東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 平成29年度
サービス名称 認可保育所
法人名称 三宅村(臨時庁舎)
事業所名称 みやけ保育園
評価機関名称 特定非営利活動法人 せたがや福祉サポートセンター

コメント

園は、昭和31年に開設し、昭和62年から「みやけ保育園」となった。平成17年の避難指示解除後に1園で、開園した。地域で長年の子育て支援の実績を有する園である。当機関としては、2回目の第三者評価実施であり、三宅村役場の担当者と連絡を密にして情報共有に努めた。また、3人の評価者は三宅島に一泊して滞在期間を2日取り、出来るだけの情報収集に努めた。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)生活経験を生かした保育 2)子どもたち一人ひとりにそった成長発達 3)基本的生活習慣の確立 4)いろいろな人との関わりを通しての思いやり

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

・明るく前向きな職員 ・常識を持ち備え、協調性のある職員 ・臨機応変に対応できる職員

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・人間形成で最も大きな影響を与える時期のため、個々にあった一人ひとりの成長発達をさせてほしい。 ・生活経験を沢山させてほしい。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 行政組織の園内導入(行政の保育責任者常駐化)により、園組織の効率化と安定化が図られた

2017年4月に、村役場の行政担当者が園に常駐化した。それとともに、事務改善や組織の見直しも行われた。その結果、それまでに見られた人間関係の軋轢による職員辞職も減り、組織の安定化が図られた。さらに、非常勤職員も職員会議に出席するなどの改善により、職員同士のコミュニケーション良化を実現している。また、行政保育責任者が園内にいることにより、村役場の施策や改正事項が明確かつ迅速に把握でき、職員会議での検討が密に行われるようになってきた。
2 園のしおりをリニューアルしたことにより、保護者への情報提供が適切になった

平成29年度の保育園のしおりを、前年に時間をかけて改訂した。それまでのしおりは、保育園生活全般についてが中心であったが、今回のしおりは、新たに園に入るために必要な申請の仕方や、必要書類などが加えられている。内容は、①概要、②子ども・子育て支援制度、③利用調整指数、④入所の申し込み、⑤保育料、⑥その他、⑦園生活について、⑧Q&A、⑨記入例・参考資料、⑩問い合わせ先、となっている。資料には、そのまま使用できる書類も添付されており、保護者へ入園申請から入園後までの情報が適切に伝わるようになっている。
3 異世代間交流の機会を活用し、園児の発達段階における情操教育への効果的な取り組みを行っている

島では園の他に、小学校、中学校、高等学校がある。園の子どもは、それらの教育機関の生徒との交流を定期的に行っている。高校生が作ったサツマイモを提供してくれる機会や、小学校でのブックディやマラソンディへの参加、中学生のボランティア体験受け入れ、等の幅広い交流の機会を確保している。様々な年齢との関わりの中で、子どもが自分の役割を自覚したり、いたわりや思いやりなど他者への尊重を学ぶ機会にもつながっている。

さらなる改善が望まれる点
1 職員の研修受講は、個人別研修計画に基づいて行われることが望ましい

園は、職員の研修受講に積極姿勢を示している。しかし、職員はなかなか忙しくて受講できないのが実態である。本年度は、全職員が1回の研修受講ができるような予算措置をしている。現状の受講の仕組みは、職員から受講希望があった場合に、その可否を判断して受講させるという受身的対応になっている。しかし、研修受講は、職員一人ひとりの属性を知った上での個人別育成計画があっての対応が望ましく、研修体系構築への検討が望まれる。

2 職員間の確実な伝達方法の改善と、さらなる連携の充実を望みたい

前回の評価においての課題は、職員間の引き継ぎを確実にするための方法である。早番の担当職員からクラス担任への申し送りやクラス担任から遅番担当職員への申し送りは、口頭での伝達、ホワイトボードでの伝達、申し送り表での伝達、メモによる伝達、等が行われている。申し送り表は、園児の名前が表になっており、印が付けられるようになっている。今回、その申し送り表に伝達事項がメモで挟まれている状態が見られたが、確実性を期するためにも定められた書式の検討が望まれる。また、職員間の連携の向上は保護者からの信頼にも繋がると思われる。
3 保護者が知りたい園での子ども様子や日々の生活での発見や気づきについて、具体的に伝達する仕組みを整えたい

今回の利用者アンケートでは、「思いなどをよく聞いてもらっている」という意見の反面、「連絡帳への返信が押印だけになり、コメントがなく残念」という意見もあった。保護者が連絡帳に記載することは、家庭生活の中での子どもの様子の報告だけでなく、不安に思っていることや疑問に思っていることも含まれる。職員からの具体的な助言があることで、保護者の不安が軽減されることもあると考えられる。今後はSNSなどの活用も視野において、保護者への対応を検討することを期待したい。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 地域における園の役割を認識し、地域での子育てが実現するような連携を行っている

園は、地域での様々な連絡協議会に所属し、それらの会合へ参加している。具体的には、「島しょ責任者連絡会」、「小学校運営連絡協議会」、「就学児童委員会」、「要保護対策会議」、等である。定期的な会合において、行政や教育機関、地域住民などと情報を共有することにより、地域での現状と課題を正しく把握することになる。また、園の状況を発信する場ともなっている。島という環境を活かし、地域全体で子どもを育む環境を整え、子どもを守る体制にもつながっている。
関連評価項目(地域の関係機関との連携を図っている)
2 ★ 縦割り保育の機会を多く持ち、子ども同士の様々な関わりを育てている

園の理念の中の一つに、「いろいろな人との関わりを通しての思いやり」とあるように、園の生活においても様々な関わりの機会を設けている。異年齢との関わりとして、日常的に朝や夕方の合同保育と夏期の1か月余りの縦割り保育が実施されている。夏の保育の後、特に秋以降は様々な行事も体験し、成長した年長児などは年下の子ども達に対して、自然と手を貸す姿が見られるようになった。合同保育の際に、1歳児にお茶を飲ませたり、おむつを替えるのを手伝ったり、である。こうした縦割り保育を通して、年下の子どもに対する思いやりが育っている。
関連評価項目(子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:定員は60名だが、調査当時の園児数は1歳児から5歳児までの58名だった。そのうち、家庭数である50名の保護者を対象として、25名(50%)から回答を得た。回答者は母が21名、父母一緒にが3名だった。

調査方法:アンケート方式  
園から、機関が用意した調査票一式を保護者へ手渡ししてもらった。糊付けした封筒に入れたアンケート用紙を、園で回収して一括で機関へ送って貰い、機関で集計・集約して園へ報告した。

