東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 平成27年度
サービス名称 指定介護老人福祉施設【特別養護老人ホーム】
法人名称 東京都
事業所名称 東京都東村山ナーシングホーム
評価機関名称 特定非営利活動法人 NPOサービス評価機構

コメント

評価事業を始める際には、できる限り多くの職員が参加できるよう、全職員対象に5回に渡って職員説明会を開催し、自己評価シートの記入方法やスケジュール等について説明した。また、利用者調査では、プライバシーに配慮しながら、利用者への1対1による聞き取りを行なった。報告書完成後は、全職員対象の職員報告会を開催し、評価結果について報告した。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)利用者・家族の意向を尊重するとともに、利用者の状況を的確に把握・評価し、一人ひとりが有する  能力に応じて日常生活を営むことができるよう支援する。 2)常に自己点検を行いながら、利用者の尊厳と自立を基本としたサービス提供と利用者等の安全・安心  の確保に努める。 3)専門的知識・技術に基づく良質なサービスが責任をもって提供できるよう、従事者の資質向上と施設  の改善・改革に努める。 4)都民、地域、利用者のニーズを的確に捉えつつ、効果的・効率的な施設運営を行う。 5)他の福祉・保険・医療等関連機関や地域住民・ボランティアとの交流・連携を深め、地域社会の一員  として地域に開かれた施設運営を行う。

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

・公務員としての自覚を持ち、法令等を遵守し、常に自己点検を行いながら公正・公明かつ効果的・効率的  に業務を遂行する職員。 ・社会福祉法、老人福祉法及び介護保険法等の理念・趣旨及び制度を理解し、利用者・家族の意向を尊重し  つつ利用者の尊厳と自立を基本として施設サービスを提供できる職員 ・福祉・介護・看護等サービス提供者として、良質なサービスを責任をもって提供するための専門的知識・  技術を有するとともに、それを常に高めていく職員 ・利用者等の安全・安心の確保と的確なリスク対応ができる職員 ・都民、地域、利用者のニーズを的確に捉えつつ、他の機関や地域住民とも積極的に連携して地域福祉の  向上に取り組む職員

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

利用者一人ひとりを大切にした生活支援を目指し、接遇の向上と専門的知識・技術の向上に努める  こと。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 栄養状態の改善や食事を楽しむ工夫は評価に値する

栄養状態の改善や、五感を刺激し、食事を楽しむ工夫に取り組んでいる。週2回の「選択メニュー」や四季折々の「行事食」、利用者と一緒に調理する「レッツクッキング」、利用者の眼前で調理する「出張調理」などがある。また、嚥下機能が低下した方への手作りの野菜ゼリーの提供、さらに高齢者に不足しがちなビタミンB群をお米に強化したり、水分にむせる方には「お茶ゼリー」の提供、食物繊維を1日20g摂取できるよう工夫している。そのため、入所してから自然な排便ができるようになったという事例が少なくない。
2 在宅復帰を叶えた方もおられるなど、利用者本人・家族の要望に沿った支援に努めている

前年度と今年度に各1名、施設を退所し在宅に戻られた利用者がいる。その内1件は、要介護度5の方で適宜痰の吸引が必要な方である。カンファレンスの際に家族から強い要望を受け、在宅復帰に向けてのケアプランを作成し、段階を踏んで準備し、在宅復帰を叶えている。その際は、看護師より家族に対して、吸引器の使用方法から安全な吸引方法をチェック表をもとにアドバイスを行っている。重度な利用者でも、本人・家族の要望に沿って、在宅復帰を叶えた事例は評価に値する。
3 QOL活動(生活の質向上)に取り組み、地域住民を招いての公開講座で発表するなど、地域にも当施設の持つ専門性を還元している

毎年、介護棟・各部署ごとにQOL活動(生活の質向上)に取り組み、年度末に地域住民を招いての公開講座で発表している。平成26年度は、管理栄養士・言語聴覚士による「おいしい嚥下食も提供~いつまでも口から食べたい~」が最優秀賞を得て、福祉保健医療学会で口頭発表を行っている。これまで取り組んできた活動は福祉分野における専門的なノウハウの蓄積となっており、福祉業界全体へのサービスの質の向上に貢献できるものである。毎年、テーマを決め、1年間を通して取り組むことで、職員のやりがいや達成感にもつなげている。

さらなる改善が望まれる点
1 利用者の社会性の維持向上を目指し、外出支援に向けたより一層の取り組みを期待したい

介護棟によっては、ビール工場見学や昼外食に出かけるなどの機会を提供したり、散歩や屋外喫茶などで敷地内に出る機会は定期的に設けているが、施設全体としては利用者が地域に出て社会と触れ合う機会は少ない。利用者調査でも「外に出たい」という声が複数人から聴かれた。利用者の身体状態や職員配置数の問題などの解決すべき課題はあるが、利用者の社会性の維持向上を目指し、外出支援に向けたより一層の取り組みを期待したい。
2 機能訓練や生活リハビリに関して、より一層の取り組みを期待したい

隔月1回、身体を動かす健康体操を実施している。健康体操に参加できない利用者や訓練室での個別訓練が難しい方に対して、毎週水曜日の午前中、リハビリ担当職員が居室での訓練を行なっている。しかし、機能訓練指導員は通所リハビリや老人保健施設の個別訓練のほうに多くの時間が取られている状況で、個別訓練を行なう利用者は少人数である。利用者の身体機能の維持・向上のために、機能訓練や生活リハビリに関して、より一層の取り組みを期待したい。
3 民間移譲までの間、職員のモチベーションアップに向けたより一層の取り組みが望まれる

民間移譲にあたって後継法人(施設整備・運営事業者)の決定や施設閉鎖の期日が示された中、都立施設としてのこれまでの職員の支援のノウハウ、研修成果について、その継承をが円滑に行うとともに職員のモチベーションを保持していくことが課題となっている。職員アンケートでも「職員の今後の見通しが立たない」など、自分たちの将来像を描きにくいという声が寄せられていた。利用者が後継法人に無事に移動するまでの間、職員のモチベーションアップに向けたより一層の取り組みが望まれる

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 腰痛対策に力を注ぎ、職員が健康で安心して働き続けられる職場環境を目指している

「職場における腰痛予防対策指針」を作成し、具体的対策をまとめている。今年度、介護・看護の全職員を対象に腰痛予防対策チェックリスト」を行い、腰痛を発生させる直接的・間接的なリスクを見つけ出し、リスク低減対策のための優先度を決定、腰痛予防対策の充実を図っている。また、毎月、安全衛生委員会による職場巡視でのチェック項目に腰痛リスクの視点を入れるなどの改正も行なった。腰痛対策に力を注ぎ、職員が健康で安心して働き続けられる職場環境づくりに取り組んでいる。
関連評価項目(職員のやる気向上に取り組んでいる)
2 ★ 利用者・家族の希望を受け、ターミナルケアの充実に取り組んでいる

昨年度、施設で永眠された方は46名で、そのうち看取り介護加算の請求を行った方は24名であった。利用者や家族が尊厳と安楽を保ちつつ安らかな最後が迎えらるよう支援している。看取りケアでは、言語聴覚士と管理栄養士が協働して、最後まで口から食べてもらえるなど、食事、清潔、排泄、疼痛緩和などでの介護の充実を図ると共に精神的支援に努め、声かけやスキンシップを十分に行なうようにしている。看取りケアに入った際は、個室または静養室に居室を変更し、家族が気遣いなく、利用者に付き添い、一緒の時間が過ごせるようにしている。
関連評価項目(利用者が食事を楽しむための工夫をしている)
3 ★ 医療連携の充実により、利用者の健康な生活を支えている

設立当初より、1フロア当たり看護師と介護職を同数配置し、看護師を24時間配置している。そのため、痰吸引が必要な方や胃ろう・経鼻経管栄養などの医療ニーズの高い利用者も受け入れている。排泄・入浴・食事などの日々の支援も看護師が行なうことで、医学的な視点から利用者を捉え、異常の早期発見に努め、速やかな対応につなげている。さらに常勤医師を配置し、利用者の心身状態について常時相談できる体制を整えている。昨年度の利用者の在籍期間は4.5年と全国平均より高いのは、日々の健康管理の成果と考える。
関連評価項目(利用者の健康を維持するための支援を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:入所者全員を対象とした。回答者の属性は次の通り。男性20名、女性61名。65歳未満1名、65~75歳未満9名、75~90歳未満45名。90歳以上26名、平均要介護度3.3。

