東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 平成29年度
サービス名称 生活介護
法人名称 社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会
事業所名称 中野区障害者福祉会館
評価機関名称 特定非営利活動法人 NPO専門職ネット

コメント

利用者調査については、利用者の家族・保護者に対して、第三者評価の実施と利用者調査におけるアンケートへの協力をお願いした。また、担当評価者により、利用者の日中活動の様子をグループごとに場面観察を行なった。事業評価については、職員に対する説明の機会を設け、第三者評価の理解と記入法等を周知徹底した。事業所の特長や独自の取り組み、工夫点などを重視し、また、前回の評価を踏まえ、改善課題の取組状況等に着目し評価を実施した。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1) 法人理念を運営に活かすと共に、より利用者の立場に立った施設運営を行なう。 2) 関係機関や団体と連携を密に取り、生活全般に渡る支援のネットワークをつくる。 3) 共生社会の実現に向け、人権を考え意思を尊重した支援を行ない、社会参加と選択の機会を図る。 4) 三障害についての専門的な技術を習得し、地域住民、区内の障害者に信頼される施設を目指す。  5) 大規模災害の課題に対する取り組みを行なう。

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

・ 身体、知的のグループに関係なく、どの利用者にも支援ができる能力の育成。 ・ 基本である職員間の報連相(報告・連絡・相談)を徹底し、統一情報の共有ができるコミュニケーション能力。 ・ 他職員をフォローし合えるチーム力の向上。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・ 東京都知的障害者育成会の職員であり、中野区障害者福祉会館の職員であること、福祉のプロとしての意識と法人としての理念をしっかりと持ち、勤務をしてもらいたい。 ・ 人権擁護、意思決定支援、虐待防止について職員が理解し、障害者の尊厳を理解した支援力の育成。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 障害者福祉において地域の拠点となることを意識した事業運営に取り組んでいる

生活介護の事業所が入る会館には、他に自立訓練、地域活動支援センター、指定特定相談支援事業所、地域活動スペース等があり、法人による一体的運営がなされている。生活介護の利用者は、ボランティア活動や作品展、会館祭り、外出等を通じて、地域との交流を図ることができる。加えて、会館は地域における障害者の二次避難所にもなっており、災害時における拠点としての機能も合わせ持っている。
2 職員等が専門性の発揮、連携、協力で利用者の状態や要望に対応した支援を行なっている


事業所は支援員、看護師、理学・作業療法士、嘱託医、主治医など、利用者の支援に係わる人たちが専門性を発揮し、連携と協力で総合的な支援力を形成し、多様な障害特性、利用者ニーズに対応した支援を行っている。利用者の日常生活動作の的確な支援、事業所内外での諸活動の支援では、職員各自が支援力を発揮するとともに必要に応じて連携し、医療面では医師の的確な指示、助言を踏まえた、安全で安心できる支援を行なっている。職員等が連携、協力する質の高い支援は、利用者に生活の充実感、安心感、情緒面の安定をもたらし、家族の信頼を得ている。
3 日常的なテーマ別活動や非日常的な計画による活動において、様々な社会参加、体験ができる支援を実践している

利用者は日常的なテーマ別活動や非日常的な計画による活動で、様々な社会参加、体験をしている。散歩、ウォーキング、買い物、缶の回収などの日課の目的別グループ活動や地域の人たちと多くの接点、ふれ合いがある会館まつりなど、利用者が地域で生活していることを実感できる支援を実践している。さらに、希望を取り入れた個別外出、宿泊旅行、お楽しみデーなどの非日常的活動では、動物園、水族館、温泉、食事処や公共交通機関などの様々な社会資源を利用し、利用者が様々な場所で楽しく社会参加し、多様な体験ができる支援に取り組んでいる。

さらなる改善が望まれる点
1 職員における職務遂行能力の統一化を図る取り組みの進展が期待される

組織としての支援力の向上に向けて、職員研修への参加やマニュアルの整備、自己の成長を促す人事考課システムの運用等により、職員の職務遂行能力の統一化への取り組みが進められている。利用者支援内容の充実に向けたさらなる支援力アップのために、今後はそれをより一層推進し、さらなる統一化を図り、職員・組織の能力向上に向けた取り組みの推進が期待される。事業所も課題として認識しており、職務能力の把握につながる書式の導入等にも取り組まれている。今後の取り組みの推進と成果に期待したい。
2 利用者の高齢、重度化に伴う活動内容等の工夫とともに、個別の意向、意思確認手法のさらなる充実に向けた取り組みに期待したい

利用者の高齢化や医療的ケアを含む利用者の障害の重度化を背景として、利用者との確かな意思疎通による支援、日中活動、行事等での支援の高度化が求められている。事業所は研修、実学等による支援力の向上、支援員と専門職による連携で、安心・安全な充実した支援に努めているが、利用者に合った支援を継続するための対応策として、家族との共通理解を得ながらの活動内容等のさらなる工夫や見直し、さらに、職員間での共通認識のもとでの利用者意向の把握、意思確認手法のさらなる充実に向けた取り組みに期待したい。
3 マニュアルや記録等に関する情報共有や効率化に向けた取り組みの推進が期待される

職員全体の意見も反映した多角的な視点から、組織全体で個別支援計画を基本とした支援内容の充実に取り組んでいる。利用者の個別支援計画、個人記録のほかに、グループ活動記録、支援日誌、業務日誌、特記簿などの記録、さらに、グループ会議を始め各利用者の情報を共有するしくみを整備するなど、職員の業務も多様化とともに高度化している現状がみられる。業務改善や業務のスリム化が課題となっていることを踏まえ、事業所の状況に応じたITC化など、書式やマニュアルの整備、記録等に関する情報共有や効率化に向けた取り組みの推進が期待される。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 地域貢献を意識した事業運営に積極的に取り組んでいる

