東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 平成28年度
サービス名称 指定介護老人福祉施設【特別養護老人ホーム】
法人名称 東京都
事業所名称 東京都東村山ナーシングホーム
評価機関名称 特定非営利活動法人 NPOサービス評価機構

コメント

評価事業を始める際には、できる限り多くの職員が参加できるよう、全職員対象に5回に渡って職員説明会を開催し、自己評価シートの記入方法やスケジュール等について説明した。また、利用者調査では、プライバシーに配慮しながら、利用者への1対1による聞き取りを行なった。報告書完成後は、全職員対象の職員報告会を開催し、評価結果について報告した。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)利用者・家族の意向を尊重するとともに、利用者の状況を的確に把握・評価し、一人ひとりが有する能力に応じて日常生活を営むことができるよう支援する。 2)常に自己点検を行いながら、利用者の尊厳と自立を基本としたサービス提供と利用者等の安全・安心の確保に努める。 3)専門的知識・技術に基づく良質なサービスが責任をもって提供できるよう、従事者の資質向上と施設の改善・改革に努める。 4)都民、地域、利用者のニーズを的確に捉えつつ、効果的・効率的な施設運営を行う。 5)他の福祉・保健・医療等関連機関や地域住民・ボランティアとの交流・連携を深め、地域社会の一員として地域に開かれた施設運営を行う。

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

・公務員としての自覚を持ち、法令等を遵守し、常に自己点検を行いながら公正・公明かつ効果的・効率的に業務を遂行する職員。 ・社会福祉法、老人福祉法及び介護保険法等の理念・趣旨及び制度を理解し、利用者・家族の意向を尊重しつつ利用者の尊厳と自立を基本として施設サービスを提供できる職員 ・福祉・介護・看護等サービス提供者として、良質なサービスを責任をもって提供するための専門的知識・技術を有するとともに、それを常に高めていく職員 ・利用者等の安全・安心の確保と的確なリスク対応ができる職員 ・都民、地域、利用者のニーズを的確に捉えつつ、他の機関や地域住民とも積極的に連携して地域福祉の向上に取り組む職員

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

利用者一人ひとりを大切にした生活支援を目指し、接遇の向上と専門的知識・技術の向上に努めること。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 食事の楽しみに工夫を凝らし、利用者調査でも食事の満足度が非常に高い

主食に関して、3食共、ご飯かパン食から選択できる。週2回、昼食時、全利用者に対して、選択メニューを提供している。毎月1日に赤飯を提供し、粥食の方には小豆粥を提供し、行事食は年間計30回の実施である。さらに食事を楽しむ工夫として、「レッツクッキング(利用者参加型の料理教室)」「出張料理」「炊き立てご飯」「食育(食の紹介)」や、おやつに関しても「おやつバイキング」「出張パフェ」「手作りクレープ」などを実施している。利用者調査の結果、食事に関して回答者の91.7%が満足との返答である。
2 多職種が連携し、褥瘡予防に力を入れて取り組み、褥瘡の発症は見られない

訪問調査(平成28年12月)の時点で、要介護度4と5の方々は利用者全体の67%であった。年々、利用者の重度化が進み、その身体ケアのニーズは高まっている。そのような状況下、施設では褥瘡ゼロを実現しており、看取り期の低栄養状態にあっても褥瘡ができた利用者はいない。「褥瘡予防対策委員会」ではハイリスク者の食事量、アルブミン・ヘモグロビンの数値を把握し、皮膚や骨・麻痺などのどこにリスクがあるかを詳細にまとめている。それに基づき、排泄・食事・入浴などのさまざまな視点から個々に必要な対応策を講じている。
3 「本人らしさ」を大切にした看取りケアの事例を積み重ねている

昨年度の退所者数は20名であり、その内80%の方々が施設内での看取りである。最期まで口から食べることにこだわり、最期まで褥瘡を作らず、最期まで入浴も実施し、清潔に留意している。精神的支援に努め、声かけやスキンシップを十分に行っている。また、居室の環境整備にも気を配っている。家族が利用者に付き添い、一緒の時間を過ごせるよう、宿泊室の提供も行っている。利用者や家族の意向に沿って、「本人らしさ」を大切にしながら、職員が一丸となって利用者一人ひとりの看取りケアの事例を積み重ねている。

さらなる改善が望まれる点
1 民間移譲まで、利用者・家族が安心して快適に過ごせるよう支援されることを期待する

民間移譲に向けた課題整理一覧の作成および「特養引き継ぎ委員会」を設置し、民設民営化に向けた検討・連絡体制を整えた。また、「民設民営施設への転換」に伴う利用者・家族の説明も実施し、利用者家族の不安がないように努めている。民間移譲まで、残すところ約1年であるが、これまで取り組んできた質の高いサービス提供の継続に取り組み、利用者・家族が安心して快適に過ごせるよう支援されることを期待する。
2 接遇マナー向上へのより一層の取り組みを期待する

高齢者虐待防止研修を全職員悉皆で実施したり、「高齢者虐待防止に関する自己点検チェックリスト」および「接遇チェック表」を用いて自己点検し、権利擁護への意識向上を図っている。今年度、利用者調査、家族アンケート共に職員の接遇マナーに関して一定の満足を得ている。しかし、自由コメントでは、利用者・家族から接遇マナーに関する指摘も散見された。今後も引き続き、接遇マナー向上へのより一層の取り組みを期待する。
3 職員のモチベーション維持と次のキャリアを見据え、視野の拡大に向けた取り組みを期待する

平成30年に民間移譲が決定となり、職員のモチベーションアップが課題となっている。そのため、東京都立障害者施設に見学に行ったり、非常勤職員も含めて民間移譲された養護老人ホームへの見学など、職員の視野の拡大を図っている。今後も引き続き、職員のモチベーション維持と次のキャリアを見据え、視野の拡大に向けた取り組みを期待する

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ ワークライフバランスの推進に積極的に取り組んでいる

職員個々のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司を「イクボス」と名づけており、それを踏まえ、当施設の管理職も「イクボス宣言」を行ない、ワークライフバランスに積極的に取り組んでいる。また、夜勤は基本4回までとし、多くても6回までとしている。残業はほぼない状況である。親の介護や子どもの看護のための休暇も取りやすい職場環境をつくっている。さらにストレス予防法や解消法などを学ぶメンタルヘルス研修も実施している。
関連評価項目(職員のやる気向上に取り組んでいる)
2 ★ 咀嚼・嚥下能力が低下しても、食事が楽しめる工夫をしている

ペースト食の方にも美味しく食べられるよう、加水せずミキサーにかけ、そのままの味を感じていただいている。また、ミキサー食の献立の配置図を作成し、職員が利用者に食事内容について声をかけながら食事介助を行っている。ソフト食にも力を入れ、見た目にも食欲をそそるような盛り付けを行ない、咀嚼・嚥下能力が低下した方でも食事を楽しめるようにしている。ペースト食は、職員も検食し、家族にも試食していただいている。これらの努力の結果、数年間ペースト食を食べている利用者でもアルブミン値が4.0を超えているケースがある。
関連評価項目(利用者が食事を楽しむための工夫をしている)
3 ★ 「持ち上げない介護」を目指し、利用者・職員にとって安楽な移乗介助を行なっている

職員の平均年齢は52歳であり、移乗介助に対する身体的負担は大きい。そのため、数年前より、利用者にとっても職員にとっても負担のないようさまざまな移乗補助具を活用しており、トランスファーボードの使用は、各棟で定着してきている。また、重度の利用者が多い棟では、独自にトランスファー用のシートを作成している。キルト生地を使い、厚みのある丈夫なシートを作成し、トランスファーボードの上を滑らせるように移乗することで、持ち上げない介護を実現している。
関連評価項目(利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:入所者全員を対象とした。回答者の属性は次の通り。男性23名、女性49名。65歳未満1名、65~75歳未満5名、75~90歳未満43名。90歳以上23名、平均要介護度3.3。

調査方法:聞き取り方式  
3日間に亘り評価員・評価補助者が施設を訪問し、利用者と1対1による面接方式による調査を実施した。その際はプライバシーに配慮して行った。

利用者総数 142人
アンケートや聞き取りを行った人数 142人
有効回答者数 72人
回答者割合(%) 50.7%

総括
・総合的な感想としては「大変満足」18名(25%)、「満足」43名(59.7%)、「どちらともいえない」9名(12.5%)、「不満」1名(1.4%)、非該当(わからない)1名(1.4%)である。回答者の約84.7%が満足と答えている。 ・回答者の80%以上が満足と答え、高い満足を得た設問は次の通りである。問1「食事」、問2「生活するうえで必要な介助」、問5「清潔な生活環境」、問6「職員の言葉遣いや態度、服装」、問7「緊急時の対応」、問10「プライバシー保護」。 ・「はい」と返答した方々が回答者の半数以下は、問11「計画作成時の要望の把握」、問12「計画の説明」、問14「外部の苦情相談窓口の周知」であった。 ・利用者からは「今までの所と比べて最高です」などの満足の声が寄せられた。また、「(職員と)一緒になって、もっとお喋りをしたい」「外を散歩したい」「もっと映画を見たい」などの要望も寄せられた。