利用者総数 58人
利用者家族総数(世帯) 50世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 50人
有効回答者数 25人
回答者割合(%) 50.0%

総括
「大変満足」が2人(8%)、「満足」が17人(68%)で、満足度は76%だった。その他、「どちらともいえない」が4人(16%)、「不満」と「大変不満」がそれぞれ1人(各4%)だった。自由記述には、「子どもが楽しそうで良かったと思います」「忙しいのか職員の笑顔が少ない」「午後のお昼寝が長すぎる。服を脱いでの食事はやめてほしい」「行事の案内をもっと分かりやすくしてほしい」「園に入っての子どもの成長は著しい。お父さん、お母さんと保護者を呼ぶのはやめてほしい」「発達障害を抱える子どもたちへの対応を強化してほしい」「園での様子をもっと知らせてほしい」「先生たちの働き方が心配」「保育士試験を変えて、島に来る保育士を増やしてほしい」「島に一つしかないことで、井の中の蛙になっている。今までのやり方を変える体制になっていない」等、多くの要望・意見が記されていた。さらに、「少数意見がきちんと反映されるか心配」「改善に繋がらなければ、アンケートも時間の無駄になる」「第三者に意見を聞いて貰えるのは、とてもストレス解消になる」と、調査に関しても記されていた。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 23人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」が92%、「どちらともいえない」が8%だった。設問記述には、「共同生活で得るものはとても大きいと思う」「家で教えた覚えのない歌や遊びをしていて、驚くことがあります」と、記されていた。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 18人  どちらともいえない 5人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
「はい」が72%、「どちらともいえない」が20%、「いいえ」が8%だった。設問記述には、「毎日楽しんで登園している」「年齢に合わせた様々な活動を考えてくださっており、掲示もとても楽しみに拝見してます」「自宅ではやっていなかったことをやるようになった(お絵描き、塗り絵)」「楽しく過ごしているんだと思います」と、記されていた。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 18人  どちらともいえない 7人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」が72%、「どちらともいえない」が28%だった。設問記述には、「毎日、美味しいと話してくれる」「毎日おいしそうな食事で子どもたちも楽しみにしています15時のおやつがもう少し軽食のようなものであれば良いと思います」「すべて完食していますが、足りないのか帰宅するとすぐに食べ物を欲しがります」「食べやすく工夫され、家で食べないものでも食べている」「良く食べていると思います」と、記されていた。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 17人  どちらともいえない 5人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
「はい」が68%、「どちらともいえない」が20%、「いいえ」が8%、「無回答」が4%だった。設問記述には、「天気の良い日はもっと戸外へ行っても良いと思う」「散歩やあじさいの里などとの交流をもっと持った方が良い」「調理保育などもやってくれる」と、記されていた。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 13人  どちらともいえない 4人  いいえ 2人  無回答・非該当 6人 
「はい」が52%、「どちらともいえない」が16%、「いいえ」が8%、「非該当」が24%だった。設問記述には、「利用時間の変更が無いので」『前日ぐらいに、こちらから連絡しないと怒られる」「保育士によってです」「柔軟ではあるが、快くとは言えずお願いしたらこちらに罪悪感が残るような言われ方をしたことがある」と、記されていた。
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 11人  どちらともいえない 14人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」が44%、「どちらともいえない」が56%だった。設問記述には、「園の玄関前の階段(滑る)、プールタイルの割れ(怪我する)、駐車場の作り、子どもが心配」「プールに先生が一緒に入ってくれるので安心。どのような対策をしているかが分からないので、もっと周知してほしい」「避難訓練が毎月あるので良い」「園の玄関の施錠が心配」と、記されていた。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 18人  どちらともいえない 4人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
「はい」が72%、「どちらともいえない」が16%、「いいえ」が8%、「非該当」が4%だった。設問記述には、「保護者に相談無く、いつもきめられている」「働いているので、平日の行事は避けてほしい」「平日に親参加の行事を入れられても行けない」と、記されていた。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 19人  どちらともいえない 3人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
「はい」が76%、「どちらともいえない」と「いいえ」が各12%だった。設問記述には、「帰る際にもっと話が出来ると良い」「保護者の思いを聞いてもらっている。合理的配慮もあり有難く思う」「以前は連絡帳に丁寧に書いてくれたが、今は判だけで連絡帳を読んでもいない先生が居てショック。先生と仲の良い保護者とそうでない保護者が居て、信頼が持てない」「信頼できるが話し合える時間は無い」「何事も話せる雰囲気があって信頼できる」と、記されていた。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 17人  どちらともいえない 6人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
「はい」が68%、「どちらともいえない」が24%、「無回答」が8%だった。設問記述には、何も記されていなかった。
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 14人  どちらともいえない 4人  いいえ 5人  無回答・非該当 2人 
「はい」が56%、「どちらともいえない」が16%、「いいえ」が20%、「非該当」と「無回答」が各4%だった。設問記述には、「ヒソヒソ感が否めない。親のいない時にやってほしい」「親しい人にため口です」「態度・服装で気になることは無いが、言葉遣いで疑問に思ったことがある」「一部職員の言葉遣いが乱暴と感じるときがある」と、記されていた。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 16人  どちらともいえない 7人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
「はい」が64%、「どちらともいえない」が28%、「いいえ」と「無回答」が各4%だった。設問記述には、「ものすごく敏感に対応してくれていると思うが、少し押し付け感も感じる」「信頼できなかったら預けられない」「微熱でも医者に行ってくださいと言われ、こちらの言い分を聞いてもらえないと感じる」「手足口病と言われ、医者に連れて行ったら違っていた。もう少し知っていてほしい」「隔離して、先生が付いていてくれるので安心です」と、記されていた。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 12人  どちらともいえない 6人  いいえ 2人  無回答・非該当 5人 
「はい」が48%、「どちらともいえない」が24%、「いいえ」が8%、「非該当」が16%、「無回答」が4%だった。設問記述には、「まだ、その状況になっていない」「教えて頂けていない状態なので、いじめやいさかい以前にきちんと見てくれているかの信頼が持てない」「信頼しなければ、預けられません」と、記されていた。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 19人  どちらともいえない 4人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
「はい」が76%、「どちらともいえない」が16%、「いいえ」と「無回答」が各4%4%だった。設問記述には、「子どもの気持ちをすごくよく理解してくれていると思う」「保育士によります」と、記されていた。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 15人  どちらともいえない 6人  いいえ 3人  無回答・非該当 1人 
「はい」が60%、「どちらともいえない」が24%、「いいえ」が12%、「無回答」が4%だった。設問記述には、「そうであると信じたいです」と、記されていた。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 18人  どちらともいえない 3人  いいえ 3人  無回答・非該当 1人 
「はい」が72%、「どちらともいえない」と「いいえ」が各12%、「無回答」が4%だった。設問記述には、「教えて頂けていないので分かりません」「掲示板(ホワイトボード)に書かれている内容が、いつも分かりやすいのでありがたい」「時間があまりとられていないと思う」と、記されていた。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 10人  どちらともいえない 7人  いいえ 4人  無回答・非該当 4人 
「はい」が40%、「どちらともいえない」が28%、「いいえ」が16%、「非該当」が12%、「無回答」が4%だった。設問記述には、「不満や要望は無い」「言って通るものでしょうか」「聞くだけで、何も改善してくれない」「不満を言って悪い印象を与え、その後の関わりづらさを気にして、素直に言える環境ではないと思う」と、記されていた。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 8人  どちらともいえない 7人  いいえ 5人  無回答・非該当 5人 
「はい」が32%、「どちらともいえない」が28%、「いいえ」が20%、「非該当」が12%、「無回答」が8%だった。設問記述には、「園用アドレスで、直接課長へ意見が伝えられるようになっている」「不満や要望は無い」「聞いたことが無い」「くれません」と、記されていた。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目3 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目4 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
保育理念を具現化するため、日常の保育活動に注力している