調査方法:聞き取り方式  
3日間に亘り7名の評価員が施設を訪問し、利用者と1対1による面接方式による調査を実施した。その際はプライバシーに配慮して行った。

利用者総数 148人
アンケートや聞き取りを行った人数 148人
有効回答者数 81人
回答者割合(%) 54.7%

総括
・総合的な感想としては「大変満足」19名(23.5%)、「満足」52名(64.2%)、「どちらともいえない」8名(9.9%)、「不満」1名(1.2%)、「大変不満」1名(1.2%)である。回答者の約78.7%が満足と答えている。 ・回答者の80%以上が満足と答え、高い満足を得た設問は次の通りである。問1「食事」、問2「生活するうえで必要な介助」、問5「清潔な生活環境」、問6「職員の言葉遣いや態度、服装」、問7「緊急時の対応」、問9「利用者の気持ちの尊重」」。 ・「はい」と返答した方々が回答者の半数以下は、問11「計画作成時の要望の把握」、問12「計画の説明」、問14「外部の苦情相談窓口の周知」。 ・利用者からは「皆さん(職員)、親切です」などの日頃の職員の援助への感謝の言葉が聴かれた。その一方、「外に出かけたい」「少しお酒を飲みたい」「お風呂をもう1回くらい入りたい」などの数々の要望も寄せられた。

利用者調査結果

1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか
はい 70人  どちらともいえない 5人  いいえ 3人  無回答・非該当 3人 
「はい」と返答した方々は回答者の86.4%で、食事に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方々からは「旬の果物がでる」「体に良い食事と思う」「中華が好き」、「どちらともいえない」と返答した方からは「味に慣れるまで少しあった。今は慣れた」、「いいえ」と返答した方からは「お粥だとお腹がすいてしまう」などの声が寄せられた。また、「魚が嫌いなので、別の食材に変えてもらっている」「いつもはペースト状の食事だが、スイカはそのままの形で出してとお願いしている」などの要望を叶えてもらっているとの声も聴かれた。
2.日常生活で必要な介助を受けているか
はい 65人  どちらともいえない 6人  いいえ 3人  無回答・非該当 7人 
「はい」と返答した方々は回答者の80.2%で、必要な介助に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方からは「カラオケが楽しみです」「トイレに行く時など、必要なとき手伝ってもらえる。でもナースコールはなるべく押さないようにして、自分でできることはしている」「(職員は)ボタン押せば飛んできてくれる」、非該当(わからない)と返答した方々は「自分で何でもしているので、職員には(介助を)頼まない」という理由からであった。
3.施設の生活はくつろげるか
はい 63人  どちらともいえない 11人  いいえ 4人  無回答・非該当 3人 
「はい」と返答した方々は回答者の77.8%で、施設生活のくつろぎに関して概ね満足を得ている。「はい」と返答した方々は「皆で歌を歌うのが楽しみ」「昔から裁縫をしてきたので、手先を使うのが好きで、折り紙をしている。作品を壁にも飾っている」「書道、折り紙、生け花、編み物が楽しみ」など施設生活での楽しい時間について色々な話を聴くことができた。その一方、「どちらともいえない」と返答された方からは「自分の身体を保つのが精一杯なので、クラブ活動や好きなことなどはできない」という声も聴かれた。
4.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか
はい 57人  どちらともいえない 10人  いいえ 10人  無回答・非該当 4人 
「はい」と返答した方々は回答者の70.4%で、健康状態への配慮に関して概ね満足を得ている。「良くしてくれる」「最近調子が良くないので、(職員皆が)心配してくれる」「良く面倒見てくれる」、「どちらともいえない」と返答した方々からは「具合が悪くなった時は(自分から)伝えている」「時々気遣ってくれる」「(入所当初は)泣いていたから、良く声をかけてくれた。今は特にない」、「いいえ」と返答した方々からは「話は聞いてくれるが、そんな暇な人(職員)はいない。みんな“忙しい”と言う」などの声が聴かれた。
5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 77人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
「はい」と返答した方々は回答者の95.1%で、施設内の清掃、整理整頓に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方々からは「4人部屋で3人ですが、お部屋もきれいです」「部屋の掃除をしてくれている」「毎日きれいにしてくれる」「掃除も良く行き届いて、シーツも良く取り替えてくれる」、「どとらともいえない」と返答した方からは「こんなものだと思う」などの声が寄せられた。
6.職員の接遇・態度は適切か
はい 65人  どちらともいえない 13人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
「はい」と返答した方々は回答者の80.2%で、職員の接遇・態度に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方からは「私にわかるように言ってくれる。何回聞いても優しく教えてくださる」「皆さん(職員)、親切で優しいです」、「どちらともいえない」と返答した方々からは「普通だと思う」、「どちらともいえない」と返答した方々からは「優しい人もいれば職業的にやっている人もいる」などの声が聴かれた。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 67人  どちらともいえない 6人  いいえ 2人  無回答・非該当 6人 
「はい」と返答した方々は回答者の82.7%で、緊急時の対応に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方々からは「いつもブザーがついているのでそれを押すと来てくれる」「自分は病気や怪我をしたことはないが、他の人への対応を見て、安心できる」「腰痛の時良く聞いてくれて、コルセットを作ってもらえる」「信頼できる」、非該当(わからない)と返答した方々からは「具合が悪くなったことはない」との理由であった。
8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 58人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 16人 
「はい」と返答した方々は回答者の71.6%で、利用者同士のトラブルに関して概ね満足を得ている「はい」と返答した方々からは「利用者同士のトラブルに合ったことはないけれど、皆さん(職員)が親切にやってくれると思う」「トラブルはない。皆(利用者)、大人しいから大丈夫」「たまにあるようだけど…、大丈夫だと思う」、非該当(わからない)と返答した方々からは「利用者同士の喧嘩はない、見たことも聴いたこともない」との理由であった。
9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
はい 70人  どちらともいえない 5人  いいえ 1人  無回答・非該当 5人 
「はい」と返答した方々は回答者の86.4%で、利用者の気持ちの尊重に関して高い満足を得ている。「はい」と返答した方々からは「一生懸命にやってくれている」「私は耳がよく聞こえないけれど、職員が良く聞いてくれているので安心しています」「風邪をひいた時も良くみてくれた」「親切で優しいし、私以外の他の人(利用者)にも同じように対応している」、「どちらともいえない」と返答した方々からは「何とも言えない。(職員は)いつも忙しそうにしている」などの声が聴かれた。
10.利用者のプライバシーは守られているか
はい 64人  どちらともいえない 6人  いいえ 2人  無回答・非該当 9人 
「はい」と返答した方々は回答者の79%で、プライバシー保護に関して概ね満足を得ている。「はい」と返答した方々からは「安心しています」「嫌な思いはしたことない」などの声が聴かれた。非該当(わからない」と返答した方々からは「秘密なんかない」「皆(利用者)、お友だちなので秘密にすることはない」「カーテンがあり、(プライバシーは)気にならない」との理由からであった。
11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
はい 33人  どちらともいえない 11人  いいえ 14人  無回答・非該当 23人 
「はい」と返答した方々は回答者の40.7%、「どちらともいえない」13.6%、「いいえ」17.3%、非該当28.4%であった。「はい」と返答した方々からは「部屋に(計画を)貼ってある」「つい最近話をした」「聞いたことある」「年に1回、チェックリストを使って、聞かれる」、「どちらともいえない」と返答した方々からは「私はわからないけれど、家族が聞いていると思う」、「いいえ」と返答した方々は「要望は常に聞いてもらえるけれど、計画があることを知らない」、非該当の方々は「私には関係ない」などの声が聴かれた。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 29人  どちらともいえない 14人  いいえ 14人  無回答・非該当 24人 
「はい」と返答した方々は回答者の35.8%、「どちらともいえない」17.3%、「いいえ」17.3%、非該当29.6%であった。「はい」と返答した方々からは「自分でサインをしている」「わかりやすく説明してくれる」などの声が聴かれた。非該当の方々は「わからない」との理由であった。
13.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 63人  どちらともいえない 10人  いいえ 1人  無回答・非該当 7人 
「はい」と返答した方々は回答者の77.8%、「どちらともいえない」12.3%、「いいえ」1.2%、非該当8.6%であった。「はい」と返答した方々からは「感謝しております」「我慢していないで、何でも言っている」「はっきり言うから大丈夫です」「良くしてくれている」、「どちらともいえない」と返答した方々からは「言えない。嫌われたら困るので」「我慢していることはないが、(要望や不満は)言わない」、非該当の方々は「要望や不満は特にない」という理由からであった。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 15人  どちらともいえない 7人  いいえ 32人  無回答・非該当 27人 
「はい」と返答した方々は回答者の18.5%、「どちらともいえない」8.6%、「いいえ」39.5%、非該当33.3%であった。「はい」と返答した方々からは、「あそこに“相談してください”と掲示しているが、面倒なので“よいです”と伝えている」「そういう人がいるのは知ってるけど頼まない」「誰かいるのは知っているけど、相談することはない」、「いいえ」と返答した方々からは「部屋担当の職員がいるので、その人に来てもらってお話をしている」などの声が聴かれた。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目3 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目4 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
年度当初に当施設の運営方針などについて、職員等に文書を配布、周知している

平成19年、東京都が策定した「福祉・健康都市東京ビジョン」において、当施設を民間委譲することが発表され、平成27年3月に後継法人(施設整備・運営事業者)が決定した。これを受けて、平成27年4月・5月に家族に法人紹介と事業計画等の説明を行なっている。職員にも適宜、その進捗状況を報告している。また、毎年、年度当初に当施設の運営方針、課・係の組織目標や具体的な取り組みについて、職員等に文書を配布、周知している。その後、運営会議で、所の運営方針を基に、各部署の取り組み状況について確認し合っている。