近隣の大学へのボランティア依頼ポスターの配布等、地域におけるボランティアの受け入れに積極的に取り組まれている。また、近隣の特別支援学校等より実習生(特別支援学校生による生活介護事業所活動体験)の受け入れも積極的に行なわれている。これらに加えて、法務省の矯正施設職員や保育士養成施設等からの体験実習も受け入れており、地域への貢献を意識した事業運営に積極的な取り組みがみられる。
関連評価項目(事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある)
2 ★ 利用者の摂食力等に応じた、おいしい食事を提供し、楽しい時間を過ごせる取り組み

事業所は生活介護事業でクッキーづくり等の活動を行なっていた3階の調理室を改修し、委託による食事の提供を始めた。食事は利用者の嗜好、アレルギー等にも対応し、利用者の意志が反映される選択食、行事食や季節感のある温かでおいしい食事を同一フロアから提供している。食形態も普通、軟菜、ソフト、ペースト食を基本に、利用者の摂食力に応じた形態で提供している。委託業者とは毎月の給食会議で反省、課題への対応、評価などを話し合い、また、新規利用者の場合は利用前の提供状況を確認するなど、利用者に合った食事の提供に取り組んでいる。
関連評価項目(利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:利用(登録)者全員を対象とした。ただし、聞き取りが可能な利用者がごく少数に限られてしまう状況を踏まえ、事業所との協議により、利用者本人の保護者・家族等の協力を得る形での対応となった。

調査方法:アンケート方式  
利用者の家族等の協力によるアンケート調査を実施した。

利用者総数 29人
アンケートや聞き取りを行った人数 29人
有効回答者数 17人
回答者割合(%) 58.6%

総括
回答者17名中11名は、家族が本人の気持ちを推察して回答している。「利用している「中野区障害者福祉会館」(生活介護)について総合的にみてどのように感じているか」との質問に対して、回答者の約18%が「大変満足」、約65%が「満足」、約6%が「どちらともいえない」と答えている。「大変不満」との回答(約6%)もみられるが、「本人には楽しく充実した内容のようである」との意見が寄せられている。一方で、職員数や専門職員の配置、施設面での要望や行事等についての率直な意見もみられている。個別の質問に関してみると、「困ったときの職員の支援」、「職員のマナー」、「利用者の気持ちを大切にした対応」、「計画作成時の意見聴取」、「計画等についての説明のわかりがやすさ」については、「はい」とする回答が80%以上となり、回答者から評価されてると考えられる結果となっている。

利用者調査結果
    4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。
1.利用者は困ったときに支援を受けているか
はい 15人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
回答者の約88%が、「はい」と回答している。回答者の大多数が、職員の支援を評価していると考えられる結果となっているが、利用者本人の特性からくる難しさを指摘する意見もみられている。
2.事業所の設備は安心して使えるか
はい 9人  どちらともいえない 7人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
回答者の約53%が、「はい」と回答している。回答者の過半数が、設備の安全性を評価していると考えられる結果となっているが、さらなる道具の用意や利用者本人からはわからない旨の意見もみられている。
3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか
はい 10人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
回答者の約59%が、「はい」と回答している。回答者の過半数が仲間との交流を評価していると考えられる結果となっているが、「わからない」とする意見が複数みられている。
4.【生活介護】
事業所での活動は楽しいか
はい 13人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の約77%が、「はい」と回答している。「いいえ」との回答はなく、回答者の多数が活動の楽しさを評価していると考えられる結果となっているが、連絡帳の記載等からはよくわからないとする意見もみられている。
18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 8人  どちらともいえない 7人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
回答者の約47%が、「はい」と回答している。回答者の半数近くが事業所の清掃や整理整頓を評価していると考えられる結果となっているが、建物の古さや狭さを指定する意見もみられている。
19.職員の接遇・態度は適切か
はい 15人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
回答者の約88%が、「はい」と回答している。回答者の大多数が、職員のマナーを評価していると考えられる結果となっているが、「普通」とする意見もみられている。
20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 14人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
回答者の約82%が、「はい」と回答している。「はい」とした回答者からは、「いつも体調に配慮してくれるので安心」との意見がみられている。回答者の大多数が職員の対応を評価していると考えられる結果となっているが、「気づかれないこともあるかもしれない」との意見もみられている。
21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 9人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 4人 
回答者の約53%が、「はい」と回答している。回答者の過半数が、職員の対応を評価していると考えられる結果となっているが、利用者の特性等からわからないとする意見もみられている。
22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
はい 15人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
回答者の約88%が、「はい」と回答している。「いいえ」との回答は無く、職員の利用者に対する気持ちを尊重した対応を評価している様子が感じられる。特に意見は寄せられていない。
23.利用者のプライバシーは守られているか
はい 11人  どちらともいえない 4人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
回答者の約65%が、「はい」と回答している。意見は特にみられていない。回答者の多数が、職員のプライバシーを守る取り組みを評価していると考えられる結果となっているが、「どちらともいえない」とする意見もみられ、やや判断しにくいといった状況も感じられる。
24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
はい 15人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
回答者の約88%が、「はい」と回答している。「はい」とした回答者からは、「親の要望になる」との意見もみられている。回答者の大多数が、職員のヒアリングを評価していると考えられる結果となっているが、「どちらともいえない」との回答からは、「まだ計画作成されていない」との意見もみられている。
25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 15人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の約88%が、「はい」と回答している。回答者の大多数が、職員のヒアリングを評価していると考えられる結果となっているが、「まだ計画作成されていない」との意見もみられている。
26.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 12人  どちらともいえない 3人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
回答者の約71が、「はい」と回答している。要望等に対する事業所の対応はきちんとされているとの認識とともに、少数であるが、「どちらともいえない」・「いいえ」・「非該当」との回答もみられている。意見は特にみられていない。
27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 6人  どちらともいえない 5人  いいえ 2人  無回答・非該当 4人 
回答者の約35%が、「はい」と回答している。「どちらともいえない」・「いいえ」・「非該当」に回答が分かれ、他の設問に比べ、「はい」とした回答割合が低いものとなっている。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目3 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目4 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
事業所が目指していることを明示して周知を図っている