村で唯一の保育園であり、幼稚園がないため、村民にとっては、子育てを支える唯一の機関となっている。園の理念は、「保育課程」の中で「子ども一人ひとりを大切にし、子ども自身が自ら伸びようとする力を育み、保護者・地域に愛される保育園を目指す」としており、その具現化のために、園長はじめ職員は保育実践にあたっている。保護者へは入園時の説明や保護者懇談会を通して園の理念を伝えている。しかし、保育理念を拡大して、玄関や職員室に掲示するなどの工夫をすると、より保護者への周知と職員への意識付けが深まることと思われる。

村役場の保育責任者が園に常駐することにより、園長はいっそう指導力を発揮している

全職員の役割職務が記載された役割表が職員室に掲示され、職員間で共有化されている。園長は、園の統括責任者としての役割に加え、村立保育園であるために村役場の公務員としての役割も果たし、多忙を極めていた。しかし、2017年4月から村役場の保育園責任者が園に常駐することとなり、村役場との連携はより密になり、行政の方針などが迅速に伝わるようになった。その結果、園長は副園長と共によりいっそう日常の保育業務にリーダーシップを発揮出来ている。

上から下(指示・伝達・指導)、下から上(報告・連絡・相談)への情報は順調である

園の予算管理は行政保育責任者の管理下にあり、堅確な管理を行っている。一方、園の業務遂行は園長の統括責任のもとに行われているが、重要案件が発生した場合は、園長・副園長と行政保育責任者で協議され、必要に応じ村役場へ上申されて判断される。結果は逆ルートで対処され、必要に応じて職員会議で報告される。通常業務の情報交換の場である職員会議(毎月1回以上の開催)は、臨時職員も出席するようにしたことにより、職員間のコミュニケーションが、良好になってきている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している 実施状況
  標準項目1 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
  評価項目2 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている 実施状況
  標準項目1 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
  標準項目2 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
  サブカテゴリー2  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある 実施状況
  標準項目1 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
  標準項目2 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
  評価項目2 ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している 実施状況
  標準項目1 ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
  標準項目2 ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
  標準項目3 ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
  評価項目3 地域の関係機関との連携を図っている 実施状況
  標準項目1 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
  標準項目2 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
講評
園は、島の保育のシンボル的立場でもあり、地域との関わりを深めている

未就園児童のネットワークづくりのため、村の保健婦やシルバー人材の協力のもとで「子育て広場」を開催し、園庭の開放を行っている。また、特別養護老人ホームに年3回ほど3歳以上の園児が訪問・交流して地域との交流を深めている。特に小学校との交流は盛んで、マラソン大会の練習への合流をはじめ、園児のスムーズな就学に向けて様々な交流を実施している。今後、園としては職員に余裕ができれば、入園していない1~2歳児の保育相談などにも取り組みたいとのことである。

園長は、地域の関係機関と積極的に連携を図っている

園は、子育て世代の中心機関として、関係機関と積極的に関わっている。年3回の小学校運営連絡会、島しょ責任者連絡会、養保護対策会議、さらに保育園から高校までの関係者が集まる会議、等々である。そこでの情報は、必要な都度、職員会議で報告される。また、今年度から行政の保育責任者が常駐していることにより、園長は従来より密に関係機関との接触ができるようになっている。

今後、職員の研修に法・規範・倫理の遵守といった内容を盛り込むことを期待したい

園事業の透明牲については、今回2回目の第三者評価受診である。その結果は、都のホームページ(福ナビ)で公表され、職員会議でも職員に報告して、改善すべき事項は積極的に取り入れる意向である。また、職員の法・・規範・倫理遵守という精神は、その重要性に鑑み、今後、倫理・人権の尊重といった内容を盛り込むことが望まれる。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  利用者意向や地域・事業環境の把握と活用
  サブカテゴリー1  利用者意向や地域・事業環境に関する情報を収集・活用している
  評価項目1 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む) 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
  評価項目2 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
  標準項目2 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
  標準項目3 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
  評価項目3 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
  標準項目2 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
  標準項目3 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
講評
保護者の意向(意見・要望・苦情)へは独自の方法も設けて対応している

保護者の意向(意見・要望・苦情)を吸い上げ、保育現場に生かすことは大切なことと認識しているが、第三者委員やご意見箱は設けず、保護者の意向確認は、日常の園児の送迎時や保護者会でのヒアリングを主としている。園バス送迎があることや特有の地域性から個人が特定できてしまうこともあり、園常駐の行政保育責任者への「苦情・相談専用メール制度」を設けて課題解決を図っている。

目的を定めた保護者アンケートを定期的に実施することが望まれる

島では保育園が一つしかないため、広範囲をカバーする園バスを利用している。そのため、通常の保育園では当たり前の送迎時の保護者と保育士との話し合いには限界が見られる。運動会や生活発表会など大きな行事の際には感想アンケートを実施しているが、それ以外にも、食事や保育に関する特定テーマのアンケートを定期的に実施し、保育業務に生かすことが望まれる。