民間移譲にあたっては、家族に安心していただけるよう、説明会を行なっている

管理職と利用者家族との懇談会を実施し、直接、家族と意見交換等を行い、家族からは要望等を聴き取り、施設側からは運営方針、連絡事項等をお知らせしている。平成27年4月・5月の後継法人決定の説明会では、東京都高齢社会対策部から決定の経緯を報告し、後継法人の理事長から新施設の事業計画等の説明を行い、家族からの質問や要望も出された。今後も、適宜、説明・報告を行なっていく予定である。また、平成27年8月から改正される介護保険負担限度額認定証の申請内容の変更等についても家族に説明している。

重要案件は、「課長会」(週1回)や「運営会議」(月2回)で検討、決定している

重要案件は、「課長会」(週1回)や「運営会議」(月2回)で検討、決定し、その後文書により全職員へ周知している。管理職は介護棟の引継ぎや誕生日会に参加し、利用者・職員の状況把握に努めている。週1回、課長と各介護棟責任者等による「介護棟連絡会」を開催し、管理職と現場リーダー層の意見交換の場を設けている。そのほか、〔研修〕〔感染症等予防対策〕〔褥瘡予防対策〕〔身体拘束廃止・高齢者虐待予防対策〕〔事故防止対策〕〔苦情解決〕などの各種委員会を設け、テーマ別に現場の問題課題について検討している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している 実施状況
  標準項目1 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
  評価項目2 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている 実施状況
  標準項目1 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
  標準項目2 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
  サブカテゴリー2  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある 実施状況
  標準項目1 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
  標準項目2 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
  評価項目2 ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している 実施状況
  標準項目1 ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
  標準項目2 ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
  標準項目3 ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
  評価項目3 地域の関係機関との連携を図っている 実施状況
  標準項目1 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
  標準項目2 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
講評
「汚職等非行防止研修」「人権研修」を悉皆研修とし、法遵守への自覚を促している

「汚職等非行防止研修」「人権研修」を悉皆研修とし、公務員として法遵守への自覚を促している。さらに地方公務員法、都条例・規則等での違反事故については、その内容を記載した注意文書を施設内に掲示し、注意喚起している。また、他施設での虐待事例や厚生労働省の高齢者虐待の調査結果などについても全職員に周知し、虐待防止への意識づけをしている。「接遇チェック表」も実施し、接遇面での意識向上を図っている。

「在宅介護支援講座」など、当施設の専門性の地域還元に積極的に取り組んでいる

地域の住民、在宅系の介護事業者を対象に、高齢者の病気(認知症等)とリハビリ(講義と実技)をテーマに「在宅介護支援講座」を開催し、約60名が参加し、地域における介護知識の普及・向上に貢献している。参加者からは「大変わかりやすかった」との感想を多くもらっている。年度末のQOL発表会では、他施設の職員にも参加を働きかけている。当施設の管理栄養士が市内の高齢者福祉施設の栄養士対象の研修会で講師を行なうなど、当施設のこれまで蓄積してきた専門性の地域還元に積極的に取り組んでいる

都立施設ならではのボランティア、実習生を受け入れ、福祉人材の育成に貢献している

クラブ活動・行事などのボランティアのほか、都立施設ならではの役割としてアルコール依存症支援施設や障害者施設からのシーツ交換ボランティア、「登校拒否児童」のボランティア、児童自立支援施設からのシーツ交換ボランティアを受け入れている。公的施設として福祉系・医療系・看護系大学生、教員免許取得希望者(介護体験)、国家公務員(新人職員)、東京都職員(新人職員)、都立の各職業能力開発センター受講生等の実習生を幅広く受け入れている。ボランティア交流会や功績あるボランティアの方々に感謝状と記念品を贈呈している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  利用者意向や地域・事業環境の把握と活用
  サブカテゴリー1  利用者意向や地域・事業環境に関する情報を収集・活用している
  評価項目1 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む) 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
  評価項目2 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
  標準項目2 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
  標準項目3 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
  評価項目3 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
  標準項目2 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
  標準項目3 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
講評
第三者委員を2名配置し、利用者の苦情や意見を聴き取り、家族会にも参加している

平成14年より、中立的な立場からの利用者の立場や特性に配慮し、苦情を解決する第三者委員を2名配置している。苦情解決制度の紹介文書を所内に掲示したり、広報紙で苦情解決窓口や第三者委員の方々を紹介し、利用者・家族へ周知している。年2回、第三者委員との懇談会を開催し、当日は直接介護棟に出向き、利用者の声を聴いている。年3回の家族懇談会に第三者委員も参加し、家族の方々に第三者委員を紹介している。今年度から、毎月、第三者委員の一人が各介護棟を周り、利用者の様子を把握し、直接聴き取りを行っている。

家族に対しては、年1回の所独自アンケートなどを実施し、意向把握に努めている

第三者評価ではオプションにて家族満足度調査を実施し、家族の意向把握に努めている。アンケート結果を集約し、問題点の分析を行っている。分析結果を基に、各種委員会等において改善策に取り組んでいる。また、ケアプラン作成にあたっては、利用者本人・家族への参加も働きかけ、利用者の意向に沿った計画の作成に努めている。家族アンケートでは「介護計画作成の際には、ご利用者本人やご家族の意見や要望を聞いて取り入れてくれていますか」に関して、回答者の78.3%の方々が「非常に良い」「良い」と返答している。

全国レベルの組織団体に加盟するなどして高齢者福祉に関わる情報を収集している

地域の施設連絡会等に参加している。また、全国レベルの組織団体に加盟して大会に参加するなど、さまざまなルートを活用し、高齢者福祉および介護業界の動向等について情報収集やノウハウの発信に努めている。また、各職位職種の職員が、地域の施設連絡会等に参加し、地域の高齢者福祉に関する情報収集に努めている。また、都の直営施設であるため、「所長会」「庶務担当課長会」等を通して、高齢社会対策部との連絡を取り、情報共有を行っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  計画の策定と着実な実行
  サブカテゴリー1  実践的な課題・計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している 実施状況
  標準項目1 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 年度単位の計画を策定している
  標準項目3 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
  評価項目2 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
  標準項目3 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
  標準項目4 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
  評価項目3 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
  標準項目3 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目4 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
  サブカテゴリー2  利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
  評価項目1 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
  標準項目2 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
  標準項目3 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
  標準項目4 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
講評
毎年、「運営会議」で現場の意向を反映し、組織目標を策定している

毎年、4月末に所管局から組織目標の方針が出され、それを受け、「運営会議」で現場の意向を反映し、東村山ナーシングホーム全体としての組織目標を最終決定、その後、課・係の具体的な取り組みを策定している。組織目標は第三者委員からのフィードバック、利用者・家族アンケート調査等にて検証された改善策も盛り込まれ、リスクなどを勘案し、可能な限り数値化・指標化されている。また、組織目標は、職員個々の仕事目標に落とし込まれている。その後、年度末に都福祉保健局に実績報告を提出し、組織目標の進捗管理を行なっている。

「アクシデント・インシデント報告書」を集計分析し、事故予防につなげている

日常ケアの場面で生じたリスクはすべて「アクシデント・インシデント報告書」に記載し、同時に速やかに介護棟責任者に情報提供し、必要な場合は家族に連絡している。さらに「アクシデント・インシデント報告書」に基づき、介護棟連絡会および2か月ごとの委員会で報告、さらに半期ごとに集計分析している。また、事故防止対策検討委員会で、直近の「アクシデント・インシデント報告書」を基に転倒・誤薬等の対策を検討している。あわせてアクシデントのうち関係機関等に報告の必要なものは所内の要綱・指針に基づき「事故報告書」を作成している。

「手の洗い方教室」を5年間継続して開催し、手洗いの大切さの理解を深めている

自衛消防組織を設置し、月1回、有事に備え、総合訓練を行なっている。年1回、消防署立会いで、訓練の評価をもらっている。「事業継続計画(地震編)」「事業継続計画(新型インフルエンザ編)」も作成し、非常の際の行動を定めている。他方、感染症対策委員会を設け、感染症の発生時期前に、ノロウイルス、インフルエンザなどへの予防策や発生時の対策を検討している。「手の洗い方教室」を5年間継続して開催している。今年度は、ふき取り検査を行い、汚れを数値化し、手のきれい度を判定し、手洗いの大切さの理解を深めている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成に取り組んでいる
  評価項目1 事業所にとって必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
  標準項目2 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
  標準項目3 適材適所の人員配置に取り組んでいる
  評価項目2 職員の質の向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
  標準項目2 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している
  標準項目4 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている
  標準項目5 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
  サブカテゴリー2  職員一人ひとりと組織力の発揮に取り組んでいる
  評価項目1 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
  標準項目3 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
  評価項目2 職員のやる気向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
講評
常勤職員の平均年齢は52歳で、経験豊富なベテランの職員集団である