事業所が目指していることは、法人の統一ミッションとともに会館のサブミッションとして毎年度作成される事業計画書に示され事業所内にも掲示されている。利用者や家族に対しては、毎月の家族会開催時に説明がなされている。職員に対しては、事業計画書が職員に配付されていることに加え、法人として作成されている人事考課用書類中に記載された重点目標について、職員会議で確認が図られている。

経営層は自分の役割が伝わるよう取り組んでいる

朝礼や職員会議の場において、施設長や主任が話をする機会を持ち、職員に運営の方針を伝えている。施設長は、法人の理念や法人の成り立ちやその後の変化、就業規則等を伝えるとともに、虐待等についても情報発信を行なっている。主任は、福祉に関係するトピックスについて伝えたり、労務管理についての方針や法人の主任会議で話された情報等も伝えるようにしている。

重要案件についての検討・決定プロセスが決められている

重要案件については、法人における施設長会議を受けて開催される運営会議において検討された後に、朝礼や全体会議でその内容が伝えられている。職員が参加する会議としては、月に3回開催され毎月1回の全体会や事業所内のグループごとの会議等があり、事業所内における重点事項が検討されている。利用者やその家族に対しては、家族会の開催や、文書配付、連絡帳への記載などにより伝達に取り組まれている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している 実施状況
  標準項目1 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
  評価項目2 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている 実施状況
  標準項目1 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
  標準項目2 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
  サブカテゴリー2  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある 実施状況
  標準項目1 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
  標準項目2 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
  評価項目2 ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している 実施状況
  標準項目1 ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
  標準項目2 ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
  標準項目3 ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
  評価項目3 地域の関係機関との連携を図っている 実施状況
  標準項目1 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
  標準項目2 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
講評
福祉事業に従事する者としてのルールが定められ周知徹底が図られている

法人としての統一ミッションに加えて就業規則、活動規範等が職員に配付されるとともに事業所内にも掲示され、周知が図られている。職員に対しては、入職時の研修や会議の際における書類の読み合わせ、法人が主催する階層別研修への参加、朝礼や職員会議の際における経営層による訓示等を通じて、意識づけが図られている。

様々な取り組みにより運営の透明化が図られている

指定管理の事業所として、定期的に中野区に対して業務についての報告がなされている。また、定期的に東京都福祉サービスの第三者評価を受審し、その結果が第三者評価を推進する団体のホームページに掲載されることにより運営状況が公開されている。加えて、自立訓練事業は法人が中野区より受託された福祉関連の会館における事業の1つとして位置づけられており、会館の展示スペース等を利用する区民等の目に触れる機会も多くなっている。

ボランティア受け入れについての仕組みを整えている

ボランティアについては、受け入れ担当者を配置し、受け入れ対応表を作成している。また、受け入れにあたってボランティアに提出してもらう個人情報保護を始めとする誓約書も用意されている。事業所では、会館祭りや外出、宿泊旅行、プール等でボランティアが活躍する例がみられている。今後はさらに活動について充実させていきたいとしている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  利用者意向や地域・事業環境の把握と活用
  サブカテゴリー1  利用者意向や地域・事業環境に関する情報を収集・活用している
  評価項目1 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む) 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
  評価項目2 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
  標準項目2 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
  標準項目3 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
  評価項目3 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
  標準項目2 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
  標準項目3 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
講評
利用者意向の把握について定期的に行なう仕組みが作られている

毎年1回、事業所による利用者満足度調査が実施されている。調査結果については集計がなされ、事業所内における検討がなされることに加えて、指定管理の事業所として中野区とその結果について共有し、それをもとに相談等を実施している。結果については、家族連絡会で報告がなされており、欠席者には書類を配付している。これらに加えて、東京都福祉サービス第三者評価受審時には、付随するアンケート調査を実施している。

様々なルートで地域の課題等を把握している

生活介護事業所が入っている会館を利用するサークル活動者や民生委員、当事者団体、社会福祉協議会に加えて、事業に関わる法人職員が参加する形で構成される運営協議会が年1回開催され、地域における福祉ニーズの収集・分析がなされている。また、地域における障害者関連の協議会への参加や法人における施設長会や主任会における話し合いにおいても、福祉に関するニーズや事業環境についての把握・検討がなされている。

苦情解決についての仕組みが作られている

苦情解決については苦情解決実施要綱が作成され、苦情解決担当者、責任者が設けられている。これらの仕組みについては、利用契約時に利用者等に説明がなされている。また、家族連絡会や個別支援計画面談の際にも利用者の家族とのやり取りを通して利用者の意見・要望・苦情等についてヒアリングしている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  計画の策定と着実な実行
  サブカテゴリー1  実践的な課題・計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している 実施状況
  標準項目1 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 年度単位の計画を策定している
  標準項目3 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
  評価項目2 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
  標準項目3 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
  標準項目4 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
  評価項目3 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
  標準項目3 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目4 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
  サブカテゴリー2  利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
  評価項目1 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
  標準項目2 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
  標準項目3 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
  標準項目4 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
講評
事業所の安全性については地域も意識した取り組みがなされている

生活介護事業所が入る会館は、中野区の障害者対象の二次避難所となっており、区の指示に従い、二次避難所運営マニュアルに沿って区と連携を取りながら運営がなされている。事業所内においては、医務についての定期的な会議が開催されるとともに、日々発生したインシデントやヒヤリハットの事例については記録がとられ、主任への報告から当日の会議における報告・検討する仕組みが構築されている。インシデント・ヒヤリハットの事例については、記録をより容易にする形で見直しがなされた。

事業計画について職員の意見も取り入れた作成がなされている

事業計画については、指定管理の事業所として、中野区の要望を取り入れて作成されている。事業所内においては、職員の会議等で確認してきたものを年度末にまとめ、来年度に向けての話し合いを行ない事業計画における重点目標が策定される流れが構築されている。さらに、話し合いに加えて職員のアンケートも取られており、そこであがった意見についても可能な限り取り込みが図られている。

