東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 平成29年度
サービス名称 障害児多機能型事業所(児童発達支援事業、放課後等デイサービス)
法人名称 社会福祉法人正夢の会
事業所名称 中野区療育センターゆめなりあ
評価機関名称 特定非営利活動法人 福祉経営ネットワーク

コメント

職員には職員自己評価に関する説明文を配布し、第三者評価の趣旨と自己評価手法について理解を深めた。利用者調査は、全利用者を対象とし、アンケート用紙を事業所より配布してもらい、回答後、返信用封筒にて直接評価機関に返送する方法を取った。報告会は資料を作成し実施した。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1) 子ども・保護者の心に添った支援 2) 子ども・保護者の安心と満足の向上 3) 透明で健全な法人経営 4) ライフステージに添った地域生活への支援 5) 地域・行政との協働

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

① 法人及び事業所の理念、方針を理解し、その求める役割を認識して実践できる。 ② 目標シートを活用し、年間の自己の課題を明確にして実践に取り組むことができる。 ③ 個々の専門性を生かしながらも他者の意見とのすり合わせを重視し、メンバーシップの観点を自覚する。 ④ 他者の立場を尊重し、伝え合いを大事にすることでチームの目標を掴み、相互支援を積極的に行う。 ⑤ オリジナルなアイデアを持ち、想像的・創造的な観点で、前向きに取り組む。 ⑥ 自分自身や家族を大切を大切にする。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

① 専門性の充実 ② グループダイナミックス(個人の集団における独特な考え方や行動) ③ 行動規範 ④ 意欲的な態度と向上心

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 子どもがわかること・できること等の成功体験を積み重ねることで、子ども一人ひとりの発達を促している

「児発」(児童発達支援事業)では、遊びやさまざまな活動を通して、子どもの主体性や社会性を育んでいくことを共通のテーマとしている。また、「親子通園・親子分離混合クラス」では興味関心が拡がる支援を行う他、2歳児クラスでは親子に関わり、保護者に対しては子どもへの関わり方や、必要な支援のあり方を提案している。さらに、「親子分離クラス」では、就学に向けて、ソーシャルスキルや、集団でのルール・遊び方を学べるよう支援する等、子どもがわかること・できること等の成功体験を積み重ねることで、子ども一人ひとりの発達を促している。
2 個別状況を踏まえた療育の実践と検証を繰り返してその精度を高め、子どもと保護者の育ち合いをサポートしている

「必要とされる支援を必要な時に」提供することを目的とした特別支援療育を展開し、個々の発達段階に応じて子どもの行動の理解・対応を考える心理療育、コミュニケーション方法を確立する言語聴覚療法、作業活動で能力の発達を促す作業療法、身体機能の発達を支援する理学療法を保護者同伴でを実施している。また、個別の療育状況は、各専門職の評価、行動観察を行うとともに、スーパーバイザーからの専門性に基づく多角的なアドバイスを得ながら療育の精度を高め、「困り感」への軽減につなげる等、子どもと保護者の育ち合いをサポートしている。
3 個別の発達過程や特性、興味関心を踏まえたプログラムを通して、子どもの主体性や社会性を育む支援に努めている

「放デイ」(放課後等デイサービス事業)では、毎月、利用希望調査を実施して、学校の下校時刻に合わせて利用ができるよう柔軟な対応を心がけている。また、子どもの発達過程や特性、興味関心を踏まえて、個別支援計画を作成し、製作・感覚遊び・外出・調理活動等のプログラムを行っている。さらに、近隣のレストランでの外食活動や調理活動に伴うスーパーマーケットへの買い物等、地域の資源を活用してさまざまな外出の機会を設けるとともに、保護者や職員以外の大人と交流することで、子どもの主体性や社会性等、成長を育む支援に努めている。

さらなる改善が望まれる点
1 法人理念の実現に向け、職員にとって療育場面での具体的な支援の指針となる倫理綱領、職員行動規範の策定が望まれる

法人の理念として「心に添った支援」を合言葉に、また、「自分らしくそのままに」一人ひとりが地域の中に「在る」ことを大切にして支援を展開している。また、事業所では、事務所に法人理念、事業計画を掲示して、職員へ周知するとともに、法人全体会議においては、理念の考え方について講義を行い、その理解と周知に努めている。一方、職員自己評価結果では、理念・基本方針の周知については十分できていないとの意見もあるため、法人理念の実現に向け、職員にとって療育場面での具体的な支援の指針となる倫理綱領、職員行動規範の策定が望まれる。
2 インシデント・アクシデントの内容の検証と実効性の高い対策の立案を組織的に取り組まれたい

法人のリスクマネジメント委員会において、各事業所からあがったインシデント等を分析し、事故の内容ごとにレベル1をヒヤリハットとし、レベル5まで区分・報告されている。多くの子どもと関わり、職員に危険予知の力をつける必要が求められている事業所では、レベル1から2と軽微な事象が多く、集約されたインシデント・アクシデントは「気づきの共有」を目的として再発防止に努めているが、同様のインシデントの繰り返しが見受けられる。今後は部署を超えて事象を共有し、内容の検証と実効性の高い対策の立案に組織的に取り組まれたい。
3 マニュアルの整備と業務の共有化等、部署を超えて職員の協働によってすすめていくことで課題解決を図られたい

事業所では、「児発」「放デイ」の他に複数の事業を展開しており、多様な職種が混在する状況から、職員自己評価結果では、職員間の情報共有、標準化等を課題とする意見が複数挙がっている。また、経営層も基本方針や療育情報の共有、標準化等の必要性を認識している。そのため、多職種連携を図るケース会議の開催、策定途中にある「職員マニュアル」の早期完成、その他各事業におけるマニュアルの充実等、今回の自己評価結果の内容を検証するとともに、職員からも意見・アイデアを募る等、部署を超えてすすめていくことで、課題解決を図られたい。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 多様な地域ニーズに対応可能な体制を整え、地域の子育て世帯をサポートしている

地域の需要は多方面にわたっており、児童福祉法内の事業として「児童発達支援事業」「放課後デイサービス事業」、行政の単独事業として、「療育相談事業」、「保育園等巡回訪問事業」、「一時保護事業」、その他の事業として、「きょうだい対応保育人業務」「カームダウンルーム運営」等を展開している。また、区のすこやか福祉センターとの情報共有、連携を進めていくことで、療育ニーズに対応できる支援体制を整備して、子どもの発達への不安や、子育て上の困りごとの軽減、就園・就学の相談等により、地域の子育て世帯をサポートしている。
関連評価項目(事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある)
2 ★ スーパーバイザーのサポートにより多様なニーズにかなう専門性の向上に尽力している

専門性を求められる療育の実践において専門職を中心とした職員が業務にあたり、臨床心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、看護師、保育士、社会福祉士等が互いの専門知識や技術の共有に努め、療育にいかしている。また、療育の経験は少ないものの成人期の利用者支援の経験者が多いことから、子どもの将来を見据えた支援ができることは事業所の大きな強みとなっている。「児発」「放デイ」ともにスーパーバイザーも導入し、子どもの療育の実践、環境の調整、教具の工夫等へのアドバイスを得て多様なニーズにかなう専門性の向上に尽力している。
関連評価項目(職員の質の向上に取り組んでいる)
3 ★ 意向に基づいた個別支援計画の策定・見直しのしくみが確立し療育にいかしている

個人面談で保護者の意向を踏まえ、保護者作成の「ケア・アセスメント票」から、子どもに関する基本情報を把握するとともに、職員による行動観察等を基に、子ども個別の発達や他者との関わり、遊びや言葉等、現況を確認している。それらの情報を基に、長期・中期・短期的な視点で、子ども一人ひとりの発達をどのように支援していくかの目標を設定して個別支援計画を作成し、保護者からの同意を得ている。また、計画の見直しは9月と3月に、支援・取り組みの評価と目標の達成度合いを保護者とともに確認するしくみにより、次期の療育にいかしている。
関連評価項目(子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している)

Ⅳ 利用者調査結果

■児童発達支援

調査概要
調査対象:在籍数168名、世帯数164世帯を対象とした。

調査方法:アンケート方式  
アンケート用紙を事業所より配布してもらい、回答後、返信用封筒にて直接評価機関に返送する方法を取った。

利用者総数 168人
利用者家族総数(世帯) 164世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 164人
有効回答者数 98人
回答者割合(%) 59.8%