都直営施設であるため職員の人事は都の方針に基づき行われ、年度途中の職員の欠員に対する補充が困難であり、所として非常勤職員や賃金職員の採用で補完している。非常勤職員も含めて介護福祉士の資格保有率は約60%以上で、サービスの質の担保を確保している。常勤職員の平均年齢は52歳で、経験豊富な職員集団であるが、高齢職員が多く、健康維持の面で不安を抱えている。常勤職員の平均在職年数3.9年、直接支援に携わっている職員(非常勤は常勤換算)1人当たりの利用者数1.9人で、職員配置は比較的厚いといえる。

東京都主催研修の他に所としての研修計画を策定、実施している

東京都主催研修の他に所としての研修計画を策定、実施している。内部研修では、褥瘡予防対策や摂食・嚥下研修など、介護施設の職員として必要なテーマを設定し、専門スキルの向上を図っている。研修の都度、報告書を提出させ、所属課長がコメントを付し確認している。毎年、3月に各介護棟を始め各部署の1年間の取り組みを発表するQOL発表会を実施し、優秀な取り組みを表彰している。さらに福祉保健局学会での発表や外部研修などにも積極的に取り組んでいる。研修報告を研修通信に掲載して、全職員で知識・ノウハウの共有化に努めている。

メンタルヘルス・腰痛予防に力を注ぎ、職員の心身の健康管理に努めている

年休取得や超過勤務等の履行状況を把握し、安全衛生委員会・産業医に報告している。安全衛生委員会(月1回)では、メンタルヘルス・腰痛予防に力を注いでおり、身近にできるメンタルヘルス対策の講習会も実施している。年次有給休暇の取得状況は部署によって格差が生じているが、看護・介護では取得率は高い。4半期ごとに「ノー超勤ウィーク」を設け、残業ゼロへの意識づけを図っている。都全庁での職員提案制度の仕組みがあるが、独自の「所長賞」を設け、業務改善に功績のあった職員を表彰し、職員のやる気向上につなげている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  情報の保護・共有
  サブカテゴリー1  情報の保護・共有に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定している
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・保管している
  標準項目3 保管している情報の状況を把握し、使いやすいように更新している
  評価項目2 個人情報は、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえて保護・共有している 実施状況
  標準項目1 事業所で扱っている個人情報の利用目的を明示している
  標準項目2 個人情報の保護に関する規定を明示している
  標準項目3 開示請求に対する対応方法を明示している
  標準項目4 個人情報の保護について職員(実習生やボランティアを含む)が理解し行動できるための取り組みを行っている
講評
情報の管理基準を策定し、情報管理に関しては万全を期して取り組んでいる。

文書の内容によりアクセス権限を設定したり、半年ごとに変更する個人別パスワードを設定したりして情報の漏れを防いでいる。情報の管理基準を策定し、私物のUBSメモリーの持込み禁止、UBSメモリー等は原則持ち出し禁止、止むを得ず持ち出す場合は課長の許可を必要とするなど、情報管理に関しては万全を期して取り組んでいる。毎年、本庁より個人情報の保管状況や自己点検実施状況の監査も行なわれている。各部署にIT担当者を設け、IT担当者会議を随時、開催、個人情報保護法遵守に関する周知を図っている。

「個人情報保護方針」「個人情報の利用目的」は1階ロビーに掲示している

個人情報保護法の趣旨に従い、個人情報の保護に関する諸規定を整備している。またプライバシーポリシーも確立されている。「個人情報保護方針」「個人情報の利用目的」は1階ロビーやホームページに掲示し、利用者および家族、関係者などに周知している。また、「個人情報提供承諾書」を作成し、入所時に第三者への個人情報の利用目的を説明し、その同意文書を交わしている。広報誌などに利用者の顔写真を掲載する際は、その都度、利用者・家族の了解を得ている。

ボランティア、実習生等に対して、個人情報保護遵守に関する誓約書を交わしている

各種会議等にて、個人情報を含むセキュリティ事故防止への注意喚起を促している。ウェブサイト閲覧による個人端末のウィルス感染事故防止に向け、標的型メールの例を職員に知らせて注意を呼びかけると共に、標的型メールの訓練も行なっている。年1回、都福祉保健局研修「情報セキュリティ・個人情報保護」Eラーニングでの悉皆研修も行なっている。非常勤職員、ボランティア、実習生等に対して、研修やオリエンテーション時に、個人情報保護遵守に関する説明を行うとともに、誓約書を交わしている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー8  カテゴリー1~7に関する活動成果
  サブカテゴリー1  前年度と比べ、事業所の方向性の明確化や関係者への周知、地域・社会への責任の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー1:「リーダーシップと意思決定」
・カテゴリー2:「経営における社会的責任」
・カテゴリー4:「計画の策定と着実な実行」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
新型インフルエンザに向けた事業継続計画(BCP)を改正し、訓練も行なっている
・新型インフルエンザに向けた事業継続計画(BCP)を改正した。新型インフルエンザに向けた事業継続計画(BCP)の作成にあたっては、①海外発生期、②国内発生早期、③都内発生早期というそれぞれの場面での具体的状況を示し、施設内に感染症を入り込ませない感染予防対策について検討し、その理解を深めている。さらにBCP新型インフルエンザの対応訓練も行なっている。
・日常の感染予防対策として、毎年、継続して「手の洗い方教室」を開催しているが、今年度は、事務室の職員にも参加を働きかけている。手洗い後のふき取り検査の結果を受けて、「出勤後の手洗い」を促すポスターを作成したり、今年度、石鹸が一定量出てくる手洗い設備を2台整え、利用者の生活が安全に送られるよう支援している。
・組織統合に伴う自衛消防隊の体制を整備し、新たな自衛消防隊の編成と任務を確定している。
 
  サブカテゴリー2  前年度と比べ、職員と組織の能力の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー5:「職員と組織の能力向上」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
社会福祉士実習指導者を育成し、実習生が増加している
・QOL発表会を継続的に実施し、職員の主体的な学びを促進すると共に、年度末に地域住民の方々や他施設の職員などにも参加を呼びかけることで、地域の介護の質向上にも貢献している。
・実習生を積極的に受け入れている。社会福祉士実習指導者を育成し、実習生が増加している。
・毎年、在宅介護支援講座を開催している。今年度は、9月に「自宅で暮しやすくするために~高齢者の病気とリハビリテーション~」をテーマに、医師から認知症やリハビリテーションについての講義を行い、作業療法士によるリハビリの実技指導が行なわれている。職員への研修のみならず、地域住民・近隣の居宅介護支援事業所職員なども参加し、好評を得ている。

 
  サブカテゴリー3  前年度と比べ、福祉サービス提供プロセスや情報保護・共有の面において向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、以下のカテゴリーで評価される部分について、改善を行い成果が上がっている
・カテゴリー6:「サービス提供のプロセス」
・カテゴリー7:「情報の保護・共有」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
新たに個人情報セキュリティ研修を実施し、法遵守への意識向上を図っている
・新たに個人情報セキュリティ研修を実施し、個人情報保護に向けての意識向上を図っている。
・前年度と今年度に各1名、施設を退所し在宅に戻られた利用者がいる。カンファレンスの際に家族から強い要望を受け、在宅復帰に向けてのケアプランを作成し、その希望を叶えている。他方、ターミナルケアの充実も図っている。在宅復帰からターミナルケアまで、利用者・家族の要望に沿って、多職種が連携し、利用者一人ひとりの状態に合った適切な支援につなげている。 
  サブカテゴリー4  事業所の財政等において向上している
  評価項目1 財政状態や収支バランスの改善へ向けた計画的かつ主体的な取り組みにより成果が上がっている
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
在庫管理の徹底により、経費削減に努めている
・歳出事務費の抑制に向けて、在庫管理の徹底により、経費削減に努めている。また、毎日のラジオ体操、嚥下体操、「アンチエイジング・クラブ」・「健康体操」などの日々の健康への取り組みや、手の洗い方教室などの感染予防対策、管理栄養士・リハビリ担当職員との連携による栄養改善などで利用者の健康な生活を支え、入院者を少なくし、稼働率向上に取り組んでいる。 
  サブカテゴリー5  前年度と比べ、利用者満足や利用者意向の把握等の面で向上している
  評価項目1 前年度(比較困難な場合は可能な期間で)と比べて、利用者満足や以下のカテゴリーで評価される部分において改善傾向を示している
・カテゴリー3:「利用者意向や地域・事業環境などの把握と活用」
評価結果 改善に向けた計画的な取り組みが行われており、成果として現れている
毎月、第三者委員の一人が各介護棟を周り、利用者への聴き取りを行っている
・「四季の花だより」(広報紙)に総合的苦情解決窓口や1階ロビーに置いてある「利用者の声」を投函する意見箱や第三者委員について紹介している。今年度から、毎月、第三者委員の一人が各介護棟を周り、利用者の様子を把握したり、直接聴き取りを行っている。
・第三者評価ではオプションにて家族満足度調査を実施し、家族の意向把握に努めている。アンケート結果を集約し、問題点の分析を行ない、分析結果を基に、各種委員会等において改善策に取り組んでいる。また、ケアプラン作成にあたっては、利用者本人・家族への参加も働きかけ、利用者の意向に沿った計画の作成に努めている。家族アンケートでは「介護計画作成の際には、ご利用者本人やご家族の意見や要望を聞いて取り入れてくれていますか」に関して、回答者の78.3%の方々は「非常に良い」「良い」と返答し、計画作成時における要望把握に関しては概ね満足を得ている。
・管理職と家族の懇談会を開催している。利用者の家族が直接介護棟職員に言いにくいことを、管理職に直接伝える機会である。今年度は、管理栄養士から食事形態の紹介をしながら試食会も行ない、家族からの質問にも答えている。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページ、パンフレット、「四季の花だより」などから施設の情報を提供している