利用者調査結果

1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか
はい 66人  どちらともいえない 3人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
「はい」と返答した方々は回答者の91.7%で、食事に関して非常に高い満足を得ている。「はい」と返答した方から「色々なメニューがあるから楽しい」「食事が大好きです」「美味しいので、残したことはない」などの声が寄せられた。「いいえ」と返答した方は「私はお粥で、味がよくわからない」との理由であった。昨年度と比較して、5.3ポイント満足度が上がっている。
2.日常生活で必要な介助を受けているか
はい 58人  どちらともいえない 12人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
「はい」と返答した方々は回答者の80.6%で、日常生活での必要な介助に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方からは「車椅子を使っていて、手伝ってくれている」「退院後はオムツになってしまい、介助を受けている」「ナースコールを押したことないが、言えば助けてくれる」「自分のことは自分でしたい。でも、できないことはしてくれる」「困った時はすぐ来てくれるので、困ったと思う事はあまりない」などの声が寄せられた。
3.施設の生活はくつろげるか
はい 56人  どちらともいえない 7人  いいえ 8人  無回答・非該当 1人 
「はい」と返答した方々は回答者の77.8%で、施設生活での寛ぎに関して概ね満足を得ている。「はい」と返答した方から「書道・指編み・生け花・折り紙、4つの教室に通い、楽しい」「今日は音楽クラブに行きました」「音楽、体操など楽しい事は色々ある」「移動図書館が来る」「生花と歌をやっている」「日記を毎日書いている」「編み物をしている」などの声が寄せられた。「身体を動かすことが難しいので、クラブ活動に参加していない」と返答した方は「いいえ」であった。
4.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか
はい 51人  どちらともいえない 15人  いいえ 6人  無回答・非該当 0人 
「はい」と返答した方々は回答者の70.8%で、日常的な健康状態の把握に関して概ね満足を得ている。「はい」と返答した方から「介護職員と看護師が聞いてくれる」「いつも気づかってくれる」「ベッドから一人で立つのは危ないからと言われている」「良く話しかけてくれる」「しょっちゅう聞いてくれている」「病気のことも踏まえ、気にしてくれている」などの声が寄せられた。「元気なので聞いてくれません」と返答した方は「いいえ」であった。。
5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 65人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」と返答した方々は回答者の90.3%で、事業所内の清掃、整理整頓に関して非常に高い満足を得ている。「はい」と返答した方から「綺麗。掃除の人が入っている」「清掃は毎日やってくれている」「見てないところでしてくれていると思う」「季節ごとの飾りつけに参加している」などの声が寄せられた。
6.職員の接遇・態度は適切か
はい 61人  どちらともいえない 8人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
「はい」と返答した方々は回答者の84.7%で、職員の接遇・態度に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方から「良い人ばかりです」との声も寄せられた。「どちらともいえない」と返答した方から「時には気がかりな言葉づかいもあるけれど、性格だろうと解釈している」などの声が寄せられた。昨年度と比較して、4.5ポイント満足度が上がっている。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 62人  どちらともいえない 9人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」と返答した方々は回答者の86.1%で、緊急時の対応に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方から「退院後、ちゃんとしてくれている」「看護師が話をしてくれる」「ちゃんと先生(医師)につなげてくれる」「よくみてくれている」などの声が寄せられた。
8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 47人  どちらともいえない 13人  いいえ 1人  無回答・非該当 11人 
「はい」と返答した方々は回答者の65.3%、「どちらともいえない」18.1%、「いいえ」1.4%、非該当15.3%であった。「はい」と返答した方から「職員さんが間に入るなら、周りの人も安心です」「(喧嘩など)みたことない。でも、あれば、何かするでしょう」などの声が寄せられた。「喧嘩や諍いはあまりない」「(他利用者と)話す機会が殆どない」などと返答した方は非該当としている。
9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
はい 54人  どちらともいえない 16人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
「はい」と返答した方々は回答者の75%で、利用者の気持ちの尊重に関して概ね満足を得ている。「はい」と返答した方から「そこまで感じることはないけれど、トイレに行く時も手を持って行ってくれたり、有難い」「今のところ、そういうところまでわかりません。でも、対応してくれると思う」「時々そう思う」などの声が寄せられた。
10.利用者のプライバシーは守られているか
はい 58人  どちらともいえない 8人  いいえ 4人  無回答・非該当 2人 
「はい」と返答した方々は回答者の80.6%で、プライバシー保護に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方から「対応してくれると思っている」「自分の言うことは守ってくれる」「秘密をばらされると思ったことはない」「知られたくないことは秘密にしてくれている」「知られたくないこともあんまりないけど、気を遣ってくれているんだと思う」などの声が寄せられた。
11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
はい 24人  どちらともいえない 18人  いいえ 13人  無回答・非該当 17人 
「はい」と返答した方々は回答者の33.3%、「どちらともいえない」25%、「いいえ」18.1%、非該当23.6%であった。「はい」と返答した方から「言ったことある。親身になって聞いてくれた」「聴いてもらっている」「そういうこと聞いてくれたことはある」「ちゃんとやってくれる」などの声が聴かれた。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 25人  どちらともいえない 15人  いいえ 14人  無回答・非該当 18人 
「はい」と返答した方々は回答者の34.7%、「どちらともいえない」20.8%、「いいえ」19.4%、非該当・無記入25%であった。「はい」と返答した方から「毎年やっている。よくやってくれる」「わからないところもありましたが、こうして入所することができた」「わかるように説明してくれた」「質問にもちゃんと応えてくれます」などの声が寄せられた。
13.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 54人  どちらともいえない 14人  いいえ 2人  無回答・非該当 2人 
「はい」と返答した方々は回答者の75%で、不満や要望の対応に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方から「不満はない。自宅より良い」「職員も忙しいし、自分のことは自分でしようと思っている」「話せばやってくれているんだと思う」「人によって違う」「話せばやってくれているんだと思う」「あまり相談しないが、対応は悪くない」「ちゃんと対応してくれる」「相談に乗ってくれる」などの声が寄せられた。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 13人  どちらともいえない 20人  いいえ 34人  無回答・非該当 5人 
「はい」と返答した方々は回答者の18.1%、「どちらともいえない」27.8%、「いいえ」47.2%、非該当6.9%であった。「はい」と返答した方からは「知っているけど、言うことない」「ここにも苦情相談係と貼ってあるね」、「どちらともいえない」と返答した方から「言われたかもしれないが、覚えていない」「よく覚えていない。たぶん話してもらった」、「いいえ」と返答した方から「子どもに説明している。私には説明はない」などの声が寄せられた。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目3 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目4 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
年度当初に運営方針、課・係の組織目標について、職員等に文書を配布、周知している

毎年、年度当初に当施設の運営方針、課・係の組織目標や具体的な取り組みについて、職員等に文書を配布、周知している。その後、運営会議で、所の運営方針を基に、各部署の取り組み状況について確認し合っている。また、毎年、年度初めの自己申告の際に組織目標に沿って職員個々の具体的目標を立て、組織一丸となって組織目標の達成に取り組んでいる。利用者の重度化や医療的ケアの必要な方の割合が年々上昇しているが、その中でも個別ケアの工夫やQOL(生活の質)の向上に取り組み、日々利用者の立場に立ったサービスの提供に努めている。

民設民営化に向けた検討・連絡体制を整え、利用者家族に説明会を実施している

管理職と利用者家族との懇談会を実施し、施設の運営方針を示し、理解と協力をお願いしている。また、家族に対して、年4回発行の情報誌(四季の花だより)など送付し、施設の近況とともに、重要事項等についてお知らせしている。また、民設民営化に向けた検討・連絡体制を整えており、当施設に「引継委員会」を設け、移譲先法人・都所管部署と「引継連絡会」を設けている。今年度、9月に2日間に渡って、移譲先法人・東京都所管部職員も参加し、「民設民営施設への転換」に伴う利用者・家族の説明を行なっている。