総括
アンケート調査の結果から、多くの項目で肯定的な回答をする利用者がみられるが、内容によっては「どちらともいえない」や「非該当」の回答もみられた。サービスの提供では、事業所で行う活動は子どもが興味や関心を持てるものであることに満足している様子がうかがえた。また、事業所に通うとことが子どもの身体機能や健康状態に良い影響を与えていることについても満足している様子がうかがえる。安心・快適性では、職員の接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切なものであると感じている利用者が多い。利用者個人の尊重では、事業所では子どもの気持ちや考えを大切にした対応がされていると多くの利用者が回答している。なお、子ども同士のトラブル対応や、ケガや体調不良時の職員の対応が信頼できるかについては、他の項目と比べると「非該当」を選択する利用者が見受けられた。その他、家族へのサポートがあるかや、不満要望への対応があるかに関しては、「どちらともいえない」と回答をした利用者もいる。総合的な感想では、事業所への満足度について、半数以上の利用者が「満足」としており、次いで「大変満足」「どちらともいえない」となっている。

利用者調査結果

1.事業所に通うことが、子どもの身体の機能や健康の維持・促進の役に立っているか
はい 85人  どちらともいえない 12人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
98名の利用者のうち、85名が「はい」としており、事業所に通うとことが子どもの身体機能や健康状態に良い影響を与えていると回答している。その他、12名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、難しい動きができるようになったり、身体の使い方がわかってきたりと、日々成長していると感じるという声や、職員の指導が身体を動かすヒントや対人への自信につながっていると思われ、より積極的になったという声が聞かれた。その他、活動による成長なのか、自然な成長なのかわからず残念という意見もあった。
2.事業所での活動は、子どもが興味や関心を持てるものになっているか
はい 86人  どちらともいえない 11人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
98名の利用者のうち、86名が「はい」としており、事業所で行う活動は子どもが興味や関心を持てるものになっていると回答している。その他、11名が「どちらともいえない」と回答している。自由意見では、乗り気でないことも楽しそうに誘ってくれ、子どもがやってみようという気になっているという声や、子どもの興味やレベルに合わせ工夫しているので楽しく通っているという声が聞かれた。その他、子どもが好きなことをさせるのではなく、いろいろな遊び等もっと与えてみてほしいという意見もあがった。なお、1名の利用者は無回答であった。
3.事業所に通うことが、子どもの情緒面での発達(感情のコントロールを身につける等)の役に立っているか
はい 72人  どちらともいえない 19人  いいえ 2人  無回答・非該当 5人 
事業所に通うことで、子どもが感情のコントロールを身に付ける等、情緒面の発達に役立っているかについて、98名の利用者のうち、72名が「はい」、19名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」、3名が「非該当」と回答している。自由意見では、困っている行動等について相談すると、子どもと話し合い共感させることで少なくなってきたという声や、いろいろな面で細かくサポートしてくれて大変感謝しているという声が聞かれた。なお、2名の利用者は無回答であった。
4.事業所に通うことで、子どもに社会性(人と人との関わり合いやルール等)が身についているか
はい 60人  どちらともいえない 31人  いいえ 3人  無回答・非該当 4人 
子どもが人とのかかわり方やルールなど社会性を身につけているかについて、98名の利用者のうち、60名が「はい」、31名が「どちらともいえない」、3名が「いいえ」、2名が「非該当」と回答している。自由意見では、専門家と一緒に何かを行うことで、以前より自分から話しかけるようになったという声が聞かれた。また、これからの変化や成長に期待しているという声もあった。なお、2名の利用者は無回答であった。
5.子どもの様子や支援内容(体調変化時の対応含む)について、事業所と情報共有できているか
はい 76人  どちらともいえない 15人  いいえ 2人  無回答・非該当 5人 
子どもの様子や体調に変化があった際の支援内容など、情報の共有が事業所とできているかについて、98名の利用者のうち、76名が「はい」、15名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」、3名が「非該当」と回答している。自由意見では、普段の生活の話にも耳を傾けてくれるため、気になる点や疑問に思うことにもきちんと答えてくれるという声が聞かれた。その他、職員が変わったとき等は職員によって子どもの状態が伝わっていない、状況共有がされていないときがあるという意見もあがった。なお、2名の利用者は無回答であった。
6.家族に対する精神的なサポート(子育てに関する悩み相談や進路相談、家族間交流の機会の提供等)は役に立っているか
はい 53人  どちらともいえない 21人  いいえ 8人  無回答・非該当 16人 
子育てに関する情報や家族への精神的サポートが役立っているかについて、98名の利用者のうち、53名が「はい」、21名が「どちらともいえない」、8名が「いいえ」、14名が「非該当」と回答している。自由意見では、いつ聞いてよいのかわからないという声や、数ヵ月に1度でも面談の時間があるとよいという声があがった。また、子どもの療育がメインのため、家族サポートや交流の機会はないと思うという声が聞かれた。その他、家族間交流を積極的に事業所でも企画してほしいという意見もあった。なお、2名の利用者は無回答であった。
7.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 79人  どちらともいえない 11人  いいえ 1人  無回答・非該当 7人 
食事場所やトイレなど、事業所内は清潔に保たれ整理がされているかについて、98名の利用者のうち、79名が「はい」、11名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、6名が「非該当」と回答している。自由意見では、トイレや教室、廊下等、とてもきれいにしているので、気持ち良く通っているという声が聞かれた。その他、掃除もされてきれいだと思うが、いくつか気になるところがあるという意見や、食事の机が汚れていることがあるという意見もあがった。なお、1名の利用者は無回答であった。
8.職員の接遇・態度は適切か
はい 88人  どちらともいえない 6人  いいえ 3人  無回答・非該当 1人 
98名の利用者のうち、88名が「はい」としており、職員の接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切なものであると回答している。その他、6名が「どちらともいえない」、3名が「いいえ」と回答している。自由意見では、子どもが行くと職員皆が元気な声で挨拶してくれるのでうれしいという声が聞かれた。その他、職員は硬い素材の上履きを履いてるが、子どもは素足のため踏んでしまったら痛いのではと考えるという意見や、爪の長い職員を見かけるという意見もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。
9.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 47人  どちらともいえない 7人  いいえ 0人  無回答・非該当 44人 
ケガをしたときや体調を崩した際の職員の対応は信頼できるかについて、98名の利用者のうち、47名が「はい」、7名が「どちらともいえない」、42名が「非該当」と回答している。自由意見では、手をケガしたときには、課題をできるものに変更してくれたという声や、風邪気味のとき等、気にかけてくれるという声が聞かれた。その他、まだそのような状況になったことがないのでわからないという意見もあった。なお、2名の利用者は無回答であった。
10.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 32人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 59人 
子ども同士でトラブルなどがあった場合の職員の対応が信頼できるかについて、98名の利用者のうち、32名が「はい」、6名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、58名が「非該当」と回答している。自由意見では、トラブルの際の報告はあるが、その後、双方の子どもや家庭に対するフォローや助言等があってもいいと思うという声が聞かれた。その他、経験がないのでわからないという意見や、グループ活動がまだのため何とも言えないという意見もあがった。なお、1名の利用者は無回答であった。
11.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 90人  どちらともいえない 7人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
98名の利用者のうち、90名が「はい」としており、事業所では子どもの気持ちや考えを大切にした対応がされていると回答している。その他、7名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、やさしく接してくれるという声や、子どもの気持ちをしっかり考えて対応してくれるという声が聞かれた。その他、職員によって対応が違うように感じるという意見や、自分の理想を押し付けてくる職員もいて子どもがついていっていないという意見もあがった。
12.子どものプライバシーは守られているか
はい 74人  どちらともいえない 8人  いいえ 1人  無回答・非該当 15人 
子どもや家族のプライバシーに配慮した対応がされているかについて、98名の利用者のうち、74名が「はい」、8名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、13名が「非該当」と回答している。自由意見では、そのような場面がまだないという声が聞かれた。なお、2名の利用者は無回答であった。
13.個別の計画作成時に、子どもや家族の状況や要望を聞かれているか
はい 86人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 5人 
98名の利用者のうち、86名が「はい」としており、個別の計画を作成したり見直しをする場合は、子どもや家族の意見や要望を聞いてくれていると回答している。その他、6名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、4名が「非該当」と回答している。自由意見では、親身になり聞いてくれたという声や、困っているとことを目標に取り入れてくれると思うという声があがった。その他、要望を伝えても次回にと言われ変化がなく、方針なのか忘れたのかわからないため、計画等を毎回ほしいという意見も聞かれた。なお、1名の利用者は無回答であった。
14.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 80人  どちらともいえない 13人  いいえ 1人  無回答・非該当 4人 
98名の利用者のうち、80名が「はい」としており、個別のサービス計画に対する職員の説明はわかりやすいと回答している。その他、13名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、4名が「非該当」と回答している。自由意見では、事業所からの一方的な意見ではなく保護者から質問をしたりして、ちょうどよい活動や発達ができるようにしてくれるという声や、要望はきちんと聞いてもらっているという声が聞かれた。
15.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 65人  どちらともいえない 12人  いいえ 2人  無回答・非該当 19人 
不満や要望は伝えやすく、その後の対応も行われているかについて、98名の利用者のうち、65名が「はい」、12名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」、18名が「非該当」と回答している。自由意見では、伝えた点はほぼ対応してくれるという声や、用事等による日程変更はスムーズに対応してくれるという声が聞かれた。その他、要望等は聞いてくれるが、その後すぐ対応することもあれば、そうでなかったりわからないこともあるという意見もあがった。なお、1名の利用者は無回答であった。
16.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 51人  どちらともいえない 10人  いいえ 11人  無回答・非該当 26人 
困ったことなどを外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについて、98名の利用者のうち、51名が「はい」、10名が「どちらともいえない」、11名が「いいえ」、23名が「非該当」と回答している。自由意見では、利用したことはないが説明してくれたという声が聞かれた。その他、最初の契約時に聞いたかもしれないが、忘れてしまったという意見もあがった。なお、3名の利用者は無回答であった。