ホームページ、パンフレット、「四季の花だより」(広報紙)などから施設の情報を提供している。ホームページは、施設での暮らしの概要がわかるよう情報発信している。また、併設の介護老人保健施設、通所リハビリテーションの情報も確認できると同時に、パンフレットや「四季の花だより」をダウンロードできる。また、「四季の花だより」は写真を多用するとともに拡大文字を活用し、読みやすく、また、日々の生活状況がわかるよう個々人ごとに近況コメントを加えて、家族に送付している。また、介護棟毎に行事や生活の様子をお知らせしている。

地域でのブロック会議や事務関係会議などに参加し、情報交換している

地域でのブロック会議や事務関係会議などに、所長、課長、相談員、事務担当者などが参加し、施設の情報を提供すると共に情報交換している。また、「四季の花だより」を定期的に地域の行政や関係機関に送付し、施設の活動を紹介している。「東村山キャンパス運営連絡協議会」を開催し、隣接の医療センターと互いの状況を報告し合い、共通課題について協議している。さらに、毎年、「事業概要」を作成し、データを活用して前年度の運営実績をまとめ、あわせて今年度の組織目標および取り組み方針を掲載し、関係者に配布している。



見学・相談は、月~土まで、随時、個別にて対応している

入所申し込み、空室の問い合わせ、介護サービスの利用方法、入所までの介護をどのようにすればよいかなどの多様な相談・問い合わせがあり、相談係が対応している。平成26年度の相談受付実績は年間4,059件である。相談員は6名体制で介護老人福祉施設と介護老人保健施設の両方を担当しており、両施設の入所、短期入所、通所のそれぞれの事業の機能や相違点など、利用希望者に適した施設の紹介等も行っている。見学・相談は、月~土まで、随時、個別にて対応している。相談員記録簿や土曜当番簿に記録を残し、その後の適切な対応に活用している。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
入所前、利用者本人および家族等に対して、サービス内容などを説明し、同意を得ている

入所前に、相談員が利用者本人および家族等に対して、契約書、契約書別紙、重要事項説明書を提示し、サービス内容を説明し、同意のうえ署名・捺印をいただいている。契約書別紙に基づき、利用者負担金(施設利用料・食費・日常生活費等)を説明し、同意を得ている。その他、「個人情報提供承諾書」なども書面で説明し、同意を得ている。また、「医療環境についての確認書」を用意し、健康上の変化が起きた際の医療対応について確認をしている。初回のケアプランを入所日に提示し、サービス内容に同意をもらっている。

入所当初は、利用者にこまめに声かけし、馴染みの関係ができるように心がけている

入所当初は、スムーズに施設の生活や職員に馴れていただくために、担当職員や相談員が頻回に居室訪問し、利用者にこまめに声かけし、円滑なコミュニケーションと馴染みの関係ができるように心がけている。また、家族にもできる限り顔を出していただくよう協力を依頼している。入所は原則午前中に行い、他の利用者には昼食前に紹介している。環境変化に戸惑うことなく、心地よく過ごせる居場所や食事の席など、利用者の様子を観察しながら状況を確認しており、不安やストレスを軽減し、できる限り施設生活が円滑に送れるように配慮している。

サービス終了時にきめ細やかな対応をしている

昨年度の退所者は52名である。在宅復帰の方が1名おられる。そのほか、病院への長期入院5名、永眠された方46名である。病院等への転出に際しては、看護介護サマリーを作成し、家族に渡し、支援の継続性に配慮している。看取りケアを行なう時期に近づいたときは、利用者・家族等に意見や希望を聴き、その対応が可能かどうか、またどのような支援が可能か十分に説明を行い、同意を得て、ターミナルケアを行っている。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに関する情報を過不足なく記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
入所して1か月後に初回のケアプランの見直しをしている

入所後、1か月間、利用者の状態を把握し、再アセスメントし、初回のケアプランの見直しをしている。アセスメントは包括的自立支援プログラムを使用している。ケアプランの長期目標は1年、短期目標は6か月とし、6か月ごとにモニタリングを行ない、各利用者の誕生月にケアプランの見直し、更新を行なっている。ケアプランの見直しの際は、サービス担当者会議を開催し、家族・利用者の参加を基本とし、本人および家族の生活に対する意向確認を行なっている。来所できない家族にはケアプランを送付している。

毎月、サービス担当者会議を開催し、多職種で、利用者のサービス内容を検討している

各介護棟では、毎月、サービス担当者会議を開催しており、介護職員、看護師、介護支援専門員、必要に応じて管理栄養士が参加し、多職種で、利用者のサービス内容を検討している。利用者・家族の参加は介護棟ごとに異なるが、ある介護棟では、利用者本人の参加率約40%、家族の参加率約40~63%である。利用者の状態変化が顕著で、急を要する場合は、棟ごとのミーティングの中でカンファレンスを開催し、必要に応じて管理栄養士や理学療法士などの意見を取り入れ、家族にも電話で意向などを確認し、ケアプランを変更している。

毎朝の引継ぎには介護職員や看護師、相談員や管理職も参加している

毎朝の引継ぎは各棟ごとに行い、介護職員や看護師、相談員や管理職も参加している。引継業務は、夜勤から日勤、遅番、夜勤へと利用者ファイルや情報連絡ノートを活用して行っている。勤務開始時には、連絡ノートや「看護・介護記録」等が必読とされている。利用者情報ノートや連絡ノートには他の職員に伝える必要のある情報や注意事項を記載して周知している。利用者の状況に関する情報は、個別ファイル、ケアプラン、「看護・介護記録」、アセスメントなど多数あり、過不足のない記載の仕組みができている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
  標準項目2 利用者の意向や状態に応じて、生活の継続性を踏まえた支援を行っている
  標準項目3 介護支援専門員を中心に、介護、看護、リハビリ、栄養管理等の職員が連携して利用者の支援を行っている
講評
チェック表や看護介護記録を基にケアプランの実施状況を確認している

ケアプランは、利用者本人および家族やの意向を基に個別に作成している。ケアプランの長期目標は1年、短期目標は6か月として適宜、見直しと評価を行っている。ケアプランに対する取り組みや実施状況は、「各種チェック表」「看護介護記録」「計画実施表」を基に確認している。利用者の日々の様子や排泄・入浴状況などサービスの提供状況を確認できる仕組みを設けている。チェック表や記録を活用することで、利用者支援の透明性を確保し、ケアプランに対する進捗状況の確認も行っている。

利用者の生活習慣に配慮し、入所前の生活を継続した支援を実施している

利用者の意向や心身の状態に応じて、入所前の生活を継続できるように支援している。利用者自身から、意向を聴き取ることが難しい場合は家族から生活歴・趣味等を聴き取り、ケアプランに反映している。また、誕生月に行なう利用者の「個別支援計画」の検討については、利用者や家族から直接意向の聴き取りを行っている。利用者個々の意向を反映した例として、「図書館に行きたい」「ラーメンが好き」「書道や華道をしていた」などがある。利用者が、入所前の生活と変わらない生活が施設でも送れるように支援している。

様々な専門職の間で情報共有を行い、連携を取りながら利用者支援を行っている

各部署および併設の老健職員とも連携し、利用者の支援を行っている。利用者の「個別支援計画」は、介護支援専門員をはじめ、介護職員や看護師、管理栄養士などが参加し、検討している。また、朝の引継ぎには、管理者や相談員が参加しており、事務連絡や申し送りなど情報共有を行っている。その他、会議や各種委員会など職員が情報共有できる場を多く設け、連携を密に取り職員全体が協働して利用者の支援を行っている。

  評価項目2 食事の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
  標準項目2 利用者の栄養状態を把握し、低栄養状態を改善するよう支援を行っている
  標準項目3 嚥下能力等が低下した利用者に対して、多職種が連携し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている
講評
利用者の状態に応じた食事形態や療養食を提供している

利用者個々の身体状態や疾患に応じて食事を提供している。食事形態は、普通食、きざみ食、粗みじん食、みじん食、ペースト食の5形態を用意しており、利用者の嚥下状況に合わせて提供している。また、嚥下状態が低下した利用者に「ソフト食」「野菜のゼリー」などを提供し、見た目も良く、飲み込みやすい食事を提供している。さらに特定の疾患がある利用者に対して、療養食を提供している。療養食は9種類用意しており、糖尿や減塩・脂質異常など利用者の身体状態にあわせた食事を提供し、食事から利用者の健康を支えている。