重要案件は、「課長会」(週1回)や「運営会議」(月2回)で検討、決定している

重要案件は、「課長会」(週1回)や「運営会議」(月2回)で検討、決定し、その後文書により全職員へ周知している。管理職は介護棟の引継ぎや誕生日会に参加し、利用者・職員の状況把握に努めている。週1回、課長と各介護棟責任者等による「介護棟連絡会」を開催し、管理職と現場リーダー層の意見交換の場を設けている。そのほか、〔研修〕〔感染症等予防対策〕〔褥瘡予防対策〕〔身体拘束廃止・高齢者虐待予防対策〕〔事故防止対策〕〔苦情解決〕などの各種委員会を設け、テーマ別に現場の問題課題について検討している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している 実施状況
  標準項目1 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
  評価項目2 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている 実施状況
  標準項目1 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
  標準項目2 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
  サブカテゴリー2  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある 実施状況
  標準項目1 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
  標準項目2 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
  評価項目2 ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している 実施状況
  標準項目1 ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
  標準項目2 ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
  標準項目3 ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
  評価項目3 地域の関係機関との連携を図っている 実施状況
  標準項目1 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
  標準項目2 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
講評
「高齢者虐待防止研修」を実施し、全職員が参加し、虐待防止の理解の浸透を図っている

「汚職等非行防止研修」「人権研修」を悉皆研修とし、公務員として法遵守への自覚を促している。今年度、6月から10月までの間、月2回、介護課長が講師となり、「高齢者虐待防止研修」を実施している。非常勤職員も参加対象とし、全職員が参加している。また、11月「高齢者虐待に関する自己点検チェックリスト」および「接遇チェック表」を実施している。委託業者も含め、全職域を対象としている。実施結果について介護課長が集約し、12月の身体拘束廃止・高齢者虐待防止対策委員会で報告し、虐待防止への意識向上に積極的に取り組んでいる。

公開講座や専門研修の受入などを通して、都立施設の役割を果たしている

在宅介護の個別相談に対応したり、災害時の帰宅困難者一時避難所として指定を受けている。地域の住民、在宅系の介護事業者を対象に「在宅介護支援講座」を開催したり、年度末のQOL運動実践発表会で地域の他介護施設の職員にも参加を働きかけ、ノウハウを地域に還元している。また、保育園児との交流も行ない、地域との連携にも努めている。また、福祉系・医療系・看護系大学生、教員免許取得希望者(介護体験)、国家公務員(新人職員)、東京都職員(新人職員)、都立の各職業能力開発センター受講生など幅広く実習生を受け入れている。

多様なボランティアを受け入れ、受け入れ時に活動上の留意事項を説明している

ボランティア・地域交流推進委員会を設置し体制を整備している。ボランティア受入時に個人情報保護を含めた留意事項を説明し、了解を得ている。ボランティア受け入れで特徴的なのは、障害者施設からのシーツ交換ボランティア、「登校拒否児童」のボランティア、児童自立支援施設からのシーツ交換ボランティアの導入であり、都立施設としての役割を果たしている。また、ボランティア交流会を実施し、日頃の感謝をこめて職員手作りのたこ焼きを提供し、利用者手作りのプレゼントを贈呈している。平成27年度のボランティア延べ1,282名である。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  利用者意向や地域・事業環境の把握と活用
  サブカテゴリー1  利用者意向や地域・事業環境に関する情報を収集・活用している
  評価項目1 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む) 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
  評価項目2 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
  標準項目2 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
  標準項目3 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
  評価項目3 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
  標準項目2 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
  標準項目3 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
講評
第三者委員に直接利用者の意見を聞いてもらい、それを踏まえて意見交換している。

中立的な立場からの利用者の立場や特性に配慮し、苦情を解決する第三者委員を2名配置している。苦情解決制度の紹介文書を所内に掲示したり、広報紙で苦情解決窓口や第三者委員の方々を紹介し、利用者・家族へ周知している。年2回、第三者委員との懇談会を開催し、当日は直接介護棟に出向き、利用者の声を聴いている。年3回の家族懇談会に第三者委員も参加し、家族の方々に第三者委員を紹介している。昨年度から毎月、第三者委員の一人が各介護棟を周り、利用者の様子を把握し、直接聴き取りを行っている。

家族満足度調査を実施し、家族の意向把握に努め、改善につなげている

第三者評価ではオプションにて家族満足度調査を実施し、家族の意向把握に努めている。アンケート結果を集約し、問題点の分析を行っている。分析結果を基に、各種委員会等において改善策に取り組んでいる。また、ケアプラン作成にあたっては、利用者本人・家族への参加も働きかけ、利用者の意向に沿った計画の作成に努めている。家族アンケートでは「介護計画作成時の利用者本人や家族の要望把握」に関して、「非常に良い」「良い」と返答した方々は回答者の81%で、昨年度より10ポイント上がっている。

地域の施設連絡会等に参加し、地域の福祉ニーズを収集している

地域の施設連絡会等に参加し、地域の福祉ニーズを収集している。また、全国レベルの組織団体に加盟して大会に参加するなど、さまざまなルートを活用し、高齢者福祉および介護業界の動向等について情報収集やノウハウの発信に努めている。また、各職位職種の職員が、地域の施設連絡会等に参加し、地域の高齢者福祉に関する情報収集に努めている。また、都の直営施設であるため、「所長会」「庶務担当課長会」等を通して、高齢社会対策部との連絡を取り、情報共有を行っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  計画の策定と着実な実行
  サブカテゴリー1  実践的な課題・計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している 実施状況
  標準項目1 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 年度単位の計画を策定している
  標準項目3 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
  評価項目2 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
  標準項目3 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
  標準項目4 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
  評価項目3 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
  標準項目3 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目4 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
  サブカテゴリー2  利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
  評価項目1 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
  標準項目2 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
  標準項目3 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
  標準項目4 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
講評
年度当初に運営方針をもとに、組織目標を明確にしている

毎年、4月末に所管局から組織目標の方針が出され、それを受け、「運営会議」で現場の意向を反映し、東村山ナーシングホーム全体としての組織目標を最終決定している。その後、課・係の具体的な取り組みを策定している。組織目標は第三者委員からのフィードバック、利用者・家族アンケート調査等にて検証された改善策も盛り込み、リスクなどを勘案し、策定している。目標は具体的・実践的な内容で、できる限り指標化・数値化に努めている。計画作成後、運営会議で進捗状況を確認し、年度末に都福祉保健局に実績報告を提出している。

事故防止対策検討委員会で、事故対策について検討している

日常ケアの場面で生じたリスクはすべて「アクシデント・インシデント報告書」に記載し、同時に速やかに介護棟責任者に情報提供し、必要な場合は家族に連絡している。さらに「アクシデント・インシデント報告書」に基づき、介護棟連絡会および2か月ごとの委員会で報告、さらに半期ごとに集計分析している。また、事故防止対策検討委員会で、直近の「アクシデント・インシデント報告書」を基に転倒・誤薬等の対策を検討している。あわせてアクシデントのうち関係機関等に報告の必要なものは所内の要綱・指針に基づき「事故報告書」を作成している。

感染症等予防対策委員会を設け、「手の洗い方教室」を開催している

自衛消防組織を設置し、月1回、総合訓練を行なっている。年1回、消防署立会いで、訓練の評価をもらっている。「事業継続計画(地震編)」「事業継続計画(新型インフルエンザ編)」も作成し、非常の際の行動を定めている。感染症等予防対策委員会を設け、夏季には食中毒、冬期にはインフルエンザ・ノロウイルス感染予防のため利用者・家族向けのポスターを掲示し、注意を喚起している。6月は「手の洗い方教室」を開催し、手洗いチェッカーで洗い残しを直接確認している。7月はDVD「ノロウイルス食中毒予防」を見て感染予防について学んでいる。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成に取り組んでいる
  評価項目1 事業所にとって必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
  標準項目2 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
  標準項目3 適材適所の人員配置に取り組んでいる
  評価項目2 職員の質の向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
  標準項目2 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している
  標準項目4 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている
  標準項目5 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
  サブカテゴリー2  職員一人ひとりと組織力の発揮に取り組んでいる
  評価項目1 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
  標準項目3 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
  評価項目2 職員のやる気向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
講評
都としての人事制度に関する方針の他に組織目標として能力向上策を掲げている

都としての人事制度に関する方針の他に組織目標として能力向上策を掲げている。現在、当施設が都立施設として唯一の高齢者施設となり、常勤確保が厳しい状況である。所に裁量を委ねられている非常勤職員や賃金職員の採用では、看護師専門の職業紹介センターの就職説明会に参加するなどしているが、他施設と同様にその確保が難しい。その一方、常勤職員の平均年齢は52歳で経験豊富な職員集団であるが、健康維持の面で不安を抱えている。

毎年、各介護棟で利用者のQOLを高める提案を出し、1年間の成果を報告している

東京都主催研修の他に所としての研修計画を策定、実施している。内部研修では、褥瘡予防対策や摂食・嚥下研修など、介護施設の職員として必要なテーマを設定し、専門スキルの向上を図っている。研修の都度、報告書を提出させ、所属課長がコメントを付し確認している。毎年、3月に各介護棟を始め各部署の1年間の取り組みを発表するQOL運動実践発表会を実施し、優秀な取り組みを表彰している。さらに福祉保健局学会での発表や外部研修などにも積極的に取り組んでいる。研修報告を活用し、全職員で知識・ノウハウの共有化に努めている。

