りた実践研修の導入も有効です。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
【現状】子どもの発達を踏まえたコーナー保育の環境づくりを考慮しています。

子どもの成長発達は、「成長のあゆみと園生活-チェックリスト0、1、2歳児」を目安に活用しています。このチェックリストは”ここまではできているか”の指標になっています。成長状況に応じた環境づくりとして、園全体でコーナー設定について話し、職員の立ち位置や子どもの動線について考えています。系列園の職員が異動から環境づくりを継承したり、他の園から入職した職員の意見も取り入れ、手づくり玩具やコーナー配置を見直すといったチームで遊びの提供を工夫し、子どもが遊び込める、そして遊びに集中できる環境構成を考慮しています。

【目標】室内設定のコーナー分けも写真に撮っておくと将来活かせるでしょう。

手づくり玩具や既成の良質な玩具があり、そのリストを作成しています。リストは写真入りで、本として販売できるくらい立派なものが作られています。中には、子どもが好んで遊べるような発達を促せる手づくり玩具も記載しています。しかし、近年作成した玩具は載っていため、以前と同じように写真に撮りページを増やすことが望まれます。また室内設定のコーナー分けが充実しており、子どもが落ち着いて遊べる環境となるよう工夫されています。これも写真に撮っておくと、参考資料として活かせるでしょう。

【目標】良質な玩具類の有効活用と提供する職員のレベルアップを図りましょう。

良質な数々の玩具類と手づくり玩具、運動機能を伸ばす室内の固定遊具があります。園長はこれらの遊具類を子どもがより楽しく遊べることを願い、遊ばせ方への創意工夫やバラツキを無くしていくことを職員の目標にしています。まずは、職員が子どもと遊びを楽しむ心を持ち、継続時間の短い乳児がいかに遊びを持続できるか、職員の言葉掛けや遊びの発展を増長させる提供の仕方を考えることが目標達成に至るでしょう。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
【現状】食事や睡眠の取り組みと着脱の仕方の生活習慣づけを大切にしています。

食が細い子どもへの対応を職員会議で話し合い、年度初め盛り付けを少量にして食べ切る体験をしています。園生活に慣れた時期から、他の子どもと同じ量を盛り付け、残すことがあっても次回には食べるよう言葉かけをしています。夜の入眠時間が遅い子どもには昼寝を早めにしたり、眠そうな時は寝せたりと、個別の対応をしています。保護者には、懇談会や連絡ノートで睡眠時間を伝えるとの連携を取っています。着脱の自立では、1歳児クラスは自分でズボンの上げ下げをする、2歳児クラスは、片方ずつ上着を脱ぐよう習慣づけています。

【課題】家庭での子どもの寝かせつけ方へのアドバイスの工夫が課題です。

家庭での寝かせつけについて、幾人かの保護者は悩んでいます。0歳児で家庭では抱っこをしないと眠れない子どもがいて、保護者からの相談に応じています。園では、子どもがぐずることに心配しないよう、体調が悪いのかもしれないなど保護者にアドバイスをしています。口頭で相談に応じたり、連絡ノートに記述して、保護者の悩みに対応していますが、寝かせつけの問題解消に至っていません。

【目標】上記問題解消に向けて、もう少し具体的な提案や指導が目標と考えています。

例えば入浴の時間、夕食の時間の見直しや、寝る前のひととき、興奮させないで、気持ちを落ち着かせて入眠に向かうことや、室温やゆったりとした衣類といった心地よく眠れるあり方を提案していますが、園では寝かせつけに悩んでいる保護者への問題解消に向けて、もう少し具体的な提案や指導が必要ではないかと考え、目標としています。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
【現状】戸外遊びや室内での運動遊びを取り入れ、体を十分動かしています。

戸外遊びと共に室内でも体を動かして遊ぶことができるように大型の手づくり遊具をつくり活用しています。子どもは登ったり降りたりし、活動的な遊びを楽しんでいます。脚力や腕力をつける遊びを意図的に取り入れています。2歳児クラスでは、友だちと協力して遊ぶことやお互いの気持ちをわかり合うよう、職員が仲立ちとなり、言葉で伝え合っています。戸外での遊びも天気の良い日は毎日出かけ、鬼ごっこや追いかけごっこ、しっぽ取りなどを楽しんでいます。自然物を探しに、手づくりのお散歩マイバックをかけて出かけています。