■放課後等デイ

調査概要
調査対象:全利用者を対象とした。

調査方法:アンケート方式  
アンケート用紙を事業所より配布してもらい、回答後、返信用封筒にて直接評価機関に返送する方法を取った。

利用者総数 41人
アンケートや聞き取りを行った人数 41人
有効回答者数 26人
回答者割合(%) 63.4%

総括
アンケート調査の結果から、多くの項目で肯定的な回答が得られている。安心・快適性では、職員の接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切であることに満足している様子がうかがえた。また、食事場所やトイレなど、事業所内は清潔で整理整頓がされていることについても満足している様子がうかがえる。利用者個人の尊重では、事業所では子どもの気持ちや考えを大切にしていると多くの利用者が回答している。さらに、個別の計画作成や見直しでは、子どもや家族の意見や要望を聞いてくれ、計画の説明もわかりやすいと回答した利用者が多い。なお、事業所では友達や仲間と一緒に楽しく過ごせているかについてや、困ったことなどを外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについては、他の項目と比べると「どちらともいえない」を選択した利用者が見受けられた。その他、子ども同士のトラブルへの職員の対応は信頼できるかや、プライバシーに配慮があるかの項目では、無回答の利用者もいる状況であった。総合的な感想では、事業所への満足度について、多くの利用者が「満足」としており、次いで「大変満足」となっている。

利用者調査結果

1.事業所での活動は楽しく、興味の持てるものとなっているか
はい 20人  どちらともいえない 5人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
事業所で行う活動や遊びは楽しく、興味が持てるものになっているかについて、26名の利用者のうち、20名が「はい」、5名が「どちらともいえない」と回答している。自由意見では、家ではできない、やらない体験ができるという声が聞かれた。その他、興味がなくてもやれてしまうことがあり、少し複雑なようだという意見もあがった。なお、1名の利用者は無回答であった。
2.事業所での仲間との関わりは楽しいか
はい 15人  どちらともいえない 8人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
事業所では友達や仲間と一緒に楽しく過ごせているかについて、26名の利用者のうち、15名が「はい」、8名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、友達の名前が自然と出てくるという声が聞かれた。その他、友達と活動することは苦手だという意見もあった。
3.職員は、話し相手や、相談相手になってくれるか
はい 20人  どちらともいえない 3人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
事業所の職員は子どもと話をしたり、困ったときには相談にのってくれたりするかについて、26名の利用者のうち、20名が「はい」、3名が「どちらともいえない」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、連絡帳で知らせてくれるという声が聞かれた。なお、2名の利用者は無回答であった。
4.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 23人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
26名の利用者のうち、23名が「はい」としており、食事場所やトイレなど、事業所内は清潔に保たれ整理がされていると回答している。その他、2名が「どちらともいえない」と回答している。自由意見では、事業所内を見る機会はほとんどないが、以前見たときはきれいだったという声が聞かれた。その他、靴下が汚れている日があり気になるという意見もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。
5.職員の接遇・態度は適切か
はい 24人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
26名の利用者のうち、24名が「はい」としており、職員の接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切なものであると回答している。その他、1名が「どちらともいえない」と回答している。なお、1名の利用者は無回答であった。
6.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 19人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 5人 
ケガをしたときや体調を崩した際の職員の対応は信頼できるかについて、26名の利用者のうち、19名が「はい」、2名が「どちらともいえない」、残りの2名が「非該当」と回答している。自由意見では、すぐ病院へ連れて行ってくれたという声が聞かれた。その他、ケガや体調不良の経験がないのでわからないという意見もあった。なお、3名の利用者は無回答であった。
7.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 14人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 5人 
子ども同士でトラブルなどがあった場合の職員の対応は信頼できるかについて、26名の利用者のうち、14名が「はい」、6名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、2名が「非該当」と回答している。自由意見では、職員が目にしたときは対応してもらっているという声が聞かれた。その他、説明が何もなく保護者が聞いてから答えるという感じだったため不安だという意見もあがった。なお、3名の利用者は無回答であった。
8.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 23人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
26名の利用者のうち、23名が「はい」としており、事業所では子どもの気持ちや考えを大切にした対応がされていると回答している。その他、1名が「どちらともいえない」、残りの1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、気持ちを代弁してくれるという声が聞かれた。なお、1名の利用者は無回答であった。
9.子どものプライバシーは守られているか
はい 19人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 5人 
子どものプライバシーに配慮した対応がされているかについて、26名の利用者のうち、19名が「はい」、2名が「どちらともいえない」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、療育中は子どもの様子がみられないため不明だという声があがった。なお、4名の利用者は無回答であった。
10.個別の計画作成時に、子どもや家族の状況や要望を聞かれているか
はい 22人  どちらともいえない 3人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
26名の利用者のうち、22名が「はい」としており、個別の計画を作成したり見直しをする場合は、子どもや家族の意見や要望を聞いてくれていると回答している。その他、3名が「どちらともいえない」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、保護者としては取り入れていると感じるという声や、施設長や担当者と1時間ほど面談をしたという声が聞かれた。
11.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 21人  どちらともいえない 3人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
26名の利用者のうち、21名が「はい」としており、個別のサービス計画に対する職員の説明はわかりやすいと回答している。その他、3名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、具体的なアドバイスがあまりないため、さまざまな場面の困りごとに対し、少しずつでもアプローチしてもらいたいという声が聞かれた。なお、1名の利用者は無回答であった。
12.子どもの不満や要望は対応されているか
はい 17人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 2人 
不満や要望は伝えやすく、その後の対応も行われているかについて、26名の利用者のうち、17名が「はい」、6名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、残りの1名が「非該当」と回答している。自由意見では、困ったことを相談したときのアドバイスが少なく頼りないという声が聞かれた。また、具体的に伝えられないとき、どう対応してくれるのかわからないという意見もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。
13.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 15人  どちらともいえない 8人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
困ったことなどを外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについて、26名の利用者のうち、15名が「はい」、8名が「どちらともいえない」、2名が「非該当」と回答している。自由意見では、保護者は知っているという声が聞かれた。なお、1名の利用者は無回答であった。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目3 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目4 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
法人理念と基本方針の浸透を図るために職員間で共有しすり合わせる機会を設けられたい

法人・事業所の基本理念・基本方針は、事務所への掲示の他、事業計画へ掲載して職員全員に配布して周知に努めている。また、保護者には、契約手続き・オリエンテーションの際に、事業所の考え方を説明するとともに、年度初めの保護者会で事業計画を配布・説明している。さらに、事業計画に9つの各事業の基本方針等を掲げているが、職員自己評価からは、リーダー・一般職員ともに浸透が図られていない状況がうかがえる。これは、職員全体で集まる機会が少ないこと等が要因と事業所は認識しているため、職員間で方針をすり合わせる機会を設けられたい。

事業所がチームとして連携を図るため、経営層のさらなるリーダーシップが望まれる

施設長は、法人内の成人期から高齢期の施設系サービス事業所で構成した施設運営会議へ出席している。また、午前・午後の2回開催する全体会議にて、年度の基本方針をはじめ、「児発」(児童発達支援事業)、「放デイ」(放課後デイサービス事業)等の各事業の方針を職員へ伝えている。これら事業ごとの情報は、担当者会議で検討され、それぞれのグループに伝えられている。今回の職員自己評価の結果からは、各部署の意識が強く事業所がチームとして連携が取れていないこと、情報共有が弱い等の状況がうかがえ、体制整備へのリーダーシップが望まれる。