栄養マネジメントを実施し、低栄養状態の改善に努めている

食事量の観察や定期的な体重測定、年1回の採血を行い、利用者の栄養状態を把握している。サービス担当者会議では、多職種が連携し利用者一人ひとりに応じた栄養ケア計画を作成している。食事摂取量の少ない利用者や低栄養状態と診断された利用者には、高カロリー食品や高カロリードリンクを提供している。また、管理栄養士は定期的にフロアを周り、利用者の喫食状況を観察、把握している。管理栄養士が直接、利用者の状態を確認することで現状を把握し、適切な食事の提供につなげている。

食事形態を工夫し経口による食事摂取が継続できるように支援している

咀嚼・嚥下機能が低下し普通食が食べれなくなった利用者に対して、ペースト食でも美味しく食事が摂取できるよう工夫している。出汁をきかせた汁物ゼリーやソフト食の導入、野菜ゼリーの提供などオリジナルのレシピを作成し、利用者一人ひとりの嚥下状態に合わせた食事を提供している。また、水分補給用に手作りのお茶ゼリーを調整し、水分が不足しがちな利用者へ提供している。さらに週2回の訪問歯科の往診を行い、利用者の口腔ケアや治療、義歯の調整を行っている。口腔環境を整えることで、継続して経口から食事が食べられるよう支援している。

  評価項目3 利用者が食事を楽しむための工夫をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の嗜好を反映した食事を選択できる機会がある
  標準項目2 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
  標準項目3 テーブルや席は、利用者の希望に応じて、一定の範囲内で選択できる
  標準項目4 配膳は、利用者の着席に合わせて行っている
講評
嗜好調査(年1回)などにより利用者の嗜好を把握し、献立に反映している

嗜好調査(年1回)、残菜調査(毎食ごと)などにより利用者の嗜好を把握し、献立に反映している。利用者の主食は、本人の希望に応じて、ご飯、パン、パン粥などが選べる。さらに「選択メニュー」を毎週月曜日と金曜日に実施し、好きなものを選択できる機会がある。利用者の好みに応じ代替食も用意しており、栄養バランスに配慮しながら好きな物が食べられるよう支援している。また、献立会議(週1回)、給食委員会(年6回)、給食業務連絡会(年6回)などで食事の改善について検討している。

季節を感じられる行事食や出張調理を通して、食事を楽しむ工夫を凝らしている

季節を感じられる行事食や出張調理を通して、食事を楽しむ工夫に取り組んでいる。主な行事食として、毎月、「誕生会」を行い、年末年始には「長寿そば」「お節御膳」、7月には「天の川そうめん」「うなぎ御膳」などを提供している。誕生会では、利用者から最も意見の多い「握り寿司」を提供している。「握り寿司」は、お粥の方でも食べられるように工夫し、利用者からも好評を得ている。出張調理は栄養士や調理師がフロアに出向き、その場でラーメンやパフェを作り、出来立てを食べていただいている。

フロアでご飯を炊く機会を提供し、匂いなど五感を刺激し、食事の楽しみを増している

利用者からの「あつあつのご飯が食べたい」との要望に応え、フロアでご飯を炊く「炊き立てご飯」を実施している。フロアでご飯を炊くことにより、においなど五感を刺激し、食事の楽しみを増している。また、保温保冷配膳車を使用し、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま提供できるようにしている。食事の時間や場所にも配慮し、利用者の状態に応じた時間差配膳や利用者同士の相性に配慮した食事席を決定している。食事は基本、食堂で召し上がっていただくが、利用者の希望に応じて、居室で食べることも可能である。

  評価項目4 入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の意向や状態を把握して、できるだけ自立性の高い入浴形態(個浴、一般浴等)を導入している
  標準項目2 入浴の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  標準項目3 認知症の利用者に対し、個別の誘導方法を実施している
  標準項目4 利用者が入浴を楽しめる工夫をしている
講評
利用者の身体状況に合わせて入浴支援を提供している

入浴形態は利用者の身体状況に応じて決定しており、利用者の身体に負担の掛からない入浴支援を提供している。入浴形態は一般浴(大浴場)・寝台式機械浴・座位式機械浴・個浴の4形態あり、それぞれの入浴形態が各フロアに設置されているため、フロアを移動することなく浴室まで行くことが可能である。また、利用者の身体状況に変化が見られた場合や一時的な体調不良の場合には、臨機応変に入浴形態の変更を行い、利用者が不自由することなく入浴ができるようにしている。

入浴時の支援や声掛け・誘導は羞恥心に配慮し個人の意思を尊重し行っている

利用者の入浴支援や声かけ・誘導は、個人の意思を尊重して行っている。利用者に気分良く入浴していただくために、日々のコミュニケーションを大切にしている。利用者との信頼関係を深めることで、職員の呼びかけに拒否なく入浴していただけるよう努めている。入所前の生活から入浴が嫌いな方や認知症の利用者には、入浴時間の配慮や声かけの工夫、行動パターンに合わせた誘導を行っている。また、脱衣室での更衣や入浴介助では、無駄な肌の露出を避けるようバスタオル等を掛け、羞恥心へ配慮している。

利用者の健康状態に留意し、入浴を楽しんでいただく工夫をしている

入浴支援では、看護師も介助にあたっており、顔色の確認や全身状態の観察を行っている。体熱感のある方や顔色がすぐれない利用者に対しては、清拭対応やシャワー浴を実施し、清潔保持に努めている。また、洗身介助の時には、身体に適宜お湯を掛け、足浴をしながら洗うことで、身体が冷えないように配慮している。また、入浴を楽しんでいただくための取り組みとして、「季節の入浴」や入浴剤を活用している。柚子湯や菖蒲湯を実施することで季節を感じてもらい、入浴剤は毎月、香りを変えてアロマの香りを楽しんでもらっている。

  評価項目5 排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている
  標準項目2 排泄の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  標準項目3 研修等によりオムツ交換、トイレ誘導等の排泄介助方法の向上に取り組んでいる
  標準項目4 トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面や臭いに配慮し、清潔にしている
講評
利用者に状態に応じ身体に負担がかからない排泄支援を実施している

排泄が自立している利用者が6名(4%)、何らかの排泄支援を必要とする利用者が142名(96%)である。排泄介助が必要な利用者は、終日オムツ着用の方々55%、トイレへ誘導して便座に座って排泄する方々44%である。また、利用者の重度化が進んでいるため、立位保持が難しい方に対しても、職員は2名介助で可能な限りトイレに座って排泄できるように支援している。さらにオムツを着用して入所された方でも、座位保持が可能で、トイレの訴えがある方には、トイレでの排泄を支援し、利用者の尊厳を傷つけない支援を心がけている。

食物繊維の多い食材や腹部マッサージを行い自然な排泄を促すように支援している

自然な排泄を促すために、様々な工夫を行っている。まず食事面のアプローチとして、食物繊維の摂取と水分摂取に力を入れている。1日20gの食物繊維を摂取することを目標とし、食事を提供している。また、水分ゼリーの提供により嚥下困難者でも水分を多く摂取できるよう工夫している。水分の摂取と食物繊維の摂取により、腸の働きを促し、便秘の改善に努めている。その他にも、トイレ誘導時には腹部マッサージを行う等、自然に排泄できるよう支援している。利用者からも「(入所後)お通じが良くなった」との声が聴かれている。

利用者の羞恥心や衛生面に配慮を行いながら、排泄介助を行っている

オムツの交換やポータブルトイレへの誘導など居室で排泄介助を行う場合は、カーテンで仕切り、他者から見えないように支援している。また、本人の尊厳を傷つけないため、同室者にも排泄介助をするということが気付かれないよう、声かけに配慮している。排泄介助後は、汚物専用処理袋に排泄物を入れ、部屋の空気を入れ替える等、臭気にも配慮している。ポータブルトイレを使用している方については、消臭剤を入れて臭気に配慮するとともに、排泄ごとに清掃することで、衛生面にも配慮している。

  評価項目6 移動の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態や意向に応じ、できるだけ自力で移動できるよう支援を行っている
  標準項目2 ベッド移乗、車イスの操作など移動のための介助が安全に行われている
  標準項目3 利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が行われている
講評
職員は利用者の能力を把握し、自立して移動や移乗ができるように支援している

利用者の移動や移乗についての行動能力は、入所時にアセスメントを実施し、職員間で情報共有している。現在、施設で車いすを常時使用している利用者が129名(約87%)である。車いす以外にも、シルバーカーや杖等を使用することにより自立した移動ができるよう支援している。また利用者の状態変化により、新規に移動補助具が必要になった場合には、機能訓練指導員と協議を行い、利用者の状態に適した補助具を選定している。初めて補助具を使用する利用者には、看護師や介護職員が使用方法や安全面の注意・指導を行っている。