セクハラ・パワハラの相談窓口を明示し、風通しの良い職場づくりを推進した。

月1回、産業医を含めた複数名により職場巡視を行ない、職場環境の改善につなげている。全職員対象にストレスチェックを実施し、その結果に基づき安全衛生委員会で話し合い、当施設・福祉保健局全体のストレスの状況を確認している。高ストレス者には精神保健相談を受ける仕組みもある。セクハラ・パワハラの相談窓口を明示し、風通しの良い職場づくりを推進している。11月安全衛生委員会主催で、精神保健相談員が講師となりメンタルヘルス研修を実施し、身体をほぐしていく手軽なリラクゼーションなどについて学んでいる。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  情報の保護・共有
  サブカテゴリー1  情報の保護・共有に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定している
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・保管している
  標準項目3 保管している情報の状況を把握し、使いやすいように更新している
  評価項目2 個人情報は、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえて保護・共有している 実施状況
  標準項目1 事業所で扱っている個人情報の利用目的を明示している
  標準項目2 個人情報の保護に関する規定を明示している
  標準項目3 開示請求に対する対応方法を明示している
  標準項目4 個人情報の保護について職員(実習生やボランティアを含む)が理解し行動できるための取り組みを行っている
講評
毎年、本庁より個人情報の保管状況や自己点検実施状況の監査を受けている

毎年、本庁より個人情報の保管状況や自己点検実施状況の監査を受けている。個人情報を含む電子ファイルはファイルサーバーにて保管している。個人情報を外部に持ち出したり、電子メールで送信するときなどは事前に管理職の許可をえたうえでデータの暗号化やパスワード設定、複数人でのチェック等の対策を施し、個人情報を含む文書等は施錠できる所定の保管庫等に収納している。さらに個人情報持出・外部記録媒体利用簿を整備し、担当者・管理職で確認することで情報漏えいの徹底に取り組んでいる。

個人情報の保護に関する諸規定を整備し、それに基づいた対応に努めている

「東京都個人情報保護条例」「東京都特定個人情報保護条例」「東京都サイバーセキュリティポリシー」などの個人情報保護法の趣旨に従い、個人情報の保護に関する諸規定を整備している。「個人情報保護方針」「個人情報の利用目的」は1階ロビーやホームページに掲示し、利用者および家族、関係者などに周知している。また、「個人情報提供承諾書」を作成し、入所時に利用者・家族に対して、第三者への個人情報の利用目的を説明し、同意を得ている。広報誌などに利用者の顔写真を掲載する際は、その都度、利用者・家族の了解を得ている。

「情報セキュリティ・個人情報保護」e-ラーニング受講は100%達成している。

各種会議等にて、個人情報を含むセキュリティ事故防止への注意喚起を促している。ウェブサイト閲覧による個人端末のウィルス感染事故防止に向け、標的型メールの例を職員に知らせて注意を呼びかけると共に、標的型メールの訓練も行なっている。年1回、都福祉保健局研修「情報セキュリティ・個人情報保護」e-ラーニングでの悉皆研修も行なっている。非常勤職員、ボランティア、実習生等に対して、研修やオリエンテーション時に、個人情報保護遵守に関する説明を行うとともに、誓約書を交わしている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー8  カテゴリー1~7に関する活動成果
  サブカテゴリー1  前年度と比べ、事業所の方向性の明確化や関係者への周知、地域・社会への責任の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー1:「リーダーシップと意思決定」
・カテゴリー2:「経営における社会的責任」
・カテゴリー4:「計画の策定と着実な実行」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
「民設民営施設への転換」に伴う利用者・家族の説明会を実施している
・民間移譲に向けた課題整理一覧の作成および「特養引き継ぎ委員会」を設置し、民設民営化に向けた検討・連絡体制を整えた。9月「民設民営施設への転換」に伴う利用者・家族の説明を行ない、東京都福祉保健局高齢社会対策部職員、移行先民間法人職員も参加している。民間移譲に関して関係機関(者)にも伝えている。
・高齢者虐待防止研修を全職員悉皆で実施したり、「高齢者虐待防止に関する自己点検チェックリスト」および「接遇チェック表」を用いて自己点検し、権利擁護への意識向上を図ることができた。利用者への聴き取り調査では、職員の接遇・態度に関して回答者の84.7%が満足との返答であった。家族アンケートでは、「ご利用者本人やご家族に丁寧に接してくれていますか」に関して、「非常に良い」「良い」は回答者の80%であった。
 
  サブカテゴリー2  前年度と比べ、職員と組織の能力の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー5:「職員と組織の能力向上」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
3月に「QOL運動実践発表会」を実施し、各介護棟の成果を全職員で共有している。
・各介護棟で1年間、利用者の生活の質(QOL)向上に取り組んだ成果をまとめ、毎年、3月に「QOL運動実践発表会」を実施している。毎年、継続的に実施しており、プレゼンテーション能力が向上しており、各介護棟の成果を全職員で共有している。
・研修計画を策定し、計画に沿って職員の質向上に取り組んでいる。新任研修や専門研修(トランスファー、摂食指導、認知症介護、ターミナルケア)、課題別研修(感染症等予防研修、接遇研修、褥瘡予防、事故防止、情報セキュリティなど)など幅広い内容で行なわれている。 
  サブカテゴリー3  前年度と比べ、福祉サービス提供プロセスや情報保護・共有の面において向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー6:「サービス提供のプロセス」
・カテゴリー7:「情報の保護・共有」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
外出活動に取り組み、地域の喫茶店や商業施設・観光施設に出かけている
・利用者のサービス向上のため、各介護棟ごとに外出に取り組んでいる。利用者の希望を聴き取り、地域の喫茶店や商業施設・観光施設に出かけ、美味しい物を食べ、買い物を楽しんでいる。
・3階の庭園で季節の野菜の苗を植え、外の空気を楽しみながら、ナス・ゴーヤ・ズッキーニ等を栽培し、栽培した野菜を「レッツクッキング」の際に使って食べ、利用者の生きる力を支えている。
・毎日、書道、喫茶、折り紙、音楽、映画ビデオ、指編みなどのクラブ活動があり、利用者が楽しみにしている。利用者調査では、「4つの教室に通い、楽しい」との話もうかがった。
・利用者が重度化しているが、現場職員の半数が看護職であるため、状態変化を察知し、速やかに医師や病院受診に対応している。また、利用者や家族の意向を受け、ターミナルケアにも取り組んでおり、最期まで口から食べることにこだわり、最期まで褥瘡を作らず、入浴も実施している。 
  サブカテゴリー4  事業所の財政等において向上している
  評価項目1 財政状態や収支バランスの改善へ向けた計画的かつ主体的な取り組みにより成果が上がっている
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
在庫管理の徹底による支出減を通して、歳出事務費の抑制に取り組んでいる
・職員のコスト意識の徹底を図ると共に在庫管理の徹底による支出減に努め、歳出事務費の抑制に取り組んでいる。 
  サブカテゴリー5  前年度と比べ、利用者満足や利用者意向の把握等の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、利用者満足や以下のカテゴリーで評価される部分において改善傾向を示している
・カテゴリー3:「利用者意向や地域・事業環境などの把握と活用」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
在宅支援講座を開催するなど、地域の福祉ニーズに応えている
・9月に「高齢者に多い病気と食事の重要性~自宅で暮しやすく~」と題して在宅支援講座を開催している。当施設の医師より「リハビリテーションと栄養」、管理栄養士・言語聴覚士より「高齢者の食事と食べ方」との講演や、水分にとろみをつけ飲みやすくする体験なども行なった。地域住民や近隣施設の職員などが参加している。
・管理栄養士が担当し、桜餅、柏餅、夏野菜カレー、餃子、手作りパスタなど、楽しく参加できる料理教室「レッツクッキング」を実施し、希望者が参加し、利用者の心身の活性化を図っている。
・市内の高齢者福祉施設の栄養士が集まって、平成元年より公民館で開催している地域高齢者向けの料理教室で、管理栄養士が講師を務めたり、高齢者に必要な栄養量や高齢者が食べやすいバラエティに富んだ献立をまとめ、毎年「料理レシピ集」を作成している。この活動に参画し、在宅の高齢者の多様な食のニーズの収集に取り組んでいる。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページやパンフレットなどを用意して、利用希望者に情報提供をしている