各種会議、朝夕のミーティング、起案書等により提案・意思決定が行われている

法人における意思決定は、理事会、経営企画会議、局運営会議により行われ、法人全体会議、事業所の全体会議等を通して職員へ伝達される。職員からの提案については、全体会議、担当者会議、一時保護・きょうだい児会議や朝のミーティング、夕方の振り返りの中で行われ、また、起案書を活用し、施設長の決済を得て実行される。さらに、法人が発信する重要案件は、各事業ごとに設けられた保護者会で報告され、利用者・保護者との共有に努めるとともに、保護者会で提案された課題は、担当者会議で検討され事業の中にいかされている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している 実施状況
  標準項目1 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
  評価項目2 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている 実施状況
  標準項目1 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
  標準項目2 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
  サブカテゴリー2  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある 実施状況
  標準項目1 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
  標準項目2 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
  評価項目2 ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している 実施状況
  標準項目1 ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
  標準項目2 ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
  標準項目3 ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
  評価項目3 地域の関係機関との連携を図っている 実施状況
  標準項目1 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
  標準項目2 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
講評
権利擁護委員会により支援マニュアル、倫理綱領の策定・改訂が行われている

「支援マニュアル」については、できるだけ実際の支援の場に即したものとなるよう、権利擁護を念頭におきながら支援をすすめる中で、実践的なマニュアルを目指して、繰り返し改訂を行っている。また、「倫理綱領」については、法人の施設長会で原案を作成し、権利擁護委員会を通じて各施設で検討する計画となっているが、権利擁護のための基幹となるルールでもあり、早急に完成することが望まれる。さらに、「支援マニュアル」および「倫理綱領」完成後における職員の理解浸透策についても、併せて講じることで、実効性を高められたい。

地域住民向けの療育相談を行う等、事業所の専門性をいかした取り組みをすすめている

専門性をいかした多くの事業展開の中で、地域の子ども達の成長や発達、子育ての不安や心配について、専門スタッフが相談を行っている。地域8ヵ所の相談支援事業所と連携を図り、地域住民の子育てについてアドバイスを行い、「児発」等への橋渡し機能として活用されている。また、毎年地域住民を対象として、障害特性の理解をテーマに学習会を開催しており、専門性をアピールしている。さらに、心身の発達に配慮が必要な子どもの不安・混乱の際の落ち着ける場所、成人の気分転換のためにオープンスペースがあり、地域住民へ提供して交流を図っている。

有償ボランティアを募り、療育への積極的活用を図り子どもの対応への協力を得ている

子どもの療育については、臨床心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士等の専門性を持った職員がその役割を担っており、そのサポートや「放デイ」については、できるだけ多くの目を必要とする場面が多いことから、有償ボランティアも含めてボランティアの活用を図る計画が進められている。また、担当職員を配置して、「ボランティア活動のしおり」を作成し、オリエンテーションを行う等、受け入れのための体制を整えており、子どもの対応への協力を得ている。なお、個人情報の取り扱いは、誓約書を交わし、情報漏えいがないよう配慮している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  利用者意向や地域・事業環境の把握と活用
  サブカテゴリー1  利用者意向や地域・事業環境に関する情報を収集・活用している
  評価項目1 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む) 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
  評価項目2 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
  標準項目2 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
  標準項目3 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
  評価項目3 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
  標準項目2 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
  標準項目3 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
講評
小さな疑問や要望へも対応できる苦情解決システムの構築を目指している

事業ごとに相談・苦情の受付窓口をおき、面談や利用者アンケート等からの小さな疑問や要望へも対応できるよう体制を整えている。また、事業所内だけでなく各地区のすこやか福祉センターからの情報にも対応して、その活動を広げている。法人としても苦情解決第三者委員を設置する他、外部の専門家にオンブズマンを委嘱して、その体制を補強している。なお、事業所は、オンブズマンへ定期巡回を依頼し、外部の目を通じて、開かれたサービスの展開を目指しているが、まだ十分活用できているとはいえないため、今後の取り組みの進展に期待したい。

保護者会や個別面談により把握した意見・要望等へのフィードバックが望まれる

事業別の保護者会や個別支援計画作成時の個別面談等、意見・要望を傾聴できる機会は多く、食事介助が十分でない状況等の苦情的な申し入れや、手先使う課題を取り入れて欲しい等の療育への要望等、その内容は多岐にわたっている。また、意見・要望については、保護者会や保護者との情報共有の手段である連絡帳を通じて、回答あるいは解決するよう努めている。一方で、行事へのアンケートや次年度への利用希望アンケート等、意向調査を行っているが、それらへのフィードバックまでは行われていないことから、今後は実施することが望まれる。

全国及び地域の会議や連絡会等から情報を収集し、中・長期計画の策定に活用している

福祉全体の情報は、全国児童発達支援協議会等の全国大会等へ参加して、情報を入手している。また、法人の理事長等役員が国や都の各種委員会のメンバーとして活動していることもあり、法人の局運営会議を通してそれらの情報を共有化している。さらに、地域の福祉情報は、地域療育連絡会、障害児通所施設連絡会、要保護児童対策協議会等、定期的に開催される会議に参加して情報を得ている。施設長は、これら諸情報から各事業の展開を予測するとともに、全体会議で職員から意見を聞き取り、中・長期事業計画への影響を類推し、その方針を定めている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  計画の策定と着実な実行
  サブカテゴリー1  実践的な課題・計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している 実施状況
  標準項目1 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 年度単位の計画を策定している
  標準項目3 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
  評価項目2 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
  標準項目3 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
  標準項目4 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
  評価項目3 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
  標準項目3 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目4 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
  サブカテゴリー2  利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
  評価項目1 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
  標準項目2 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
  標準項目3 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている ×
  標準項目4 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
講評
中・長期事業計画を立案し、スタートした各事業の展開予測に努めている

今後の3ヵ年を対象とした中・長期事業計画が「長期的将来構想」として策定途上にある他、事業種別も9事業と多岐にわたり、事業開始後1年が経過した現在、各事業内容の充実が課題となっている。今年度の事業計画においても、基本方針の最重要課題は人材育成であり、職員の経験・知識の蓄積と専門職員間の情報共有化による療育力の向上を目標としている。また、各事業の計画については、法人全体会議や事業所全体会議において職員から意見を聞き取り検討した後、施設長が集約し、法人の中・長期事業計画や年度事業計画としてまとめらている。

事業展開は、利用者・保護者や行政等の要望を受けて柔軟に対応している

事業計画では、児童福祉法内事業を2事業、その他7事業を計画している。また、「児発」ではクラス療育と個別・小グループの専門療育を行い、家族支援として保護者や、地域支援として地域の関係機関との連携を図る等、総合的な支援を目指している。また、もう一つの事業の柱として「放デイ」を展開して、利用者の発達支援、サービス提供記録を通じて利用者家族と情報を共有し、地域の子どもの成長を支援している。加えて、療育相談事業を計画する等、地域ニーズに応えるべく、多種の事業展開を行い、柔軟な対応を行っている。

インシデント・アクシデントの集約・報告・検討によって実効性の高い対策が望まれる

多くの子どもが集まる事業では、軽微なインシデント、アクシデントが数多く発生しているため、1日の振り返りの際に、事象とその対応について検討する他、危険予知に関しての意識向上が課題と認識しており、多くの「気づき」を積極的に発信していくことに努めている。それらのデータはリスクマネジメント委員会が集約し、事業所で報告している。しかし、これらの集約されたデータの分析、その事象への対応は十分とは言えず、実効性の高い対策が望まれる。また、大規模災害への対策としてBCP(事業継続計画)の策定が途上であり完成が急がれる。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成に取り組んでいる
  評価項目1 事業所にとって必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
  標準項目2 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
  標準項目3 適材適所の人員配置に取り組んでいる
  評価項目2 職員の質の向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
  標準項目2 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している ×
  標準項目3 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している ×
  標準項目4 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている ×
  標準項目5 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
  サブカテゴリー2  職員一人ひとりと組織力の発揮に取り組んでいる
  評価項目1 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している ×
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
  標準項目3 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
  評価項目2 職員のやる気向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている ×
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
講評
意向調査を活用し職員の主体的な成長につながる個別育成計画の策定が期待される

基礎的な支援技術等が学べる「e-ラーニングシステム」や法人後援会による職員への研修補助制度等、自主的に学ぶことができる人材育成のしくみが用意されている。また、業務に関連する外部研修への受講も積極的に推奨し、その受講結果も研修報告書により事業所内で共有している。さらに、意向調査・個別面談を行うなかで個人別に研修への要望も話し合い、事業所としての対応を決定している。一方で、キャリアパスに応じた個別育成計画として体系化はされておらず、さらなる研修体系の整備が期待される。