村役場との連携に加え、園は全島レベルでの保育ニーズの把握に努めている

村立保育園であるため、村役場からの指示・連絡事項はもとより、島内の様々な活動団体との交流を通して、島の保育の現状把握に努めている。特に本年4月からは、行政の保育責任者が常駐しているため、園の方針設定や保育現場の改善がより迅速に行われている。住宅地とは離れた位置にある園だが、島民は園を身近に感じている。園は関係機関と連携を図りながら島民の保育ニーズを把握しそれに応えていく努力をしている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  計画の策定と着実な実行
  サブカテゴリー1  実践的な課題・計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している 実施状況
  標準項目1 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している ×
  標準項目2 年度単位の計画を策定している
  標準項目3 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
  評価項目2 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
  標準項目3 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
  標準項目4 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
  評価項目3 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
  標準項目3 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目4 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
  サブカテゴリー2  利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
  評価項目1 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
  標準項目2 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
  標準項目3 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
  標準項目4 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
講評
理念の具体的展開となる中・長期計画の策定が望まれる

園としての中・長期計画は策定されていない。中・長期計画は理念の具体的展開を明示するものであり、職員に明確に周知することにより、職員に経営参画意識や協働意識を植え付ける効果もある。年間計画は策定されているが、年間行事だけに限定している傾向があり、その年度の園としての重点実施事項も策定し、職員に周知することが望ましい。立てた計画は、職員数が少ないことから、実施に向けて情報共有が図りやすく、実行に移しやすい状況にある。

全職員の職務分担が定められており、各自は責任をもって役割を遂行している

運動会や生活発表会など大きな行事は島をあげての楽しみとなっている。これら大きな行事の実施は副園長の役割であり、クラス担当がサポートにつき、臨時職員会議も行われ、毎回成功を収めている。年々大規模になっており、運動会は小学校で、生活発表会も外部施設で行われるようになり、より村民に密着した行事になっている。また、その他の細かい計画も役割分担を明確にし、職員会議で計画的に実施されている。

園児の安全確保・向上には、園はもとより、島ぐるみで取り組んでいる

三宅島固有のこととして、火山噴火による噴火・ガス対策のため、全児童にガスマスクが貸与されている。また、行政による全島放送網が設置されて、警察との連携も密である。毎月行われる避難訓練も画一化せず、内容を変えて実効があがるようにしている。感染症については、保健所との連携を密に、登園証明の取得によって対応している。幸いにして事故発生は殆どないが、今後のためには、ヒヤリハットの仕組みを策定し、予防的対応を考えることが望ましい。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成に取り組んでいる
  評価項目1 事業所にとって必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
  標準項目2 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
  標準項目3 適材適所の人員配置に取り組んでいる
  評価項目2 職員の質の向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
  標準項目2 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している ×
  標準項目3 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している ×
  標準項目4 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている ×
  標準項目5 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
  サブカテゴリー2  職員一人ひとりと組織力の発揮に取り組んでいる
  評価項目1 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
  標準項目3 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
  評価項目2 職員のやる気向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
講評
村役場が、園職員の採用・配置・評価、等を行っている

園の正規職員は、村役場の職員でもあり、村役場の職員として体系の中に組み込まれている。人事考課も村役場の制度のもと行われている。園が求めている職員像は、「即戦力となりうる経験者、職業人としての向上心を持つ人、臨機応変な対応ができる人」としているが、職員は内地出身の人が多く、各種処遇上のメリットを付与しても、なかなか集まらず、苦慮しているのが実態である。昨年は職員配置に動揺も見られたが、今年は適材適所に配置され、組織は安定的となっている。

職員研修は職員一人ひとりの個人別育成計画を作成して、対応することが望ましい

現状、職員に対しては、行政の保育責任者による年2回の個人面談により、職員の能力向上に関する希望を聞いている。研修受講については、職員からの希望申し出をその都度判断するという、受け身的対応となっている。今後は、職員一人ひとりの個人別育成計画による研修体系構築を期待したい。本年は全職員が1回研修受講出来る予算措置が講じられた。職員は研修受講後に、職員会議等にて報告・発表会を行い、全職員で研修内容を共有している。

職員の処遇については、村役場の人事制度の中に包含されている

職員の人事考課は、村役場の人事制度の中で行われている。行政の保育責任者が全員に面接し、村役場の上司に上申している。残業や休暇取得等には特に問題は見られなかった。職員のストレスには注意を払ってており、必要に応じて個人面談をするなどの予防措置を講じている。勤務管理は、職員個々の事情を勘案してシフト表を作成している。今後、業務の効率化と省略化を進め、職員のやる気と働きがいの向上に取り組む意向を持っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  情報の保護・共有
  サブカテゴリー1  情報の保護・共有に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定している
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・保管している
  標準項目3 保管している情報の状況を把握し、使いやすいように更新している
  評価項目2 個人情報は、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえて保護・共有している 実施状況
  標準項目1 事業所で扱っている個人情報の利用目的を明示している
  標準項目2 個人情報の保護に関する規定を明示している
  標準項目3 開示請求に対する対応方法を明示している
  標準項目4 個人情報の保護について職員(実習生やボランティアを含む)が理解し行動できるための取り組みを行っている
講評
各種情報が整然と集中管理され、保護と活用が進んでいる

行政の保育責任者が園に常駐することになったので、それに関わる情報(例えば入園時に提出される「保護者の状況」)は村役場から移動しており、より厳重管理に注意が払われている。各種情報はテーマ別と年度別にファイルされ、園長の責任のもとで集中管理されている。PCは行政保育責任者用に1台、園長に1台、一般職員に3台あり、使用はアクセス権限を定めている、全職員が出入りしている事務室は、書類は整然としているものの、狭い状況である。園の増設も予定されていることでもあり、事務室の拡大も期待したい。