指定管理事業所として計画的な事業運営に取り組まれている

指定管理の事業所として5か年の事業計画が作成され、それに基づいて計画的な運営がなされている。これに加えて毎年度の事業計画と事業報告が作成され、前年度の振り返りをもとに翌年度の事業がなされていく流れが構築されている。各年度の事業計画においても、指定管理の5か年計画との連動が意識され、中長期的な視点に基づく運営に取り組まれている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成に取り組んでいる
  評価項目1 事業所にとって必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
  標準項目2 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
  標準項目3 適材適所の人員配置に取り組んでいる
  評価項目2 職員の質の向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
  標準項目2 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している
  標準項目4 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている
  標準項目5 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
  サブカテゴリー2  職員一人ひとりと組織力の発揮に取り組んでいる
  評価項目1 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
  標準項目3 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
  評価項目2 職員のやる気向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
講評
法人として統一的な仕組みに則り人事考課が行なわれている

法人としての人事考課に用いる統一的な書式があり、それに基づいて人事考課が行なわれている。書式には、法人として目指すもの、事業所として目指すもの、これらを実現していくためのプロセス、職員個人の目標や成果、能力が記載され、組織における職員個人としての貢献が明確化されるものとなっている。事業所では、この書式を活用することにより職員個人の成長を促すべく取り組んでいる。

様々な研修への参加に取り組まれている

事業所では、職員個人毎に作成される個人研修計画表を作成し、計画的な研修参加を促している。研修には、法人が実施する大会や階層別研修、外部研修、事業所内研修等があり、多様なプログラムが実施されている。医療的なケアを実施している事業所であることから、てんかんや嚥下等についても、外部研修への参加や事業所内での職員の学び合い等が実施されている。研修参加後には、報告書が作成され、成果の共有が図られている。

職員の主体性を引き出すべく取り組まれている

事業所では、職員の主体性を引き出すべく、個々の職員に意見を聞いたり、アンケートに書いて提出してもらったりして希望を把握し、可能な限りやりたいことに取り組めるようにしている。会議における役割を交代制にして様々な役割を経験できるようにしたり、若い人にはほめることにより自信をつけさせたり、行事でも職員に任せる部分を作ったりして、職員が積極的に職務にあたれるよう、取り組まれている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  情報の保護・共有
  サブカテゴリー1  情報の保護・共有に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定している
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・保管している
  標準項目3 保管している情報の状況を把握し、使いやすいように更新している
  評価項目2 個人情報は、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえて保護・共有している 実施状況
  標準項目1 事業所で扱っている個人情報の利用目的を明示している
  標準項目2 個人情報の保護に関する規定を明示している
  標準項目3 開示請求に対する対応方法を明示している
  標準項目4 個人情報の保護について職員(実習生やボランティアを含む)が理解し行動できるための取り組みを行っている
講評
情報については媒体に見合った管理方法がとられている

電子データによる情報については、事業所内におけるサーバーで管理され、パスワードによるアクセス制限がなされている。外部に持ち出し可能な情報媒体は使用自体が禁止され、漏洩防止に努められている。利用者に関する情報は、中野区の方針もあって紙媒体で管理されており、キャビネットに整理・保管されている。情報については担当者により随時更新が図られている。

法律や条例にも配慮しながら個人情報保護の仕組みを構築している

個人情報については、個人情報保護法、中野区個人情報保護条例に配慮した形で法人としての方針も踏まえて個人情報保護規定が作成されている。利用者に関する個人情報の取り扱いについては、個人情報の提供・公開に関する同意書に明記し、同意を得ている。職員については、管理者からの指導や誓約書を取る段階での説明等で、実習生やボランティアについては受け入れ時の書面による説明で徹底が図られている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー8  カテゴリー1~7に関する活動成果
  サブカテゴリー1  前年度と比べ、事業所の方向性の明確化や関係者への周知、地域・社会への責任の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー1:「リーダーシップと意思決定」
・カテゴリー2:「経営における社会的責任」
・カテゴリー4:「計画の策定と着実な実行」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
事業所間の連携、職員の視野拡大、共通認識を深める取り組みを行なっている。
生活介護事業所が入っている会館の中に併設されている自立訓練事業所と合同で月に一回職員会議を開催する取り組みが始まっている。事業所の壁を取り払って話し合いを行なうことにより、職員の視野が広がることによる支援の質の向上が期待できるとともに、障害者福祉についての動き等社会情勢についての意識も高まることが期待される。 
  サブカテゴリー2  前年度と比べ、職員と組織の能力の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー5:「職員と組織の能力向上」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
職員の評価に関する新しい仕組みが取り入れられている
今年度から、特に中途採用者を意識した取り組みとして、職員習得度評価の仕組みが取り入れられている。障害者福祉の世界においてスタートラインに立つ人を対象として、介助や安全、健康や業務、書類といった様々な項目について、どのレベルにあるのかを明確化するための内容となっている。習得の進み方は人により様々であるが、よりきめ細かく職員の成長を促し、組織全体の支援力の向上につながっていくことが期待されるものとなっている。 
  サブカテゴリー3  前年度と比べ、福祉サービス提供プロセスや情報保護・共有の面において向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー6:「サービス提供のプロセス」
・カテゴリー7:「情報の保護・共有」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
創作活動に積極的に取り組み利用者の充実感や達成感につながる支援に取り組んでいる
厨房設備等を施設改修含め、給食の提供に向けた取り組みが行なわれた。利用者の障害の状態に応じた食形態での提供や選択食、特別メニュー、行事食、季節感のある食材での献立て、委託業者との毎月の給食会議を開催するなど、食事に関するサービス提供の充実につながっている。また、利用者の高齢化や心身状況の変化、複雑化を背景に、日中活動や行事の見直しに取り組んでいる。昨年度7月以降、創作活動の時間を毎月設け作品作りに積極的に取り組むなど、利用者一人ひとりが充実感を感じられるような支援の充実につながっている。 
  サブカテゴリー4  事業所の財政等において向上している
  評価項目1 財政状態や収支バランスの改善へ向けた計画的かつ主体的な取り組みにより成果が上がっている
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
利用希望者を確保して安定した運営ができるように取り組まれている
特別支援学校等からの実習(特別支援学校生の生活介護施設体験としての実習)を積極的に受け入れ、支援の実態を見せることで、実習生がそのまま利用希望者となる例も複数みられており、安定した運営に繋がっている。また、法務省からの研修や保育士養成機関からの実習も受け入れることにより、収入の増加に取り組まれている。 
  サブカテゴリー5  前年度と比べ、利用者満足や利用者意向の把握等の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、利用者満足や以下のカテゴリーで評価される部分において改善傾向を示している
・カテゴリー3:「利用者意向や地域・事業環境などの把握と活用」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
給食について利用者や家族の要望を取り入れ改善に取り組まれた
給食事業が始まり、行事食やセレクト給食等も取り入れられることになり、利用者の食の楽しみの幅を広げる結果となった。給食事業は業者に委託しているが、業者と密に連絡を取りながら要望等を伝え、業者自身による研究の成果と相まって、利用者ごとの特性に応じた食事提供を可能としている。新しい事業であるが、短期間で満足度の向上を果たしている。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページや「障害者福祉のしおり」、事業所のパンフレット等で情報を発信している