職員一人ひとりの役割を明確にするとともに組織的な業務推進を図られたい

職員の構成において、専門性を持った非常勤職員が多く、組織的に協力して仕事を行うことに不慣れな様子がうかがえ、職員自己評価でもマニュアルの整備や職員の連携・情報の共有化が改善点としてあがっている。その中では、一人ひとりの仕事の範囲を定義する職務分掌や組織の中において必要な仕事を定義する職務基準書が重要となってくる。今後は、職員一人ひとりの組織性向上を図るため、現在、編集中の「職員マニュアル」に代表される、業務の進め方に関するマニュアルを完成・周知し、組織における自らの役割を明確にすることを期待したい。

評価・育成・処遇が連動した人事考課制度の再構築が期待される

法人の人事考課制度については、作業部会において制度の構築、考課表の運用等検討を行い、再構築を図っている。また、事業所は、職員の意識向上や育成を目的として「目標シート」を作成し、年度目標とその進捗状況を話し合い次の目標へとつなげ、育成の手がかりを模索している。さらに、面談の中で労働環境の整備について話し合い、有給休暇や休み時間の確実な取得等働きやすい環境づくりに取り組んでいる。一方、評価・育成・処遇が十分連動した人事考課制度については、引き続き法人で検討が行われており新しい制度の構築に期待したい。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  情報の保護・共有
  サブカテゴリー1  情報の保護・共有に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定している
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・保管している
  標準項目3 保管している情報の状況を把握し、使いやすいように更新している
  評価項目2 個人情報は、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえて保護・共有している 実施状況
  標準項目1 事業所で扱っている個人情報の利用目的を明示している
  標準項目2 個人情報の保護に関する規定を明示している
  標準項目3 開示請求に対する対応方法を明示している
  標準項目4 個人情報の保護について職員(実習生やボランティアを含む)が理解し行動できるための取り組みを行っている
講評
明確なアクセス権限を設定し、情報の共有化を行っている

法人は、事業所共通のデータベースを構築し、必要な情報はいつでも取り出せるようデータ管理を行っている。また、事業所も共有データはこのデータベースにおき、アクセス権限についてはホルダー別に施設長・管理職・一般職等に区分し、役割によって使えるデータの制限を設けている。さらに、USB記憶媒体の使用は禁止する等、データの持ち出しに関しては厳しく制限する他、メールのアドレス付与も制限して、データの漏えいに備えている。さらに、書面でのデータ搬送は、鍵付きの専用ケースで行い紛失によるリスクを防いでいる。

個人情報使用同意書を交わし、開示請求に備えている

相談事業等において、個人情報の開示請求は多く発生し、個人情報使用同意書は必須となる。同意書では、「他の療育機関や教育機関等を利用する場合」「緊急時における病院等への情報提供」について個人情報使用の了解を得ている。また、広報誌等への写真掲載を想定した、写真撮影および広報誌・卒園アルバムへの写真掲載については、写真撮影に関する同意書を交わし、保護者の了解を得ている。その他の映像使用については、その都度了解を得る等、個人情報については「個人情報保護法」の趣旨に沿った慎重な取り扱いを行っている。

改正個人情報保護法に基づきさらなる情報管理体制の強化に向けた取り組みが期待される

監督機関の設置、要配慮個人情報(身体・知的・精神障害等)を個人情報として定義する等を、改正点として、今年の5月30日に改正個人情報保護法が施行された。これに対応して、監督機関のガイドラインで事業所が講ずる必要がある措置として、組織体制の整備・人的安全措置・物理的安全措置など、手法が示されている。今後は、このガイドラインを参考に情報セキュリティ規程やマニュアルを整備し、職員に周知を図るとともに、定期的に検証する等、さらなる情報管理体制の強化に向けた取り組みが期待される。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー8  カテゴリー1~7に関する活動成果
  サブカテゴリー1  前年度と比べ、事業所の方向性の明確化や関係者への周知、地域・社会への責任の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー1:「リーダーシップと意思決定」
・カテゴリー2:「経営における社会的責任」
・カテゴリー4:「計画の策定と着実な実行」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われているが、成果としては現れていない
理念や基本方針への理解が深まる取り組みを行っているが、成果は現れていない
法人全体会議での理念・基本方針の講義、事務室への掲示、事業計画への掲載等により理解が深まるよう取り組んでいるはいるものの、職員自己評価結果では、評価が低い状況にある他、さらなる浸透の必要性への意見等も挙がっていることから、成果は現れていない。 
  サブカテゴリー2  前年度と比べ、職員と組織の能力の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー5:「職員と組織の能力向上」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われているが、成果としては現れていない
職員の知識・技能の向上に努めているが、成果にはつながっていない現状がある
外部研修へは機会があれば積極的参加を促し、研修後は事業所内での伝達研修により、他職員への知識や情報の共有化と、研修参加者の内容理解を深めるよう取り組んでいる。また、専門職間の子どもの発達に関する勉強会やスーパーバイザーによる指導により専門性の向上を図り、職員一人ひとりの職務能力の向上を目指しているが、成果にはつながっていない状況がうかがえる。 
  サブカテゴリー3  前年度と比べ、福祉サービス提供プロセスや情報保護・共有の面において向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー6:「サービス提供のプロセス」
・カテゴリー7:「情報の保護・共有」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
個別支援計画への意識を高め、個別支援計画に沿った記録作成のしくみを構築した
個別支援計画の内容共有化に向けて、日々の支援記録を個別支援計画と同じ項目で作成し、個別に各項目のキーワードを記入する形式に変更した。キーワードの周知を図り、記録を記述する時点で支援計画に沿った記録ができるよう工夫した結果、行動観察ではなく、支援計画に沿った記述ができるようになるとともに、計画の作成・実践・振り返りのサイクルを意識して取り組めるようになった。 
  サブカテゴリー4  事業所の財政等において向上している
  評価項目1 財政状態や収支バランスの改善へ向けた計画的かつ主体的な取り組みにより成果が上がっている
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
利用率の向上と経費削減により事業運営の効率化を図った
利用率向上に向けて、新規利用希望者を多数受け入れ、事業収入は昨年度に比較して大幅に増加した。また、経費削減への取り組みとして、行政主導の環境マネジメントシステムに参加し、環境悪化を招く、「ムリ・ムダ・ムラ」の削減に取り組んだ。 
  サブカテゴリー5  前年度と比べ、利用者満足や利用者意向の把握等の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、利用者満足や以下のカテゴリーで評価される部分において改善傾向を示している
・カテゴリー3:「利用者意向や地域・事業環境などの把握と活用」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われているが、成果としては現れていない
行事等のアンケート意向・要望が反映された実感を保護者が得にくい状況となっている
行事の事前・事後には保護者へアンケートを行い、その結果を行事内容へ盛り込むことによって、意向の反映に努めている。しかしながら、アンケート結果に関して個別には伝えているが、事業所としてフィードバックするしくみは構築していないため、保護者からは、意向・要望が反映された実感が得られにくい状況であることが、利用者調査結果からもうかがえ、成果には現れていない。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもや保護者が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
地域にある4ヵ所のすこやか福祉センターから保護者へ必要な情報提供を行っている

児童発達支援事業については、地域に4カ所あるすこやか福祉センターから各地域に向けて情報提供を行っている他、事業所の案内パンフレットには、心身の発達に配慮が必要な乳幼児・児童の「育ち」を支援する目的を明確に示している。また、事業所の支援としては、子どもの「困り感」に気づき、想いに寄り添い安心して過ごせる環境の提供をうたい、保護者が事業内容が理解できるよう説明している。さらに、ニーズのある保護者はすこやか福祉センターへ相談し、児童発達支援事業等のサービスを提供を受けられるしくみとなっている。

事業所のパンフレットは行政のホームページから入手可能とし、利用しやすくしている

行政のホームページには、事業所が展開する各事業の紹介がなされており、パンフレットはダウンロード可能とし、保護者が安心してサービス提供を受けるところまで踏み出せる環境が整っている。また、ホームページには「療育相談事前アンケート」が用意され、すこやか福祉センターを通して相談しやすいしくみとなっている。さらに、地域には外国籍の保護者も多く居住し、問い合わせもあるため、説明時には、注意する場所にマーカーを引くなど、オリエンテーション資料や契約書については特別な配慮に努めている。