利用者の状態を周知し転入職員を対象としたトランスファーの研修を実施している

利用者に安全な移乗・移動支援を提供するために利用者個々の能力をアセスメントし、職員へ周知している。職員は、利用者の残存機能を活かしつつ個別の移乗方法を把握し支援にあたっている。また、安全な支援を提供するために、トランスファー研修を実施している。研修内容として、トランスボードの使用方法や移乗介助の基本動作を転入職員を対象に行っているが、一般職員も参加可能としている。移乗支援の基本を学ぶことで、利用者の安全だけでなく職員の腰痛予防にもつながっている。

利用者の身体状況に合わせて福祉用具を選定を行っている

利用者が使用している福祉用具は、車いすやベッド、シルバーカー等がある。それぞれの福祉用具は、利用者の安全面に配慮し、身体状況に合わせて提供している。特に車いすは、利用者の身体状況に合わせて提供している。長時間の離床が厳しい方や身体の不自由な方には、リクライニング式車いすの提供を行い、転倒のリスクがある認知症利用者には、オートブレーキ式の車いすを提供している。また、移乗介助時の事故防止や自力で移乗しやすいよう肘掛けが外せる車いすを使用している。

  評価項目7 利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに応じた機能訓練プログラムを作成し、評価・見直しをしている
  標準項目2 機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を入れている
  標準項目3 機能訓練指導員と介護職員等の協力のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
  標準項目4 福祉用具は、定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
講評
リハビリを希望する利用者に対し個別のプログラムを作成し訓練を実施している

機能訓練指導員は、理学療法士2名・作業療法士2名・言語聴覚士1名の計5名おり、それぞれの役割ごとに利用者の状態に応じた月1回のベッドサイドリハビリを実施している。リハビリ担当職員は、毎週水曜日の午前中にフロアでの訓練を実施している。各利用者の居室に出向き、ベッドサイドで立位訓練や座位保持訓練・歩行訓練等を実施している。また、寝たきりの利用者にも関節の拘縮を予防するために下肢や上肢の可動域訓練を実施している。少人数ではあるが、リハビリを希望する利用者に対して個別のプログラムを立て、訓練を行なっている。

機能訓練指導員と介護職員が連携し、日常生活の中でリハビリを行っている

毎日の生活の中で、利用者の機能が低下しないようリハビリ担当職員と話し合い、看護・介護職員でも実施可能な機能訓練に取り組んでいる。主な機能訓練内容として、普段は車いすを使用している利用者でも、立位や歩行が少しでも可能な方には、トイレ誘導など生活の中で残存機能を活かしつつ、立位訓練や短い距離の歩行訓練を実施している。看護・介護職員は利用者が日常生活の中で、自立した生活を送れるよう過剰な支援は控え、利用者のやる気を促進する声掛けや必要な介助の実施に努めている。

毎日のラジオ体操やアンチエイジングクラブなど身体を動かす取り組みを実施している

利用者の介護度は、介護度4・5の方が62%、要介護3を含めると約80%である。重度化が進むにつれ、身体を動かせる利用者が減少しているため、残存機能の維持・向上を目的として様々な取り組みを行っている。毎日、昼食前には、ラジオ体操と口腔体操を行なっている。その他に「アンチエイジングクラブ」や「健康体操」を隔月で実施している。「アンチエイジングクラブ」は元気な利用者を対象とし、タオルを使用した体操を行うことで、健康増進を目的とした取り組みである。

  評価項目8 利用者の健康を維持するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態に応じた健康管理や支援を行っている
  標準項目2 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
  標準項目3 利用者の状態に応じ、口腔ケアを行っている
  標準項目4 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている
  標準項目5 終末期の対応をすでに行っているか、行うための準備が行われている
講評
常勤医師と手厚い看護師の配置により、利用者の健康管理に力を入れている

日々の利用者支援にあたる職員の半数が看護師である。日常的な排泄支援や入浴支援・食事介助に看護師が関わることで、専門的な視点から利用者を日々の変化を観察している。また、各診療科嘱託医や常勤医師を配置し、1週間に2度回診を行い、利用者の体調の確認や薬の処方を行っている。常勤医師には、体調の悪い利用者や急変時の相談も行っている。さらに隣接の協力病院と連携し、年1回の健康診断の実施や利用者が急変した際の受け入れなど、必要な医療処置が受けられる環境が整っている。

言語聴覚士や訪問歯科と連携し、利用者の嚥下・口腔機能の維持に努めている

毎週水曜日に言語聴覚士より昼食前に嚥下体操を実施している。言語聴覚士が実施した内容を介護・看護職員が参考にして毎日昼食前に実施している。 言語聴覚士はフロア巡回時に、利用者の食事摂取指導や個別の嚥下訓練も実施している。また週2回、訪問歯科の往診があり、訪問歯科医と歯科衛生士より利用者の口腔ケアについて、ブラッシング方法などのアドバイスを受けている。利用者個々の口腔状態に応じて、歯ブラシだけでなく舌ブラシ等を活用することにより、口腔環境の清潔に努めている。

ターミナルケアに力を入れており昨年度、施設で看取った利用者は27名である

昨年度、永眠された方々は46名で、施設内でターミナルケアを行った方が27名であった。ターミナルケアでは、利用者や家族が尊厳と安楽を保ちつつ安らかな最後が迎えられるよう支援している。利用者の状態が悪化し、ターミナル期に入るとカンファレンスを実施する。カンファレンスは、医師をはじめ関係部署が同席し、家族に対しターミナルケアについての説明を行い、書面をもって同意をいただいている。ターミナル期に入った利用者は、個室または静養室に居室を変更し、家族とゆっくりと過ごしている。

  評価項目9 利用者が日々快適に暮らせるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 起床後、就寝前に更衣支援を行っている
  標準項目2 起床後に洗顔や整髪等、利用者が身だしなみを整える際に支援を行っている
  標準項目3 利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている
講評
利用者の身体状況に応じて、朝夕の更衣支援を行っている

生活のメリハリを感じていただくために、利用者の身体状態に応じて就寝時にはパジャマの着替え、起床時には日常着への着替えを支援している。更衣支援については、本人の希望に応じて対応しており、着替えを希望しない方や麻痺や拘縮があり、更衣支援を行うことで利用者の負担になると考えた場合は、伸縮性の良い衣類を着用していただき、身体面での負担軽減を行っている。朝夕の更衣支援を行わない利用者にも、入浴時や汚れてしまった際に衣類交換を行い、利用者の衛生面に配慮している。

起床時の洗顔、整容支援の他に毎月の理美容を実施している

利用者の身体状況に応じて、起床時の整容介助を行っている。自力で洗面ができる利用者以外は、おしぼりを渡したり、職員が洗顔の介助を行っている。また、起床時には衣類を整え、整髪を行っている。年2回、衣類の訪問販売を実施しており、利用者が好みの洋服を購入することが可能となっている。理美容については、4つの業者が来訪しており月2回の理容、月1回の美容、月4回の理美容を地下の理美容室で実施している。顔剃りを希望する方、パーマやカラーリングを希望する方など、個々の要望に対応している。

利用者が安定した睡眠をとれるよう日中の離床を促進している

利用者が安定して睡眠を取れるように、施設では日中の活動量の増加に力を入れて取り組んでいる。利用者の活動量を増やすために、日々のレクリエーションやラジオ体操など身体を動かす取り組みを実施している。また、胃ろうの方や身体の不自由な方でも、ベッドから離れて生活することにより、気分転換につながり昼夜逆転の防止を行っている。夜間の巡回は1時間毎に行い、利用者の睡眠状況を観察している。不眠傾向の利用者については、主治医に相談したり、日中の活動内容の見直しを行っている。

  評価項目10 利用者の施設での生活が楽しくなるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
  標準項目2 利用者の意向を反映したレクリエーションを実施している
  標準項目3 認知症の利用者が落ち着いて生活できるような支援を行っている
  標準項目4 利用者の気持ちに沿った声かけや援助を行っている
講評
施設での生活は、他の利用者に迷惑の掛からない範囲で自由に過ごしていただいている

施設での生活は、他の利用者に迷惑の掛からない範囲で自由に過ごしていただいている。利用者が希望すれば、飲酒や喫煙も可能である。喫煙であれば、所定の場所で吸うことを前提とするなど、どちらも健康上に留意し提供している。定期的な飲酒を希望しなくても、納涼祭や誕生会など施設の行事で、利用者がお酒を楽しむ機会を提供している。また、「携帯電話使用申請書」を書くことで、施設での携帯電話の使用が可能である。その他にも、信仰による仏壇の持ち込みやテレビなど私物の持ち込みも可能である。

利用者の状態に応じたアクティビティを提供している

施設での生活に変化と刺激を与え、楽しみを持っていただくことを目的として、10種類のクラブ活動を用意している。クラブ活動は、茶道・喫茶・生花・折紙・書道・音楽・健康体操・指編み・アンチエイジング・ビデオであり、利用者の状態に応じたクラブ活動を実施している。各クラブ活動は、専門の講師の指導のもと本格的な活動を行なっている。利用者全員が複数もしくは、いずれかのクラブ活動に登録しているため、個々のケアプランに反映し、職員に周知することで、希望のクラブに毎回参加ができる。