村立の保育園であり、条例に基づく情報保護を行うなかで、保護者の許諾をとっている

園の個人情報保護は「三宅村個人情報保護条例」に基づいて行われており、原則として保護者の許諾を得た後に使用している。園では、緊急連絡網の作成や「広報みやけ」「園だより」への掲載、お誕生会、各種の行事、さらには医療機関への緊急連絡など、個人情報の収集と活用の機会は多い。島内の人間関係が緊密な土地柄だけに、個人情報の管理には特に配慮している。今後、園が個人情報保護を厳守する旨の大きな掲示板を、玄関または職員室に掲げることを期待したい。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー8  カテゴリー1~7に関する活動成果
  サブカテゴリー1  前年度と比べ、事業所の方向性の明確化や関係者への周知、地域・社会への責任の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー1:「リーダーシップと意思決定」
・カテゴリー2:「経営における社会的責任」
・カテゴリー4:「計画の策定と着実な実行」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
3歳児以上の待機児童ゼロを実現できた
前年度は、組織上の軋轢や齟齬もあり、複数の職員が退職して職員数が減り、結果として、3歳児以上の児童の待機が発生した。今年度は、職員の採用と行政からの保育責任者が園に常駐し、問題解決にあたるなど、職員数も安定し、3歳児以上の待機児童ゼロの実現ができた。 
  サブカテゴリー2  前年度と比べ、職員と組織の能力の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー5:「職員と組織の能力向上」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
職員と保護者との話合いが増え、保護者への情報伝達漏れが少なくなっている
以前は、職員の保護者への情報伝達漏れが見られた。職員会議で原因と対策を考え、保護者への連絡帳記述文章を簡略化し、業務の効率化を心がけた。また、職員は言葉遣いに気をつけ、保護者とのコミュニケーションをより重視したことにより、保護者への連絡事項の漏れも少なくなっている。 
  サブカテゴリー3  前年度と比べ、福祉サービス提供プロセスや情報保護・共有の面において向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー6:「サービス提供のプロセス」
・カテゴリー7:「情報の保護・共有」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
職員会議に臨時職員も出席することで、臨時職員の士気もあがっている
従来、臨時職員の職員会議への出席は不可であった。本年度から臨時職員も出席することにしたところ、臨時職員のモラールアップや園への一体感の醸成も高まり、組織活性化の一助となっている。 
  サブカテゴリー4  事業所の財政等において向上している
  評価項目1 財政状態や収支バランスの改善へ向けた計画的かつ主体的な取り組みにより成果が上がっている
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
督促を強化することにより、保育料の納期限を過ぎるケースが少なくなっている
島の風土の関係から、保育料の支払いは金融機関自動支払いによらないケースが多々あった。従って、納期限を過ぎるケースも多く、迅速に督促状を送付して、納付を促した。こうした取り組みの結果、確実な納付が行われてきている。 
  サブカテゴリー5  前年度と比べ、利用者満足や利用者意向の把握等の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、利用者満足や以下のカテゴリーで評価される部分において改善傾向を示している
・カテゴリー3:「利用者意向や地域・事業環境などの把握と活用」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
職員は出来るだけ保護者へ声をかけるようにし、その効果が出てきている
職員会議で、今年は保護者への声かけを徹底しようとの合意のもとに実践した。これによって、保護者から本音の声が聞かれ、保護者の心配事などを早めに解消出来るようになってきている。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
園内外での交流により、園の取り組みや活動が広く周知されている

園は、島内の小学校、中学校、高等学校などの行事に参加する機会を多く持っている。具体的には、小学校でのマラソンディやブックウィーク、高等学校での芋ほり体験などがあげられる。それらの活動自体が、園の情報媒体として村内で広く共有されることになり、また、情報の発信ともなっている。園が作成している各年齢別クラスだよりは、定期的に発行されており、園や子どもの様子、行事などの予定が分かる内容となっている。

園からの情報発信として、村役場ホームページや窓口の活用を積極的に行っている

園は、村で唯一の保育園である。さらに村役場管轄施設であることから、村役場のホームページを情報発信源として有効に利用している。具体的には、園児募集のお知らせについて活用している。また、村役場生活課窓口の複数箇所で発信する体制を整えており、保護者が利用しやすい手段で情報を入手並びに活用できるように配慮している。情報発信源が複数整えられていることで、保護者へ必要な情報が正しく伝わり、周知がより確実となっている。

入園希望者への要望に対し、園の見学などの対応を丁寧に行っている

入園希望者は、園の様子を知るために見学を希望することが多い。そのための取り組みとして、園を開放することで随時の見学が可能な対応を行っている。また、問い合わせに対しても、随時の対応を行っている。見学の時間帯は午前中を提示しているが、保護者の状況などに沿うよう柔軟に時間を変更する場合もある。入園希望者の対応については、園長が活動などの紹介を含めて行っている。入園前に園内や保育の実際を見学することで、保護者の不安軽減と安心につながっている。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
使う立場側に立ったしおりの作成を行い、保護者にわかりやすい内容の提供を行っている

入園に伴い、保護者には必要物品の準備や提出書類の作成が求められる。園では昨年度から保護者にわかりやすく活用しやすいことを目的に「園のしおり」の見直しに取り組んだ。園が村役場管轄の施設であることから、入園申し込みの手続きには支給認定申請書をはじめとする各種書類の提出が複数必要となる。そのため「園のしおり」で、それらの申請に係る書式の原本を掲載し、複写活用できるように工夫を行ったことで、保護者の申請時の負担軽減につながっている。

家庭と園の生活の連続性確保のため、慣らし保育によって子どもの不安軽減に努めている

子どもは、入園により家庭生活とは異なった園での生活を過ごすことになり、不安も大きい。また、保護者も同様な不安を抱えていることが多い。そのため園では、子どもの生活状況や保護者の意向・就業状況に合わせて、「慣らし保育」を設定している。個々の事情により、期間は半日から数日間を設け、子どもの状況を主に観察し、園生活と家庭生活が連続して営めるように支援している。こどもの不安軽減とストレスをかけずに園の環境に溶け込めるような配慮を行っている。

転園・再入園に対して、保護者並びに関係機関との連携に努めている

村での出産は、医療機関の受け入れの関係上、島外となることが殆どである。そのため、保護者の出産に伴う一時期、子どもが退園をする事態が生じる。園では、出産並びに育児期間を経て島内に戻った際、子どもや保護者が再入園できる受け入れ体制を整えている。出産による新たな子育てを行う保護者にとって、慣れ親しんだ子どもの保育環境が整えられていることが安心につながっている。また、転園の場合は、新しい園への情報提供を行い、子どもの状況が正しく伝達されるような支援を行っている。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 保育課程や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、保育課程を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
子どもの日常生活が見える記録が整備されている

入園前の子どもの日常生活の様子と園での生活が結びつくことによって、子どものよりよい成長が可能となる。園では、入園前に面接を行うと同時に、日頃の生活が具体化された内容の記録を整備している。具体的には、「児童票」、「成長記録」、「家庭状況調査票」などである。保護者からの情報提供により、家庭での子どもの様子を把握することが可能となり、また、発達段階での支援計画や園での保育の取り組みに必要な記録である。これらを活用することで、園と家庭との切れ目ない養育環境が整備されている。

職員会議において、日々の現状と課題についての情報共有を行っている

園では、常勤職員・非常勤職員全参加による職員会議の中で、情報を共有している。日々の子どもの養育支援や保育環境の現状と課題を、全体で議論することによって情報の一元化が図られている。一方、日々の気づきや伝達事項などについてはメモを活用しているが、メモは紛失や見落としなどのリスクが伴う。また、情報が正しく伝わったかどうかの確認が不確定となる場合が多く、その改善のため、今後はメモ以外での伝達の仕方を工夫されることが望ましい。