区のホームページや「障害者福祉のしおり」等で、基本的な情報提供を行なっている。また、事業所のパンフレットは、A4、2つ折りのカラーで、コンパクトに運営方針、施設概要、一日の流れ、活動の紹介などが簡潔に紹介されている。さらに、問い合わせや電話相談、見学等を通じて具体的な状況に応じた情報提供がなされている。事業所としては、ホームページ等を活用した幅広く潜在的な利用者希望者への情報提供の充実に向けた取り組みを課題として捉えている。

障害の特性に応じて利用者にわかりやすい情報伝達の工夫をしている

利用者向けの情報提供は、事業所内の廊下などを利用して、各事業の説明や活動内容、実施状況を掲示するなど、文字を大きく、少なくして、写真や絵を取り入れ視覚に訴える工夫をしている。その他、障害の特性に応じて利用者にわかりやすい情報伝達の工夫をしている。行政への情報提供のみならず、区内の関係機関との情報連絡会などに参加し、関係機関を通じた情報提供に取り組んでいる。さらに、特別支援学校とは、実習の受け入れなど、情報の交換を積極的に行っている。

問い合わせや見学の希望には、要望や状態に応じた対応をしている

問い合わせや見学の希望には、電話を中心に随時受け付けを行なっている。基本的な対応は主任職が応じている。見学希望には、利用者の要望、状態に応じて対応し、利用者の活動時間内に見学できるように調整を行なっている。体験や実習の受け入れについては、基本的には行事の前後は避けて、事前に調整して個別の状況に応じている。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  標準項目4 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
内容をかみくだいた説明の書面を活用して説明を行ない同意を得ている

利用に向けて、事前に実習を実施したうえで利用希望の意思確認を行なっている。実習のオリエンテーションにおいては、資料として写真等を提示し利用者の理解を促している。利用開始開始時には、契約書・重要事項説明書とともに、それらの内容をかみくだいた書面等を活用して説明を行ない同意を得ているが、内容によっては、改めて確認することもあるという。また、面談を通じて支援に対する意向や要望を確認し、必要に応じて担当する職員や看護師等も同席し、ADL(日常生活動作)、健康状態、支援に必要な特別事情や要望の確認を行なっている。

段階を経て環境の変化による不安や利用者の負担の軽減に取り組んでいる

サービスの利用に向けて、事前に実習や面談など段階を経て環境の変化による不安や利用者の負担を軽減する取り組みが行なわれている。また、実習の記録、面談やアセスメント、必要に応じて利用者本人の様子を利用前の学校や家庭へ訪問して把握するなど、利用前の本人生活状況を把握することにより、入所前の情報を踏まえた受け入れ体制を整え、環境に溶け込みやすい支援につなげている。事前に利用者のフェイスシートを職員に配付し、情報の周知を図り、医療的ケアなどの医務との連携を重視している。

利用前の生活を踏まえた対応や終了後の連携など支援の継続性に配慮している

特別支援学校卒業後に事業所のサービスを利用する新規の利用者や他の事業所から移行する利用者には、サービスの利用前に本人の活動の様子を事前に訪問して確認するなど、利用前の生活を踏まえた対応を行ない、支援の継続性に配慮している。また、利用前の連携のみならず、サービス終了時における退所後の関係機関との連絡や連携を図るなど、利用者の不安を軽減すると同時に、その後の支援につなげている。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
中間期と年度末から年度初めの時期に計画のモニタリング、評価を実施している

利用者の心身状況や生活状況は、フェースシートやアセスメントシート、日々のケース記録を活用して記録、把握している。利用者の状況把握とともに利用者との面談を行ない、利用者の希望や思いを尊重して、利用者の個別性に配慮した個別支援計画の策定、見直しが行なわれている。年度の中間期と年度末から年度初めの時期に計画のモニタリング・評価を実施し、家族参加の面談を通じて、計画支援内容の報告・振り返りを行ない、次年度の個別支援計画を作成するサイクルを確立している。

組織全体で個別支援計画を基本とした支援内容の充実に取り組んでいる

中間期や年度末の計画書の作成・見直しの際には、事前にグループ会議や全体会議などにおいて各利用者の支援状況、計画内容に関する個別支援計画会議(ケース検討)が行なわれ、職員全体の意見も反映した多角的な視点から、組織全体で個別支援計画を基本とした支援内容の充実に取り組んでいる。また、日々の支援を通じて利用者の状態変化などの場合に、必要に応じて会議を開催し、緊急な計画の見直しを行なっている。本人の意思や思いをいかに計画に反映するか、計画内容の充実に向けた継続した取り組みの進展に期待したい。