多彩な年間行事で利用者に季節を感じていただく取り組みを行っている

利用者の生活を潤いのあるものとし、四季の移ろいを楽しんでもらうため、季節にちなんだ行事を多数用意している。施設全体としての季節行事は、夏祭り・敬老祝会・春と秋の屋外喫茶・新春演芸会などで、各介護棟の季節行事として、バスハイク・ひな祭り会・端午の節句茶話会・クリスマス会などを実施している。さらに行事食では、おせち料理や年越しそば、レッツクッキングでは、5月に柏餅・9月に秋の味覚で秋刀魚を焼くなど「食」と行事が連動し、四季を感じていただいている。

  評価項目11 地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 定期的な散歩や外食、遠出など外出の機会を設けている
  標準項目2 利用者が地域の一員として生活できるよう、地域住民が参加できるような行事など、日常的な関わりが持てる機会を設けている
  標準項目3 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
講評
散歩や外気浴・外食支援を行い、利用者が外に出る取り組みを行っている

施設全体の取り組みとして、日々の支援の中に、散歩や外気浴、さらに花見・屋外喫茶などで、施設の外に出る機会を提供している。その他、各介護棟で外出についての計画を立案し、バスハイクや外食を実施している。バスハイクでは近隣の公園で開催した菖蒲祭りに参加したり、国際バラとガーデニングショーを見学し、お弁当を食べて帰棟している。また、外食や個別の買い物を希望する利用者に対して、庁有車を活用し近隣のショッピングモールやスーパーに行くなど、個別の外出支援も実施している。

地域住民や近隣の保育園も参加できるイベントを開催し交流を図っている

近隣の保育園と連携し、年に数回、保育園の子どもが来訪している。園児達の歌や踊りの披露は、利用者の楽しみの一つとなっており、世代を越えて交流を図っている。今年度は、移動水族館を施設に招くイベントを開催し、地域住民や近隣の保育園にもイベント参加を呼びかけ、100名以上の方が来訪し利用者と地域住民との交流の場となっている。その他にも、帰宅困難者一次避難所指定や移動図書館の利用、地域住民に向けた公開講座の開催など、地域資源の活用や地域に対し高齢者支援についてノウハウの還元を行っている。

多くのボランティアが活動し、利用者の生活を支えている

利用者の生活支援に多くのボランティアが関わっている。昨年度、施設に来訪したボランティアの延べ人数は1789名である。ボランティアの活動内容は、大きく分けて3つあり、クラブ活動・行事・生活支援である。生活支援として、シーツ交換や車いすの整備・庭園整備・整髪・食事介助補助など幅広く利用者の生活を支えている。また、日々活躍しているボランティアに感謝の気持ちを現すため、年1回のボランティア交流会を開催している。クレープの試食をしながら職員と意見交換を行なっている。

  評価項目12 施設と家族との交流・連携を図っている 実施状況
  標準項目1 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
  標準項目2 家族や利用者の意向に応じて、家族と職員・利用者が交流できる機会を確保している
  標準項目3 家族または家族会が施設運営に対し、要望を伝える機会を確保している
講評
「四季の花だより」には、担当職員が利用者の近況を記載し家族に送っている

家族に対して、施設の広報誌「四季の花だより」を年4回送付している。「四季の花だより」の最終頁にメッセージ欄を設け、担当職員が一人ひとりの利用者の近況を記載し、生活の様子を伝えている。また、積極的に利用者と家族の交流を図るという観点から、面会時間などに配慮し、家族が来所しやすい環境を作っている。面会の際には、利用者の近況を報告し、サービスの提供状況を伝えている。面会の少ない家族に対しては、電話で利用者の近況報告を行うなど、施設側から連絡を行い、家族との連携を密に図っている。

季節の行事や誕生会に招待するなど、家族と交流を深める取り組みを行っている

季節の行事や利用者の誕生月には、家族に案内状を送付して来訪を促している。誕生会では希望する家族に対して、利用者と共に行事食を会食することが可能である。また、家族が来所する誕生会の日にサービス担当者会議を開催し、ケアプランの意向も確認している。また、納涼祭など季節行事にも参加を呼びかけており、利用者と一緒に模擬店の利用が可能である。また、施設には家族が利用できる宿泊室が整備されており、遠方から来た家族が利用できる。

管理職との家族懇談会や交流会を開催し、家族の要望を聞き取っている

平成27年7月に家族と管理職との懇談会を実施している。7月4日は12家族、7月11日は5家族が参加している。そのうち1回は苦情解決第三者委員も参加している。家族からは、日頃の職員の支援についての満足や感謝の声が寄せられている。同時に要望も出されており、改善できるものは具体化して解決に向け動いている。家族懇談会の内容は「四季の花だより」にも記載し、不参加の家族にその内容を周知している。また、敬老祝会の式典にあわせて、家族交流会を実施し、家族と共に利用者の長寿のお祝いと会食を行っている。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、放任、虐待、無視等が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に予防・再発防止を徹底している
  標準項目3 虐待被害にあった利用者がいる場合には、関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  標準項目4 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
講評
利用者の個人情報を守る取り組みを行っている

契約時に、個人情報の保護やプライバシー保護についての説明を行い、「個人情報提供承諾書」に、利用者と代理人の署名と同意を得ている。また東村山ナーシングホームにおける「個人情報保護方針」や「個人情報の利用目的」はホームページにも明記しており、個人情報の取り扱いに関する適切性の確保を重要課題と捉えて取り組んでいる。広報誌やホームページなどへの利用者の写真掲載については、その都度、家族の意向を確認するため電話連絡など口頭での確認をしている。

日々の支援では、利用者の羞恥心に配慮したケアを心がけている

利用者の要望をサービスに反映するために誕生月のカンファレンス、第三者委員の活用などを行っている。第三者委員の活用を通して、職員以外の第三者にも意見や苦情を言える機会を提供している。また、日々の支援では、利用者の羞恥心に配慮したケアを心がけている。排泄や入浴支援等では声かけに注意し、介助の際には他者の目に触れないようカーテンで仕切り、無駄な肌の露出も避けるよう心がけている。

アンガーマネジメント研修や接遇チェック表を活用し利用者へ適切な支援を心がけている

サービス委員会を中心に、利用者への接遇・マナーに対するアンケートやアンガーマネジメント研修を実施している。アンガーマネジメント研修では、ストレスや怒りを客観的に捉え、気持ちを整理する手法を学び、利用者支援につなげている。また、「接遇チェック表」では、挨拶や身だしなみ・マナー・ルールなどの項目に沿ってアンケートを行い、「対人援助技術自己チェック表」では、利用者への態度・言葉づかい・食事の支援などをチェックしている。各アンケートは集計を行い、職員へフィードバックし、職員への接遇向上への意識づけをしている。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
  標準項目3 職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などをもとに、基本事項や手順等の改善に取り組んでいる
  評価項目3 さまざまな取り組みにより、業務の一定水準を確保している 実施状況
  標準項目1 打ち合わせや会議等の機会を通じて、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている
  標準項目2 職員が一定レベルの知識や技術を学べるような機会を提供している
  標準項目3 職員全員が、利用者の安全性に配慮した支援ができるようにしている
  標準項目4 職員一人ひとりのサービス提供の方法について、指導者が助言・指導している
  標準項目5 職員は、わからないことが起きた際に、指導者や先輩等に相談し、助言を受けている
講評
施設サービス計画書やマニュアルを定期的に見直し、サービスの水準を一定化している

「施設サービス計画」には、施設の基本方針が明記されており、毎年検討、更新を行い全職員に配布している。「施設サービス計画」の内容は、生活サービス(排泄・入浴・食事・看取り)、行事計画、防災等の危機管理など幅広く網羅している。また、感染症・危機管理・服薬管理など各種マニュアルを作成し、職員へ対応を周知している。各種マニュアルは、フロアの職員の目に付く場所に配置している。「施設サービス計画書」や各種マニュアルを職員へ周知することで、業務の一定水準を確保している。

研修や事例研究発表会を通して職員のスキルアップにつなげている

年間の研修計画を立案し、職員の教育・スキルアップにつなげている。内部研修は全職員を対象として実施し、研修当日に参加できない職員に対しては、フィードバック研修を設け全職員に周知している。外部研修への参加は常勤・非常勤を問わず希望する職員が受講することができ、研修後には報告書の作成と他職員への報告を行なっている。また、事例研究やQOL発表会などを通して、提供サービスの再確認や新しい取り組み・知識など職員に学ぶ機会を提供し、利用者支援につなげている。

利用者が安全に生活できるよう感染症対策や事故防止対策を行っている

施設で起きた事故やヒヤリハットに関しては「アクシデント・インシデント報告書」に記載している。骨折など東京都や保険者へ報告する内容の事故を事故報告書に記載しており、転倒や尻もち等を「アクシデント・インシデント報告書」に記載している。アクシデント・インシデントについては要因を分析し、カンファレンスやミーティングで再発防止策の検討・対応・周知を行っている。また、感染症や食中毒予防として、感染症の流行の時期が来る前に職員へ研修を行っている。手洗い・うがい・消毒を徹底し、感染症の予防・蔓延防止に努めている。