事業所の見学は柔軟に対応し、療育活動を見た後で療育相談へとつなげている

新しい事業所であるため、利用希望者・保護者のみならず、行政関係者や地域の民生委員等、幅広い見学依頼を受け付けている。見学に際しては、プレゼンテーションソフトによる事業所解説や事業運営への参考のため見学後の意見交換を行う等、できるだけ丁寧な対応を心がけている。見学時には、個別・小グループの専門療育等、プライバシーの配慮が必要なクラスもあり、引率者の施設長・副施設長も療育ごとの特色を考慮しながら案内を行っている。なお、利用希望者は、療育クラスの選択をするにあたって、療育相談事業を利用する世帯が多くなっている。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  標準項目4 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
事前のアンケートを踏まえて療育相談を行い、家庭状況に応じたサービスを選択している

利用希望者は「すこやか福祉センター」へ相談した後、プロフィールや相談内容等を把握する事前のアンケートへ必要な情報を記入し、それを基に事業所での療育相談の面談を行い、その内容は「面接記録票」へと記している。また、希望するサービスを確認しており、その内容によっては受給者証の申請を促して契約につなげている。療育相談では、保護者の意向とともに子どもの様子や家庭状況等について丁寧な聞き取りを心がけ、契約書、オリエンテーションのしおりに則ってサービス内容の説明を行った後、契約書及び各同意書等への署名、捺印を得ている。

子どものペースに応じた利用頻度等の調整を図る等、不安軽減を心がけている

利用の際、「児発」(児童発達支援事業)と「放デイ」(放課後等デイサービス事業)それぞれ内容・様式の異なる「ケア・アセスメント票」の提出を依頼しており、生活面やコミュニケーション等に関する子どもの状況を詳細に把握することに努めている。また、「児発」には、年齢別のクラス療育と、個別の発達段階に応じた特別支援療育があり、いずれも子ども一人ひとりのペースに応じて、利用頻度等を保護者と相談しながら決定している。一方「放デイ」では曜日を固定して、子ども同士が顔なじみとなり、他者との関わり方を学べるよう調整を図っている。

就園・就学、転園等によるサービス終了時は書面や口頭等によって対応を図っている

サービスを終了する場合として、転居や就学・就園等の他、子どもの成長に伴う療育の必要性の減少等がある。就園・就学の場合には、個別支援計画を振り返るとともに、幼稚園・保育園・小学校への「引き継ぎシート」等の申し送り書類を整備しており、移行時にスムーズにすすめられるよう心がけている。また、発達が気になる子どもが在籍する保育園、幼稚園等には定期的に訪問して情報共有を図り、集団生活に適応できているか等、気になる点について把握したうえで、個々の自立生活を目指せる専門的な支援を行っている。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、子どもや保護者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画を子どもや保護者にわかりやすく説明し、同意を得ている
  標準項目3 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目4 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している ×
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
長期・中期・短期的な視点を持って個別支援計画を作成し、子どもの発達を支援している

個別支援計画は、保護者作成の「ケア・アセスメント票」の情報と個人面談での保護者の意向を踏まえるとともに、職員による行動観察等を基に、子ども個別の発達や他者との関わり、遊びや言葉等、現況を確認している。また長期・中期・短期的な視点でどのように発達を支援していくかを目標を掲げて作成し同意を得ている。特に「児発」の計画書は、心理士・言語聴覚士・作業療法士・理学療法士による発達評価アセスメントを反映している。また、計画の見直しは半期毎として9月と3月に実施しており、支援・取り組みの振り返りを行い次回にいかしている。

療育状況は、支援記録及び「サービス提供記録」へ記載して経過の把握に努めている

「児発」のクラス療育・特別支援療育、「放デイ」それぞれの目的に応じて、個別支援計画の様式を変えており、ねらいと必要な支援、到達目標と支援内容等が保護者にも伝わるよう工夫している。また、保護者とのやり取りは「サービス提供記録」へ記載して、家庭と情報を共有し継続性に留意している。さらに、日常の子どもの様子及び療育状況は、支援記録に記載して、子ども個別のファイルにまとめている他、クラス業務日誌にも記載して共有している。なお、開設1年目で、緊急に計画を変更するしくみは設けられていない状況があるため設定が望まれる。

支援記録等の書き方には差異があるためわかりやすい内容へと職員の学びを深められたい

朝のミーティングでは、事業所全体の予定の確認、療育内容・職員体制等の確認を行う他、療育終了後は、日々振り返りの時間を設けて情報共有を図り、関係者間での引き継ぎを行っている。また、事業所内ネットワークによりパソコン上での記録は閲覧、共有を可能とし、紙媒体も個別ファイルにて管理して、必要な時に確認できるようにしている。一方で、支援記録には目標を記載して、ポイントに沿って記録できる様式であるが、職員の書き方の差異を課題としており、療育場面での子どもの状況や推移が把握しやすい内容へと職員の学びの機会を設けられたい。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 個別の支援計画に基づいて子ども一人ひとりの発達の状態に応じた支援を行っている 実施状況
  標準項目1 個別の支援計画に基づいた支援を行っている
  標準項目2 子どもの特性に応じて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  標準項目3 関係機関(教育機関、福祉関係機関、医療機関等)と連携をとって、支援を行っている
講評
専門的な視点を取り入れながら子ども自身の発達を促す手立てを見い出している

事業所では、「子どもが自分らしく、周囲の環境に自ら関わっていこうとする気持ちを支えます」を基本方針の一つに掲げ、日々の振り返りの時間には、当日の療育の実施状況とそれによる子どもの心身の変化等を、専門職を交えた複数の職員によって検証している。また、「サービス提供記録」によるやり取りにおいて、保護者の子どもへの働きかけや、それによる行動面の変化等を把握することにより、効果等を確認するとともに、個々に応じた手立てを実践している。なお、個別支援計画は、半期で振り返りを行い、子どもの発達に応じた支援を実施している。

子どもが「分かって行動する」ことを大切にしコミュニケーション力の向上に努めている

子どもが「分かって行動する」ことを大切に考え、コミュニケーションは意思を伝る、受け止めるために重要な支援と認識している。職員は利用開始時、保護者から得た「ケア・アセスメント票」にて家庭でのコミュニケーションの方法や目的等を把握するとともに、子どもが写真カードや現物、身振りサイン、言葉等を使い、伝えたいことを伝える方法等、表出手段を獲得する支援を行っている。また、親子通園の場合は子どもが訴えていることを保護者が理解するとともに、その訴えを保護者がどのように受け止め、応えるか、子どもへの関わり方を提案している。

ソーシャルワークの視点を持ち関係機関と連携し子どもと保護者への支援にあたっている

利用にあたっては、区の子ども教育部子育て支援分野障害児支援担当が、「すこやか福祉センター・乳幼児機関・学校等との連携による切れ目のない支援」を行っていることをホームページ上で周知している。また、子どもの療育をすすめる上で、他の療育機関での利用経験がある場合や、医療機関で受診した際には、保護者からの情報提供を依頼している。さらに、子どもが通う幼稚園、保育園とは、保育園等巡回事業担当者から情報を得る等、ソーシャルワークの視点を持って、関係機関等と連携・協力を図り、子どもと保護者への支援に力を注いでいる。

  評価項目2 【食事の支援がある事業所のみ】子どもが食事を楽しめるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 食事時間が楽しいひとときとなるよう環境を整えている
  標準項目2 子どもの状態やペースに合った食事となるよう、必要な支援(見守り、声かけ、食の形態や用具の工夫等)を行っている
  標準項目3 子どもが安全に食事をとれるよう取り組みを行っている
  標準項目4 食物アレルギーや疾患等については、医師の指示に従い、対応している
  標準項目5 食についての関心を深めるための取り組みを行っている
  標準項目6 子どもの状況をふまえ家庭での食事について助言を行っている
講評
食事場面は子どもが安全に完食できることを目的に達成感を得られるよう働きかけている

「児発」では療育が午後までかかる場合は、子どもが食べられる食材を食べられる量だけ、その子に合う食事形態にした弁当の用意を家庭へ依頼している。食事場面では安全に完食できることを目的として子どもが達成感を得られるよう働きかけ、食事時間に子どもが嫌な思いを持たない関わりを心がけている。また、クラスの構成により、1つのテーブルを少人数で囲んで食事を摂ったり、特性に応じパーティション等で個別空間を作り、食事に集中できる環境を整えている。なお「おやつの時間」は、選択や要求の機会等、コミュニケーション支援の場としている。