職員間の連携・協力体制のもと、利用者に対する個別支援に取り組んでいる

利用者の個別支援計画、個人記録のほかに、グループ活動記録、支援日誌、業務日誌、特記簿などの記録、さらに、グループ会議、全体会議、朝夕のミーティングなど、各利用者の情報を共有する仕組みを整備している。特に、グループ単位で、日々の細かな利用者の様子や状況を把握することにより、職員間の連携・協力体制のもとに、一人ひとりの利用者に対する個別支援の充実に取り組んでいる。今後も、記録に関する情報共有や効率化など、事業所の状況に応じたITC化に向けた取り組みの推進等も課題となっている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  標準項目2 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  標準項目3 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  標準項目4 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
講評
個別支援計画の実践の状況を確認できる個人記録表などの仕組みを構築している

個別支援計画の支援目標、支援内容、具体的な支援方法を踏まえて実践した支援の結果は、看護記録の添付を含む個人記録表、グループ活動記録などで確認できる。個人記録表では支援計画の目標を標記し、目的に沿った支援を日々実践できたかを○印等で表示し、計画との整合性を確認している。グループ活動記録では利用者別に活動内容、連絡帳の情報、給食、排泄、服薬などの支援結果を記録している。事業所は支援結果の中間・年度末報告を利用者、家族と面談して説明し、同意を得るとともに意見、要望を次の計画づくりに反映させている。

利用者の障害特性、コミュニケーション力に応じた工夫をし、意思疎通に努めている

利用者とのコミュニケーションでは言語、非言語に係わらず、お互いを知る、信頼関係を形成することを基本に、障害特性、コミュニケーション力に応じた工夫をし、意思疎通に努めている。職員は利用者が発信する情報の受け手としては、言動、表情、サインなどの読み取りに努め、伝え手としては、わかりやすい言葉、文字、絵カード、ジェスチャーなどで伝える工夫をしている。さらに、一つひとつの声かけ、目、口などの動き、発語などの読み取りに努めている。今後も、意思疎通のための利用者別に情報を集約した資料の活用に期待したい。

自立した生活に役立つ情報の提供、他者との安定した関係づくりの支援に努めている

事業所はグループホームの建設計画、説明会の開催など、自立した生活に役立つ情報を関係機関などから収集し提供している。また、家族等からの問い合せには事業所のネットワークを活用して詳細に調べて提供している。利用者の他者との係わり方、良好な関係づくりについては、利用者の自治会活動の支援や日常の諸活動を支援する中で助言などを行なっている。また、利用者の障害特性、相性などに配慮した活動時のグループ分け、仕切りでの居場所づくりなど不安定要因の軽減に努め、利用者が他者を害する人にならない気配り、配慮の支援に努めている。

  評価項目2 利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
  標準項目2 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  標準項目3 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  標準項目4 【食事の提供を行っている事業所のみ】 利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
講評
利用者が主体性を持ち、楽しく過ごせる多様な活動の支援を個別、集団で行なっている

事業所は日中活動等多様な支援を障害特性に合わせて個別、集団で行なっている。午前はウォーキング等で健康や体力の維持増進等を図るグループと理学療法士等による身体機能の維持、発達を目的としたストレッチ、感覚活動等のグループに分けて支援を行なっている。午後は利用者の特性・得意性など個性を発揮できる暦・ビーズ作り、足浴、回収した缶作業、ゲームなどのレク活動等を週間プログラムで行なっている。またプール活動、個別外出、宿泊旅行などの非日常的な活動の支援も行ない、全活動を通じて利用者が充実した時間を過ごせるよう努めている。

当事者意識を育てる自治会活動の支援、諸活動時に自己選択できる支援に努めている

事業所は利用者の当事者意識を育てる支援を自治会活動等を通じて行なっている。支援では利用者が主体となって行なう8月のサマーパーティーと年度末の納会等での企画、進行などで助言を行なっている。入所式、成人式では利用者が開・閉会の挨拶を行ない、行事運営の一端を担っている。自己選択の支援では日常の多様な目的別・テーマ別活動での参加種目、希望を取り入れた個別外出、宿泊旅行などの非日常的活動での内容や場所等を選択できる機会を設けている。事業所は利用者が自己の意思を形成でき、自己決定へとつながる支援に努めている。

安心・安全に活動できる室内の環境作り、安全でおいしい食事の提供に努めている

生活介護の支援を行なっている場所は複合施設の3階にあり、一基のエレベーターによる移動手段と水回りの事項を除けば、活動室、医務室、トイレ、廊下等も広く、採光も良く、室内環境は良好で、温度計、湿度計も設置し、快適な環境の維持に努めている。衛生面では職員による消毒活動等を毎週行い、衛生管理を徹底させている。食事は利用者の障害の状態に応じた提供や選択食、特別メニュー、行事食、季節感のある食材での献立てなど、利用者が食事を楽しめる工夫をしている。委託業者とは毎月給食会議を開催し、よりよい食事の提供に努めている。

  評価項目3 利用者が健康を維持できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  標準項目2 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  標準項目3 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  標準項目4 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  標準項目5 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】 服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
講評
嘱託医等の連携のもと看護師を中心として利用者の健康管理、健康維持に取り組んでいる

利用者の健康管理、健康維持の支援については、支援員と専門職の看護師、療法士が勤務形態も踏まえて連携し、利用者の状況、状態に応じて行なっている。また、内科、整形外科、精神科、歯科の嘱託医による定期的な検診、家族を含めた健康相談も行ない、指導、助言を受け、利用者の健康の維持増進に努めている。日常的には利用者の観察、家族からの情報を踏まえた健康支援、定期的なバイタルチェック、定期健康診断を行い、結果を家族にも伝えている。医療的ケア、健康面の支援状況等は医務日誌、看護記録等で支援事実の確認ができるようになっている