【課題】絵画活動も意欲的に取り組んでいるので材料の準備が課題です。

子どもは、室内での遊びも落ち着いて関わり、1歳児クラスのお絵かきは画面一杯にのびのびとクレヨン画を描いています。1枚、2枚、3枚と紙芝居風に物語を描いている子どももいます。手づくりの箱の中にはクレヨンが入っていますが、色が少ない箱や、短くなったものもありました。意欲的にお絵かきに取り組んでいる子どもが一層お絵かきが発展するよう、クレヨンの本数や、描きやすい長さのクレヨンを用意するとよいでしょう。

【目標】さらにダイナミックな運動遊び、絵画制作活動を取り入れましょう。

運動遊びではさらに運動能力を高めるよう、はしご登りで、腕力をつけたいと園では考えています。絵画制作では、ダンボールを活用した遊びに夢中になったこともありました。0~2歳児までの園ではありますが、フィンガーペインティングなど絵具を使ったダイナミックな遊びを夏に取り入れたり、はしご登りに変わる遊びとして、1,2歳児クラスでもハイハイ競争などを日常の遊びに取り入れるのも一案と思います。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
【現状】季節行事や誕生会の実施、ミニ発表会は好評を得ています。

行事とは日本の伝統的な遊び、由来を伝えること、親しみ楽しむこととしています。年間計画をもとに伝統行事を行い、十五夜ではお月見団子づくりをしています。誕生会は子どもと職員が一緒に祝い、職員がペープサートやパネルシアターを見せています。遠足や最後の保育参加の際、クラスごとのミニ発表会は好評でした。2歳児クラスは系列園の行事に参加し、交流を深めています。3歳児クラスになれば系列園に移行するので、貴重な体験となっています。保護者には事前の案内や園だよりで紹介し、行事後には写真の掲示をしています。

【課題】年齢の小さな子どもも興味を持って参加できる行事内容が課題です。

当園は0歳児から2歳児クラスまでの子どもの園のため、年齢の小さな子どもも興味を持って参加できる行事内容を検証しています。全クラス集まるミニ発表会では、小さいながらも期待感を持って参加できるよう、子どもの出し物の工夫や緊張しないで参加するよう各クラスでは思案しています。

【目標】必ず新しい行事を一つ取り入れることを目標としています。

今、実施している行事の着実な実行に加え、さらに行事を楽しむような工夫をねらいとしています。そして非日常の行事に対して、子どもの感性を高めたり、新しい体験にチャレンジするよう、必ず新しい行事を一つ取り入れることを目標としています。「子どもにとって」を大切に、無理をしないで新しい行事を模索し、提供することを目標としています。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
【現状】延長保育ではゆったりとした雰囲気の中で遊びを楽しんでいます。

延長保育の計画を立て、まとめをしています。”お迎えまでゆったりと過ごす・けがなく楽しく過ごす”を掲げ、”延長申請以外の急な利用者が多かった”や”職員によって子どもへの関わり方に違いがでてしまうことがあった”といった問題点も抽出しています。延長保育は現況では2名+スポットの子どもで職員は2名(正規とパート・正規2名)で対応、時間は20時までです。職員とはマンツーマンで過ごすことが多く、絵本を読んでもらう、車やボールなどの遊びを楽しんでいます。ソファーのある部屋でゆったりとし、保護者のお迎えを待っています。

【課題】延長保育時の子どもへの関わり方のばらつきを課題としています。

延長保育のまとめでは、”職員によって子どもの関わり方に違いがでてしまうことがある”や”延長保育での遊びの関わり方をもっと話し合ったり工夫できたりするとよかった”との職員からの意見が出ています。職員の謙虚な反省のもと、園では20時までの延長保育の時、子どもが機嫌が悪くなることがあるのを解消するため、楽しく一緒に話したり、気持ちを受け止めることについて、職員が同じ視点を持つことを課題にしています。

【目標】職員と一緒に楽しく遊べるひとときをもつことを目標としています。

延長保育時に保護者のお迎えを不安感を持つことなく待てるよう、楽しく遊べる玩具類の提供や、1対1でのふれ合い遊びなどを取り入れることを考慮しています。普段大勢の子どもの中では使用が難しい遊具類や、家庭的な雰囲気の中で遊べる玩具類を用意し、職員と一緒に楽しむための目標を立案しています。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
【現状】楽しく食べることを第一に、おいしい食事づくりをしています。

楽しく食べることを第一に、おいしい食事を提供しています。子どもが食材に触れる機会を作ったり、五感を使って食材への興味を広げ食べることへの意欲を育てています。食事は和食中心で下味にこだわり、素材の美味しさを引き出す調理を工夫しています。乳児が食べやすいような工夫もしています。彩や季節に合った食材にも配慮しています。行事食は食べることが楽しみになる献立で飾りつけも考慮しています。2歳児クラスでは、給食室の手伝いやクッキングでソラマメのさやむき、ウメジュース・ふりかけ作りをしています。