STやOT等専門職からのアドバイスを得て幼児期の摂食支援に取り組んでいる

「児発」「放デイ」での、おやつの提供、調理活動にあたっては「医師の指示書」「アレルギー除去依頼書」の提出を依頼し、留意した対応を心がけている。また、「児発」ではST(言語聴覚士)の摂食、OT(作業療法士)の食具等の評価を行い、そのアドバイスに基づき、個々に合わせた食事形態の提供や、食具を使用することによって安全に食べられるよう支援しており、2歳児には、毎月1回弁当の日を設け、その際に評価・アドバイスを行っている。一方、摂食支援は知識・技術の職員間の標準化、底上げが課題と認識があり今後の取り組みが期待される。

調理活動の時間を設けて子どもが携わることで食への関心を深められるよう支援している

「児発」のクラス療育、「放デイ」ともに調理活動の時間を設けており、例えば、秋にはさつま芋を使ったスウィートポテトを作る等、季節を感じるとともに、子どもたちが調理工程に関われるメニューを考案している。また、「放デイ」では、カレーライスやお好み焼き等、子ども同士が楽しみながら自分で調理する体験を通して、食への関心を深められるよう支援している。さらに、こうした取り組みを保護者へ伝えて家庭でいかしてほしいことを伝えるとともに、「児発」では保護者向けの学習会を開催して、幼児期の食事の大切さを伝えている。

  評価項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて生活上で必要な支援を行っている 実施状況
  標準項目1 身の回りのことは自分で行えるよう、必要な支援を行っている
  標準項目2 基本的な生活習慣や社会生活上のルール等 (あいさつ、マナー、交通ルール等)を身につけられるよう支援を行っている
  標準項目3 集団活動を取り入れるなど、子どもの心身の発達や社会性が育つよう支援を行っている
  標準項目4 一人ひとりの有する能力を活かせるよう個別のプログラムを実施している
  標準項目5 送迎は、子どもと保護者等の状況に応じて送迎方法を検討し、行っている
講評
集団活動の場におけるSSTを実施し、さまざまな体験が子どもの育みを促している

子どもの状況に応じてグループ人数を調整して集団活動の場を設けており、活動の始まりと終わりには、身振りサインを併用して挨拶を交わす体験を重ねて音声言語を習得・表出できるようにしている。また、例えば1セットのクレヨンを他の子どもと一緒に使って「お絵かき」をする場面を設定し、必要な声かけ等適切な振る舞いを学ぶSST(ソーシャルスキルトレーニング)を実施している。各室内に簡単なスケジュール、ルール等をイラストや写真により視覚化して環境を整え、子どもが「分かって行動する」「主体的に行動する」ことを大切に支援している。

「必要とされる支援を必要な時に」提供することを目的に特別支援療育を実施している

「必要とされる支援を必要な時に」提供することを目的に、子ども個々の発達段階に応じた特別支援療育として、心理療育・言語聴覚療法・作業療法・理学療法を保護者同伴で実施している。各専門職の評価、行動観察を行い、その結果を保護者の要望等とともに検討し、プログラム内容・形態・頻度を決定している。また、「児発」「放デイ」ともにスーパーバイザーを導入して子どものアセスメントをはじめ療育の実践、環境の調整、教具の工夫等へのアドバイスを得て、子どもがわかること・できること等の「成功体験を積み重ねる」ことで、発達を促している。

保護者の希望を踏まえ子どもの安全面に留意した送迎サービスの提供を図っている

送迎サービスは業務委託しており、「児発」「放デイ」それぞれの「しおり」に利用にあたっての手続きやルールを載せ、希望する家庭に対しステーション方式で実施することを明記している。「放デイ」では、毎月利用希望調査を行い各学校の終了時間に合わせて送迎を調整するとともに、必要に応じて職員が添乗し学校と連携を図っている。また、予定していた保護者の送迎が難しい場合に、顔写真と身分証明書のコピーを提出して2名まで代理人申請を可能とする他、子ども単独での登園には事前連絡をルール化し、安全面に留意したしくみ・体制を整えている。

  評価項目4 子どもの健康を維持するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 子どもの健康状態について、保護者や医療機関等から必要な情報を収集している
  標準項目2 子どもの状態に応じた健康管理を行い、体調変化に速やかに対応できる体制を整えている
講評
嘱託医による健康診断及び健康相談の体制を整え、子どもの健康管理に努めている

「児発」では入園の際、嘱託医による健康診断の結果、保護者記入の「健康状況調査票」を、また通院時には「通院された結果」の提出を依頼している。定期的な服用の必要や頓服薬の預かりは、「服薬依頼書」の提出と併せて看護師が保護者へ聞き取りを行い、依頼書へ詳細を追記し服薬支援の体制を整えている。さらに、保護者の希望に応じて、小児科・整形外科・児童精神科・歯科の嘱託医による健康相談ができる場を設けている。定期健康診断に関しては3名の小児科医が対応しており、健康相談とともに、事前に通知して保護者から希望を募っている。

子どもの健康状態は看護師・職員ともに体調変化に留意して適切な対応を心がけている

子どもの健康状態は、家庭からの連絡事項及び検温・食事・排便・睡眠状況・体調等を記載した「サービス提供記録」から把握を行っている。また、日々看護師は基本2名体制として子どもの活動への意欲や様子等に配慮するとともに、必要に応じて体温を測定し、高熱の場合は保護者へ連絡を取り、迎えを依頼する他、「しおり」にある感染症の病名と出席停止期間等、登園基準に則り対応を図っている。さらに、嘱託医の協力を得て、子どもがかかりやすい疾患、感染症等、職員向け勉強会を開催することで、子どもへの健康に関する知識の向上につなげている。

「放デイ」の「しおり」にある体調不良時の対応について保護者の協力を働きかけている

「放デイ」では、利用中の体調不良時の対応として、目安の体温以上に発熱がある、明らかに普段と様子が異なる、疾病により著しく不調をきたしている、等の状態になった場合、サービスの利用を中止するとともに、保護者の迎えが必要である旨を「しおり」に示して、協力を働きかけている。また、同じ建物内の「児発」には、平時のみならず土曜日も看護師が常駐しているため、不調の子どもがいる場合は、看護師が状態を視認することが可能であり、熱が高い場合には、保護者が迎えに来るまで医務室で静養できる体制・設備が整っている。

  評価項目5 子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 日常生活の支援は子どもの主体性を尊重して行っている
  標準項目2 子どもが安心して活動できるよう、状況に応じて室内の環境を工夫している
  標準項目3 子どもの状況や希望に沿って、多様な体験ができるようにしている
  標準項目4 【放課後等デイサービス】 子どもの状況に応じて利用日や利用時間を設定している
講評
「主体的に行動する」ことを大切にするとの考えの下、環境調整やツールを工夫している

「主体的に行動する」ことを大切にするという考えの下、活動や「お集まり」の中で、子どもが発表する機会を設けている。また、自由時間では、遊びたい場所や物を選ぶ際、写真・イラストで表示した「要求ボード」を提供したり、遊びのエリアをマットやパーティション等で明確にしてわかりやすさに留意している他、生活習慣の習得では、個々の興味関心をいかしたツールを作成・実施している。一方で、事業所は設定活動を計画的に行っているが、活動そのものを子どもが選択するしくみは整えられていないと認識があるため、今後、検討をすすめられたい。

地域の社会資源の把握と活動のマッチングを図りさらなるプログラムの工夫が期待される

各活動室では、棚やパーティション、マット等でエリアを明確に分けるとともに、使用目的に応じて場面設定を行っている。また、設定活動は少人数にグループ分けして、できる限り刺激を軽減する等、子どもが安心して活動に取り組めるよう環境を整えている。さらに、「児発」「放デイ」合同で、夏休みに縁日等の季節行事の実施、プール等公共施設への外出等を通し、多様な体験の機会を提供している。一方で、特に「児発」では、地域の社会資源を活用した体験の提供が少ないことを課題と認識しているため、今後は情報収集とプログラムの工夫が期待される。

「放デイ」での子どもへの支援等、保護者への丁寧でわかりやすい説明・対応が望まれる

「放デイ」では、毎月、登録している曜日の下校時間の変更や、休み等を確認するため、利用希望調査を行っており、保護者の希望、家庭の状況、学校の体制等に合わせて、利用日・利用時間を設定している。また、個別支援計画に則り、コミュニケーション・集団生活・学習等における目標到達を設定して支援にあたっている。今回の利用者調査結果では、子どもが楽しいと感じていること、保護者が感謝している状況がうかがえる一方で、子どもや保護者への具体的なアドバイスが得にくい等の声もあるため、保護者への丁寧でわかりやすい説明・対応が望まれる。