パンフレットやホームページ、広報紙(四季の花だより)を用意し、利用希望者に情報提供している。パンフレットは施設概要(対象者・サービス内容等)などを掲載している。ホームページは運営方針やクラブ活動、利用者の一日等の情報を掲載し、パンフレットもダウンロード可能となっている。広報紙を定期的に発行し、居宅介護支援事業所や行政・関係機関に送付している。広報紙には各棟の活動の写真を多く掲載し、施設全体の雰囲気を伝えている。

機関紙や事業概要で、施設の情報をまとめ、行政や関係機関に送付している

毎月の入退所状況等を東京都所管部署に提出している。また、毎年、前年度の運営実績および今年度の目標・取り組み方針を掲載した「事業概要」を、行政や関係機関に送付している。市内全ての高齢者福祉施設が参画している横の連絡会に所長、課長、生活相談員、事務担当者などが参加し、情報交換、研修、地域貢献などで連携協働している。「東村山キャンパス運営連絡協議会」を開催し、隣接の医療センターと互いの状況を報告し合い、共通課題について協議している。

平成30年度の民間移行が決定しており、新規募集は12月末で終了している

入所申込、空室状況の問い合わせ、当施設に早急に入居できない場合の解決方法などの多様な相談を受け付けている。問い合わせには、相談係が対応し、月曜日~金曜日まで相談可能である。併設施設と合わせて、昨年度の年間相談件数は3,697件であった。平成30年度に都立から民間施設への移行が決まっており、平成28年12月までで入所受け付けを終了し、新規入所は3月末で終了である。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
生活相談員が契約書や重要事項説明書の内容を、本人・家族に説明し同意を得ている

入所申込後、自宅での介護状況等について把握し、入所検討委員会において入所予定者名簿を作成している。その後、名簿の上位者から診療情報提供書等の提出を依頼し、入所審査会において入所者を決定している。決定後、生活相談員は、自宅やその時に居住している施設や病院等に赴き、契約書、契約書別紙、重要事項説明書、個人情報提供書承諾書等の書類を説明している。家族アンケートでは、「契約時の説明」に関して、回答者の86%の家族が「非常に良い」「良い」と回答しており、昨年度より11ポイント満足度が上がっている。

ADL調査票や面談票を用いて、利用者の情報を収集し、支援に生かしている

入所時に、面談票やADL調査票を用いて、本人の情報を把握している。ADL調査票には身体状態、移動補助具、歩行能力、排泄ケアでの留意事項などの介護上必要な情報を整理している。また、趣味や嗜好、本人の生活歴も確認しており、収集した情報は、入所後のサービスに反映している。利用開始直後は不安やストレスも強い時期であるため、担当職員や生活相談員がこまめに居室訪問をしたり、他入所者に紹介するなど、人間関係が円滑に構築できるよう配慮している。

退所者の殆どが施設における看取りであり、本人・家族と相談しながらケアを行っている

昨年度の退所者数は20名であり、その内16名の方々は施設内での看取り、病院への入院が3名、在宅へ復帰された方が1名である。病院への長期入院の際には、医師の診断書や看護・介護サマリー等、必要な引継書を作成し、家族や入院先に渡している。希望により看取りを実施する際は、利用者や家族の思いを大切に、一人ひとりが尊厳と安楽を保ちながら安らかに最期を迎えられるよう支援している。家族の不安や相談にはその都度対応し、家族が利用者と一緒に過ごすことができるよう環境整備にも取り組んでいる。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
入所して1か月後に初回のケアプランの見直しをしている

入所後約1か月間で利用者の状態を把握、再アセスメントし、初回ケアプランの見直しをしている。包括的自立支援プログラムを使って、アセスメントを行ない、課題・ニーズを抽出し、それに基づいてケアプランを作成している。当施設では入所期間が長期に渡る利用者が多く、利用者の状態も安定するため、ケアプランの長期目標は1年、短期目標は6か月とし、6か月ごとにモニタリングを行ない、各利用者の誕生月にケアプランの見直し、更新を行なっている。ケアプランの見直し時は利用者・家族の意向を聴き取り、計画に反映している。

サービス担当者会議を利用者の誕生月に開催し、多職種で計画の内容を協議している

利用者一人ひとりに担当職員を配置している。常勤職員一人が3名の利用者、非常勤職員の場合は2名を担当している。介護支援専門員や担当職員を中心に、利用者の誕生月にサービス担当者会議を実施している。サービス担当者会議には、介護職員、看護職員、介護支援専門員、必要に応じて管理栄養士が参加し、多職種で利用者のサービス内容を検討している。また、必要に応じて機能訓練指導員の助言を取り入れている。家族には葉書で参加するか否か希望を確認しており、約2~3割の方が出席している。

記録の書き方を見直したことにより、正確な引き継ぎやケアの質向上につながった

ある介護棟では、より良いケアのために記録の改善に取り組んでいる。情報を正確かつわかりやすく記録することはケアの質の向上に必要不可欠であるとし、記録についてのマニュアル作成および書き方の統一を図った。ADLの異なる利用者の介護・看護記録を現状調査し、明らかになった課題について検討し、ルールを決めた。また、福祉用具の名称や略語の統一、チェック表の改善を図り、ヒヤリハット記録の書き方のミニ学習会を開催している。これらの取り組みを通じ、正確な引き継ぎや観察のポイントが明確化され、ケアの質向上につながっている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
  標準項目2 利用者の意向や状態に応じて、生活の継続性を踏まえた支援を行っている
  標準項目3 介護支援専門員を中心に、介護、看護、リハビリ、栄養管理等の職員が連携して利用者の支援を行っている
講評
チェック表や看護・介護記録を基に、ケアプランの実施状況を確認している

ケアプランの長期目標を1年、短期目標を6か月とし、モニタリング・評価を行ない、必要に応じてケアプランを変更している。計画に記載された支援内容についての実施状況を看護・介護記録に記載し、後で振り返りやすいように記載している。また、ケアプランを実施しているかどうか定期的に確認できるようにするため、「ケアプラン記入チェック表」を活用している。チェック表や看護・介護記録を活用し、計画に基づいた支援について確認できるようにしている。

入所前の趣味や生活歴を把握し、できるだけ本人の望む生活ができるようにしている

利用者の趣味や嗜好・生活歴等を把握し、入所前の生活をできる限り尊重した支援に努めている。折り紙が好きな利用者に折り紙で作品を作ってもらい、1階のロビーで展示している。図書館が好きな方には、生活相談員が図書館に同行したり、編物が好きな方には、編み棒を預かり、好きな時に実施できるようにしている。利用者の好きなことやしたいことができるよう支援している。

サービス担当者会議には、介護支援専門員4名を含む多職種が出席している

利用者や家族に対する支援は、各介護棟の介護・看護の職員だけでなく、事務職員・生活相談員・管理栄養士・機能訓練指導員などの協力を得ている。施設職員はベテランが多く、介護支援専門員の資格保有者も多い。利用者個々のサービス担当者会議では介護支援専門員、看護師、介護職員、管理栄養士が参加し、各専門職により検討されている。必要に応じて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の機能訓練指導員からの助言やアドバイスを受けることも可能であり、その内容をケアプランに反映している。

  評価項目2 食事の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
  標準項目2 利用者の栄養状態を把握し、低栄養状態を改善するよう支援を行っている
  標準項目3 嚥下能力等が低下した利用者に対して、多職種が連携し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている
講評
食形態は、利用者の咀嚼・嚥下能力に応じて、食材毎に細やかに設定している

普通食・刻み食・粗みじん食・みじん食・ペースト食の5形態を用意し、利用者の嚥下や咀嚼能力に合わせて提供している。栄養ケア計画を確認すると、主食は全粥、副食はみじん食、果物は刻み、林檎・梨はみじん、麻婆豆腐禁止、寿司はソフト寿司、おやつは粗みじん食など詳細な内容を記載しており、利用者が安全に美味しく食べられるようきめ細やかに対応していることが理解できる。また、糖尿・脂質異常・減塩等の9種の療養食に対応しており、健康面にもきめ細やかに配慮している。

栄養ケアマネジメントを実施することで、健康状態の回復や褥瘡ゼロにつながっている

月1回の体重測定、誕生月の血液検査、食事摂取量等のデータをもとに、全利用者の栄養ケアマネジメントを実施している。食事摂取量が低下している方や低栄養状態と診断された方には、高カロリーゼリーや高カロリードリンクを提供し、栄養を維持できるようにしている。また、ペースト食でもタンパク質等の栄養がしっかり取れるように工夫している。栄養ケアマネジメントを実施することで、褥瘡ゼロや看取り期からの回復につながっている。

安全に食事ができるよう、言語聴覚士から助言・アドバイスを受けることも可能である

病院への入院時、口からの食事は難しいと医師の診断を受けた利用者に対して、本人や家族の意向に応じ、口から食べることを支援している。食事前後に吸引が必要な方もおられるが、看護師は現場職員の半数であるため、安心の体制である。また、言語聴覚士の配置により、利用者の退院時や嚥下咀嚼能力の低下時などについて助言・指導を受けている。言語聴覚士による摂食嚥下能力の評価や、食事姿勢や食事形態についてアドバイスを受けることで、利用者が少しでも安全に美味しく食事ができるよう支援している。