【課題】植物の育ちをいかに観察させるかが課題です。

当園はマンションの1階で、入口のオープンデッキにはプランターを置くことが禁じられています。プランターを使っての植物栽培ができない状態です。系列園には広い園庭がありますが、日常的に栽培した野菜を観察に行くのは難しい状況です。乳児においても、苗植え、収穫、食する体験は、食育の上からも貴重な体験となります。いかにして植物の育ちを観察させるかを課題です。

【目標】保護者会で出し汁の取り方のデモンストレーションを目標としましょう。

子どもが美味しく、楽しく食べることを第一に、日々、心を込めた食事を提供しています。試食会では味見をした保護者や展示食を見ても食事づくりへの熱意が感じ取れます。「今日の献立」の横には毎月の献立表を配布していますが、保護者会で出し汁の取り方のデモンストレーションをしたりするのを目標としましょう。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
【現状】健康な体づくりと清潔面と衛生面に配慮しています。

「健康な体づくり」と「心育て」の2つを柱を保育目標としています。乳児における健康指導では、看護師が手洗い・うがいの仕方を実技しています。0歳児クラスは歩ける子どもは手を洗ってもらったり、1歳児クラスは散歩の後は手洗いをしています。0、1歳児クラスは食事前は清潔なおしぼりで手を拭いています。2歳児クラスの後半からは、食事前の手洗いを励行しています。安全指導では、横断歩道の渡り方や道の歩き方を職員が細やかに子どもに伝えています。

【現状】安全面では構造上の注意点に配慮し、危険回避に留意しています。

扉が開けっ放しになることがたまにあり、注意を促しています。マンションの構造上、柱が死角になるため注意を喚起しています。また、棚の陰にも注意をしています。保護者からの意見でお迎えで込む時間帯に玄関までベビーカーを入れると通路が狭くなるので危ないとの指摘があがっています。

【現状】ワンフロア-の中で感染症発生予防に取り組んでいます。

ワンフロア―で仕切りのない園なので、流行性の疾病が蔓延しないよう、細心の注意を図っています。特に0歳児クラスは玩具の消毒の徹底や、手洗い・うがいの励行を心がけています。普段から便の処理はビニール手袋を使用し、手洗い後はペーパータオルを使用し、感染症の発生を極力さけるよう取り組んでいます。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
【現状】懇談会や保育参加で保育内容の理解につながるよう工夫しています。

保護者との交流を図るため懇談会を設けています。年度初めと年度終りの懇談会は土曜日の9時30分からとし、保育参加も組み入れています。さらに保育参加はもう1回設け、保育内容を見てもらっています。懇談会ではレジュメをつくったり、年度末には”こんな保育を実施した”と書面に記入して伝えています。保育参加では、クラスの見所を話し、保護者の理解を促しています。保護者との信頼関係を築くことを大切にしており、日々の言葉かけからつながりを深めています。保護者アンケートでも園に対する保護者の満足度が非常に高位でした。

【課題】保護者ニーズに対応する伝達方法の工夫が課題です。

登降園時に話をしたり、懇談会などでも情報を共有できるように努めていますが、保護者に中々理解してもらえない面を園側では課題としています。「系列園のイベントの年間予定が早く知りたい」との意見も保護者アンケートで寄せられています。2歳児クラスの行事参加や保護者参加の日程の伝達の工夫が課題です。

【目標】園理解につながる保育の可視化が目標です。

園では保護者により深く保育内容を理解してもらいたい、一緒に育てる視点を共有してほしいと考えています。玄関先の受け入れで日常的な子どもの活動内容が見えない点もあるので、1週間の1回でも日常のコーナー遊びの様子を写真掲示し、保育内容の可視化を深めるよう目標を立てましょう。共に育てることの理解のためには、園の保育の取り組みの意図をお便りなどで伝えることもよいでしょう。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
【現状】子どもの体験は限られた中での実施となっています。

子どもの地域体験では、公共のバスに乗って社会性を身につけることや公園で近隣の親子と一緒に遊ぶこと、散歩時に出会った人と挨拶をする、果樹園の農家の方から柿をもらい「ありがとうございました」と挨拶を交わしていますが、児童館や図書館などの公共施設の活用ができていないのが現状です。系列園との交流はあっても、他の保育園と交流もありません。近隣はマンションが立ち並び、お店も遠く、地域の方との交流も難しい状況です。