園だよりを活用し、子どもへの育ちの指導計画を伝える仕組みを整えている

子どもは、年齢ごと及び発達段階に応じた育ちの目標がある。園では、指導計画・月間指導計画の書式を整えており、指導計画においては一年を四期に区分し、目標や子どもの姿、指導内容の項目に分けて、具体的な内容を記載している。これらの計画については、保護者との共有が不可欠であることから、各クラスが発信する園だよりに記事として掲載し、保護者との連携に努めている。また、指導計画については年度末、職員会議にて見直しを図っている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
子ども一人ひとりの発達にあった保育を行っている

個々の子どもの状況を、日々の連絡帳、児童票、成長記録、個人記録、等で把握している。保育課程に基づいた指導計画があり、月の指導計画にはクラスの「ねらい」とともに個々の状況と「ねらい」が記載され、それらに基づいた保育が行われている。個々の子どもの状況は主に担当クラスの職員が把握しているが、月の指導計画の反省の際に子どもの状況が他クラスの職員にも伝達され、園全体の職員がそれぞれの子どもの状況や対応について共通認識を得る機会となっている。

縦割り保育の中で、子ども同士の関係性が育っている

毎日の朝や夕方の合同保育や夏の期間の縦割り保育など、異年齢の交流の機会を多くもっている。また、日常の活動の中でも異年齢と過ごすことも多い。訪問調査の際も、1・2・3歳児が園庭で遊ぶ様子を見ることができ、2歳児が自然と1歳児の子どもに手を貸す姿や、3歳児が1歳児に寄り添って一緒に遊ぶ姿が見られた。4・5歳児が共に給食を摂っている場では、会話も弾んでいた。通園バスで一緒になる子どものことも互いによく知っており、5歳児が4歳児の様子を話して聞かせてくれた。

小学校との連携を密に行っている

日ごろから小学校との関係づくりは日常的に行われており、保育所、小学校、中学校、と合同で行う会議に園長が参加する。また、高校まで含めた会議などにも参加し、施設間の交流が図られている。子ども達は、年長の3月には小学校の体験入学を経験する。校内の見学や1年生とドッチボールを行うなどの交流が図られている。さらに、小学校のマラソン週間に参加させてもらったり、図書館を利用させてもらうなど、様々な小学校体験をする機会が設けられている。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている ×
講評
登園時に、保護者との情報交換を密に行っている

保育園は、朝7時30分から夕方6時30分まで開園している。朝は、担当の職員が早く登園した親子に対して丁寧に対応し、受け入れを行っている。子どもの情報を連絡帳で確認し、実際に顔を合わせ、一人ひとりと会話して受け入れている。8時15分にクラス担当の職員に引き渡す際には、保護者からの申し送り事項などをメモや口頭で伝えている。

基本的生活習慣を大切に考え、個々の状態に合わせて援助している

保育課程に基づき、年間の指導計画の中でも基本的生活習慣は重要視されている。個々の発達に合わせて、「ねらい」が設定されており、一人ひとりに対応している。食事の介助、トイレトレーニング、着脱衣などはその子どもの発達にあわせ、子どもの気持ちを大事にしながら、無理強いせずに進められている。特に、スプーンから箸への移行は2歳後半に行っており、一人ひとりの家庭と連絡を取りながら、丁寧に対応している。

降園時に、保護者へ子どもの様子を伝える努力をしている

夕方の保育は、4時半頃から子どもはクラス毎から合同になり、担当の職員が保育を行う。降園時、それぞれ子どもを引き渡す際には、なるべくその日にあったことを保護者に伝えるようにしている。また、連絡帳やホワイトボートも利用し、子どもの様子を伝える努力をしている。職員が保護者と顔を合わせてコミュニケーションを取ることができないバス通園の子どもは、その日の様子をなるべく連絡帳に記入するようにしている。保護者が布団を持参、あるいは持ち帰る月曜日と金曜日を利用して情報の交換に努めている。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
子どもが自主的に遊べる環境の工夫をしている

室内環境については、子どもの興味に合った玩具や教材を考慮し、コーナーを設けて、好きな遊びが展開できるように配慮している。園庭には、様々な乗用玩具も用意されており、好きなものに乗れる環境にもなっている。また、他のクラスの保育室を使用することも多く、前日や当日の朝に、職員同士が話し合い、戸外活動によって空いている保育室を他のクラスが使っている。子ども達にとっては違った玩具や絵本などが利用でき遊びが広がっている。さらに、廊下の隅には図書のコーナーが設置され、いつでも絵本が見られるようになっている。

当番活動を通して、言葉に親しむ環境を多く提供している

2歳児から5歳児クラスまで、朝の会を行っている。職員の話もあるが、子ども達も職員の問いかけで会話を楽しむ機会となっている。年長の子どもたちは当番活動も行っており、給食の際に皆の前に出て決まった挨拶のセリフを言うことが楽しみとなっている。誕生会では、当番の年長児が司会役となって、号令を掛けたりしている。それらの年長の姿を見ることは、年下の子ども達の憧れにも繋がっている。12月の生活発表会で行う劇では、子ども一人ひとりにセリフがあり、楽しみながら自分のセリフを覚えている。

地域の伝承あそびに親しみながら、様々な表現活動を楽しめるようにしている

島の太鼓保存会の協力を得ながら、子ども達に太鼓の伝承を行っている。子ども達も太鼓には興味や憧れを持っており、太鼓をやりたいとの声も多く、生活発表会では4・5歳児が阿古の太鼓を披露することになっている。地域の伝統芸能が伝承されていくことは、地域文化の継承に繋がる重要なことである。生活発表会では、太鼓の他にもピアニカ演奏や楽器の演奏、歌やダンスなども、保護者に披露される。こうした様々な表現活動が行われており、訪問の際にも子ども達が楽しんで行っている様子を見ることができた。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
子どもの興味・関心を重視し、子どもを主体とした行事が行われている

行事は、年間行事予定表に基づき実施される。保護者参加の主な行事は、入園式、運動会、親子遠足、生活発表会、卒園式、等となっている。その他に子ども主体で保育の中で行う行事として、毎月の誕生会、プール開き、クリスマスお楽しみ会、おもちつき、ひなまつり、等が行われている。中でも、園として大きな意味を持つ行事は運動会と発表会である。これらの行事に対して、幼児クラスでは子どもたちの興味関心を重視しながら、子ども達からの意見も取り入れて内容を決めている。