支援員と看護師等の専門職が連携し、利用者の健康の維持増進に努めている

事業所は利用者の障害特性、障害の状態等を踏まえ、事業所内外での活動時等の利用者観察、気配りを徹底し、状況把握に努め、支援員と看護師等が連携し、利用者に対応した健康支援に取り組んでいる。医療的支援を必要とする利用者への対応や主治医、精神科医に指導、助言に基づく支援については、支援員との情報共有のもとで看護師が対応し、連携して支援を行なっている。また、利用者の能力維持、拘縮予防、運動機能の維持改善、体位変換などの専門的な支援は療法士の分野だが、支援員も療法士の指導を受けて支援力の向上に努めている。

必要に応じた通院同行、緊急時対応、服薬管理などの支援に努めている

事業所は健康支援における主治医、嘱託医への問い合わせや通院同行を看護師が専門的視点から家族の了解を得て行ない、主治医等の指示、助言を踏まえて、安定した健康支援を行なっている。食形態の変更なども主治医の指示、助言を得て行なっている。利用者の体調急変など、緊急時の対応は、利用者個別の緊急時対応マニュアルを整備している。服薬管理は利用者の管理力に応じて看護師が管理し、服用の確認は看護師と支援員による重複チェックを行ない、支援結果を個人記録表、グループ活動記録に記録する仕組みを構築している。

  評価項目4 利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている 実施状況
  標準項目1 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  標準項目2 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  標準項目3 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
講評
連絡帳、電話等で利用者の状態、状況等を把握し、より良い支援につなげている

事業所は利用者支援に必要な日々の情報を家族との連絡帳を基本に得ている。記載内容でさらに詳しく情報を得たい場合や利用者の体調面、情緒面で不安定さを感じる場合は看護師と支援員が連携し、利用者の意思疎通力に応じて、本人に直接聞いたり、同意を得て電話確認を行ない、利用者に合った支援につなげている。電話確認の事実、確認事項は個人記録表、グループ活動記録、医務日誌等に記載し、家族と確認のズレが生じない対応を行なっている。家族と事業所間の関係は概ね良好で信頼、協力関係が形成されている。

利用者の活動状況、生活の様子、事業所の課題等は連絡帳、家族連絡会等で伝えている

利用者の活動、生活等の様子は家族に連絡帳で伝え、医療的支援の場合は、支援の状況、バイタルチェックの数値など、帰宅後にも有用な情報をサブノートで伝えている。家族連絡会では事業所の現況、課題、行事予定・結果などを伝え、意見交換を行ない、要望等を事業運営に反映させている。会の終了後には支援員など職員との情報交換を行ない、利用者の状況等を相互で確認し合っている。欠席の場合は議事録など資料を配付し、家族間で情報差が生じない対応を行なっている。その他、月予定表、介護広報紙などでも活動予定、行事報告を行なっている。

家族等との面談、訪問などで支援に役立つ情報を把握、蓄積し、支援に活かしている

事業所は連絡帳、電話、面談、訪問などで利用者支援に役立つ情報を把握、蓄積し、利用者の状況、状態に合った支援に活用している。家族の希望、同意がある場合は家族訪問し、利用者の家庭での行動、家族の対応などの把握に努め、生活環境の改善などの支援を行なうなど、事業所での支援の向上につなげている。また、家族を対象に活動参観日を設け、活動や支援の状況を見てもらい、理解と協力度を高めたいと考えている。さらに、18時までの延長サービスを週2日と緊急時の設定日外でも行ない、家族が地域で安定した生活の一助になる支援に努めている。

  評価項目5 利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  標準項目2 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
講評
利用者が地域住民、教育・福祉施設等と係わる中で、交流、相互理解が深まっている

事業を行なっている建物は行政の地域センター、住民の交流施設等を含む複合施設で、38年の長期にわたって地域に密着した存在になっており、事業所の役割、活動内容は地域の人たちに理解されている。事業所は地域の町会、商店街など地域の協力を得たり、近隣の学校・保育園などと交流するなど、地域の資源を活用して福祉分野の事業活動に取り組んでいる。利用者は地域の協力、理解の中で、地域に密着した日常の散歩、買い物などの外出、缶などの資源回収活動等を通して、地域の一員として生活しているという意識を育んでいると思われる。

利用者が地域で生活する、生活の幅を広げるために有用な情報を収集し、提供している

事業所は利用者が地域の一員として生活の幅が広がり、社会参加し、社会と共生していくために有用と思われる情報の収集、提供に努めている。事業所は事業運営法人の各会議、部会活動、区内福祉関係団体の諸会議、社会福祉協議会、行政のワーカーや相談支援事業所の相談員、他の福祉施設などから提供される情報や事業所が能動的に収集した情報を提供している。収集した情報は日課のグループミーティングの場、家族連絡会、お知らせ配付物などで提供している。

利用者は日課の活動、会館まつり、非日常の個別外出等の活動で社会参加をしている

利用者は地域での散歩、ウォーキング、買い物、缶の回収などの日課の目的別グループ活動や地域の人たちと多くの接点、ふれ合いがある会館まつりを通じて社会参加を実感している。利用者、家族の希望を取り入れた個別外出、宿泊旅行、お楽しみデーなどの非日常的活動では、動物園、水族館、温泉、食事処や公共交通機関などの様々な社会資源を利用し、利用者が様々な場所で楽しく社会参加し、多様な体験ができる支援を行なっている。また地域の体育館を利用したプール活動など、地域の資源を利用した社会参加を支援している。

  評価項目6 【生活介護】日常生活上の支援や生活する力の維持・向上のための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 一人ひとりの目的に応じた創作的活動、生産活動やその他の活動の支援を行っている
  標準項目2 自分でできることは自分で行えるよう働きかけている
  標準項目3 食事、入浴、排泄等の支援は、利用者の状況やペースに合わせて行っている
  標準項目4 【工賃を支払っている事業所のみ】 工賃等のしくみについて、利用者に公表し、わかりやすく説明している -
講評
利用者の障害特性、状態、希望などを踏まえ、創作、運動などの活動を支援している