  評価項目6 家族との交流・連携を図り支援を行っている 実施状況
  標準項目1 子どものサービス提供時の様子や家庭での普段の様子を家族と情報交換し、支援に活かしている
  標準項目2 家族の意見や要望を活かした支援を行っている
  標準項目3 家族の状況に配慮し、相談対応や支援を行っている
  標準項目4 子どもや家族に合った療育方法等について助言している
講評
面談時や来園した際に家庭の状況を把握するとともに子どもの療育への反映に努めている

「児発」「放デイ」それぞれで「サービス提供記録」を用意し、連絡帳として家庭と情報交換を行っている他、個別支援計画作成の年2回の面談時に意向・要望を聞き取っており、それ以外でも家族の希望により適宜面談の時間を設けて対応している。また、自主送迎時や親子参加週間、特別支援療育で来園した機会に、家族からの相談に応じたり、子どもの様子を伝えて、療育の意味・方針、子どもの成長を共有し、具体的な支援にいかしている。利用者調査では、職員の対応を評価・感謝する声がある一方で、差異があるとの声もあり、今後検証・改善が望まれる。

各家庭の価値観を大切にしながらも子どもの健全育成を第一に支援することに努めている

「児発」の2歳児対象の親子通園では、個別支援計画に家庭での配慮事項を記載しており、療育の実践内容を家庭でも取り入れ、継続性に留意して、子どもの生活技術の習得につながるよう働きかけている。また、各家庭により異なるそれぞれの価値観を大切にすることを心がけながらも、子どもの健全育成にとって有効か、を伝えるよう努めている。さらに、各クラスの懇談会では、自己紹介で顔見知りの関係となった家族の有志が中心となり、区民活動センターで茶話会を開く等、自主的な交流がすすめられているため、今後事業所として働きかけを検討している。

利用者調査結果を検証し、対策等を家族へ丁寧にフィードバックしていくことが望まれる

「児発」では保護者会の際に、「ことばとコミュニケーションを育む」「遊び~発達を促す視点から~(乳幼児期の心理的発達について)」等のテーマを設置して学習会を開催し、家族の子どもへの理解につなげている。一方で、就学・就園に向けた学習会や相談体制に関しては整備できていないと事業所は認識しているため、今後の取り組みが期待される。加えて、利用者調査結果から、専門職が関わる頻度、職員間の情報共有等へ改善を求める声も挙がっているため、これらの意見を検証し、その対策等を家族へ丁寧にフィードバックしていくことが望まれる。

  評価項目7 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域の情報を収集し、子どもの状況に応じて提供している
  標準項目2 必要に応じて、子どもが地域の資源を利用し、多様な体験や交流ができるよう支援を行っている
  標準項目3 【児童発達支援センター】 地域全体の在宅障害児や関係機関等を対象に、施設・設備や人材・プログラムを有効に活用した支援を実施している -
講評
保護者の相談に合った適切なサービスにつなげるため地域資源の情報把握に努められたい

保護者からの相談によって地域の相談窓口の区のすこやか福祉センターを紹介している他、家庭状況に応じては、事業所からすこやか福祉センターへ情報を提供する等、連携しながら支援している。また、母親の妊娠・出産期から主に子どもの中学校卒業までの期間の、区の子育て支援サービス等を掲載した、区の情報誌「おひるね」の必要ページをコピーして手渡し活用を促している。一方で、地域資源の情報を職員が把握しきれていないために、保護者の相談に合った適切なサービスにつながりにくい状況を事業所は課題としており、今後の取り組みが期待される。

公共機関等を活用して社会のマナーやルールを子どもが身につける取り組みが望まれる

「放デイ」では、日常的には近隣の公園を中心に出かけており、土曜日や学校の長期休暇期間には遠方の公園、都庁等の公共の場所に外出する等、さまざまな体験の機会を設けている。また、近隣のレストランでの外食活動や調理活動に伴うスーパーマーケットへの買い物等、地域の資源を活用した、さまざまな外出等、活動の幅を広げるための取り組みを行っている。しかし、「児発」では地域資源を活用した活動が少ないため、事業所は、公共機関等を活用して社会のマナーやルールを子どもが身につけられるようにしたいと考えており、実践が望まれる。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(子どもが「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 子どもの気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目3 虐待被害にあった子どもがいる場合には、関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  標準項目4 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
  標準項目5 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
講評
個人情報のやり取りについては、個人情報保護規程に準じて取り扱いを決めている

法人は、個人情報保護規程を定め、個人情報保護法の考え方を遵守しており、事業所は法人の定める個人情報保護規程に準じて、子どもや保護者の個人情報の取り扱いを行っている。情報の移動が起こる行政とのデータのやり取り等についてはあらかじめ情報提供同意書を保護者と取り交わしている。実際の取り扱いでは、メールによるデータの移動については必ずパスワード付きのものを用意する等漏えい防止に努めている。また、療育現場の職員間の会話に関しても、子どもの家庭状況は話題にしない等、プライバシーに配慮している。

自身の気持ちを表現する手段を取得できるよう支援し、子どもの意思を尊重している

事業所は、子どもの自己肯定感や自信を高めることをねらいにして療育を進めており、その中では、日常の生活において、否定語や??責語を使用しないよう職員を指導している。また、子どもには自身の気持ちを表現する手段として、「やる」「やらない」の音声言語、否定・肯定の身振りサインができるように支援し、子どもが自分の意思を表出できる環境を整えている。日々の療育においては、保護者が同席する場面がある他、実習生の受け入れ等、外部の目がチェック機能となって透明性が図られ、適切な療育へ実践が可能な環境整備に努めている。

自己チェックシートの実践により職員の適正な支援状況の把握に努めている

子どもへの権利擁護を尊重するため、それぞれの特性の理解やそれに応じた支援を行えるよう、いかに専門性を高めるかを念頭に職員育成に取り組んでいる。また、療育過程においては、今までの生活習慣に配慮して子どもや保護者の価値観を大切にすることを支援の基本としており、事業所は業務遂行にあたっての職員の行動について、自己チェックシートにより適正に実施できているか確認し、課題があれば施設長が指導、修正して業務をすすめている。なお、子ども間のトラブルは背景・要因を精査・分析して事前の回避を心がけ、双方の権利擁護へ努めている。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている ×
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている
  標準項目3 職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などをもとに、基本事項や手順等の改善に取り組んでいる
  評価項目3 さまざまな取り組みにより、業務の一定水準を確保している 実施状況
  標準項目1 打ち合わせや会議等の機会を通じて、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている
  標準項目2 職員が一定レベルの知識や技術を学べるような機会を提供している
  標準項目3 職員全員が、子どもの安全性に配慮した支援ができるようにしている
  標準項目4 職員一人ひとりのサービス提供の方法について、指導者が助言・指導している
  標準項目5 職員は、わからないことが起きた際に、指導者や先輩等に相談し、助言を受けている
講評
個別の各種マニュアルを統合し体系化することで業務標準化の体制整備を急がれたい

個々の業務に必要とされる、各事業の受付・予約関連マニュアル、欠席時対応加算算定マニュアル、特別支援療育の流れに関する専門職向けマニュアル、感染症対応マニュアル、早番・遅番の業務等のマニュアルや手準書については作成・整備され、業務での使用頻度も高くなっている。一方で、職員の業務全般を総括的に定義する「職員マニュアル」については作成途上にあり、早急な完成が望まれる。また、そのマニュアルの作成をはじめ、業務水準の標準化については、まだ十分整備されていないため、それぞれの業務の標準化と業務間の連携強化に期待したい。

専門性をいかした業務の標準化について、見直しの基準を明確にすることが望まれる

療育のなかでは、子どもの動作や知識の発達過程において、各種の専門性をいかした取り組みが必要とされており、そのため、臨床心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士等がそれぞれの専門性をいかした支援を行っている。また、各専門職の支援内容に関して、それぞれにスーパーバイザーからのアドバイスを得られる体制を整え、業務の標準化を図っている。一方、標準化されている業務について、誰がどのタイミングで見直しを行い、どのように全体へ周知していくか等の基準が明確になっていない状況となっているため、しくみの整備が望まれる。

入職時研修等を行い、サービスの基本事項を指導し業務の標準化に寄与している

法人は、新任職員への研修として、知的障害者の医学的理解等を学ぶ「医療研修」、ビジネスマナーの基礎知識を学ぶ「マナー研修」の他、数ヵ月後に「新任職員フォローアップ研修」「メンタルヘルス研修」を行い、業務遂行における標準化を図っている。また、基礎的な支援技術等が学べる「e-ラーニングシステム」を設置していつでも、どこでも学習できる環境も整えている。さらに、療育においては、専門性を必要とする場面も多く、施設長は気がついた時に声かけをして、情報共有しやすい雰囲気づくりに努め、専門職によるOJTの浸透を図っている。