子どもが自主的に取り組めるような企画に努めている

発表会の内容を決める際に、子ども達が地元のお祭りの太鼓を見た事からか、「阿古の太鼓」という意見が多くあり子ども達の希望通りに行われることになったとのことである。太鼓への期待や意欲が、練習にも表れており、みんなでやり遂げることの喜びにつながっていくと思われる。また、子ども達がいつも読んでほしいと言う絵本を題材にして劇の脚本にしたり、ダンスの曲を決める時もいくつかの曲を子ども達が聞いてから選んだりと、子どもの自主性を大切にした取り組みがなされている。

行事への保護者の意見も取り入れ、工夫を重ねている

保護者へは、年度の初めに、保育園のしおりで年間の行事が知らされている。なるべく多くの参加を得るために、大きな行事は土曜日に設定している。また、運動会や発表会の行事の後では保護者へアンケートを行い、感想や意見を把握している。保護者の意見から、今年度は、運動会ではテントを増やし、発表会では広い場所の確保から地域のホールを借りて行うことになった。利用者アンケートでは、「行事の日程は参加しやすいように十分な配慮がされているか」、の項目で前回の「はい」は44%であったが、今回は72%と増加している。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
保育時間の長い子どもが、落ち着いて過ごせるように努めている

朝7時半から夕方5時半まで、あるいは朝7時50分から夕方6時までなど、保育園に10時間以上いる子どももいる。長時間の保育の中で、特に夕方は疲れも出てくる頃であり、職員は注意して子ども一人ひとりに気を配っている。合同保育になると、1歳児から5歳児までの様々な年齢が一緒になるので、動きの違う乳児は特に安全に注意し遊べるように配慮している。日常的にも異年齢児が関わることが多く、年長の子どもが1歳児の子どもにお茶を飲ませてあげたりする自然な関わりも見られ、落ち着いて過ごせている。

合同保育の中でも、子どもが楽しめる工夫をしている

夕方、4時半頃から子どもは合同保育となる。バス通園の子ども達は4時15分に退園する。天気の良い日には、5時頃まで園庭で体を動かして遊び、その後に保育室での合同保育となる。職員は2名で、子ども達は1歳児から5歳児まで約30名ほどとなる。紙芝居などをして子ども達が落ち着いた頃から、年齢に応じたコーナーをつくり、その時々の興味のある玩具や絵本ブロックなどを設定し、子ども達が少人数でじっくり遊べる環境をつくっている。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している                                                                                        
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
子どもの状況に応じて、楽しく食べられる食事が提供されている

村の委託栄養士が献立の作成を行い、月に1回、栄養士、園長、調理師で給食の打ち合わせを行っている。1か月の献立は毎日違うメニューで、1・2歳児は9時と15時に、3歳児以上は15時におやつが提供されている。おやつは手づくりのものが多く、主食は米・パン・麺がバランスよく作られている。アレルギーのある子どもには、個々の状況に応じて除去食や代替食が提供されている。毎月の献立は園でチェックし、保護者に確認をとっている。誕生会の時などは、行事食として特別のお楽しみメニューとなっており、11月は手巻きずしであった。

食育計画に基づいて、年齢に合った食育活動が行われている

食育年間指導計画が立てられており、給食目標が4つ挙げられている。「健康・安全など食生活に必要な基本的な習慣や態度を身に付ける」・「身近な食材を使って調理を楽しむ」・「調理をしている人に関心を持ち、感謝の気持ちを持つ」・「地域の食文化を知り、興味を持つ」となっている。特に、調理保育は各クラスで行い、年長児は毎月行っている。フルーツ白玉、ドーナッツ、ピザ作り、十五夜のお団子作り、等様々な調理経験をしている。園庭の隅に畑を作り、野菜の栽培を通して食材への興味を持ち、自分たちで育てた野菜を調理する活動も行っている。

地域に根付いた食育活動を行っている

前述の給食目標の中で、「地域の食文化を知り、興味を持つ」という項目がある。三宅島の特産物には「あしたば」があり、子ども達もあしたばの収穫を実際に行い、収穫の仕方や見分け方を知り、それを調理することから地元の食文化に触れる体験をしている。また、親子で体験した芋ほりは地域の高校の畑であり、多く収穫した。園では、地域の食育委員会に参加し、「保小中高合同作品展」にサツマイモのレシピの発表を行う準備をしており、食育活動が地域と一体となって行われている。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
子どもの健康や安全が保てるよう支援している

子どもの健康支援として、日々の健康観察に加えて、毎月の身体測定、年2回の定期健康診断と歯科検診が行われており、個々の健康記録に記載されている。日ごろから薄着での生活を子ども達に勧めているが、個々の状況に合わせて行っている。訪問時(11月)には、半袖のシャツやランニングシャツ姿の子どもが元気に活動している姿も見られた。安全面においては、毎月の避難訓練で火災・地震・噴火の訓練を行い、保護者の災害時引き取り訓練も実施している。園庭で子ども達が遊ぶ際には、必ず職員が固定遊具に付くことが徹底されている。

保護者と連携を取りながら、子どもへの健康支援を行っている

子どもの健康状態については、保護者と連携を取りながら個々に支援を行っている。入園のしおりでは、健康管理、保育中の事故、発熱、等の健康に関する情報を詳しく提供している。特に感染症については、病気の一覧表と、診療所からの情報も保護者へ配布している。感染症が流行った場合には、園だよりや掲示板で情報を伝え、登降園時には個々に注意を呼びかけるようにしている。また、家庭でのケアが園でも行えるように予薬も行っているが、医師の診断に基づく薬で、基本的には保湿剤などの塗り薬に限っている。

専門機関と連携を取って支援する体制がつくられている

現在、医療的なケアが必要な子どもはいないが、専門的な支援が必要な子どもは数名在籍している。特別な配慮が必要とされるため、専門機関と連携して、年に4回程度、臨床心理士の巡回指導を受けている。子どもの状況を観察してもらい、支援の方法についての助言などを受け、職員間で話し合いながら保育に当たっている。保護者と園との考えにずれがあるケースもあるようだが、専門家の意見も取り入れながら、特別な配慮が必要な子どもについての知識を深め、個々への適切な対応を期待したい。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
保護者一人ひとりの状況に合わせた支援を心掛けている

入園時に保護者一人ひとりと面談を行い、個別の家庭状況などを把握して個々の支援を行っているが、6月以降にも個人面談を行っている。また、保護者の都合に合わせてお迎えの時にも担任が面談を行っている。求職中の保護者の場合、通常保育の時間が8時15分から16時15分となっており、個別の事情などで要望があれば保育時間を延長する対応をしている。利用者調査では、「急な残業などであらかじめ取り決めた利用時間を変更する必要がある場合、柔軟に対応してくれていると思うか」、の問いへ52%が「はい」と答え、「いいえ」は8%だった。