【課題】地域に根差した保育園であるための話し合いが課題です。

上記現況を踏まえた中で、保育指針にうたわれている地域に根差した保育園であるため、園長を始めとし、職員一同が話し合い、「今、何ができるか」を真剣に取り組む時となっています。過去の課題を引きずったままの状況から一歩進める取り組みが必要でしょう。

【目標】地域の人による保育所体験を目標に定めて下さい。

乳児だけの小規模園ですが、室内の環境設定は工夫があり、玩具類も年齢に即したものや手づくり玩具も豊富です。この素晴らしい資源を多くの方に知ってもらうのは当園の役割と思います。妊婦さんや4か月未満の親子に保育所体験の機会を開くことは、子育て支援となるでしょう。実現に向けて目標設定してみてください。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
【現状】前回の評価から子どもの愛称、呼び名は徹底しています。

職員が子どもに関わる際には声の大きさ、トーン、動きのペースが自然であるように配慮しています。排泄や着替えの際にも穏やかに子どもを呼び寄せて対応するといった羞恥心に配慮しています。虐待防止や育児困難家庭への支援は、園内研修や法人内研修で対応しています。前回の評価では、子どもの愛称、呼び名について、家庭での呼び名と異なっていたと保護者から指摘があり、子どもが混乱しないよう、また保護者の思いを受け止めるように徹底してきました。

【課題】職員のことば遣いや振る舞いが心地よさを維持することが課題です。

前回指摘された子どもの愛称・呼称については、入園時に保護者から確認をしているにもかかわらず、慣れが生じ保育者の都合で言いかえてしまったとのことでしたが、現在は改善され徹底されています。慣れによって職員のことば遣いや行動が乱れることは往々にしてあることですが、子どもや保護者の心を傷つけ、保育の質の低下や園の雰囲気を壊していくことにもなりかねません。乱れてしまう要因や保護者が受ける影響、子どもの尊厳にかかわってくる問題であることを認識した上で好ましい状態を維持することが課題となっています。

【目標】子どもを中心に置き、心地よく自然な言葉かけを目標としましょう。

職員の倫理意識や行動に問題があるとは思えませんが、「これでよし」という気持ちは様々な意識を退化させる原因になります。常に職員行動規範の見直しや倫理研修、自己チェックによって子どもの尊厳や保護者の価値観・生活感を軽視することがないよう振り返る機会を設けましょう。子どもと接するときに職員が使うことば、いわゆる大人ことばにも留意し、保育室に入ったら子どもを中心に置き、心地よく自然な言葉かけやふるまいが維持されるよう基本に戻ることも重要です。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
【現状】保育の実践は、日々のミーティングや日誌による確認で進めています。

小規模園で全職員がすべての子どもの状態を把握していることが園の魅力です。保育の実践、子どもとの関わりは午睡時間中のミーティングや日誌によって確認し合っています。保育が適切ではないと感じた時は、主に園長が職員を指導しています。マニュアル集は保育室に保管され、誰でも手に取れます。法人が作成した「おせわマニュアル」は保育の具体的な場面を設定し、保育理念に基づく実践について記載しています。マニュアルは古いものに新しい通知の情報を足して一冊のファイルで管理しています。

【課題】マニュアルが更新されておらず、活用されないままです。

感染症やマナー、保育マニュアルなど、様々なマニュアルは作られていますがいずれも古いもので、作られたときのまま更新されていません。定期的に読み直しをしているとのことですが、保育所保育指針も改訂され乳児や1,2歳児の保育が大きく見直されており、従来のマニュアルでは対応できなくなっています。また危機管理マニュアルも毎年のように刷新が求められています。新指針やマニュアルをそのままにしておくと保育の質も低下しかねません。マニュアルの見直しを通して、保育の質を振り返ることが大きな課題となっています。

【目標】保育所保育指針の改訂に合わせて、マニュアルを刷新することが目標です。

まずは「おせわマニュアル」の見直しに着手されることが求められます。保育所保育指針の改訂には法人としても学ぶ機会を作っていますが、それを日々の保育に結び付けることが必要です。前回の評価では、転んでしまった子どもへの共感的な声掛けがなかったことを指摘しました。新指針で求められているのもこうした愛着関係の形成であり、非認知能力の育みです。職員は保育に没頭するあまり、外部からの刺激や自分自身の振り返りの機会が持てていないように見受けられます。外部講師の力を借りて園内研修を充実し保育を見直すことが目標となります。