  評価項目3 利用者が食事を楽しむための工夫をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の嗜好を反映した食事を選択できる機会がある
  標準項目2 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
  標準項目3 テーブルや席は、利用者の希望に応じて、一定の範囲内で選択できる
  標準項目4 配膳は、利用者の着席に合わせて行っている
講評
管理栄養士と利用者が一緒に食事を作る、利用者参加型の調理教室を開催している

食事を楽しむ工夫として「レッツクッキング」がある。管理栄養士が各棟に出向き、「調理がしたい」と希望する利用者と一緒に、昼食を作っている。食材の型抜きがしやすいよう、型抜きにペットボトルを固定して持ちやすいように工夫したり、片麻痺の方でも餃子が包めるような道具を準備したりと、利用者が調理に関わることができるよう工夫している。また、車椅子の利用者も参加している。調理中の音や匂いは、調理をしている利用者だけでなく、参加しない利用者にも伝わり、食欲を喚起している。

食事を楽しむための工夫が豊富であり、利用者の食事に対する満足度は非常に高い

季節の旬の食材を使った献立を提供する行事食は、年間30回にも及ぶ。行事食の際は、お品書きを添えて、食器にも気を配ることで特別感を出している。食材費を最大限活用し、利用者が好きなもの、美味しいものを提供しようとする努力を重ねている。月1回は鰻やネギトロ、お寿司等、利用者が好きな食事を提供している。また、出張ラーメン、出張パフェ、おやつバイキング等、様々な取り組みを実施している。利用者調査では、満足と返答した方々は回答者の91.7%で、食事に関して非常に高い満足を得ている。

季節の食材や行事食をテーマに、立体の手作りポスターを1階ロビーに掲示している

おせち料理や節分・七夕等、季節ならではの食事に関する豆知識、または、みょうがやリンゴ等の季節の食材の紹介などを、管理栄養士が立体ポスターを作成し、利用者に紹介している。この食育の取り組みは、楽しみながら知識を得ることにつながり、利用者も立体ポスターを触って楽しんでいる。毎月1日は赤飯を提供し、第2水曜日は全利用者を対象とした「誕生日食」、月曜日・金曜日の昼食は選択メニューを取り入れている。バラエティに富んだ献立により、食の楽しみを提供している。

  評価項目4 入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の意向や状態を把握して、できるだけ自立性の高い入浴形態(個浴、一般浴等)を導入している
  標準項目2 入浴の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  標準項目3 認知症の利用者に対し、個別の誘導方法を実施している
  標準項目4 利用者が入浴を楽しめる工夫をしている
講評
利用者の身体状況に合わせ、4つの入浴形態から選択できるようにしている

入浴形態は、一般浴(大浴場)、寝台式機械浴、座位式機械浴、個浴の4形態であり、利用者の身体状況に合わせて決定している。浴室は各フロア毎に設置しているため、他フロアへ移動することもなく、利用者・職員の負担は少ない。平成28年4月1日時点で入浴が自立している方は0名、機械浴槽の利用者は96名(全体の66.2%)で最も多い。また、認知症専用棟では、一般浴槽14名(36.8%)、機械浴槽24名(63.2%)である。利用者の身体状況に変化があった場合には、臨機応変に入浴形態を変更し、安全に入浴できるようにしている。

入浴剤の使用や要望に応えることで、気持ちよく入浴できるよう工夫している

入浴拒否の方も少なくない。その際には、職員を変えて対応したり、時間をずらしたり、大浴場で入浴する場合は相性の良い利用者と一緒に入浴していただく等、個別の配慮を行っている。また、一番風呂を好む方が数名いる場合には、曜日をずらすことによって、できるだけ本人の要望を叶えている。その他、入浴を楽しめる工夫として、ゆず湯や菖蒲湯等の季節の湯の実施や、入浴剤を活用している。機械浴にも入浴剤を使用しており、利用者は香りを楽しんでいる。

利用者の全身状態を確認し、皮膚の異常を速やかに発見・対応できるようにしている

看取り期の利用者に対しても、週1度は入浴できるよう心がけ、清潔を保ち、リラックスできるように取り組んでいる。また、皮膚状態の異常に早期発見できるよう観察を行い、状況に応じて軟膏の使用、低刺激性の石鹸利用、ベビーローションの使用を随時行い、全身のケアに努めている。そのため、看取り期にいる利用者も含めて、褥瘡の発症はゼロである。浴室入口、脱衣場入口、入浴用ストレッチャーと浴槽の間等、必要な場所にカーテンを取りつけており、入浴中のプライバシーや羞恥心への配慮を行っている。

  評価項目5 排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている
  標準項目2 排泄の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  標準項目3 研修等によりオムツ交換、トイレ誘導等の排泄介助方法の向上に取り組んでいる
  標準項目4 トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面や臭いに配慮し、清潔にしている
講評
全介助の利用者が多い中、極力便座に座って排泄ができるように努めている

排泄支援では、平成28年4月1日時点でおむつによる全介助が83名(57.2%)、認知症専用棟は16名(42.1%)と最も多く、次いでトイレとオムツを併用して利用している方が26名(17.9%)、認知症専用棟では14名(36.8%)である。排泄行為が自立している利用者は全体で2名であり、非常に少ない。利用者の重度化が進んでいるが、利用者個々の快適な排泄方法を検討し、残されている排泄感覚を大切にしており、できる限りトイレやポータブルトイレに誘導し、便座に座って排泄できるよう取り組んでいる。

転倒リスクのある利用者が、トイレで排泄ができるよう工夫を凝らしている

トイレ内での転倒リスクがある利用者に対して、「トイレで排泄がしたい」という本人の意思を大切に支援している。排泄終了時にナースコールで職員を呼ぶという行為が認識できない利用者には、センサーマットをトイレまで運び、排泄終了時に立ち上がろうとするとナースコールが鳴るようにしている。また、入所前、おむつを利用していた方のわずかな動きに気づき、職員が時間をかけてトイレでの排泄を支援することで、2~3週間でおむつを汚さなくなったという事例もある。快適な排泄ケアのためにさまざまな努力を重ねている。

利用者個々の排泄リズムや排泄後の後処理を徹底することで、衛生状態を保っている

夜間ポータブルトイレを利用している方もおられる。施設は相部屋であるため、使用の際にはカーテンを閉め、羞恥心に配慮している。職員は専門誌等から、排泄用品の情報をチェックし、試供品を取り寄せて使用することもある。評価員の訪問時、施設内には排泄物の臭いはなかった。利用者個々に適した定期的なトイレ誘導やおむつ交換、その後の清掃や換気、消臭剤の利用等を徹底し、清潔に向けた取り組みの成果である。

  評価項目6 移動の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態や意向に応じ、できるだけ自力で移動できるよう支援を行っている
  標準項目2 ベッド移乗、車イスの操作など移動のための介助が安全に行われている
  標準項目3 利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が行われている
講評
新しい福祉用具の導入に積極的に取り組み、安全・安心な移乗介助を行っている

平成28年12月の時点で142名中車椅子を利用している方は123名(87%)である。施設では、新しい福祉用具の導入に積極的に取り組み、職員にとっても利用者にとっても安全・安心な移乗介助に努めている。トランスファーボードの利用は職員間で定着し、なくてはならない道具となっている。新たな福祉用具を活用する際には、機能訓練指導員が使い方や注意点を説明し、正しく利用できるようにしている。また、新人職員・転入職員に対してトランスファー研修を実施し、職員全員が統一した移乗方法を行えるように取り組んでいる。

入所時には、移動能力に関する情報を詳細に確認し、必要な移動支援を行っている

入所時に収集した情報をADL調査票に記入し、移動に関する内容を詳しく把握している。移動するときに何を使用しているか、また、歩ける方の場合「安全に一人で50メートル程度なら歩ける」「誰かが手を引けば歩ける」、歩けない方の場合「車椅子を自操して自由に動ける」「自力では車椅子を動かせない」等の状態を確認し、利用者に適した移動方法、支援方法を行えるようにしている。入所後は、利用者の日常生活動作(ADL)の変化に応じ、多職種で話し合いながら、臨機応変に支援方法を変更できるようにしている。

利用者が安全に移動するため、様々な福祉用具を用意し、能力に合わせて提供している

利用者一人ひとりに適した車椅子を選定するようにしている。車椅子のブレーキのかけ忘れによる転倒リスクを軽減するため、オートブレーキの車椅子も導入した。また、移乗時にぶつかって怪我をしないよう、フットレスト・アームレストが外せる車椅子を用意している。その他、リクライニング式の車椅子、歩行器、シルバーカー等、利用者の能力に合わせて使用している。必要な福祉用具が足りない場合には、各介護棟で連携・調整して貸し借りを行ない、利用者にとって必要な用具を使用できるようにしている。