保護者と職員との関係構築に努力している

保護者とは日々の登降園時の関わりを大切にしながら、全体懇談会、保育参観、行事などを通して関わる機会を多く持ち、信頼関係を築く努力をしている。島という特別な地域性の中で、1つしかない保育園であり、仕事と私的な生活の境目が難しい面もあり、保護者との関係を良好に保つにはかなりの努力が必要であると思われる。利用者調査の記述では、「毎日楽しんで登園している」「保護者の思いなどをよく聞いてもらっている」、との意見の他に、職員の言葉遣いへの疑問や意見が素直に言える環境でない、との記述もあり、さらなる職員努力が望まれる。

保護者の行事への参加を通して、保育活動を理解してもらう取り組みをしている

行事については、年度の初めに保護者に伝えられる。その行事の時期になると、園だよりとクラスだよりでも内容が細かく知らされ、保護者への参加が促されている。10月に行われた親子遠足では、保護者全員が参加となり、両親が揃って参加した家庭も多くあった。親子での芋ほり体験を通して、収穫の喜びを感じ、園の食育活動が保護者に理解されることにつながっている。保育参観では、保育の様子を朝から給食まで参観し、給食も子ども達と共に食し、日頃の保育活動を直に見ることができるため多くの保護者が参加している。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 子どもが地域の資源を利用し、多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
地域の施設や自然を利用して、子ども達の体験を広げている

園と地域との関わりは様々な場面で見られる。特別養護老人ホームへも3・4・5歳児が出かけていき、高齢者との交流を持つ機会を年3回ほど実施している。子ども達が歌を披露したり、高齢者とのふれあい遊びを行っている。高校の畑への芋ほり、小学校の校庭で行われた運動会の様子が、小学校のPTAだよりにも載っている。他の施設との交流が日頃から行われており、子ども達の体験を広げている。また、園から海に遊びに行くことも行われており、豊かな自然を体で感じることのできる活動が、多様な形で取り入れられている。

保育園の行事を通して、地域の人々との交流を深めている

子ども達は行事を通して、芸能保存会の人々や職業体験の中学生、ボランティアの高校生や特別養護老人ホームの職員と利用者など、地域の人々との関わりを多く体験している。小学校でのドッチボール大会やマラソン週間への参加で、小学生や小学校の教員などとも交流がある。今後、園で子育て広場を開催する予定があり、未就園の子どもとその保護者が来園した際には一緒に遊ぶなどして、地域の親子との交流も行われる。保育園から高校までの教育機関と様々な施設が日常的に連携していることから、地域の人々と関わる体験は幅広く行われている。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている ×
  標準項目4 子どもの気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目5 虐待を受けている疑いのある子どもの情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関に連絡し、その後も連携できるような体制を整えている
講評
子どもの声に絶えず耳を傾け、子どもの「やりたい」という意思を傾聴し、尊重している

子どもは、集団での成長の中で個性と独自性を発揮し、自己を形成していく。園では、それらの点に着目し、子どもの声を聴くことを大切にしながら保育を実践している。具体的には、ダンスの曲の選定において複数曲を職員が選定するが、実際の曲を決定するのは子どもの意見である。子どもにとっては、自身が選択できたことで自分達の意思の尊重が得られたという達成感につながっている。園では様々な選択の場面において、「子どもの意思」を中心に置いている。

虐待についての学びの機会を取り入れることによって、気づきの視点を得たい

虐待事例への対応は、保健所が中心となって連絡網や体制を整備している。実際には園での虐待事例が発生していないこともあり、勉強会や研修への取り組みは積極的に行われていない。虐待は、潜在的な事例も多く存在することから、周囲の気づきが早期発見につながる。今後は、それらの気づきの視点を強化するために、園内外での研修参加に取り組み、虐待の早期発見と防止につながる仕組みを整えることが望ましい。

保護者との情報共有や意思疎通のため、連絡帳の活用を再考されたい

子どもの日々の暮らしや生活については、児童票において、保護者からの情報が詳細に得られている。また、保護者との連絡調整は、登園時のやりとりや連絡帳が活用されている。保護者アンケートには、「連絡帳に登園前の様子を書く欄は、昨年まで職員の返信があったが、今年度から押印があるのみで残念である」との意見があった。保護者からの一方向の情報提供ではなく、情報を受けた職員側からの発信があることで、双方向の共有や信頼関係の構築にもつながる。今後の改善を期待したい。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている ×
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている ×
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している ×
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
  標準項目3 職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などをもとに、基本事項や手順等の改善に取り組んでいる
  評価項目3 さまざまな取り組みにより、業務の一定水準を確保している 実施状況
  標準項目1 打ち合わせや会議等の機会を通じて、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている
  標準項目2 職員が一定レベルの知識や技術を学べるような機会を提供している
  標準項目3 職員全員が、子どもの安全性に配慮した保育ができるようにしている
  標準項目4 職員一人ひとりのサービス提供の方法について、指導者が助言・指導している
  標準項目5 職員は、わからないことが起きた際に、指導者や先輩等に相談し、助言を受けている
講評
手順書やマニュアルの整備に取り組むことで、保育の質の向上につなげたい

園は、手順書や各種マニュアルの整備の取り組みが不足している。日常の保育場面において、定まった形式をあてはめることが不適切な場合もある。一方で、日々の生活場面での基本事項や手順については、整備されていることで改善や課題の抽出につながることとなり、結果として子どもの保育環境の改善にも結びつくと考えられる。今後は、業務点検や基本事項の確認など、業務向上に寄与するような書式の作成に取り組むことを期待したい。

経験豊富な職員が指導を行い、新人職員の不安軽減に努めている

職員の平均勤続年数は、9年である。永年勤続職員と新人職員の年数の隔たりはあるが、経験豊富な職員が新人教育に丁寧に取り組んでいる。園が島に存在していることから、新人職員の多くは島外からの着任となる。そのため、仕事への不安や住環境が異なることの不安を抱えて着任する場合が多い。それらの軽減を図るため、村役場の保育園担当職員が園内配置となっており、相談しやすい環境を整えている。

自然災害への取り組みが確立され、子どもの安全を守る役割を果たしている

火山溶岩流出や有毒ガス発生などの自然災害の被害を過去に受けていることから、園では災害に対する取り組みが徹底されている。一ヶ月に一回の避難訓練、登園時のガスマスク持参の徹底、等があげられる。災害から子どもの命を守るための取り組みが、保護者とも共有されている。一方で、緊急時の連絡網の整備見直しが、現在、園での課題として取り組まれている。災害時や緊急時における保護者への迅速な連絡は必要不可欠であり、より確実な手法での連絡網体制の構築に期待したい。