事業所は利用者一人ひとりの障害特性、心身状態、希望などを踏まえ、利用者が楽しく、充実した時間、生活を実感できる活動の支援を行なっている。創作的活動ではビーズによる様々な作品作りや和紙による暦作りなど、運動ではストレッチ・軽運動・散歩など、生産的活動では地域に密着した缶回収と作業、クッキーづくりなどを行なっている。その他プール活動、利用者の希望に沿った小グループによる個別外出、お楽しみデーの活動、写真クラブなどの趣味的活動、音大生の協力を得て行う音楽活動など、様々な活動を計画して支援を行なっている。

利用者が持っている力を引き出し、自分でできることが増える支援に努めている

事業所は利用者が潜在的に持っている力を引き出し、自分でできることが増える、自助力を高める、残存能力を維持、向上させる支援を日常生活動作時、個別・集団での諸活動時に行なっている。支援に当っては目標の明確化、職員の統一的対応の確認とほめる、急がせない、過度な負担にならない係わり方を意識し、見守り、声かけ、促しなどの支援を行なっている。また理学・作業療法士等の専門的な助言も得ながら支援を行なっている。支援結果では、他者の近づき拒否の状態から手をつなげるようになる、階段を降りられるようになる、などの成果も得ている。

食事、排泄などの生活介護の支援は、アセス情報、支援結果、状態に応じて行なっている

食事は普通、軟菜、ソフト、ペースト食の食形態を基本に、利用者の摂食力に応じて提供し、利用者が安心して栄養摂取ができる支援に努めている。誤嚥予防では医師、療法士の専門的な指導、助言や研修、職員間での相互体験などで支援力の向上に努めている。排泄は活動の前後などの定時排泄を含め、利用者の状態を観察し、不快にならない支援に努めている。入浴は家庭での入浴が難しい場合に、会館の設備を利用し、生活介護事業として行なっている。また、理学・作業療法士等による直接支援・指導で体位変換、褥瘡予防などの支援も行なっている。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目3 虐待被害にあった利用者がいる場合には、関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  標準項目4 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
講評
日常的なサービス提供において利用者のプライバシー保護の配慮に取り組んでいる

個人情報の保護・開示について、「個人情報保護規程」や「情報公開・開示規程」を基本として、個人情報の提供・公開に関する同意書における運用がなされている。また、事業所全体として日常的なサービス提供における利用者のプライバシー保護に配慮した取り組みが行なわれ、施設環境においてもカーテンによる間仕切りの設置など、改善に取り組んでいる。さらに、排泄介助などの同性介助を基本として利用者の羞恥心への配慮を心がけるなど、日々の業務の一つとして事業所内の職員に周知されている。

各利用者とのコミュニケーション対応を明確にし、自己決定への支援を実践している

利用者を主体とした本人の意思決定を尊重し、各利用者の個別支援マニュアルにおいて、利用者とのコミュニケーション対応を明確にし、利用者の自己決定への支援を実践している。サービスの提供において支援や活動の際には、確認の言葉かけや写真などを用いて確認するなどの工夫をするなど、利用者に応じたアプローチにおいて、利用者の意思確認を行なっている。また、それぞれの価値観・生活習慣など利用者の状況に配慮した支援内容を計画に組み入れている。

セルフチェックシートを活用した支援の振り返りを継続して実施している

障害者虐待防止法の施行に合わせて、権利擁護に関する取り組み体制を強化し、虐待防止委員会、虐待防止責任者を設け、関係機関との連携など体制整備のみならず、理解を深める取り組みが継続して進められている。3か月に1度、セルフチェックシートを活用して、各職員に振り返りを実施し、その結果をもとに話し合いの場を設け、職員間でそれぞれ自分の支援を見つめなおす機会を設けている。また、障害者差別解消法のガイドラインを基本として、対応受付担当者・責任者の設置、明確化などの取り組みを行なっている。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
  標準項目3 職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などをもとに、基本事項や手順等の改善に取り組んでいる
  評価項目3 さまざまな取り組みにより、業務の一定水準を確保している 実施状況
  標準項目1 打ち合わせや会議等の機会を通じて、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている
  標準項目2 職員が一定レベルの知識や技術を学べるような機会を提供している
  標準項目3 職員全員が、利用者の安全性に配慮した支援ができるようにしている
  標準項目4 職員一人ひとりのサービス提供の方法について、指導者が助言・指導している
  標準項目5 職員は、わからないことが起きた際に、指導者や先輩等に相談し、助言を受けている
講評
業務を振り返りを通じて業務内容や手順の見直しに取り組み、報告書を作成している

「規程集」とともに、リスクマネジメントマニュアルなど、サービス提供に関わる必要な各種マニュアル類を整備している。業務やグループ支援について、年間の業務計画策定時に、前年度の業務の振り返りを通じて担当業務内容、業務手順の見直しに取り組み、報告書を作成している。また、事業計画の中間モニタリングを実施し、改善に取り組むしくみが構築されている。今後も継続して、支援のマニュアル等の整備・定期的な見直しとともに、業務点検の手段としてのマニュアルの活用が期待される。

各種会議や業務推進体制、指導助言等で業務水準の確保を図っている

全体会議やグループ会議、朝夕のミーティングなど、業務や行事の前後の打ち合せ等できめ細かな話し合いを行ない、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている。業務担当については、中堅・ベテラン職員と新任職員が組んで、引き継ぎを兼ねて業務を進める体制により、業務の標準化と一定の水準の確保を図っている。さらに、グループ会議や日々の支援現場におけるリーダーを中心としたサービス提供方法などの具体的な指導・助言により、職員間の情報共有と共通認識を深めている。

専門職による支援技術等の交流を図り、支援技術の向上に取り組んでいる

多職種で構成されている施設の職員はそれぞれの領域の専門性を生かして利用者の支援を行なっている。また、職員間の情報共有と共に、理学療法士や作業療法士などの専門職による支援技術等の交流も図っており、研修や勉強会と併せ業務上で生じたヒヤリハットなどの報告からの事例検討を行なうなど、手順書の内容の充実に加え日常的に支援技術の向上に取り組んでいる。