  評価項目7 利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに応じた機能訓練プログラムを作成し、評価・見直しをしている
  標準項目2 機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を入れている
  標準項目3 機能訓練指導員と介護職員等の協力のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
  標準項目4 福祉用具は、定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
講評
訓練室やベッドサイドでのリハビリを実施し、利用者のADL維持に努めている

機能訓練指導員は5名であり、併設の老人保健施設との兼務である。理学療法士2名、作業療法士2名、言語聴覚士1名が、それぞれの専門分野を生かしてリハビリテーションを実施している。月曜日の午後は、利用者に訓練室に来ていただき、平成27年度は延べ2,873回の訓練を実施した。また、水曜日には必要な利用者に対してベッドサイドリハビリを実施し、延べ592回の訓練を実施した。その他、作業療法士や言語聴覚士によるグループ訓練を実施し、利用者の日常生活動作(ADL)の維持に努めている。

毎日のラジオ体操やクラブ活動を通じて、身体を動かす機会を設けている

昼食前に各棟の食堂でラジオ体操と口腔体操を実施している。ラジオ体操は、日本各地の方言を利用したCDを使用している。利用者個々の出身地を聞いて、その土地の方言のラジオ体操を流すことで、利用者が笑い合いながら身体を動かしている。また、2か月に1度、「健康体操」や「アンチエイジングクラブ」を開催している。車椅子の利用者であっても参加できる活動で、講師の指示や動きに合わせて身体を動かし、利用者からも好評を得ている。

少しでも自力で生活ができるよう支援し、内容はケアプランに細かく記載している

機能訓練指導員からのアドバイスを受けながら、利用者一人ひとりが安全に移乗・移動ができるよう、アセスメントを行っている。また、個別の支援内容をケアプランに盛り込み、職員間で統一した対応ができるようにしている。できることが日によって変化するリウマチなどの疾病を抱える利用者には身の回りのことを自分でできるよう環境整備を行ない、ベッドやポータブルトイレの位置、洗面所の準備、食事の専用自助具等を個別に工夫し、少しでも自力で生活ができるよう支援している。その内容は、ケアプランの支援内容の中に詳しく記載している。

  評価項目8 利用者の健康を維持するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態に応じた健康管理や支援を行っている
  標準項目2 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
  標準項目3 利用者の状態に応じ、口腔ケアを行っている
  標準項目4 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている
  標準項目5 終末期の対応をすでに行っているか、行うための準備が行われている
講評
看護師が日常支援に関わっているため、健康状態の異変に早期発見・対応が可能である

介護棟職員の約半数が経験豊かな看護職員であり、利用者の日常的な健康管理は手厚い。利用者の普段の様子やバイタル値、排泄状況等を看護師の専門的視点から、利用者の健康状態を把握し、適切な支援につなげている。また、内科・精神科・皮膚科・歯科の往診もあり、利用者の健康管理を行なっている。利用者の体調不良時には、隣接の医療センターとも連携している。しかし、医療センターはベッド数や専門科の有無により、受け入れが難しい場合もあり、その際は、利用者・家族の希望する病院や救急隊の判断により、受診先を決定している。

全利用者に1日3回の口腔ケアを実施し、口臭予防・口腔内環境の保持に努めている

全利用者に対し、1日3回の口腔ケアを実施している。そのため、口腔環境は良好であり、利用者調査時、利用者から口臭を感じられなかった。経管栄養の利用者に対しても、1日3~4回の口腔ケアを実施している。口腔内の健康状態やブラッシングの方法は、週2回の訪問歯科医師にアドバイスをもらい、ケアに取り入れている。毎日の服薬介助は、「服薬介助マニュアル」「お薬マニュアル」に基づいて実施している。セット時・服薬時・服薬後の対応を一覧にして、見えるところに掲示することで、いつでも服薬管理の手順を確認できるようにしている。

本人・家族の意向や「本人らしさ」を大切に、看取りケアを実施している

今年度、100歳を超えた利用者の看取りを実施した。病院への入院後、「施設に戻りたい」という本人の意向を受け、それを叶え、自宅で本人らしく息を引き取られている。また、25年以上施設で生活された方の看取りでは、最期まで口から食べることにこだわり、最期まで褥瘡を作らず、入浴も実施した。利用者や家族の意向、「本人らしさ」を大切にしながら、職員が一丸となって利用者一人ひとりの看取りケアの事例を積み重ねている。

  評価項目9 利用者が日々快適に暮らせるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 起床後、就寝前に更衣支援を行っている
  標準項目2 起床後に洗顔や整髪等、利用者が身だしなみを整える際に支援を行っている
  標準項目3 利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている
講評
定期的に衣類や寝具類を交換し、衛生的な生活が送れるようにしている

自力で着替えが可能な利用者や希望者に対して、寝間着と洋服の更衣支援を行っている。希望しない方、麻痺や拘縮が強く、更衣が身体的に負担となる場合には、無理に昼夜の更衣は行わず、伸縮性の良い着心地の良い洋服で過ごしていただけるように配慮している。衣類が汚れたり、濡れてしまった際には、随時洋服を交換している。衣類の交換は週2回、寝間着の交換は週1回、寝具類(シーツ・枕カバー等)は2週間に1回を基本として対応し、利用者が衛生的に生活できるように支援している。

理美容は4つの業者を活用し、カラーリングやパーマ・顔剃り等が可能である

基本的な起床時間は6時前後である。自身で洗面ができない利用者には、おしぼりを渡したり、清拭を行っている。髭剃りは、起床時や昼食前後等、本人のリズムや各棟の生活リズムに合わせて実施している。理美容は、4つの業者を活用している。月1回の美容、月4回の理美容、月2回の理容である。お洒落が好きな利用者も多いため、美容のニーズが高く、パーマやカラーリングにも対応している。看取り期に入った利用者には、居室でのヘアカットも可能である。

利用者が気持ちよく睡眠できるよう、外気浴や運動等、多方面から工夫を行っている

3階に屋上庭園があるため、天気の良い時は「外気浴」を実施し、陽に当たることで生活リズムを整えている。また、日常的な運動や外出の機会を増やすことで、適度な疲労感を得て、利用者の夜間の良好な睡眠につながっている。また、眠れない利用者には、職員勤務室で職員と一緒に過ごしたり、コミュニケーションを図るなど、無理に入眠を促すことはせず、他者に迷惑をかけない範囲で自由に過ごしていただいている。その他、夜間用オムツの使用や、医師との調整による最小限の睡眠導入剤の使用等、利用者の状況に合わせた対応をしている。

  評価項目10 利用者の施設での生活が楽しくなるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
  標準項目2 利用者の意向を反映したレクリエーションを実施している
  標準項目3 認知症の利用者が落ち着いて生活できるような支援を行っている
  標準項目4 利用者の気持ちに沿った声かけや援助を行っている
講評
他者の迷惑にならない範囲であれば、施設での生活は利用者の自由である

他者に迷惑がかからない範囲であれば、施設での生活は自由である。居室は相部屋であるが、ストレスなく生活できるよう、利用者の関係性にも配慮している。居室には、スペースの範囲内で家庭で使っていた愛用品、信仰による仏壇を持ち込むことも可能である。また、長年編物をしてきた方が編物ができる環境を整えたり、利用者の折り紙作品を施設内で展示したりと、利用者のこれまでの生活習慣を維持できるような暮らしを支えている。

10種類のクラブ活動を実施し、利用者から「楽しい」という意見が多数上がっている

茶道・華道・音楽クラブ・ビデオクラブ等、10種のクラブ活動を開催し、利用者の状態に応じて参加している。ビデオクラブでは、歌謡曲や演歌の映像、時代劇のビデオ等を流し、利用者からも喜ばれている。利用者調査では「施設で好きなことをして過ごせているか」との問いに対し、77.8%の方が満足と回答しており、「クラブ活動が楽しい」との声も聴かれた。また、参加は利用者の自由意思に任されているため、気ままに過ごしたい利用者には、参加を無理強いすることはない。

様々な季節行事や室内装飾を行うことで、利用者が季節感を得られるようにしている

利用者が四季の移ろいを感じていただけるよう、外出の機会や室内装飾、季節行事に取り組んでいる。3階の庭園では季節の野菜の苗を植え、外の空気を楽しみながら、ナス・ゴーヤ・ズッキーニ等を栽培し、「レッツクッキング」の際に調理をしている。また、「さくらもち」や「かしわもち」をつくったり、新春演芸会、ひな祭り茶話会等、食べることから見たり体験することまで、活動内容は幅広い。また、外に出かけることができない重度の利用者であっても、屋上庭園の外気浴や季節感のある装飾により、四季を感じていただけるように工夫している。

  評価項目11 地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 定期的な散歩や外食、遠出など外出の機会を設けている
  標準項目2 利用者が地域の一員として生活できるよう、地域住民が参加できるような行事など、日常的な関わりが持てる機会を設けている
  標準項目3 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
講評
商業施設や観光施設等、利用者が外出できる機会を積極的に設けている

毎年玄関前の桜花園で、屋外喫茶「和(なごみ)」を開催している。5月の新緑の中で、ケーキやプリン・淹れたてのコーヒーを楽しみ、さわやかな陽気の中で利用者同士の会話を楽しんでいる。秋には紅葉を楽しんでいる。また、各介護棟毎に利用者の希望を聴き取り、外出やバスハイクを企画し、地域の喫茶店や商業施設・観光施設に出かけ、美味しい物を食べ、買いたい物・必要な物を購入している。今年度は、昭和の雰囲気が漂うミュージアムに出かけ、懐かしい空間を利用者同士で楽しんでいる。

施設長や生活相談員が地域情報を収集し、会議の場でフィードバックしている

実習生、職場体験、保育園児の訪問等、地域の関係機関(者)との交流が多い。特に子どもたちの訪問は、利用者の表情も綻び、楽しい時間となっている。地域の情報を得る機会として、地区ブロック毎に開催している施設長・生活相談員の横の連絡会がある。地域の情報を収集し、近隣施設の情報や行政のサービス等、支援に活かすことができる内容は、必要に応じて施設内の各種会議でフィードバックしている。また、玄関ロビーには地域の情報誌を掲示し、誰でも閲覧できるようにしている。

施設の運営や利用者支援に、ボランティアは欠かせない存在となっている

各係にボランティア受入・地域交流推進担当者を配置し、ボランティアを受け入れている。生花や折り紙・アンチエイジング等の「クラブ活動ボランティア」、行事の際にコンサートやダンスを披露する「行事ボランティア」、シーツ交換や車椅子整備等の「生活支援ボランティア」の、大きく3種類のボランティアが活躍している。昨年度のボランティア延人数は1,282人であった。施設の運営や利用者支援に、ボランティアは欠かせない存在であり、年1回、ボランティア交流会を開催し、感謝の意を伝えている。

  評価項目12 施設と家族との交流・連携を図っている 実施状況
  標準項目1 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
  標準項目2 家族や利用者の意向に応じて、家族と職員・利用者が交流できる機会を確保している
  標準項目3 家族または家族会が施設運営に対し、要望を伝える機会を確保している
講評
広報紙を年4回発行し、施設全体の行事や取り組みについて家族に伝えている

施設の広報紙「四季の花だより」を年4回発行し、家族に送付している。所長の言葉、各介護等の活動報告、行事報告、苦情解決第三者委員との懇談会の様子、調理事務室からの話等、内容は幅広く、施設の全体的な情報が良くわかる内容である。利用者の近況を記載できる欄を設けており、担当職員が手書きでメッセージを記入している。また、季節の行事や利用者の誕生月には、家族にも案内状を出して参加を促し、利用者とともに行事を楽しんでいる。

利用者の状況や変化を家族と共有し、時には感動体験を得ることにつながっている

利用者の状況を家族と情報共有しながら、必要な介護を実施しており、面会に来られない家族に対しても、電話等で利用者の状況を報告している。今年度、食事が食べられなくなった利用者に対し、高栄養ドリンクを併用しながら、食べられる物を摂取できるように支援した。そして、少しずつ状態が回復し、スプーンを持ってヨーグルトを食べる等、食べる意欲も回復したケースがある。その様子を家族と共有することで、家族も涙を流して喜ばれた。職員と家族が一緒に利用者の状態を共有し、感動を共有している。

家族と管理職の懇談会を開催し、施設の情報を家族に伝えている

6月~7月に数回に分け、家族と管理職の懇談会を実施している。所長、介護保健課長、介護課長、総合的苦情解決第三者委員、管理栄養士、事務局職員が出席し、第三者評価の結果報告や、近況報告、「快適で生きがいのある安らかな生活への支援を進めます」と題したスライドショー等を実施した。また、意見交換や質疑応答の時間も設けている。出席者には、その日利用者に出す献立と同じメニューを食してもらうなど、施設のサービス内容を体験してもらえるような内容も盛り込んでいる。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目3 虐待被害にあった利用者がいる場合には、関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  標準項目4 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
講評
利用者の個人情報が外部に漏れることがないよう、保護の体制を構築している

利用開始時、利用者・家族に「個人情報提供承諾書」を説明し、同意を得て署名してもらっている。また、「個人情報保護方針」「個人情報保護に関する基本方針」「個人情報の利用目的」を所内に掲示し、利用者・家族等に周知している。施設内で実施している職員の課題別研修では、11月~12月に「情報セキュリティ研修」を管理職向けに実施している。その他、郵便ポストを設置して利用者が直接投函できるようにしたり、公衆電話を個室化する等、知られたくない情報が外部に漏れないような環境的配慮も実施している。

緊急やむを得ず身体拘束を行う場合、手順に沿い、廃止に向けた計画を立てている

隔月に併設施設と合同で身体拘束廃止・高齢者虐待防止委員会を開催している。施設ではやむを得ない場合に限り身体拘束を実施することもある。今年度は全身に水胞と表皮剥離が出た利用者に対し、治療を目的としてミトンを使用した。その際には、「緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書」を家族に渡し、身体拘束を必要とする事由、方法、開始日や「身体拘束実施計画書」などについて説明し、家族の同意を得ている。その後、身体拘束に関する経過報告書を作成し、定められたルールに則って、身体拘束の解除に向け、職員が一丸となって取り組んでいる。

虐待防止に関する自己点検を職員全員が実施し、結果をフィードバックしている

身体拘束廃止・高齢者虐待防止委員会にて、高齢者虐待防止に関する自己点検を実施している。介護職員・事務職員・委託業者職員等、併設施設も含めて197名の全職員に対して実施した。自己点検実施前の6月から10月に高齢者虐待に関する研修を実施したことで、職員の意識が高まっている。集計結果は、全体的な結果および係単位による結果にまとめ、回答結果の傾向を含めた内容を職員にフィードバックし、職員に注意喚起を促している。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
  標準項目3 職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などをもとに、基本事項や手順等の改善に取り組んでいる
  評価項目3 さまざまな取り組みにより、業務の一定水準を確保している 実施状況
  標準項目1 打ち合わせや会議等の機会を通じて、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている
  標準項目2 職員が一定レベルの知識や技術を学べるような機会を提供している
  標準項目3 職員全員が、利用者の安全性に配慮した支援ができるようにしている
  標準項目4 職員一人ひとりのサービス提供の方法について、指導者が助言・指導している
  標準項目5 職員は、わからないことが起きた際に、指導者や先輩等に相談し、助言を受けている
講評
マニュアルや施設サービス計画書を用いて、考え方やサービスの水準の確保に努めている

感染症、緊急対応、服薬等の各種マニュアルを整備し、職員がいつでも閲覧できるようにしている。また、「施設サービス計画」も作成し、食事や入浴・ターミナルケア等の「生活サービス」、健康管理やリハビリテーション等の「保健・医療サービス」、クラブ活動やボランティア等の「社会的サービス」等の項目設定により、サービス方針や具体的なサービス方法について明示している。冊子を職員全員に配布し、業務の標準化を図っている。

施設内・施設外研修の機会を豊富に設け、職員がスキルアップできる機会を作っている

新任研修・現任研修・専門研修・課題別研修等の職員研修体系図および研修プログラムを作成している。4月に新人職員や転入職員には、事業運営に関する基礎知識や介護等業務に関する基礎研修を実施している。また、専門研修では、利用者も職員も無理がない安全な移乗の仕方、安全な摂食介護技術、認知症の理解、終末期ケアに対するケア等、実際の介護業務に必要な知識や技術を習得している。外部研修にも積極的に参加を促し、研修後、報告書を作成し、他職員にもフィードバックしている。

利用者が安全に生活できるよう感染症対策や事故防止対策を行っている

事故やヒヤリハットの発生時、「アクシデント・インシデント報告書」に記載し、発生の経過と原因分析を実施している。その内容は、介護棟連絡会で協議・検証後、さらに課長会で検証を行い、現場職員にフィードバックしている。骨折や死亡事故等の重篤なケースについては、決められた手順と書式に従い、東京都に報告している。また、感染症の時期には、蔓延防止のため職員に研修を実施している。今年度は、職員のインフルエンザ罹患者は発生したが、2月初めまで利用者の罹患者はゼロであり、徹底した衛生・感染管理が行われていることがうかがわれる。